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JP2019206665A - アンスラキノン系化合物及び染色方法 - Google Patents

アンスラキノン系化合物及び染色方法 Download PDF

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JP2019206665A
JP2019206665A JP2018103402A JP2018103402A JP2019206665A JP 2019206665 A JP2019206665 A JP 2019206665A JP 2018103402 A JP2018103402 A JP 2018103402A JP 2018103402 A JP2018103402 A JP 2018103402A JP 2019206665 A JP2019206665 A JP 2019206665A
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Takashi Yoneda
孝 米田
正人 木戸
Masato Kido
正人 木戸
辰哉 荒木
Tatsuya Araki
辰哉 荒木
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

【課題】耐光性が良好で、各種の記録メディア、好ましくは繊維、より好ましくはポリエステル繊維、又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維の染色に用いるシアン染料、好ましくは昇華転写性を有するシアン染料の提供。【解決手段】下記式(1)で表される化合物。[式(1)中、R1は水素原子またはC1−C4アルキル基、R2は水素原子またはC1−C4アルキル基を示し、R1とR2の合計炭素数は5以下である。nは平均値で、1<n≦1.8の関係を満たす。]【選択図】なし

Description

本発明はアンスラキノン系化合物、それを含有するインク、これらが付着した記録メディア(特にはポリエステル繊維)、及び染色方法に関する。
ポリエステル繊維はインテリア、自動車用の内装等の多様な用途に使用されている。ポリエステル繊維の染色に使用する染料としては、耐光性が良好で、染着性が良い染料が求められている。アンスラキノン系のシアン染料としては、例えば、C.I.ディスパースブルー359や、C.I.ディスパースブルー60が挙げられる。しかしながら、C.I.ディスパースブルー359は耐光性が低く、赤み変色する問題がある。また、C.I.ディスパースブルー60に関しては、耐光性は非常に高いが、ポリエステル繊維への昇華転写性が低い問題がある。従って、高い耐光性を有し且つ昇華転写性が良好な染料の開発が、市場から強く要求されている。しかしながら、現状ではこの要求を満足できる染料は見出されていない。
特許文献1〜11には、アンスラキノン染料が開示されている。特許文献12〜15には、アンスラキノン系染料が開示されている。
特開平1−258995号公報 特開平1−178495号公報 特開平11−321121号公報 特開昭63−258955号公報 特開平1−221287号公報 特開平1−255594号公報 特開平1−258996号公報 特開平9−194445号公報 特表2008−542489号公報 特開平4−061796号公報 特開平5−083396号公報 特公昭30−3384号公報 特公昭40−4222号公報 特公昭41−3712号公報 特公昭57−2835号公報
本発明は、耐光性が良好で、各種の記録メディア、好ましくは繊維、より好ましくはポリエステル繊維、又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維の染色に用いるシアン染料、好ましくは昇華転写性を有するシアン染料の提供を課題とする。
本発明者等は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するアントラキノン化合物又はその塩により、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の1)〜10)に関する。
1)
下記式(1)で表される化合物。
Figure 2019206665
[式(1)中、Rは水素原子またはC1−C4アルキル基、Rは水素原子またはC1−C4アルキル基を示し、RとRの合計炭素数は5以下である。nは平均値で、1<n≦1.8の関係を満たす。]
2)
1)に記載の式(1)において、Rが水素原子またはC1−C2アルキル基、RがC1−C2アルキル基を示し、nが平均値で、1<n≦1.8の関係を満たす、1)に記載の化合物。
3)
下記式(2)で表される化合物をシアノ化することにより得られる反応生成物。
Figure 2019206665
[式(2)中、R、R、及びRとRの合計炭素数はそれぞれ式(1)と同じである。]
4)
水、及び有機溶剤から選択される1種類以上の液媒体と、1)または2)に記載の化合物、または3)に記載の反応生成物、のいずれかを含むインク。
5)
さらに分散剤を含む4)に記載のインク。
6)
1)または2)に記載の化合物、または3)に記載の反応生成物、のいずれかが付着した記録メディア。
7)
4)または5)に記載のインクが付着した記録メディア。
8)
記録メディアが繊維である、6)または7)に記載の記録メディア。
9)
上記繊維が、疎水性繊維である8)に記載の記録メディア。
10)
