JP2018158356A - 金属管成形ロール、金属管成形装置、金属管成形方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに近年では、金属管の生産性の向上を図るべく、成形工程における通搬速度を増加させた過酷な条件で成形することが多い。このような条件で操業すると、特に断面視半円状の溝ロールである成形ロールで金属管を成形する際、断面視半円状溝の底側とその溝の端部側では周速(周速度)が異なるため、金属管表面の一部では成形ロール表面との間の周速差によって、その部分において凝着(焼付き)が生じやすくなり、焼付き疵が発生するおそれがある。このように、成形ロールと金属管との間で凝着が発生すると、金属管表面に疵が残り商品価値が下がり、さらに金属管製品の真円度が低下してしまうため、摩耗や凝着が起きる前に成形ロールの交換を行わなければならない。
このように、金属管を成形するロールには、耐摩耗性と、焼き付き疵を低減させうる耐凝着性を両立させ、ロールの交換頻度を低減できる長寿命なロールが要求される。
例えば、鋼管の成形ロールにおいては、ロール表面にセラミックス皮膜を成膜し硬度を確保する方法(特許文献1)、ロール表面に、浸硫窒化層、窒化層及びTiCから選ばれる1種の表面硬化層を形成させ硬度と向上させる方法(特許文献2)、表面に硬質皮膜を備えたロールにおいて、ロール表層に分散する炭化物を微細化してロールと硬質皮膜との密着性を確保し、硬質皮膜の剥離を防止することで耐摩耗性と耐凝着性を確保する方法(特許文献3)、等が検討されている。
また一般に、成形ロールの材質としてダイス鋼などの工具鋼が使用される場合が多いが、耐摩耗性や耐凝着性を向上させるために、工具鋼の代わりに超硬合金を使用する対策も取られている。
また近年では、ロールの表面性状を良好に維持できることから、チタン管成形ロールの材質として銅合金を用いることが多いが、銅合金では硬度が不十分なことから、十分な耐摩耗性を確保できない場合があった。
なお、チタン管に限らず、鋼管、ステンレス鋼管、アルミニウム合金管、銅合金管においても、前記の通り、成形ロールの耐摩耗性及び耐凝着性について、通り様々な検討がされているが、真円度が高く要求される場合に、さらなる製品歩留まりの向上、成形ロールの長寿命化による生産効率の向上が要求されていた。
複数の成形ロールはおおまかに、駆動ロールと無駆動ロールに大別される。駆動ロールは上下に対向配置された一対のロールからなり、この上下ロールに駆動回転力を付与して駆動させて金属管を搬送方向へ引っ張るロールであり、一方の無駆動ロールは左右に対向配置された一対のロールからなり、駆動回転力は付与されない。
つまり、駆動ロールは、無駆動ロールよりも使用環境が過酷であることから、耐摩耗性や耐凝着性は勿論のこと、耐剥離性、ならびにロール表面の優れたすべり性、つまり低摩擦性が求められることが分かった。更に、金属管の生産性を高める観点から、ロール表面の低摩耗性が長期間にわたって維持されることが望まれる。
本発明の要旨は、以下の通りである。
前記ロール本体は、ロール中央部と、前記ロール中央部の両側に配置されて前記ロール中央部に対して回動自在とされた一対の回動フランジ部と、が少なくとも備えられ、前記ロール凹部が、前記ロール中央部と前記回動フランジ部とによって分割されており、
前記ロール中央部と前記回動フランジ部が、質量%でC:1.00〜2.30%、Si:0.10〜0.60%、Mn:0.20〜0.80%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:4.80〜13.00%を含有し、残部が鉄及び不純物からなる組成を有する鋼材からなり、
前記ロール凹部の全面と前記回動フランジ部の表面全面に、CrN皮膜とCr膜と中間膜とダイヤモンドライクカーボン膜とが順次積層され、
前記中間膜はCr及び炭素を含み、Crと炭素の合計を100質量%としたとき、前記Cr膜側の界面におけるCr濃度が80質量%以上であり、前記ダイヤモンドライクカーボン膜側の界面におけるC濃度が80質量%以上であり、前記Cr膜側から前記ダイヤモンドライクカーボン膜側に向かう膜厚方向に沿ってCr濃度が徐々に減少する膜であり、
前記ダイヤモンドライクカーボン膜において、ラマン分光法により測定された波数1380cm−1における吸収強度I1380と、波数1540cm−1における吸収強度I1540との比I1380/I1540が、膜表面から膜厚の20%深さの範囲で0.5〜0.7、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記中間膜との界面から20%深さの範囲で0.3〜0.5であることを特徴とする金属管成形ロール。
[2] 前記ロール中央部は、前記ロール本体を駆動する回転軸に固定されており、前記回動フランジ部は前記回転軸及び前記ロール中央部に対して回動自在とされていることを特徴とする[1]に記載の金属管成形ロール。
