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JP2018159017A - 粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物および粘着シート Download PDF

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JP2018159017A JP2017057699A JP2017057699A JP2018159017A JP 2018159017 A JP2018159017 A JP 2018159017A JP 2017057699 A JP2017057699 A JP 2017057699A JP 2017057699 A JP2017057699 A JP 2017057699A JP 2018159017 A JP2018159017 A JP 2018159017A
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Abstract

【課題】オレフィン接着性が良好であり、かつ高耐熱性を有する粘着剤層を形成することが可能な粘着剤組成物および、該粘着剤組成物より作製された粘着シートを提供すること。【解決手段】本発明の粘着剤組成物は、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、Tgが100℃以上であり、かつ重量平均分子量が2000〜10000である(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、架橋剤(C)とを含有し、前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が、構成要素として、側鎖に脂環式構造を有するモノマーを55質量%以上含み、かつ、主鎖末端に水素結合性官能基を有するオリゴマーである。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物および粘着シートに関する。
昨今、自動車等に用いられる材料は、金属系の材料からプラスチック系の材料へと置き換えが進められている。これは自動車の軽量化の要請、並びにプラスチック材料の高強度化が進んできたことが背景にある。
しかし、プラスチック系材料は金属系材料と比較して一般に難接着性の被着体である。特に安価で汎用性のあるポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンは難接着性の被着体として知られている。
これら難接着性のプラスチック系材料の接着に用いられる粘着剤として、ロジンエステルのような粘着付与樹脂を配合した粘着剤が知られている。しかしながら、ロジンエステルを配合した粘着剤においても、耐久性は充分なものではなかった。
また、主ポリマーに、ガラス転移温度(Tg)が高く、数平均分子量が500〜10,000のアクリル系重合体(高Tg重合体)を配合させ、粘着剤層表面に当該高Tg重合体を偏在化させ、表面近傍を高Tg化することで高耐久性を実現する手法も知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、特許文献1に開示された粘着剤組成物においても、100℃を超えるような高温条件下でのオレフィン被着体に対する耐久性は不充分であった。
特開2014−088549号公報
本発明の課題は、オレフィン接着性が良好であり、かつ高耐熱性を有する粘着剤層を形成することが可能な粘着剤組成物および、該粘着剤組成物より作製された粘着剤層を有する粘着シートを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、特定の(メタ)アクリル系共重合体および(メタ)アクリル系オリゴマーを含む粘着剤組成物によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[4]である。
[1]ガラス転移温度(Tg)が0℃未満である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、Tgが100℃以上であり、かつ重量平均分子量が2000〜10000である(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、架橋剤(C)とを含有し、前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が、構成要素として側鎖に脂環式構造を有するモノマーを55質量%以上含み、かつ、主鎖末端に水素結合性官能基を有するオリゴマーである粘着剤組成物。
[2]前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が、構成要素として、側鎖に脂環式構造を有するモノマーを60〜99質量%、官能基含有モノマーを1〜20質量%含むことを特徴とする[1]に記載の粘着剤組成物。
[3]前記水素結合性官能基が、水酸基、カルボキシル基から選択される少なくとも1種の官能基である[1]または[2]に記載の粘着剤組成物。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物より作製された粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
本発明によれば、オレフィン接着性が良好であり、かつ高耐熱性を有する粘着剤層を形成することが可能な粘着剤組成物、および該粘着剤組成物より作製された粘着剤層を有する粘着シートを提供することができる。
以下、本発明の粘着剤組成物および粘着シートを説明する。
なお、本明細書において、「重合体」とは単独重合体および共重合体を包含する意味で用い、また、「重合」とは単独重合および共重合を包含する意味で用いる。
また、アクリルおよびメタクリルを総称して「(メタ)アクリル」とも記載し、アクリレートおよびメタクリレートを総称して「(メタ)アクリレート」とも記載する。
〔粘着剤組成物〕
本発明の粘着剤組成物は、以下に説明する(メタ)アクリル系共重合体(A)と、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、架橋剤(C)とを含有する。本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて添加剤(D)を含有してもよい。
[(メタ)アクリル系共重合体(A)]
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満である。
