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JP2019056102A - 硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化物、接着剤、及び、接着フィルム Download PDF

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JP2019056102A JP2018087192A JP2018087192A JP2019056102A JP 2019056102 A JP2019056102 A JP 2019056102A JP 2018087192 A JP2018087192 A JP 2018087192A JP 2018087192 A JP2018087192 A JP 2018087192A JP 2019056102 A JP2019056102 A JP 2019056102A
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Abstract

【課題】硬化前は可撓性及び加工性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物を提供する。また、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供する。【解決手段】硬化性樹脂とイミドオリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物であって、前記硬化性樹脂は、25℃において液状であり、25℃において前記イミドオリゴマーが固体粒子状に分散している硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化前は可撓性及び加工性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物に関する。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物用いてなる接着剤及び接着フィルムに関する。
低収縮であり、接着性、絶縁性、及び、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂等の硬化性樹脂は、多くの工業製品に使用されている。特に電子機器用途では、短時間の耐熱性に関するはんだリフロー試験や繰り返しの耐熱性に関する冷熱サイクル試験において良好な結果が得られる硬化性樹脂組成物が多く用いられている。
例えば、特許文献1、2には、エポキシ樹脂と硬化剤としてイミドオリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、一般的にイミドオリゴマーは常温で硬くて脆い性質があるため、特許文献1、2に開示された硬化性樹脂組成物は、常温での可撓性、加工性、流動性等に問題があった。
加工性や流動性等を向上させた硬化性樹脂組成物として、特許文献3には、液状エポキシ樹脂と、特定の反応性官能基を有するイミドオリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示された硬化性樹脂組成物でも流動性が充分とはいえず、流動性を更に向上させるために液状エポキシ樹脂の含有割合を増やした場合、耐熱性や接着性が低下するという問題があった。
また、特許文献4には、特定の反応性官能基を有するイミドオリゴマー、エポキシ樹脂、及び、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含有する樹脂混合物にニトリルゴム成分を分散させることにより、硬化前の硬化性樹脂組成物の可撓性を向上させる方法が開示されている。しかしながら、特許文献4に開示された方法では、ニトリルゴム成分により硬化物の耐熱性が悪化するという問題があった。
特開昭61−270852号公報 特表2004−502859号公報 特開2007−91799号公報 特開平7−224269号公報
本発明は、硬化前は可撓性及び加工性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物を用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、硬化性樹脂とイミドオリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物であって、上記硬化性樹脂は、25℃において液状であり、25℃において上記イミドオリゴマーが固体粒子状に分散している硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、硬化性樹脂とイミドオリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物において、該硬化性樹脂として25℃において液状のものを用い、かつ、該イミドオリゴマーを25℃において固体粒子状に分散させることを検討した。その結果、硬化前は可撓性及び加工性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、25℃で液状である。上記硬化性樹脂が25℃で液状であることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、流動性や加工性に優れるものとなる。また、後述するイミドオリゴマーを固体粒子状に分散させるため、上記硬化性樹脂としては、25℃において該イミドオリゴマーが不溶であるものが用いられる。
上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好適に用いられる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。なかでも、粘度が低く、得られる硬化性樹脂組成物の室温における加工性を調整しやすいことから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂等、常温で液状のエポキシ樹脂が好ましい。上記エポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、イミドオリゴマーを含有する。本発明の硬化性樹脂組成物において、上記イミドオリゴマーは、25℃において固体粒子状に分散している。上記イミドオリゴマーが固体粒子状に分散していることにより、本発明の硬化性樹脂組成物は、優れた流動性や加工性を維持したまま可撓性に優れ、かつ、接着性及び耐熱性に優れる硬化物を得ることができるものとなる。
