第1の発明は、モータを駆動するためのモータ駆動装置であって、半導体スイッチをチョッピング動作させることにより、単相交流電源からの交流電圧、或いは該交流電圧を整流した脈動電圧を、リアクタを介して短絡または開放して、前記単相交流電源から直流電圧に整流するコンバータ装置と前記コンバータ装置を制御するコンバータ制御部と、前記コンバータ装置から出力された直流電力を交流電力に変換して前記モータに供給するインバータ装置と前記インバータ装置を制御するインバータ制御部と、前記コンバータ制御部内部には、前記交流電圧の波形と同一周波数の目標電流波形を形成する波形形成部と、前記単相交流電源から流れる交流電流を検出する交流電流検出部と、前記直流電圧を検出する直流電圧検出部と、前記交流電流検出部で検出された交流電流の波形が実質的に前記目標電流波形となる様に前記半導体スイッチのチョッピング動作を制御する第1の制御部と、検出された前記直流電圧が実質的に所望の直流電圧指令となるように前記目標電流波形の振幅を制御する第2の制御部と、前記直流電圧指令を設定する第3の制御部とを備え、第3の制御部は、前記モータの回転数と前記モータを要求回転数で回転させるために必要な直流電圧とが関連付けられた回転数電圧情報を用いて、前記モータの回転数に応じた下限電圧指令を生成する下限電圧生成部と、前記下限電圧生成部により生成された下限電圧指令を下限電圧として、前記半導体スイッチがチョッピング動作状態であるチョッピング動作位相幅、若しくは、前記半導体スイッチがチョッピング休止状態であるチョッピング休止位相幅が実質的に所定の位相幅となるように直流電圧指令を決定する電圧指令決定部とを具備する事により、電圧指令決定部で決定される第1直流電圧指令は、直流電圧検出手段の精度ばらつきの影響を受ける検出された直流電圧と、目標直流電圧による電圧フィードバック制御により決定されるのではなく、入力電流の高調波レベルと密接な関係を持つ入力電源半周期あたりの入力電流波形に占めるチョッピング動作位相幅、若しくはチョッピング休止位相幅が目標位相幅となる様に直流電圧指令を決定するため、制御の結果得られる入力電流波形には、直流電圧検出手段の精度ばらつきの影響が排除でき、入力電流に含まれる高調波を所定の規制値以内に抑制できると同時に、検出精度バラつき相当の直流電圧分の損失低減が可能となり効率を高める事ができる。
第2の発明は、第1の発明において、目標位相幅設定器で設定される所定の位相幅は、電源半周期に対して0度から180度の範囲で、負荷の状況或いは外部からの指令に応じて変更して設定されるよう構成されることにより、モータ負荷により入力電流は変動し、それにより入力電流の高調波レベルが変動する事から、負荷の状況に応じて所定の位相幅を調整し、負荷が小さい場合は所定の位相幅を大きく、負荷の大きい場合は所定の位相幅を小さくする事で電源高調波を所定のレベルに抑制すると同時にスイッチングによる損失
を低減する事ができる。
第3の発明は、第1の発明において、目標位相幅設定器で判定される負荷の状況は、前記交流電流の値、前記交流電流に基づいて計算される入力電力、または前記コンバータ装置の出力電力で示されるよう構成されることにより、高調波レベルと負荷は概ね比例関係にあると同時に、負荷は交流電流や入力電力またはコンバータ装置の出力電力で推し量ることが可能である事から、交流電流等の状況に応じて所定の位相幅を調整し、負荷が小さい場合は所定の位相幅を大きく、負荷の大きい場合は所定の位相幅を小さくする事で電源高調波を所定のレベルに抑制すると同時にスイッチングによる損失を低減する事ができる。
第4の発明は、第1の発明において、前記電圧指令決定部は、前記交流電圧の極性が固定されている期間内において検出される前記直流電圧の最低値又は前記交流電流の最大値と検出されたチョッピング休止位相幅若しくはチョッピング動作位相幅を関連付けて記憶し、所定の期間内において記憶した中から最も低いDC電圧又は最も大きな交流電流と関連付けられているチョッピング休止位相幅若しくはチョッピング動作位相幅を抽出し、抽出したチョッピング休止位相幅若しくはチョッピング休止位相幅が実質的に前記所定の位相幅となる様に前記第1振幅指令を制御するよう構成される事により、負荷が脈動する状況の場合、負荷に合わせて交流電流も電源半周期で変動する、その場合、高調波レベルは交流電流に比例する事から、高調波レベルが最も大きくなる電流波形(交流電流の振幅が最大)或いは負荷の影響により直流電圧が最も低下する状況に着目して、チョッピング休止位相幅或いはチョッピング実施位相幅を制御することで、負荷が脈動している状況においても、安定して高調波を目標レベル以下に制御することが出来る。
第5の発明は、第1の発明において、前記電圧指令決定部は、前記交流電圧の極性が固定されている期間内において検出されるチョッピング休止位相幅若しくはチョッピング動作位相幅の瞬時値を予め設定されている回数による平均を実施し、その平均値が、実質的に所定の位相幅となるように前記第1振幅指令を制御するよう構成されることにより、電源半周期毎に検出されるチョッピング休止位相幅、若しくはチョッピング動作位相幅は負荷の影響によるばらつきを持つ、或いはノイズの影響により得られた位相幅が正しくない場合がある、その影響を平均化で緩和する事が出来るため、制御の安定性を向上させることができる。
第6の発明は、第4〜5のいずれか1つの発明において、前記電圧指令決定部は、前記交流電圧の極性が固定されている期間内において、複数の前記チョッピング動作位相幅、若しくは複数の前記チョッピング休止位相幅が存在するときに、当該期間内のいずれかの位相幅、若しくは合計の位相幅が実質的に所定の位相幅となるように前記第一振幅指令を制御するよう構成された事により、チョッピング動作位相幅、若しくはチョッピング休止位相幅の検出結果が複数となった場合でも、短い時間では実際の交流電流は、急激に変化しないため、それらを一括の位相幅と同様に考える事で、平均化と同様の効果が得る事ができるため検出結果の変動を抑制することが出来る事から、制御の安定性を向上させることができる。
第7の発明は、第1の発明において、前記下限電圧生成部が持つ前記モータの回転数に対する直流電圧の回転数電圧特性は、該モータの逆起電圧特性よりも大きい値に設定されると共に、該モータの逆起電圧と同じ傾向を示す様に設定され、直流電圧指令を制限する下限電圧としての役割を果すことにより、常にモータに対し必要とされる回転数が出力可能となる。
第8の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記目標電流波形は、前記目
標電流波形の瞬時の絶対値が、前記交流電圧の極性が固定されている期間内において、(a)当該期間の開始点から、所定の中間点までは、時間経過とともに、少なくとも増加し、若しくは少なくとも増加し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調増加し、(b)前記中間点から終了点までは、時間経過とともに、少なくとも減少し、若しくは少なくとも減少し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調減少した後、ゼロとなる期間を有するように設定されたことにより、
中間点以降で目標電流がゼロとなっても、実際の交流電流はしばらく流れ続ける事ため、特に負荷が軽い時は、波形歪みが増加しても、高調波電流そのものは少なく、さらにスイッチングが減るため回路損失を低減することができる。
