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JP2018188033A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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JP2018188033A
JP2018188033A JP2017093047A JP2017093047A JP2018188033A JP 2018188033 A JP2018188033 A JP 2018188033A JP 2017093047 A JP2017093047 A JP 2017093047A JP 2017093047 A JP2017093047 A JP 2017093047A JP 2018188033 A JP2018188033 A JP 2018188033A
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奥村 健一
Kenichi Okumura
健一 奥村
大典 佐藤
Onori Sato
大典 佐藤
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Abstract

【課題】左右の駆動輪での駆動力を、要求される各種の駆動状態に適合させることができ、しかも左右の駆動力のアンバランスを解消もしくは抑制することができる車両用駆動装置を提供する。【解決手段】車両用駆動装置において、第1前輪を駆動する高出力前輪モータ2fと、第2前輪を駆動する低出力前輪モータ3fと、前輪側クラッチ23fとを有する前輪駆動ユニット1fが前輪側11Rf,11Lfに設けられ、第1後輪を駆動する高出力後輪モータ2rと、第2後輪を駆動する低出力後輪モータ3rと、後輪側クラッチ23rとを有する後輪駆動ユニット1rが後輪側11Rr,11Lrに設けられ、第1前輪と第2後輪とが左側車輪11Lf,11Lrと右側車輪11Rf,11Rrとの一方の駆動輪であり、第2前輪と第1後輪とが左側車輪11Lf,11Lrと右側車輪11Rf,11Rrとの他方の駆動輪である。【選択図】図2

Description

この発明は、車両が走行するための駆動力を発生する装置に関し、特に、複数の駆動輪を独立して駆動できる装置に関するものである。
この種の装置の一例が特許文献1に記載されている。その装置は、一対の駆動輪のうち左側の駆動輪に連結された第1電動機と、右側の駆動輪に連結された第2電動機と、それら電動機の間に配置されていて各電動機を連結しまたその連結を解くクラッチ機構とを備えている。第1電動機の最大出力パワーおよび最大出力トルクは第2電動機の最高出力パワーおよび最高出力トルクより高く設定されている。また、郊外道路状況でかつ低車速時には、第1電動機のみから動力を出力して走行し、郊外道路状況でかつ中高車速時には、第1電動機と第2電動機との二つのモータから動力を出力して走行するように構成されている。さらに、旋回時には、クラッチ機構をスリップ状態、あるいは、解放状態に制御するとともに、第1電動機と第2電動機とのそれぞれを独立して制御するように構成されている。
特開2016−59269号公報
特許文献1に記載された構成では、最大出力もしくは出力特性の異なる電動機を、左右の駆動輪に連結しているので、要求駆動力に応じて電動機を使い分けることにより、エネルギ効率の良好な走行を行うことができる。しかしながら、それぞれの電動機は、最大出力もしくは出力特性が異なっているので、例えば、それぞれの電動機をそれぞれの電動機における最大効率点で運転したり、あるいは最大出力で運転したりした場合には、各電動機の出力トルク(もしくはパワー)が異なってしまう。そのため、左右の駆動輪での駆動トルクが相違して、走行安定性あるいは旋回性が損なわれる可能性がある。
