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JP2018172677A - 含フッ素シーリング材形成用組成物 - Google Patents

含フッ素シーリング材形成用組成物 Download PDF

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JP2018172677A
JP2018172677A JP2018068876A JP2018068876A JP2018172677A JP 2018172677 A JP2018172677 A JP 2018172677A JP 2018068876 A JP2018068876 A JP 2018068876A JP 2018068876 A JP2018068876 A JP 2018068876A JP 2018172677 A JP2018172677 A JP 2018172677A
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Abstract

【課題】電子部材等の空隙の充填に適した、含フッ素化合物を含む組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】含フッ素ポリマー及びフッ素系溶剤を含有し、含フッ素ポリマー濃度が7〜33質量%の範囲にある、含フッ素シーリング材形成用組成物。上記含フッ素ポリマーは、(A)該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー、及び/又は(B)Si原子含有メルカプタンに由来する構成成分、及び、該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマーであり、Si原子含有重合性モノマー及びSi原子含有メルカプタンは、それぞれ独立して、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi原子を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素シーリング材形成用組成物に関する。
ディスプレイ、プリント基板等の電子機器における電子部材間等の空隙(隙間、例えば微小空隙)には、この空隙を充填するためのシーリング材が設けられる。このシーリング材には、電子機器に含まれる部材を保護するための防水性等が求められる。
一方、ある種の含フッ素化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた防水及び防湿性等を基材に提供し得ることが知られている(特許文献1〜3)。例えば、特許文献1には、カルボキシル基に対して直接又は2価の有機基を介してエステル結合したフルオロアルキル基を有し、α位に置換基を有することのあるアクリル酸エステル、及び高軟化点モノマーを含む防水及び/又は防湿用コーティング組成物が記載されている。このような防水及び/又は防湿用コーティング組成物では、通常、数μmの厚みの薄膜が形成される。
特開2013−253240号公報 特開2009−46575号公報 特開2013−231168号公報
本発明者は、電子部材等の空隙を充填するために、含フッ素化合物を含むコーティング組成物を用いることを試みた。しかしながら、従来から検討されてきたコーティング組成物では、膜厚の大きな膜を形成することは困難であり、上記の空隙を充填するに足りるだけの膜厚を得ることができないことが分かった。
本発明は、電子部材等の空隙の充填に適した、含フッ素化合物を含む組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、含フッ素化合物の濃度の高いコーティング組成物を用いて、上記の空隙を充填することを試みた。しかし、従来から検討されてきたコーティング組成物では、硬化後の膜厚が小さく、上記の空隙を十分に充填することは困難であることが分かった。本発明者のさらなる検討の結果、特定のポリマーを特定の濃度で含む組成物を用いることにより、上記の空隙の十分な充填が可能となることが見出された。
即ち、本発明の第1の要旨によれば、
(I)式(1):
Figure 2018172677
[式中:
Rfは、フルオロアルキル基であり;
Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分枝状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;
Yは、直接結合、又は2価の有機基である。]
で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含む重合体であり、下記(A)及び/又は(B)に示す含フッ素ポリマー
(A)該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー、
(B)Si原子含有メルカプタンに由来する構成成分、及び、該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー、
及び
(II)フッ素系溶剤
を含有し、
Si原子含有重合性モノマー及びSi原子含有メルカプタンは、それぞれ独立して、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi原子を含み、
含フッ素ポリマー濃度が7〜33質量%の範囲にある、含フッ素シーリング材形成用組成物が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、上記含フッ素シーリング材形成用組成物を用いて形成されたシーリング材を含む物品が提供される。
本発明によると、電子部材等の空隙の充填に適した含フッ素シーリング材形成用組成物を得ることができる。
本明細書において用いられる場合、「2価の有機基」とは、炭素を含有する2価の基を意味する。かかる2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、上記「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。なお、かかる炭化水素基は、その末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
上記「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子;1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6−10アリール基、5〜10員のヘテロアリール基等が挙げられる。
本明細書において、アルキル基及びフェニル基は、特記しない限り、非置換であっても、置換されていてもよい。かかる基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基及びC2−6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
本明細書において、「加水分解可能な基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=CR、−NR、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)等が挙げられ、好ましくは−OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等の非置換アルキル基;クロロメチル基等の置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。本明細書において、「加水分解可能な基」と併記される「水酸基」は、特に限定されないが、加水分解可能な基が加水分解して生じたものであってよい。
[含フッ素シーリング材形成用組成物]
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、例えば、電子部材、または電子部材を含む電子機器等の空隙(隙間)の充填に適した含フッ素シーリング材を形成するための組成物である。以下において、上記のような空隙の充填に適していることを、ギャップフィル性が良好である、と記載することがある。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、含フッ素ポリマー及びフッ素系溶剤を含有し、含フッ素シーリング材形成用組成物100質量%に対して、含フッ素ポリマー濃度が7〜33質量%である。本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物に含まれる含フッ素ポリマーは、式(1):
Figure 2018172677
[式中:
Rfは、フルオロアルキル基であり;
Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分枝状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;
Yは、直接結合、又は2価の有機基である。]
で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル(以下、単に「フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」ということがある)に由来する構成単位を含む重合体であり、下記(A)及び/又は(B)に示す含フッ素ポリマーである。
(A)該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー。
(B)Si原子含有メルカプタンに由来する構成成分、及び、該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー。
但し、Si原子含有重合性モノマー及びSi原子含有メルカプタンは、それぞれ独立して、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi原子を含む。
(I)含フッ素ポリマー
以下、上記含フッ素ポリマーを得るための各成分について説明する。