なお、上記「固体粒子状に分散している」とは、溶解することなく粒子状に存在し、かつ大部分の粒子同士が凝集して偏在することなく分散していることを意味し、光学顕微鏡や電子顕微鏡を用いた直接観察により確認することができる。
上記イミドオリゴマーは、上記硬化性樹脂と反応し得る反応性官能基を有することが好ましい。
上記反応性官能基は、用いる硬化性樹脂の種類にもよるが、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、酸無水物基及び/又はフェノール性水酸基であることが好ましい。
上記イミドオリゴマーは、上記反応性官能基を主鎖の末端に有することが好ましく、両末端に有することがより好ましい。
上記反応性官能基として酸無水物基を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、下記式(1)で表される酸二無水物と下記式(2)で表されるジアミンとを反応させる方法等が挙げられる。
また、上記反応性官能基としてフェノール性水酸基を有するイミドオリゴマーを製造する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
即ち、下記式(1)で表される酸二無水物と下記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法や、下記式(1)で表される酸二無水物と下記式(2)で表されるジアミンとを反応させた後、更に下記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを反応させる方法等が挙げられる。
Figure 2019056102
式(1)中、Aは、下記式(4−1)又は下記式(4−2)で表される4価の基である。
Figure 2019056102
式(2)中、Bは、下記式(5−1)又は下記式(5−2)で表される2価の基であり、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
Figure 2019056102
式(3)中、Arは、置換されていてもよい2価の芳香族基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭化水素基である。
Figure 2019056102
式(4−1)及び式(4−2)中、*は、結合位置であり、式(4−1)中、Zは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有してもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有してもよい芳香環を有する2価の基である。式(4−1)及び式(4−2)中における芳香環の水素原子は置換されていてもよい。
Figure 2019056102
式(5−1)及び式(5−2)中、*は、結合位置であり、式(5−1)中、Yは、結合手、酸素原子、カルボニル基、硫黄原子、スルホニル基、結合位置に酸素原子を有してもよい直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基、又は、結合位置に酸素原子を有してもよい芳香環を有する2価の基である。式(5−1)及び式(5−2)中のフェニレン基は、一部又は全部の水素原子が水酸基又は1価の炭化水素基で置換されていてもよい。
上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(2)で表されるジアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(2)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(1)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、得られたアミック酸オリゴマー溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマーを回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(2)で表されるジアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に反応性官能基として酸無水物基を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(1)で表される酸二無水物を添加して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得る。次いで、得られたアミック酸オリゴマー溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマーを回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に反応性官能基としてフェノール性水酸基を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(2)で表されるジアミンとを反応させた後、更に上記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを反応させる方法の具体例を以下に示す。
まず、予め上記式(2)で表されるジアミンを、反応により得られるアミック酸オリゴマーが可溶な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)に溶解させ、得られた溶液に上記式(1)で表される酸二無水物を添加して反応させて、両末端に酸無水物基を有するアミック酸オリゴマー(A)の溶液を得る。次いで、得られたアミック酸オリゴマー(A)の溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマー(A)を回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。