この発明は上記のような技術的課題に着目してなされたものであり、左右の駆動輪での駆動力を、要求される各種の駆動状態に適合させることができ、しかも左右の駆動力のアンバランスを解消もしくは抑制することができる車両用駆動装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、左右の前輪と左右の後輪とをモータによって駆動する車両用駆動装置において、第1前輪を駆動する高出力前輪モータと、前記高出力前輪モータよりも低出力でかつ第2前輪を駆動する低出力前輪モータと、前記高出力前輪モータと前記低出力前輪モータとを選択的に連結する前輪側クラッチとを有する前輪駆動ユニットが前記前輪側に設けられ、第1後輪を駆動する高出力後輪モータと、前記高出力後輪モータよりも低出力でかつ第2後輪を駆動する低出力後輪モータと、前記高出力後輪モータと前記低出力後輪モータとを選択的に連結する後輪側クラッチとを有する後輪駆動ユニットが前記後輪側に設けられ、前記第1前輪と前記第2後輪とが車両の左側車輪と右側車輪とのいずれか一方の駆動輪であり、前記第2前輪と前記第1後輪とが前記車両の左側車輪と右側車輪とのいずれか他方の駆動輪であることを特徴とするものである。
この発明によれば、車両用駆動装置は前輪を駆動する前輪駆動ユニットと後輪を駆動する後輪駆動ユニットとを備え、各駆動ユニットはそれぞれ、高出力のモータと低出力のモータとそれらのモータを選択的に連結するクラッチとを有している。そして、前輪駆動ユニットの高出力前輪モータは左右の前輪のうち一方の第1前輪を駆動し、低出力前輪モータは左右の前輪のうち他方の第2前輪を駆動するように構成されている。また、後輪駆動ユニットの高出力後輪モータは左右の後輪のうち他方の第2後輪を駆動し、低出力後輪モータは左右の後輪のうち一方の第1後輪を駆動するように構成されている。すなわち、前輪駆動ユニットの高出力前輪モータと後輪駆動ユニットの低出力後輪モータとによって右側車輪と左側車輪とのうち、いずれか一方の駆動輪が駆動され、前輪駆動ユニットの低出力前輪モータと、後輪駆動ユニットの高出力後輪モータとによって右側車輪と左側車輪とのうち、いずれか他方の駆動輪が駆動される。したがって、前輪側クラッチと後輪側クラッチとをそれぞれ係合あるいは解放した状態で、各高出力のモータと各低出力のモータとのそれぞれを、各モータで最も効率の良い運転点で駆動した場合や、各高出力のモータと各低出力のモータとのそれぞれを設計された最高出力で駆動した場合に、右側の前後輪での駆動トルクの合計値と、左側の前後輪での駆動トルクの合計値とを同じあるいはほぼ同じにすることができる。また、車両の前後と左右のいずれにも、高出力のモータと低出力のモータとが1つずつ配置されているため、要求駆動力に応じて各モータを使い分けることができる。例えば、加速時においては、主として、前輪に比較して大きい荷重が作用する後輪を駆動する各モータを力行制御することができ、減速時においては、主として、後輪に比較して大きい荷重が作用する前輪を駆動する各モータを回生制御してエネルギ回生を行うことができる。それらの結果、駆動形態に応じて、各モータを効率の良い運転点で駆動したり、最大出力で運転したりすることができると共に、左右の駆動輪でトルクの差が生じることを回避もしくは抑制することができる。ひいては、車両の全体として走行安定性や旋回性を向上することができる。
この発明の実施形態における駆動ユニットの一例を模式的に示す断面図である。 この発明の実施形態に係る車両用駆動装置の一例を説明するための模式図である。 モータの効率を説明するための模式図である。 この発明の実施形態における車両が左旋回するときにおける各モータの出力パワーの一例を説明するための模式図である。 この発明の実施形態における駆動ユニットの他の例を模式的に示す断面図である。
