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JP2018177712A - 粉末製剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗ノロウイルス活性を維持しつつ、アルコール溶液に対する充分な溶解性を有する粉末製剤を提供すること。【解決手段】変性リゾチームと、非還元糖と、を含有する、粉末製剤。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末製剤及びその製造方法に関する。
ノロウイルスはヒトに対する感染力が高く、食中毒、ウイルス性急性胃腸炎(感染症)等を引き起こす。現在、ノロウイルスにはワクチンがなく、有効な抗ウイルス剤もないため、一旦発症すると治療は輸液等の対症療法に限られてしまい、高齢者等では重症化する場合もある。
ノロウイルスの感染経路は主に経口感染である。そのため、食中毒及び感染症の発生の予防、及び発生後の拡大防止のためには、環境に存在するノロウイルスを不活化するノロウイルス不活化剤の開発が求められている。
例えば、特許文献1には、ノロウイルス不活化剤として、リゾチーム変性物を含む溶液が開示されている。
国際公開第2015/125961号
ところで、ノロウイルス不活化剤は、日持ちの向上、輸送費の低減等の観点から、粉末製剤であることが望ましい。しかしながら、特許文献1に開示されるノロウイルス不活化剤は、溶液中におけるリゾチーム変性物(変性リゾチーム)の固形分濃度が低く、噴霧乾燥(スプレードライ)による粉末化が困難である。また、特許文献1に記載のリゾチーム変性物を含む溶液を噴霧乾燥により粉末製剤とした場合、抗ノロウイルス活性が維持されない場合がある。
さらに、粉末製剤は、ノロウイルス不活化剤の更なる用途展開が可能となる観点から、アルコール溶液に対して、充分な溶解性を有することが望ましい。
そこで、本発明の目的は、抗ノロウイルス活性を維持しつつ、アルコール溶液に対する充分な溶解性を有する粉末製剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、変性リゾチームを含有する溶液に非還元糖を添加することにより、変性リゾチームを含む粉末製剤が好適に製造できることを見出した。さらに、変性リゾチームと、非還元糖と、を含有する粉末製剤が、抗ノロウイルス活性を維持しつつ、アルコール溶液に対する充分な溶解性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
(1)変性リゾチームと、非還元糖と、を含有する、粉末製剤。
(2)(1)に記載の粉末製剤において、非還元糖が、トレハロース及びα‐シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、粉末製剤。
(3)粉末製剤の製造方法であって、変性リゾチーム及び非還元糖を含有する混合液を調製する工程と、混合液に対して噴霧乾燥を行う工程と、を備える、製造方法。
(4)(3)に記載の粉末製剤の製造方法において、非還元糖が、トレハロース及びα‐シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、製造方法。
本発明によれば、抗ノロウイルス活性を維持しつつ、アルコール溶液に対する充分な溶解性を有する粉末製剤を提供することができる。
実施例における粉末製剤のアルコール溶液に対する溶解性の結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<本発明の特徴>
(粉末製剤)
本発明は、変性リゾチームと、非還元糖と、を含有する、粉末製剤を提供することに特徴を有する。
(粉末製剤の製造方法)
また、本発明の一態様は、粉末製剤の製造方法であって、変性リゾチーム及び非還元糖を含有する混合液を調製する工程と、混合液に対して噴霧乾燥を行う工程と、を備える、製造方法を提供することに特徴を有する。
<変性リゾチーム>
本明細書において、「変性リゾチーム」とは、リゾチームの三次構造が変化したものをいう。ここで、リゾチームの立体構造の変化とは、本来、リゾチームが有する立体構造が変化し、その結果、表面疎水性の指標であり、後述する方法により測定される蛍光強度が4,000以上となる程度の変化をいう。なお、「リゾチーム」は、N−アセチルグルコサミンとN−アセチルムラミン酸とのβ−1,4結合を加水分解する性質を有するタンパク質である。また、リゾチーム(非変性リゾチーム)は、表面疎水性の指標である上記蛍光強度が280以下であってよい。
<変性リゾチームの蛍光強度>