このようにして得られた、両末端に反応性官能基として酸無水物基を有するイミドオリゴマーを、再度可溶な溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)に溶解させ、上記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンを添加して反応させてアミック酸オリゴマー(B)の溶液を得る。得られたアミック酸オリゴマー(B)の溶液から加熱や減圧等により溶媒を除去、又は、水、メタノール、ヘキサン等の貧溶媒中に投入して再沈殿させることによりアミック酸オリゴマー(B)を回収し、更に、約200℃以上で1時間以上加熱してイミド化反応を進行させる。上記式(1)で表される酸二無水物と上記式(2)で表されるジアミンと上記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとのモル比、及び、イミド化条件を調整することにより、所望の数平均分子量を有し、両末端に反応性官能基としてフェノール性水酸基を有するイミドオリゴマーを得ることができる。
上記式(1)で表される酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’−オキシジフタル酸二無水物、3,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシルフェノキシ)ジフェニルエーテル、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−カルボニルジフタル酸二無水物等が挙げられる。なかでも、イミドオリゴマーの軟化点や溶解性の制御、耐熱性、及び、入手性に優れることから、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、3,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−カルボニルジフタル酸二無水物が好ましい。
上記式(2)で表されるジアミンとしては、例えば、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルメタン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、ビスアミノフェニルフルオレン、ビストルイジンフルオレン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。なかでも、イミドオリゴマーの軟化点や溶解性の制御、耐熱性、及び、入手性に優れることから、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、3,3’−ジヒドロキシベンジジンが好ましい。
上記式(3)で表されるフェノール性水酸基含有モノアミンとしては、例えば、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、4−アミノ−o−クレゾール、5−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−2,3−キシレノール、4−アミノ−2,5−キシレノール、4−アミノ−2,6−キシレノール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、6−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−2,6−ジフェニルフェノール等が挙げられる。なかでも、なかでも、入手性及び保存安定性に優れ、高いガラス転移温度を有する硬化物が得られることから、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、4−アミノ−o−クレゾール、5−アミノ−o−クレゾールが好ましい。
上記イミドオリゴマーのイミド化率の好ましい下限は70%である。上記イミド化率が70%以上であることにより、高温での機械的強度及び長期耐熱性により優れる硬化物を得ることができる。上記イミド化率のより好ましい下限は75%、更に好ましい下限は80%である。また、上記イミドオリゴマーのイミド化率の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は98%である。
なお、上記「イミド化率」は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により求めることができる。具体的には、フーリエ変換赤外分光光度計(例えば、Agilent Technologies社製、「UMA600」等)を用いて全反射測定法(ATR法)にて測定を行い、アミック酸のカルボニル基に由来する1660cm−1付近のピーク吸光度面積から下記式にて導出することができる。なお、下記式中における「アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積」は、上記式(1)で表される酸二無水物と各アミン化合物とを反応させた後、イミド化工程を行わずに溶媒を除去することで得られるアミック酸オリゴマーの吸光度面積である。上記溶媒は、エバポレーションにより除去することができる。
イミド化率(%)=100×(1−(イミド化後のピーク吸光度面積)/(アミック酸オリゴマーのピーク吸光度面積))
上記イミドオリゴマーは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物中における上記イミドオリゴマーの平均粒子径の好ましい下限は0.5μm、好ましい上限は20μmである。上記イミドオリゴマーの平均粒子径が0.5μm以上であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が硬化前の状態において可撓性や加工性に優れたものとなる。上記イミドオリゴマーの平均粒子径が20μm以下であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が均一性に優れ、接着性や耐熱性に優れた硬化物が得られる。上記イミドオリゴマーの平均粒子径のより好ましい下限は1μm、より好ましい上限は10μmである。
上記イミドオリゴマーの数平均分子量の好ましい下限は400、好ましい上限は5000である。上記数平均分子量がこの範囲であることにより、得られる硬化物が長期耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの数平均分子量のより好ましい下限は500、より好ましい上限は4000である。
なお、本明細書において上記「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、JAIGEL−2H−A(日本分析工業社製)等が挙げられる。
