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JP2018204882A - 沸騰冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた冷却性能を備え、近年の電子機器や電気自動車又はハイブリッド車のインバータの冷却にも十分に対応できる沸騰冷却装置を提供せんとする。【解決手段】受熱部2の発熱体9の位置に対応する伝熱壁部22を、受熱部2の内壁面に沿って延びる複数の凹条50を有する凹凸面5と、該凹凸面5に対し、該凹凸面5の前記凹条50の少なくとも一部が内部空間に開放された状態で重ねるように取り付けられる金属製多孔体6であり、一方向に延びる複数の貫通孔60が形成され、該貫通孔60の一方の開口60aが前記凹凸面5に対面し、他方の開口60bが内部空間に開放されるように取り付けられる金属製多孔体6とより構成した。【選択図】図1

Description

本発明は、冷媒を用いた沸騰冷却装置に関する。
沸騰冷却装置は、冷媒の液体から気体への相変化を利用して発熱体を冷却する装置であり、具体的には、互いに連通した内部空間を備える受熱部と放熱部とを備え、内部に冷媒が封入されるとともに受熱部の外壁面に発熱体が取り付けられ、受熱部の内部に液相状態で貯留された前記冷媒が、相変化により潜熱として放熱部に熱を輸送するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。冷媒の相変化は、受熱部の冷媒に接する内面のうち、主に発熱体の取り付け位置に対応する内面を伝熱面として発泡が生じる沸騰・蒸発により生じる。この沸騰・蒸発が伝熱面(伝熱壁部)において効率よく生じることで、熱伝達率、すなわち発熱体の冷却効率が向上する。
この伝熱壁部に多数の穴を形成し、凹凸粗面にすることで沸騰・蒸発を促進することも提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。しかしながら、近年は電子機器の小型化と高性能化に伴い、電子機器の発熱密度が急激に上昇しており、より高い冷却効率を有するものが求められている。例えば、現行ハイブリッド車のインバータでは最大発熱密度が300W/cmを超え、循環ポンプを用いた強制流動による冷却方式が採用されている。しかしながらハイブリッド車や電気自動車の電費を下げるためには、本来、モータ以外での電力消費は望ましくなく、もし沸騰冷却装置で対応することができれば、より電費を下げることに貢献できる。
特開2010−196912号公報 特開2012−13396号公報 特開2017−15269号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、優れた冷却性能を備え、近年の電子機器や電気自動車又はハイブリッド車のインバータの冷却にも十分に対応できる沸騰冷却装置を提供する点にある。
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 互いに連通した内部空間を備える受熱部と放熱部とを備え、内部に冷媒が封入されるとともに受熱部の外壁面に発熱体が取り付けられ、受熱部の内部に液相状態で貯留された前記冷媒が、相変化により潜熱として放熱部に熱を輸送する沸騰冷却装置であって、前記受熱部の前記発熱体の位置に対応する伝熱壁部に、受熱部の内壁面に沿って延びる複数の凹条を有する凹凸面と、該凹凸面に対し、該凹凸面の前記凹条の少なくとも一部が内部空間に開放された状態で重ねるように取り付けられる金属製多孔体であり、一方向に延びる複数の貫通孔が形成され、該貫通孔の一方の開口が前記凹凸面に対面し、他方の開口が内部空間に開放されるように取り付けられる金属製多孔体とを設けてなることを特徴とする沸騰冷却装置。
(2) 前記凹凸面が、平行或いは格子状に延びる複数の前記凹条より構成されており、各凹条の両端部が前記内部空間に開放された状態に、前記金属製多孔体が取り付けられる(1)記載の沸騰冷却装置。
(3) 前記金属製多孔体が、金属凝固法で成形された一方向に伸びた複数の気孔を有するロータス型ポーラス金属成形体を、気孔の伸びる方向に交差する方向に切断加工したものからなり、前記貫通孔が前記切断により分断された前記気孔である(1)記載の沸騰冷却装置。