(メタ)アクリル系共重合体(A)のTgは、例えば、実施例に記載の方法で示差走査熱量計により測定することができる。(メタ)アクリル系共重合体(A)のTgは、0℃未満であり、好ましくは−80〜−10℃、より好ましくは−70〜−30℃である。Tgが前記範囲内にあると、粘着剤層の被着体に対する密着性の観点から好ましい。また、Tgが前記下限値以上であると、粘着剤層の凝集力に優れ、耐久性向上の観点から好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算値で、好ましくは15万〜180万、より好ましくは20万〜150万、さらに好ましくは25万〜120万である。Mwが前記範囲内にあると、粘着剤組成物に十分な凝集力が付与されるため高温条件下や高温かつ高湿条件下における耐久性向上の観点から好ましい。また、本発明では(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の添加により、界面接着力を向上することができるため、一般的な粘着剤組成物に用いられるポリマーよりも低い分子量のポリマーを用いた場合でも、優れた耐久性を発現することができる傾向にある。
また、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、GPC法により測定される分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは2〜15、より好ましくは2.5〜13、さらに好ましくは2.8〜10である。Mw/Mnが前記範囲内にあると、耐久性に優れた粘着剤層が得られる点で好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分としては、以下で説明する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルおよびアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマー(a1)、架橋性基含有モノマー(a2)、その他のモノマー(a3)等が挙げられる。以下、これらを単に「モノマー(a1)〜(a3)」ともいう。
《モノマー(a1)》
モノマー(a1)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルおよびアルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−エトキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
モノマー(a1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するために用いられるモノマー成分100質量%中、モノマー(a1)の含有量は、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは70〜99質量%、さらに好ましくは80〜99質量%である。モノマー(a1)の含有量が前記範囲であると、得られる粘着剤層の粘着力および凝集力が優れるため好ましい。
《架橋性基含有モノマー(a2)》
モノマー(a2)は、架橋性基を少なくとも1つ有するモノマーである。架橋性基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミド基が挙げられる。(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成するモノマー成分として、モノマー(a2)を用いることで、後述の架橋剤(C)によって架橋され得る架橋点を(メタ)アクリル系共重合体(A)に導入することができる。
モノマー(a2)としては、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和カルボン酸、水酸基含有(メタ)アクリレート、アミド基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミド基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
モノマー(a2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するために用いられるモノマー成分100質量%中、モノマー(a2)の含有量は、後述する架橋剤(C)と適切な架橋構造を形成させる観点から、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.3〜13質量%、さらに好ましくは0.5〜10質量%である。
《その他のモノマー(a3)》
モノマー(a3)は、モノマー(a1)および(a2)以外のモノマーである。
モノマー(a3)としては、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、ビニル基含有モノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルなどの脂環式基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルなどのアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル基含有(メタ)アクリル系モノマー、イソシアネート基含有(メタ)アクリル系モノマー、シアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
脂環式基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステルおよび(メタ)アクリル酸アラルキルエステルとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステルとしては、例えば、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、キシリルオキシメチル(メタ)アクリレート、ナフチルオキシメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
グリシジル基含有(メタ)アクリル系モノマーおよびイソシアネート基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
シアノ基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アルキルシアノアクリレート、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
ビニル基含有モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマーが挙げられる。
モノマー(a3)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
モノマー(a3)は任意成分であり、(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するために用いられるモノマー成分100質量%中、モノマー(a3)の含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
[(メタ)アクリル系オリゴマー(B)]
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上であり、かつ重量平均分子量(Mw)が2000〜10000である。
