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JP2018182942A - モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 Download PDF

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JP2018182942A
JP2018182942A JP2017081523A JP2017081523A JP2018182942A JP 2018182942 A JP2018182942 A JP 2018182942A JP 2017081523 A JP2017081523 A JP 2017081523A JP 2017081523 A JP2017081523 A JP 2017081523A JP 2018182942 A JP2018182942 A JP 2018182942A
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Abstract

【課題】検出電流波形に生じる段差を低減することに起因して生じる電流検出精度の低下を抑制したモータ制御装置を提供する。【解決手段】電流値生成器530aは、検出制御部901、検出生成部902、補正値記憶部904、補正制御部903からなる。検出制御部は駆動電圧Vαにより検出値生成部に制御指令を出力し、検出値生成部は該制御指令と搬送波情報とに基づいてモータ電流に比例した検出電圧値Vsnsから電流値Isnsを生成する。補正制御部は補正記憶部から読み出した補正値を電流値に加算することによって電流値を補正し、補正後の値を補正後電流値iαとして出力する。【選択図】図8

Description

本発明は、モータを制御するモータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
従来、モータの駆動制御において、モータの巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出された電流値に基づいて、巻線に供給する駆動電流を制御する制御方法が知られている。
図14は、モータを駆動するモータ駆動回路50の構成の例を示す図である。図14に示すように、モータ駆動回路50は、スイッチング素子としてのFET Q1〜Q4及びモータの巻線L1等を有する。具体的には、FET Q1〜Q4はHブリッジ回路を構成し、巻線L1は、FET Q1とQ3との接続点とFET Q2とQ4との接続点とを繋ぐように接続されている。また、FET Q1及びQ2のドレイン端子は24Vの電源端子に接続され、FET Q3及びQ4のソース端子は、抵抗器200の一端に接続される。更に、抵抗器200の他端はグラウンド(GND)に接続される。即ち、抵抗器は接地されている。なお、モータは第1相の巻線と第2相の巻線とを有し、モータ駆動回路はモータの第1相及び第2相それぞれに対応して設けられている。更に、モータ駆動回路の駆動は相毎に独立に行われているものとする。モータの制御は、第1相において検出された電流値と第2相において検出された電流値とに基づいて行われる。
FET Q1及びQ4はPWM信号であるPWM+によって駆動され、FET Q2及びQ3はPWM信号であるPWM−によって駆動される。なお、PWM+とPWM−は互いに逆位相の関係にある。即ち、PWM+が‘H(ハイレベル)’である場合は、PWM−は‘L(ローレベル)’である。また、PWM−が‘H’である場合は、PWM+は‘L’である。なお、PWM信号が‘H’である場合はFETの動作はオン状態となり、PWM信号が‘L’である場合はFETの動作はオフ状態となる。
図15は、PWM+、PWM−及び巻線L1に流れる駆動電流の電流値Iの関係を示すタイムチャートである。
図15において、期間T1は、巻線L1に流れる駆動電流Iが正、即ち、図14に示す矢印の方向に駆動電流Iが流れる期間である。また、期間T2は、巻線L1に流れる駆動電流Iが負、即ち、図15に示す矢印と逆方向に駆動電流Iが流れる期間である。
期間T1において、PWM+が‘H(ハイレベル)’である場合は、電源、FET Q1、巻線L1、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘L(ローレベル)’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q3、巻線L1、FET Q2、電源の順に駆動電流が流れる。また、期間T2において、PWM+が‘L’である場合は、電源、FET Q2、巻線L1、FET Q3、GNDの順に駆動電流が流れる。その後、PWM+が‘H’になると、巻線L1には、電流の変化を阻止する方向に誘導起電力が生じる。この結果、GND、FET Q4、巻線L1、FET Q1、電源の順に駆動電流が流れる。
電流値Iは、抵抗器200にかかる電圧Vsnsに基づいて検出される。しかしながら、前述したように、期間T1において、PWM+が‘H’である場合は、電源1、FET Q1、巻線L1、FET Q4、GNDの順に駆動電流が流れる。また、期間T1において、PWM+が‘L’である場合は、GND、FET Q3、巻線L1、FET Q2、電源1の順に駆動電流が流れる。即ち、期間T1において、駆動電流が電源側からGNDへ向かう方向に流れる場合と、駆動電流がGNDから電源側へ向かう方向に流れる場合とがある。なお、期間T2についても同様である。したがって、図14に示す位置に抵抗器を設け、該抵抗器の両端の電圧Vsnsに基づいて駆動電流Iを検出すると、抵抗器に流れる実際の電流の向きと検出された駆動電流の向きとが一致しない。
特許文献1においては、抵抗器がモータ駆動回路とグラウンドとの間に設けられている。また、抵抗器の両端電圧Vsnsの極性を切り替える切替手段が設けられ、前記切替手段は、PWM信号に応じてVsnsの極性の切り替えを行う、という構成が述べられている。
前記特許文献1において述べられている構成においては、PWM+の‘H’と‘L’とを切り替える時間間隔が短いことによって、スイッチング素子がPWM+の‘H’と‘L’との切り替えに応答出来ない場合が考えられる。この場合、Vsnsの極性を切り替える必要が無いにもかかわらずVsnsの極性を切り替えてしまい、抵抗器に流れる実際の電流の向きと検出された駆動電流の向きとが一致しない可能性がある。
そこで、本出願人は、PWM+が‘H’である期間(ハイ期間)と‘L’である期間(ロー期間)のうち、期間が長い方における電流値を検出する構成を提案している。具体的には、本出願人は、図16に示すように、DUTY比(PWM+の1周期に対するハイ期間の割合)が50%以上の場合はハイ期間の電流値を検出し、DUTY比が50%未満の場合はロー期間の電流値を検出する構成を提案している。このような構成を用いることによって、抵抗器に流れる実際の電流の向きと検出された駆動電流の向きとが一致しなくなることを抑制することができる。
更に、本出願人は、前述した方法で電流値を検出する場合に、DUTY比が50%未満の値から50%以上の値に変化する際、又は、DUTY比が50%以上の値から50%未満の値に変化する際に生じる電流波形の歪みを低減する構成を提案している。具体的には、本出願人は、ハイ期間に検出された電流値を予め決定された補正値C1により補正し、ロー期間に検出された電流値を予め決定された補正値C2により補正することによって、図17に示す電流波形の歪みを低減する構成を提案している。なお、補正値C1は検出された電流値を減少させる値であって、補正値C2は検出された電流値を増大させる値である。
図18は、補正値C1及びC2を決定する方法を説明する図である。なお、図18には、デューティ比が50%であるPWM信号の1周期における電流波形が示されている。前述した補正値C1は、検出された電流値を、図18に示されている差分値Δi1減少させる値であって、前述した補正値C2は、検出された電流値を、図18に示されている差分値Δi2増大させる値である。
特開平8−99645号公報
前述した方法で電流値が補正される場合、例えば、デューティ比が70%である状態において検出された電流値が、デューティ比が50%である状態において検出された電流値に基づいて決定された補正値C1及びC2によって補正される。
しかしながら、差分値Δi1及びΔi2は、デューティ比によって異なる値となる。具体的には、デューティ比が大きいほど、差分値Δi1は小さくなり差分値Δi2は大きくなる。
