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JP2019047649A - 駆動装置及びロボット - Google Patents

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JP2019047649A
JP2019047649A JP2017169426A JP2017169426A JP2019047649A JP 2019047649 A JP2019047649 A JP 2019047649A JP 2017169426 A JP2017169426 A JP 2017169426A JP 2017169426 A JP2017169426 A JP 2017169426A JP 2019047649 A JP2019047649 A JP 2019047649A
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森 敬夫
Takao Mori
敬夫 森
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Abstract

【課題】大きな把持力を得ることができると共に把持部の高速駆動と高精度な駆動が可能な小型軽量の駆動装置を提供する。【解決手段】駆動装置1は、振動型アクチュエータ2と、振動型アクチュエータ2駆動により回転するモータ軸部3aと、モータ軸部3aの回転駆動力を外部に出力する出力軸部3bと、モータ軸部3aの回転駆動力を出力軸部3bへ伝達する第一動力伝達系および第二動力伝達系と、を有し、モータ軸部3aの回転方向と振動型アクチュエータ2で発生するトルクに応じてモータ軸部3aの回転駆動力が出力軸部3bへ伝達される経路が第一動力伝達系と第二動力伝達系とで切り替わる。【選択図】図1

Description

本発明は、産業用ロボット等を構成するハンド装置の駆動装置と、駆動装置を備えるロボットに関する。
産業用ロボット等のエンドエフェクタの1つとして、複数の指部で部品等の把持対象物を把持するハンド装置が用いられている。ここで、ハンド装置には、2指又は3指がスライドして把持対象物を挟み込むようにして把持する比較的単純な動きをするものもあれば、関節のある指で把持対象物を包み込むように把持するものまで、様々な構造のものが知られている。近年では、ハンド装置の多機能化が進んでおり、例えば、柔らかい把持対象物や複雑な形状の把持対象物を確実に把持することができるものが登場している。また、ハンド装置において把持対象物に接触する部位を交換することなく、大きさや重さの異なる把持対象物を器用に把持することができるものも登場している。
このようなハンド装置の多機能化に伴い、ハンド装置の指関節や手首関節には、従来よりも多数の駆動装置を搭載するものが増えている。しかしながら、駆動装置が増えてハンド装置の質量が増大すると、ハンド装置を装着した産業用ロボットの動作性能が低下してしまう。そこで、ハンド装置を駆動する駆動装置については、小型軽量でありながら、大きいトルクを発生することが可能なものが求められている。
その一例として、特許文献1は、モータと複数の小型の波動歯車減速機を組み合わせることにより駆動系の高トルク化と小型化を実現した指関節機構を提案している。具体的には、特許文献1に記載された指関節機構では、2台の小型の波動歯車減速機を用いることで、型番の大きな1台の減速機を用いる場合に比べて、設置スペースの増加割合に対するトルク容量の増加割合を高めている。また、特許文献1には、減速機として構成部品の数が少ない波動歯車減速機を用いることにより、他の形式の減速機を用いる場合よりも小型化が容易になることが記載されている。
特許第4737695号公報
ハンド装置には、大きな把持力が求められる一方で、工程時間短縮のために動作速度を上げることが望まれている。つまり、低速高トルク駆動と高速低トルク駆動との切り替えが可能な機構が求められている。しかし、上記特許文献1に記載された指関節機構は、低速高トルク駆動に適しているが、高速低トルク駆動には適していない。
低速高トルク駆動と高速低トルク駆動との切り替えが可能な構成として、減速比が比較的小さな新しいギア列を並列に設け、ギア列を切り替え可能な構成が考えられる。しかし、このような構成では、駆動停止時の保持力を得るためのブレーキ装置が必要になり、また、サイズの大きな波動歯車減速機を避けるように新しいギア列を配置する必要がある等の新たな問題が生じてしまい、ハンド装置全体の小型化は容易でない。