[3] 前記ロール本体に更に、一対の前記回動フランジ部のロール幅方向両側に配置されて前記ロール中央部に固定された固定フランジ部が備えられ、
前記固定フランジ部に、前記回動フランジ部を引き寄せて固定する引きねじ部が設けられていることを特徴とする[1]または[2]に記載の金属管成形ロール。
[4] ワークとなる金属管の外径をDとしたとき、前記ロール中央部における前記ロール凹部の幅が0.7D〜0.87Dの範囲であることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[5] 前記ダイヤモンドライクカーボン膜において、膜表面から膜厚の20%深さの範囲のビッカース硬さが3000〜3500、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記CrN皮膜との界面から20%深さの範囲のビッカース硬さが2500〜3000であることを特徴とする[1]乃至[4]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[6] 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さが0.5μm〜2μmであることを特徴とする[1]乃至[5]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[7] 前記CrN皮膜の厚さが0.5μm〜5μmであることを特徴とする[1]乃至[6]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[8] 前記Cr膜の厚さが5nm〜200nmであることを特徴とする[1]乃至[7]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[9] 前記中間膜の厚さが20nm〜1000nmであることを特徴とする[1]乃至[8]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[10] 前記CrN皮膜のビッカース硬さが800〜2000であることを特徴とする[1]乃至[9]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[11] 前記ロール中央部と前記回動フランジ部の表面に、プラズマ窒化処理によって窒化された窒化層が形成されていることを特徴とする[1]乃至[10]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[12] 前記窒化層の厚さが0.5μm〜5μmであることを特徴とする[11]に記載の金属管成形ロール。
[13] 前記窒化層の平均窒素濃度が、0.10〜0.50質量%であることを特徴とする[11]または[12]に記載の金属管成形ロール。
[14] 前記窒化層における窒素の濃度分布が、前記窒化層表層から深さ方向に向かって減少する濃度勾配を有することを特徴とする[11]乃至[13]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[15] 前記ロール中央部または前記回動フランジ部の一方または両方が、さらに、質量%で、
Mo:0.70〜1.20%、
V:0.15〜1.00%、
を含有することを特徴とする[1]乃至[14]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[16] 前記ロール中央部または前記回動フランジ部の一方または両方が、さらに、質量%で、
W:0.60〜0.80%、
を含有することを特徴とする[1]乃至[15]の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
[17] [1]〜[16]の何れか一項に記載の金属管成形ロールを備えた金属管成形装置。
[18] [1]〜[16]の何れか一項に記載の金属管成形ロールを用いて成形することを特徴とする、金属管成形方法。
なお、本実施形態は、本発明の金属管成形ロールの趣旨をより良く理解させるために詳細に説明するものであるから、特に指定の無い限り本発明を限定するものではない。
図1に、本実施形態の第1の例である、金属管成形ロール、金属管成形装置及び金属管成形ロールを用いた金属管成形方法の側面模式図を示す。また、図2には、金属管成形ロールの正面模式図を示す。図1及び図2に示すように、本実施形態の金属管成形ロール1は、所謂カリバーロールであり、鋼材からなるロール本体2と、ロール本体2に挿通された回転軸3とが備えられている。ロール本体2のロール面2aには、断面視半円状に成形されたロール凹部4がロール本体2の全周に渡って設けられている。また、ロール凹部4の表面には、CrN皮膜と、CrN膜上に形成されたCr膜と、Cr膜上に形成された中間膜と、中間膜上に形成されたダイヤモンドライクカーボン膜とが備えられている。
以下に、本実施形態における金属管成形ロールについて詳しく説明する。