上記イミドオリゴマーの軟化点の好ましい上限は250℃である。上記イミドオリゴマーの軟化点が250℃以下であることにより、得られる硬化物が、接着性や長期耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの軟化点のより好ましい上限は200℃である。
上記イミドオリゴマーの軟化点の好ましい下限は特にないが、実質的な下限は60℃である。
なお、上記イミドオリゴマーの軟化点は、JIS K 2207に従い、環球法により求めることができる。
上記イミドオリゴマーの融点の好ましい上限は300℃である。上記イミドオリゴマーの融点が300℃以下であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が、接着性や長期耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの融点のより好ましい上限は250℃である。
なお、上記イミドオリゴマーの融点は、示差走査熱量測定又は市販の融点測定器により求めることができる。
上記イミドオリゴマーの含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が30重量部、好ましい上限が500重量部である。上記イミドオリゴマーの含有量がこの範囲であることにより、得られる硬化性樹脂組成物の硬化物が高温での機械的強度、接着性、及び、長期耐熱性により優れるものとなる。上記イミドオリゴマーの含有量のより好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は400重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記イミドオリゴマーとして、25℃において硬化性樹脂組成物に不溶であるイミドオリゴマーのみを含有してもよいし、25℃において硬化性樹脂組成物に不溶であるイミドオリゴマーと、25℃において硬化性樹脂組成物に溶解し得るイミドオリゴマーとを含有してもよい。以下、25℃において硬化性樹脂組成物に不溶であるイミドオリゴマーを「不溶型イミドオリゴマー」ともいい、25℃において硬化性樹脂組成物に溶解し得るイミドオリゴマーを「可溶型イミドオリゴマー」ともいう。即ち、本発明の硬化性樹脂組成物中においてイミドオリゴマーの一部(可溶型イミドオリゴマー)が溶解し、一部(不溶型イミドオリゴマー)が固体粒子状に分散していてもよい。このような場合においては、上記可溶型イミドオリゴマーによる濡れ性によって強い接着力を発現するとともに、上記不溶型イミドオリゴマーによって流動性、加工性、及び、可撓性を付与することができる。
なお、上記「硬化性樹脂組成物に不溶である」とは、後述する溶剤を用いない場合は前記硬化性樹脂に不溶であることを意味し、後述する溶剤を用いる場合は該溶剤及び前記硬化性樹脂に不溶であることを意味する。また、上記「硬化性樹脂組成物に溶解し得る」とは、後述する溶剤を用いない場合は前記硬化性樹脂に溶解し得ることを意味し、後述する溶剤を用いる場合は該溶剤及び前記硬化性樹脂に溶解し得ることを意味する。
上記可溶型イミドオリゴマーを用いる場合、上記可溶型イミドオリゴマーの含有割合は、イミドオリゴマー全体100重量部中において、80重量部以下であることが好ましい。上記可溶型イミドオリゴマーの含有割合が80重量部以下であることにより、得られる硬化性樹脂組成物が優れた可撓性を維持しつつ、接着性により優れるものとなる。
また、上記可溶型イミドオリゴマーを用いる場合、上記可溶型イミドオリゴマーの含有割合は、20重量部以上であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、上記イミドオリゴマーに加えて他の硬化剤を含有してもよい。
上記他の硬化剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、チオール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤等が挙げられる。なかでも、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物が上記他の硬化剤を含有する場合、上記イミドオリゴマーと上記他の硬化剤との合計100重量部中における上記他の硬化剤の含有割合の好ましい上限は70重量部、より好ましい上限は50重量部、更に好ましい上限は30重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有することが好ましい。上記硬化促進剤を含有することにより、硬化時間を短縮させて生産性を向上させることができる。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、3級アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、光塩基発生剤、スルホニウム塩系硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、保存安定性に優れることから、イミダゾール系硬化促進剤が好ましい。
上記硬化促進剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記硬化促進剤の含有量がこの範囲であることにより、優れた接着性等を維持したまま、硬化時間を短縮させる効果により優れるものとなる。上記硬化促進剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後の線膨張率を低下させてそりを低減させたり、接着信頼性を向上させたりする等を目的として無機充填剤を含有してもよい。また、上記無機充填剤は、流動調整剤としても好適に用いることができる。
上記無機充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等のシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、ガラスパウダー、ガラスフリット、ガラス繊維、カーボンファイバー、無機イオン交換体等が挙げられる。
上記無機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい上限が500重量部である。上記無機充填剤の含有量が500重量部以下であることにより、優れた加工性等を維持したまま、接着信頼性を向上させたり、流動調整をしたりする等の効果により優れるものとなる。上記無機充填剤の含有量のより好ましい上限は400重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、応力緩和、靭性付与等を目的として有機充填剤を含有してもよい。