また、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、構成要素として、側鎖に脂環式構造を有するモノマーを55質量%以上含み、かつ、主鎖末端に水素結合性官能基を有するオリゴマーである。
一般に比較的低分子量の領域においては、重合体の分子量とTgには比例関係が存在し、重合体の分子量を上げればTgも上昇する。よって、主ポリマーに配合するオリゴマーのTgを挙げるためには、分子量を大きくする必要がある。しかしながら、オリゴマーの分子量が大きくなりすぎると、主ポリマーとの相溶状態や会合状態が変化するため、耐久性向上が見込めない場合がある。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、分子量が小さいために主ポリマーとの相溶性に優れている。また、オリゴマー主鎖末端に水素結合性官能基を有するため、系中でオリゴマー末端同士での水素結合を形成することができる。また、この水素結合の形成により、実際の分子量よりもあたかも高分子量であるかのようにふるまうため、Tgが上昇し、耐久性にも優れる。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)のTgは、例えば、実施例に記載の方法で示差走査熱量計により測定することができる。(メタ)アクリル系オリゴマー(B)のTgは、100℃以上であり、好ましくは105〜150℃、より好ましくは110〜135℃である。Tgが前記範囲内にあると、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層の表面強度を増すことができ、また粘着剤層の高耐熱性に優れるため好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算値で、好ましくは2000〜10000、より好ましくは2500〜9000、さらに好ましくは3000〜8000である。
Mwが前記下限値以上であるとTgが充分に高い(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が得られやすく、また、Mwが前記上限値以下であると(メタ)アクリル系共重合体(A)と相溶しやすい(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が得られ、ヘイズの発生や耐久性の悪化などの不具合を引き起こしにくくなる。
また、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、GPC法により測定される分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは1.1〜10、より好ましくは1.2〜7、さらに好ましくは1.3〜5である。Mw/Mnが前記範囲内にあると、(メタ)アクリル系共重合体(A)との相溶性および粘着剤層の耐久性向上の観点から好ましい。
本発明の粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の含有量は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜18質量部、さらに好ましくは2〜15質量部である。前記(B)の含有量が前記下限値以上であると粘着剤層に、オレフィン接着性および高耐熱性を付与することができ、前記上限値以下であると粘着剤層の白濁化や、粘着剤層のTgが高くなりすぎて粘着力が低下するといった不具合を生じにくい。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を形成するモノマー成分、すなわち構成要素、としては、側鎖に脂環式構造を有するモノマーを55質量%以上含むモノマー成分であり、好ましくは側鎖に脂環式構造を有するモノマーを60〜99質量%、官能基含有モノマーを1〜20質量%含むモノマー成分であり、より好ましくは側鎖に脂環式構造を有するモノマーを80〜95質量%、官能基含有モノマーを5〜20質量%含むモノマー成分である。なお、側鎖に脂環式構造を有するモノマーを、「側鎖に脂環式構造を有するモノマー(b1)」あるいは単に「モノマー(b1)」ともいい、官能基含有モノマーを、「官能基含有モノマー(b2)」あるいは単に「モノマー(b2)」ともいう。
また、モノマー成分として、モノマー(b1)および(b2)以外のモノマー(「その他のモノマー(b3)」あるいは単に「モノマー(b3)」ともいう)を用いてもよい。
《側鎖に脂環式構造を有するモノマー(b1)》
モノマー(b1)としては、一環の脂環式構造を有するモノマー、二環の脂環式構造を有するモノマー、三環以上の脂環式構造を有するモノマーが挙げられ、一環の脂環式構造を有するモノマー、二環の脂環式構造を有するモノマーが好ましく、二環の脂環式構造を有するモノマーがより好ましい。
一環の脂環式構造を有するモノマーとしては、シクロへキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−シクロへキサンジメタノールモノアクリレート等が挙げられる。
二環の脂環式構造を有するモノマーとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三環以上の脂環式構造を有するモノマーとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(b1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を形成するために用いられるモノマー成分100質量%中、モノマー(b1)の含有量は、55質量%以上(55〜100質量%)、好ましくは60〜99質量%、さらに好ましくは80〜95質量%である。モノマー(b1)の含有量が55質量%以上の場合、得られる粘着剤層の粘着力および凝集力が優れるため好ましい。
《官能基含有モノマー(b2)》
モノマー(b2)は、官能基を有するモノマーである。
モノマー(b2)が有する官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5−カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
モノマー(b2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を形成するために用いられるモノマー成分100質量%中、モノマー(b2)の含有量は0質量%、すなわち用いなくてもよいが、モノマー成分としてモノマー(b2)を用いることが好ましい。モノマー(b2)の含有量は、好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。モノマー(b2)を前記範囲で用いると、得られる粘着剤層のオレフィン接着性に優れ、高耐熱性を付与することができるため好ましい。
《その他のモノマー(b3)》
モノマー(b3)は、モノマー(b1)および(b2)以外のモノマーである。
モノマー(b3)としては、例えば、上述のモノマー(a1)の項で説明した(メタ)アクリル酸アルキルエステル、モノマー(a3)の項で説明したビニル基含有モノマー等が挙げられる。