第9の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記目標電流波形は、前記目標電流波形の瞬時の絶対値が、前記交流電圧の極性が固定されている期間内において、(a)当該期間の開始点から、所定の第1の中間点までは、時間経過とともに、ゼロとなる期間を有し、(b)前記第1の中間点から所定の第2の中間点までは、少なくとも増加し、若しくは少なくとも増加し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調増加し、(c)前記第2の中間点から終了点までは、時間経過とともに、少なくとも減少し、若しくは少なくとも減少し、かつ、一部期間で一定であるように実質的に単調減少した後、ゼロとなる期間を有するように設定された事により、第1の中間点までの、昇圧動作への寄与が少ない部分でのスイッチングを停止し、第2の中間点以降で目標電流がゼロとなっても、交流電流はしばらく流れ続けるため、特に負荷が軽い時は、波形歪みが増加しても、高調波電流そのものは少なく、第8の発明に対しさらにスイッチングが減るため、回路損失を低減することができる。
第10の発明は、第1の発明において、前記交流電圧を所定のしきい値電圧と比較することにより2値信号を発生する位相検出部をさらに備え、前記波形形成部は、前記2値信号に基づいて前記交流電圧の周期および位相を検出し、当該検出された交流電圧の周期および位相に基づいて、前記交流電圧の波形と同一周波数の目標電流波形を形成し、前記第3の制御部は前記2値信号に基づいて、前記半導体スイッチがチョッピング動作状態であるチョッピング動作位相幅若しくは前記半導体スイッチがチョッピング休止状態であるチョッピング休止位相幅を検出するよう構成された事により、しきい値電圧Vthが変動しても2値信号の周期は電源周波数と同一であり、2値信号のハイレベル側又はローレベル側の中点を求めれば、AC電圧位相の90度又は270度の時間を知ることができる。また、AC電圧位相の90度と270度の中点は180度および0度の位相になるため、得られた情報を、PLLなどを用いて逓倍すれば、瞬時瞬時の位相を正確に知ることができる。
以下、本発明のモータ駆動装置に係る実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明のモータ駆動装置は、以下の実施の形態に記載したモータ駆動装置の構成に限定されるものではなく、以下の実施の形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想に基づいて構成されるものを含む。また、以下の各実施の形態において、同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る実施の形態1のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。図1において、単相の交流電源1の両出力端子を、リアクタ102を介して半導体スイッチ104により短絡することにより、1つのループが構成される。交流電流検出部である電流検出器103は、そのループの電流を検出し、検出された電流値Iacを示す信号をコンバータ制御部100に出力する。半導体スイッチ104をオン状態にすると、リアクタ102の電流は増加する。
一方、半導体スイッチ104をオフ状態にすると、リアクタ102に流れていた電流はダイオードブリッジ105にて整流されて、その整流された電流は平滑コンデンサ106およびインバータ装置4に流れ、インバータ装置4を駆動する。
平滑コンデンサ106の両端の直流電圧Vdcは、直流電圧検出部である直流電圧検出器110により検出され、直流電圧検出器110は検出された直流電圧Vdcを示す信号をコンバータ制御部100に出力する。
また、交流電源1から入力された交流電圧の位相検出部である電圧レベル比較器109は、交流電源1のAC電圧レベルを所定のしきい値電圧と比較する事により、当該しきい値電圧以上であるか否かを示す2値信号Scomを発生してコンバータ制御部100に出力する。コンバータ制御部100は、2値信号Scomの周期および位相に基づいて、交流電源1から出力されるAC電圧の位相を検知する。
コンバータ制御部100は、検知されたAC電圧の位相に基づいて、AC電圧と実質的に同一の周波数であって、AC電圧と相似形状を有する目標電流波形を生成し、電流検出器103により検出された電流値Iacが前記生成した目標電流波形の相似形状に漸近するように半導体スイッチ104をチョッピング動作させるように制御する。
さらに、コンバータ制御部100は、直流電圧検出器110により検出された直流電圧Vdcが、コンバータ制御部100内で設定された所望の電圧になるように、その偏差に応じて、生成する目標電流波形の相似比率を調整する。
ここで、コンバータ制御部100は、実際の直流電圧Vdcが所望の直流電圧より低ければ、目標電流波形の相似比率を増大させて、大きな電流になるように制御し、実際の直流電圧Vdcが所望の直流電圧よりも高ければ、小さな電流になるように制御する。
また、コンバータ制御部100は、半導体スイッチ104のチョッピング状態に基づいて、半導体スイッチ104をパルス幅変調(以下、「PWM」という。)駆動している位相幅を検出し、その位相幅と所望の値との偏差を検出し、当該偏差に応じて前記所望の直流電圧値を調整する。
図2は図1のコンバータ制御部100の詳細構成を示すブロック図である。
図2のコンバータ制御部100において、当該制御システムとしての制御の特徴は、モータを目標回転数で駆動するのに必要な直流電圧(下限電圧指令)を求め、求めた下限電圧指令を下限電圧として、チョッピング駆動をしているチョッピング動作位相幅θωonを、目標位相幅設定器203からの所望の位相幅θωon*に制御する場合の直流電圧指令を決定する事により電圧及び電流制御を実施するというものである。
まず、AC電圧位相検出器201は、電圧レベル比較器109から出力される交流電源1の電圧レベルを所定のしきい値電圧(Vth)と比較することにより2値化した2値信号Scomに基づいて、AC位相を検出し、検出したAC位相を示す信号を目標電流波形形成器202およびチョッピング位相幅検出器212に出力する。なお、AC電圧位相検出器201の具体的な動作の詳細は後述する。
次いで、目標電流波形形成器202は、前記AC位相を示す信号に基づいて、詳細を後述する所定の目標電流波形を発生して、乗算器208に出力する。
なお、本発明に係る実施の形態1においては、コンバータ制御部100におけるAC電圧位相検出器201と目標電流波形形成器202により、交流電圧の波形と同一周波数の
目標電流波形を形成する波形形成部111が構成されている。
第3の制御部218は、電圧指令決定部213と下限電圧生成部214で構成されている。
電圧指令決定部213について説明する。
チョッピング位相幅検出器212は、Iac補償演算器210からPWM変換器211に出力される半導体スイッチ104に対するチョッピング駆動信号Schの原信号に基づいて、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、極性が固定されている周期の間におけるチョッピング動作状態である位相幅(以下、「チョッピング動作位相幅」という)と測定期間中に電流検出器103から出力される実際の電流値Iacの最大値とを関連付けて記憶し、所定の期間内の連続した複数の測定結果から、実際の電流値Iacが最大であったチョッピング動作位相幅θωonを抽出し、減算器204に出力する。
実際の電流値Iacの最大値とチョッピング動作位相幅θωonとを関連付けて記憶し用いるのは、電源高調波レベルが入力電流に比例するため、電源高調波レベルが最も大きくなる最大の電流波形に着目してチョッピング動作位相幅を制御することにより、電源高調波を目標レベル以下に制御するためである。
また、チョッピング位相幅検出器212において、連続した複数の測定結果から抽出するのは、図1で示した圧縮機モータ300が脈動を持つ負荷特性の場合に、1回1回のチョッピング動作位相幅の測定値が異なるためである。
ここで、図6は、目標位相幅設定器203から出力される所望のチョッピング動作位相幅θωon*と、目標位相幅設定器203に入力される電流検出器103により検出された実際の電流値Iacから求めた所定期間の最大電流Iacpとの関係の一例を示したものである。