上記フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、α位に置換基を有することのあるアクリル酸に対して、フルオロアルキル基が直接又は2価の有機基を介してエステル結合したものである。本明細書においては、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及びフルオロアルキル基含有メタクリル酸エステルを併せて「フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル」ともいう。上記フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いて形成された含フッ素シーリング材の耐ケミカル性(例えば、塩水、酸又は塩基性水溶液、アセトン、オレイン酸又はヘキサン、特に塩水に対する耐性)の向上に寄与する。
上記したフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(1):
Figure 2018172677
で表される。
上記式(1)において、Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分枝状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基である。Xは、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又はメチル基である。
別の態様において、Xは、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(X及びXは、上記と同意義。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分枝状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基であり、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、又はメチル基である。
上記式(1)において、Yは、直接結合、又は2価の有機基である。2価の有機基は上記と同意義である。Yは、好ましくは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R)SO2−基(但し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY)CH2−基(但し、Yは、水素原子又はアセチル基である。)、又は−(CH2)SO2−基(nは、1〜10)であり、より好ましくは、直接結合、炭素数1〜10の脂肪族基、又は−CH2CH(OH)CH2−基、さらに好ましくは、炭素数1〜4の脂肪族基、又は−CH2CH(OY)CH2−基である。
脂肪族基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基を挙げることができる。
上記脂肪族基は、例えば、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
芳香族基としては、例えば、フェニレン基を挙げることができる。
環状脂肪族基としては、例えば、シクロアルキレン環を挙げることができる。
芳香脂肪族基としては、例えば、−Y21−Ar−Y22−を挙げることができる。Y21及びY22は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1〜12のアルキレン基であり、Arは置換又は不置換のアリーレン基(より具体的には、フェニレン基)を挙げることができる。
上記式(1)において、Rfは、フルオロアルキル基であり、好ましくは、炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基であり、より好ましくは、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であり、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基も包含するものである。
上記式(1)で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、後述するフッ素系溶剤、特に、ハイドロフルオロエーテルに対する溶解性が良好である点で、Rfが炭素数4〜6の直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基であることが好ましい。形成されるギャプフィル材(シーリング材)の耐防水性をより向上させるために、上記式(1)で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、さらに、Xで表されるα位の置換基が水素原子以外の基又は原子であるα位置換アクリル酸エステルであることが好ましい。低価格の原料を用いて、良好な防水性を有するギャプフィル材を形成できる観点からは、α位の置換基Xは、メチル基、塩素原子又はフッ素原子であることが好ましい。成膜性を良好にする観点からは、α位の置換基Xがメチル基であることが特に好ましい。
一の態様において、上記式(1)で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、後述するフッ素系溶剤、例えば、少なくとも1の水素原子がフッ素原子により、かつ、少なくとも1の水素原子が塩素原子により置換されているオレフィンに対する溶解性が良好である点で、Rfが炭素数4〜6の直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基であることが好ましい。形成されるギャプフィル材の耐防水性をより向上させるために、上記式(1)で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、さらに、Xで表されるα位の置換基が水素原子以外の基又は原子であるα位置換アクリル酸エステルであることが好ましい。低価格の原料を用いて、良好な防水性を有するギャプフィル材を形成できる観点からは、α位の置換基Xは、メチル基、塩素原子又はフッ素原子であることが好ましい。成膜性を良好にする観点からは、α位の置換基Xがメチル基であることが特に好ましい。
一の態様において、Rfは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であり、炭素数4〜6の直鎖状又は分枝状のパーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
上記した一般式(1)で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、次のとおりである。
Figure 2018172677
Figure 2018172677
Figure 2018172677
上記フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記Si原子含有重合性モノマーは、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi素原子を含む。上記Si原子含有重合性モノマーは、分子内に、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi素原子及び少なくとも1以上の重合可能な官能基を含むことが好ましい。上記Si原子含有重合性モノマーは、空隙の壁面又はあらかじめ空隙に充填されている部材等に対する接着性の向上、含フッ素シーリング材の耐摩耗性の向上に寄与する。
上記Si原子含有重合性モノマーにおいて、上記重合可能な官能基は、好ましくは、重合性不飽和結合を含む基、より好ましくは重合可能なエチレン性不飽和結合を含む基である。重合可能な官能基は、上記Si原子含有重合性モノマーの分子内に、好ましくは1つ存在する。
上記Si原子含有重合性モノマーにおいて、上記Si原子は、1〜3の水酸基又は加水分解可能な基と結合することが好ましく、3の水酸基又は加水分解可能な基と結合することがより好ましい。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
上記Si原子含有重合性モノマーは、好ましくは、下記式(2):
Figure 2018172677
で表される。
上記式(2)において、R、R及びRは、同一又は異なって、水酸基、加水分解可能な基又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R、R及びRの少なくとも1つは水酸基又は加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。より好ましくは、R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基(−OR)であり、R、R及びRの少なくとも1つは炭素数1〜4のアルコキシ基である。Rは、上記と同意義である。R、R及びRは、それぞれ独立して、アルコキシ基であることがより好ましく、それぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基であることがさらに好ましい。例えば、R、R及びRは、いずれもメトキシ基であり得る。
上記式(2)において、Rは、重合性不飽和結合を含む基であり、好ましくは重合可能なエチレン性不飽和結合を含む基である。
上記式(2)で表される化合物は、具体的には、以下の式(2’)で表すことができる。
Figure 2018172677
上記式(2’)において、R、R及びRは、上記と同意義である。R14は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは、水素原子、塩素原子、又はメチル基である。Yは、直接結合又は2価の有機基を表し、好ましくは、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数6〜15の芳香脂肪族基である。芳香脂肪族基は、上記と同意義である。
該Si原子含有重合性モノマーとしては、具体的には、下記式で表されるモノマーを例示できる。
Figure 2018172677