モノマー(b3)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
モノマー(b3)は任意成分であり、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を形成するために用いられるモノマー成分100質量%中、モノマー(b3)の含有量は、好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
《(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の製造条件》
(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系オリゴマー(B)は、それぞれ独立に、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の従来公知の重合法により製造することができ、これらの中でも溶液重合法が好ましい。
具体的には、反応容器内にモノマー成分および必要に応じて連鎖移動剤、重合溶媒等を仕込み、例えば、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で、重合開始剤を添加し、反応開始温度を通常40〜100℃、好ましくは50〜90℃に設定し、通常50〜90℃、好ましくは60〜90℃の温度に反応系を維持して2〜20時間反応させる。
連鎖移動剤としては、水素結合性官能基含有連鎖移動剤と、その他の連鎖移動剤とが挙げられる。前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の製造においては、通常水素結合性官能基含有連鎖移動剤を使用する。
水素結合性官能基含有連鎖移動剤とは、連鎖移動に供される官能基以外にも、水素結合性の官能基を有する連鎖移動剤である。例えば単官能性チオールは連鎖移動剤として知られており、分子内に水素結合性の官能基であるチオール基を有するが、単官能性チオールが有するチオール基は連鎖移動に供されるため、単官能性チオールは水素結合性官能基含有連鎖移動剤には該当しない。
水素結合性官能基としては、水酸基、カルボキシル基から選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましい。水素結合性官能基含有連鎖移動剤は、一分子中に水素結合性官能基を少なくとも1つ有していればよく、好ましくは1〜3つ有していることが好ましい。なお、本発明において、チオール基は連鎖移動に供されるため、水素結合性官能基含有連鎖移動剤が有する水素結合性官能基には含まれない。水素結合性官能基含有連鎖移動剤が一分子中に2つ以上の水素結合性官能基を有する場合には、該官能基は同一の官能基であっても、異なる官能基であってもよい。
前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の製造の際に、水素結合性官能基含有連鎖移動剤を使用することにより、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の主鎖末端に水素結合性官能基、好ましくは水酸基、カルボキシル基から選択される少なくとも1種の官能基を導入することができる。
水素結合性官能基含有連鎖移動剤としては、水素結合性官能基として水酸基を有する2−メルカプトエタノール、チオグリセロール、3−メルカプトヘキサン−1−オール等、水素結合性官能基としてカルボキシル基を有するチオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプトブタン酸、6−メルカプトへキサン酸、11−メルカプトウンデカン酸、3−メルカプトピルビン酸、2−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、チオリンゴ酸等が挙げられる。水素結合性官能基含有連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
水素結合性官能基含有連鎖移動剤は、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を形成するために用いられるモノマー成分100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは2〜8質量部、さらに好ましくは2.5〜7.5質量部の範囲内の量で使用される。
その他の連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン等の単官能チオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等の多官能チオール、α―メチルスチレンダイマー等のスチレンダイマー、ナフトキノン系化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル系共重合体(A)を製造する際には、前記水素結合性官能基含有連鎖移動剤を用いてもよく、その他の連鎖移動剤を用いてもよい。また、連鎖移動剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
連鎖移動剤は、(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するために用いられるモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜8質量部、さらに好ましくは0.05〜5質量部の範囲内の量で使用される。
重合開始剤としては、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2'−アゾビス(イソブチルアミド)ジヒドレート、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2'−アゾビス(2−シアノプロパノール)、ジメチル−2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ化合物が挙げられる。
過酸化物系重合開始剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ−i−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシビバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(メタ)アクリル系共重合体(A)の製造においては、重合開始剤は、前記(A)を形成するために用いられるモノマー成分100質量部に対して、通常0.001〜5質量部、好ましくは0.005〜3質量部の範囲内の量で使用される。
(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の製造においては、重合開始剤は、前記(B)を形成するために用いられるモノマー成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.2〜1質量部の範囲内の量で使用される。
