JP2018159039A - 表面処理液、表面処理方法、陽イオン吸着体、陽イオン除去装置、及び陽イオン除去方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、イオン交換膜については、一体強化重合体フィルムが芳香族成分でグラフトされた、カチオン交換基を有するイオン交換膜が提案されている(特許文献1)。
また、特許文献1に記載されるような、カチオン交換基を有する成分をグラフトして製造されるイオン交換膜については、グラフトされる主材がグラフト可能な化学構造である必要があることによって主材の選択肢が狭いことや、グラフトの操作が煩雑である等の問題がある。
表面処理液は、(A)樹脂と、(C)溶媒とを含み、
(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
ただし、官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、(A)樹脂は官能基Iを有していなくてもよく、
(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、表面処理液である。
第一の態様にかかる表面処理液の、被処理体の表面への塗布を含む、表面処理方法である。
(A)樹脂が、基材の表面に付着しており、
(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
ただし、官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、前記(A)樹脂は官能基Iを有していなくてもよく、
(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、陽イオン吸着体である。
第三の態様にかかるイオン吸着体を備えるイオン除去装置である。
表面処理液(以下、単に処理液とも記す。)は、被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するために用いられる。表面処理液は、(A)樹脂と、(C)溶媒とを含む。
(A)樹脂は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有する。なお、官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合には、(A)樹脂は官能基Iを有していなくてもよい。
また、表面処理液は、(B)強酸を含んでいてもよい。(B)強酸のpKaは1以下である。
特に、上記の表面処理液により表面処理された被処理体を用いると、金属イオンを良好に吸着することができる。
金属イオンの種類、価数等は特に限定されない。表面処理液により表面処理された被処理体により除去可能な金属イオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、チタニウムイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、銀イオン、ヒ素イオン、ストロンチウムイオン、ジルコニウムイオン、カドミウムイオン、錫イオン、バリウムイオン、及び鉛イオンが挙げられる。
(A)樹脂は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iを有する。また、(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である。かかる分子量を有する(A)樹脂を用いる場合、処理液による処理時に、官能基Iと非処理体表面との反応又は相互作用に起因して、(A)樹脂が被処理体表面に結合ないし付着しやすい。
(A)樹脂の重量平均分子量の上限は、(A)樹脂が(C)溶媒に可溶である限りにおいて特に限定されない。(A)樹脂の重量平均分子量は、例えば、5,000,000以下であってよく、3,000,000以下であってよい。
官能基IIの親水性基としては、従来から、当業者に親水性基であると認識されている官能基であれば特に限定されず、その中から適宜選択できる。
これらの親水性基の中でも、被処理体の表面に特に良好な陽イオン吸着能を付与しやすい点から、スルホン酸基やスルホン酸基を有する有機基のようなスルホン酸基含有基が好ましい。
このため、(A)樹脂が、官能基IIとして、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基を含む親水性基を有する場合、(A)樹脂は、官能基Iを有していなくてもよい。
なお、水酸基、及びカルボキシル基を含む親水性基には、水酸基そのもの、及びカルボキシル基そのものが含まれる。
−NH−R1・・・(A1)
(式(A1)中、R1は、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
で表される基が好ましい。
CH2=CR2−(R3)a−CO−R4・・・(A2)
(式(A2)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R3は2価の炭化水素基であり、aは0又は1であり、R4は、−OH、−O−R5、又は−NH−R5であり、R5は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。)
で表される単量体に由来する基であるのが好ましい。
R5の基の主骨格を構成する炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族基の炭素原子数は1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。
直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
環状の脂肪族基の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等のシクロアルキル基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、及びテトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基や、これらのポリシクロアルカンのC1−C4アルキル置換体から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナントレニル基、及びビフェニリル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、メチル基、エチル基等のC1−C4アルキル基で置換されていてもよい。