上記蛍光強度が高いほど、変性リゾチームの表面疎水性が高くなり、表面疎水性が高いほど、抗ノロウイルス活性に優れる傾向がある。よって、上記蛍光強度は、変性リゾチームの抗ノロウイルス活性がより一層優れたものとなる観点から、5,000以上であることが好ましい。また、上記蛍光強度は、10,000以下であってもよい。
<蛍光強度の測定>
(蛍光強度の測定方法)
上記蛍光強度は、Canadian Institute of Food Science and Technology 1985 Vol.18 No.4p.290-295に記載された方法に準じて測定される。すなわち、変性リゾチームの濃度が固形分換算で0.05質量%になり、かつリン酸塩の濃度が0.2Mになるようにリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈して、希釈液を得る。得られる希釈液5mLに8mMの1,8−アニリノナフタレンスルホン酸のメタノール溶液25μLを添加して得られる液を20℃以上25℃以下(室温)の条件下、30分間反応させた後の該液について、励起波長390nm(励起バンド幅10nm)の条件で、波長470nm(蛍光バンド幅10nm)の蛍光強度を測定する。上記蛍光強度は、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0、リン酸塩としてリン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムを含有する)の蛍光強度をブランク値として別途測定し、該ブランク値を差し引いた値である。
(希釈液の調製)
上記希釈液は、具体的には、例えば、変性リゾチームを固形分換算で1質量%含有する水溶液の蛍光強度を測定する場合、該水溶液5gと0.25Mのリン酸緩衝液80mLとを100mLのメスフラスコに入れた後、精製水で100mLにメスアップすることで調製される。
(蛍光強度の測定装置及び測定条件)
上記蛍光強度は、蛍光分光光度計(日本分光株式会社製、型名FP−8500)を用いて、励起波長390nm、励起バンド幅10nm、蛍光波長470nm、蛍光バンド幅10nm、レスポンス0.5sec、感度Low(約270±10V)(電源周波数(50/60Hz))、ペリスタシッパSHP−820型使用の条件で測定したときの値である。なお、他の蛍光分光光度計(例えば、株式会社日立製作所製、型名F−2000蛍光分光光度計)を用いて測定することもできるが、その際は感度等の測定条件を、日本分光株式会社製の蛍光分光光度計(型名FP−8500)を用いた場合における条件に合わせる必要がある。
<変性リゾチームの含有量>
本実施形態の粉末製剤における変性リゾチームの含有量は、粉末製剤全量基準で、25質量%以上、又は30質量%以上であってもよく、70質量%以下、又は66質量%以下であってもよい。
<変性リゾチームの製造方法>
変性リゾチームは、リゾチーム及び/又はその塩を、変性処理することで得ることができる。
<リゾチーム及び/又はその塩の変性処理>
リゾチーム及び/又はその塩を変性処理する方法としては、加熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、有機溶剤処理、界面活性剤処理、酸化処理、還元処理、高圧力処理等をあげることができる。これらの変性処理は、単独又は併用して行うことができる。なお、変性リゾチームには、リゾチーム及び/又はその塩を分解処理したリゾチーム由来ペプチドも含まれる。
<加熱変性リゾチーム>
変性リゾチームの中でも、抗ノロウイルス活性により一層優れる観点から、リゾチーム及び/又はその塩を加熱処理により得られた変性リゾチーム(以下、単に「加熱変性リゾチーム」ともいう。)が好ましい。
<変性リゾチームの製造方法の一態様>
変性リゾチームは、例えば、特許第5806434号公報に記載の方法に準じて、変性リゾチームを含有する水溶液(変性リゾチーム水溶液)として、製造することができる。変性リゾチーム水溶液は、本実施形態の粉末製剤の原料にそのまま用いることができる。
<非還元糖>
本実施形態の粉末製剤は、非還元糖を含有する。ここで、「非還元糖」とは、グルコースのように本来還元性をもつ糖が、アノマー位でグリコシドを形成して還元性を失ったものをいう(岩波理化学辞典 第5版)。
<非還元糖の溶解性>
非還元糖は、水溶性であることが好ましく、水溶性であり、かつアルコール濃度が50w/w%以上70w/w%以下であるアルコール水溶液(含水アルコール溶液)に対する溶解性を有していることがより好ましい。なお、アルコール水溶液におけるアルコールは、好ましくはエタノールである。
<非還元糖の種類>