図6に示すように、所定期間の最大電流値Iacpの増加に従い所望のチョッピング動作位相幅θωon*が増化する特性としている。このような特性とすることにより、低入力では高調波電流自体の大きさが小さいため損失低減を重視する一方で、高入力では高調波電流の低減を重視した特性を持たせることができる。その結果、損失低減と高調波電流の抑制を狙った特性を持たせることができる。
なお、図6に示す特性では、前後を平坦にし、その間を滑らかな直線で繋いだものとしているが、チョッピング動作位相幅θωon*と所定期間の最大電流値Iacpとの関係を示す特性としては、図6に示した特性に限定されるものではない。
また、図6の特性図22おいて、横軸を所定期間の最大電流値Iacpとして説明しているが、電流値Iacに基づいて計算される最大入力電力、又はインバータ装置4に流れる電流を検出する電流検出器112の出力と直流電圧検出部であるDC電圧検出器110の出力から得られるインバータ装置4の最大入力電力を用いても同様の結果が得られる。
また、図6の特性図22おいて、横軸を所定期間の最大電流値Iacpとして説明しているが、モータ300が脈動を持つ負荷特性ではない場合、瞬時の電流値やその平均値をIacpとしても同様の結果が得られる。
減算器204は、いわゆる位相比較器であり、実際のチョッピング動作位相幅θωonから所望のチョッピング動作位相幅θωon*を減算することにより、その位相幅の偏差
を演算して当該偏差を示す信号を位相幅補償演算器205に出力する。
位相幅補償演算器205は、PWM動作状態の位相幅を安定に保つための所定の補償演算を行うことにより、偏差に応じて出力された暫定の直流電圧指令Vi*を下限制限器215へ出力する。
下限電圧生成部214について説明する。
下限電圧生成部214は、モータ300の回転数と回転に必要となる直流電圧とが関連付けられた回転数電圧情報を用いて、モータ300の回転数指令ωに応じた直流電圧(以下、下限電圧指令Vω*と呼ぶ)を下限制限器215へ出力する。
ここで、モータ300の回転数指令ωは、インバータ装置4がモータ300の制御に用いる回転数ωを用いれば良い。具体的には、インバータ制御部400からコンバータ制御部100に供給される回転数ωを用いる。
図8に回転数電圧情報の一例を示す。図8において横軸はモータ300の回転数ω、縦軸は下限電圧指令Vω*である。図8に示す様に、モータ300の回転数ωに対する下限電圧指令Vω*の特性は、該モータ300の逆起電圧特性Vmよりも大きい値に設定されると共に、該モータ300の逆起電圧Vmと同じ傾向を示す様に設定されることが望ましい。
例えば、直流電圧Vdcをモータ300の要求回転数を実現するのに必要となる直流電圧Vdcmの値よりも小さく設定してしまうと、高速回転領域において弱め磁界制御が必要となり、損失が大きくなってしまう。逆に、直流電圧Vdcをモータ300が必要とする値よりも大きく設定してしまうと、スイッチングが過剰となり、スイッチング損失が増大する。従って、モータ300の要求回転数を満足するために必要とされる最小の直流電圧を、モータ300の回転数ωに応じて設定する事で、スイッチング損失を最低限のレベルに抑える事が可能となる。
回転数電圧情報において、直流電圧の上限値は、モータ駆動装置0に搭載される電子部品(例えば平滑コンデンサ106)の耐電圧以下に設定され、下限値は交流電源1から供給される入力電流Iaの波高値以上に設定される。
なお、回転数電圧情報は、モータ300の回転数ωをパラメータとする関数で与えられても良いし、図8に示した様なテーブルとして与えられても良い。
制限器215について説明する。
制限器215は、偏差に応じて出力された暫定の直流電圧指令Vi*を下限電圧生成部214が出力した下限電圧指令Vω*で下限制限した後、直流電圧指令Vdc*を生成し減算器206に出力する。
直流電圧検出部である直流電圧検出器110により検出された実際の出力直流電圧Vdcを示す信号は減算器206に入力される。
減算器206は、直流電圧指令Vdc*から実際の出力直流電圧Vdcを減算することにより、電圧偏差を演算し、電圧偏差を示す信号を発生してVdc補償演算器207に出力する。Vdc補償演算器207は、実際の直流電圧Vdcが直流電圧指令Vdc*と実質的に一致し、かつ、安定になるための補償演算を実行することにより、補償演算後の電圧偏差を示す信号を乗算器208に出力する。
乗算器208は、目標電流波形形成器202からの目標電流波形に対して補償演算後の電圧偏差を乗算し、乗算結果である瞬時の電流指令値Iac*を形成して、減算器209に出力する。乗算器208の動作では、実際の直流電圧Vdcが直流電圧指令Vdc*よりも低いとき、目標電流波形の振幅を増大させる一方、実際の直流電圧Vdcが直流電圧指令Vdc*よりも高いとき、目標電流波形の振幅を減少させる。
減算器209は、瞬時の電流指令値Iac*から、電流検出器103により検出された実際の電流値Iacを減算することにより、減算結果である電流偏差を示す信号をIac補償演算器210に出力する。Iac補償演算器210は、交流電源1から入力される電流が電流指令値Iac*に安定、かつ、速やかに実質的に一致するように所定の補償演算を行って、補償演算後の電流偏差を示す信号をPWM変換器211およびチョッピング位相幅検出器212に出力する。
PWM変換器211は、入力される信号が示す補償演算後の電流偏差に対してPWM変調することにより、半導体スイッチ104をオンオフするためのチョッピング駆動信号Schを形成して、半導体スイッチ104に出力する。一方、チョッピング位相幅検出器212は、前述のように、Iac補償演算器210からPWM変換器211に出力される半導体スイッチ104に対するチョッピング駆動信号Schの原信号に基づいて、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、チョッピング動作位相幅θωonを検出して、そのチョッピング動作位相幅θωonを示す信号を減算器204に出力する。これにより、チョッピング動作位相幅の制御ループが構成される。
以上のように構成された半導体スイッチ104をチョッピング駆動制御するコンバータ制御部100においては、減算器204よりも右側のループ(204から205,215、206,207,208,209,210,212を介して204に戻るループをいう。)において、下限電圧生成部214により生成された下限電圧指令Vω*を下限として、チョッピング位相幅検出器212により検出されたチョッピング動作位相幅θωonが目標位相幅設定器203により設定された所望の位相幅θωon*に実質的に一致するように直流電圧Vdcが制御される。
なお、下限電圧指令Vω*による制限を受けている場合は、チョッピング動作位相幅θωonは所望の位相幅θωon*には到達せず、設定された下限電圧で安定する事となる。
チョッピング動作位相幅θωonは目標値に対して大きな値となるが、その場合は直流電圧Vdcが所望の位相幅θωon*に到達した時よりも高い事から電源高調波のレベルは低くなるため、電源高調波規制に対し問題はない。
さらに、図2の減算器209よりも右側のループ(209から210,211,104,103を介して209に戻るループをいう。)において、電流検出器103により検出された電流Iacが目標電流波形形成器202により形成された目標電流波形に基づいて発生された目標電流Iac*に実質的に一致するようにチョッピング駆動制御される。
図9は、実施の形態1におけるコンバータ制御部の第1の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図10は、実施の形態1におけるコンバータ制御部の第2の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図9で示す第1の動作例は、出力される直流電圧が比較的低く、半導体スイッチ104に対するチョッピング動作位相幅(例えば、最小の位相幅)θωonが所望の位相幅θωon*よりも小さくなっている場合である。このときには、AC電圧が直流電圧より高い位相期間が増加するので、交流電源1からリアクタ102とダイオードブリッジ105を経由して直流側へと流れ込む電流が増加する。このため、AC電流の波形が先鋭になり、AC電流の高調波成分が増加する。
