[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2018178144A - 優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼 - Google Patents

優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼 Download PDF

Info

Publication number
JP2018178144A
JP2018178144A JP2017074290A JP2017074290A JP2018178144A JP 2018178144 A JP2018178144 A JP 2018178144A JP 2017074290 A JP2017074290 A JP 2017074290A JP 2017074290 A JP2017074290 A JP 2017074290A JP 2018178144 A JP2018178144 A JP 2018178144A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nieq
creq
hot workability
stainless steel
precipitation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017074290A
Other languages
English (en)
Inventor
太一 渕上
Taichi Fuchigami
太一 渕上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sanyo Special Steel Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Special Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sanyo Special Steel Co Ltd filed Critical Sanyo Special Steel Co Ltd
Priority to JP2017074290A priority Critical patent/JP2018178144A/ja
Publication of JP2018178144A publication Critical patent/JP2018178144A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

【課題】 CoやMoの元素をできるだけ減らしつつ、優れた熱間加工性のフェライト−マルテンサイトの二相組織とした析出硬化型ステンレス鋼を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記式を満足する優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼。Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)、Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)、5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)。ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]で、なお、上記の[%M]は質量%である。【選択図】 なし

Description

本出願は、プロペラシャフト、ドライブシャフト、軸受およびロールなどの高硬度、高耐食性が求められる部材として使用されるステンレス鋼に関する。
いわゆる析出硬化型ステンレス鋼とは、ステンレス鋼としての耐食性に加えて、析出硬化による強度を付与することを目的とした高強度ステンレス鋼のことである。代表的な鋼種としては、17−4PHとして有名なSUS630が知られている。そして基質組織により、マルテンサイト系、セミマルテンサイト系およびオーステナイト系に分類されている。
さて、析出硬化型ステンレス鋼及びその製造方法としては、ε−Cu相とG相(Ni16Ti6Si7)の複合析出により硬さを確保し、さらにSi/Mo比を最適化することで、熱間加工性を向上させるものがある(特許文献1参照。)。もっとも、この発明ではCoが必須元素とされており、さらに、Si/Mo≦0.7を満足することで、熱間加工性を改善しようとしている。しかし、未ださらなる熱間加工性の向上が求められており、また、CoやMoなどの高価な元素は、低コスト化の観点から更なる低減が求められていることから、十分とはいえない。
一方、本願出願人は、先般、耐食性および製造性に優れた高硬度ステンレス鋼を開発し、出願している(特願2015−206051)。この高硬度ステンレス鋼は、高硬度および高耐食性の両立と、高硬度が得られる熱処理範囲が広いことに着目した発明である。しかし、この発明は、マルテンサイト系の析出硬化型ステンレス鋼であり、さらなる熱間加工性が求められている。
特許第5887896号公報
一般に、高硬度が必要とされる用途では、マルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS420などが用いられている。ところが、マルテンサイト系ステンレス鋼はC含有量が相対的に多く、耐食性が低いものである。
それに比べればSUS630などの析出硬化型ステンレス鋼は、耐食性には優れるものの、他方で硬度が低いという問題があった。そこで、従来の発明では、これらを両立させるための調整が志向されてきたが、それ以外に、さらなる熱間加工性の向上や、CoやMoなどの高価な元素をより減らすことなどは考慮されてこなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、高硬度で耐食性があることに加えて、より一層の熱間加工性の向上を図ること、および、CoやMoなどの元素をより減らして、優れた熱間加工性を有する、マルテンサイト単相ではなく、フェライト−マルテンサイトの二相組織とした析出硬化型ステンレス鋼を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、第1の手段では、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼である。そして、この鋼は、下記の(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼である。