また、ハンド装置は、把持部が高い精度で把持対象物に接触した後に把持対象物を把持する性能を備えている必要がある。例えば、リング状の部品を外周側から中心に向かって3指の把持部で把持する場合、各把持部がリング状部品に接触する瞬間に時間のずれが生じると、リング状部品がスライドし又は傾いてしまい、重心位置がずれた状態で把持されてしまうことがある。この場合、後工程の組立て作業で位置合わせができずにエラーが生じ、生産性が低下するおそれがある。そして、上記特許文献1に記載されているような減速機を介した動力伝達系では、把持部の把持対象物への接触が開始された時点での位置精度がバックラッシの発生によって低下しやすいという問題がある。
更に、減速比の大きな減速機を用いた把持機構では、慣性モーメントが大きいため、把持対象物に対する把持部の接触が開始した時点での把持力に慣性力による誤差が生じやすく、よって、把持力の管理が難しくなるという問題がある。また、把持部を駆動するモータのトルク制御における誤差が減速比の分だけ増幅されてしまうという問題もある。
本発明は、大きな把持力を得ることができると共に把持部の高速駆動と高精度な駆動が可能な小型軽量の駆動装置を提供することを目的とする。
本発明に係る駆動装置は、振動型アクチュエータと、前記振動型アクチュエータの駆動により回転するモータ軸部と、前記モータ軸部の回転駆動力を外部に出力する出力軸部と、前記モータ軸部の回転駆動力を前記出力軸部へ伝達する第一動力伝達系および第二動力伝達系と、を有し、前記モータ軸部の回転方向と前記振動型アクチュエータで発生するトルクに応じて前記モータ軸部の回転駆動力が前記出力軸部へ伝達される経路が前記第一動力伝達系と前記第二動力伝達系とで切り替わることを特徴とする。
本発明によれば、大きな把持力を得ることができると共に把持部の高速駆動と高精度な駆動が可能な小型軽量の駆動装置を実現することができる。
本発明の実施形態に係る駆動装置の概略構成を示す斜視図である。 図1の駆動装置の平面図である。 図1の駆動装置の把持部の動作パターンを説明する図である。 図1の駆動装置を備える指ユニットの概略構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る駆動装置1の概略構成を示す斜視図である。図2は、駆動装置1の平面図である。駆動装置1は、振動型アクチュエータ2、モータ軸部3a、出力軸部3b、駆動軸部4a、従動軸部4b、トルクリミッタ5、噛み合いクラッチ6、一方向クラッチ7、第一ギア8及び第二ギア9を備える。
モータ軸部3a及び出力軸部3bは、トルクリミッタ5を介して同軸に配置されている。駆動軸部4a及び従動軸部4bは同軸に配置されており、モータ軸部3a及び出力軸部3bと駆動軸部4a及び従動軸部4bは、実質的に平行となるように配置されている。モータ軸部3aは、振動型アクチュエータ2を貫通し、振動型アクチュエータ2を駆動することによって回転する。出力軸部3bは、モータ軸部3aの回転を外部に出力する。
振動型アクチュエータ2は、振動体に高周波振動を励起することにより振動体に接触する被駆動体を摩擦駆動することで被駆動体と振動体とを相対的に回転させ、発生させた回転駆動力をモータ軸部3aを通して外部に取り出す回転式モータの1種である。一般的に、振動型アクチュエータ2は、電磁モータに比べて、低速域でのトルクが大きく、また、高トルク密度である(単位体積あたりのトルクが大きい)という特徴を有する。本実施形態では、振動型アクチュエータ2として、例えば、外径がφ15、軸方向長さが20mmの円柱状の形状を有し、0.1N・m以上のトルクを出すことが可能なものが好適に用いられる。なお、同程度の大きさのブラシレスDCモータのトルクは0.005N・m程度であるから、トルク密度の観点から、振動型アクチュエータ2を用いた構成には、ブラシレスDCモータを用いた構成よりも優位性がある。
トルクリミッタ5は、バネ力を付与して得られる機械的な摩擦によって駆動力を伝達し、トルクが所定の大きさ以上になると摩擦滑りにより駆動力を遮断する。なお、トルクリミッタ5は、静摩擦力でグリップしているトルクレンジでは、滑ることなく回転が伝達されると考えても支障はなく、モータ軸部3aの回転はダイレクトに出力軸部3bへ伝達される。