一方、図10で示す第2の動作例は、出力される直流電圧が比較的高く、半導体スイッチ104に対するチョッピング動作位相幅(例えば、最大の位相幅)θωonが所望の位相幅θωon*よりも大きくなっている場合である。このときには、AC電圧が直流電圧より高い位相期間が第1の動作例に比較して減少するので、交流電源1からリアクタ102とダイオードブリッジ105を経由して直流側へと流れ込む電流も減少し、AC電流の高調波成分が減少する。しかし、図10の第2の動作例は、図9の第1の動作例での波形に比べて、半導体スイッチ104に対するチョッピングが行われている期間が増加しているため、回路の損失が増加してしまう。
ここで、交流電源1からのAC電圧にひずみが含まれていると、AC電圧の半周期の間にチョッピングがなされている区間が複数回数出現することがある。その場合には、チョッピング位相幅検出器212が、AC電圧の位相の0度又は180度に近いチョッピング位相幅を制御用チョッピング位相幅として選択して、当該チョッピング制御を行ってもよい。
また、チョッピング位相幅検出器212は、AC電圧の位相の0度又は180度の代わりに、AC電流又はAC電圧の極性を判定している基準位相に近いほうの位相幅を制御用チョッピング位相幅として選択して、当該チョッピング制御を行ってもよい。さらに、チョッピング位相幅検出器212は、前記複数個得られたチョッピング位相幅を加算して、加算結果の位相幅を制御用チョッピング位相幅として当該チョッピング制御を行ってもよい。
本発明に係る実施の形態1の構成において、モータ駆動装置0は、コンバータ制御部100と共に、交流電流検出部である電流検出器103と、直流電流検出部である電流検出器112と、直流電圧検出部である直流電圧検出器110と、電圧レベル比較器109と、インバータ制御部400とインバータ装置4を含むものである。
また、実施の形態1におけるコンバータ制御部100は、波形成形器113と、第1の制御部216、第2の制御部217、および第3の制御部218に機能的に分けられる。
第1の制御部216は、検出された交流電流Iacの波形が実質的に目標電流波形となるように半導体スイッチ104のチョッピング動作を制御するものであり、図2に示す実施の形態1の構成においては、乗算器208、減算器209、Iac補償演算器210、およびPWM変換器211により構成される。
第2の制御部217は、検出された直流電圧Vdcが実質的に所望の直流電圧指令Vdc*となるように目標電流波形の振幅を制御するものであり、実施の形態1の構成においては、減算器206、Vdc補償演算器207により構成される。
第3の制御部218は、直流電流指令Vdc*を生成する部分であり、モータ300の回転数指令ωと回転数電圧特性を用いて、モータ300を所望の回転数ωで駆動するのに必要な下限電圧指令Vω*を生成し、下限電圧指令Vω*を下限電圧として、所定の期間
中の交流電流ピークに紐付いた半導体スイッチ104がチョッピング動作状態であるチョッピング動作位相幅が、実質的に所定の位相幅となるように調整する直流電圧指令Vdc*を生成して出力するものであり、実施の形態1の構成においては、目標位相幅設定器203、減算器204、位相幅補償演算器205、下限制限器215、位相幅検出器212で構成された電圧指令決定部と、下限電圧生成部214により構成される。
なお、実施の形態1において、目標位相幅設定器203は電流検出器103により検出された実際の入力電流値Iacから求めた所定期間の最大電流値Iacpから予め設定された関係に従い所望のチョッピング動作位相幅θωonを求める構成であるが、他の構成により対応することも可能である。
例えば、目標位相幅設定器203においては、モータ300に負荷脈動がない場合は、瞬時電流Iac或いは、Iacを平均した電流を目標位相幅設定用電流としIacpの代わりに用いてもよい。
或いは、目標位相幅設定器203が、所定期間の最大電流値Iacpではなく、実際の電流Iacに基づいて計算される入力電力、若しくはDC電圧検出器110と電流検出器112とより計算される整流回路装置の最大出力電力を用いてもよい。
或いは、目標位相幅設定器203においては、予め設定されている回数において記憶した最大電流(瞬時値)を用いた平均値を目標位相幅設定用電流とし、Iacpの代わりに用いてもよい。
或いは、モータへの回転数指令により所望のチョッピング休止位相幅θωonが切り替わるように、外部より指示信号(図示しない)を与える方法でもよい。
或いは、特定の条件において高力率や高いDC電圧を望むなどの整流回路装置を含むシステム全体の要求から所望のチョッピング休止位相幅θωonが切り替わるように、外部より指示信号(図示しない)を与える方法でもよい。この方法の場合には、所望のチョッピング休止位相幅θωonを180度として全域スイッチングとしてもよい。
さらに、これらの方法を複合した方法でもよい。
実施の形態1におけるチョッピング位相幅検出器212においては、Iac補償演算器210からPWM変調器211に出力される半導体スイッチ104に対するチョッピング駆動信号Schの原信号に基づいて、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、極性が固定されている周期の間におけるチョッピング動作位相幅と電流検出器103から出力される実際の電流値Iacの最大値とを関連づけて記憶し、連続した複数の測定結果から、実際の電流値Iacが最大である時のチョッピング動作位相幅θωonを検出する構成で説明したが、本発明としては、例えば、以下に説明する図3、図4又は図5に示すような構成でも同様の作用効果を奏するものである。
図3に示した構成においては、チョッピング駆動信号Schが入力される波形成形器113を設けて、波形成形器113がチョッピング駆動信号Schをスイッチングが連続する部分とスイッチングが停止する部分の2値信号に成形して、その2値信号を位相幅検出器212に出力する構成である。位相幅検出器212においては、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、2値信号のスイッチングが駆動する部分に相当する部分からチョッピング動作位相幅を抽出し、これをチョッピング動作位相幅θωonとしている。
上記のように図3に示した構成においても、前述の図2に示した構成と同様の作用効果を有する。
さらに、図4に示した構成においては、チョッピング位相幅検出器212は、極性が固定されている周期の間におけるチョッピング動作位相幅と直流電圧検出器110から出力される直流電圧Vdcの最小値とを関連付けて記憶し、所定の時間内の連続した複数の測定結果から、実際の直流電圧Vdcが最小である時のチョッピング動作位相幅θωonを検出する。これは、電源高調波のレベルは入力電流に比例するため、この関係を直流電圧Vdcで置き換えると、負荷が最も大きくなる箇所ではそれだけ直流電圧Vdcの電圧低下が大きくなる事となる。
したがって、図4に示した構成においては、チョッピング動作位相幅を直流電圧Vdcの最小値と関連付けて記憶し、電源高調波レベルが最も大きくなる直流電圧レベルに着目し、チョッピング位相幅制御をする事により、電源高調波を目標レベル以下に制御することができる。
なお、連続した複数の測定結果から抽出するのは、モータ300が脈動を持つ特性の場合に、1回1回のチョッピング動作位相幅の測定値が異なるためである。
以上のように構成した場合、モータ300が脈動を持つ特性においても、図2に示した構成と同様の作用効果を有する。