上記疎水性繊維が、ポリエステルまたはポリエステルを含む混紡繊維である、9)に記載の記録メディア。
本発明により、耐光性が良好で、各種の記録メディア、好ましくは繊維、より好ましくはポリエステル繊維、又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維の染色に用いるシアン染料、好ましくは昇華転写性を有するシアン染料が提供できた。
本明細書において「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。また、本明細書においては、実施例等も含めて「%」及び「部」は、特に断りの無い限り、いずれも質量基準で記載する。
上記式(1)中、Rは水素原子またはC1−C4アルキル基、Rは水素原子またはC1−C4アルキル基を示し、RとRの合計炭素数は5以下である。R、RにおけるC1−C4アルキル基としては、直鎖、分岐鎖のアルキル基が挙げられる。これらの中では直鎖がより好ましい。その具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の分岐鎖アルキル基が挙げられる。R、Rはそれぞれ同じでも異なっていても良いが、RとRの合計炭素数は5以下である。
上記式(1)で表される化合物におけるnは、平均値が、1<n≦1.8の関係を満たす値であり、上記式(1)で表される化合物は、そのnの値で表されるシアノ基の平均置換数を有する混合物である。該混合物中のモノシアノ置換体とジシアノ置換体の含有量は、HPLC等を用いて測定することが可能であり、例えば、HPLCピーク面積百分率から、混合比率を求めることが可能である。なお、HPLCピーク面積百分率は下記計算式で表される。
HPLCピーク面積百分率=ピーク面積値÷検出される全てのピークの内、溶媒を除いたピークの総面積値×100
HPLCの測定方法は、特に制限されない。一例としては、以下の方法が挙げられる。
[測定機器]
Agilent Technologies製 1260 InFinity。
[測定条件]
カラム:Inertsil ODS−2(粒子径5μm、3.0mm×250mm)。
カラム温度:40℃。
移動相種類:A液;5mM酢酸アンモニウム水、B液;アセトニトリル。
グラジエント条件(B液):50%→(20分)→100%→(10分)→100%。流量:0.4ml/min。
観測波長:254nm。
上記式(1)で表される化合物へのシアノ基の平均導入量は、上記式(1)で表される化合物の、それぞれのHPLCピーク面積百分率から、下記計算式を用いて算出可能であり、その平均導入量は、1<n≦1.8の関係を満たし、1<n≦1.5の関係であることが好ましい。
該シアノ基の平均導入量は、下記式で算出することができる。
シアノ基の平均導入量={上記式(1)において、nが1で表される場合の化合物のHPLCピーク面積百分率}÷{上記式(1)において、nが1及び2である上記式(1)で表される化合物の、それぞれのHPLCピーク面積百分率の合計値}×1+{上記式(1)において、nが2で表される場合の化合物のHPLCピーク面積百分率}÷{上記式(1)において、nが1及び2である上記式(1)で表される化合物の、それぞれのHPLCピーク面積百分率の合計値}×2
上記式(1)で表される化合物は、公知の方法により得ることができる。
一例としては、ブロマミン酸、下記式(3)で表されるアミン類化合物と、触媒として銅化合物を水中で加え、70℃〜95℃、好ましくは80℃〜90℃で反応させることにより、上記式(2)で表される化合物を得ることができる。この反応は常圧で行うことができる。
Figure 2019206665
上記式(3)中、R、Rは、それぞれ上記式(1)、(2)におけるものと同じでよい。
得られた上記式(2)で表される化合物に、シアン化カリウム等のシアン化化合物を水中で加え、70℃〜100℃、好ましくは80℃〜100℃で反応させることにより、上記式(1)で表される化合物を得ることができる。この反応は常圧で行うことができる。
上記のようにして得られた化合物は、必要に応じて公知の方法により精製することができる(例えば、酸析、塩析、懸濁精製、及び晶析等)。
上記の化合物は、液媒体と、当該染料混合物とを含有するインクとすることができる。液媒体としては、水、及び有機溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましい。染料混合物は、水と必要に応じて有機溶剤とを含む水系インクとすることも、実質的に水を含まないインク、すなわち溶剤インクとすることもできる。本明細書において、「実質的に水を含まないインク」とは、意図的に水を加えないインクを意味する。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するジ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
上記インクを水系インクとするときは、さらに分散剤を含ませることが好ましい。その場合の有機溶剤としては、水溶性有機溶剤であることが好ましい。すなわち、上記インクを水系インクとするときは、水、水溶性有機溶剤、分散剤、及び式(1)で表される化合物を含むインクであることが好ましい。
上記分散剤は、1種類を使用することも、2種類以上を併用することもできる。また、上記式(1)あるいは式(2)で表される化合物をシアノ化することにより得られる反応生成物の一部または全てを分散剤で被覆することもできる。分散剤としては、ノニオン分散剤、アニオン分散剤、及び高分子分散剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。分散剤の使用量は固形分換算で、染料混合物の総質量に対して通常1%〜100%、好ましくは5%〜90%、より好ましくは10%〜80%である。