したがって、デューティ比が70%の状態でハイ期間に検出された電流値が、差分値Δi1減少させる補正値C1によって補正されると、補正後の値が実際に流れる電流の値よりも小さくなってしまう可能性がある。また、デューティ比が30%の状態でロー期間に検出された電流値が、差分値Δi2増大させる補正値C2によって補正されると、補正後の値が実際に流れる電流の値よりも大きくなってしまう可能性がある。この結果、図19に示すように、検出された電流波形の振幅が、実際にモータの巻線に流れる電流の振幅よりも小さくなってしまう可能性がある。
実際にモータの巻線に流れる電流の振幅よりも振幅が小さい電流波形に基づいて巻線に流れる駆動電流の制御が行われると、巻線に流れる駆動電流を高精度に制御できなくなってしまう可能性がある。この結果、モータの制御を高精度に行うことができなくなってしまう可能性がある。
上記課題に鑑み、本発明は、検出された駆動電流の波形に生じる段差を低減することに起因して当該波形の振幅が小さくなってしまうことを抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかるモータ制御装置は、
Hブリッジ回路を構成する複数のスイッチング素子を備え、モータの巻線が接続される駆動回路と、
前記複数のスイッチング素子のオン動作、オフ動作を制御するPWM信号であって、ハイレベルとローレベルの一方である第1レベルの信号とハイレベルとローレベルの他方である第2レベルの信号とで構成されるPWM信号を生成するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段によって生成されたPWM信号のデューティ比によって決まるタイミングにおいて、前記巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値を補正する補正手段と、
を有し、
前記補正手段は、前記デューティ比が所定値より大きい場合は、前記PWM信号が前記第1レベルである第1期間に前記駆動電流の電流値を検出し、前記デューティ比が前記所定値より小さい場合は、前記PWM信号が前記第2レベルである第2期間に前記駆動電流の電流値を検出し、
更に、前記補正手段は、前記PWM信号が前記ハイレベルであるハイ期間に検出された電流値を、当該電流値を減少させる第1補正値に基づいて補正し、前記PWM信号が前記ローレベルであるロー期間に検出された電流値を、当該電流値を増加させる第2補正値に基づいて補正し、
更に、前記補正手段は、前記第1補正値又は前記第2補正値に基づいて補正された電流値を、当該電流値の絶対値を増大させる第3補正値に基づいて更に補正し、
前記パルス生成手段は、前記補正手段が前記第3補正値に基づいて補正した電流値に基づいて、前記PWM信号を生成することを特徴とする。
本発明によれば、第1補正値又は第2補正値に基づいて補正された電流値を、当該電流値の絶対値を増大させる第3補正値に基づいて更に補正する。この結果、検出された駆動電流の波形に生じる段差を低減することに起因して当該波形の振幅が小さくなってしまうことを抑制することができる。
第1実施形態に係る画像形成装置を説明する断面図である。 前記画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。 A相及びB相から成る2相のモータと、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。 第1実施形態に係るモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 モータ駆動部の構成を示す図である。 PWM信号が生成される構成を説明する図である。 PWM信号が生成される方法を説明する図である。 電流値生成器の構成を示す図である。 補正値を決定する方法を説明するフローチャートである。 各デューティ比における駆動電流の波形を示す図である。 補正後の電流波形の振幅を補正する方法を説明する図である。 第1実施形態に係るモータの制御方法を示すフローチャートである。 速度フィードバック制御を行うモータ制御装置の構成を示すブロック図である。 モータ駆動回路50の構成の例を示す図である。 PWM+、PWM−及び巻線L1に流れる駆動電流の電流値Iの関係を示すタイムチャートである。 デューティ比と検出される電流値との関係を示す図である。 検出された電流の波形を示す図である。 補正値を決定する方法を説明する図である。 電流波形の振幅を示す図である。
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲が以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられるシート搬送装置を有するモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿給送装置201、読取装置202及び画像印刷装置301を有する。
原稿給送装置201の原稿積載部203に積載された原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206に沿って読取装置202の原稿ガラス台214上に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送されて、排紙ローラ205によって不図示の排紙トレイへ排紙される。読取装置202の読取位置において照明209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部111に導かれ、画像読取部111によって画像信号に変換される。画像読取部111は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部111から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって各種補正処理が行われた後、画像印刷装置301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
また、原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、一定速度で搬送される原稿の画像を、所定の位置に固定された照明系209及び光学系によって読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する照明系209及び光学系によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿の画像は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿の画像は第2読取モードで読み取られる。
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、給紙ローラ303によって給送されて、搬送ローラ306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、給紙ローラ305によって給送されて、搬送ローラ307及び306によってレジストレーションローラ308へ送り出される。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。なお、感光ドラムの帯電には、例えば、コロナ帯電器や帯電ローラを用いた帯電方法が用いられる。
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。感光ドラム309に形成されたトナー像は、感光ドラム309と対向する位置(転写位置)に設けられた転写帯電器315によって記録媒体に転写される。この転写タイミングに合わせて、レジストレーションローラ308は記録媒体を転写位置へ送り込む。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジストレーションローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体がフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本発明における負荷とはモータによって駆動される対象物である。例えば、給紙ローラ204、303、305、レジストレーションローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラ(搬送ローラ)や感光ドラム309、搬送ベルト208、317、照明系209及び光学系等は本発明における負荷に対応する。本実施形態のモータ制御装置は、これら負荷を駆動するモータに適用することができる。