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
ただし、
Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
第2の手段では、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、さらに、Al:0.150%以下、Nb:0.01〜2.00%、N:0.050%以下、S:0.100%以下のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼である。そして、この鋼は、下記の(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼である。
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
ただし、
Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]
Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
第3の手段では、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、さらに、Mg:0.0001〜0.0250%、Ca:0.0001〜0.0250%、B:0.0001〜0.0250%のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼である。そして、この鋼は、下記の(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼である。
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
ただし、
Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
第4の手段では、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、さらに、Al:0.150%以下、Nb:0.01〜2.00%、N:0.050%以下、S:0.100%以下のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、さらに、Mg:0.0001〜0.0250%、Ca:0.0001〜0.0250%、B:0.0001〜0.0250%のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼である。そして、この鋼は、下記の(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼である。
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
ただし、
Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
本願の上記の手段とすることで、CoやMoの元素を可能な限り減らしつつ、優れた熱間加工性を有するフェライト−マルテンサイトの二相組織とした析出硬化型ステンレス鋼とし、プロペラシャフト、ドライブシャフト、軸受およびロールなどの高硬度、高耐食性が求められる部材として使用される鋼が得られる。
本願の発明を実施するための形態の記載に先立ち、本願発明の析出硬化型ステンレス鋼の構成要件である化学成分の限定理由、(1)式のNieqとCreqの関係による限定理由、(2)式のCreqとNieqの関係による限定理由、および(3)式のNieqの限定理由について、それぞれ説明する。なお、化学成分における%は、質量%である。
C:0.01〜0.10%
Cは、鋼のγ安定化元素で、過剰δフェライトの生成を抑制し、強度を確保して良好な靱性を確保するために必要な元素である。このためには、Cは0.01%以上が必要である。しかし、Cは0.10%を超えて含有されると、炭窒化物の生成により鋼の耐食性が劣化する。そこで、Cは0.01〜0.10%とする。
Si:0.30〜2.00%
Siは、製鋼段階での脱酸剤であり、鋼に析出強化元素として作用する元素である。しかし、Siは0.30%未満では脱酸剤として不足し、かつ析出強化元素として不足する。また、Siは2.00%を超えて含有されると、鋼の熱間加工性が低下する。そこで、Siは0.30〜2.00%とする。
Mn:0.01〜1.00%
Mnは、製鋼段階での脱酸剤である。このためには、Mnは0.01%以上が必要である。しかし、Mnが1.00%を超えて含有されると、脱酸剤としての効果は飽和し、熱間加工性が低下する。そこで、Mnは0.01〜1.00%とする。
Ni:4.0〜9.0%
Niは、鋼のγ安定化元素で、過剰δフェライトの生成を抑制する一方で、析出強化元素である。よって、析出強化のためには、Niは4.0%が必要である。しかし、9.0%を超えて含有されても析出強化の効果は飽和する。そこで、Niは4.0〜9.0%とする。
Cr:10.0〜18.0%
Crは、耐食性を向上させる元素である。耐食性向上のためには、Crは10.0%以上が必要である。しかし、Crは18.0%を超えて含有されると熱間加工性が低下する。そこで、Crは10.0〜18.0%とする。
Mo:0.10〜2.00%
Moは、耐孔食性を向上させる元素である。耐食性向上のためには、Moは0.10%以上が必要である。しかし、Moは高価な元素であるので、2.00%を超えて含有させるとコスト高となる。そこで、Moは0.10〜2.00%とする。
Cu:0.60〜4.00%
Cuは、耐食性を向上させると共に析出強化に資する元素である。耐食性向上と析出強化のためには、Cuは0.60%以上が必要である。しかし、Cuは4.00%を超えて含有されると熱間加工性が低下する。そこで、Cuは0.60〜4.00%とする。
Ti:0.50〜3.50%
Tiは、析出強化に資する元素である。析出強化のためには、Tiは0.50%以上が必要である。しかし、Tiは3.50%を超えて含有されると、粗大炭化物の生成により熱間加工性が低下するので、鋼の製造性が低下してコスト高となる。そこで、Tiは0.50〜3.50%とする。