まず、本実施形態の金属管成形ロール1における基材成分組成に関し、各元素の限定理由について詳述する。
なお、以下の説明においては、特に指定の無い限り、「%」は質量%を表すものとする。また、以下に示す基本成分及び選択元素の残部は、鉄及び不可避的不純物からなる。
Cは、炭化物の形成および硬さの確保に必要な元素である。また、Cr、Mo、V等と結合して硬い炭化物を形成するので、焼入れ焼き戻し硬さを高め、耐摩耗性を構成させる元素として重要である。そのため、本実施形態ではCを1.00%以上含有させる。硬さの確保の観点から、1.4%以上含有させることが好ましい。
一方、C含有量が2.30%を超えると、靱性を著しく劣化させる。そこで、本実施形態では、C含有量は2.30%以下と限定する。なお、靭性確保の観点から、C含有量の上限は、2.20%であることが好ましく、2.00%以下であることがさらに好ましい。
Siは、脱酸剤として含有される。また、Siは、高温焼戻し中の軟化抵抗性を高める作用があるため含有される。これらの観点から、Siは0.10%以上含有させる。一方、Si含有量が0.60%を超えると、熱間加工性や靱性を低下させるほか、非金属介在物が増加するおそれがある。そのため、Si含有量は0.60%以下とする。なお、靭性確保の観点から、Si含有量の上限は0.50%であることが好ましい。
Mnは、Siと同様に脱酸効果のある元素であり、焼入れ性を向上させると同時に、残留オーステナイトを増加させる元素である。この観点から、Mnは0.20%以上含有させる。なお、硬度確保の観点から、0.30以上含有させることが好ましい。なお、靭性とのバランスを考慮し、本実施形態ではMn量の上限を0.8%とする。好ましくは、0.6%以下である。
(S:硫黄) 0.030%以下
P,Sともに、鋼中に存在しない方が好ましい不純物元素である。このことから、P,Sともに、その含有量を0.030%以下に制限する。なお好ましくは、0.020%以下に制限する。
CrはCと結合して、結合して炭化物を形成することにより、耐摩耗性を向上させる需要な元素である。また、本実施形態では金属管成形ロール1の基材上にCrN皮膜(硬質皮膜)を形成することから、当該CrN皮膜との密着性を確保する上でも非常に重要である。これらの観点から、Cr量は4.80%以上とし、好ましくは8.00%以上、さらに好ましくは11.00%以上とする。
一方、Crを過剰に添加すると、粗大な炭化物の生成によって靭性が劣化するおそれがあるので、Cr量の上限を13.00%とする。なお、好ましくは12.50%以下である。
Moは、焼戻し軟化抵抗性を向上させるとともに、炭化物の形成により耐摩耗性を付与する効果も有する。これらの観点から、Moは0.70%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.80%以上である。
一方、Moを過剰に添加すると靱性を劣化させるおそれがある。このことから、Moは1.20%以下含有させることが好ましく、より好ましくは1.10%以下である。
Vは、基材の焼入れ性向上、焼戻し軟化抑制さらには炭化物の微細化に有効である。そのため、Vは0.15%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.20%以上である。
一方、Vを過剰に添加すると、冷間加工性を阻害するおそれがあるため、Vは1.00%以下含有させることが好ましく、より好ましくは0.50%以下である。
Wは、Vと同様に、基材の焼入れ性向上、焼戻し軟化抑制さらには炭化物の微細化に有効である。そのため、Wは0.6%以上含有させることが好ましい。一方、Wを過剰に添加すると、冷間加工性を阻害するおそれがあるため、Wは0.80%以下含有させることが好ましい。
上記成分組成を有するような基材の硬度は、ビッカース硬さで約500〜600程度である。つまり、上記基材上に皮膜等を形成せず、基材ままの状態で金属管10を成形した場合、基材自体の硬度は確保できていることから耐摩耗性に関しては比較的良好な結果が得られるが、耐凝着性に関しては、金属管の材料が基材に焼付いてしまう場合があり、金属管成形ロール1に多数の疵が生じてしまうおそれがある。
CrN皮膜の硬度は、金属管成形ロール1の耐摩耗性を向上させる観点から、高硬度とすることが好ましい。したがって、本実施形態では、CrN皮膜のビッカース硬さを800以上とすることが好ましく、1500以上とすることがより好ましい。
一方、CrN皮膜の硬度の過度な上昇は、クラックの発生を招くおそれがあることから、CrN皮膜のビッカース硬さは2000以下とすることが好ましい。
本実施形態では、CrN膜とダイヤモンドライクカーボン膜との間に、Cr膜及び中間膜を配置することが好ましい。ダイヤモンドライクカーボン膜はCrN膜に対して比較的高い密着性を有するものの、本実施形態の金属管成形ロール1に対して金属管10を繰り返し通管させると、ダイヤモンドライクカーボン膜に繰り返し衝撃が加わり、これにより、ダイヤモンドライクカーボン膜がCrN膜から剥離するおそれがある。そこで、CrN膜上にCr膜を形成し、Cr膜上に中間膜を形成し、更にその上にダイヤモンドライクカーボン膜を形成することにより、繰り返し衝撃を受けた場合でもダイヤモンドライクカーボン膜の剥離を抑制する。