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置600、センサ類159、ACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置600に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。更に、システムコントローラ151は、センサ類159からの信号を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155の設定値を設定する。高圧制御部155は、システムコントローラ151によって設定された設定値に応じて、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。なお、センサ類159には、搬送ローラによって搬送される記録媒体を検知するセンサ等が含まれる。
モータ制御装置600は、CPU151aから出力された指令に応じて、負荷を駆動するモータ509を制御する。なお、図2においては、画像形成装置のモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には複数個のモータが設けられているものとする。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図2においては、モータ制御装置が1個しか設けられていないが、実際には、複数個のモータ制御装置が画像形成装置に設けられているものとする。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用する記録媒体の種類(以下、紙種と称する)等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシート材のジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
[モータ制御部]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。
<ベクトル制御>
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置600がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないが、ロータリエンコーダなどのセンサが設けられていてもよい。
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
図4は、モータ509を制御するモータ制御装置600の構成の例を示すブロック図である。本実施形態におけるモータ制御装置600は、ベクトル制御を用いてモータを制御するモータ制御部157及びモータの巻線に駆動電流を供給してモータを駆動させるモータ駆動部158によって構成されている。なお、モータ制御装置600は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
図4に示すように、モータ制御部157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)とd軸成分の電流値(d軸電流)とによって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当し、回転子402のトルクの発生には寄与しない。モータ制御部157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御部157は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。
モータ制御部157は、モータ509の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、所定の時間周期で指令位相θ_refをモータ制御部157へ出力する。
減算器101は、モータ509の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差を演算し、該偏差を位相制御器502に出力する。
位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力された偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力された偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、モータ駆動部158によって後述する方法により検出される。モータ駆動部158によって検出された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図3に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512に入力される。
座標変換器511は、静止座標系における電流値iα及びiβを、次式によって、回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
減算器102には、位相制御器502から出力されたq軸電流指令値iq_refと座標変換器511から出力された電流値iqとが入力される。減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103には、位相制御器502から出力されたd軸電流指令値id_refと座標変換器511から出力された電流値idとが入力される。減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、前記偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、前記偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。即ち、電流制御器503は、電圧生成手段として機能する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換された駆動電圧Vα及びVβを誘起電圧決定器512、PWMインバータ506及び電流値生成器530に出力する。電流値生成器530については後述する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。なお、フルブリッジ回路(モータ駆動回路)は、図18において説明したモータ駆動回路50と同様の構成である。即ち、巻線L1は、一端がFET Q1とQ3とを繋ぐ導線に接続され、他端がFET Q2とQ4とを繋ぐ導線に接続されている。なお、図18においては、巻線L1は、実際には、モータ509に設けられている巻線である。即ち、巻線L1はモータ制御装置157の外部に設けられている。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM(パルス幅変調)信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等であっても良い。
次に、回転位相θを決定する構成について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとから、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。R及びLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置600に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは位相決定器513に出力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータ509の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルをROM151b等に記憶しておき、前記テーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505及び座標変換器511に入力される。