振動型アクチュエータ2の回転駆動力の出力経路には、第一動力伝達系と第二動力伝達系の2つの経路がある。第一動力伝達系は、モータ軸部3aからトルクリミッタ5を介して出力軸部3bからダイレクトに出力される経路である。第二動力伝達系は、モータ軸部3a、第一ギア8、駆動軸部4a、噛み合いクラッチ6、従動軸部4b、一方向クラッチ7、第二ギア9及び出力軸部3bを通じて出力される経路である。出力軸部3bは、第一動力伝達系と第二動力伝達系に共通する部位であり、出力軸部3bにハンド装置の把持部(不図示)が取り付けられる。
第一ギア8は、モータ軸部3aに取り付けられた第一小ギア部8aと、駆動軸部4aに取り付けられた第一大ギア部8bを有する。第二ギア9は、出力軸部3bに取り付けられた第二大ギア部9aと、従動軸部4bに配置された一方向クラッチ7に取り付けられた第二小ギア部9bを有する。第一小ギア部8aと第一大ギア部8bとが噛み合い、且つ、第二小ギア部9bと第二大ギア部9aとが噛み合っており、第一ギア8と第二ギア9とを介して第一動力伝達系と第二動力伝達系との間での駆動力の伝達が可能となっている。
噛み合いクラッチ6は、駆動軸部4aと従動軸部4bとを機械的な噛み合いによって連結するクラッチである。本実施形態では図1に示すように、円筒端面の鋸歯状の凹凸がかみ合う移動部材6aと固定部材6bとが噛み合うジョークラッチを用いている。噛み合いクラッチ6では、固定部材6bが停止又は実質的に停止しているときに駆動軸部4aが図1中の矢印CCW方向(反時計回り)に回転すると、移動部材6aが固定部材6b側へスライドし、移動部材6aと固定部材6bとが係合する。駆動軸部4aが図1中の矢印CW方向(時計回り)に回転すると、移動部材6aは第一大ギア部8b側へスライドして固定部材6bとの係合が解除された状態となる。
一方向クラッチ7は、同軸に配置される内輪と外輪の間で一方向の駆動力を伝達し、内輪と外輪とが同じ方向に回転している場合であっても、それらの角速度差に応じて、連結と解放とが切り替わる。一方向クラッチ7の内輪は従動軸部4bと一体となっており、且つ、一方向クラッチ7の外輪は第二小ギア部9bとが一体となっている。一方向クラッチ7の連結と解放は、内輪(従動軸部4b)と外輪(第二小ギア部9b)との角速度差の大きさと正負に応じて定まる。
次に、駆動装置1による把持部の動作パターンを説明する。図3は、把持部の動作パターンごとに各部の動作をまとめた図である。動作パターンAの「閉」は、把持部が把持対象物を把持するために把持対象物と接触するまで閉じる動作を指す。動作パターンBの「把持」は、把持部を閉じる動作パターンAが終了し、把持対象物を把持するトルクを高めて把持対象物を把持した状態を保持する動作を指す。動作パターンCの「開」は、把持部が把持した把持対象物を離すために開く動作を指す。なお、図3中の「CW」及び「CCW」はそれぞれ、図1中に示す矢印CW及び矢印CCWと対応している。つまり、図1において振動型アクチュエータ2からトルクリミッタ5を見たときの時計回りの回転方向がCWであり、反時計回りの回転方向がCCWである。
把持部の動作パターンA〜Cは、トルクリミッタ5、噛み合いクラッチ6及び一方向クラッチ7のそれぞれでの上述した連結/解放の状態の組み合わせによって実現される。つまり、摩擦力の大きさに応じてトルクリミッタ5の連結/解放が、角速度差の大きさと正負に応じて一方向クラッチの連結/解放が、回転方向に応じて噛み合いクラッチの連結/解放がそれぞれ切り替わることで、動作パターンA〜Cの実現が可能となっている。
先ず、動作パターンAについて説明する。本実施形態では、把持部を閉じる動作を行うためには、振動型アクチュエータ2はモータ軸部3aがCW方向に回転するように駆動されるものとする。動作パターンAでは、振動型アクチュエータ2で発生した回転駆動力は、第一動力伝達系(モータ軸部3a及びトルクリミッタ5)を通じて出力軸部3bからダイレクトに出力され、第二動力伝達系は空転する。より詳しくは、動作パターンAの実行時には把持部は把持対象物に接触しておらず、把持部には把持力が発生していないため、トルクリミッタ5では、モータ軸部3aが静摩擦力によって出力軸部3bに連結した状態となっている。その結果、モータ軸部3aの回転は、出力軸部3bへダイレクトに伝達される。