また、中間膜とダイヤモンドライクカーボン膜の界面についても、厚さ方向のCr濃度分布を測定することで容易に判別できる。中間膜ではダイヤモンドライクカーボン膜側に向かうに従ってCr濃度が減少し、ダイヤモンドライクカーボン膜ではCr濃度が0質量%になるので、厚さ方向のCr濃度を分析してCr濃度が0%になった位置を界面とすればよい。Crの分析手法は、電子線が透過できる程度の厚みの薄膜試料を作成し、走査透過電子顕微鏡観察(STEM:SCANNING TRANSMISSION ELECTRON MICROSCOPY)及び特性X線分析により分析を行う。
また、中間膜の成膜方法は、Cr膜と同様に、PVD法(物理蒸着法)を用いることが好ましい。この場合、Cr及び炭素のターゲットをそれぞれ用意してスパッタリング法により中間膜を成長させ、膜の成長途中で各ターゲットに対するスパッタリング条件を変化させることにより、Cr膜からダイヤモンドライクカーボン膜側に向かってCr濃度を減少させるとともにC濃度を増加させればよい。
金属管成形ロール1のうち、金属管10を搬送方向へ引張る役割の駆動ロールは、無駆動ロールよりも使用環境・使用条件が過酷であることから、耐摩耗性や耐凝着性は勿論のこと、耐剥離性、ならびにロール凹部4の表面の優れた低摩擦性がより求められる。
中間膜はCrと炭素を含む膜であるため、中間膜における炭素の結晶構造はDLC膜における炭素の結晶構造とは異なっており、中間膜はDLC膜に対して硬度が低くなっている。このため、中間膜上に高硬度なDLC膜を成膜しただけでは、中間膜とDLC膜との間(界面)で硬度格差(強度の不連続性)が生じ、中間膜とDLC膜との界面において応力が集中しやすくなる結果、中間膜とDLC膜との密着性が十分に確保できなくなり、金属管10の成形中にDLC膜が剥離するおそれがある。
そこで、CrN膜に対するDC膜の密着性を高めるため、DLC膜中間膜とDLC膜との間における硬度の格差を緩和させるようDLC膜の膜厚方向の硬度分布(硬度傾斜)を制御することが重要である。
中間膜のDLC膜側の界面におけるビッカース硬度は1200〜2400程度であるので、DLC膜の下層領域はビッカース硬度で1500〜3000程度、上層領域は3000〜3500程度とすることが望ましい。
さらに、DLC膜はチタンとの親和性が低いことから、耐凝着性も良好なものとできる。
DLC膜におけるsp3構造とsp2構造の割合を上記のように制御するためには、プラズマCVD法の各条件(成膜条件)を調整すればよい。具体的には、反応ガスの種類や割合、基板温度、陰極電圧、真空度等を適宜調整することで、DLC膜におけるsp3構造とsp2構造の割合を調整できる。つまり、DLC膜の膜厚方向に上記のような硬度傾斜が付与されるのであれば、成膜条件を適宜調整しながら成膜してもよく、成膜開始から一定の条件の下で成膜してもよい。
また、本実施形態におけるDLC膜は、sp3構造とsp2構造を所望の割合とすることが重要であるため、膜中にH(水素)が多量に混入することは好ましくない。そのため、反応ガスとしてH2は適当な量に抑えるほうがよい。
以上述べた成膜条件は、用いるプラズマCVD装置の種類、スペック等に影響されるため、生成させているDLC膜のラマンピークを調べながらsp3構造とsp2構造の割合を調整すればよい。
本実施形態に係る金属管成形ロール1は、基材上にCrN皮膜、Cr膜及び中間膜を成膜し、さらにその上に高硬度なダイヤモンドカーボン膜を成膜することで、金属管成形ロール1の耐摩耗性、耐凝着性、低摩擦性を確保する。しかしながら、高硬度のCrN皮膜と比較的軟質な基材との間(界面)では硬度格差(強度の不連続性)が生じ、CrN皮膜と基材との界面において応力が集中しやすくなる結果、CrN皮膜の厚みによってはCrN皮膜と基材との密着性が十分に確保できない場合がある。
そこで、本発明者らが検討した結果、高硬度なCrN皮膜と、比較的軟質な基材との間に、CrN皮膜と基材とを連結させうる別の層を設けることで、硬度格差を緩和させることができ、CrN皮膜と基材との密着性、及び金属管成形ロール1の強度を両立させうることを知見した。
また、一般的に、最大せん断応力は最表面ではなく表面直下(表層)で最大となる「ヘルツの接触応力」の観点からも、金属管成形ロール1の表面直下、すなわちCrN皮膜と基材との間にも高硬度の層をさらに設け、金属管成形ロール1の耐摩耗性を確保することが好ましい。
高硬度のCrN皮膜と比較的軟質な基材との間における強度の差を低減するためには、窒化層の厚みを0.5μm以上確保することが好ましい。より好ましくは1μm以上である。一方、窒化層の厚みを過度に厚くしすぎることは、プラズマ窒化処理に要する時間が長くなり生産性を低下させるほか、製造コストも高くなる。また、窒化層の厚みを過度に厚くすると、基材の表面粗度が大きくなってしまい、CrN皮膜の成膜前に基材表面を研磨する必要が生じる。これらの観点から、窒化層の厚みは5μm以下とすることが好ましい。