上記ノニオン分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等が挙げられる。
上記アニオン分散剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリール及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸塩等が挙げられる。また、高分子系スルホン酸、好ましくは芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸のホルマリン縮合物等も挙げられる。芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、β−ナフトールスルホン酸、β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸、及びクレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸の、各ホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸の、各ホルマリン縮合物等が好ましい。このようなアニオン分散剤は、例えば、いずれも花王株式会社製のデモール N、デモール C、デモール SNB、デモール W、第一工業製薬株式会社製のラベリン W(クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物)等として入手することができる。アニオン分散剤は、スルホン酸等の官能基を中和剤で中和した塩として使用することもできる。中和剤としては、後記するpH調整剤等が使用できる。
上記高分子分散剤としては、例えば、スチレン及びその誘導体(好ましくはスチレン及びα−メチルスチレンから選択される単量体);ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;マレイン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;フマール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体よりなる群等の単量体から選択される、少なくとも2つの単量体(好ましくは、このうち少なくとも1つが親水性の単量体)からなる共重合体、及び/又はそれらの塩等が挙げられる。共重合体としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体等が挙げられる。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及びアクリル酸の両方を意味する。これらの中では、スチレン及びその誘導体、及び(メタ)アクリル酸及びその誘導体から選択される、少なくとも2つの単量体からなる共重合体が好ましい。そのような分散剤の具体例としては、例えば、BASF社製のジョンクリルシリーズが好ましい。
上記の化合物を含む分散液(好ましくは水性分散液)の調製方法としては、公知の方法が使用できる。その一例としては、当該染料混合物と分散剤を混合し、サンドミル(ビーズミルともいう)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて分散処理を行う方法が挙げられ、これらの中ではサンドミルが好ましい。サンドミルを用いた分散液の調製は、0.01mm〜1mm径程度のビーズを使用するのが好ましい。また、分散液の調製において、ビーズの充填率を大きくすること等により、分散の効率を高めることができる。上記分散処理を行った後に、ろ過及び/または遠心分離等により、分散に用いたビーズ及び夾雑物等の除去を行う。この際、目的とする平均粒径よりも巨大な粒子を除去することも好ましく行われる。このような粒子を除去することにより、プリンタヘッドの目詰まりを防止することができる。分散液の調製中に泡立ちが生じる場合は、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量加えることができる。その他の分散液の調製方法としては、酸析法、転相乳化法、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等が挙げられ、これらの中では転相乳化法、酸析法、及び界面重合法が好ましい。
上記インクは、必要に応じてインク調製剤を含ませることができる。インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、及び消泡剤等が挙げられる。インク調製剤の含有量は合計で、インクの総質量に対して通常0〜10%程度、好ましくは0.05〜5%程度である。
上記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、アーチケミカルズ社製のプロキセル GXL等が挙げられる。
上記pH調整剤は、インクのpHを6〜11程度に制御できるものであれば、任意の物質を使用することができる。例えば、前記アルコールアミン、アルキルアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の、元素の周期表の第1族元素の水酸化物、及び炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸等が挙げられる。