Al:0.150%以下
Alは、0.150を超えて含有されると、耐食性および熱間加工性が低下する。そこで、Alは0.150%以下とする。
Nb:0.01〜2.00%
Nbは、析出強化に資する元素である。析出強化のためには、Nbは0.01%以上が必要である。一方、Nbは2.00%を超えて含有されると、熱間加工性が低下すると共にコストの増加となる。そこでNbは0.01〜2.00%とする。
N:0.050%以下
Nは、0.050%を超えて含有されると、熱間加工性が低下し、フェライトが生じても不安定となり二相組織とはならない。そこで、Nは0.050%以下とする。
Mg:0.0001〜0.0250%
Mgは、0.0001%以上で熱間加工性に寄与する元素である。しかし、Mgは0.0250%を超えると、過剰のために逆に熱間加工性が低下する。そこで、Mgは0.0001〜0.0250%とする。
Ca:0.0001〜0.0250%
Caは、0.0001%以上で熱間加工性に寄与する元素である。しかし、Caは0.0250%を超えると、過剰のために逆に熱間加工性が低下する。そこで、Caは0.0001〜0.0250%とする。
B:0.0001〜0.0250%
Bは、0.0001%以上で熱間加工性に寄与する元素である。しかし、Bは0.0250%を超えると、過剰のために逆に熱間加工性が低下する。そこで、Bは0.0001〜0.0250%とする。
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
(1)式を満足しないとマルテンサイトをほぼ生成しないので、硬さが低下する。そこで、Nieq≦−0.83×Creq+25.5の(1)式とする。
Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
(2)式を満足しないとフェライトをほぼ生成しないので、高温で、フェライト/オーステナイトの二相組織とならず、熱間加工性が低下する。そこで、Creq≧0.85×Nieq+7.8の(2)式とする
5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
(3)式を満足しないと高温でフェライト/オーステナイトの二相組織のバランスが悪くなり、熱間加工性が低下する。そこで、5.0≦Nieq≦9.5の(3)式とする。
上記の(1)式、(2)式、(3)式のNieqおよびCreqにおいては、
Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]
である。
なお、上記の[%M]は質量%である。
次いで、実施の形態について以下に記載する。
表1−1、表1−2に化学成分を有する本願発明の第1の手段〜第4の手段に係る発明鋼1〜4を示す。また表2−1、表2−2に、これらの手段に対応する各比較鋼1〜4を示す。なお、これらの表中の成分組成欄の空欄は、当該空欄の成分が意図的な添加成分ではないことを意味する。また、残部は不可避不純物およびFeである。なお、上に示す各表において、請求の範囲に規定の成分組成から外れるもの、ならびにNieqまたはCreqの値から外れるもの、および式(1)〜(3)の式の値を満足しないものには下線を付している。
さて、これらの表1−1および表2−1に記載の成分組成の各鋼を100kg真空誘導炉(VIM)で溶解してインゴットに鋳造し、これらを1150℃にてφ20mmに鍛伸し、次いで900〜1200℃で1時間保持した後に水冷する固溶化熱処理を施し、引続き直ちに−73℃に3時間保持するサブゼロ処理を施し、残留オーステナイトをマルテンサイトに変態させた。さらに、これらを300〜800℃に1時間保持した後に空冷する時効処理を施した。
Figure 2018178144
Figure 2018178144
Figure 2018178144
Figure 2018178144
さて、上記の時効理後のそれぞれのサイズに調整した素材を用い、以下の実験を実施した。試験結果の評価項目としては、各鋼のNieqの値およびCreqの値を満たすもの、および下線を付して示したこれらの値を外れるもの、並びに発明の手段に記載の式(1)〜(3)を満足するものを○とし、満足しないものを×とし、発明鋼の表1−2および比較鋼の表2−2にそれぞれ表記した。また、これらの表1−2および表2−2中の試験の評価項目の結果である、時効処理後の「ピーク硬さ(HRC)」、「腐食度(g/m2/hr)」および「グリーブル試験の絞り60%以上の温度範囲(℃)」については、後述の評価項目の目標値を下回るものには下線を付して示している。
本願発明の各発明鋼1〜4および各比較鋼1〜4を用いた試験の時効処理後の「ピーク硬さ(HRC)」、「腐食度(g/m2/hr)」で示す耐孔食性(JIS G0578に準拠し、6%FeCl3、25℃×24hrによる腐食度)、および熱間加工性を示す「グリーブル試験の絞り60%以上の温度範囲(℃)」の各評価方法について以下に説明する。
時効処理後の「ピーク硬さ(HRC)」:上記の時効処理を施した各丸棒を用い、鍛伸方向に垂直な断面の中周におけるロックウェル硬さを測定し、得られた硬さのうち最も大きな値のものをピーク硬さとし、その値がHRC53.0以上のものを目標値として良好であると判断した。
耐孔食性である「腐食度(g/m2/hr)」すなわち「(JIS G0578に準拠、6%FeCl3、25℃×24hrによる腐食度)」:上記の各ピーク硬さが得られた条件で各時効処理を施した丸棒を径12mm、長さ21mmのサイズに調整し、これらをJIS G0578に則って孔食試験を実施した。具体的には、試験片の初期質量と表面積を測定後、6%塩化第二鉄の溶液に25℃で24時間浸漬して試験を行ない、試験後洗浄して再度質量を測定した。得られた質量減から腐食度(g/m2/hr)を算出した。この腐食度の値が20.0(g/m2/hr)を下回るものを目標値として良好であると判断した。
熱間加工性を示す「グリーブル試験の絞り60%以上の温度範囲(℃)」:上記の各ピーク硬さが得られた条件で時効処理を施した丸棒を径8mm、長さ100mmのサイズに調整し、通電加熱による熱間引張試験(グリーブル試験)を実施した。試験温度は800〜1350℃まで25℃毎とし、破断後の試験片の絞りが60%以上である温度域を算出した。その温度域が150℃以上のものを熱間加工性が良好であると評価した。