窒化層中の窒素濃度が低すぎると、強度向上の効果が小さく、十分な耐摩耗性が得られないおそれがあるため、窒化層中の平均窒素濃度は0.10質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは、0.20%以上である。
一方、窒化層中の窒素濃度が高すぎると、窒化層表面が脆化する傾向となりやすく、割れが生じるおそれがある。このことから、窒化層中の平均窒素濃度は0.50質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.40%以下である。
上述したように、ロール内部で強度格差が生じることは、CrN皮膜と基材との密着性、及び強度の観点から好ましくない。従って、CrN皮膜、基材表層、基材内部それぞれの間の強度の格差、すなわちロール内部の深さ方向に沿った強度勾配は緩やかにすることが好ましい。そのためには、CrN皮膜と基材との間に形成する窒化層内の窒素の濃度分布を、窒化層表層から基材側に向かって減少するような濃度勾配となるよう制御することが好ましい。
なおさらに加えて、水または通常金属管の成形で用いられるエマルジョンまたはソリュブル油系潤滑剤を潤滑剤として用いれば、金属管10と金属管成形ロール1の間の摩擦が更に低減するので好ましい。潤滑性能及び製品に付着した潤滑剤の除去のし易さの観点から、水溶性切削油剤であるソリュブル油系潤滑剤が最も適している。
次に、本発明の実施形態である金属管ロール及び金属管成形方法の第2の例について、図3〜8を参照して説明する。
更に、回動フランジ部22とロール中央部21の突出部21bとの間には隙間が生じるが、隙間の幅は30μmを超えることはないので、ロール中央部21に対する回動フランジ部22のがたつきが極めて小さくなる。これにより、回動フランジ部22とロール中央部21とによって構成される断面視半円状のロール凹部14は、金属管10が成形される間、その真円度が高いまま維持される。
図5に示すように、ロール中央部21の突出部21bの上面21dの幅Wは、ワークとなる金属管の外径をDとしたとき、0.7D〜0.87Dの範囲であることが好ましい。ここで、図5に示すように、ロール中央部21の上面21dと回動フランジ部22の外周傾斜面22aとの境界位置をAとし、金属管10の中心軸Oから境界位置Aに向かう方向と水平方向とのなす角度をθとしたとき、幅Wが0.7Dの場合の境界位置Aはθ=45°の位置となり、また、幅Wが0.87Dの場合の境界位置Aはθ=30°の位置となる。すなわち、本実施形態では、角度θが30〜45°の範囲になるように境界位置Aを設定するとよい。この理由を以下に説明する。
また、ロール凹部14に金属管10が侵入した際に回動フランジ部22がロール幅方向外側に僅かに押され、回動フランジ部22と突出部21bとの間に隙間が生じた場合でも、隙間の大きさが30μm未満になるため、金属管が成形される間のロール凹部14の真円度が高いまま維持され、真円度の高い金属管を成形できる。
図7に示す変形例では、ロール本体12を断面視した際に、回動フランジ部22と突出部21bとの境界面がロール本体12の外周方向に向けて真っ直ぐに伸びている。図7の例によれば、回動フランジ部22及び突出部21bの形状を図3の場合よりも比較的単純な形状にすることができ、がたつきが起きにくくなり、金属管10の成形精度を高めることができる。この図7の例では、金属管10から受ける荷重が比較的小さい場合に適用できる。
次に、本発明の実施形態である金属管ロール及び金属管成形方法の第3の例について、図9を参照して説明する。図9に示す金属管成形ロール31と、図3〜図4に示す第2の例の金属管成形ロール11との違いは、回動フランジ部22を固定フランジ部23に固定するための機構が備えられた点であり、その他の点には違いがない。以下の説明では、回動フランジ部22を固定フランジ部23に固定する機構について説明する。
本実施形態に係る金属管成形装置は、図1、図3または図9に示す金属管成形ロール1、11、31のいずれかを備えるとともに、金属管成形ロール1、11、31の一部分に対し、金属管成形中に潤滑剤を供給する潤滑ノズルを備える。なお、潤滑剤の使用及びここで示す潤滑ノズルの使用は望ましいが、必要に応じて、潤滑剤を使用するか否か、及び潤滑ノズルの使用をするか否か、適宜選択して良い。また、潤滑剤を使用する場合、潤滑剤を布に浸して塗布する、潤滑剤をスプレーで吹き付ける等の他の方法でも良い。
そこで、本実施形態に係る金属管成形ロールの更なる寿命の向上およびロール表面のロールマーク・疵を防止するためにも、本実施形態に係る金属管成形装置においては、金属管成形ロールに対して潤滑剤を供給する潤滑ノズルを備えることが好ましい。