モータ制御装置157は、上述の制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を用いたベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。また、位相フィードバック制御を行うことによって、回転子の回転位相が所望の位相になるように回転子の回転位相を制御することができる。したがって、画像形成装置において、回転位相を精度よく制御する必要がある負荷(例えば、レジストレーションローラ)を駆動するモータに位相フィードバック制御によるベクトル制御が適用されることによって、記録媒体への画像形成を適切に行うことができる。
[モータ駆動部]
以上のように、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値に基づいて巻線に流れる駆動電流を制御する。即ち、モータの駆動制御においては、巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する構成、及び、駆動電流を巻線に供給する構成が必要となる。
図5は、本実施形態におけるモータ駆動部158の構成の例を示す図である。図5に示すように、モータ駆動部158は、A相におけるPWMインバータ506a、A/D変換器510a、電流値生成器530aを有する。また、モータ駆動部158は、B相におけるPWMインバータ506b、A/D変換器510b、電流値生成器530bを有する。なお、図4に示すPWMインバータ506にはPWMインバータ506aとPWMインバータ506bとが含まれる。また、図4に示すA/D変換器510にはA/D変換器510aとA/D変換器510bとが含まれる。更に、図4に示す電流値生成器530には電流値生成器530aと電流値生成器530bとが含まれる。このように、PWMインバータ、A/D変換器及び電流値生成器はモータ509のA相とB相それぞれに対応して設けられており、相毎に独立に駆動される。なお、PWMインバータ506aの構成とPWMインバータ506bの構成は同じ構成であるため、図5においては、PWMインバータ506aの具体的構成を示している。PWMインバータ506aは、モータ駆動回路50a、モータ駆動回路50aに設けられた複数のFETのオン動作/オフ動作を制御するPWM信号を生成するPWM生成器203、抵抗器200の両端の電圧信号を増幅する増幅器300を有する。
また、図5に示すように、モータ制御部157は、A相の巻線に発生する誘起電圧の値を決定する誘起電圧決定器512aとB相の巻線に発生する誘起電圧の値を決定する誘起電圧決定器512bとを有する。なお、図4に示す誘起電圧決定器512には誘起電圧決定器512aと誘起電圧決定器512bとが含まれる。
以下に、モータ駆動部158がA相の巻線に駆動電流を供給する方法、及び、モータ駆動部158がA相の巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する方法について説明する。なお、B相については、A相と同様の構成であるため説明を省略する。また、図14乃至図19において既に説明した内容と同様の部分については、説明を省略する。
<駆動電流を供給する方法>
まず、モータ駆動部158が巻線に駆動電流を供給する方法について説明する。
図6は、本実施形態におけるPWM生成器203がPWM信号を生成する構成を説明する図である。図6に示すように、PWM生成器203は、変調波と搬送波とを比較してPWM信号を生成する比較器203aを有する。なお、本実施形態においては、PWM生成器203が所定の周波数の三角波搬送波を生成しているものとする。具体的には、例えば、PWM生成器203は、CPU151aがモータ制御装置600に指令(指令位相θ_ref)を出力する周期に対応する周波数の三角波搬送波を生成しているものとする。また、三角波搬送波の値が極小値となるタイミングから次に極小値となるタイミングまでの期間を一周期とすると、該三角波搬送波の1周期(極小値から次の極小値まで)の波形は、該三角波搬送波の値が極大値となるタイミングを基準として線対称な波形とする。また、A相における三角波搬送波はB相における三角波搬送波に同期している。
図7は、PWM生成器203がPWM信号を生成する方法を説明する図である。以下に、図5乃至図7を用いて、PWM生成器203がPWM信号を生成する方法を説明する。
図5に示すように、モータ制御部157から出力された駆動電圧Vαは、PWM生成器203に入力される。PWM生成器203は比較器203aを用いて変調波としての駆動電圧Vαと三角波搬送波とを比較し、駆動電圧Vαが三角波搬送波よりも大きい期間(ハイ期間)は‘H’、駆動電圧Vαが三角波搬送波よりも小さい期間(ロー期間)は‘L’としてPWM+を生成する。また、PWM生成器203は、PWM+の位相を反転させたPWM−を生成する。このように、PWM生成器203はパルス生成手段として機能する。
図5に示すように、PWM生成器203は、PWM+をFET Q1及びQ4に出力し、PWM−をFET Q2及びQ3に出力する。FET Q1乃至Q4は、PWM+とPWM−によって、オン動作/オフ動作が制御される。この結果、A相の巻線L1に供給する駆動電流の大きさ及び向きを制御することができる。
本実施形態においては、駆動電圧が24Vである場合はデューティ比が100%、駆動電圧が0Vである場合はデューティ比が50%、駆動電圧が−24Vである場合はデューティ比が0%に対応する。即ち、本実施形態においては、駆動電圧VαはPWM+のデューティ比に対応する値である。なお、本実施形態においては、PWM+の周期に対するハイ期間の割合をデューティ比と定義するが、PWM+の周期に対するロー期間の割合をデューティ比と定義しても良い。
<駆動電流を検出する方法>
次に、モータ駆動部158が巻線に流れる駆動電流の電流値を検出する方法について説明する。
前述したように、巻線に流れる駆動電流は抵抗器200にかかる電圧Vsnsに基づいて検出される。増幅器300は、電圧Vsnsの信号を増幅してA/D変換器510aに出力する。A/D変換器510aは、電圧Vsnsをアナログ値からデジタル値へと変換して、電流値生成器530aに出力する。また、電流値生成器530aには、モータ制御部157から出力される駆動電圧Vα及びPWM生成器203から出力される三角波搬送波の情報としての周波数及び位相の情報が入力される。
図8は、電流値生成器530aの構成を示す図である。電流値生成器530aは、検出制御部901、検出値生成部902、補正制御部903、補正値記憶部904、及び補正値生成部905を備える。
検出制御部901は、モータ制御部157から出力された駆動電圧Vαに基づいて、検出値生成部902及び補正制御部903を制御する。
具体的には、検出制御部901は、駆動電圧Vαが負(デューティ比が50%未満)の場合はロー期間に電圧値Vsnsをサンプリングするように検出値生成部902を制御する。検出値生成部902は、検出制御部901からの指令に基づいて、PWM生成器203によって生成されたPWM+が立ち下がった(‘H’から‘L’に切り替わった)後に三角波搬送波が最初に極値となるタイミングで電圧値Vsnsをサンプリングする。そして、検出値生成部902は、サンプリングした電圧値Vsnsの極性を反転させて、電流値Isnsを生成する。また、検出制御部901は、駆動電圧が0V以上(デューティ比が50%以上)の場合は、ハイ期間に電圧値Vsnsをサンプリングするように検出値生成部902を制御する。検出値生成部902は、検出制御部901からの指令に基づいて、PWM生成器203によって生成されたPWM+が立ち上がった(‘L’から‘H’に切り替わった)後に三角搬送波が最初に極値となるタイミングで電圧値Vsnsをサンプリングする。そして、検出値生成部902は、サンプリングした電圧値Vsnsの極性を反転させず、電流値Isnsを生成する。なお、検出値生成部902は、サンプリングした電圧値Vsnsに基づいて電流値Isnsを生成した後に、電流値Isnsの極性を反転させる処理を行ってもよい。
このように、三角波搬送波が極値となるタイミングで電圧値Vsnsをサンプリングすることによって、PWM信号が立ち上がる又は立ち下がるタイミングにおいてデジタル値をサンプリングすることを防止することが出来る。この結果、PWM信号が立ち上がる又は立ち下がる際にスイッチング素子がスイッチングすることに起因して発生するノイズがサンプリングした値に含まれることを抑制することができる。
<電流値Isnsを補正する方法>
次に、検出された電流値Isnsを補正する方法について説明する。本実施形態では、以下の構成をモータ駆動部158に適用することによって、検出される電流波形に生じる段差を低減する。