溶液重合に用いる重合溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル;クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド等が挙げられる。
重合溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、重合反応中に、重合開始剤、連鎖移動剤、モノマー成分、重合溶媒を適宜追加添加してもよい。
[架橋剤(C)]
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤(C)を含有する。
架橋剤(C)は(メタ)アクリル系共重合体(A)に導入され得る架橋性基によって適宜選択され、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物を用いることができる。
架橋剤(C)により、(メタ)アクリル系共重合体(A)を架橋することで、耐熱性に優れた粘着剤層を得ることができる。また、架橋剤(C)の一部は、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が主鎖末端に有する水素結合性官能基と、および/または(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を構成する成分として官能基含有モノマーを用いた場合は該官能基と反応して(メタ)アクリル系重合体(A)と架橋してもよく、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)同士で架橋してもよい。
架橋剤(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明の粘着剤組成物において、架橋剤(C)の含有量は、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜12質量部、さらに好ましくは0.2〜8質量部である。
イソシアネート化合物としては、1分子中のイソシアネート基数が2以上のイソシアネート化合物が通常用いられ、好ましくは2〜8であり、より好ましくは3〜6である。イソシアネート基数が前記範囲にあると、(メタ)アクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物との架橋反応効率の点、および、粘着剤層の柔軟性を保つ点で好ましい。
1分子中のイソシアネート基数が2のジイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の炭素数4〜30の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。脂環族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチルジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の炭素数7〜30の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート等の炭素数8〜30の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
1分子中のイソシアネート基数が3以上のイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。具体的には、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、4,4',4"−トリフェニルメタントリイソシアネートが挙げられる。
また、イソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基数が2または3以上の上記イソシアネート化合物の、多量体(例えば2量体または3量体、ビウレット体、イソシアヌレート体)、誘導体(例えば、多価アルコールと2分子以上のジイソシアネート化合物との付加反応生成物)、重合物が挙げられる。前記誘導体における多価アルコールとしては、低分子量多価アルコールとして、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール等の3価以上のアルコールが挙げられ;高分子量多価アルコールとして、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールが挙げられる。
このようなイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの3量体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートのビウレット体またはイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートとの反応生成物(例えばトリレンジイソシアネートまたはキシリレンジイソシアネートの3分子付加物)、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの3分子付加物)、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネートが挙げられる。
エポキシ化合物としては、分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられ、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジアミングリシジルアミノメチル)が挙げられる。
金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属に、アルコキシド、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した化合物が挙げられる。具体的には、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネートが挙げられる。
[添加剤(D)]
本発明の粘着剤組成物は、上記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、シランカップリング剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、金属腐食防止剤、前記(B)以外の粘着付与剤、可塑剤、架橋促進剤、界面活性剤、前記(A)および(B)以外の(メタ)アクリル系共重合体およびリワーク剤から選択される1種または2種以上の添加剤を含有してもよい。
本発明の粘着剤組成物が、添加剤(D)を含有する場合の量としては、本発明の効果を有すればよく、添加剤の種類に応じて適宜決定されるが、通常は上記(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部、好ましくは0.5〜20質量部である。
[有機溶媒(E)]