以下、潤滑ノズルを備えた金属管成形装置の一例について図面を用いて説明するが、尚、以下に示す図面は、金属管成形装置の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の加熱炉の寸法関係等とは異なる場合がある。
このとき、成形ロール1、11、31と金属管10が接するロールフランジ部(孔型の終端のロール平行部)近傍では、他の部位よりも摩擦による摩耗、疵の発生が起こりやすくなっている。そのため、金属管10を成形するに際し、潤滑剤は、ロールフランジ部近傍に滴下することが必要である。
図10に示すように、幅移動溝(長溝)118が設けられたパイプ状の水平移動ガイド103が成形ロール1、11、31の前方に配置されており、この水平移動ガイド103上には、幅移動溝118内に嵌め込まれた幅移動ガイド119を介して、潤滑ノズル固定台102ならびに潤滑ノズル固定台102上に載置された潤滑ノズル101が設けられている。スライド可能に設けてある潤滑ノズル角度調整冶具109に接続した幅移動用ガイド部品115が、幅調整用ねじ(中心から左・右をそれぞれ正・逆ねじとし、調整ねじを回転させるとその左・右のガイド部115が対称的に反対方向に移動する)114(図12参照)により幅方向に拡縮する機構を有している。
なお、上下移動ねじ116は上下位置調整ハンドル104と連結しており、この上下位置調整ハンドル104を回すことで、中心位置調整冶具106の上下方向の移動を制御でき、ロールフランジ部に合わせた潤滑ノズル101の上下方向の調整が可能となっている。
潤滑ノズル101が前後する機構は潤滑ノズル挟み込み冶具(潤滑ノズル前後調整冶具)113を有する装置にて、潤滑ノズル角度固定ねじ112によって調整ができる。
これらの機構により金属管成形ロール1、21、31と金属管10が接するロールフランジ部近傍に潤滑剤が滴下をすることができる。
図11は潤滑ノズル101の配置例を説明するための正面模式図であるが、上述にて説明したような、金属管成装置には潤滑ノズル101の前後・上下ならびに左右の調整機構が備えられているので、金属管成形ロール1、21、31のフランジ幅の大小に合わせて、潤滑ノズル101の位置を所望の位置へ適宜変更できる。
なお、潤滑ノズル101の各方向調整機構を説明しやすくするため、図12中において、一部の部材については記載を省略している。
パイプ状の水平移動ガイド103内の略中央部分には、正逆反転する2つの幅調整用ねじ114(左、右ねじ)が配置されている。そしてこの幅調整用ねじ114は、水平移動ガイド103内に敷設された左右位置調整ハンドル105と連結しており、左右位置調整ハンドル105を回すことで水平移動ガイド103を水平方向に移動させることができ、結果、ロールフランジ部に合わせた潤滑ノズル101の幅方向拡縮が調整できる。
また、幅調整用ねじ114を中心に移動すること、ならびにあり型台座107に設けられた中心位置調整冶具106を調整することで、金属管成形ロール1、21、31の中央位置を合わせることができる。
潤滑剤は、原液と同等な濃い潤滑剤をロールに微量添付するため、チューブポンプといわれるチューブ132を、中心軸131を中心に自公転するローラー130で押しつぶしながら搬送する。
潤滑方法としては、内径3mm以下のチューブ132を用いて、滴下速度が20ml/hr以下の汚染のないチューブ(ローラー)ポンプを用いた微量滴下する方法となっている。
該潤滑剤の供給速度が1ml/hr未満では、潤滑剤としての機能を十分に発揮できず、一方、その供給速度が20ml/hrを超えると潤滑剤としての機能は飽和し、むしろ金属管成形ロール1、21、31の空転を招き、金属管成形に支障が出たり、最終製品から除去すべき潤滑剤が多量となり、製造コストが嵩むことになる。
なお、図10〜図13に示した金属管成形装置及び金属管成形方法は、金属管としてチタン管を成形する際に特に優れた効果を発揮できる。
(実施例1)
まず、成形ロールの基材としてJIS G 4404にて規定されている工具鋼SKD11(C,Si,Mn,Cr,Mo,V,P,S,残部鉄及び不純物を本発明の範囲で含む鋼)を採用し、焼入れ及び焼戻し処理を行った。
次に、得られた基材表面に対して、窒化処理を行い、基材表層に、25μm厚、平均窒素濃度が0.20質量%である窒化層を形成した。
なお、窒化処理は、アンモニアと水素の混合ガス雰囲気中(NH3、H2、Ar)で直流グロー放電により生じた反応性の高い活性種を利用し窒化するラジカル窒化処理を用いた。処理温度は500℃とし3時間の処理を施した。
次に、CrN皮膜を形成した基材を、孔型R:12.6mm、ロール底径Dr:100mm、ロール外径Do:124mm、ロール幅W:60.0mmの寸法でロールに加工し、図2に示す成形ロールを製造した。