図18は、電流値を補正する補正値を取得する方法を説明する図である。図18には、駆動電流I(t)、サンプリングタイミングts1、ts2及び、電流値Isnsの補正の基準として用いられる直線状の基準関数ref1(t)、ref2(t)が示されている。なお、tは時間を示す。基準関数ref1(t)は、PMW信号(PWM+)のH期間に駆動電流Iが線形的に増加した場合を示し、基準関数ref2(t)は、PMW信号(PWM+)のL期間に駆動電流Iが線形的に減少した場合を示している。なお、図18では、PWM生成部203によってデューティ比DR=50%のPWM信号を生成した場合が一例として示されている。
図18に示すように、H期間内のサンプリングタイミングts1における駆動電流の値I(ts1)は、基準関数が示す基準値ref1(ts1)よりも、Δi1だけ高くなっている。このため、H期間における補正値C1は、駆動電流Iの検出値IsnsをΔi1減少させるように、C1=−Δi1と定められる。また、L期間内の検出タイミングts2における駆動電流の値I(ts2)は、基準関数が示す基準値ref2(ts2)よりも、Δi2だけ低くなっている。このため、L期間における補正値C2は、駆動電流Iの検出値IsnsをΔi2増加させるように、C2=Δi2と定められる。なお、補正値C1及びC2は、図8に示す補正値記憶部904に予め記憶されている。
検出制御部901は、H期間用の補正値C1及びL期間用の補正値C2のいずれを用いて検出値Isnsを補正すべきかを、補正制御部903に指示する。具体的には、検出制御部901は、デューティ比が50%以上である場合は、補正値C1に基づいて電流値Isnsを補正するように補正制御部903を制御する。また、検出制御部901は、デューティ比が50%未満である場合は、補正値C2に基づいて電流値Isnsを補正するように補正制御部903を制御する。
補正制御部903は、検出値生成部902によって生成された検出値Isnsを、検出制御部901からの指示に従って補正する。具体的には、補正制御部903は、補正値記憶部904から読み出した補正値C1またはC2を検出値Isnsに加算することによって検出値Isnsを補正し、補正後の値を電流値Iαとして出力する。
<補正値を決定する方法>
次に、補正値C1及びC2を決定する具体的な方法について説明する。前述したように、補正値C1及びC2が決定されるためには、Δi1及びΔi2を決定する必要がある。
本実施形態においては、デューティ比が50%である状態において検出された電流値に基づいてΔi1及びΔi2が決定されるが、デューティ比は50%でなくてもよい。
図9は、補正値を取得する処理を説明するフローチャートである。以下に、図9を用いて、本実施形態における補正値を取得する処理を説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aからの指示を受けたモータ制御装置600によって実行される。
まずS101において、PWM生成部203は、デューティ比が50%のPWM信号(PWM+及びPWM−)を生成し、モータ駆動回路50に出力する。この結果、モータのコイルL1に図14に示す駆動電流Iが供給される。
次に、S102において、電流値生成器530a(検出値生成部902)は、H期間(ハイ期間)内の検出タイミングts1及びL期間(ロー期間)内の検出タイミングts2の両方において電圧値Vsnsのサンプリングを行い、検出タイミングts1における駆動電流の検出値I(ts1)sns及び検出タイミングts2における駆動電流の検出値I(ts2)を生成する。
次に、S103において、電流値生成器530a(補正制御部903)は、検出値I(ts1)と検出値I(ts2)との差分Idiffを、以下の式(10)を用いて算出する。
Idiff=I(ts1)−I(ts2) (10)
その後、S104において、電流値生成器530a(補正制御部903)は、図18に示すΔi1及びΔi2を、S103において算出された差分Idiffに基づいて算出することによって、補正値C1及びC2を決定する。具体的には、電流値生成器530a(補正制御部903)は、S103において算出された差分Idiffを2で除算してΔi1及びΔi2を算出することによって、補正値C1及びC2を決定する。
以下に、補正値C1及びC2を決定する方法について説明する。なお、以下の説明において、電圧Eは、駆動電源によってコイルL1に印加される電圧であり、Rは、コイルL1の抵抗成分、Lは、コイルL1のリアクタンス成分(インダクタンス)である。
図18に示すΔi1及びΔi2は、以下の式(11)及び(12)によって表される。
Δi1=I(ts1)−ref1(ts1) (11)
Δi2=ref2(ts2)−I(ts2) (12)
前述したように、基準関数ref1(t)及びref2(t)は線形的に変化する関数である。また、検出タイミングts1はH期間の中心タイミング、検出タイミングts2はL期間の中心タイミングである。したがって、図16に示すように、ref1(ts1)及びref2(ts2)は(E/R)/2となる。この結果、式(11)及び(12)は、以下の式(13)及び(14)に変換される。
Δi1=−(E/R)/2+I(ts1) (13)
Δi2= (E/R)/2−I(ts2) (14)
この結果、差分Idiffの絶対値は、式(13)及び(14)を用いて、以下の式(15)によって表される。
|Idiff|=|I(ts1)−I(ts2)|=Δi1+Δi2 (15)
以上のように、検出タイミングts1及びts2における検出値Isnsの差分Idiffの絶対値は、Δi1及びΔi2の和と等価である。
また、H期間及びL期間の開始タイミングをそれぞれt=0として、H期間内での時刻tにおける駆動電流の電流値i1(t)は以下の式(16)によって表される。また、L期間内での時刻tにおける駆動電流の電流値i2(t)は以下の式(17)によって表される。
i1(t)=E/R*(1−e−(R/L)t) (16)
i2(t)=E/R*e−(R/L)t (17)
なお、i1(t)及びi2(t)は、モータのコイルL1をそのリアクタンス成分及び抵抗成分の直列回路で近似した場合の、コイルL1に流れる電流についての過渡解に相当する。式(16)は、PWM信号のH期間の開始タイミングに電圧Eが印加された際の過渡電流を表している。また、式(17)は、電圧Eの印加によって駆動電流がE/Rに達した状態で、PWM信号のL期間の開始タイミングに印加電圧が0[V]に切り替わった際の過渡電流を表している。
また、H期間及びL期間の開始タイミングをそれぞれt=0とすると、基準関数ref1(t)及びref2(t)は、以下の式(18)及び(19)によって表される。
ref1(t)=E/R/T1*t (18)
ref2(t)=E/R*(1−(t/T2)) (19)
なお、T1はH期間の長さを表す値であって、T2はL期間の長さを表す値である。デューティ比DRが50%である場合には、T1とT2は同じ値となる。
更に、駆動電流Iの電流値i1(t)と基準関数ref1(t)との差分、即ち、式(16)と式(18)との差分i1diff(t)は以下の式(20)によって表される。また、駆動電流Iの電流値i2(t)と基準関数ref2(t)との差分、即ち、式(17)と式(19)との差分i2diff(t)は以下の式(21)によって表される。
i1diff(t)= E/R*(1−e−(R/L)t−t/T1) (20)
i2diff(t)=−E/R*(1−e−(R/L)t−t/T2) (21)
前述したように、デューティ比DRが50%である場合には、T1とT2は同じ値となる。したがって、i1diff(t)の絶対値とi2diff(t)の絶対値は等しい(|i1diff(t)|=||i2diff(t)|)。また、検出タイミングts1はT1/2であり、検出タイミングts2はT2/2であるため、デューティ比DRが50%である場合には、H期間が開始してから検出タイミングts1までの時間とL期間が開始してから検出タイミングts2までの時間は等しい。したがって、式(13)、(14)、(20)及び(21)から次式(22)に示す関係を得ることができる。
Δi1=|i1diff(T/2)|=|i2diff(T/2)|=Δi2(22)
即ち、Δi1=Δi2が成立する。
以上のことから、式(15)及び式(22)に示すように、検出値I(ts1)と検出値I(ts2)との差分の絶対値(|Idiff|)を2で除算することによって、Δi1及びΔi2を算出することができる。具体的には、次式(23)を用いて、Δi1及びΔi2を算出することができる。
|Idiff|/2=(Δi1+Δi2)/2=Δi1=Δi2 (23)