或いは、図5に示した構成においては、チョッピング位相幅検出器212は、極性が固定されている周期の間におけるPWM変調器211の出力であるパルス数を計測し、計測したパルス数にチョッピング周期を乗算することにより、チョッピング動作位相幅を計算し、それを用いて電源半周期におけるチョッピング動作位相幅としてもよい。図5に示した構成においては、実際に半導体スイッチを駆動しているパルス数からチョッピング動作位相幅を制御することにより、電源高調波を目標レベル以下に制御することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明に係る実施の形態2のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部について説明する。
前述の実施の形態1のコンバータ制御部は、回転数ωから求めた下限電圧指令Vω*を下限電圧として、チョッピングを実施している位相幅θωonを検出し、その位相幅θωonを用いて、直流電圧指令Vdc*を調整しているが、本発明に係る実施の形態2のモータ駆動装置では、チョッピングが休止状態になっている位相幅(以下、「チョッピング休止位相幅」という。)θωoffを検出し、そのチョッピング休止位相幅θωoffを用いて直流電圧指令Vdc*を調整する事により、同様の作用効果を得るものである。
したがって、本発明に係る実施の形態2のモータ駆動装置及びコンバータ制御部の構成としては、前述の実施の形態1において説明した図1および図2の構成と実質的に同じ構成を有するものであり、実施の形態2においては実施の形態1における符号と同じ符号を用いて説明する。以下図2を用いた説明において、図2中のθωon*は、θωoff*に、θωonは、θωoffに読み換える事とする。
ただし、目標位相幅設定器203から出力される所望のチョッピング位相幅θωoff*と、目標位相幅設定器203に入力される電流検出器103により検出された実際の電流値Iacから求めた所定期間の最大電流値Iacpとの関係は実施の形態1とは異なる。
目標位相幅設定器203から出力される所望のチョッピング休止位相幅θωoff*と、目標位相幅設定器203に入力される電流検出器103により検出された実際の電流値Iacから求めた所定期間の最大電流値Iacpとの関係の一例を図7に示す。
図7に示す特性は、所定期間の最大電流値Iacpの増加に従い、所望のチョッピング休止位相幅θωoffが減少する特性である。このような特性とすることにより、低入力では高調波電流自体の大きさが小さいため損失低減を重視し値を拡大する一方で、高入力では高調波電流の低減を重視した特性を持たせることができる。その結果、損失低減と高調波電流の抑制を狙った特性を持たせることができる。
なお、図7に示す特性では、前後を平坦にし、その間を滑らかな直線で繋いだものとしているが、チョッピング休止位相幅θωoffと所定期間の最大電流値Iacpとの関係を示す特性はこの形に限定されるものではない。
また、図7の特性図22おいて、横軸を所定期間の最大電流値Iacpとして説明しているが、インバータ装置4に流れる電流を検出する電流検出器112の出力とDC電圧検出器110の出力から得られる整流回路装置の所定の期間の最大出力電力を用いても同様の結果が得られる。
図11は、本発明に係る実施の形態2のコンバータ制御部の第3の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
また、図12は、本発明に係る実施の形態2のコンバータ制御部の第4の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図11の第3の動作例では、出力される直流電圧が比較的低く、半導体スイッチ104がチョッピング動作されないチョッピング休止位相幅(例えば、最大の位相幅)θωoffが大きくなっている場合である。一方、図12の第4の動作例では、出力される直流電圧が第3の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104がチョッピングされないチョッピング休止位相幅(例えば、最小の位相幅)θωoffが第3の動作例に比較して小さくなっている場合である。チョッピング休止位相幅θωoffはチョッピング動作位相幅θωonと相補的であるため、同様の作用効果を得ることができる。
また、交流電源1からのAC電圧にひずみが含まれていると、AC電圧の半周期の間にチョッピングがなされている区間が複数回数出現することがある。このような場合には、チョッピング位相幅検出器212は、AC電圧の位相の90度に近いオフ期間のチョッピング休止位相幅θωoffを制御用チョッピング位相幅として選択して当該チョッピング制御を行ってもよい。
さらに、チョッピング位相幅検出器212は、上記複数個得られた チョッピング休止位相幅を加算し、加算結果の位相幅を制御用チョッピング位相幅として当該チョッピング制御を行ってもよい。
なお、図11および図12の特性図では、AC電圧の半周期分のみの波形を示しているが、図9および図10や従来技術などからも明らかなように、残りの半周期も絶対値(瞬時絶対値)としては同様の波形になるので省略する。
なお、実施の形態2においては、目標位相幅設定器203が電流検出器103により検出された実際の電流値Iacから求めた所定期間の最大電流値Iacpに対し予め設定さ
れた関係に従い、所望のチョッピング休止位相幅θωoffを求める構成であるが、他の構成により対応することも可能である。例えば、
例えば、目標位相幅設定器203においては、モータ300に負荷脈動がない場合は、瞬時電流Iac或いは、Iacを平均した電流を目標位相幅設定用電流としIacpの代わりに用いてもよい。
或いは、目標位相幅設定器203が、記憶した最大電流を用いた平均値を位相幅設定用電流として、Iacpの代わりに用いてもよい。
或いは、目標位相幅設定器203が、所定期間の最大電流値Iacpではなく、実際の電流Iacに基づいて計算される最大入力電力、若しくは直流電圧検出器110と電流検出器112とより計算されるインバータ装置4への最大入力電力を用いてもよい。
また、モータへの回転数指令により所望のチョッピング休止位相幅θωoffが切り替わるように外部より指示信号(図示しない)を与える方法でもよい。
或いは、特定の条件において高力率や高い直流電圧を望むなどのコンバータ装置を含むシステム全体の要求から所望のチョッピング休止位相幅θωoffが切り替わるように、外部より指示信号(図示しない)を与える方法でもよい。
この場合は、所望のチョッピング休止位相幅θωoffを0度として全域スイッチングとしてもよい。更に、これらの方法を複合した方法でもよい。
実施の形態2におけるチョッピング位相幅検出器212においては、Iac補償演算器210からPWM変調器211に出力される半導体スイッチ104に対するチョッピング駆動信号Schの原信号に基づいて、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、チョッピング休止位相幅θωoffを検出する構成で説明したが、本発明としては、例えば、前述の実施の形態1において説明した図3、図4、又は図5に示すような構成でも同様の作用効果を奏するものである。
図3に示した構成においては、チョッピング駆動信号Schが入力される波形成形器113を設けて、波形成形器113がチョッピング駆動信号Schをスイッチングが連続する部分とスイッチングが停止する部分の2値信号に成形して、その2値信号を位相幅検出器212に出力する構成である。
位相幅検出器212においては、AC電圧位相検出器201からの信号が示すAC電圧の位相を基準として、2値信号のスイッチングが休止する部分に相当する部分からチョッピング休止位相幅を抽出し、これをチョッピング動作位相幅θωoffとしている。
上記のように図3に示した構成においても、前述の図2に示した構成と同様の作用効果を有する。