CH2=CR2−CO−NH−R1・・・(A3)
(式(A3)中、R1は、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R2は水素原子又はメチル基である。)
で表される単量体に由来するのが好ましい。
ただし、式(A3)で表される単量体に由来する構成単位が水酸基、シアノ基、カルボキシル基のいずれか1つの基を含む場合、重合体に含まれる全構成単位中の式(A3)で表される単量体に由来する構成単位の比率は100%であってもよい。
処理液中の樹脂の質量を100質量部とする場合に、後述する(C)溶媒の量が100〜10000質量部であるのが好ましく、500〜8000質量部であるのがより好ましく、1000〜6000質量部であるのが特に好ましい。
処理液は、(B)強酸を含んでいてもよい。(B)強酸のpKaは1以下である。なお、pKaは水中での値である。
(B)強酸は、(A)樹脂が有する官能基Iに作用することで、(A)樹脂の被処理体の表面への付着又は結合を促進させる。
(B)強酸の種類は、pKaが1以下である限り特に限定されない。(B)強酸としては、pKaが1以下である酸を2種以上組み合わせて用いることができる。
電子吸引性基で置換された炭化水素基としては、フッ素化アルキル基、ニトロ基を有するアリール基が好ましい。フッ素化アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でも、環状でもよい。フッ素化アルキル基は、完全にフッ素化されたパーフルオロアルキル基であるのが好ましい。ニトロ基を有するアリール基としては、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、及びp−ニトロフェニル基が好ましく、p−ニトロフェニル基がより好ましい。
X5は、炭化水素基である。炭化水素基について、前述のR5の基の主骨格を構成する炭化水素基と同様である
(C)溶媒は、(A)樹脂と、(B)強酸とが可溶である溶媒であれば特に限定されない。処理液中に、(A)樹脂と、(B)強酸とが、所定量溶解していれば、処理液は、溶解していない状態の(A)樹脂と、(B)強酸とを含んでいてもよい。(A)樹脂と、(B)強酸とは、処理液に完全に溶解しているのが好ましい。
処理液が、不溶物を含む場合、表面処理時に、被処理体の表面に不溶物が付着する場合がある。この場合、表面処理された被処理体の表面を、後述するような方法でリンスすることにより、被処理体の表面に付着する不溶物を除去することができる。
ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;
ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;
ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、ぎ酸−n−ペンチル、酢酸−i−ペンチル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸−i−プロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸−n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
β−プロピロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ペンチロラクトン等のラクトン類;
n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、メチルオクタン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5−トリメチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類;
p−メンタン、ジフェニルメンタン、リモネン、テルピネン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン等のテルペン類;等が挙げられる。
処理液は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記した(A)樹脂、及び(C)溶媒以外に、種々の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、前述の(B)強酸以外に、着色剤、界面活性剤、消泡剤、粘度調整剤等が挙げられる。
処理液を調製する方法は特に限定されない。処理液は、典型的には、それぞれ所定量の(A)樹脂と、(C)溶媒と、必要に応じてその他の成分を、均一に混合することにより調製される。
以上説明した表面処理液を用いて、被処理体の表面を処理することにより、被処理体の表面への陽イオン吸着能の付与を行う。表面処理方法は、通常、被処理体の表面への表面処理液の塗布を含む。表面処理液の塗布方法は特に限定されない。塗布方法の具体例としては、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、浸漬法等が挙げられる。
有機材料としては、例えば、種々の樹脂材料が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、シリコンや、銅、アルミニウム、鉄、タングステン等の種々の金属が挙げられる。金属は、合金であってもよい。
表面処理液による改質効果が特に良好であることから、被処理体の材質としては、ナイロン、及び/又はポリイミドを含む材料がより好ましく、ナイロン、及びポリイミドが特に好ましい。
表面処理液が塗布される面の材質が無機材料である場合は、官能基Iとして水酸基及び/又はシアノ基を有する(A)樹脂を含む表面処理液を用いるのが好ましい。
このような粒子や、多孔質材料の表面に、前述の表面処理液を均一に塗布しやすい点から、塗布方法としては浸漬が好ましい。