非還元糖としては、例えば、トレハロース(α,α‐トレハロース)、ネオトレハロース(α,β−トレハロース)、イソトレハロース(β,β‐トレハロース)、スクロース等の二糖類、ラフィノース等の三糖類、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等の多糖類が挙げられる。非還元糖は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記非還元糖は、アルコール溶液に対する溶解性がより一層優れたものとなる観点から、トレハロース及びα‐シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、トレハロースであることがより好ましい。
<非還元糖の含有量>
本実施形態の粉末製剤における非還元糖の含有量は、粉末製剤全量基準で、30質量%以上、又は34質量%以上であってもよく、75質量%以下、又は70質量%以下であってもよい。
<変性リゾチームに対する非還元糖の含有質量比>
変性リゾチームに対する非還元糖の含有質量比は、0.5以上、又は1.0以上であってもよく、3.0以下、2.0以下、又は1.5以下であってもよい。
<非還元糖の入手方法>
非還元糖は、天然物に由来するものであっても人為的に合成したものであってもよく、市販品を用いることができる。市販品されているトレハロースとしては、例えば、トレハ(株式会社 林原製)が挙げられる。また、市販されているα‐シクロデキストリンとしては、例えば、CAVAMAX W6 FOOD(株式会社シクロケムバイオ製)が挙げられる。
<粉末製剤における他の成分>
本実施形態の粉末製剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、クエン酸、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、塩酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤が挙げられる。
<粉末製剤の製造方法>
(調製工程)
本実施形態の粉末製剤の製造方法は、変性リゾチーム及び非還元糖を含有する混合液を調製する工程(調製工程)を備える。調製工程は、例えば、上述の変性リゾチームを含有する水溶液に、非還元糖を添加することによって混合液を調製するものであってもよい。
(粉末化工程)
粉末製剤は、上記混合液に対して噴霧乾燥又は凍結乾燥を行う工程(粉末化工程)を経て製造されるものであってよい。粉末化工程は、上記混合液に対して噴霧乾燥を行う工程であることが好ましい。
(噴霧乾燥の条件)
噴霧乾燥は、例えば、液体の乾燥に用いられる公知の噴霧乾燥装置等を用いて任意の条件で行うことができる。乾燥温度は例えば、入口温度150〜200℃、排風温度50〜90℃であってもよい。
<粉末製剤の溶解性>
本実施形態の粉末製剤は、アルコール溶液に対する充分な溶解性を有する。粉末製剤のアルコール溶液に対する溶解性は、例えば、波長660nmの光の透過率(以下、単に「透過率」ともいう)を測定することにより、評価することができる。上記透過率は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
<粉末製剤の透過率>
上記粉末製剤をpH6.0の70w/w%アルコール溶液とした場合における波長660nmの光の透過率は、40%以上、50%以上、又は60%以上であってよく、100%以下、又は98%以下であってよい。
上記粉末製剤を変性リゾチームの含有量が2質量%になるように水(例えば清水)に溶解させた場合における波長660nmの光の透過率は、90%以上100%以下であってよい。
<粉末製剤のpH>
上記粉末製剤を変性リゾチームの含有量が2質量%になるように水に溶解させた水溶液のpHは、5.0以上7.0以下であることが好ましい。
<粉末製剤の用途>
本実施形態の粉末製剤は、抗ノロウイルス活性を維持しつつ、アルコール溶液(例えば、エタノール溶液)に対する充分な溶解性を有する。そのため、上記粉末製剤は、ノロウイルス感染の予防又は治療用の種々の製品(例えば、ウェットティッシュ等の衛生用品、ハンドソープ、手指消毒剤、食器用洗剤)に好適に用いることができる。
以下、実施例等に基づいて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<変性リゾチーム水溶液の製造>
変性リゾチームを含有する水溶液(変性リゾチーム水溶液)は、特許第5806434号公報に記載の方法に準じて製造した。すなわち、清水900kgに卵白(鶏卵卵白)リゾチーム(キユーピー株式会社製、商品名:卵白リゾチーム)50kgを添加、混合し、リゾチーム水溶液を調製した。リゾチーム水溶液を中心品温95℃、加熱時間2時間の条件で加熱処理した後、25℃に冷却し、変性リゾチーム(加熱変性リゾチーム)水溶液を得た。
<変性リゾチームの含有量>
得られた変性リゾチーム水溶液において、変性リゾチームの含有量は、固形分換算で5質量%であった。
<変性リゾチームの蛍光強度>