図1は、この発明の実施形態における駆動ユニットの一例を模式的に示す断面図である。図1に示す駆動ユニット1は、車幅方向における中央部分を挟んで両側がほぼ対称の形状に構成されている。したがって、以下の説明では、一方側つまり図1における右側の構成、および、他方側の構成のうち一方側の構成と異なる部分のみについて説明し、他方側の構成のうち一方側の構成と同様の部分についてはその説明を省略する。なお、一方側と他方側とで同一の構成については、図中において一方側の部材の参照符号に「R」を付し、他方側の部材の参照符号に「L」を付してある。
駆動ユニット1は、駆動力源としての2つのモータを備えている。各モータは従来知られているハイブリッド車両や電気自動車の駆動力源として設けられたモータと同様に、発電機能のあるモータであって、一例として永久磁石形の同期モータによって構成されている。ここに示す例では、第1モータ2は、第2モータ3の最大出力パワーや最大出力トルクよりも、その最大出力パワーや最大出力トルクが大きいモータであって、第1モータ2の外径は第2モータ3の外径とほぼ同じに構成され、第1モータ2の軸長は第2モータの軸長より長く構成されている。以下の説明では、第1モータ2を高出力モータ2と記し、第2モータ3を低出力モータ3と記す。
高出力モータ2の出力軸2Aと低出力モータ3の出力軸3Aとは共に、車幅方向と平行になっており、各出力軸2A,3Aにおける駆動ユニット1の中央側に配置された部分に出力ギヤ4R,4Lがそれぞれ設けられている。各出力軸2A,3Aと平行にカウンタシャフト5R,5Lが設けられている。カウンタシャフト5R,5Lの一方の端部に、出力ギヤ4R,4Lに噛み合いかつ出力ギヤ4R,4Lよりも大径のカウンタドリブンギヤ6R,6Lが連結されている。カウンタシャフト5R,5Lの他方の端部にカウンタドリブンギヤ6R,6Lよりも小径のドライブギヤ7R,7Lが連結されている。各ドライブギヤ7R,7Lは当該ドライブギヤ7R,7Lよりも大径のドリブンギヤ8R,8Lに噛み合っている。
ドリブンギヤ8R,8Lと一体のギヤシャフト8Aは車幅方向と平行になっており、そのギヤシャフト8Aにおける車幅方向で外側の端部に円筒部9R,9Lが形成されている。そして、円筒部9R,9Lにドライブシャフト10の一方の端部がスプライン嵌合され、ドライブシャフト10R,10Lの他方の端部に駆動輪11R,11Lが連結されている。
また、出力軸2A,3Aにおける車幅方向での外側に配置された部分に円盤状のブレーキロータ12R,12Lがそれぞれ連結されている。ブレーキロータ12R,12Lは磁性材料によって構成されている。ブレーキロータ12R,12Lと対向して環状のブレーキステータ13R,13Lが設けられている。ブレーキステータ13R,13Lはブレーキロータ12R,12Lに向けて接近するとともに、回転しないようにケースCにスプライン嵌合されている。またブレーキステータ13R,13Lにはブレーキコイル14R,14Lが設けられており、ブレーキコイル14R,14Lに通電することにより生じる電磁力によってブレーキステータ13R,13Lとブレーキロータ12R,12Lとが接触するように構成されている。このようにブレーキステータ13R,13Lとブレーキロータ12R,12Lとが接触することにより、その摩擦力に応じた制動トルクがブレーキロータ12R,12Lに作用する。すなわち、ブレーキステータ13R,13Lとブレーキロータ12R,12Lとブレーキコイル14R,14Lとにより、摩擦ブレーキ15R,15Lが構成されている。
さらに、出力軸2Aにおける出力ギヤ4Rが連結されている箇所よりも車幅方向における中央側の先端にはT型断面の延長軸16が連結され、延長軸16に環状のクラッチディスク17が一体回転するようにスプライン嵌合されている。
また、出力軸3Aにおける出力ギヤ4Lが連結されている箇所よりも車幅方向における中央側の先端には有底円筒状であって、中空部にクラッチディスク17を収容するクラッチドラム18が連結されている。
クラッチドラム18の底面(図1における左側面)とクラッチディスク17との間には環状のプレッシャープレート19が設けられている。プレッシャープレート19は磁性材料により構成されており、クラッチドラム18と一体に回転するようにスプライン嵌合している。