上記の各評価の結果、表1−1および表1−2に示す発明鋼1〜4のNo.1〜46の上記の時効処理後の鋼は、時効硬さである「ピーク硬さ」の値がHRC53.0以上、耐孔食性である「腐食度」の値が20.0(g/m2/hr)を下回り、熱間加工性を示す「グリーブル試験の絞り60%以上の温度範囲(℃)」の温度域が150℃以上であり、これらの発明鋼1〜4のいずれの評価において優れた特性を示した。
これに対し、表2−1および表2−2に示す比較鋼1〜4のNo.51〜88では、化学成分のいずれかにおいて本願の化学成分の範囲を外れるものであり、さらにNieqの値またはCreqの値のいずれかに本願のこれらの値を外れるもの、式(1)〜(3)においてその値を満足しない×のものなどを含んでいる。これらの比較鋼では、ピーク硬さ、腐食度、および熱間加工性を示す「グリーブル試験の絞り60%以上の温度範囲(℃)」において150℃未満のものがあり、下線で示されている点において、本願発明の目的を十分には満足しない鋼となった。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼。
    Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
    Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
    5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
    ただし、
    Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
    Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
  2. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、さらに、Al:0.150%以下、Nb:0.01〜2.00%、N:0.050%以下、S:0.100%以下のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼。
    Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
    Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
    5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
    ただし、
    Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
    Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
  3. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、さらに、Mg:0.0001〜0.0250%、Ca:0.0001〜0.0250%、B:0.0001〜0.0250%のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼。
    Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
    Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
    5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
    ただし、
    Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
    Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
  4. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.0〜9.0%、Cr10.0〜18.0%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.60〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、さらに、Al:0.150%以下、Nb:0.01〜2.00%、N:0.050%以下、S:0.100%以下のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、さらに、Mg:0.0001〜0.0250%、Ca:0.0001〜0.0250%、B:0.0001〜0.0250%のいずれか1種もしくは2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼。
    Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・(1)
    Creq≧0.85×Nieq+7.8・・・(2)
    5.0≦Nieq≦9.5・・・(3)
    ただし、
    Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%Ni])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]、
    Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb] なお、上記の[%M]は質量%である。
JP2017074290A 2017-04-04 2017-04-04 優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼 Pending JP2018178144A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017074290A JP2018178144A (ja) 2017-04-04 2017-04-04 優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017074290A JP2018178144A (ja) 2017-04-04 2017-04-04 優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018178144A true JP2018178144A (ja) 2018-11-15