なお、表面処理液が張り込まれた槽への被処理体の浸漬に変えて、流動する表面処理液に被処理体をさらして、被処理体の表面に表面処理液を付着させてもよい。
被処理体が多孔質材料からなる膜である場合、当該膜の膜厚は特に限定されない。多孔質材料からなる膜の膜厚は、例えば、1μm〜100μmが好ましく、5μm〜60μmがより好ましく、10μm〜50μmが特に好ましい。
多孔質材料からなる膜は、材質に応じた周知の方法によって製造され得る。例えば、ポリイミドからなる多孔質フィルムは、例えば、国際公開2016/020101号公報や、国際公開2016/027825号公報に記載の方法により製造することができる。
陽イオン吸着体は、基材と、(A)樹脂とを含む。(A)樹脂については、表面処理液について前述した通りである。
基材としては、表面処理方法において前述した被処理体を用いることができる。基材の好ましい材質や形状は、前述の表面処理方法において説明した、被処理体の材質や形状と同様である。
陽イオン吸着体において、基材に、(A)樹脂を付着させる方法は特に限定されない。通常、基材に、(A)樹脂を付着される方法としては、基材を、前述の表面処理方法によって表面処理する方法が挙げられる。
典型的には、陽イオンを含む液と、陽イオン吸着体とを接触させることによって、陽イオンを含む液から陽イオン除去することができる。
陽イオン除去装置は、陽イオンを含む液から陽イオンを除去するために用いられる。
陽イオン除去装置は、前述の陽イオン吸着体を備える。
陽イオンを含む液が、陽イオン吸着体と接触するように、陽イオン除去装置に陽イオンを含む液を供給することにより、液中の陽イオンを、陽イオン吸着体に吸着させることができる。
収容部における、給液口の数と、排液口の数とは、それぞれ、1つであっても、複数であってもよい。
収容部の容量は特に限定されず、陽イオンを含む液の処理量を勘案して適宜決定される。
また、チューブの内表面と外表面との双方に、陽イオンを含む液が接触可能であるように、チューブ状の陽イオン吸着体を同方向に並べて、収容部内に充填してもよい。
さらに、多孔質材料からなる膜を基材として備える陽イオン吸着体を用いる場合、膜状の陽イオン吸着体は、平面状で収容部に収容されてもよく、例えば、蛇腹状等の任意の形状に折り曲げられた状態で収容部に収容されてもよく、ロール状に巻かれた状態で収容部に収容されてもよい。膜状の陽イオン吸着体は、1枚単独で収容部に収容されてもよく、2枚以上組み合わせて収容に収容されてもよい。
また、膜状の陽イオン吸着体における一方の面から他方の面に、陽イオンを含む液が通液されるように、収容部内に膜状の陽イオン吸着体を保持するのも好ましい。
陽イオン除去方法は、陽イオンを含む液から陽イオンを除去する方法である。陽イオンは、液から完全に除去される必要はなく、少なくとも一部が除去されればよい。
陽イオンの除去は、陽イオンを含む液と、前述の陽イオン吸着体とを接触させることにより行われる。
また、前述の膜状の陽イオン吸着体をメンブレンフィルターとして使用して、陽イオンを含む液をろ過することによっても、液中の陽イオンを除去することが可能である。
また、陽イオンを含む液と、陽イオン吸着体とを接触させる時間も特に限定されない。陽イオンを含む液と陽イオン吸着体との接触時間は、0.01秒以上が好ましく、0.1秒以上がより好ましく、1秒以上が特に好ましい。接触時間の上限は特にないが、例えば、1時間や2時間程度である。
かかる方法による陽イオンの除去対処としては、半導体製造に用いられる溶剤、純水、洗浄液、及び種々の液状試薬;フォトレジスト組成物;種々の精密試験に用いられる溶剤、及び試薬;化学合成用の溶剤、及び試薬;生化学用試薬等が挙げられる。
下記構造の樹脂を1質量%含む水溶液を調製した。下記構造の樹脂の重量平均分子量は800,000であった。得られた、水溶液を表面処理液として用いた。下記構造式において、括弧の右下の数字は、樹脂中の各単位の割合(モル%)を表す。
次いで、金属標準液を添加していないOK73シンナー(東京応化工業株式会社製)400mLを、表面処理された超高分子量ポリエチレンフィルターに通液させて、フィルターを溶剤に馴染ませた。
その後に試験液を、表面処理された超高分子量ポリエチレンフィルターに通液させ、流れはじめの200mLを廃棄した後に金属イオン濃度測定用のサンプルを採取した。
試験液としては、金属標準液XSTC−622B(SPEX社製)が、各金属元素について濃度50質量ppbになるように添加されたOK73シンナー(東京応化工業株式会社製)を用いた。
採取された金属イオン濃度測定用のサンプルを用いて、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により、サンプル中の金属イオン量C(質量ppb)を測定した。
得られた金属イオン量Cの値を用いて、下記式:
金属イオン除去率(%)=100−C(質量ppb)/50(質量ppb)×100
に従って、表1に記載の各金属イオンについて金属イオン除去率(%)を算出した。
金属イオン除去率を、表1に記す。
表面処理液として、実施例1で用いた表面処理液を用いた。
多孔質ポリイミドフィルム(Φ47mm)を、表面処理液に60行間浸漬した後、80℃のオーブンで5分間乾燥させ、次いで純水で洗浄した。洗浄後の多孔質ポリイミドフィルムをPFAフィルターホルダー(Advantec社製)に取り付けた後、純水500mLを通液させ、多孔質ポリイミドフィルムに固定化されていない樹脂を洗い流した。
次いで、金属標準液を添加していないOK73シンナー(東京応化工業株式会社製)200mLを、表面処理された多孔質ポリイミドフィルムに通液させて、フィルムを溶剤に馴染ませた。
その後に試験液を、表面処理された多孔質ポリイミドフィルムに通液させ、流れはじめの20mLを廃棄した後に金属イオン濃度測定用のサンプルを採取した。
試験液としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びバナジウムイオン、銀イオンを含まないことと、ヒ素イオン、ストロンチウムイオン、及びジルコニウムイオンを含むこととの他は、実施例1と同様の液を用いた。
採取された金属イオン濃度測定用のサンプルを用いて、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により、サンプル中の金属イオン量C(質量ppb)を測定した。
