JP2018186711A - クロロゲン酸類含有組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の課題は、固形状としたときに耐吸湿性に優れ、かつ飲料形態としたときに酸性領域において濁りが生じ難いクロロゲン酸類含有組成物を提供することにある。
(A)クロロゲン酸類、及び
(B)ガラクトース
を含み、
固形分当たりのクロロゲン酸類の含有量が13質量%以上であり、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0002以上である、
クロロゲン酸類含有組成物を提供するものである。
本発明のクロロゲン酸類含有組成物中の固形分当たりの成分(A)の含有量は13質量%以上であるが、生理効果の観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましい。なお、かかる固形分当たりの成分(A)の含有量の上限値は特に限定されないが、生産効率、コストの観点から、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、55質量%以下が殊更に好ましい。かかる固形分当たりの成分(A)の含有量の範囲としては、好ましくは13〜70質量%、より好ましくは15〜70質量%、更に好ましくは20〜65質量%、より更に好ましくは25〜60質量%、殊更に好ましくは25〜55質量%である。ここで、本明細書において「(A)クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称であり、成分(A)の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。本発明においては、上記9種のクロロゲン酸類のうち少なくとも1種を含有すればよいが、9種すべてを含有することが好ましい。成分(A)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の分析法を挙げることができる。また、本明細書において「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
本発明のクロロゲン酸類含有組成物は、固形分当たりの成分(C)の含有量が、耐吸湿性(固化抑制)、濁り抑制の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.07質量%以上がより好ましく、0.09質量%以上が殊更に好ましく、そして10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。かかる固形分当たりの成分(B)の含有量の範囲としては、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.07〜6質量%、更に好ましくは0.09〜3質量%である。なお、成分(C)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の分析法を挙げることができる。
本発明のクロロゲン酸類含有組成物を含有する飲食品は、質量比[(B)/(A)]、質量比[(C)/(A)]及び質量比[(C)/(B)]について上記特性を具備することができる。
飲食品中のクロロゲン酸類含有組成物の含有量は、飲食品の形態により適宜選択することができるが、例えば、飲食品が飲料である場合、飲料中のクロロゲン酸類の含有量が、好ましくは0.001〜2.0質量%、より好ましくは0.005〜1.0質量%、更に好ましくは0.01〜0.5質量%となる量とすることができる。この場合、所望のクロロゲン酸類含有量となるように水等で希釈することも可能である。水としては、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等を適宜選択して使用することができるが、中でも、味の面から、イオン交換水が好ましい。クロロゲン酸類含有組成物を含有する飲料のpH(25℃)は、好ましくは1〜5、より好ましくは1.5〜4.5、更に好ましくは2.0〜4.0である。
また、飲料は、加熱殺菌済でもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。また、容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌を採用することができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
コーヒー豆の豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種等が挙げられる。また、コーヒー豆の産地としては、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。本発明においては、豆種や産地の異なるコーヒー豆を2種以上混合して使用することができる。焙煎方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することが可能であり、また焙煎条件も所望のL値の焙煎コーヒー豆が得られるように適宜選択することができる。抽出に使用する焙煎コーヒー豆は、未粉砕でも、粉砕したものでも構わない。
高純度クロロゲン酸類製剤は、市販のクロロゲン酸類試薬を用いても構わないが、例えば、クロロゲン酸類を含む植物から得られたクロロゲン酸類製剤を使用することもできる。クロロゲン酸類を含む植物としては、前述のコーヒー豆の他、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ、南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等が挙げられる。中でも、クロロゲン酸類含量の点から、コーヒー豆が好ましい。なお、コーヒー豆の豆種、産地は特に限定されず、前述したコーヒー豆を1種又は2種以上適宜選択することができる。コーヒー豆は未焙煎でも、焙煎したものでもよく、焙煎度は適宜選択することができる。
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV−VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
・モノカフェオイルキナ酸:5.3min、8.8min、11.6minの計3点
・フェルラキナ酸:13.0min、19.9min、21.0minの計3点
・ジカフェオイルキナ酸:36.6min、37.4min、44.2minの計3点
ここで求めたarea%から5−CQAを標準物質とし、クロロゲン酸類の含有量(質量%)を求めた。
・カフェイン:19.1min
ここで求めたarea%から試薬カフェインを標準物質とし、カフェインの含有量(質量%)を求めた。