電流値生成器530a(補正制御部903)は、S103において上述のようにして得られたΔi1及びΔi2に基づいて、以下の式(24)、(25)のように補正値C1,C2を決定する。
C1=−Δi1 (24)
C2= Δi2 (25)
次に、S105において、電流値生成器530a(補正制御部903)は、決定した補正値C1及びC2を、補正値記憶部904に保存する。
以上のようにして、電流値生成器530aは補正値を取得する。
<補正後の電流波形の振幅を補正する方法>
上述のように、本実施形態では、デューティ比が50%である状態における駆動電流に基づいて補正値C1及びC2を決定した。そして、H期間に検出された(即ち、デューティ比が50%以上である場合に検出された)電流値は補正値C1によって補正され、L期間に検出された電流値(即ち、デューティ比が50%未満である場合に検出された電流値)は補正値C2によって補正された。
図10は、各デューティ比における駆動電流の波形を示す図である。図10(a)はデューティ比が50%である状態における駆動電流の波形を示す図である。図10(b)はデューティ比が75%である状態における駆動電流の波形を示す図である。図10(c)はデューティ比が100%である状態における駆動電流の波形を示す図である。なお、図10に示すように、駆動電流の電流値I(ts1)と基準関数ref1(ts1)との差分値Δiはデューティ比によって異なる。具体的には、デューティ比が大きくなるほど、差分値Δi1は小さくなる。したがって、デューティ比50%における差分値Δiに基づく補正値C1を用いてH期間に検出された電流値(即ち、デューティ比50%以上において検出された電流値)を補正すると、補正後の値が実際に流れる電流の値よりも小さくなってしまう可能性がある。また、補正値C2を用いてL期間に検出された電流値(即ち、デューティ比50%未満において検出された電流値)を補正すると、補正後の値が実際に流れる電流の値よりも大きくなってしまう可能性がある。この結果、図19に示すように、検出された電流波形の振幅が、実際にモータの巻線に流れる電流の振幅よりも小さくなってしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、以下の構成を適用することによって、検出された駆動電流に基づいて行われる、巻線に流れる駆動電流の制御を高精度に行う。
図11は、補正後の電流波形の振幅を補正する方法を説明する図である。なお、図11に示す、実際に巻線に流れる電流Iは、以下の式(26)で表される。
I=(E*デューティ比−E/2)*2}/R (26)
なお、Eは電源電圧であり、Rモータの巻線の抵抗値である。また、式(26)は、巻線に流れる電流がデューティ比に応じて線型的に変化すると近似した場合を表す式である。
本実施形態においては、一例として、モータの巻線の抵抗値Rが12Ω、電源電圧Eが24Vである場合の電流Iが図11に示されている。以下、モータの巻線の抵抗値Rが12Ω、電源電圧Eが24Vである場合について説明するが、抵抗値R及び電源電圧Eの値はこれに限定されるものではない。
図11に示すように、デューティ比50%における差分値Δiに基づいて補正された電流値の絶対値は、実際の電流の電流値の絶対値よりも小さい。これは、補正後の電流波形の振幅が実際の電流波形の振幅よりも小さいことを意味する。
本実施形態においては、図11に示す補正後の電流を表す直線の傾きを補正することによって、補正後の電流波形の振幅を補正する。具体的には、補正後の電流を表す直線の傾きを実際の電流を表す直線の傾きに補正することによって補正後の電流波形の振幅を補正する。以下に、その補正方法について説明する。
図11において、デューティ比が0%、電流Iが0Aである点を原点(0,0)と定義すると、実際の電流を表す直線は、点B(100,2)と点C(50,0)とを通る直線である。また、補正後の電流を表す直線は、点A(100,2−Δi)と点C(50,0)とを通る直線である。したがって、補正後の電流を表す直線の傾きを実際の電流を表す直線の傾きに補正するための補正係数をGと定義すると、以下の式(27)が成り立つ。
(2−Δi)/50*G=2/50 (27)
式(27)に基づいて、補正係数Gは以下の式(28)によって表される。
G=2/(2−Δi) (28)
補正制御部903は、このようにして得られた補正係数Gを、補正値C1又はC2によって補正された電流値に乗算することによって更に補正し、補正した電流値を電流値iαとして出力する。式(28)に示すように、補正係数Gは1以上の値である。したがって、補正値C1又はC2によって補正された電流値に補正係数Gを乗算することで、電流値の絶対値を増大させることができる。この結果、検出された電流の波形の振幅が実際にモータの巻線に流れる電流の振幅よりも小さくなってしまうことを抑制することができる。なお、補正係数Gを決定する処理は、補正値C1、C2を決定する処理が行われる際に行われ、決定された補正係数Gは補正値記憶部904に保存されるものとする。
図12は、モータ制御装置600によるモータの制御方法を示すフローチャートである。以下に、図12を用いて、本実施形態におけるモータ509の制御について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aからの指示を受けたモータ制御装置600によって実行される。
まず、S201において、CPU151aからモータ制御装置600にenable信号‘H’が出力されると、モータ制御装置600はCPU151aから出力される指令に基づいて稼働する。enable信号とは、モータ制御装置600の稼働を許可又は禁止する信号である。enable信号が‘L(ローレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置600の稼働を禁止する。即ち、モータ制御装置600は停止する。また、enable信号が‘H(ハイレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置600の稼働を許可する。即ち、モータ制御装置600は稼働する。
次に、S202において、CPU151aは、補正値C1、C2及び補正係数Gを決定するように、モータ制御装置600を制御する。この結果、モータ制御装置600は前述した方法で補正値C1、C2及び補正係数Gを決定し、補正値記憶部904に記憶する。
その後、S203において、CPU151aは、モータの駆動が行われるように、モータ制御装置600を制御する。この結果、モータ制御装置600はモータの駆動を開始する。
S204において、モータ制御部157から出力された駆動電圧が0V以上(デューティ比(DR)が50%以上)である場合は、処理はS205に進む。S205において、検出制御部901は、ハイ期間に電圧値Vsnsをサンプリングして検出値Isnsを生成するように検出値生成部902を制御する。この結果、検出値生成部902は、ハイ期間に電圧値Vsnsをサンプリングし、検出値Isnsを生成する。
その後、S206において、検出制御部901は、生成された検出値Isnsを、S202において補正値記憶部904に記憶された補正値C1で補正するよう、補正制御部903を制御する。この結果、補正制御部903は、取得した検出値Isnsに補正値C1(C1<0)を加算することによって検出値Isnsを補正する。その後、CPU151aは処理をS207に進める。
また、S204において、モータ制御部157から出力された駆動電圧が負(デューティ比が50%未満)である場合は、処理はS209に進む。S209において、検出制御部901は、ロー期間に電圧値Vsnsをサンプリングして検出値Isnsを生成するように、検出値生成部902を制御する。この結果、検出値生成部902は、ロー期間に電圧値Vsnsをサンプリングし、検出値Isnsを生成する。
次に、S210において、検出制御部901は、生成した検出値Isnsの極性(即ち、電圧値Vsnsの極性)を反転させる反転処理を行うよう、検出値生成部902を制御する。この結果、検出値生成部902は、生成した検出値Isnsの極性(即ち、電圧値Vsnsの極性)を反転させる。
その後、S211において、検出制御部901は、生成された検出値Isnsを、S202において補正値記憶部904に記憶された補正値C2で補正するよう、補正制御部903を制御する。この結果、補正制御部903は、反転処理後の検出値Isnsに補正値C2(C1>0)を加算することによって検出値Isnsを補正する。その後、CPU151aは処理をS207に進める。
S207において、補正制御部903は、S202において決定された補正係数Gを用いて、補正値C1又はC2によって補正された電流値を補正する。そして、補正制御部903は、当該補正後の電流値Iαを出力する。