上記有機充填剤としては、例えば、シリコーンゴム粒子、アクリルゴム粒子、ウレタンゴム粒子、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子、ベンゾグアナミン粒子、及び、これらのコアシェル粒子等が挙げられる。なかでも、ポリアミド粒子、ポリアミドイミド粒子、ポリイミド粒子が好ましい。
上記有機充填剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい上限が500重量部である。上記有機充填剤の含有量が500重量部以下であることにより、優れた接着性等を維持したまま、得られる硬化物が靭性等により優れるものとなる。上記有機充填剤の含有量のより好ましい上限は400重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で高分子化合物を含有してもよい。上記高分子化合物は、造膜成分としての役割を果たす。
上記高分子化合物は、反応性官能基を有していてもよい。
上記高分子化合物が反応性官能基を有する場合、該高分子化合物が有する反応性官能基としては、例えば、アミノ基、ウレタン基、イミド基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で反応性希釈剤を含有してもよい。
上記反応性希釈剤としては、接着信頼性の観点から、1分子中に2つ以上の反応性官能基を有する反応性希釈剤が好ましい。
上記反応性希釈剤の有する反応性官能基としては、上述した高分子化合物が有する反応性官能基と同様のものが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に、溶剤、カップリング剤、分散剤、貯蔵安定化剤、ブリード防止剤、フラックス剤、レベリング剤、難燃剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
予め固体ブロック状のイミドオリゴマーを、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル等の粉砕機を用いて粉砕した後、該イミドオリゴマーを溶解させない分散媒中に分散させ、イミドオリゴマー分散液を得る。次いで、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、イミドオリゴマー分散液と、必要に応じて添加する他の硬化剤や硬化促進剤や無機充填剤(流動調整剤)等とを混合する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、広い用途に用いることができるが、特に高い耐熱性が求められている電子材料用途に好適に用いることができる。例えば、航空、車載用電気制御ユニット(ECU)用途や、SiC、GaNを用いたパワーデバイス用途におけるダイアタッチ剤等に用いることができる。また、例えば、パワーオーバーレイパッケージ用接着剤、プリント配線基板用接着剤、フレキシブルプリント回路基板のカバーレイ用接着剤、銅張積層板、半導体接合用接着剤、層間絶縁膜、プリプレグ、LED用封止剤、構造材料用接着剤等にも用いることができる。なかでも、接着剤用途に好適に用いられる。
本発明の硬化性樹脂組成物からなる接着剤もまた、本発明の1つである。本発明の接着剤をフィルム上に塗工した後、乾燥させる等の方法により、接着フィルム(硬化性樹脂組成物フィルム)を得ることができ、該接着フィルムを硬化させることにより、硬化物を得ることができる。本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物もまた、本発明の1つである。また、本発明の接着剤を用いてなる接着フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、硬化前は可撓性及び加工性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(合成例1(イミドオリゴマーAの作製))
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業社製、「DDPE」)10重量部をN−メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製)200重量部に溶解させた。得られた溶液に4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(東京化成工業社製)52.0重量部を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマーA(イミド化率92%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーAは、式(6)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーAの軟化点は147℃、融点は168℃であった。
Figure 2019056102
(合成例2(イミドオリゴマーBの作製))
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10重量部を1,4−フェニレンジアミン(東京化成工業社製、「1,4−PDA」)5.4重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、イミドオリゴマーB(イミド化率95%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーBは、式(7)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーBの軟化点は151℃、融点は168℃であった。
Figure 2019056102
(合成例3(イミドオリゴマーCの作製))
ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン(東京化成工業社製、「BAPS」)21.6重量部をN−メチルピロリドン200重量部に溶解させた。得られた溶液に4,4’−オキシジフタル酸二無水物(東京化成工業社製)31.0重量部を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマーC(イミド化率98%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーCは、式(8)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーCの軟化点は166℃、融点は181℃であった。
Figure 2019056102
(合成例4(イミドオリゴマーDの作製))
1,4−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン(三井化学ファイン社製、「ビスアニリンP」)17.2重量部をN−メチルピロリドン200重量部に溶解させた。得られた溶液に4,4’−カルボニルジフタル酸二無水物(東京化成工業社製)32.2重量部を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマーD(イミド化率96%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーDは、式(9)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーDの軟化点は228℃、融点は273℃であった。
Figure 2019056102
(合成例5(イミドオリゴマーEの作製))
4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル(東京化成工業社製)12.9重量部をN−メチルピロリドン(富士フイルム和光純薬社製)200重量部に溶解させた。得られた溶液に4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物52.0重量部を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー(A)の溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、末端に酸無水基を有するイミドオリゴマー(イミド化率95%)を得た。
更に、得られたイミドオリゴマー61.6重量部を秤量し、N−メチルピロリドン200重量部に溶解させた後、3−アミノフェノール(東京化成工業社製)10.9重量部を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー(B)の溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー(B)の溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマーE(イミド化率93%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーEは、式(10)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーEの軟化点は198℃、融点は223℃であった。
Figure 2019056102
(合成例6(イミドオリゴマーFの作製))
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10重量部を1,3−ビス(2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル)ベンゼン(三井化学ファイン社製、「ビスアニリンM」)17.2重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、イミドオリゴマーF(イミド化率94%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーFは、式(11)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーFの軟化点は145℃、融点は158℃であった。
Figure 2019056102
(合成例7(イミドオリゴマーGの作製))
3−アミノフェノール10.9重量部をN−メチルピロリドン200重量部に溶解させた。得られた溶液に4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物26.0重量部を添加し、25℃で2時間撹拌して反応させてアミック酸オリゴマー溶液を得た。得られたアミック酸オリゴマー溶液からN−メチルピロリドンを減圧除去した後、300℃で2時間加熱することにより、イミドオリゴマーG(イミド化率95%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーGは、式(12)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーGの軟化点は137℃、融点は155℃であった。
Figure 2019056102
(合成例8(イミドオリゴマーHの作製))
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10重量部を1,3−フェニレンジアミン(東京化成工業社製、「1,3−PDA」)5.4重量部に変更したこと以外は合成例1と同様にして、イミドオリゴマーH(イミド化率95%)を得た。
なお、H−NMR、GPC、及び、FT−IR分析により、イミドオリゴマーHは、式(13)で表されるイミドオリゴマーを主成分とすることを確認した。また、イミドオリゴマーHの軟化点は146℃、融点は163℃であった。
Figure 2019056102
(実施例1〜11、比較例1、2)
合成例1〜8で得られたイミドオリゴマーA〜Hを、ジェットミルを用いて粉砕した後、メチルエチルケトンと混合し、混合液を得た(各イミドオリゴマーの平均粒子径4〜10μm)。イミドオリゴマーA〜E及びHは、メチルエチルケトンに不溶であったが、イミドオリゴマーF及びGはメチルエチルケトンに溶解した。次いで、各材料が表1に記載された配合比となるように、得られた混合液と他の材料とを撹拌混合し、実施例1〜11、比較例1、2の各硬化性樹脂組成物を作製した。