Family

ID=64282404

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017074290A Pending JP2018178144A (ja) 2017-04-04 2017-04-04 優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018178144A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021171698A1 (ja) * 2020-02-27 2021-09-02 日本冶金工業株式会社 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2022047494A (ja) * 2020-09-11 2022-03-24 クエステック イノベーションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー 付加製造用ステンレス鋼粉末
CN114318138A (zh) * 2021-11-26 2022-04-12 中钢集团邢台机械轧辊有限公司 一种高硬度大型极片轧辊材质及极片轧辊制备方法
US12084752B2 (en) 2021-11-01 2024-09-10 Questek Innovations Llc Stainless steel powders for additive manufacturing

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05112850A (ja) * 1991-04-26 1993-05-07 Nippon Steel Corp 加工性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
JPH05255734A (ja) * 1991-11-22 1993-10-05 Nippon Steel Corp 割れ感受性の小さいマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法
JP2001279385A (ja) * 2000-03-29 2001-10-10 Aichi Steel Works Ltd 機械構造用マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼
JP2003226943A (ja) * 2002-02-06 2003-08-15 Toshiba Corp 高強度・高耐食鋼、その製造方法及び地熱タービン翼

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05112850A (ja) * 1991-04-26 1993-05-07 Nippon Steel Corp 加工性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
JPH05255734A (ja) * 1991-11-22 1993-10-05 Nippon Steel Corp 割れ感受性の小さいマルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法
JP2001279385A (ja) * 2000-03-29 2001-10-10 Aichi Steel Works Ltd 機械構造用マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼
JP2003226943A (ja) * 2002-02-06 2003-08-15 Toshiba Corp 高強度・高耐食鋼、その製造方法及び地熱タービン翼

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021171698A1 (ja) * 2020-02-27 2021-09-02 日本冶金工業株式会社 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2021134395A (ja) * 2020-02-27 2021-09-13 日本冶金工業株式会社 析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
JP2022047494A (ja) * 2020-09-11 2022-03-24 クエステック イノベーションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー 付加製造用ステンレス鋼粉末
JP7324803B2 (ja) 2020-09-11 2023-08-10 クエステック イノベーションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー 付加製造用ステンレス鋼粉末
US12084752B2 (en) 2021-11-01 2024-09-10 Questek Innovations Llc Stainless steel powders for additive manufacturing
CN114318138A (zh) * 2021-11-26 2022-04-12 中钢集团邢台机械轧辊有限公司 一种高硬度大型极片轧辊材质及极片轧辊制备方法
CN114318138B (zh) * 2021-11-26 2023-12-12 中钢集团邢台机械轧辊有限公司 一种高硬度大型极片轧辊材质及极片轧辊制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101177540B1 (ko) 가공성이 우수한 오스테나이트계 고Mn 스텐레스강
JP5335502B2 (ja) 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
JP5088455B2 (ja) 二相ステンレス鋼
JP7252761B2 (ja) 析出硬化鋼およびその製造
JP2018178144A (ja) 優れた熱間加工性を有する析出硬化型ステンレス鋼
JP5291479B2 (ja) 二相ステンレス鋼並びにそれを用いた鋼材及び鋼製品
JP5100144B2 (ja) バネ用鋼板およびそれを用いたバネ材並びにそれらの製造法
CN104726789A (zh) 低镍不锈钢
EP3126537B1 (en) Dual-phase stainless steel
JP6433341B2 (ja) 時効硬化型ベイナイト非調質鋼
JP2006022369A (ja) 張出し性と耐発銹性に優れた低Niオ−ステナイト系ステンレス鋼
JP2009228051A (ja) 非調質鋼材の製造方法
JP6583885B2 (ja) 耐食性および製造性に優れた高硬度ステンレス鋼
JP2014019925A (ja) 省Ni型オーステナイト系ステンレス鋼
JP6722286B2 (ja) 耐食性および加工性が向上したリーン二相ステンレス鋼およびその製造方法
JP6501652B2 (ja) 析出硬化能に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
JP4331731B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼およびその鋼で製造されたばね
JP2015218384A (ja) 靭性と加工性に優れた高強度13Cr系ステンレス厚鋼板およびその製造方法
JP6987651B2 (ja) 熱間加工性に優れ、サブゼロ処理を要しない高硬度析出硬化型ステンレス鋼
JP6111109B2 (ja) 時効硬化特性に優れた低Niオーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
KR102263556B1 (ko) 2 상 스테인리스 강 스트립 및 그 제조 방법
KR101554771B1 (ko) 고연성 린 듀플렉스 스테인리스강.
US20180363112A1 (en) Lean duplex stainless steel and method of manufacturing the same
JP3587271B2 (ja) 冷間加工性に優れたセミオーステナイト型析出硬化ステンレス鋼
RU2823412C1 (ru) Изделие в виде прутка для изготовления деталей электропогружных установок для добычи нефти из сплава на основе железа и хрома

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200310

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201124

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210125

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210608