上記各式において、R、R及びRは、上記と同意義であり、Rは水素原子、メチル基、又は塩素原子であり、hは1〜12(例えば、1〜10)の整数である。
一の態様において、R、R及びRは、メトキシ基又はエトキシ基であり、好ましくはメトキシ基であり、Rはメチル基であり、hは1〜12の整数である。
上記Si原子含有重合性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体成分は、必要に応じて、高軟化点モノマー、又はその他のモノマーを含み得る。
上記高軟化点モノマーは、高軟化点モノマーからなるホモポリマーのガラス転移点又は融点が100℃以上、好ましくは120℃以上のモノマーである。この場合、ガラス転移点が存在するポリマーについてはガラス転移点が100℃以上、好ましくは120℃以上であることが必要であり、ガラス転移点が存在しないポリマーについては、融点が100℃以上、好ましくは120℃以上であることが必要である。
尚、ガラス転移点及び融点は、それぞれJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」で規定される補外ガラス転移終了温度(Teg)、及び融解ピーク温度(Tpm)とする。
上記高軟化点モノマーは、含フッ素シーリング材形成用組成物から形成される含フッ素シーリング材の防水及び/又は防湿性能の向上に寄与し得る。更に、高軟化点モノマーを含むことにより、上記含フッ素シーリング材は、硬度が向上して、耐摩耗性等の耐久性がより良好となり得る。
特に、上記高軟化点モノマーを単量体成分として用いることによって、上記シーリング材は、表面に付着した水滴の除去性能を示す指標となる動的撥水性が非常に良好になる。尚、動的撥水性は、水の転落角によって評価することができる。
上記高軟化点モノマーとしては、下記一般式(4)
CH=C(R11)COOR12 (4)
(式中、R11は、H又はCHであり、R12は、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.55以上の飽和アルキル基を有する基である。)で表される(メタ)アクリル酸エステル;メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等を挙げることができる。
上記高軟化点モノマーは、上記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
一般式(4)において、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.55以上の飽和アルキル基(より具体的には、炭素数4〜20で水素原子に対する炭素原子の比率が0.58以上の飽和アルキル基)の具体例としては、イソボルニル、ボルニル、フェンシル(以上はいずれもC1017、炭素原子/水素原子=0.58)、アダマンチル(C1015、炭素原子/水素原子=0.66)、ノルボルニル(C12、炭素原子/水素原子=0.58)等の架橋炭化水素環を有する基が挙げられる。これらの架橋炭化水素環は、カルボキシル基に直接結合してもよく、或いは、炭素数1〜5の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基を介して、カルボキシル基に結合していてもよい。これらの架橋炭化水素環には、更に、水酸基やアルキル基(炭素数、例えば1〜5)が置換されていてもよい。
なお、上記水素原子に対する炭素原子の比率は、水素原子数に対する炭素原子数の比率を表す。
上記一般式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、イソボルニル基を有する(メタ)アクリレート、ノルボルニル基を有する(メタ)アクリレート、アダマンチル基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらの内で、ノルボルニル基を有する(メタ)アクリレートとしては、3−メチル−ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、1,3,3−トリメチル−ノルボルニル(メタ)アクリレート、ミルタニルメチル(メタ)アクリレート、イソピノカンファニル(メタ)アクリレート、2−{[5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]ノルボルニル}(メタ)アクリレート等を例示でき、アダマンチル基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル−α−トリフルオロメチル(メタ)アクリレート等を例示できる。
上記その他のモノマーとしては、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーであればよく、得られる含フッ素ポリマーの性能に悪影響を及ぼさない限り、広範囲に選択可能である。例えば、芳香族アルケニル化合物、シアン化ビニル化合物、共役ジエン化合物、ハロゲン含有不飽和化合物、ケイ素含有不飽和化合物、不飽和ジカルボン酸化合物、ビニルエステル化合物、アリルエステル化合物、不飽和基含有エーテル化合物、マレイミド化合物、(メタ)アクリル酸エステル、アクロレイン、メタクロレイン、環化重合可能なモノマー、N−ビニル化合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
上記Si原子含有メルカプタンは、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi素原子を含む。
上記Si原子含有メルカプタンは連鎖移動剤として作用するものであり、加えることによりフッ素系ポリマーの重合度を調整できる。さらに、Si原子含有メルカプタンの一部、具体的にはSi原子含有メルカプタンに含まれるSi原子に結合した水酸基又は加水分解可能な基がフッ素系ポリマーに含まれる。このことによって、形成される含フッ素シーリング材とエラストマー(例えばシリコーン)及び/又は空隙の壁面との密着性が向上する。従って、Si原子含有メルカプタンは、耐摩耗性に優れた含フッ素シーリング材の形成に寄与し得る。
上記Si原子含有メルカプタンとしては少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi原子と、メルカプト基とを有する化合物であれば特に限定なく使用できる。好ましいSi原子含有メルカプタンとしては、下記式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2018172677
上記式(3)中、R、R及びRは、同一又は異なって、水酸基、加水分解可能な基又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R、R及びRの少なくとも1つは水酸基又は加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基(−OR)であり、R、R及びRの少なくとも1つは炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましい。R、R及びRは、それぞれ独立して、アルコキシ基であることがより好ましく、それぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基であることが特に好ましい。例えば、R、R及びRは、いずれもメトキシ基であり得る。
上記式(3)中、R10は、炭素数1〜12のアルキレン基である。上記アルキレン基は、直鎖状又は分枝状であり、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
一の態様において、R、R及びRは、それぞれ独立して、メトキシ基又はエトキシ基であり、好ましくはメトキシ基であり、R10は、炭素数1〜5のアルキレン基である。
上記一般式(3)で表されるSi原子含有メルカプタンでは、後述するフッ素系溶剤に対する溶解性の観点より、R10が、炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
上記したSi原子含有メルカプタンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物に含まれる含フッ素ポリマーについて、
(A)フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー(以下、「含フッ素ポリマー1」ということがある)と、
(B)Si原子含有メルカプタンに由来する構成成分、及び、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー(以下、「含フッ素ポリマー2」ということがある)、
に分けて記載する。但し、含フッ素ポリマー1及び含フッ素ポリマー2のそれぞれにおいて、Si原子含有重合性モノマー及びSi原子含有メルカプタンは、それぞれ独立して、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi原子を含む。
上記含フッ素ポリマー1は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとSi原子含有重合性モノマーとを必須成分として含む単量体成分を重合させることによって得られる。即ち、含フッ素ポリマー1は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーを含む単量体成分を重合させてなる含フッ素ポリマーである。含フッ素ポリマー1は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及びSi原子含有重合性モノマーに由来する構成単位を有する共重合体である。
上記含フッ素ポリマー1の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜500,000であり、より好ましくは5,000〜300,000、更に好ましくは20,000〜100,000である。含フッ素ポリマー1の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができる。例えば、上記重量平均分子量は、溶出溶媒としてHCFC225/ヘキサフルオロイソプロパノール(=90/10重量)混合溶媒を用いたGPCにより求め得る(標準ポリメチルメタクリレート換算)。
フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーは、それぞれ上記と同意義である。
上記含フッ素ポリマー1は、上記フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び上記Si原子含有重合性モノマーに由来する構成単位を、質量比において99.9:0.1〜50:50の範囲で含むことが好ましく、96:4〜70:30の範囲で含むことがより好ましく、96:4〜90:10の範囲で含むことがさらに好ましい。
好ましい態様にて、含フッ素ポリマー1において、上記フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(1)で表され、上記Si原子含有重合性モノマーは、下記式(2)で表される。式中、Rf、X、Y、及びR〜Rは、上記と同意義である。
Figure 2018172677
Figure 2018172677
本態様において、得られる含フッ素ポリマー1は、下記化学式(5)で表される構造部分を有する共重合体となる。含フッ素ポリマー1の末端は、停止剤由来の基、開始剤由来の基、又はモノマー由来の基であり得る。
上記含フッ素ポリマー1を含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、厚みの大きな含フッ素シーリング材の形成に寄与できる。含フッ素ポリマー1を含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、耐摩耗性に優れ、防水及び/又は防湿性能が良好であり、撥水性に優れ水切れが良好なシーリング材の形成に寄与できる。さらに、含フッ素ポリマー1を含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、耐ケミカル性、例えば、塩水(例えば、5%の塩水)、酸又は塩基性水溶液、アセトン、オレイン酸又はヘキサン、特に塩水に対する耐性が良好なシーリング材の形成に寄与できる。
Figure 2018172677
上記化学式(5)中、X、Y、Rf及びR〜Rは、上記と同意義である。R5’は、式(2)における基Rに由来する3価の基、即ち、重合性不飽和結合を含む基に由来する3価の基である。
上記化学式(5)において、lを付して括弧でくくられた構成単位は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位であり、mを付して括弧でくくられた構成単位は、Si原子含有重合性モノマーに由来する構成単位である。なお、l及びmを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
上記化学式(5)において、l及びmは、それぞれ独立して、1以上の整数である。l及びmの合計は、重量平均分子量が3,000〜500,000となる数値であることが好ましい。
一の態様において、上記化学式(5)において、l:mは、99.9:0.5〜50:50の範囲にあることが好ましく、95:5〜70:30の範囲にあることがより好ましく、95:5〜80:20の範囲にあることがさらに好ましく、95:5〜85:15の範囲にあることが特に好ましい。
一の態様において、上記化学式(5)において、l:mは、93:7〜80:20の範囲にあってもよく、90:10〜80:20の範囲にあってもよい。
一の態様において、上記単量体成分は、フルオロアルキル基含有アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーに加えて、高軟化点モノマーを含む。本態様において、含フッ素ポリマー1は、高軟化点モノマーに基づく構成単位をさらに含む共重合体となる。高軟化点モノマーは、上記と同意義である。
本態様において得られる含フッ素ポリマーを含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、防水及び防湿性が良好であり、硬度が良好なシーリング材の形成に寄与し得る。
好ましい態様において、
上記フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(1)で表され;
Figure 2018172677
上記Si原子含有重合性モノマーは、下記式(2)で表され;
Figure 2018172677
上記高軟化点モノマーは、式(4)で表される(メタ)アクリル酸エステル
CH=C(R11)COOR12 (4)
である。式中、Rf、X、Y、R〜R、R11及びR12は、上記と同意義である。
本態様において、得られる含フッ素ポリマー1は、下記化学式(5’)で表される構造部分を有する共重合体となる。この共重合体を含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、耐摩耗性に優れ、防水及び/又は防湿性能が良好であって、更に、撥水性に優れ水切れが良好な含フッ素シーリング材の形成に寄与できる。含フッ素ポリマー1の末端は、停止剤由来の基、開始剤由来の基、又はモノマー由来の基であり得る。
Figure 2018172677
上記化学式(5’)中、X、Y、Rf、R〜R、R11及びR12は、上記と同意義である。R5’は、式(2)における基Rに由来する3価の基、即ち、重合性不飽和結合を含む基に由来する3価の基である。
上記化学式(5)において、l’を付して括弧でくくられた構成単位は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位であり、m’を付して括弧でくくられた構成単位は、Si原子含有重合性モノマーに由来する構成単位であり、n’を付して括弧でくくられた構成単位は、高軟化点モノマーに由来する構成単位である。なお、l’、m’及びn’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
上記化学式(5’)において、l’、m’及びn’は、それぞれ独立して、1以上の整数である。l’、m’及びn’の合計は、重量平均分子量が3,000〜500,000となる数値であることが好ましい。
一の態様において、上記化学式(5’)において、l’、m’、及びn’の比は、l’が、50〜99.8の範囲に、m’が、0.1〜49.5の範囲に、n’が、0.1〜49.9の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、l’、m’、及びn’の比は、l’が65〜99.8の範囲に、m’が5〜29.5の範囲に、n’が0.2〜30の範囲にある。
上記l’、m’、及びn’の比は、l’が65〜75の範囲に、m’が3〜15の範囲に、n’が20〜30の範囲にあることが好ましい。
上記単量体成分は、更に、必要に応じて、その他のモノマーも含むことができる。その他のモノマーは、上記と同意義である。
上記その他のモノマーは、含フッ素ポリマー1全体100質量%に対し、0.1〜20質量%含まれることが好ましい。
上記含フッ素ポリマー1の重合方法については特に限定されないが、例えばフッ素系溶剤中で溶液重合を行うことができる。この方法によれば、形成される含フッ素ポリマー1がフッ素系溶剤に対して溶解性が良好であることから、沈殿物が形成されることなく、円滑に重合反応を進行させることができる。
上記の溶液重合に用いるフッ素系溶剤(以下、「重合用フッ素系溶剤」と記載することがある。)としては、分子中にフッ素原子を有し、形成される含フッ素ポリマーの溶解性が良好な溶剤であれば、炭化水素化合物、アルコール、エーテル等のいずれであってもよく、また、脂肪族及び芳香族のいずれであってもよい。例えば、塩素化フッ素化炭化水素(特に、炭素数2〜5)、特にHCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)、HCFC141b(ジクロロフルオロエタン)、CFC316(2,2,3,3−テトラクロロヘキサフルオロブタン)、バートレルXF(化学式 C10)(デュポン社製)、ヘキサフルオロ−m−キシレン、ペンタフルオロプロパノール、フッ素系エーテル等を用いることができる。
上記重合用フッ素系溶剤は、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物に含まれるフッ素系溶剤と同様の溶剤を用いることが好ましい。本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物に含まれるフッ素系溶剤としてハイドロフルオロエーテルを用いる場合には、重合用フッ素系溶剤としてもハイドロフルオロエーテルを用いることが好ましい。このようなフッ素系溶剤を用いることによって、含フッ素ポリマーの分離工程等を省略して効率よく含フッ素シーリング材形成用組成物を得ることができる。
上記重合用フッ素系溶剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体成分をフッ素系溶剤中で重合させる場合には、例えば、該単量体成分をフッ素系溶剤に溶解させ、得られた溶液を攪拌しながら重合開始剤を添加することによって、重合反応を進行させることができる。
上記重合開始剤は、公知の重合反応用の重合開始剤であれば特に限定なく使用できる。重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸メチル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ベンゾフェノン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ベンゾケトン誘導体、フェニルチオエーテル誘導体、アジド誘導体、ジアゾ誘導体、ジスルフィド誘導体等を用いることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、通常、単量体成分として用いるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、0.01〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜1質量部とすることがより好ましい。