モータ軸部3aがCW方向に回転すると、モータ軸部3aに取り付けられた第一ギア8の第一小ギア部8aがCW方向に回転し、第一小ギア部8aと噛み合っている第一大ギア部8bは、回転速度が減速されてCCW方向に回転する。噛み合いクラッチ6は、前述の通り、CCW方向の回転によって移動部材6aが固定部材6b側へスライドして固定部材6bと係合し、これにより、駆動軸部4a、従動軸部4b及び一方向クラッチ7の内輪が一体的にCCW方向に回転する。ここで、第二ギア9の第二大ギア部9aは出力軸部3bと共にCW方向に回転しており、第二大ギア部9aと噛み合っている第二小ギア部9bは増速されてCCW方向に回転する。よって、一方向クラッチ7では、内輪と外輪の双方がCCW方向に回転する。このとき、第二小ギア部9bと一体となっている一方向クラッチ7の外輪の角速度は、一方向クラッチ7の内輪の角速度よりも大きい。よって、一方向クラッチ7は、外輪が内輪に対して相対的にCCW方向に回転する(図3に「外CCW」と記す)解除状態となって、第二動力伝達系は空転する。
続いて、動作パターンBについて説明する。動作パターンBでは、振動型アクチュエータ2で発生した回転駆動力は、トルクリミッタ5が空転することで第一動力伝達系を通じて出力軸部3bへ出力されることなく、第二動力伝達系を通じてトルク増幅された後に出力軸部3bから出力される。具体的には、モータ軸部3aがCW方向に回転するように振動型アクチュエータ2を駆動して動作パターンAが実行されたことで把持部が把持対象物を把持する(把持部が把持対象物と接触する)と、出力軸部3bはそれ以上回転することができなくなる。こうして出力軸部3bの回転が抑制されることで、振動型アクチュエータ2の出力トルクが上がり始める。そして、振動型アクチュエータ2の出力トルクがトルクリミッタ5の制限を超えると、それ以上のトルクは伝達されなくなり、トルクリミッタ5が空転する。
一方、モータ軸部3aに取り付けられた第一小ギア部8aと噛み合っている第一大ギア部8bは、回転速度は遅くなるが、トルクが増幅されてCCW方向に回転する。また、噛み合いクラッチ6は、動作パターンAに引き続いてCCW方向の回転によって移動部材6aと固定部材6bとが係合した状態が維持されるため、駆動軸部4a及び従動軸部4bと一方向クラッチ7の内輪とが一体的にCCW方向に回転する。このとき、トルクリミッタ5の空転により、一方向クラッチ7の外輪へは第二ギア9を介した回転駆動力は伝達されていない。そのため、一方向クラッチ7の外輪は内輪に対して相対的にCW方向に回転する(図3に「外CW」と記す)こととなり、一方向クラッチ7が連結状態に切り替わって、一方向クラッチ7の外輪がCCW方向に回転する。一方向クラッチ7の外輪がCCW方向に回転すると、外輪と一体となっている第二小ギア部9bがCCW方向に回転し、第二小ギア部9bと係合している第二大ギア部9aがCW方向、つまり、モータ軸部3aの回転方向と同じ方向に回転する。厳密には、トルクリミッタ5が解除状態になった後に一方向クラッチ7が解除状態から連結状態に切り替わるまでには、極めて微小な距離(角度)の回転が生じ、その後に第二動力伝達系を通じた出力軸部3bへのトルク伝達が開始される。振動型アクチュエータ2で発生したトルクは、第一ギア8における第一小ギア部8aと第一大ギア部8b及び第二ギア9の第二小ギア部9bと第二大ギア部9aのそれぞれの歯数比で決まる減速比分だけ増幅されて出力軸部3bに伝わり、把持部の把持力となる。
続いて、動作パターンCについて説明する。動作パターンCでは、振動型アクチュエータ2で発生した回転駆動力は、第一動力伝達系(モータ軸部3a及びトルクリミッタ5)を通じて)出力軸部3bからダイレクトに出力され、第二動力伝達系は空転する。より詳しくは、本実施形態では、把持部を開く動作を行うためには、モータ軸部3aがCCW方向に回転するように振動型アクチュエータ2が駆動される。このとき、把持部は把持対象物から遠ざかるように動くために、トルクリミッタ5にトルクは掛からず、トルクリミッタ5は連結状態となる。つまり、トルクリミッタ5では、モータ軸部3aが静摩擦力によって出力軸部3bに連結した状態となっており、モータ軸部3aの回転が出力軸部3bへダイレクトに伝達され、出力軸部3bがCCW方向に回転する。