さらに、クラッチドラム18の底面とプレッシャープレート19との間には、プレッシャープレート19をクラッチディスク17に向けて押圧するスプリング20が設けられている。
上記のクラッチドラム18の外側には、クラッチコイル21が設けられており、そのクラッチコイル21とスプリング20との間にヨーク22が設けられている。そのため、クラッチコイル21に通電すると、プレッシャープレート19をクラッチディスク17から離隔させる方向、すなわちスプリング20のバネ力に抗する方向に吸引力(電磁力)が発生する。
上記のクラッチディスク17とプレッシャープレート19とスプリング20とクラッチコイル21とヨーク22とによって電磁クラッチ(以下、単にクラッチと記す)23が構成されている。クラッチコイル21に通電していない場合には、スプリング20のバネ力によりクラッチディスク17とプレッシャープレート19とが接触して一体回転し、クラッチコイル21に通電した場合には、その電流に応じてクラッチディスク17とプレッシャープレート19との伝達トルク容量が設定される。
したがって、クラッチコイル21に通電せずに、プレッシャープレート19とクラッチディスク17とを摩擦係合させることにより、高出力モータ2と低出力モータ3とを一体に回転させることや、高出力モータ2と低出力モータ3との間でトルクを伝達することができる。また、クラッチコイル21に通電することにより、プレッシャープレート19とクラッチディスク17との間の伝達トルク容量を低下させることができ、高出力モータ2と低出力モータ3とを相対回転させることができる。
図1に示す駆動ユニット1は、更に、車両の電源がオフにされている場合に各駆動輪11R,11Lに制動トルクを作用させることができるパーキングロック機構24を備えている。このパーキングロック機構24は、車両の電源がオフにされた状態であってもブレーキロータ12Rとブレーキステータ13Rとの接触圧を維持できるように構成されている。具体的には、パーキングロック機構24は、ブレーキステータ13Rを挟んでブレーキロータ12Rとは反対側に設けられた環状の可動プレート25と、送りねじ機構26と、送りねじ機構26を作動させる制動用モータ27とを備えている。
送りねじ機構26は、制動用モータ27が出力するトルクによる回転運動を直線運動に変換し、可動プレート25をブレーキステータ13R側へ押圧する作動装置である。パーキングロック機構24は、制動用モータ27によって送りねじ機構26に所定の回転方向(正転方向とする)のトルクを付与することにより、可動プレート25およびブレーキステータ13Rをブレーキロータ12R側に押圧する。そして、ブレーキロータ12Rとブレーキステータ13Rとを摩擦係合させて高出力モータ2の出力軸2Aを制動する。なお、制動用モータ27によって送りねじ機構26に逆転方向のトルクを付与することにより、パーキングロック機構24による出力軸2Aの制動を解除することができる。
また、パーキングロック機構24における送りねじ機構26は、直線運動を回転運動に変換する場合の送りねじの逆効率が、回転運動を直線運動に変換する場合の送りねじの正効率よりも低い。したがって、送りねじ機構26で可動プレート25およびブレーキステータ13Rを、ブレーキロータ12R側に押圧して出力軸2Aを制動した状態を維持することができる。そのため、制動用モータ27によって送りねじ機構26を作動させ、出力軸2Aを制動した状態で、ブレーキコイル14Rや制動用モータ27に対する通電が止められた場合であっても、パーキングロック機構24による出力軸2Aの制動状態を維持することができる。したがって、この送りねじ機構26は、回転運動を直線運動に変換して出力軸2Aを制動するための推力を発生するとともに、推力を発生して出力軸2Aを制動した状態を保持することが可能な推力発生機構である。