重合温度、重合時間等の重合条件は、単量体成分の種類、その使用量、重合開始剤の
種類、その使用量等に応じて適宜調整すればよいが、通常、50〜100℃程度の温度
で4〜10時間の重合反応を行えばよい。
重合用フッ素系溶剤中における単量体成分の濃度については、特に限定的ではないが、通常、10〜50質量%とすることが好ましく、20〜40質量%とすることがより好ましい。
上記単量体成分において、Si原子含有重合性モノマーの使用量は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、0.1〜30質量部とすることが好ましい。
一の態様において、上記単量体成分において、上記した高軟化点モノマーの使用量は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、0.1〜49.9質量部であり、1〜25質量部とすることが好ましい。
その他のモノマーの含有量は、含フッ素ポリマー1を得るために用いる単量体成分の総量を基準として、20質量%程度以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
上記含フッ素ポリマー2は、Si原子含有メルカプタンの存在下で、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を重合させることによって得ることができる。即ち、含フッ素ポリマー2は、Si原子含有メルカプタンの存在下で、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分を重合させてなる含フッ素ポリマーである。フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有メルカプタンは、それぞれ上記と同意義である。
上記単量体成分は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル以外に、高軟化点モノマー、その他のモノマーを含むことができる。高軟化点モノマー及びその他のモノマーは、それぞれ上記と同意義である。
含フッ素ポリマー2の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜500,000、より好ましくは5,000〜300,000、更に好ましくは20,000〜100,000である。含フッ素ポリマー2の重量平均分子量は、GPCにより求めることができる。例えば、上記重量平均分子量は、溶出溶媒としてHCFC225/ヘキサフルオロイソプロパノール(=90/10重量)混合溶媒を用いたGPCにより求め得る(標準ポリメチルメタクリレート換算)。
含フッ素ポリマー2は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成成分とSi原子含有メルカプタンに由来する構成成分とを、質量比において、100:0.01〜100:25の範囲で含むことが好ましく、100:0.1〜100:5の範囲で含むことが好ましい。
含フッ素ポリマー2は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成成分とSi原子含有メルカプタンに由来する構成成分とを、質量比において、100:0.01〜100:1の範囲で含んでいてもよく、100:0.1〜100:1の範囲で含んでいてもよい。
好ましい態様において、単量体として上記式(1)で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを用い、上記式(3)で表されるSi原子含有メルカプタンを用いる。本態様において、含フッ素ポリマー2は、下記一般式(6):
Figure 2018172677
で表される。式(6)で表される含フッ素ポリマー2は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を有する重合体のポリマー鎖と式(3)で表されるSi原子含有メルカプタン由来の構造とが結合している。式(6)で表される含フッ素ポリマー2は、少なくとも一方の末端に水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi原子を有し得る。
上記一般式(6)において、X、Y、Rf、及びR〜R10は、上記と同意義である。kは前記した重量平均分子量に対応する数値、即ち、一般式(6)のポリマーの重量平均分子量が3,000〜500,000となる数値であることが好ましく、3,000〜500,000となる数値であることがより好ましく、20,000〜100,000となる数値であることが更に好ましい。
上記含フッ素ポリマー2を含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、厚みの大きな含フッ素シーリング材の形成に寄与できる。含フッ素ポリマー2を含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、耐摩耗性に優れ、防水及び/又は防湿性能が良好であり、撥水性に優れ水切れが良好なシーリング材の形成に寄与できる。さらに、含フッ素ポリマー2を含む含フッ素シーリング材形成用組成物は、耐ケミカル性、例えば、塩水、酸又は塩基性水溶液、アセトン、オレイン酸又はヘキサン、特に塩水に対する耐性が良好なシーリング材の形成に寄与できる。
一の態様において、含フッ素ポリマー2を製造する際に、単量体成分として、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとともに高軟化点モノマーをさらに用いることができる。高軟化点モノマーの具体例は、上記と同様である。
本態様において、含フッ素ポリマー2は、高軟化点モノマーに基づく構造単位を含むものとなる。より具体的には、上記一般式(6)で表される構造のほかに、高軟化点モノマーに基づく構造単位を含む。
含フッ素ポリマー2は、高軟化点モノマーに由来する構成成分を、含フッ素ポリマー2全体100質量部に対し、0.1〜50質量部含むことが好ましく、1〜30質量部含むことがより好ましく、1〜20質量部含むことが更に好ましい。
一の態様において、含フッ素ポリマー2を製造する際に、単量体成分として、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとともにその他のモノマーをさらに用いることができる。その他のモノマーの具体例は、上記と同様である。
一の態様において、含フッ素ポリマー2を製造する際に、単量体成分として、Si原子含有重合性モノマーをさらに用いることができる。Si原子含有重合性モノマーは上記と同意義である。
本態様においては、含フッ素ポリマー2は、該Si原子含有重合性モノマーに基づく構成単位をさらに有するものとなる。Si原子含有重合性モノマーを用いることによって、含フッ素ポリマー2を含有する含フッ素シーリング材形成用組成物は、エラストマー(例えばシリコーン)への密着性の向上により一層寄与できる。
含フッ素ポリマー2は、単量体成分として、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルとともに、高軟化点モノマー、その他のモノマー及びSi原子含有重合性モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1つを含むことができる。
尚、前述したとおり、Xが塩素原子又はフッ素原子である場合、上記一般式(6)は、低価格の原料を用いて得られ、良好な防水性を有するギャプフィル材を形成できる有用性の高いポリマーである。
含フッ素ポリマー2の製造において、重合開始剤の種類、使用量等は含フッ素ポリマー1と同様である。
含フッ素ポリマー2の製造において、Si原子含有メルカプタンの使用量は、単量体成分として用いるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、0.01〜25質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましい。
含フッ素ポリマー2の製造において、単量体成分中の高軟化点モノマーの使用量、及びSi原子含有重合性モノマーの使用量は、含フッ素ポリマー1における記載と同様である。
含フッ素ポリマー2の重合は、含フッ素ポリマー1と同様の条件で行うことができる。
(II)溶剤
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物に含まれるフッ素系溶剤としては、分子中にフッ素原子を有し、形成される含フッ素ポリマーの溶解性が良好な溶剤を用いることができ、分子構造内にフッ素原子を有する炭化水素化合物、アルコール又はエーテルを用いることが好ましい。上記フッ素系溶剤は、脂肪族及び芳香族のいずれであってもよい。
上記フッ素系溶剤は、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、および、少なくとも1の水素原子がフッ素原子により、かつ、少なくとも1の水素原子が塩素原子により置換されているオレフィンからなる群より選ばれる少なくとも1を用いることが好ましい。
上記フッ素系溶剤は、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボンからなる群より選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。上記フッ素系溶剤としては、例えば、塩素化フッ素化炭化水素(特に、炭素数2〜5)、特にHCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン)、HCFC141b(ジクロロフルオロエタン)、CFC316(2,2,3,3−テトラクロロヘキサフルオロブタン)、バートレルXF(分子式C10)(デュポン社製)、ヘキサフルオロ−m−キシレン、ペンタフルオロプロパノール;ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系エーテル;パーフルオロカーボン、特にフロリナートFC40(3M社製)、フロリナートFC43(3M社製)、PFC−5060(ソルベイ社製);ハイドロフルオロカーボン、特にソルカン365mfc(ソルベイ社製)を挙げることができる。