これにより、第二ギア9の第二大ギア部9aは出力軸部3bと共にCCW方向に回転し、第二大ギア部9aと噛み合っている第二小ギア部9bは増速されてCW方向に回転する。こうして、一方向クラッチ7は、外輪が内輪に対して相対的にCW方向に回転する(図3に「外CW」と記す)連結状態となる。しかし、モータ軸部3aがCCW方向に回転すると、モータ軸部3aに取り付けられた第一ギア8の第一小ギア部8aがCCW方向に回転し、第一小ギア部8aと噛み合っている第一大ギア部8bがCW方向に回転する。噛み合いクラッチ6は、前述の通り、CW方向の回転によって移動部材6aが固定部材6bから離れて解除状態となるため、第二動力伝達系は空転する。
次に、駆動装置1の省スペース性について説明する。振動型アクチュエータ2は、モータ軸部3aの両端から出力(回転駆動力)を取り出すことができる。そこで、駆動装置1では、モータ軸部3aにおいて振動型アクチュエータ2を挟んで出力軸部3bとは反対側となる位置に第一小ギア部8aを設け、第一小ギア部8aを第一大ギア部8bと噛み合わせることで、第二動力伝達系へ出力を取り出している。これにより、噛み合いクラッチ6と一方向クラッチ7を振動型アクチュエータ2と並べて配置することができるようになることで、駆動装置1全体の軸方向長さを短くすることが可能となっている。
振動型アクチュエータ2に対する噛み合いクラッチ6と一方向クラッチ7の配置は、トルク密度の高い振動型アクチュエータ2を使用していることによって可能となっており、その理由について以下に説明する。前述の通り、例えば、振動型アクチュエータ2には、外径がφ15、軸方向長さが20mmの形状を有し、0.1N・m以上のトルクを発生することができるものが好適に用いられる。第一小ギア部8aと第一大ギア部8bのそれぞれの歯数が25と60、第二大ギア部9aと第二小ギア部9bのそれぞれの歯数が65と20であるとすると、減速比は7.8となり、計算上は出力軸部3bから0.78N・m以上のトルクを取り出すことができる。例えば、3指のハンド装置において各指の各把持部に駆動装置1が配置されている場合には2N・m以上の把持力(トルク)が得られることから、駆動装置1は把持部を駆動する動力源として十分に使用可能であると判断することができる。したがって、高減速比の波動歯車減速機や遊星歯車減速機等のサイズが比較的大きな減速機を用いる必要がなくなり、コンパクトな構成を実現することができる。
また、振動型アクチュエータ2の内部では、不図示の振動体と被駆動体とが定常的に一定の押圧力で接触しており、この押圧力は振動体と被駆動体との相対的な位置を保持する保持力を生じさせている。そのため、振動型アクチュエータ2の駆動停止前に振動型アクチュエータ2の出力が第一動力伝達系と第二動力伝達系のどちらの経路で伝達されているかに関係なく、振動型アクチュエータ2の停止後の無通電時には保持力がモータ軸部3aの回転を抑制する。つまり、振動型アクチュエータ2の内部で生じている保持力は、駆動装置1に加わる外力や重力に抗して、駆動装置1を構成する各部品の回転を抑制する。したがって、駆動装置1では、出力軸部3bを静止状態に維持するためのブレーキ等を別途設ける必要がないため、小型化と軽量化が可能になる。
次に、駆動装置1を用いたロボットの具体例として、ハンド装置の指ユニットについて説明する。図4は、指ユニット20の概略構成を示す斜視図である。不図示のハンド装置は、例えば、複数の(例えば、3つの)指ユニット20を備え、3つの指ユニット20で把持対象物を把持する。指ユニット20は、固定部25、指部22及び把持部24を有する。固定部25と指部22の間に指部回転軸21を中心軸とする指関節が設けられており、指部22と把持部24の間に把持部回転軸23を中心軸とする把持関節が設けられている。
固定部25は、ハンド装置の掌に相当する本体部の一部、或いは、本体部に一体的に装着される部位である。固定部25には指部駆動装置27aが設置され、指部22には把持部駆動装置27bが設置されている。指部駆動装置27aと把持部駆動装置27bはそれぞれ、図1に示した駆動装置1と同等である。指部回転軸21は、指部駆動装置27aの出力軸部3bである。つまり、指関節において、指部駆動装置27aの出力軸部3bは、指部22の連結部26に設けられた穴部に挿入されて指部回転軸21として機能し、指部駆動装置27aで発生させた駆動力を指部22にダイレクトに伝達する。一方、把持関節では、把持部駆動装置27bの出力軸部3bは、不図示の傘歯車を介して出力軸部3bと略直交するように配置された把持部回転軸23に連結されており、出力軸部3bの回転は傘歯車を介して把持部回転軸23の回転に変換される。