図14及び図15に示すように、基材表層に、厚さ1.5μmのCrN層が形成されていることが分かる。また、図16は、微量に含有する元素の深さ方向への濃度挙動を確認するために、図14のグラフの縦軸範囲を変化させ表したグラフである。図16のグラフより、CrN皮膜と基材との間には、窒化層が形成されていることが分かる。また、グラフからも明らかなように、CrN皮膜側から基材側に向けて窒素濃度が緩やかに減少する勾配を示しており、窒化層内における深さ方向に対する硬さ変動も緩やかであることが分かる。
DLC膜はプラズマCVD法によって成膜した。装置は容量結合型高周波プラズマCVD装置を用い、温度は500℃とした。プラズマ発生用電源には、13.56MHzの高周波電源を用いた。反応ガスとしては、CH4とH2の混合ガスを用いた。このとき、CH4とH2の混合ガスの混合比を変えることにより、中間膜との界面から表面に向かって膜の硬さが徐々に増加するようにした。
実施例1で採用した工具鋼SKD11を基材とし、実施例1と同様に、窒化層およびCrN皮膜(単層)ロールに加工し成形ロールを製造した。
次に、CrN皮膜上に、イオンプレーティング法によりダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)を1.0μmの厚さで成膜した。
実施例1および比較例で得られた成形ロールの表層の、sp2混成軌道の炭素とsp3混成軌道の炭素の割合(sp3/sp2)をラマン分光分析によって測定した。
結果を図17(a)〜(c)及び図18(a)〜(c)、表1、2に示す。
また表1に、実施例1のラマンバンドパラメータを、表2に比較例1のラマンバンドパラメータを示す。
つまり、中間膜からDLC膜に向かうにしたがい硬度が大きくなる硬度傾斜となっていることが分かる。
その結果、各層・各膜の平均ビッカース硬さはそれぞれ、窒化層は1000、CrN皮膜は2000、Cr膜は1200、中間膜は2000、DLC膜の「界面付近」は2500、「DLC膜内部」は3000、DLC膜の「表面付近」は3500となり、Cr膜からDLC膜の膜厚方向において硬度傾斜が付与されていた。
実施例1及び比較例の各成形ロールにおいて、機械特性を評価した。評価条件は、径25.0mm、0.5mm厚のJIS3種チタン金属管を用い、TIG溶接による造管速度を6/min分として、溶接後に図10に示す成形装置を用いて成形を行った。このとき、潤滑剤としてはソリュブル油系潤滑剤を用い、この潤滑剤を10ml/hrで微量に滴下しながら成形を行った。
その結果、実施例1は、成形時間が24時間経過しても、ロール疵は発生せず、耐凝着性、耐摩耗性は良好であり、ロールフランジ部の疵、ロールマークの発生を抑制できた。
一方、比較例のロールを用いJIS3種チタン管の成形を行うと、30分も立たずにロール疵、膜剥離が発生し、CrN皮膜が露出した。
図3に示す成形ロールを製造した。その際、回動フランジ部22とロール中央部21の突出部21bとの間の隙間を50μmに調整した。この成形ロールを参考例1の成形ロールとした。
また、図3に示す成形ロールを製造し、その際、回動フランジ部22とロール中央部21の突出部21bとの間の隙間を10μm以下に調整した。この成形ロールを実施例2の成形ロールとした。各成形ロールにおけるCrN膜、Cr膜、中間膜及びDLC膜の品質は、実施例1と同等であった。
また、図19に示すように、チタン管については、実施例2、参考例1とも真円度は良好で、チタン管製品としての真円度の許容範囲内であったが、実施例2のほうがより高い真円度を示した。また、参考例1では、回動フランジ部22とロール中央部21の突出部21bとの間の隙間によって、チタン管の表面に製品として許容できる程度の疵が生じた。
また、実施例2、参考例1においては、チタン管に対するロールとの焼き付きや、ロール中央部または固定フランジ部と回動フランジ部と間の焼き付きは、発生することがなく、更に連続製管の続行が可能な状態であった。
更に、隙間を10μmに調整したロールを用い、かつ、潤滑剤を用いずに成形した普通鋼管及びSUS304ステンレス鋼管においても、300時間連続製管後に、ロール中央部または固定フランジ部と回動フランジ部と間の焼き付きが発生することがなく、更に連続製管の続行が可能な状態であった。
よって、実施例2のように、回動フランジ部22とロール中央部21の突出部21bとの間の隙間を10μm以下に調整し、それらが製管中に互いに摺動したとしても、CrN膜、Cr膜、中間膜及びDLC膜による摩擦係数の低減により、互いに磨耗することがなく、問題がなく連続製管することができ、金属管製品の真円度を保ち、疵発生を防ぐ点から望ましいことがわかる。
Claims (18)
- その全周に渡って断面視半円状のロール凹部が設けられたロール本体を有する金属管成形ロールであって、
前記ロール本体は、ロール中央部と、前記ロール中央部の両側に配置されて前記ロール中央部に対して回動自在とされた一対の回動フランジ部と、が少なくとも備えられ、前記ロール凹部が、前記ロール中央部と前記回動フランジ部とによって分割されており、
前記ロール中央部と前記回動フランジ部が、質量%でC:1.00〜2.30%、Si:0.10〜0.60%、Mn:0.20〜0.80%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:4.80〜13.00%を含有し、残部が鉄及び不純物からなる組成を有する鋼材からなり、