本発明では、特に、フッ素系溶剤として、ハイドロフルオロエーテルを用いることが好ましい。ハイドロフルオロエーテルは各種の材料に対する化学的浸食性が低い溶剤であり、溶剤による悪影響を排除することが強く要求される電子部材に対する含フッ素シーリング材形成用組成物の溶剤として、特に適した溶剤である。更に、ハイドロフルオロエーテルは、速乾性、低環境汚染性、不燃性、低毒性等の優れた性能を有する理想的な溶剤である。
本発明では、ハイドロフルオロエーテルとしては、
式: C2y+1−O−C2z+1
[式中、yは1〜6の数、zは1〜6の数である。]
で示される化合物を用いることが好ましい。この様なハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、米国3M社のノベックHFE7100(化学式COCH)、7200(化学式COC)、7300(化学式CCF(OCH)C)等を用いることができる。
別の態様において、フッ素系溶剤として、少なくとも1の水素原子がフッ素原子により、かつ、少なくとも1の水素原子が塩素原子により置換されているオレフィンを用い得る。該オレフィンは、地球温暖化防止の観点から好ましい。
上記少なくとも1の水素原子がフッ素原子により、かつ、少なくとも1の水素原子が塩素原子により置換されているオレフィンは、例えば、炭素原子数2〜5の化合物、より具体的には、炭素原子数3〜4の化合物である。
上記少なくとも1の水素原子がフッ素原子により、かつ、少なくとも1の水素原子が塩素原子により置換されているオレフィンとしては、近年低GWP溶剤として開発されているハイドロクロロフルオロオレフィンや、クロロフルオロオレフィンを使用し得る。本明細書において、該クロロフルオロオレフィンは、置換基のうち、少なくとも1が塩素原子により、残りがフッ素原子により置換されているオレフィンを意味する。また、該ハイドロクロロフルオロオレフィンは、置換基のうち、少なくとも1が水素原子、また少なくとも1が塩素原子、残りがフッ素原子で置換されている
上記ハイドロクロロフルオロオレフィンとしては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−プロペンなど;上記クロロフルオロオレフィンとしては、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,1,3−トリクロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペンなどを挙げることができる。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物において、該組成物全体に対し、含フッ素ポリマーが7質量%以上であり、10質量%以上であることが好ましく、33質量%以下であり、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物において、該組成物全体に対し、含フッ素ポリマーが7〜33質量%であり、10〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、上記のような含フッ素ポリマー濃度を有することにより、電子部材の空隙、特に小さな空隙(微小空隙、例えば幅0.1〜1mm、深さ0.1〜3mm)に対しても効果的に充填できる。本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、充填時に空隙が詰る等の問題が生じにくく、上記空隙に均一に充填できる。本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、上記のような含フッ素ポリマー濃度を有することにより、溶剤の揮発に起因した体積減少が少なく、膜厚の大きな含フッ素シーリング材の形成が容易になる。したがって、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いることにより、ギャップフィル性が良好になる。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、含フッ素ポリマー1及び/又は含フッ素ポリマー2を含み、これらのポリマーはいずれもフルオロアルキル基を含むため、上記組成物を用いて形成された含フッ素シーリング材は、良好な防水性能を示す。本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、耐摩耗性に優れ、防水及び/又は防湿性能が良好であり、撥水性に優れ水切れが良好なシーリング材の形成に寄与できる。含フッ素ポリマー1及び含フッ素ポリマー2は、耐ケミカル性、例えば、塩水、酸又は塩基性水溶液、アセトン、オレイン酸又はヘキサン、特に塩水に対する耐性が良好であることから、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は良好な耐ケミカル性を有する含フッ素シーリング材の形成に寄与できる。上記空隙内には、電極又は樹脂材料等の部材があらかじめ形成されていることがあり、このような場合、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いることにより、水等から電極又は樹脂材料等の部材を保護することが可能となる。
さらに、上記含フッ素ポリマー1及び含フッ素ポリマー2に含まれる水酸基又は加水分解可能な基によって、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物により形成されるシーリング材の処理対象物に対する接着性が良好になる。処理対象物としては、例えば、電子部材の空隙の壁面、又はこの空隙にあらかじめ充填されている部材(例えば、ガラス;金属又は金属酸化物(例えば金属配線);シリコーン等のエラストマー;ポリエチレン又はエポキシ等の樹脂材料)、又はディスプレイ周辺材料(光学接着剤、OCA、偏光板等)を挙げられる。
一の態様において、含フッ素シーリング材形成用組成物は、含フッ素ポリマーとして、含フッ素ポリマー1を含む。含フッ素ポリマー1は、側鎖に存在するSi原子に結合した水酸基又は加水分解可能な基によって、各種の処理対象物(各種の処理対象物については、上記と同意義である)に対して良好な接着性を示すと共に、架橋性を有するものとなる。従って、本態様の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いて形成される含フッ素シーリング材は、上記処理対象物への密着性、耐摩耗性及び防水及び/又は防湿性能が良好となる。
一の態様において、含フッ素シーリング材形成用組成物は、含フッ素ポリマーとして、含フッ素ポリマー2を含む。含フッ素ポリマー2では、重合反応時に存在するSi原子含有メルカプタンの少なくとも一部がポリマー鎖に結合しており、その末端に存在するSi原子に結合した水酸基又は加水分解可能な基によって、各種の処理対象物(各種の処理対象物については、上記と同意義である)に対して良好な接着性を示すと共に、架橋性を有するものとなる。これにより、本態様の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いて形成される含フッ素シーリング材は上記処理対象物への密着性、耐摩耗性に優れたものとなり、更に、防水及び/又は防湿性能も良好となる。
別の態様において、さらに高軟化点モノマーを含む単量体成分を用いて、含フッ素ポリマー1又は含フッ素ポリマー2を形成する。本態様においては、含フッ素ポリマー1及び含フッ素ポリマー2のいずれについても、形成される含フッ素シーリング材の撥水性が向上して、水切れが良好になる。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、粘度が、10〜1000mPa・sの範囲にあることが好ましく、10〜100mPa・sの範囲にあることがより好ましく、10〜60mPa・sの範囲にあることがさらに好ましく、10〜50mPa・sの範囲にあることが特に好ましい。上記粘度は、B型粘度計、25℃における粘度であり、JIS K7117−1:1999に準拠して測定することができる。本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、上記のような粘度を有することにより、充填時に空隙の詰り等が生じにくく、電子部材間の空隙、特に狭い幅を有する微小空隙に対しても、均一に充填できる。本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、上記のような粘度を有することにより、空隙への充填の際に泡が生じにくく、又は、泡が生じた場合であっても、生じた泡は自然に(特に操作することなく)消滅する。さらに、上記のような粘度を有する本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、硬化後に十分な膜厚を有するシーリング材を形成できる。
特に好ましい態様において、含フッ素シーリング材形成用組成物は、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが、式(1)で表される、α位置換のフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルであり[式(1)中、Rfが炭素数4〜6の直鎖状又は分岐状のフルオロアルキル基であり;Xが水素原子以外の基又は原子であり、好ましくはフッ素原子、塩素原子、又はメチル基である。]、フッ素系溶剤が、ハイドロフルオロエーテルである。Rfが炭素数4〜6のフルオロアルキル基であるα位置換のフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルから形成される含フッ素ポリマーは、ハイドロフルオロエーテルに対する溶解性が良好であって、形成される含フッ素シーリング材は、防水性と防湿性が良好であり、且つ、耐摩耗性が良好となる。