生産現場でのハンド装置による所定の製品の組立工程では、ハンド装置が把持対象物(部品)を高精度に掴むことが重要となる。ここでの把持対象物を掴む動作とは、図3を参照して説明した動作パターンA(閉)に該当する。動作パターンAは、把持動作のスタート位置まで把持部24を素早く移動させる準備フェーズと、把持部24の高精度な位置制御を行いながら把持部24を把持対象物に接近させて接触させる接近フェーズとに分けることができる。準備フェーズでは、把持対象物の形状と位置を所定のセンシング手段により検出し、その検出結果に基づいて把持部24を把持動作のスタート地点まで素早く(高速で)移動させる。このとき、指部駆動装置27aと把持部駆動装置27bの両方が駆動されるが、どちらも把持力を発生しない無負荷状態での駆動となる。そのため、指部駆動装置27aと把持部駆動装置27bのそれぞれの振動型アクチュエータ2の回転駆動力は、第一動力伝達系を通じて出力軸部3bから出力される。これにより、指部回転軸21まわりに指部22を高速で回転させると共に、把持部回転軸23まわりに把持部24を高速で回転させて、把持部24を把持動作のスタート地点へ移動させることができる。
接近フェーズでは、準備フェーズでスタート地点へ移動させた把持部24を把持対象物へ向かって準備フェーズよりも遅いスピードで移動させる。このとき、複数の把持部24を同一の把持対象物へ同時に接近させて、把持対象物への接触を略同時に開始させなければならない。そこで、バックラッシが発生する可能性のある傘歯車を介した把持部駆動装置27bの駆動を停止させ、ダイレクトな駆動が可能な指部駆動装置27aのみを駆動する。これにより、把持部24を準備フェーズよりも高精度に制御しながら移動させて、複数の把持部24の把持対象物に対する接触を略同時に開始させることができる。これにより、把持対象物の重心位置がずれる等の不都合を生じさせることなく、把持対象物の把持動作を完了させることができる。
動作パターンAの完了後に、把持部24の把持力を増大させる動作に入る。ここでの把持力を増大させる動作とは、図3を参照して説明した動作パターンB(把持)に該当する。動作パターンBは、動作パターンAで把持対象物に対して把持部24が接触したことにより把持力が発生する時点から始まる。仮に、駆動系が高減速比の減速機を有し、且つ、駆動系全体の慣性モーメントが大きい場合には、把持対象物と把持部との接触初期に、慣性力による把持力の誤差が生じやすくなる。これに対して、指ユニット20で構成されたハンド装置では、指部駆動装置27aの駆動により指部22を指部回転軸21まわりにダイレクトに駆動するため、駆動系全体の慣性モーメントが小さくなり、これにより接触初期の把持力誤差を小さくすることができる。そして、複数の指ユニット20の把持力を制御する際に、接触初期の誤差が小さくなることで、バランスよく把持対象物を把持することができ、その後の把持力の制御を容易且つ高精度に行うことができる。
把持力の増大は、指部駆動装置27aと把持部駆動装置27bのそれぞれの振動型アクチュエータ2からの出力が第一動力伝達系から第二動力伝達系へ切り替わることによって実行される。駆動装置1(指部駆動装置27aと把持部駆動装置27b)は、トルク密度の高い振動型アクチュエータ2を用いているため、減速比が比較的小さな伝達系を備えている。そのため、振動型アクチュエータ2に固有のトルク制御方法によってトルク誤差が減速比の分だけ増幅されたとしても、大きな誤差になることはなく、よって、把持力を高精度に制御することができる。なお、求められる把持力の大きさに応じて、把持力の増大は、指部駆動装置27aと把持部駆動装置27bのいずれか一方のみを駆動することによって行ってもよい。
ハンド装置は、把持した把持対象物を別の場所へ移動させるように駆動されることが一般的であるが、その間の把持力が一定でよい場合には、指部駆動装置27a及び把持部駆動装置27bのそれぞれの振動型アクチュエータ2への給電を停止しても構わない。つまり、指ユニット20を備えるハンド装置では、指部駆動装置27aと把持部駆動装置27bのそれぞれの振動型アクチュエータ2の保持力で把持対象物を把持した状態を維持する駆動方法を用いることができる。これは、振動型アクチュエータ2への給電を停止しても、振動型アクチュエータ2の保持力によって指関節と把持関節を固定することができるため、把持対象物を把持した状態を維持することができるからである。