得られた金属イオン量Cの値を用いて、実施例1と同様にして、表1に記載の各金属イオンについて金属イオン除去率(%)を算出した。
金属イオン除去率を、表2に記す。
実施例2で用いた多孔質ポリイミドフィルム(Φ47mm)を、表面処理せずに、実施例2と同様の金属イオン除去の試験に用いた。試験で採取された金属イオン濃度用のサンプルを、実施例2と同じ方法で分析し、実施例2と同様に各金属イオンについての除去率を評価した。金属イオン除去率を表2に記す。
また、未処理の多孔質ポリイミドフィルムを用いた比較例1では、各金属イオンが、ほとんど除去されなかったのに対して、所定の構造と分子量とを有する(A)樹脂を含む表面処理液で処理された多孔質ポリイミドフィルムを用いた実施例2では良好に金属イオンが除去されたことから、多孔質ポリイミドフィルムへの金属イオン除去能の付与は、(A)樹脂がもたらした効果であることが分かる。
Claims (19)
- 被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するために用いられる表面処理液であって、
前記表面処理液は、(A)樹脂と、(C)溶媒とを含み、
前記(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
ただし、前記官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、前記(A)樹脂は前記官能基Iを有していなくてもよく、
前記(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、表面処理液。 - 前記官能基IIとして、スルホン酸基含有基を含む、請求項1に記載の表面処理液。
- 前記官能基IIの前記親水性基が、下記式(A1):
−NH−R1・・・(A1)
(式(A1)中、R1は、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基である。)
で表される基である、請求項2に記載の表面処理液。 - 前記官能基Iが、下式(A2):
CH2=CR2−(R3)a−CO−R4・・・(A2)
(式(A2)中、R2は水素原子又はメチル基であり、R3は2価の炭化水素基であり、aは0又は1であり、R4は、−OH、−O−R5、又は−NH−R5であり、R5は、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の官能基で置換された炭化水素基である。)
で表される単量体に由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理液。 - 前記官能基IIが、下式(A3):
CH2=CR2−CO−NH−R1・・・(A3)
(式(A3)中、R1は、スルホン酸基で置換された炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R2は水素原子又はメチル基である。)
で表される単量体に由来する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理液。 - 前記陽イオンが金属イオンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理液。
- 被処理体の表面に陽イオン吸着能を付与するための表面処理方法であって、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記表面処理液の、被処理体の表面への塗布を含む、表面処理方法。 - 前記被処理体が、多孔質材料である、請求項7に記載の表面処理方法。
- 前記被処理体が、前記多孔質材料からなる膜である、請求項7に記載の表面処理方法。
- 前記被処理体が、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、セルロース、及びフッ素樹脂からなる群より選択される1種以上を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の表面処理方法。
- 基材と、(A)樹脂とを含む陽イオン吸着体であって、
前記(A)樹脂が、前記基材の表面に付着しており、
前記(A)樹脂が、水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基からなる群より選択される1以上の基である官能基Iと、前記官能基I以外の親水性基である官能基IIとを有し、
ただし、前記官能基IIが水酸基、シアノ基、及びカルボキシル基から選択される1以上の基を含む場合、前記(A)樹脂は前記官能基Iを有していなくてもよく、
前記(A)樹脂の重量平均分子量が100,000以上である、陽イオン吸着体。 - 前記(A)樹脂が、前記官能基IIとして、スルホン酸基含有基を含む、請求項11に記載の陽イオン吸着体。
- 前記基材が多孔質材料である、請求項11又は12に記載の陽イオン吸着体。
- 前記基材が、前記多孔質材料からなる膜である、請求項13に記載の陽イオン吸着体。
- 前記基材が、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、セルロース、及びフッ素樹脂からなる群より選択される1種以上を含む、請求項11〜14のいずれか1項に記載の陽イオン吸着体。
- 前記陽イオンが金属イオンである、請求項11〜15のいずれか1項に記載の陽イオン吸着体。
- 陽イオンを含む液から陽イオンを除去するために用いられる陽イオン除去装置であって、
請求項11〜16のいずれか1項に記載の前記陽イオン吸着体を備える、陽イオン除去装置。 - 陽イオンを含む液と、請求項11〜16のいずれか1項に記載の前記陽イオン吸着体とを接触させることを含む、陽イオンを含む液からの陽イオン除去方法。
- 前記陽イオンを含む前記液と、前記陽イオン吸着体との接触を、請求項17に記載の陽イオン除去装置を用いて行う、請求項18に記載の陽イオン除去方法。
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JP2018095756A (ja) * | 2016-12-14 | 2018-06-21 | 東京応化工業株式会社 | 表面処理液、及び親水化処理方法 |
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