上記態様において、Yは、好ましくは、直接結合、炭素数1〜10の脂肪族基(例えば、アルキレン基)、又は−CH2CH(OH)CH2−基、さらに好ましくは、炭素数1〜4の脂肪族基(例えば、アルキレン基)、又は−CH2CH(OY)CH2−基である。式中、Yは水素原子又はアセチル基である。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物では、フッ素系溶剤を用いることによって、上記した含フッ素ポリマーを安定に溶解することができ、沈殿等の生じ難い安定性の良好な含フッ素シーリング材形成用組成物とすることができる。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、重合用フッ素系溶剤中で重合反応を行った後、必要に応じてポリマーの濃度を調製し、そのまま含フッ素シーリング材形成用組成物としてもよく、或いは、重合反応を行った後、含フッ素ポリマーを分離し、この分離した含フッ素ポリマーと、フッ素系溶剤とを含む含フッ素シーリング材形成用組成物としてもよい。
好ましくは、ハイドロフルオロエーテルを重合用フッ素系溶剤として用いて重合反応を行った後、必要に応じて、ハイドロフルオロエーテルを用いてポリマー濃度を調製して、含フッ素シーリング材形成用組成物とする。このような方法を用いることにより、効率よく目的とする含フッ素シーリング材形成用組成物を得ることができる。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、含フッ素ポリマー及びフッ素系溶剤以外に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、触媒(スズ又はチタン等の金属系触媒、又は酸塩基等の有機系触媒、安定化材(脱水剤、モレキュラーシーブ、硫酸マグネシウム又はオルソギ酸メチル)、粘度調節剤、フィラー(シリカ、マイカ、クレイ等の無機材)、着色剤、又は蛍光剤等を挙げることができる。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物は、特に限定されないが、例えば、ディスプレイ、又はプリント基板等の電子部材等に用いることができ、これらの部材等に含まれる材料、例えばエラストマー、プラスチック、金属、セラミックス等に適用できる。上記電子部材を含む電子機器としては、パーソナルコンピューター、タブレットパソコン、スマートホン、デジタルカメラ、又はカーナビ等を挙げることができる。
本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物によれば、耐摩耗性に優れた防水及び防湿性を有する含フッ素シーリング材を形成することができる。溶剤としてハイドロフルオロエーテルを用いる場合には、化学的浸食を生じることなく、環境等への悪影響を及ぼすことなく良好な防水及び防湿性を有する含フッ素シーリング材を形成できる。また、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いることにより、耐ケミカル性が良好であり、膜厚の大きな含フッ素シーリング材を形成することができる。さらに、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いることにより、接着層を別途設ける必要がなく、部材又は空隙の壁面と接着することが可能となり、含フッ素シーリング材の形成工程を簡略化が可能となる。
以下、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いた処理方法について説明する。
上記処理方法は、特に限定はなく、例えば、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物を電子部材の空隙(例えば、筐体とプリント基板の張り合わせ部、又は樹脂モールドされた金属端子部とモールド樹脂の隙間等)に充填し、充填後、乾燥させることによって行うことができる。
これにより、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物に含まれる含フッ素ポリマーのポリマー末端又は側鎖に導入したSi原子に結合した水酸基又は加水分解可能な基が、大気中の湿気により加水分解してシラノール基に変換され、例えば電子部材の空隙の壁面、又はこの空隙にあらかじめ充填されている部材(例えば、ガラス、金属配線、又は、シリコーン等のエラストマー、ポリエチレン又はエポキシ等の樹脂材料)等の処理対象物と反応して、密着性が向上する。空隙の壁面又は上記部材と反応しなったシラノール基同士が縮合して二次元又は三次元的に架橋して強固な膜が形成される。
処理時の温度については特に限定はなく、通常は、室温で処理を行えばよい。処理時間についても特に限定はないが、例えば、5分〜1時間とすることができる。
尚、より高い耐摩耗性を有する含フッ素シーリング材を形成するためには、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物による処理に先だって、空隙の壁面の油分を取り除くために、処理対象物をアセトン、ハイドロフルオロエーテル等で洗浄した後、乾燥することが好ましい。更に、上記の洗浄に加えて、UVオゾン、酸素プラズマ等で、前処理するとより、含フッ素シーリング材の耐摩耗性をより向上させることができる。
また、本発明の含フッ素シーリング材形成用組成物による処理に先立って、必要に応じて、空隙の壁面等に対してプライマー処理を施すことによって、含フッ素シーリング材形成用組成物から形成される含フッ素シーリング材の接着性を向上させて、耐摩耗性をより向上させることができる。プライマー処理は、常法に従って、シランカップリング剤を用いる場合のプライマー処理と同様の条件で処理を行えばよい。
以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で用いた化合物の略称は、それぞれ以下のとおりである。
・Rf(C6)MA:メタクリル酸(パーフルオロへキシル)エチル(CH2=C(CH3)COOCH2CH2C6F13)
・MPS:メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・TMSMA:メタクリル酸−3−(トリメトキシシリル)プロピル
・IBMA:メタクリル酸イソボルニル
・CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
<合成例1>
還流管を設けた四つ口フラスコに、Rf(C6)MAを50g、TMSMAを5g、及びパーフルオロブチルエチルエーテル(HFE7200)を110g入れた。このフラスコを、窒素パージしながら80℃に加熱した。その後、アゾイソブチロニトリル0.55gを投入し、6時間反応させた。得られた反応組成物を化合物1とした。
(塗膜の評価)
化合物1を、HFE7200と混合し、ポリマーを2質量%含む溶液を調製した。この調製した溶液を、スライドガラス(基板)上にディップ処理し、24時間25℃で乾燥することにより、ポリマー塗膜を形成した。
得られたポリマー塗膜に対して、ハジキ性評価のための水の接触角測定、及び密着性評価のため碁盤目試験を、それぞれ以下の条件により行った。
・水の接触角測定
接触角測定装置(協和界面科学社製)を用いてポリマー塗膜の接触角を5回測定し、その平均値を算出した。
水滴:2マイクロリットル
測定温度:25℃
(GPC測定)
化合物1に含まれるポリマーの重量平均分子量を、以下の条件で測定した。測定サンプルとしては、化合物1にHFE7200を加え、ポリマー濃度を1質量%としたものを用いた。
・溶出液:フッ素溶剤[HCFC225/ヘキサフルオロイソプロパノール=90/10質量比]
・カラム:KF−806L(Viscotek社製)
・カラム温度:30℃
・測定装置:Gel permeation chromatography(Viscotek製)
・検出器:Differential refractive index detector TDA−302(Viscotek製)
・碁盤目試験(クロスカット法)
JIS K5600に準拠して試験を実施した。具体的には、ポリマー塗膜に5×5のマス目を、1マスが縦2mm及び横2mmの大きさになるように、カッターナイフを用いて入れた。マス目を入れた後のポリマー塗膜上にセロテープ(登録商標)を貼り、指で押しつけた後、セロテープを剥がした。基板上に残ったマス目から残存率を算出した。
<合成例2>
四つ口フラスコにRf(C6)MAを50g、MPSを0.1g、及びHFE7200を100g入れた。その後の手順は、合成例1と同様に行った。得られた反応組成物を化合物2とした。
化合物2について、合成例1と同様にGPC測定を行った。また、ポリマー塗膜を形成し、合成例1と同様に塗膜の評価を行った。
<合成例3>
四つ口フラスコにRf(C6)MAを50g、IBMAを10g、MPSを0.15g、及びHFE7200を120g入れた。その後の手順は、合成例1と同様行った。得られた反応組成物を化合物3とした。
化合物3について、合成例1と同様にGPC測定を行った。また、ポリマー塗膜を形成し、合成例1と同様に塗膜の評価を行った。
<合成例4>
四つ口フラスコに、Rf(C6)MAを50g、CHMAを7.5g、TMSMAを2.5g、及びHFE7200を120g入れた。その後の手順は、合成例1と同様行った。得られた反応組成物を化合物4とした。
化合物4について、合成例1と同様にGPC測定を行った。また、ポリマー塗膜を形成し、合成例1と同様に塗膜の評価を行った。
<合成例5>
四つ口フラスコに、Rf(C6)MAを50g、CHMAを14g、及びHFE7200を115g入れた。その後の手順は、合成例1と同様行った。得られた反応組成物を化合物5とした。
化合物5について、合成例1と同様にGPC測定を行った。また、ポリマー塗膜を形成し、合成例1と同様に塗膜の評価を行った。
<実施例1〜12及び比較例1〜14>
合成例1〜5で得られた反応組成物を、HFE7200を用いて濃度調製し、表1および表2に示すポリマー濃度の溶液を調製した。得られた各サンプルのギャップフィル性及び耐ケミカル性の評価を、それぞれ以下の条件により行った。
・ギャップフィル性の評価
厚み0.5mmの銅板を2枚のスライドガラスで挟み、厚み0.5mm及び深さ2mmのギャップを形成した。外径0.2mmの針をつけたシリンジに、溶液を入れ、上記のギャップに注液した。ギャップフィル性は、以下のように評価した。
A:ギャップに溶液がスムーズに入り、広がる。泡をかまない、又は、泡をかんだ場合であっても自然に泡がなくなる。