本発明の粘着剤組成物は、その塗布性を調整するため、有機溶媒(E)を含有することが好ましい。有機溶媒(E)としては、例えば、《(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の製造条件》の欄で説明した重合溶媒が挙げられる。本発明の粘着剤組成物において、有機溶媒の含有量は、通常20〜90質量%、好ましくは30〜90質量%である。
なお、本明細書において「固形分」とは、粘着剤組成物中の含有成分のうち上記有機溶媒(E)を除いた全成分をいい、「固形分濃度」とは、粘着剤組成物100質量%に対する前記固形分の割合をいう。
本発明の粘着剤組成物において、(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の合計量は、固形分100質量%中、通常70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。前記合計量の上限値は、架橋剤(C)等の他の成分の量によって適宜決定することができる。
[粘着剤組成物の調製]
本発明の粘着剤組成物は、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)と、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、架橋剤(C)と、必要に応じて他の成分とを、従来公知の方法により混合することで調製することができる。例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)を合成する際に得られた(メタ)アクリル系共重合体(A)を含む溶液と、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を合成する際に得られた(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を含む溶液と、架橋剤(C)と、必要に応じて他の成分とを混合することにより粘着剤組成物を調製することができる。
また、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を含む溶液に、(メタ)アクリル系共重合体(A)を形成するモノマー成分を添加し、重合反応を行い、架橋剤(C)および必要に応じて他の成分を添加することにより粘着剤組成物を調製することもできる。
〔粘着剤層〕
粘着剤層は、上述の粘着剤組成物から作製される。例えば、上述の粘着剤組成物中の架橋反応を進めることにより、具体的には(メタ)アクリル系共重合体(A)を架橋剤(C)で架橋することにより、前記粘着剤層が得られる。
粘着剤層の形成条件は、例えば以下のとおりである。本発明の粘着剤組成物を基材もしくは剥離シートの剥離処理面上に塗布し、溶媒の種類によっても異なるが、通常50〜150℃、好ましくは60〜100℃で、通常1〜10分間、好ましくは2〜7分間乾燥して溶媒を除去し、塗膜を形成する。乾燥塗膜の膜厚は、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
粘着剤層は、以下の条件で形成することが好ましい。本発明の粘着剤組成物を基材もしくは剥離シートの剥離処理面上に塗布し、上記条件で形成された塗膜上に剥離シートを貼付した後、通常3日以上、好ましくは7〜10日間、通常5〜60℃、好ましくは15〜40℃、通常30〜70%RH、好ましくは40〜70%RHの環境下で養生する。上記のような熟成条件で架橋を行うと、効率よく架橋体(ネットワークポリマー)の形成が可能である。
粘着剤組成物の塗布方法としては、公知の方法、例えばスピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法により、所定の厚さになるように塗布・乾燥する方法を用いることができる。
本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン被着体に対する接着性が良好であり、また高耐熱性を有する。
〔粘着シート〕
本発明の粘着シートは、上述の粘着剤組成物より作製された粘着剤層を有する。
粘着シートとしては、例えば、上記粘着剤層のみを有する両面粘着シート、基材と、基材の両面に形成された上記粘着剤層とを有する両面粘着シート、基材と、基材の一方の面に形成された上記粘着剤層を有する片面粘着シート、およびそれら粘着シートの粘着剤層の基材と接していない面に剥離シートが貼付された粘着シートが挙げられる。
基材および剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。また、基材としては、ガラス、紙、不織布等も挙げられる。
粘着剤層の形成条件は、〔粘着剤層〕の欄に記載した条件と同様である。
粘着剤層の膜厚は、粘着性能維持の観点から、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。基材および剥離シートの膜厚は、特に限定されないが、通常10〜125μm、好ましくは25〜75μmである。
本発明の粘着剤組成物より形成された粘着シートは、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン被着体に対する接着性が良好であり、また高耐熱性を有する。また、ポリオレフィン以外の樹脂、ガラス等の被着体に対する接着性も良好である。
本発明の粘着シートは、ディスプレイ用部材、自動車用部材、航空機用部材、船舶用部材、電化製品用部材等様々な部材として使用可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
物性の測定方法は、以下のとおりである。
〔重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)〕
(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系オリゴマー(B)ついて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により、下記条件でMwおよびMnを求めた。
・測定装置:HLC−8320GPC(東ソー製)
・GPCカラム構成:以下の4連カラム(すべて東ソー製)
(1)TSKgel HxL−H(ガードカラム)
(2)TSKgel GMHxL
(3)TSKgel GMHxL
(4)TSKgel G2500HxL
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・サンプル濃度:1.5%(w/v)(テトラヒドロフランで希釈)
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・標準ポリスチレン換算
〔ガラス転移温度(Tg)〕
(メタ)アクリル系共重合体(A)および(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を簡易密閉パンに封入し、示差走査熱量計(DSC)を用いて、測定を行った。測定は、窒素気流下、−100℃から200℃まで10℃/min.で昇温して熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される特徴的な変曲をTgとした。なお、Tgは、DSC曲線からミッドポイント法によって得た値を使用した。