試料に50%エタノールを加え超音波抽出し、更に50%エタノールを加えて定容した。次いで、試料溶液をろ紙ろ過し、ろ液を濃縮・乾固して水を加え、メンブランフィルタでろ過をした後、高速液体クロマトグラフ分析に供した。
・機種 :HPLCシステム:LC-20A(株式会社島津)
・検出器:分光蛍光光度計 RF-10AXL(株式会社島津)
・カラム:TSK-gel sugar AXG 4.6mmI.D.×1.5cm(東ソー株式会社)
・カラム温度:70℃
・移動相:0.5mol/Lホウ酸カリウム検証液、pH8.7
・流量 :0.4mL/min
・ポストカラム標識:反応液:1w/v%アルギニン・3w/v%ホウ酸
反応試薬流速:0.5mL/min
反応温度:150℃
・検出波長:Ex.320nm、Em.430nm
試料を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて測定した。
粉末状の各クロロゲン酸類含有組成物をイオン交換水に溶解し、クロロゲン酸類濃度を300mg/Lに調整した後、クエン酸(扶桑化学工業社製)を用いてpH3.0に調整して飲料を調製した。各飲料の濁度について、濁度計(U−2010、HITACHI社製)を用いて、波長660nm、90°透過散乱比較方式で20℃にて測定した。
粉末状の各クロロゲン酸類含有組成物を、37℃、RH60%の環境可変室に、12時間保存し、12時間後の粉体の外観を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
5:保存前と外観に変化がない
4:わずかに粒状体がある
3:わずかに塊状体がある
2:表面の一部が固化している
1:表面が全体的に固化している
クロロゲン酸類製剤Aの製造
ドリップ抽出器に生コーヒー豆(産地:ベトナム)を400g投下した。ドリップ抽出器下部に底湯0.250Lをはった後、ドリップ抽出器上部からシャワーにより1.02Lの温水を供給し、10分間その状態を保持した。保持後にシャワーにより温水を供給しながら、ドリップ抽出器下部から12.5g/10秒の速度で引抜を行った。採液量が2.4Lに達したときに採液を止め、本採液を抽出液とした。得られた抽出液を、スプレードライヤーを用いて乾燥し、粉末状のクロロゲン酸類製剤Aを得た。クロロゲン酸類製剤Aは、クロロゲン酸類の含有量が26質量%であった。
高純度クロロゲン酸類製剤B
市販品のクロロゲン酸類製剤(GCB70、Cepham社製)をクロロゲン酸類製剤Bとして使用した。なお、クロロゲン酸類製剤Bは粉末状であり、クロロゲン酸類の含有量が72質量%であった。
原料が中焙煎コーヒー豆であるクロロゲン酸類製剤Cの製造
L29の焙煎コーヒー豆(産地:ベトナム)を粉砕し、円筒状抽出搭(内径160mm×高さ660mm)6本に、1搭当たりの充填量が4.2kgとなるように充填した。次いで150℃の熱水を1段目の抽出搭の下部から上部へ送液した。次いで1段目の抽出搭上部から排出されたコーヒー抽出液を、2段目の抽出搭下部から上部へ送液した。この操作を3段目以降の抽出塔についても繰り返し行い、6段目の抽出搭の上部から排出されたコーヒー抽出液を、速やかに冷却するとともに回収した。抽出は全て0.3MPaの加圧下で行った。得られた抽出液をロータリーエバポレーター(N−1100V型、東京理科器械(株)社製)を用い30torr、50℃にて減圧加熱濃縮し、Brix10の濃縮組成物を得た。続いて、円筒状のカラム(内径72mm×高さ100mm)に活性炭(白鷺WH2C LSS、日本エンバイロケミカルズ製)100g加え、80℃、10分間殺菌した後に、上記Brix10の濃縮組成物2.0kgを、25℃、流量64.0mL/minにて送液し、カラム出口より最終的な採液量として2.4kgの活性炭処理液を得た。得られた処理液を、スプレードライヤーを用いて乾燥し、粉末状のクロロゲン酸類製剤Cを得た。クロロゲン酸類製剤Cは、クロロゲン酸類の含有量が10質量%であった。
クロロゲン酸類製剤D
L16の焙煎コーヒー豆(産地:ベトナム)を粉砕し、円筒状抽出搭(内径160mm×高さ660mm)6本に、1搭当たりの充填量が4.2kgとなるように充填した。次いで150℃の熱水を1段目の抽出搭の下部から上部へ送液した。次いで1段目の抽出搭上部から排出されたコーヒー抽出液を、2段目の抽出搭下部から上部へ送液した。この操作を3段目以降の抽出塔についても繰り返し行い、6段目の抽出搭の上部から排出されたコーヒー抽出液を、速やかに冷却するとともに回収した。抽出は全て0.3MPaの加圧下で行った。得られた抽出液をロータリーエバポレーター(N−1100V型、東京理科器械(株)社製)を用い30torr、50℃にて減圧加熱濃縮し、Brix10の濃縮組成物を得た。得られた処理液を、スプレードライヤーを用いて乾燥し、粉末状のクロロゲン酸類製剤Dを得た。クロロゲン酸類製剤Dは、クロロゲン酸類の含有量が2.4質量%であった。
表1に示す各成分を混合し、クロロゲン酸類含有組成物を製造した。得られたクロロゲン酸類含有組成物について組成分析、評価を行った。その結果を表1に示す。
Claims (7)
- 次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類、及び
(B)ガラクトース
を含み、
固形分当たりのクロロゲン酸類の含有量が13質量%以上であり、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0002以上である、
クロロゲン酸類含有組成物。 - 成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.0002〜0.015である、請求項1記載のクロロゲン酸類含有組成物。
- 固形分当たりの成分(B)の含有量が0.02〜0.30質量%である、請求項1又は2記載のクロロゲン酸類含有組成物。
- 成分(C)としてカフェインを含み、成分(A)と成分(C)との質量比[(C)/(A)]が0.01〜0.30である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクロロゲン酸類含有組成物。
- 成分(C)としてカフェインを含み、成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が5〜150である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のクロロゲン酸類含有組成物。
- 固形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のクロロゲン酸類含有組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載クロロゲン酸含有組成物を含有する、飲食品
。
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