上記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
上記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物等の蛍光増白剤等も紫外線吸収剤として使用できる。
上記粘度調整剤としては、上記の水溶性有機溶剤、及び水溶性高分子化合物が挙げられる。後者の例としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
上記染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
上記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられる。金属錯体系褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
上記表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の種類としては、例えば、アニオン、カチオン、両性、ノニオン、シリコーン系、及びフッ素系等が挙げられる。
上記アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;N−アシルアミノ酸又はその塩;N−アシルメチルタウリン塩;アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩;アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ロジン酸石鹸;ヒマシ油硫酸エステル塩;ラウリルアルコール硫酸エステル塩;アルキルフェノール型リン酸エステル;アルキル型リン酸エステル;アルキルアリールスルホン酸塩;ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等のスルホ琥珀酸系等が挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、多様な種類が市販されている。その一例としては、例えば、ライオン株式会社製、商品名リパール 835I、860K、870P、NTD、MSC;アデカ株式会社製、商品名アデカコール EC8600;花王株式会社製 商品名ペレックス OT−P、CS、TA、TR;新日本理化株式会社製、リカマイルド ES−100、ES−200、リカサーフ P−10、M−30、M−75、M−300、G−30、G−600;東邦化学工業株式会社製、コハクノール L−300、L−40、L−400、NL−400等が挙げられる。
上記カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
上記ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製、商品名サーフィノール 104、105、82、465、オルフィン STG等;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergitol 15−S−7等)等が挙げられる。
上記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品の具体例としては、例えば、いずれもビックケミー社製の、BYK−347(ポリエーテル変性シロキサン);BYK−345、BYK−348(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)等が挙げられる。
上記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。その具体例としては、例えば、DuPont社製のZonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、Capstone FS−30、FS−31;オムノバ社製のPF−151N、PF−154N等が挙げられる。
上記消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系、及びアセチレングリコール系の化合物等が挙げられる。
上記インクは、各種の記録に使用することができる。例えば、筆記具、水性印刷、情報記録、繊維の染色、及びインクジェット記録等に好適である。上記インクをインクジェットインクとして使用するときは、25℃の粘度が、E型粘度計で測定したときに通常3mPa・s〜20mPa・s、好ましくは8mPa・s〜20mPa・sである。同様に、上記インクの25℃における表面張力は、プレート法で測定したときに通常20mN/m〜40mN/m、好ましくは25mN/m〜35mN/mである。同様に、上記インクの5℃における10Hzでの動的表面張力は、最大泡圧法で測定したときに通常25mN/m〜45mN/m、好ましくは30mN/m〜40mN/mである。