なお、指部駆動装置27aと把持部駆動装置27bのそれぞれの振動型アクチュエータ2への給電を停止する直前は、動作パターンB(把持)により第二動力伝達系を通じて大きなトルクが出力されている状態となっている。よって、振動型アクチュエータ2への給電を停止しても、把持対象物は一定の把持力で把持された状態は維持される。こうして振動型アクチュエータ2への給電を停止して把持対象物を把持した状態を維持する駆動方法を採用した場合、振動型アクチュエータ2への給電は指ユニット20の開閉時と把持力の調整時にのみ行えばよいため、省電力化が可能となる。
指ユニット20により把持された把持対象物がハンド装置の本体部の駆動等によって所定の位置へ移動させられる等した後には、移動先の所定の位置において図3の動作パターンC(開)の動作により把持対象物が解放される。把持対象物と指ユニット20とが非接触となった後には、指部駆動装置27a及び把持部駆動装置27bのそれぞれの振動型アクチュエータ2への給電を停止し、振動型アクチュエータ2の保持力を利用して指ユニット20を静止状態に維持することができる。その際、トルクリミッタ5の許容最大トルクを上限とする保持力で、指ユニット20を静止した状態に維持することができる。
このように、指ユニット20を用いたハンド装置では、指ユニット20に発生させる把持力に、指部駆動装置27a及び把持部駆動装置27bのそれぞれの振動型アクチュエータ2の保持力を用いることができる。その際に、振動型アクチュエータ2へ給電しながら必要な把持力を得る駆動方法と、振動型アクチュエータ2へ給電を停止して振動型アクチュエータ2の内部に発生している保持力を利用する駆動方法とを選択的に用いることができる。そして、指ユニット20が把持対象物を把持している状態では、大きな保持力で指ユニット20の各間接部を固定することができるため、外力の作用等によって指ユニット20に衝撃が加わっても、把持した把持対象物を落とし難い。一方、指ユニット20が把持対象物を把持していない状態では、小さな保持力で指ユニット20の間接部を固定することができるため、外力が作用しても、その外力を逃がす方向に指ユニット20が空転する。これにより、ハンド装置の故障を抑制し、ハンド装置の近傍に作業者等がいた場合の作業員等への危害を最小限に抑えることができる。
上記説明の通り、本実施形態に係る駆動装置1はトルク密度の高い振動型アクチュエータ2を用いているため、サイズの大きな高減速比の減速機を用いることなく、大きなトルクを得ることができる。これにより、駆動速度を優先させた動作を行うための第一動力伝達系と、簡易な減速系を用いて大きなトルクを出力させる第二動力伝達系とをコンパクトにまとめることが可能になる。また、振動型アクチュエータ2の無通電保持力を利用することで、ブレーキ等を設ける必要がなくなり、これにより小型化と軽量化が可能になる。
更に、駆動装置1の第一動力伝達系は振動型アクチュエータ2のモータ軸部3aから出力軸部3bまでがダイレクトに連結されているため、出力軸部3bに取り付けられる部材の動作を高精度に制御することができる。よって、駆動装置1を用いた指ユニット20を用いて構成されるハンド装置では、複数の指ユニット20の動きを高精度に制御して、把持部24を略同時に把持対象物に接触させて把持することが可能になる。その結果、把持対象物に対して把持部24が接触を開始するタイミングがずれてしまうことに起因する不具合の発生を抑制することができる。また、第一動力伝達系を通じて把持部24を把持対象物に接触させることで、把持開始時に生じる慣性力による把持力誤差を小さくすることができるため、第一動力伝達系から第二動力伝達系への減速比に起因するトルク誤差の増幅を最小限に抑えることができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、駆動装置1を構成するトルクリミッタ5、一方向クラッチ7及び噛み合いクラッチ6のそれぞれには、同様の機能を有する別の部品を用いることができる。また、図4に示した指ユニット20は、2台の駆動装置1を搭載した構成となっているが、1台又は3台以上の複数の駆動装置1を搭載することによって指ユニットを構成することも可能である。駆動装置1は、多関節ロボットにおいてアーム部が連結される関節部等でのアーム部の回転駆動にも好適に用いられる。
1 駆動装置
2 振動型アクチュエータ
3a モータ軸部
3b 出力軸部