得られた各硬化性樹脂組成物について、25℃におけるイミドオリゴマーの分散状態を光学顕微鏡観察により確認した。その結果、イミドオリゴマーA〜E及びHを用いた実施例1〜11の各硬化性樹脂組成物は、イミドオリゴマーが固体粒子状に分散していることが確認された。一方、イミドオリゴマーF又はGのみを用いた比較例1、2の各硬化性樹脂組成物は、イミドオリゴマーが溶解していることが確認された。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(可撓性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を離型PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを、25℃で5mm径の円柱に巻きつける5mm径の巻きつけ試験を行い、接着フィルムの割れや欠けを確認した。また、得られた接着フィルムを180度折り曲げる180度折り曲げ試験を行い、接着フィルムの割れや欠けを確認した。
5mm径の巻きつけ試験、及び、180度折り曲げ試験ともに割れや欠けが無かった場合を「○」、5mm径の巻きつけ試験では割れや欠けが無かったものの、180度折り曲げ試験では割れや欠けがあった場合を「△」、両試験において割れや欠けがあった場合を「×」として可撓性を評価した。
(加工性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を離型フィルム上に塗工し、乾燥させることにより、接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを、トムソン刃を用いて打ち抜き加工を実施し、破断面の状態や粉落ちの有無を確認した。
した。破断面が平滑で粉落ちがなかった場合を「○」、破断面が平滑でなく、粉落ちがあった場合を「×」として加工性を評価した。
(接着性)
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を厚みが約20μmとなるように離型PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、接着フィルムを得た。接着フィルムからPETフィルムを剥離し、ラミネーターを用いて、70℃に加熱しながら接着剤層の両面にポリイミド基材(東レ・デュポン社製、「カプトン200H」、50μmt)を貼り合わせた。190℃、3MPa、1時間の条件で熱プレスを行い、接着層を硬化させた後、1cm幅に切り出して試験片を得た。
引張試験機(ORIENTEC社製、「UCT−500」)により、剥離速度20mm/minでT字剥離を行い、接着力を測定した。
接着力が6.0N以上であった場合を「◎」、3.4N/cm以上6.0N/cm未満であった場合を「○」、2.0N/cm以上3.4N/cm未満であった場合を「△」、2.0N/cm未満であった場合を「×」として接着性を評価した。
(耐熱性(ガラス転移温度))
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を離型PETフィルム上に塗工し、乾燥させることにより、硬化性樹脂組成物フィルムを得た。得られた硬化性樹脂組成物フィルムからPETフィルムを剥離し、ラミネーターを用いて積層した後、190℃で1時間加熱することにより硬化させ、厚さ500μmの硬化物を作製した。得られた硬化物について、熱機械分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、「TMA/SS−6000」)を用い、荷重5g、昇温速度10℃/分、サンプル長1cmで0℃から300℃まで昇温した際に得られたSSカーブの変曲点をガラス転移温度として求めた。
(耐熱性(5%重量減少温度))
実施例及び比較例で得られた各硬化性樹脂組成物を離型フィルム上に塗工し、乾燥させることにより、接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを190℃で1時間加熱することにより硬化させ、硬化物を作製した。
得られた硬化物について、熱重量測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、「TG/DTA6200」)を用いて、30℃〜500℃の温度範囲、10℃/minの昇温条件で5%重量減少温度を測定した。
Figure 2019056102
本発明によれば、硬化前は可撓性及び加工性に優れ、硬化後は接着性及び耐熱性に優れる硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、該硬化性樹脂組成物の硬化物、並びに、該硬化性樹脂組成物用いてなる接着剤及び接着フィルムを提供することができる。

Claims (11)

  1. 硬化性樹脂とイミドオリゴマーとを含有する硬化性樹脂組成物であって、
    前記硬化性樹脂は、25℃において液状であり、
    25℃において前記イミドオリゴマーが固体粒子状に分散していることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有する請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記イミドオリゴマーは、前記硬化性樹脂と反応し得る反応性官能基を有する請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記反応性官能基は、酸無水物基及び/又はフェノール性水酸基である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記イミドオリゴマーは、軟化点が250℃以下である請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記イミドオリゴマーのイミド化率が70%以上である請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記イミドオリゴマーとして、25℃において硬化性樹脂組成物に不溶であるイミドオリゴマーと、25℃において硬化性樹脂組成物に溶解し得るイミドオリゴマーとを含有する請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記25℃において硬化性樹脂組成物に溶解し得るイミドオリゴマーの含有割合は、イミドオリゴマー全体100重量部中において、80重量部以下である請求項7記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の硬化性樹脂組成物からなる接着剤。
  11. 請求項10記載の接着剤を用いてなる接着フィルム。
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