上述した駆動ユニット1は、電源がオフにされている場合には、クラッチコイル21への電流の供給が停止されるので、クラッチ23は係合した状態となる。そのため、パーキングロック機構24で高出力モータ2の出力軸2Aの回転を停止させることにより、低出力モータ3の出力軸3Aの回転も停止される。つまり、各駆動輪11R,11Lに制動トルクを作用させた状態を維持することができる。なお、パーキングロック機構24は、高出力モータ2の出力軸2Aに限らず、例えば、低出力モータ3の出力軸3Aの回転を阻止するように構成されていてもよく、また、カウンタシャフト5Rの回転を阻止するように構成されていてもよい。
上述した駆動ユニット1は、クラッチ23を完全に係合して左右の駆動輪11R,11Lを一体に回転させ、または、左右の駆動輪11R,11Lに同一のトルクを伝達して走行することができる。その場合には、高出力モータ2と低出力モータ3とのうちの一方のモータ2(3)から走行のためのトルク(以下、駆動トルクと記す。)を出力して走行したり、一方のモータ2(3)から駆動トルクを出力するとともに他方のモータ3(2)によって駆動トルクのうちの一部すなわち目標とする駆動トルクに対する余剰トルクを回生して走行したりする。また、一方のモータ2(3)によって比較的大きなトルクを出力し、前記大きなトルクと目標とする駆動トルクとの差つまり目標とする駆動トルクに対して不足するトルクを他方のモータ3(2)によって出力するなど、それぞれのモータ2,3から出力するトルクを適宜設定することができる。
また、旋回時など左右の駆動輪11R,11Lを相対回転させる場合、あるいは左右の駆動輪11R,11Lに伝達するトルクを異ならせて走行する場合には、クラッチ23をスリップさせる。そして、上記と同様に少なくともいずれか一方のモータ2(3)からトルクを出力して走行したり、一方のモータ2(3)から駆動トルクを出力して他方のモータ3(2)が駆動トルクの一部すなわち目標とする駆動トルクに対する余剰トルクを回生して走行したりするなど、それぞれのモータ2,3から出力するトルクを適宜設定することができる。
さらに、旋回時における左右の駆動輪11R,11Lの回転数差が所定値以上大きい場合、あるいは左右の駆動輪11R,11Lに伝達するトルクの差が所定値以上大きい場合には、クラッチ23を完全に解放して、左右の駆動輪11R,11Lの出力を適宜定めることができる。その際には、例えば、旋回円の半径方向で外側に位置する外輪に連結されたモータ2(3)を力行し、内輪に連結されたモータ3(2)で回生してもよく、外輪に連結されたモータ2(3)のみがトルクを出力してもよい。
図2は、上述した駆動ユニット1を備えたこの発明の実施形態に係る車両用駆動装置の一例を模式的に示す図である。図2に示すように、車両Veにおける車幅方向での中央部であって、かつ、車両Veの前後方向での前方と後方とのそれぞれに駆動ユニット1が設けられている。すなわち、図2に示す車両Veは、四輪(全輪)駆動車である。各駆動ユニット1のうち、車両Veの前方に設けられた駆動ユニット(以下、前輪駆動ユニットと記す)1fの高出力モータ(以下、高出力前輪モータと記す)2fは、この発明の実施形態における第1前輪に相当する右前輪11Rf側に配置されていて右前輪11Rfにトルク伝達可能に連結されている。低出力モータ(以下、低出力前輪モータと記す)3fは、この発明の実施形態における第2前輪に相当する左前輪11Lf側に配置されていて左前輪11Lfにトルク伝達可能に連結されている。
車両Veの後方に設けられた駆動ユニット(以下、後輪駆動ユニットと記す)1rの高出力モータ(以下、高出力後輪モータと記す)2rは、この発明の実施形態における第1後輪に相当する左後輪11Lr側に配置されていて左後輪11Lrにトルク伝達可能に連結されている。低出力モータ(以下、低出力後輪モータと記す)3rは、この発明の実施形態における第2後輪に相当する右後輪11Rr側に配置されていて右後輪11Rrにトルク伝達可能に連結されている。すなわち、前輪駆動ユニット1fと後輪駆動ユニット1rとは左右を反転させたようにして車両Veの前後にそれぞれ配置されている。そのため、車両Veの右側と左側とのそれぞれに、高出力モータ2と低出力モータ3とが1つずつ設けられ、また、車両Veの前後方向で前方と後方とのそれぞれに、高出力モータ2と低出力モータ3とが1つずつ設けられている。なお、図2において、図1と同一の構成であって、車両Veの前後方向で前方に配置されている部材の参照符号に「f」を付し、後方に配置されている部材の参照符号に「r」を付してある。