4a 駆動軸部
4b 従動軸部
5 トルクリミッタ
6 噛み合いクラッチ
7 一方向クラッチ
8 第一ギア
9 第二ギア
20 指ユニット
22 指部
24 把持部
27a 指部駆動装置
27b 把持部駆動装置

Claims (8)

  1. 振動型アクチュエータと、
    前記振動型アクチュエータの駆動により回転するモータ軸部と、
    前記モータ軸部の回転駆動力を外部に出力する出力軸部と、
    前記モータ軸部の回転駆動力を前記出力軸部へ伝達する第一動力伝達系および第二動力伝達系と、を有し、
    前記モータ軸部の回転方向と前記振動型アクチュエータで発生するトルクに応じて前記モータ軸部の回転駆動力が前記出力軸部へ伝達される経路が前記第一動力伝達系と前記第二動力伝達系とで切り替わることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記第一動力伝達系は、前記モータ軸部の回転をダイレクトに前記出力軸部に伝達する経路であり、
    前記第二動力伝達系は、前記モータ軸部の回転速度を減速すると共にトルクを増大させて前記出力軸部に伝達する経路であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記第一動力伝達系は、前記モータ軸部がトルクリミッタを介して前記出力軸部と連結されることにより構成され、
    前記トルクリミッタは、前記振動型アクチュエータで発生するトルクが所定の大きさよいも小さい場合に前記モータ軸部の回転方向によらずに前記モータ軸部の回転をダイレクトに前記出力軸部に伝達し、前記振動型アクチュエータで発生するトルクが前記所定の大きさ以上の場合に空転し、
    前記トルクリミッタが空転することで前記モータ軸部の回転が前記出力軸部へ伝達される経路が前記第一動力伝達系から前記第二動力伝達系へ切り替わることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
  4. 前記第二動力伝達系は、前記モータ軸部が、第一ギア、噛み合いクラッチ、一方向クラッチ及び第二ギアを介して前記出力軸部と連結されることにより構成されていることを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
  5. 前記モータ軸部の回転が前記トルクリミッタを介してダイレクトに前記出力軸部に伝達されるときには、前記噛み合いクラッチの連結が解除されることで前記噛み合いクラッチが空転するか又は前記第二ギアの回転にしたがって前記一方向クラッチが空転することを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
  6. 前記第一ギアは、前記モータ軸部に取り付けられた第一小ギア部と、前記第一小ギア部と噛み合い前記第一小ギア部よりも歯数の多い第一大ギア部とを有し、
    前記第二ギアは、前記出力軸部に取り付けられた第二大ギア部と、前記第二大ギア部と噛み合い前記第二大ギア部よりも歯数の少ない第二小ギア部とを有し、
    前記トルクリミッタが空転するときには、前記噛み合いクラッチと前記一方向クラッチとが連結状態となることを特徴とする請求項4又は5に記載の駆動装置。
  7. 前記噛み合いクラッチは、移動部材と固定部材とを有し、前記第一大ギア部の回転方向に応じて前記移動部材と前記固定部材との連結状態と解除状態とが切り替わり、
    前記一方向クラッチは、前記固定部材と同軸に連結された内輪と、前記第二小ギア部と同軸に連結された外輪とを有し、前記内輪と前記外輪の角速度差の大きさと正負に応じて連結状態と解除状態とが切り替わることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の駆動装置を備えることを特徴とするロボット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112518801A (zh) * 2020-11-16 2021-03-19 深圳市优必选科技股份有限公司 舵机及机器人
WO2023032503A1 (ja) * 2021-08-31 2023-03-09 株式会社日立製作所 ロボットハンドおよびロボットシステム

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