さらに、図4に示した構成においては、チョッピング位相幅検出器212は、極性が固定されている周期の間におけるチョッピング休止位相幅と直流電圧検出器110から出力される直流電圧Vdcの最小値とを関連付けて記憶し、所定の時間内の連続した複数の測定結果から、実際の直流電圧Vdcが最小である時のチョッピング休止幅θωoffを検出する。これは、電源高調波のレベルは入力電流に比例するため、この関係を直流電圧Vdcで置き換えると、負荷が最も大きくなる箇所ではそれだけ直流電圧Vdcの電圧低下が大きくなる事となる。
したがって、図4に示した構成においては、チョッピング動作位相幅を直流電圧Vdcの最小値と関連付けて記憶し、電源高調波レベルが最も大きくなる直流電圧レベルに着目し、チョッピング位相幅制御をする事により、電源高調波を目標レベル以下に制御することができる。
なお、連続した複数の測定結果から抽出するのは、モータ300が脈動を持つ特性の場合に、1回1回のチョッピング動作位相幅の測定値が異なるためである。
以上のように構成した場合、モータ300が脈動を持つ特性においても、図2に示した構成と同様の作用効果を有する。
或いは、図5に示した構成においては、チョッピング位相幅検出器212は、極性が固定されている周期の間におけるPWM変調器211の出力であるパルス数を計測し、計測したパルス数にチョッピング周期を乗算することにより、チョッピング休止位相幅を計算し、それを用いて電源半周期におけるチョッピング休止位相幅としてもよい。図5に示した構成においては、実際に半導体スイッチを駆動しているパルス数からチョッピング休止位相幅を制御することにより、電源高調波を目標レベル以下に制御することができる。
以上のように構成した場合、モータ300が脈動を持つ特性においても、図2に示した構成と同様の作用効果を有する。
(実施の形態3)
以下、本発明に係る実施の形態3のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部について説明する。
本発明に係る実施の形態3のコンバータ制御部は、前述の実施の形態1のモータ駆動装置おけるコンバータ制御部100の制御方法を簡素化したものである。
実施の形態3のコンバータ制御部100におけるチョッピング位相幅検出器212は、0度又は180度からチョッピングが休止状態になるまでのAC電圧の極性(符号)が変化せず固定されている区間(正の区間又は負の区間)での前半の位相幅θω1on(チョッピング動作位相幅)を検出して、その位相幅θω1onを用いて当該チョッピング制御を行う。
したがって、本発明に係る実施の形態3のモータ駆動装置の構成としては、前述の実施の形態1において説明した図1および図2の構成と実質的に同じ構成を有するものであり、実施の形態3においては実施の形態1における符号と同じ符号を用いて説明する。
図13は、本発明に係る実施の形態3のコンバータ制御部の第5の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
また、図12は、本発明に係る実施の形態3のコンバータ制御部の第6の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図13の第5の動作例では、出力される直流電圧が比較的低く、半導体スイッチ104がチョッピングされる位相幅θω1onが比較的小さくなっている場合である。一方、図
14の第6の動作例では、出力される直流電圧が第5の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104がチョッピングされる位相幅θ1ωonが第5の動作例に比較して大きくなっている場合である。
実施の形態3のモータ制御装置では、図13および図14に示した動作例におけるAC電圧の半周期の区間において、前半のチョッピングがなされている位相幅θ1ωonは、前述の図9および図10に示した傾向と同様の傾向があるため、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態4)
以下、本発明に係る実施の形態4のモータ制御装置におけるコンバータ制御部について説明する。
本発明に係る実施の形態4のコンバータ制御部は、前述の実施の形態3のモータ駆動装置と同様に、実施の形態1のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部100の制御方法を簡素化したものである。実施の形態4のモータ駆動装置におけるチョッピング位相幅検出器212は、0度又は180度からチョッピングが休止状態になるまでのAC電圧の極性(符号)が変化せず固定されている区間(正の区間又は負の区間)での後半の位相幅θ2ωonを検出して当該チョッピング制御を行う。
したがって、本発明に係る実施の形態4のモータ駆動装置の構成としては、前述の実施の形態1において説明した図1および図2の構成と実質的に同じ構成を有するものであり、実施の形態4においては実施の形態1における符号と同じ符号を用いて説明する。
図15は、本発明に係る実施の形態4のコンバータ制御部の第7の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
また、図16は、本発明に係る実施の形態4のコンバータ制御部の第8の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図15の第7の動作例では、出力される直流電圧が比較的低く、半導体スイッチ104がチョッピングされる位相幅θ2ωon(チョッピング動作位相幅)が比較的小さくなっている場合である。一方、図16の第8の動作例では、出力される直流電圧が第7の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104がチョッピングされる位相幅θ2ωonが第7の動作例に比較して大きくなっている場合である。実施の形態4のモータ駆動装置では、図15および図16に示した動作例における交流電源1の半周期の区間において、後半のチョッピングがなされている位相幅θ2ωonは、前述の図9および図10に示した傾向と同様の傾向があるため、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態5)
以下、本発明に係る実施の形態5のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部について説明する。
本発明に係る実施の形態5のコンバータ制御部は、前述の実施の形態3のモータ駆動装置におけるチョッピング位相幅θ1ωonと、実施の形態4のモータ制御装置におけるチョッピング位相幅θ2ωonとの合計の位相幅(θ1ω0n+θ2ωon)をチョッピン
グ位相幅検出器212により検出して、当該合計の位相幅(θ1ωon+θ2ωon)が所望の位相幅になるように直流電圧を制御する構成である。
図17は、本発明に係る実施の形態5のコンバータ制御部の第9の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。 また、図18は、本発明に係る実施の形態5のコンバータ制御部の第10の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図17の第9の動作例では、出力される直流電圧が比較的低く、半導体スイッチ104がチョッピングされる前半のチョッピング位相幅θ1ωon、および後半のチョッピング位相幅θ2ωonが比較的小さくなっている場合である。
一方、図18の第10の動作例では、出力される直流電圧が第9の動作例に比較して高く、半導体スイッチ104がチョッピングされる前半のチョッピング位相幅θ1ωon、および後半のチョッピング位相幅θ2ωonが第9の動作例に比較して大きくなっている場合である。
実施の形態5のモータ駆動装置では、図17および図18に示した動作例における交流電源1の半周期の区間において、前半のチョッピング位相幅θ1ωon、および後半のチョッピング位相幅θ2ωonは、前述の図9および図10に示した傾向と同様の傾向があるため、実施の形態1から実施の形態4と同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態6)