変性リゾチーム水溶液の蛍光強度を測定した結果、蛍光強度は、7,000であった。
<蛍光強度の測定方法>
蛍光強度は以下の方法により測定した。まず、変性リゾチームの濃度が固形分換算で0.05質量%になり、かつリン酸塩の濃度が0.2Mになるようにリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈して、希釈液を得た。得られた希釈液5mLに8mMの1,8−アニリノナフタレンスルホン酸のメタノール溶液25μLを添加して得られた液を20℃以上25℃以下(室温)の条件下、30分間反応させた後の該液について、励起波長390nm(励起バンド幅10nm)の条件で、波長470nm(蛍光バンド幅10nm)の蛍光強度を測定した。上記蛍光強度は、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0、リン酸塩としてリン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムを含有する)の蛍光強度をブランク値として別途測定し、該ブランク値を差し引いた値である。
上記蛍光強度は、蛍光分光光度計(日本分光株式会社製、型名FP−8500)を用いて、励起波長390nm、励起バンド幅10nm、蛍光波長470nm、蛍光バンド幅10nm、レスポンス0.5sec、感度Low(約270±10V)(電源周波数(50/60Hz))、ペリスタシッパSHP−820型使用の条件で測定した。
<粉末製剤の製造>
(実施例1)
上述の方法により得られた変性リゾチーム水溶液に、添加剤として、非還元糖であるトレハロース(株式会社 林原製、商品名:トレハ)を添加して、混合し、混合液を調製した(調製工程)。トレハロースは、変性リゾチーム(固形分換算)に対するトレハロースの含有質量比が1.0となるように添加した。次に、得られた混合液を、入口温度170℃、排風温度80℃の条件で、竪型スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)を用いて噴霧乾燥を行った(粉末化工程)。これにより、実施例1の粉末製剤を得た。
<粉末製剤のpH>
得られた粉末製剤を変性リゾチームの含有量が2質量%になるように清水に溶解させた水溶液のpHは6.0であった。
<粉末製剤における蛍光強度>
得られた粉末製剤中の変性リゾチームの蛍光強度を上記同様の方法により測定した結果、蛍光強度は6,966であった。
(実施例2)
添加剤として、非還元糖であるα‐シクロデキストリン(株式会社シクロケムバイオ製、CAVAMAX W6 FOOD)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の粉末製剤を得た。
(実施例3)
トレハロースを、変性リゾチーム(固形分換算)に対するトレハロースの含有質量比が2.0となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の粉末製剤を得た。
(比較例1)
添加剤として、還元糖であるデキストリン(デキストロース当量(DE)4、松谷化学工業株式会社製、商品名:パインデックス♯100)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の粉末製剤を得た。
(参考例)
添加剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、参考例の粉末製剤を得た。
<アルコール溶液に対する溶解性評価>
実施例1〜2、比較例1及び参考例の粉末製剤について、以下に示す方法で、70w/w%アルコール(エタノール)溶液に対する溶解性を評価した。なお、アルコールとして、エタノールを用いた。
(試験液の調製)
試験液の調製は以下に示す方法により行った。まず、実施例1〜2、比較例1及び参考例の各粉末製剤をそれぞれ純水に溶解した。その後、変性リゾチームの含有量が固形分換算で、0.5質量%となり、エタノール濃度が70w/w%となるようにエタノールで希釈した。得られた希釈液を、必要に応じて、0.1mol/L水酸化ナトリウム又は塩酸を用いて、表1に示すpHとなるようにpH調整を行い、各試験液を調製した。
(評価方法)
各試験液の波長660nmの光の透過率(以下、単に「透過率」ともいう。)の測定及び目視による観察によって、アルコール溶液に対する溶解性を評価した。透過率(T660nm%)は、紫外可視分光光度計(株式会社島津製、UV−2700)を用いて測定した。
(アルコール溶液に対する溶解性の評価結果)
表1は、各試験液の透過率の測定結果を示す。また、図1は各試験液の目視による観察結果を示す。