B:ギャップに溶液がスムーズに入り、広がるが、泡かみが発生する。注液後、すぐにサンプルを振る等の処理をすることにより、泡がなくなる。
C:溶液がギャップにまったく入らない。
・耐ケミカル性の評価
上記ギャップフィル性の評価において銅板と2枚のスライドガラスにより形成されたギャップに溶液を注液したサンプルを25℃で加熱して硬化させ、硬化物を形成した。このサンプルに、5%の塩水溶液を100ml噴霧し、24時間静置した。静置後のサンプルについて、以下のように銅板の状態を評価した。
A:銅板に錆が全くない。
B:銅板全体の一部(2枚のスライドガラス間にある銅板の外周表面であって硬化物と接した領域の面積を100%とした場合の、10%程度の面積)に錆がみられる。
C:銅板のほとんど(上記領域の20〜50%の面積)が錆びている。
D:銅板の上記領域全体が錆びている。
Figure 2018172677
Figure 2018172677
<実施例15〜23及び比較例15〜23>
合成例1で得られた反応組成物(化合物1)を、1,2−ジクロロ−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンをそれぞれ用いて濃度調製し、表3に示すポリマー濃度の溶液を調製した。得られた各サンプルのギャップフィル性及び耐ケミカル性の評価を実施した。ギャップフィル性および耐ケミカル性の評価は、それぞれ上記と同様に行った。
Figure 2018172677

本発明は、電子機器等において、ディスプレイ、又はプリント基板等の電子部材間の空隙(例えば、ディスプレイ端面の空隙)を埋めるための含フッ素シーリング材を形成するために好適に利用され得る。

Claims (14)

  1. (I)式(1):
    Figure 2018172677
    [式中:
    Rfは、フルオロアルキル基であり;
    Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分枝状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;
    Yは、直接結合、又は2価の有機基である。]
    で表されるフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含む重合体であり、下記(A)及び/又は(B)に示す含フッ素ポリマー
    (A)該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル及びSi原子含有重合性モノマーを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー、
    (B)Si原子含有メルカプタンに由来する構成成分、及び、該フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体成分に由来する構成成分を含む含フッ素ポリマー、
    及び
    (II)フッ素系溶剤
    を含有し、
    Si原子含有重合性モノマー及びSi原子含有メルカプタンは、それぞれ独立して、少なくとも1以上の水酸基又は加水分解可能な基と結合したSi原子を含み、
    含フッ素ポリマー濃度が7〜33質量%の範囲にある、含フッ素シーリング材形成用組成物。
  2. 粘度が、10〜1000mPa・sの範囲にある、請求項1に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  3. Rfが、炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基である、請求項1又は2に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  4. Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R)SO2−基(但し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY)CH2−基(但し、Yは、水素原子又はアセチル基である。)、又は−(CH2)SO2−基(nは、1〜10)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  5. 式(1)において、Rfが炭素数4〜6の直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基であり、Xが水素以外の原子又は基である、請求項3又は4に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  6. (B)に示す含フッ素ポリマーにおいて、単量体成分がSi原子含有重合性モノマーをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  7. Si原子含有重合性モノマーが、式(2):
    Figure 2018172677
    [式中:
    、R及びRは、同一又は異なって、水酸基、加水分解可能な基又は炭素数1〜4のアルキル基であり、但し、R、R及びRの少なくとも1つは水酸基又は加水分解可能な基であり;
    は、重合性不飽和結合を含む基である。]
    で表される化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  8. Si原子含有メルカプタンが、式(3)で表される化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
    Figure 2018172677
    [式中:
    、R及びRは、同一又は異なって、水酸基、加水分解可能な基又は炭素数1〜4のアルキル基であり、但し、R、R及びRの少なくとも1つは水酸基又は加水分解可能な基であり;
    10は、炭素数1〜12の直鎖状のアルキレン基である。]
  9. (A)に示す含フッ素ポリマーが、下記式(5):
    Figure 2018172677
    [式中:
    Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分枝状のフルオロアルキル基、置換若しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基であり;
    Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CH2CH2N(R)SO2−基(但し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CH2CH(OY)CH2−基(但し、Yは、水素原子又はアセチル基である。)、又は−(CH2)SO2−基(nは、1〜10)であり;
    Rfは、炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基であり;
    、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、但し、R、R及びRの少なくとも1つはアルコキシ基であり;
    5’は、重合性不飽和結合を含む基に由来する3価の基であり;
    l及びmは、それぞれ1以上の整数であって、l及びmの合計は、含フッ素ポリマーの重量平均分子量が3,000〜500,000となる数値であり、尚、l及びmを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
    で表される構造部分を有するものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  10. (B)に示す含フッ素ポリマーが、下記式(6):
    Figure 2018172677
    [式中:
    Xは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX基(但し、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子又は塩素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状若しくは分枝状のフルオロアルキル基、置換若
    しくは非置換のベンジル基、置換若しくは非置換のフェニル基、又は炭素数1〜20の直
    鎖状又は分枝状アルキル基であり;
    Yは、直接結合、酸素原子若しくは硫黄原子を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の環状脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香脂肪族基、−CHCHN(R)SO−基(但し、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)、−CHCH(OY)CH−基(但し、Yは水素原子又はアセチル基である。)、又は−(CHSO−基(nは1〜10)であり;
    Rfは、炭素数1〜20の直鎖状又は分枝状のフルオロアルキル基であり;
    、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、R、R及びRの少なくとも一つはアルコキシ基であり;
    10は、炭素数1〜12の直鎖状のアルキレン基であり;
    kは、含フッ素ポリマーの重量平均分子量が3,000〜500,000となる数値である。]
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  11. フッ素系溶剤が、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン及びパーフルオロカーボンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の含フッ素シーリング材形成用組成物を用いて形成されたシーリング材を含む物品。
  13. 物品は、電子部材である、請求項12に記載の物品。
  14. 電子部材を含む電子機器である、請求項13に記載の物品。
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