前記ロール凹部の全面と前記回動フランジ部の表面全面に、CrN皮膜とCr膜と中間膜とダイヤモンドライクカーボン膜とが順次積層され、
前記中間膜はCr及び炭素を含み、Crと炭素の合計を100質量%としたとき、前記Cr膜側の界面におけるCr濃度が80質量%以上であり、前記ダイヤモンドライクカーボン膜側の界面におけるC濃度が80質量%以上であり、前記Cr膜側から前記ダイヤモンドライクカーボン膜側に向かう膜厚方向に沿ってCr濃度が徐々に減少する膜であり、
前記ダイヤモンドライクカーボン膜において、ラマン分光法により測定された波数1380cm−1における吸収強度I1380と、波数1540cm−1における吸収強度I1540との比I1380/I1540が、膜表面から膜厚の20%深さの範囲で0.5〜0.7、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記中間膜との界面から20%深さの範囲で0.3〜0.5であることを特徴とする金属管成形ロール。 - 前記ロール中央部は、前記ロール本体を駆動する回転軸に固定されており、前記回動フランジ部は前記回転軸及び前記ロール中央部に対して回動自在とされていることを特徴とする請求項1に記載の金属管成形ロール。
- 前記ロール本体に更に、一対の前記回動フランジ部のロール幅方向両側に配置されて前記ロール中央部に固定された固定フランジ部が備えられ、
前記固定フランジ部に、前記回動フランジ部を引き寄せて固定する引きねじ部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属管成形ロール。 - ワークとなる金属管の外径をDとしたとき、前記ロール中央部における前記ロール凹部の幅が0.7D〜0.87Dの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記ダイヤモンドライクカーボン膜において、膜表面から膜厚の20%深さの範囲のビッカース硬さが3000〜3500、前記ダイヤモンドライクカーボン膜と前記中間膜との界面から20%深さの範囲のビッカース硬さが2500〜3000であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記ダイヤモンドライクカーボン膜の厚さが0.5μm〜2μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記CrN皮膜の厚さが0.5μm〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記Cr膜の厚さが5nm〜200nmであることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記中間膜の厚さが20nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記CrN皮膜のビッカース硬さが800〜2000であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記ロール中央部と前記回動フランジ部の表面に、プラズマ窒化処理によって窒化された窒化層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記窒化層の厚さが0.5μm〜5μmであることを特徴とする請求項11に記載の金属管成形ロール。
- 前記窒化層の平均窒素濃度が、0.10〜0.50質量%であることを特徴とする請求項11または12に記載の金属管成形ロール。
- 前記窒化層における窒素の濃度分布が、前記窒化層表層から深さ方向に向かって減少する濃度勾配を有することを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか一項に記載の金属管成形ロール。
- 前記ロール中央部または前記回動フランジ部の一方または両方が、さらに、質量%で、
Mo:0.70〜1.20%、
V:0.15〜1.00%、
を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項14の何れか一項に記載の金属管成形ロール。 - 前記ロール中央部または前記回動フランジ部の一方または両方が、さらに、質量%で、
W:0.60〜0.80%、
を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れか一項に記載の金属管成形ロール。 - 請求項1〜16の何れか一項に記載の金属管成形ロールを備えた金属管成形装置。
- 請求項1〜16の何れか一項に記載の金属管成形ロールを用いて成形することを特徴とする、金属管成形方法。
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