以下、本発明に係る実施の形態6のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部について説明する。
図19は、本発明に係る実施の形態6のコンバータ制御部の第11の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。また、図20は、本発明に係る実施の形態6のコンバータ制御部の第12の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
実施の形態6のコンバータ制御部は、目標電流波形が正弦波以外の波形であって、例えば三角波とすることにより、さらに回路損失を低減することができることを特徴としている。特に、負荷が軽いときには、波形歪みが増加しても、高調波電流そのものは少ないため、さらに回路損失を低減することが可能である。
図19の第11の動作例は、出力される直流電圧が比較的低く、半導体スイッチ104がチョッピングされる位相幅θωonが所望の位相幅θωon*よりも小さくなっている場合である。このときにも、AC電圧が直流電圧より高い位相期間が増加するため、交流電源1からリアクタ102とダイオードブリッジ105を経由して直流側へと流れ込む電流が増加する。このため、AC電流の波形が先鋭になり、AC電流の高調波成分が増加する。
一方、図20の第12の動作例は、出力される直流電圧が第11の動作例に比較して高
く、半導体スイッチ104がチョッピングされる位相幅θωonが所望の位相幅θωon*よりも大きくなっている場合である。このときには、AC電圧が直流電圧より高い位相期間が減少するため、交流電源1からリアクタ102とダイオードブリッジ105を経由して直流側へと流れ込むAC電流が減少し、AC電流の高調波成分が減少する。しかし、図20の第12の動作例では、図9および図10と同様に、図19の第11の動作例の波形に比べて、半導体スイッチ104のチョッピングが行われている期間(位 相幅)が増加しているため、回路の損失が増加してしまう。
実施の形態6においては、好ましくは、図19および図20に示すように、目標電流波形の瞬時の絶対値は、時間経過とともに、AC電圧の0度(開始点)から180度(終了点)までの期間の前半の期間において、一定の傾きで単調増加した後、所定の中間点(90度よりも小さい角度)から一定の傾きで単調減少し、その後終了点までゼロになる区間を有する三角波形を用いる。
なお、図19および図20において、AC電圧の半周期で1つのチョッピング実施位相幅θωonが図示されているため、AC電圧の1周期で2つのチョッピング休止位相幅が図示されていることになる。したがって、前述のように、2つのチョッピング休止位相幅のいずれかの位相幅、若しくは合計の位相幅に基づいてチョッピング制御してもよい。
或いは、前述の実施の形態2で説明したように、AC電圧の半周期からチョッピング位相幅θωonを減算してチョッピング休止位相幅θωoffを求める。或いは、直接にチョッピング休止位相幅θωoffを求めて、この求めたチョッピング休止位相幅θωoffに基づいて制御を行ってもよい。
(実施の形態6の変形例)
以下、本発明に係る実施の形態6のモータ駆動回路の変形例について図21〜図24を参照して説明する。
本発明に係る実施の形態6の変形例においては、図19および図20に示した目標電流波形とは異なる別の形状を有するものである。
図21は、本発明に係る実施の形態6のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部の第13の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
また、図22は、本発明に係る実施の形態6のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部の第13の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c) 実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
さらに、図23は、本発明に係る実施の形態6のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部の第14の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
また、図24は、本発明に係る実施の形態6のモータ駆動装置におけるコンバータ制御部の第15の動作例に係る制御動作を説明するための図であって、(a)AC電圧と整流後の直流電圧との関係と、(b)制御すべき目標電流波形と、(c)実際に制御した後のAC電流とを示す信号波形図である。
図21の第13の動作例における目標電流波形は、図19の第11の動作例における目標電流波形と比較して、時間経過とともに単調減少する区間の代わりに、後半の90度を超える所定の位相(例えば、110度)の中間点Tmで瞬時にゼロにする区間(ゼロで一定の区間)を有するように構成した三角波形である。
また、図22の第14の動作例における目標電流波形は、図21の第13の動作例における目標電流波形と比較して、時間経過とともに単調増加する区間を正弦波状に増加させており、後半の90度を超える所定の位相(例えば、110度)の中間点Tmで瞬時にゼロになる区間(ゼロで一定の区間)を有する波形である。
さらに、図23の第15の動作例における目標電流波形は、図22の第14の動作例における目標電流波形において制約条件を設けて、前半部の正弦波波形において90度より手前の中間点Tmの位相(例えば、70度)で瞬時にゼロにした波形である。
また、図24の第15の動作例における目標電流波形は、図23の第15の動作例における目標電流波形において、時間経過とともに、0度から第1の中間点Tm1までの所定期間ゼロ(ゼロで一定の区間)とし、その後、第2の中間点Tm2まで単調増加させるように構成した波形である。
図23および図24の動作例では、90度よりも手前で目標電流をゼロにしているが、ゼロにする位相よりも手前で半導体スイッチ104のチョッピング動作から、チョッピングが休止になる期間になるような負荷で使用すればよい。しかも、本動作例は、直流電圧がAC電圧の最高瞬時電圧よりも低いため、90度近傍では、交流電源1からリアクタ102とダイオードブリッジ105を経由して電流が流れ込む。このため、目標電流がゼロになってもAC電流がしばらくは流れ続け、高調波成分の少ない電流が高効率で実現できる。
(実施の形態7)
以下、本発明に係る実施の形態7のモータ駆動装置について説明する。
図25は、本発明に係る実施の形態7のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。実施の形態7のモータ駆動装置は、交流電源1からのAC電圧を、リアクタ602を介して、半導体スイッチ604a、604bおよびダイオード605a、605b、605c、605dで構成されたブリッジ回路で整流して、平滑コンデンサ106を介してインバータ装置4を駆動する構成を有する。
実施の形態7のモータ駆動装置におけるチョッピング制御方法は、前述の図1に示した実施の形態1のモータ駆動装置と同様であり、2つの半導体スイッチ604a、604bに対してチョッピング駆動信号Schを用いて同時に駆動する。
実施の形態7のモータ駆動装置におけるチョッピング駆動信号Schについては、前述の実施の形態1において図2〜図5を用いて説明した構成と同様の構成により形成することができる。また、実施の形態7のモータ駆動装置においても、前述の各実施の形態において説明したチョッピング制御を行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
(実施の形態8)