また、車両Veに、バッテリーやキャパシタなどにより構成された高電圧の蓄電装置28が設けられている。蓄電装置28から前輪駆動ユニット1fの各モータ2f,3fや、クラッチコイル21f、ブレーキコイル14Rf,14Lfなどに電力が供給されるように構成されている。また、蓄電装置28から後輪駆動ユニット1rの各モータ2r,3rや、クラッチコイル21r、ブレーキコイル14Rr,14Lrなどに電力が供給されるように構成されている。さらに蓄電装置28には、各モータ2f,2r,3f,3rによって発電された電力が供給されるように構成されている。
蓄電装置28と各モータ2f,2r,3f,3rとの間には、直流電流を交流電流に変換するとともに、各モータ2f,2r,3f,3rに供給する電流値やその周波数を制御することができるインバータ29,30,31,32がそれぞれ設けられている。そのため、各モータ2f,2r,3f,3rをそれぞれ独立して制御することができるように構成されている。
上述した各モータ2f,2r,3f,3r、および、クラッチ23f,23r、ならびに、各インバータ29,30,31,32などを、一括して制御するための電子制御装置(以下、ECUと記す)33が設けられている。このECU33は従来知られている車両Veに搭載された電子制御装置と同様のものであって、マイクロコンピュータを主体として構成され、入力されるデータや予め記憶されているデータなどに基づいて演算を行い、その演算結果を制御指令信号として上述した各モータ2f,2r,3f,3r、および、クラッチ23f,23r、ならびに、各インバータ29,30,31,32などに出力するように構成されている。
ECU33に入力されるデータは各種のセンサによって得られたデータであって、そのセンサの例を挙げると、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ34、ブレーキペダルの踏み込み力や踏み込み量を検出するブレーキペダルセンサ35、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ36、車両Veの前後加速度や横加速度を検出する加速度センサ37、車両Veのヨーレートを検出するヨーレートセンサ38、各車輪の回転数を検出する車輪速センサ39などがその例である。なお、ECU33から各インバータ29,30,31,32に出力する制御信号を求める際には、従来知られたアンチロックブレーキシステム(ABS)、トラクションコントロール(TRC)、エレクトロニックスタビリティコントロール(ESC)、ダイナミックヨーレートコントロール(DYC)などを考慮して求める。
次に、上記構成の車両用駆動装置で設定することのできる駆動形態について説明する。例えば、発進する場合や低車速で前進走行する場合には、すなわち低い負荷で走行する場合には、前輪駆動ユニット1fの前輪側クラッチ23fと、後輪駆動ユニット1rの後輪側クラッチ23rとを共に完全係合させる。そして、各クラッチ23f,23rを完全係合させた状態で低出力前輪モータ3fと、低出力後輪モータ3rとを共に低い負荷で駆動する。例えば、各低出力モータ3f,3rの出力パワーを共に10kWに設定する。なお、各高出力モータ2f,2rは駆動しない。
また、低車速で前進走行している状態から加速する場合にはすなわち中程度の負荷で走行する場合には、各クラッチ23f,23rを完全係合させた状態で低出力前輪モータ3fの出力を増大させる。例えば、低出力前輪モータ3fの出力パワーを10kWから40kWに増大する。また、加速することに伴って車両Veの前後方向で後方に荷重移動が生じるため、低出力後輪モータ3rの駆動を停止し、低出力後輪モータ3rに替えて高出力後輪モータ2rを駆動する。例えば、高出力後輪モータ2rの出力パワーを80kWに設定する。