上記の記録メディアは、インク受容層を有するものと、有さないものとに大別される。上記インクジェット記録方法に用いる記録メディアとしては、これらのいずれも好ましい。具体的な記録メディアとしては、例えば、紙、フィルム、繊維や布(ポリエステル、セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。インク受容層は、インクを吸収してその乾燥を早める等の作用を目的として、記録メディアに設置される。インク受容層は、例えば上前記の記録メディアにカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;インク中の色素を吸収できる無機微粒子を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、記録メディアの表面に塗工する方法;等により設置される。上記インク中の色素を吸収し得る無機微粒子としては、多孔質シリカ、アルミナゾル、及び特殊セラミックス等が挙げられる。このようなインク受容層を有する記録メディアは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。市販されているインクジェット専用紙としては、例えば、キヤノン株式会社製、商品名プロフェッショナルフォトペーパー等が挙げられる。また、インク受容層を有さない紙としては普通紙等が挙げられる。市販されている普通紙としては、例えば、プレーンペーパーコピー(PPC)用紙等が挙げられる。上記の染料混合物を含むインクが付着した記録メディアも、本発明の範囲に含まれる。
上記インクは、上記の記録メディアのうち繊維に対しても極めて好適に記録を行うことができる。繊維の種類は特に制限されないが、疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらの繊維とレーヨン等の再生繊維;及び、これらの繊維と、木綿、絹、及び羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。繊維の中には、インク受容層を有するものも知られており、そのような繊維も好適に使用することができる。インク受容層を有する繊維は公知の方法で調製することも、また、市販品として入手することもできる。インク受容層の材質や構造等は特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
上記化合物(1)を含むインク、あるいは式(2)で表される化合物をシアノ化して得られた化合物を、記録メディアに付着させる方法は特に制限されず、公知の全ての方法(例えば各種の筆記具、及びインクジェット記録等)を使用することができる。記録メディアとして繊維を使用するときは、サイズプレス法、コーテイング法等を含む表面塗工染色方法、又は内添染色方法等も使用できる。また、上記式(1)で表される化合物、あるいは式(2)で表される化合物をシアノ化して得られた化合物は、昇華性を有するものを含む。そのような化合物は、昇華転写染色方法にも好ましく使用できる。
上記した全ての事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものの組み合わせ等についても同様である。
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。また、各式中の官能基については、遊離の形で表わす。実施例中の「水」は、特に断りの無い限り「イオン交換水」を意味する。極大吸収波長(λmax)の測定が必要なときは、島津製作所製、可視紫外分光光度計 UV2550を用いた。被検液としては、色素0.075gを75%アセトン水溶液(アセトン75%と水25%の混合液)250mlで希釈した後、この希釈液1mlを75%アセトン水溶液25mlでさらに希釈した液を用いた。
[実施例1]
下記式(7)で表される化合物の合成。
(工程1)
水1000部中に、ブロマミン酸48.0部、sec−ブチルアミン55部、炭酸ナトリウム14.5部、酢酸銅1水和物1.5部を加えて80℃に加熱し、12時間反応させた。得られた反応液に塩化ナトリウム400部を添加し、次いで、35%塩酸でpH2.0に調整した後、濾過し、及び20%塩水200部で洗浄した。得られたウエットケーキをメタノール1000部に溶解し、液濾過し、エバポレーターで濃縮乾固することにより、下記式(6)で表される化合物35.9部を得た(λmax=632nm)。
Figure 2019206665
(工程2)
水1000部中に、上記で得られた式(6)の化合物35.9部、炭酸ナトリウム15.2部を加えて60℃に加熱した。シアン化ナトリウム10.6部を添加し、90℃に加熱し、同温度で12時間反応させた。得られた反応液を60℃に冷却し、濾過した。得られたウエットケーキを水200部で洗浄し、乾燥することにより、下記式(7)で表される化合物24.4部を得た。この化合物をHPLCで分析することで、平均置換数を算出したところ、n=1.4であった。
Figure 2019206665
[実施例2]
下記式(8)で表される化合物の合成。
上記実施例1で得られた式(7)の化合物10部をアセトン100部中に加え、40℃で1時間撹拌した。得られた液を濾過し、不溶解分を取り除き、液体をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮液に水500部を加えることで、結晶を析出させ、得られた晶析液を濾過した。得られたウエットケーキを水200部で洗浄し、乾燥することにより、下記式(8)で表される化合物5.2部を得た。この化合物をHPLCで分析することで、平均置換数を算出したところ、n=1.3であった。
Figure 2019206665
[調製例1]:分散剤溶液の調製。
48%水酸化ナトリウム水溶液(3.1部)、イオン交換水(96.9部)、及びプロピレングリコール(60部)の混合液にジョンクリル678(40部)を加え、90℃に加熱して5時間撹拌することにより、分散剤溶液を得た。下記表1中の「JC678」は、この分散剤溶液を意味する。
[実施例3、及び、比較例1]:分散液の調整。