以上にしてなる本願発明に係る沸騰冷却装置によれば、金属製多孔体と凹凸面の凹条の寸法設計によって、金属製多孔体からの沸騰、蒸発の促進、或いは凹凸面の凹条からの沸騰、蒸発の促進の何れかが生じることになる。金属製多孔体からの沸騰、蒸発が促進される場合は、金属製多孔体の上部(或いは凹条の開放部)から蒸気が排出されるとともに、凹凸面の凹条(或いは金属製多孔体)を通じて冷媒液が自発的に金属製多孔体へ供給され、当該金属製多孔体からの沸騰、蒸発が持続的に促進される。また、凹条からの沸騰、蒸発が促進される場合は、当該凹条の開放部(或いは金属製多孔体)から蒸気が排出されるとともに、金属製多孔体の貫通孔(或いは凹条の開放部)を通じて冷却液が自発的に凹条へ供給され、当該凹条からの沸騰、蒸発が持続的に促進される。
このように、いずれの場合にも、従来よりも伝熱壁部における沸騰・蒸発が促進され、冷却性能が著しく向上する。その具体的な冷却性能は、大気圧環境の沸騰冷却限界である110W/cmを大きく超え、約280W/cmを達成したことを確認している。したがって、近年の電子機器や、電気自動車又はハイブリッド車のインバータの冷却にも十分に対応できる沸騰冷却装置を提供することができる。特にインバータの冷却に対応することで、従来の冷却用循環ポンプや配管系を排除した自立型の超小型冷却デバイスとして提供することができ、次世代電気自動車、ハイブリッド車の走行マイレージの向上と低電費化へ大きく貢献できる。
また、前記凹凸面が、平行或いは格子状に延びる複数の前記凹条より構成されており、各凹条の両端部が前記内部空間に開放された状態に、前記金属製多孔体が取り付けられるものでは、凹条の両端が開放されることで冷媒がよりスムーズに供給され(或いは蒸気排出がスムーズに行われ)、冷却効率がより向上する。
また、前記金属製多孔体が、金属凝固法で成形された一方向に伸びた複数の気孔を有するロータス型ポーラス金属成形体を、気孔の伸びる方向に交差する方向に切断加工したものからなり、前記貫通孔が前記切断により分断された前記気孔であるものでは、ドリル加工等で各貫通孔を機械加工することに比べ、より低コスト且つ容易に製作できる。さらに、このような金属製多孔体は、周端部に前記成形に用いられる型内壁によって前記気孔の存在しないスキン領域が形成される。したがって、当該端面において多孔体同士を接合面積が確保された状態で容易に接合することができ、このように端面同士で複数の当該成形体を接合することにより一つの多孔体を構成することも容易となり、接合部分での伝熱性の低下も防止できる。
本発明の代表的実施形態にかかる沸騰冷却装置を示す凹条の延びる方向にみた断面図。 図1の方向に対して直交する方向にみた、同じく沸騰冷却装置の断面図。 (a),(b)は同じく沸騰冷却装置の伝熱壁部における作用を示す説明図。 変形例を示す説明図。 (a),(b)は実験装置を示す説明図。 実験結果の沸騰曲線を示すグラフ。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明の沸騰冷却装置1は、図1に示すように、互いに連通した内部空間を備える受熱部2と放熱部3とを備え、内部に冷媒4が封入されるとともに受熱部2の外壁面21に発熱体9が取り付けられ、受熱部2の内部に液相状態で貯留された前記冷媒4が、相変化により潜熱として放熱部3に熱を輸送する。
特に、受熱部2の前記発熱体9の位置に対応する伝熱壁部22は、受熱部2の内壁面に沿って延びる複数の凹条50を有する凹凸面5と、該凹凸面5に対し、該凹凸面5の前記凹条50の少なくとも一部が内部空間に開放された状態で重ねるように取り付けられる金属製多孔体6であり、一方向に延びる複数の貫通孔60が形成され、該貫通孔60の一方の開口60aが前記凹凸面5に対面し、他方の開口60bが内部空間に開放されるように取り付けられる金属製多孔体6とより構成されている。
受熱部2と放熱部3とは、一つの収納容器7より構成されているが、互いに連通した内部空間を備えたものであれば、各部を構成する各容器が配管等で連結されたものでもよく、その場合は、受熱部2から放熱部3に向けて気化した冷媒が通る流路と放熱部3で液体に戻った冷媒が受熱部2に還流する流路の2流路で連通したものでもよく、その他、従来から公知の沸騰冷却装置の連通形態を広く適用できる。