ここで、モータの効率について説明する。図3はモータの効率を説明するための模式図である。図3における横軸はモータの回転数を示し、図3における縦軸はモータの出力トルクを示している。また図3に記載してある複数の曲線は、同一の効率となるモータの運転点を結んだ線である。さらに、図3に記載してあるA点はモータの効率が最も良好となる運転点であり、その運転点Aから離れるほどモータの効率が低下(悪化)する。そのため、モータの回転数をN1とした場合には、運転点Aに向けてモータの出力トルクが増大すると、次第に効率が向上するが、運転点AでのトルクT1よりも大きいトルクを出力するほど、すなわちモータに対する負荷が大きいほど効率が低下する。そして、最大出力パワーや最大出力トルクが大きいモータにおける上述した運転点AでのトルクT1は、最大出力パワーや最大出力トルクが小さいモータに比較して、大きい。したがって、加速する場合には、後輪における荷重が増大するため、低出力後輪モータ3rに替えて、高出力後輪モータ2rによって走行のためのトルクを出力することが好ましい。なお、図3に示すモータの特性は実験により予め求めることができる。
さらに、急加速を行う場合には、すなわち高負荷で走行する場合には、各クラッチ23f,23rを完全係合させた状態で前輪駆動ユニット1fの低出力前輪モータ3fの駆動を停止し、低出力前輪モータ3fに替えて高出力前輪モータ2fを駆動する。例えば、高出力前輪モータ2fの出力パワーを100kWに設定する。また、後輪駆動ユニット1rの高出力後輪モータ2rに加えて低出力後輪モータ3rを駆動するとともに、高出力後輪モータ2rの出力を増大する。例えば、低出力後輪モータ3rの出力パワーを50kWに設定するとともに、高出力後輪モータ2rの出力パワーを150kWに設定する。
そして、急減速する場合には、各クラッチ23f,23rを完全係合させた状態で前輪駆動ユニット1fの低出力前輪モータ3fと、高出力前輪モータ2fと、後輪駆動ユニット1rの高出力後輪モータ2rとに発電のための負荷を与えてエネルギ回生を行う。減速することに伴って車両Veの前後方向で前方に荷重移動が生じるので、例えば、低出力前輪モータ3fの発電負荷を50kWに設定しかつ高出力前輪モータ2fの発電負荷を150kWに設定する。また、後輪駆動ユニット1rの高出力後輪モータ2rの発電負荷を、高出力前輪モータ2fの発電負荷より小さい100kWに設定する。こうすることにより減速しつつ発電する。
旋回時における駆動形態について説明する。図4はこの発明の実施形態における車両Veが左旋回するときにおける各モータ2f,2r,3f,3rの出力パワーの一例を説明するための模式図である。左旋回時においては、前輪駆動ユニット1fの前輪側クラッチ23fを解放するとともに、低出力前輪モータ3fの回転数に比較して高出力前輪モータ2fの回転数を増大させる。例えば低出力前輪モータ3fを40kWで駆動し、高出力前輪モータ2fを60kWで駆動する。また、後輪駆動ユニット1rの後輪側クラッチ23rを解放するとともに、高出力後輪モータ2rの回転数に比較して低出力後輪モータ3rの回転数を増大させる。例えば高出力後輪モータ2rを40kWで駆動し、低出力後輪モータ3rを50kWで駆動する。
これに対して、右旋回時には、各クラッチ23f,23rを解放するとともに、低出力前輪モータ3fの回転数に比較して高出力前輪モータ2fの回転数を低下させる。例えば低出力モータ3fを50kWで駆動し、高出力前輪モータ2fを40kWで駆動する。また、高出力後輪モータ2rの回転数に比較して低出力後輪モータ3rの回転数を増大させる。例えば高出力後輪モータ2rを60kWで駆動し、低出力後輪モータ3rを40kWで駆動する。