下記表1に記載の成分のうち、染料、JC678、サーフィノール104PG50、プロクセルGXL(S)とイオン交換水を混合した。得られた液をサンドミルに入れ、0.3mmのジルコニアビーズを加えて水冷下、1500rpm、15時間の条件で分散処理を行い、液を得た。得られた液にイオン交換水を加えて希釈することにより、着色剤の濃度を15%に調整した液を得た。この液をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過することにより、着色剤の濃度が15%の実施例3、及び、比較例1の分散液をそれぞれ得た。なお、下記表1中の数値は「部」を意味する。表1中の式(9)は、C.I.ディスパースブルー359として知られている。
Figure 2019206665
下記表1中の略号等は、以下の意味を表す。
SF104PG50:エアープロダクツ社製のサーフィノール104を、プロピレングリコールで10倍希釈したもの。
Figure 2019206665
[インクの調製]
上記分散液の調製例で得た分散液を用い、下記表2に記載の各成分を混合した後、5μmのメンブレンフィルターで夾雑物を濾別することにより、各実施例のインク組成物を得た。いずれのインク組成物も着色剤の総含有量が4.8%となるように調整した。
Figure 2019206665
[耐光性評価用染布の調製]
上記のようにして得たインクを転写紙(紀和化学社製)に塗布し、60℃で30分乾燥させることにより、各インクが付着した転写紙をそれぞれ得た。これらの転写紙は、いずれもシアン色に染色された。得られた各転写紙を20cm×8cmに裁断し、同じ大きさのポリエステル布トロピカル(帝人株式会社製)と、転写紙の染色面とを重ね合わせた後、太陽精機株式会社製のトランスファープレス機「TP−600A2」を用いて200℃×60秒の条件にて熱処理し、転写紙からポリエステル布へ昇華転写することにより、シアン色の染布を得た。上記実施例4のインクにより染色された染布を、それぞれ染布1とする。また、比較例2のインクにより染色された染布を、それぞれ比較染布1とする。
[印字濃度の測定]
上記のようにして得た各染布、及び比較染布の印字濃度(Dc値)を、X−rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて測定した。測定は、濃度基準にANSI A、視野角2度、光源D50の条件、及び、濃度基準にANSI A、視野角2度、光源Cの条件で行った。Dc値が高いほど、昇華転写性が優れる。測定結果を下記表3に示す。
[耐光性試験]
耐光性試験はJIS L0843 A法に従って行った。すなわち、ブラックパネル温度63℃、槽内温度38℃、相対湿度50%、放射照度50W/m(300〜400nm)、インナーフィルター石英、アウターフィルターソーダライムガラスの条件で、キセノンウェザーメーター SUGA NX75(スガ試験機社製)を用い、前記のようにして得た各染布に光源キセノンアークで39.4時間、光照射した。
この光照射後の各染布に対してJIS L−0841に規定されたブルースケールの等級に準じて目視判定を行い、耐光性の判定級を決定した。判定結果の耐光性等級を下記表3に示す。
Figure 2019206665
表3から明らかなように、実施例の各染布は良好な耐光性を有することが確認された。また、実施例の染布は、比較染布と同等の優れた昇華転写性を示した。すなわち、本発明の化合物により染色された染布は、良好な昇華転写性と、耐光性とを有することが確認された。
本発明の化合物は耐光性が良好で、且つ、昇華転写性が良好である。従って、各種の記録メディア、好ましくは繊維、より好ましくはポリエステル繊維、又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維の染色に用いるシアン染料、好ましくは昇華転写性を有するシアン染料として極めて有用である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 2019206665
    [式(1)中、Rは水素原子またはC1−C4アルキル基、Rは水素原子またはC1−C4アルキル基を示し、RとRの合計炭素数は5以下である。nは平均値で、1<n≦1.8の関係を満たす。]
  2. 請求項1に記載の式(1)において、Rが水素原子またはC1−C2アルキル基、RがC1−C2アルキル基を示し、nが平均値で、1<n≦1.8の関係を満たす、請求項1に記載の化合物。
  3. 下記式(2)で表される化合物をシアノ化することにより得られる反応生成物。
    Figure 2019206665
    [式(2)中、R、R、及びRとRの合計炭素数はそれぞれ式(1)と同じである。]
  4. 水、及び有機溶剤から選択される1種類以上の液媒体と、請求項1または2に記載の化合物、または請求項3に記載の反応生成物、のいずれかを含むインク。
  5. さらに分散剤を含む請求項4に記載のインク。
  6. 請求項1または2に記載の化合物、または請求項3に記載の反応生成物、のいずれかが付着した記録メディア。
  7. 請求項4または5に記載のインクが付着した記録メディア。
  8. 記録メディアが繊維である、請求項6または7に記載の記録メディア。
  9. 上記繊維が、疎水性繊維である請求項8に記載の記録メディア。
  10. 上記疎水性繊維が、ポリエステルまたはポリエステルを含む混紡繊維である、請求項9に記載の記録メディア。
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