以降、CPU151aがモータ制御装置600にenable信号‘L’を出力するまで、モータ制御装置600は上述の制御を繰り返し行う。なお、補正値C1、C2及び補正係数Gは、図12に示すようにモータの駆動が開始される毎に更新されてもよいし、更新されなくてもよい。
以上のように、本実施形態においては、デューティ比が50%である状態における電流値に基づいて決定された補正値C1,C2を用いて、検出された電流値を補正する。具体的には、デューティ比が50%以上である場合は、補正値C1を用いて、検出された電流値を補正し、デューティ比が50%未満である場合は、補正値C2を用いて、検出された電流値を補正する。このような構成を用いることによって、検出電流の波形に生じる段差を低減することができる。
更に、本実施形態においては、補正値C1,C2によって補正された電流値が、当該電流値の絶対値を増大させる補正係数Gによって補正される。この結果、補正値C1,C2によって補正された電流の波形の振幅が実際にモータの巻線に流れる電流の振幅よりも小さくなってしまうことを抑制することができる。
これらの構成を適用することによって、検出された駆動電流に基づいて行われる、巻線に流れる駆動電流の制御を高精度に行うことができる。この結果、高精度なモータの制御を行うことができる。
なお、本実施形態においては、デューティ比50%における電流値とデューティ比100%における電流値とに基づいて補正係数Gが決定されたが、この限りではない。例えば、デューティ比30%における電流値とデューティ比70%における電流値とに基づいて補正係数Gが決定されてもよい。
また、本実施形態においては、巻線に流れる電流がデューティ比に応じて線型的に変化すると近似することによって補正係数Gが決定されたが、例えば、巻線に流れる電流を指数関数等の他の関数に近似することによって補正係数Gが決定されてもよい。
また、本実施形態においては、抵抗器200の電源側からGND側に向かう方向の電圧の極性を正とし、FETQ1とFETQ3との接続点からFETQ2とFETQ4との接続点に流れる電流の極性を正としたが、この限りではない。例えば、抵抗器200の電源側からGND側に向かう方向の電圧の極性を正とし、FETQ2とFETQ4との接続点からFETQ1とFETQ3との接続点に流れる電流の極性を正としてもよい。この場合、ハイ期間に検出された検出値の極性を反転させ、ロー期間に検出された検出値の極性を反転させない構成となる。
なお、本実施形態においては、デューティ比が50%以上であるか否かに基づいて、電圧値Vsnsのサンプリングをハイ期間に行うかロー期間に行うかを決定したが、この限りではない。例えば、デューティ比が70%以上であるか否かに基づいて、電圧値Vsnsのサンプリングをハイ期間に行うかロー期間に行うかを決定してもよい。この場合、補正値C1及びC2は、デューティ比が70%である状態における電流値に基づいて決定される。
また、本実施形態においては、PWM+のレベルに基づいて電流値の検出及び補正が行われたが、PWM−のレベルに基づいて電流値の検出及び補正が行われてもよい。この場合、PWM+のH期間用の補正値C1は、PWM−のL期間用の補正値として用いられ、PWM+のL期間用の補正値C2は、PWM−のH期間用の補正値として用いられる。
また、本実施形態においては、電流値生成部530は、H期間の中心タイミング又はL期間の中心タイミングにおいて電流を検出したが、電流を検出するタイミングは、期間の中心タイミングに限定されるものではない。例えば、期間の中心からずれたタイミングにおいて電流値生成部530が電流を検出してもよい。
また、本実施形態においては、負荷を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであっても本実施形態を適用することができる。
また、本実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータ509を制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータ509を制御する構成であっても良い。具体的には、図13に示すように、モータ制御装置内部に速度決定器514を設け、速度決定器514が位相決定器513から出力された回転位相θの時間変化に基づいて回転速度ωを決定する。なお、速度の決定には、式(29)が用いられるものとする。
ω=dθ/dt (29)
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器500を設け、速度制御器500が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータ509を制御する構成であっても良い。このような構成においては回転速度をフィードバックしているため、回転子の回転速度が所定の速度になるように制御することができる。したがって、画像形成装置において、記録媒体への画像形成を適切に行うために回転速度を一定速度に制御する必要がある負荷(例えば、感光ドラム、搬送ベルト等)を駆動するモータに速度フィードバック制御を用いたベクトル制御を適用する。この結果、記録媒体への画像形成を適切に行うことができる。
また、本実施形態は、ベクトル制御を有する構成に限らず、電流を検出して当該検出値をフィードバックする構成を有するものに適用される。
また、本実施形態においては、回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
50 モータ駆動回路
Q1〜Q4 FET
203 PWM生成器
506 PWMインバータ
509 ステッピングモータ
530 電流値生成器

Claims (21)

  1. Hブリッジ回路を構成する複数のスイッチング素子を備え、モータの巻線が接続される駆動回路と、
    前記複数のスイッチング素子のオン動作、オフ動作を制御するPWM信号であって、ハイレベルとローレベルの一方である第1レベルの信号とハイレベルとローレベルの他方である第2レベルの信号とで構成されるPWM信号を生成するパルス生成手段と、
    前記パルス生成手段によって生成されたPWM信号のデューティ比によって決まるタイミングにおいて、前記巻線に流れる駆動電流の電流値を検出し、検出した電流値を補正する補正手段と、
    を有し、
    前記補正手段は、前記デューティ比が所定値より大きい場合は、前記PWM信号が前記第1レベルである第1期間に前記駆動電流の電流値を検出し、前記デューティ比が前記所定値より小さい場合は、前記PWM信号が前記第2レベルである第2期間に前記駆動電流の電流値を検出し、
    更に、前記補正手段は、前記PWM信号が前記ハイレベルであるハイ期間に検出された電流値を、当該電流値を減少させる第1補正値に基づいて補正し、前記PWM信号が前記ローレベルであるロー期間に検出された電流値を、当該電流値を増加させる第2補正値に基づいて補正し、
    更に、前記補正手段は、前記第1補正値又は前記第2補正値に基づいて補正された電流値を、当該電流値の絶対値を増大させる第3補正値に基づいて更に補正し、
    前記パルス生成手段は、前記補正手段が前記第3補正値に基づいて補正した電流値に基づいて、前記PWM信号を生成することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記デューティ比が第1デューティ比である状態における電流値と前記デューティ比が第2デューティ比である状態における電流値とに基づいて、前記第3補正値を決定することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記第1補正値又は前記第2補正値に基づいて補正された電流値が0である場合、当該電流値が前記第3補正値に基づいて補正された後の電流値は0であることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記第1補正値又は前記第2補正値に基づいて補正された電流値に前記第3補正値を乗算することによって、前記第1補正値又は前記第2補正値に基づいて補正された電流値を補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記デューティ比が前記所定値である状態における前記ハイ期間に検出した前記駆動電流の電流値に基づいて前記第1補正値を決定し、前記デューティ比が前記所定値である状態における前記ロー期間に検出した前記駆動電流の電流値に基づいて前記第2補正値を決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  6. 前記第2補正値は、前記デューティ比が前記所定値である状態における前記ハイ期間に検出した前記駆動電流の電流値と前記デューティ比が前記所定値である状態における前記ロー期間に検出した前記駆動電流の電流値との差分の絶対値を2で除算することによって算出された値であり、