表1及び図1に示すとおり、非還元糖を含有する実施例1〜2の粉末製剤は、非還元糖を含有しない比較例1の粉末製剤と比べて、アルコール溶液に対する溶解性に優れていた。また、非還元糖を含有する実施例1〜2の粉末製剤は、アルコール溶液のpHが6.0及び7.0の条件において、添加剤なしの参考例の粉末製剤と比べて、アルコール溶液に対する溶解性に優れていた。
<抗ノロウイルス活性の評価>
抗ノロウイルス活性は、国際公開第2016/017784号に記載の方法に準じて、評価した。具体的には、以下に示す方法で評価した。
(1)6ウェルプレートに、マウスマクロファージ株化細胞(RAW264.7細胞)をコンフルエントの60〜80%まで培養した。
(2)RAW264.7細胞をコンフルエントまで培養し、コンフルエントになった細胞にノロウイルス液1mLを接種し、37℃、5%COの条件下で2日間培養した。ノロウイルス液としては、Murine norovirus strain 1(MNV−1)(Effect of Food Residues on Norovirus Survival on Stainless Steel Surfaces)を使用した。
MNV−1(ワシントン大学(Washington University)のハーバート.W.ヴァージン博士(Dr.Herbert W. Virgin)により供与された。
培養後、細胞が剥がれていることを目視で確認し、凍結融解を4回繰り返して細胞を破壊し、細胞中のウイルスを放出させた。その後、50mL遠沈管に分注し、遠心分離(8,000g、20分)を行い、感染価(PFU/mL)が10〜10PFU/mL程度のノロウイルス液を得た。このノロウイルス液は、−80℃で保存し、解凍して使用した。
(3)次に、実施例1、3又は参考例の粉末製剤を水に溶解し、変性リゾチームを固形分換算で2質量%含有する水溶液を調製した。この水溶液に、(2)で得たノロウイルス液を等質量加え、これを評価用サンプル液(ノロウイルス混合液)とした。
各評価用サンプル液を、室温(20℃)で所定の反応時間(0分又は1分)で放置し、ノロウイルスと接触させた。
反応後、各評価用サンプル液を10倍希釈し、希釈サンプル液とした。ここで、xは1〜5の整数である。希釈サンプル液は、後述する(8)においてプラーク数が目視でカウントできる数(プラーク数10〜100程度)となるように評価用サンプル液を希釈して得た。
(4)(1)のプレートにおいて培養液を全量撤去し、所定時間放置後希釈した希釈サンプルを500μL/wellで2ウェルずつ接種した。
(5)マウスマクロファージ株化細胞(RAW264.7細胞)が乾かないように振とうしながら、室温で1時間インキュベートし、ノロウイルスをマウスマクロファージ株化細胞に感染させた。
(6)プレート上の500μL/wellの接種液を全量除去し、1.5% Sea Plaque Agarose−DMEM(37℃)を2ml/wellで重層し、それが固まった後、37℃、5%CO条件下で2日間培養した。
(7)2日間培養後のプレートに染色液である0.03%ニュートラルレッド溶液を2mL/wellで重層し、37℃、5%CO条件下で1時間インキュベートした。
(8)(7)におけるインキュベート後に0.03%ニュートラルレッド溶液の全量を撤去し、目視でプラーク数をカウントした。得られたプラーク数と希釈倍率とから感染価(PFU/mL)を算出した。
(9)以下の式から、ノロウイルス混合液の放置前後の実施例1、3及び参考例の粉末製剤における抗ノロウイルス活性を算出した。
抗ノロウイルス活性=Log10(1分間放置前のノロウイルス混合液の感染価)−Log10(1分間放置後のノロウイルス混合液の感染価)
表2に示すとおり、変性リゾチームと、非還元糖を含有する実施例1及び3の粉末製剤は、抗ノロウイルス活性が維持されていた(添加剤なしの参考例との対比)。この結果から、変性リゾチームと、非還元糖とを含有する粉末製剤が、抗ノロウイルス活性を維持しつつ、アルコール溶液に対する充分な溶解性を有することが示された。

Claims (4)

  1. 変性リゾチームと、
    非還元糖と、を含有する、粉末製剤。
  2. 請求項1に記載の粉末製剤において、
    前記非還元糖が、トレハロース及びα‐シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、粉末製剤。
  3. 粉末製剤の製造方法であって、
    変性リゾチーム及び非還元糖を含有する混合液を調製する工程と、
    前記混合液に対して噴霧乾燥を行う工程と、を備える、製造方法。
  4. 請求項3に記載の粉末製剤の製造方法において、
    前記非還元糖が、トレハロース及びα‐シクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、製造方法。
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