放熱部3は、本例では内部に冷却水が流れる凝縮パイプ8が設けられ、気化した冷媒がこの凝縮パイプ8に接して熱を奪われ、液化するように構成されている。ただし、本発明はこのような放熱形態に何ら限定されず、放熱部の外壁に送風等で放熱される放熱フィンを設け、内壁を通じて冷媒から熱を吸熱するものなど、従来から公知の沸騰冷却装置の放熱形態を広く採用できる。また、冷媒4についても、受熱部2や放熱部3の容器の素材等に応じて、水、アルコール、炭化フッ素系冷媒など、従来から公知の冷媒を適宜用いることができる。
金属製多孔体6とともに伝熱壁部22を構成する凹凸面5は、本例では良熱伝導性材料よりなる容器の底壁の内面(底面)に凹条50を直接形成して構成されているが、容器とは別に良熱伝導性材料よりなる伝熱部材として構成したものでもよい。凹凸面5の凹凸面5は、平行に延びる複数の凹条50より構成されている。
金属製多孔体6は、この凹凸面5の上に重着されており、各凹条50の両端部が、収納容器7の内部空間に開放されるように、凹凸面5より小さい寸法に設定されている。この凹条50端部の内部空間に開放された開放部51を通じて、冷媒がよりスムーズに供給され、或いは蒸気がスムーズに排出される。本例では互いに独立した凹条50を所定間隔をおいて平行に形成した例を示しているが、これに限らず、例えば凹条を縦横に格子状に形成することも好ましい。
金属製多孔体6と凹凸面5の凹条50の寸法設計によって、金属製多孔体6からの沸騰、蒸発の促進、或いは沸騰、蒸発の促進の何れかが生じることになる。発生する蒸気は、図3(a)の図中矢印に示すように、金属製多孔体6の上部の貫通孔開口60bから排出されるか、或いは図3(b)に示すように凹条開放部51から排出される。そして、貫通孔開口60bから排出される場合は、凹条50の開放部51から凹条50を通じて冷媒4の液が自発的に金属製多孔体6の下面側へ供給され、沸騰、蒸発が持続的に促進されるし、凹条の開放部51から蒸気が排出される場合は、金属製多孔体6の上部の貫通孔開口60bを通じて冷媒4の液が自発的に金属製多孔体6内部に供給され、沸騰、蒸発が持続的に促進される。
金属製多孔体6は、凹凸面5に対して凹条50の両端を解放させた状態でその他の部位をすべて覆うように一つのみ設けられているが、図4に示すように、隙間をあけて複数並設したものでもよい。これにより、凹条50の開放部を両端のみでなく途中にも設けることができ、冷却効率をより高めることが可能となる。
金属製多孔体に用いる材料としては、アルミニウムや鉄、銅など従来の熱交換器の配管やフィンに使用される良熱伝導性の金属材料を広く適用できる。一方向に延びる貫通孔は、ドリル加工やレーザ加工など公知の方法で形成することができるが、本例では、貫通孔を有する金属製多孔体は、金属凝固法で成形された一方向に伸びた複数の気孔を有するロータス型ポーラス金属成形体を、気孔の伸びる方向に交差する方向に切断加工してなる多孔材で構成されている。
このようなロータス型ポーラス金属成形体は、高圧ガス法(Pressurized Gas Method)(例えば特許第4235813号公報開示の方法)や、熱分解法(Thermal Decomposition Method)など、公知の方法で成形することができる。このようにロータス型ポーラス金属成形体から切り出した多孔材よりなる金属製多孔体6の周端部には、成形に用いられる型内壁によって前記気孔の存在しないスキン領域が形成されている。貫通孔60は、前記切断により分断された前記気孔である。
このようにロータス型ポーラス金属成形体から切り出した多孔材を用いることで、一方向に延びる多数の貫通孔を有する金属製多孔体6を低コスト且つ容易に得ることができ、しかもその周囲にスキン領域が形成されることから、複数の多孔材の端面同士をろう付け等で接合して金属製多孔体6を構成する場合に接合強度を十分に維持できるとともにろう付け等の作業も容易であり、且つ、互いの間の熱伝導も良好に維持できる。
ロータス型ポーラス金属成形体から切り出した金属製多孔体6には、貫通孔60以外に貫通していない有底の孔も存在するが、このような有底の孔も表面積を増大させる効果があり、冷媒の蒸発を促進する効果がある。金属製多孔体6の形状は、貫通孔60の延びている方向の寸法が比較的小さい扁平な板状とされているが、その他の種々の形状に構成しても勿論よい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