    前記第1補正値は、前記第2補正値の極性を反転して得られた値であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  7. 前記モータ制御装置は、前記補正手段が前記第3補正値に基づいて補正した電流値に基づいて前記モータを制御する制御手段を有し、
    前記制御手段は、前記補正手段が前記第3補正値に基づいて補正した電流値と前記巻線に供給するべき駆動電流の電流値との偏差が小さくなるように、前記駆動回路を駆動する駆動電圧を生成する電圧生成手段を有し、
    前記パルス生成手段は、前記電圧生成手段によって生成された前記駆動電圧と搬送波としての三角波とを比較することによって前記PWM信号を生成する比較手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記補正手段は、前記ハイ期間に前記駆動電流を検出する場合は、前記PWM信号のレベルが前記ローレベルから前記ハイレベルへと切り替わった後に前記三角波が最初に極値となるタイミングにおいて前記駆動電流を検出し、前記ロー期間に前記駆動電流を検出する場合は、前記PWM信号のレベルが前記ハイレベルから前記ローレベルへと切り替わった後に前記三角波が最初に極値となるタイミングにおいて前記駆動電流を検出することを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
  9. 前記補正手段は、前記第1期間に検出した前記駆動電流の電流値の極性を反転させず、前記第2期間に検出した前記駆動電流の電流値の極性を反転させることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  10. 前記所定値は50%であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記駆動回路は、
    第1のスイッチング素子の一端及び第2のスイッチング素子の一端が電源に接続されており、
    前記第1のスイッチング素子の他端に第3のスイッチング素子の一端が直列に接続されており、
    前記第2のスイッチング素子の他端に第4のスイッチング素子の一端が直列に接続されており、
    前記第3のスイッチング素子の他端と前記第4のスイッチング素子の他端とに抵抗器が接続されており、
    前記抵抗器は接地されており、
    前記モータの巻線は、一端が前記第1のスイッチング素子と第3のスイッチング素子とを繋ぐ導線に接続され、他端が前記第2のスイッチング素子と第4のスイッチング素子とを繋ぐ導線に接続された回路であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  12. 前記比較手段によって生成されたPWM信号は、前記第1のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子へ供給され、
    前記比較手段によって生成されたPWM信号とは逆位相であるPWM信号が、前記第2のスイッチング素子及び前記第4のスイッチング素子へ供給される
    ことを特徴とする請求項11に記載のモータ制御装置。
  13. 前記制御手段は、
    前記モータの回転子の回転によって前記モータの第1相の巻線及び前記モータの第2相の巻線に誘起される誘起電圧を、前記補正手段が前記第3補正値に基づいて補正した電流値に基づいて決定する誘起電圧決定手段と、
    前記誘起電圧決定手段によって決定された前記第1相の誘起電圧と前記第2相の誘起電圧とに基づいて前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記回転子の目標位相を表す指令位相と前記位相決定手段によって決定された回転位相との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とした回転座標系において表される電流値の電流成分であって、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分の値と前記モータの巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分の値とに基づいて前記巻線に流れる前記駆動電流を制御することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  14. 前記制御手段は、
    前記モータの回転子の回転によって前記モータの第1相の巻線及び前記モータの第2相の巻線に誘起される誘起電圧を、前記補正手段によって補正された電流値に基づいて決定する誘起電圧決定手段と、
    前記誘起電圧決定手段によって決定された前記第1相の誘起電圧と前記第2相の誘起電圧とに基づいて前記モータの回転子の回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記回転子の回転速度を決定する速度決定手段と、
    を有し、
    前記制御手段は、前記回転子の目標速度を表す指令速度と前記速度決定手段によって決定された回転速度との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とした回転座標系において表される電流値の電流成分であって、前記回転子にトルクを発生させるトルク電流成分の値と前記モータの巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分の値とに基づいて前記巻線に流れる前記駆動電流を制御することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  15. 前記モータ制御装置は、
    前記モータの第1相の巻線が接続される第1のモータ駆動回路と、
    前記モータの第2相の巻線が接続される第2のモータ駆動回路と、
    を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
  16. シートを搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    請求項1乃至15のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    を有し、
    前記モータ制御装置は、前記搬送ローラを駆動するモータの駆動を制御することを特徴とするシート搬送装置。
  17. 請求項16に記載のシート搬送装置と、
    原稿を積載する原稿積載部と、
    を有し、
    前記原稿積載部に積載された前記原稿を前記シート搬送装置が給送することを特徴とする原稿給送装置。
  18. 請求項17に記載の原稿給送装置と、
    前記原稿給送装置によって給送された前記原稿を読み取る読取手段と、
    を有することを特徴とする原稿読取装置。
  19. 請求項16に記載のシート搬送装置と、
    記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    を有し、
    前記画像形成手段は、前記シート搬送装置によって搬送された前記記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  20. 記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
    負荷を駆動するモータと、
    請求項1乃至15のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    を有し、
    前記モータ制御装置は、前記負荷を駆動するモータの駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。
  21. 前記負荷は、前記記録媒体を搬送する搬送ローラであることを特徴とする請求項20に記載の画像形成装置。
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