以下、本発明に係る実施の形態8のモータ駆動装置について説明する。
図26は、本発明に係る実施の形態8のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。実施の形態8に係るモータ駆動装置は、交流電源1からのAC電圧を、リアクタ702を介して、半導体スイッチ704a、704bおよびダイオード705a、705b、705c
、705dで構成されたブリッジ回路で整流して、平滑コンデンサ106を介してインバータ装置4を駆動する構成を有する。
実施の形態8のモータ駆動装置におけるチョッピング制御方法は、交流電源1からのAC電圧の極性に応じて、2つのチョッピング駆動信号Sch1,Sch2を用いて、いずれか一方の半導体スイッチ704a又は704bのみをチョッピング動作させるものである。
例えば、AC電圧の極性がリアクタ702に接続されている側が高い期間であれば、チョッピング駆動信号Sch2を用いて半導体スイッチ704bをチョッピング動作させ、AC電圧の極性がリアクタ702に接続されている側が低い期間であれば、チョッピング駆動信号Sch1を用いて半導体スイッチ704aをチョッピング動作させる。
なお、実施の形態8のモータ駆動装置においては、半導体スイッチ704aと704bを同時にオンさせると、インバータ装置4への直流出力電圧を短絡することになるため、AC電圧の極性が反転する近傍では、半導体スイッチ704aと704bのどちらもオン状態とならないように設定する必要がある場合がある。
このように設定した場合には、前述の図9および図10においては、チョッピング動作を休止状態に変化する位相が、0度および180度近傍でも発生し得ることになる。ただし、この場合は、直流出力電圧の短絡防止として、意図的にチョッピング動作を休止しているため、本発明の実施の形態8のモータ駆動装置においては、0度および180度近傍ではチョッピング動作を休止状態に変化した位相としての取り扱いをしないことで、容易に実現することができる。
実施の形態8のモータ駆動装置におけるチョッピング駆動信号Sch1,Sch2については、前述の実施の形態1において図2〜図5を用いて説明した構成と同様の構成により形成することができる。また、実施の形態8のモータ駆動装置においても、前述の各実施の形態において説明したチョッピング制御をそれぞれの半導体スイッチに対して行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
(実施の形態9)
以下、本発明に係る実施の形態9のモータ駆動装置について説明する。
図27は、本発明に係る実施の形態9のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。実施の形態9のモータ駆動装置は、交流電源1の両出力端子を整流ブリッジ105とリアクタ802を介して半導体スイッチ104がオン状態のとき、リアクタ802に電流を充電し、半導体スイッチ104がオフ状態になったときに、ダイオード304により平滑用コンデンサ106とインバータ装置4を駆動する構成である。
実施の形態9のモータ駆動装置におけるチョッピング駆動信号Schについては、前述の実施の形態1において図2〜図5を用いて説明した構成と同様の構成により成形することができる。
また、実施の形態9のモータ駆動装置においても、前述の各実施の形態において説明したチョッピング制御をそれぞれの半導体スイッチに対して行うことにより、同様の作用効果を奏することができる。
以下、本発明に係る実施の形態1から実施の形態9のモータ駆動装置において用いる電圧レベル比較器109の二値化処理について、図28および図29を参照して説明する。
図28は、本発明に係る実施の形態1〜9のモータ駆動装置における電圧レベル比較器109の二値化処理の第1の動作例を説明するための波形図である。図28の波形図22おいては、(a)AC電圧としきい値電圧Vthとの関係と、(b)電圧レベル比較器109からの2値信号とを示している。
また、図29は、本発明に係る実施の形態1〜9のモータ駆動装置における電圧レベル比較器109の2値化処理の第2の動作例を説明するための波形図である。図29の波形図22おいては、(a)AC電圧としきい値電圧Vthとの関係と、(b)電圧レベル比較器109からの2値信号とを示している。
図28および図29は、AC電圧が一定のレベル以上か否かの情報から電圧位相を検出する方法を示している。この情報は、AC電圧の瞬時電圧がしきい値を超えているか否かを2値信号として得るものである。すなわち、電圧レベル比較器109は、AC電圧をしきい値電圧Vthと比較し、AC電圧がしきい値電圧Vth以上のときハイレベル信号を出力する一方、AC電圧がしきい値電圧Vth未満のときローレベル信号を出力する。
ここで、しきい値電圧Vthが変動しても2値信号の周期は電源周波数と同一であり、2値信号のハイレベル側又はローレベル側の中点を求めれば、AC電圧位相の90度又は270度の時間を知ることができる。また、AC電圧位相の90度と270度の中点は180度および0度の位相になる。このようにして得られた情報を、PLLなどを用いて逓倍すれば時事刻々変化する位相を正確に知ることができる。
例えば、360逓倍すれば、1つのパルスが1度相当になり、このパルスを計数すれば、単位が度の位相情報を得ることができる。そして、得られた位相情報で、その時々の目標電流波形を呼び出せばよい。その他のレベル比較から得られた2値情報を用いて位相を検出する方法については、例えば、本発明者が開示した特許文献2にも提案されており、特に限定されるものではない。
上記のように、本発明に係る実施の形態1〜9のモータ駆動装置においては、所望の回転数におけるモータの駆動に必要となる直流電圧は満足した上で、直流電圧の検出精度にばらつきや誤差があっても、チョッピング動作を行っている位相幅が、所望の位相幅になるように直流電圧を相対的に調整している。このため、本発明に係る実施の形態1〜9のモータ駆動装置においては、同様の電流波形となり、常に回路損失が少なく、かつ高調波電流が少ない整流動作を実現することができる。
なお、本発明に係る各実施の形態において、実質的にというのは、おおよそ、或いは平均的にという意味で用いている。
本発明のモータ駆動装置においては、上記各実施の形態により明らかなように、直流電圧の検出精度のばらつきに対し、直流電圧が相対的に適正な値に調整されて、入力電圧波形と同様の電流波形になり、かつ負荷の状況、或いは外部からの指令に応じて所望の位相幅を変更することや、負荷の変動状況によらず所望の位相幅と比較するチョッピング動作位相幅、若しくはチョッピング休止位相幅を的確に計測することができる一方で、モータを要求回転数で回すための直流電圧は確保される事から、モータの回転数に影響を与えることなく、常に路損失が少なく、かつ高調波電流が少ない整流動作を実現することができる。
なお、本発明における全ての実施の形態に共通することとして、チョッピングが休止状態から実施状態に変化する際に、回路の揺らぎやノイズにより、一瞬だけ休止状態に再度
変化する場合がある。このような場合については、本発明でのチョッピングが休止状態に変化した位相としての取り扱いをしないことにより、本発明のモータ駆動装置の構成を容易に実現することができる。
さらに、本発明に係る実施の形態においては、AC電圧位相検出器201においてAC電圧の位相を検出し、その検出された位相を基準としてチョッピング位相幅を検出する構成で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。
例えば、本発明における構成としては、交流電源の周波数が固定されている場合には、交流電源のゼロクロスなどの情報に基づいて、チョッピング位相幅を検出してもよい。
本発明をある程度の詳細さをもって各実施の形態において説明したが、これらの実施の形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。