[合成例A−1]
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、n−ブチルアクリレート(BA)76.8部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)20部、アクリル酸(AA)3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)0.2部、酢酸エチル60部を仕込み、フラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を70℃に加熱した。次いで、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」ともいう。)0.05部を攪拌下フラスコ内に添加した。フラスコ内の内容物の温度が70℃に維持できるように、加熱および冷却を2時間行った。温度を80℃に昇温した後、2時間還流反応を行い、(メタ)アクリル系共重合体(A−1)を得た。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、(メタ)アクリル系共重合体(A−1)を含む、固形分濃度45質量%のポリマー溶液を調製した。得られた(A−1)についてGPCにより測定したMwは50万、分散指数(Mw/Mn)は10であった。また、Tgは−55℃であった。
[合成例B−1]
攪拌装置、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコに、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)93.2部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)5.7部、メタクリル酸(MAA)1.1部、連鎖移動剤であるチオグリセロール(TGL)5部および酢酸エチル100部を仕込みフラスコ内に窒素ガスを導入しながらフラスコの内容物を75℃に加熱した。
充分にフラスコ内の窒素ガス置換を行った後、AIBN0.2部を攪拌下フラスコ内に添加し、4時間還流反応を行い(メタ)アクリル系オリゴマー(B−1)を得た。反応終了後、酢酸エチルにて希釈し、(メタ)アクリル系オリゴマー(B−1)を含む、固形分濃度35質量%のオリゴマー溶液を調製した。得られた(B−1)についてGPCにより測定したMwは3,500、Mw/Mnは1.6であった。また、Tgは127℃であった。
[合成例B−2〜B−13]
表1に示す通りの原料を使用した以外は、合成例B−1と同様の方法で(メタ)アクリル系オリゴマー(B−2)〜(B−13)を製造した。
Figure 2018159017
[実施例1]
(1)粘着剤組成物の調製
合成例A−1で得られたポリマー溶液(固形分濃度45質量%)と、合成例B−1で得られたオリゴマー溶液(固形分濃度35質量%)と、架橋剤としてL−45(綜研化学製:イソシアネート系架橋剤、固形分濃度45質量%)とを、それぞれ固形分比が、A−1が100部、B−1が10部、L−45が1.5部となる量で混合して、粘着剤組成物を得た。
(2)粘着シートの調製
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、上記(1)で得られた粘着剤組成物を、泡抜け後、ドクターブレードを用いて液温25℃で塗布し、90℃で3分間乾燥して、膜厚25μmの粘着剤層を形成し、粘着剤層の表面に剥離処理されたPETフィルムを張り合わせた。その後、23℃/50%RHの条件で7日間静置して熟成させて、剥離処理されたPETフィルムが粘着剤層に張り付けられた、粘着剤層とPETフィルム層とを有する粘着シートを得た。
(定荷重剥離試験)
粘着シートを80mm×20mmの大きさに裁断し、試験片を得た。
試験片から、剥離処理されたPETフィルムを剥がし、貼付け面積が50mm×20mmとなるようにポリプロピレン板に貼り付けた。
次いで、各試験条件(40℃、80℃、120℃)で20分静置した。
静置後、試験片の長手方向の一端側の端部に重り(試験条件40℃:100g、試験条件80℃:50g、試験条件120℃:50g)をつるし、1時間放置した後、ポリプロピレン板から剥がれ量を測定し、以下の基準で評価を行った。
AA: 剥がれ量が10mm以下
BB:剥がれ量が11mm〜40mm
CC:剥がれ量が41mm以上
DD:落下
[実施例2〜8および比較例1〜6]
配合組成を表2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シートを得て、定荷重剥離試験を行った。
Figure 2018159017
表2に示すように、実施例1〜8で得られる粘着シートは40℃、80℃、120℃における対ポリプロピレン(PP)定荷重剥離性に優れていた。主鎖末端に水素結合性を有さない(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を使用した比較例1および比較例2で得られる粘着シートは、120℃における対PP定荷重剥離試験において重りが落下し、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を構成する成分として脂環式構造を有するモノマーを含んでいない比較例3で得られる粘着シート、Mwが2000〜10000の範囲内でない(メタ)アクリル系オリゴマー(B)を使用した比較例4および比較例5で得られた粘着シートは、40℃、80℃における対PP定荷重剥離試験においても重りが落下する結果となった。さらに、(メタ)アクリル系オリゴマー(B)の代わりにロジン系粘着付与樹脂を使用した比較例6で得られる粘着シートにおいても、120℃対PP定荷重剥離試験で重りが落下する結果となった。

Claims (4)

  1. ガラス転移温度(Tg)が0℃未満である(メタ)アクリル系共重合体(A)と、
    Tgが100℃以上であり、かつ重量平均分子量が2000〜10000である(メタ)アクリル系オリゴマー(B)と、
    架橋剤(C)とを含有し、
    前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が、構成要素として、側鎖に脂環式構造を有するモノマーを55質量%以上含み、かつ、主鎖末端に水素結合性官能基を有するオリゴマーである粘着剤組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系オリゴマー(B)が、構成要素として、側鎖に脂環式構造を有するモノマーを60〜99質量%、官能基含有モノマーを1〜20質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記水素結合性官能基が、水酸基、カルボキシル基から選択される少なくとも1種の官能基である請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物より作製された粘着剤層を有する粘着シート。
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