したがって、この発明の実施形態によれば、車両Veの左右と前後とのそれぞれに高出力モータ2f(2r)と、低出力モータ3r(3f)とを1つずつ配置してあるため、それぞれのモータ2f,2r,3f,3rを要求駆動力に応じて上述したように使い分けることができる。そのため、いわゆる走行時における負荷が低い領域から高い領域の全域に亘って、各モータ2f,2r,3f,3rを効率よく運転することができる。また、各モータ2f,2r,3f,3rを同時に最も効率の良い運転点で駆動したとしても、右側の前後輪11Rf,11Rrでの駆動トルクの合計値と、左側の前後輪11Lf,11Lrでの駆動トルクの合計値とを同じもしくはほぼ同じにすることができる。さらに、各モータ2f,2r,3f,3rを設計された最高出力パワーや最高出力トルクで同時に駆動した場合であっても、右側の前後輪11Rf,11Rrでの駆動トルクの合計値と、左側の前後輪11Lf,11Lrでの駆動トルクの合計値とを同じもしくはほぼ同じにすることができる。また、加速時には、主として前輪11Rf,11Lfに比較して大きい荷重が作用する後輪11Rr,11Lrの各モータ2r,3rを力行するので、効率よく加速することができ、減速時には主として後輪11Rr,11Lrに比較して大きい荷重が作用する前輪11Rf,11Lfの各モータ2f,3fで回生するので、効率よくエネルギ回生を行うことができる。したがって、様々な駆動形態を設定したとしても、各モータ2f,2r,3f,3rの運転状態を各駆動形態に適合することができるので、各モータ2f,2r,3f,3rの運転効率を向上することができるとともに、左右の駆動トルクのアンバランスを解消もしくは抑制することができ、ひいては車両Veの走行安定性や旋回性を向上することができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されないのであって、各高出力モータ2f,2rは、各低出力モータ3f,3rよりも出力パワーや出力トルクの大きいモータであればよく、したがって、各高出力モータ2f,2rは低出力モータ3f,3rよりも軸長の長いモータや、外径の大きいモータのいずれであってもよい。つまり、高出力モータ2f,2rとしては、図1に示す構成の高出力モータに替えて、図5に示すように、低出力モータ3f,3rの外径より大きい外径であってかつ低出力モータ3f,3rと同じ軸長のモータを用いてもよい。
1f…前輪駆動ユニット、 1r…後輪駆動ユニット、 2f…高出力前輪モータ、 2r…高出力後輪モータ、 3f…低出力前輪モータ、 3r…低出力後輪モータ、 11Rf…右前輪、 11Lf…左前輪、 11Rr…右後輪、 11Lr…左後輪、 23f…前輪側クラッチ、 23r…後輪側クラッチ、 33…電子制御装置、 Ve…車両。

Claims (1)

  1. 左右の前輪と左右の後輪とをモータによって駆動する車両用駆動装置において、
    第1前輪を駆動する高出力前輪モータと、前記高出力前輪モータよりも低出力でかつ第2前輪を駆動する低出力前輪モータと、前記高出力前輪モータと前記低出力前輪モータとを選択的に連結する前輪側クラッチとを有する前輪駆動ユニットが前記前輪側に設けられ、
    第1後輪を駆動する高出力後輪モータと、前記高出力後輪モータよりも低出力でかつ第2後輪を駆動する低出力後輪モータと、前記高出力後輪モータと前記低出力後輪モータとを選択的に連結する後輪側クラッチとを有する後輪駆動ユニットが前記後輪側に設けられ、
    前記第1前輪と前記第2後輪とが車両の左側車輪と右側車輪とのいずれか一方の駆動輪であり、前記第2前輪と前記第1後輪とが前記車両の左側車輪と右側車輪とのいずれか他方の駆動輪である
    ことを特徴とする車両用駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116039587A (zh) * 2023-03-30 2023-05-02 小米汽车科技有限公司 制动控制方法、装置、系统、车辆、介质及芯片

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