次に、凹凸面上に金属製多孔体を載置した本発明に係る伝熱壁部(実施例1)、凹条が存在しない平面に金属製多孔体を載置した伝熱壁部(比較例1)、比較例1から金属製多孔体を省略し、凹条が存在しない平面のみとした伝熱壁部(比較例2)について、冷却効果を確認するための沸騰冷却実験を行った結果について説明する。
(実験装置)
実験装置を図5(a)に示す。実験装置は、内径63mmの沸騰容器の底面に、銅ブロックを上面が冷却面(10mm角)として容器内部空間に露出した状態に取り付けた。銅ブロックの底面には、ヒータを内装した加熱ブロックを接触状態で取り付けた。沸騰容器の上面には、気体蒸気になった冷媒蒸気を冷却水と熱交換させて凝縮液化させるコンデンサ(熱交換器)を設けた。沸騰容器内の冷媒は水(蒸留水)とし、沸騰容器の周囲に巻き付けたヒータにより飽和温度(100℃)に維持した。図5(b)は冷却面を構成する銅ブロックの拡大図であり、冷却面から3mm、7mm、11mm、15mm離れた位置にそれぞれ熱電対を設置した。
(電熱壁部)
実施例1は、冷却面に複数の平行な凹条を直接形成し、凹凸面としたうえ、金属製多孔体を載置した。凹条は、深さ0.4mm、幅0.4mm、ピッチ1mmとした。金属製多孔体は、ロータス型ポーラス金属成形体から切り出した銅製の多孔体であり、10mm角、厚さ2mmの板材とした。厚さ方向に多数の貫通孔が設けられ、その平均気孔(貫通孔)直径は0.26mm、気孔数は355であった。凹条の端面は容器内部に開放された状態とした。比較例1は、上記のとおりフラットのままの冷却面に、上記金属製多孔体を取り付けたものであり、比較例2は、フラットの冷却面のみとした。
(実験方法)
上記実験装置を用いて、実施例1、比較例1、2の各伝熱壁部を冷却面上に構成し、各場合について、それぞれ加熱ブロックをヒータで加熱するとともに、コンデンサを作動させ、伝熱壁部を冷媒で沸騰冷却しつつ、銅ブロック内の4箇所に設置した上記熱電対で各部の温度を測定した。そして、温度測定結果から公知のフーリエ則を用いて各場合の熱流束を算出し、沸騰曲線を得た。実施例1は、再現性を確認するために2度(Run1,Run2)実験を行った。図6は、各場合について実験の結果得られた沸騰曲線である。
図6の結果から分かるように、本発明に係る実施例1の冷却壁部によれば、フラットな面の場合(比較例2)に比べて最大性能が約140W/cm上昇し、フラットな面に金属製多孔体を取り付けた場合(比較例1)と比較しても、最大性能が約50W/cm上昇し、優れた冷却性能を有している。実施例1の最大性能は276W/cmであったが、実験時の加熱の限界が原因であり、沸騰冷却限界としては、これ以上の可能性がある。
1 沸騰冷却装置
2 受熱部
3 放熱部
4 冷媒
5 凹凸面
6 金属製多孔体
7 収納容器
8 凝縮パイプ
9 発熱体
21 外壁面
22 伝熱壁部
50 凹条
51 開放部
60 貫通孔
60a、60b 開口

Claims (3)

  1. 互いに連通した内部空間を備える受熱部と放熱部とを備え、内部に冷媒が封入されるとともに受熱部の外壁面に発熱体が取り付けられ、受熱部の内部に液相状態で貯留された前記冷媒が、相変化により潜熱として放熱部に熱を輸送する沸騰冷却装置であって、
    前記受熱部の前記発熱体の位置に対応する伝熱壁部に、
    受熱部の内壁面に沿って延びる複数の凹条を有する凹凸面と、
    該凹凸面に対し、該凹凸面の前記凹条の少なくとも一部が内部空間に開放された状態で重ねるように取り付けられる金属製多孔体であり、一方向に延びる複数の貫通孔が形成され、該貫通孔の一方の開口が前記凹凸面に対面し、他方の開口が内部空間に開放されるように取り付けられる金属製多孔体と、
    を設けてなることを特徴とする沸騰冷却装置。
  2. 前記凹凸面が、平行或いは格子状に延びる複数の前記凹条より構成されており、各凹条の両端部が前記内部空間に開放された状態に、前記金属製多孔体が取り付けられる請求項1記載の沸騰冷却装置。
  3. 前記金属製多孔体が、金属凝固法で成形された一方向に伸びた複数の気孔を有するロータス型ポーラス金属成形体を、気孔の伸びる方向に交差する方向に切断加工したものからなり、前記貫通孔が前記切断により分断された前記気孔である請求項1又は2記載の沸騰冷却装置。
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