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JP2018032229A - 設備点検順位設定装置及び設備点検順位設定方法 - Google Patents

設備点検順位設定装置及び設備点検順位設定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の予兆が発生している場合に、故障と関連性の高い予兆を抽出し、抽出した予兆に基づいて保守点検を行う設備の優先度を高精度に設定することである。【解決手段】故障履歴データベース4に蓄積された予兆及び故障に基づいて、故障前に発生した予兆から故障と関連する予兆を抽出して、抽出した予兆に基づいて予兆パターンを作成する予兆パターン抽出部11と、予兆パターンにおける予兆間及び予兆故障間の遷移確率を算出して蓄積する遷移確率蓄積部12と、予兆パターンにおける最初の予兆が発生したとき、遷移確率に基づいて当該予兆から故障に至る累積故障確率を算出する累積故障確率算出部13と、予兆が発生した複数の設備2に対して、累積故障確率に基づいて保守点検を行う設備2の優先度を算出する優先度算出部14とを備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、設備点検順位設定装置及び設備点検順位設定方法に関し、特に、冷熱設備などの設備から収集される故障履歴に基づいて保守点検を行う設備の優先順位を設定する設備点検順位設定装置及び設備点検順位設定方法に関する。
従来から、複数の冷熱設備などの設備を、監視センタから監視する遠隔監視サービスがある。この遠隔監視サービスでは、稼動中の設備の温度、圧力等各設備の稼動の状態を示す設備状態データを各設備から収集している。収集した設備状態データの解析により設備の異常が検知されると、保守員は、作成された点検スケジュールに従って異常が検知された設備に対する点検を実施する。
近年では、異常が検知されなくても故障の予兆が発生された設備も点検対象とすることで、異常の発生を未然に防ぐように点検スケジュールを作成する場合がある。異常の発生をより確実に防ぐためには、予兆が発生した設備に対して、早期に故障すると予測される設備、換言すると故障が発生する確率の高い設備を優先して点検するよう点検スケジュールを作成し、故障の発生を低減することが好ましい。
例えば、特許文献1では、故障履歴を予め定められた条件に従ってクラスタリングを行い、クラスタリングした故障履歴のグループ(以下、「故障グループ」という)毎に、故障確率分布を作成し、いずれかの故障グループに属することになる設備に対し、当該故障グループに対して作成した故障確率分布に基づき当該設備の保守点検を行う優先度を算出する技術が提案されている。また、特許文献1では、更に保守員を出動させなければならない設備が故障する限界の時間(出動限界時間)を算出し、この出動限界時間に基づいて保守員を出動させることで設備の故障を一層低減させる技術も提案されている。
特許文献2では、設備の保守点検情報や設備に関する警報や各種測定値等の情報を用いて、DOMDDモデル(部分的に観測可能なマルコフ決定過程)に基づき、所定期間後の設備の状態をシミュレーションして、設備の保守点検の必要性を決定する技術が提案されている。
特許文献3では、設備の異常に対する診断や対応を行うための異常診断モデルを、グラフネットワーク構造を利用して自動的に作成及び追加・更新する技術が提案されている。特に、保守作業データ、アラーム、稼働イベント等の情報の因果関係を、グラフネットワーク構造を利用して表している。
特許文献4では、故障予兆状態が検出された時点からの経過時間と故障リスクの大きさとの対応関係を示す故障リスクテーブルを有しており、故障予兆状態が検出された時点からの所定期間内に装置が故障する故障リスクの大きさを、故障リスクテーブルに基づき判定する技術が提案されている。
特開2014−167667号公報 特開2014−229001号公報 特開2010−122847号公報 特開2010−091840号公報
設備に故障が発生すると、利用者は設備を利用できなくなるため、故障を未然に防ぐことが重要である。そこで、予兆が発生した設備に対して、早い時期に高い確率で故障する設備を優先的に点検し、故障を低減することが必要になる。
このため、特許文献1−4では、予兆の発生に基づいて故障する確率を算出しているが、時系列において複数の予兆が発生した場合に、これらの予兆のうちどの予兆が故障に関連するかまでは考慮されていない。複数の予兆には、故障と関連性の高い予兆や、故障と関連性の低い予兆があるため、故障と関連性の低い予兆に基づいて故障する確率を算出しても、故障確率の精度が低くなってしまう。
そこで、本発明では、複数の予兆が発生している場合に、故障と関連性の高い予兆を抽出し、抽出した予兆に基づいて保守点検を行う設備の優先度を高精度に設定することを目的とする。
本発明の設備点検順位設定装置は、複数の設備からそれぞれ収集された予兆の情報と、予兆後に発生した故障の情報とを蓄積する故障履歴蓄積部と、前記故障履歴蓄積部に蓄積された前記予兆及び前記故障に基づいて、前記故障の前に発生した複数の前記予兆から前記故障と関連する前記予兆を抽出して、抽出した前記予兆に基づいて予兆パターンを作成する予兆パターン抽出部と、前記予兆パターンにおける予兆間及び予兆故障間の遷移確率を算出して蓄積する遷移確率蓄積部と、前記予兆パターンにおける最初の前記予兆が発生したとき、前記遷移確率に基づいて、当該予兆から前記故障に至る累積故障確率を算出する累積故障確率算出部と、前記予兆が発生した複数の前記設備に対して、前記累積故障確率に基づいて保守点検を行う前記設備の優先度を算出する優先度算出部と、を備えることを特徴とする。
また、前記予兆パターン抽出部は、各予兆間の故障確率の変化率と、前記故障との関連性を判断する閾値とを比較することによって、複数の前記予兆から前記故障と関連する前記予兆を抽出することを特徴とする。
また、前記予兆パターン抽出部は、前記予兆パターン内に同種類の前記予兆が連続して存在する場合、連続する同種類の前記予兆を1つの前記予兆として前記予兆パターンを作成することを特徴とする。
また、前記累積故障確率算出部は、モンテカルロシミュレーションにより前記累積故障確率を算出し、前記予兆パターンにおける予兆数に応じて、前記モンテカルロシミュレーションの回数の上限回数を設定することを特徴とする。
また、前記優先度算出部により算出された優先度に基づいて、保守員を出動させなければ前記設備が前記故障する限界の時間である出動限界時間を算出する出動限界時間算出部を備えたことを特徴とする。
さらに、本発明の設備点検順位設定方法は、複数の設備からそれぞれ収集された故障履歴に基づいて、保守点検を行う前記設備の優先順位を設定する設備点検順位設定方法であって、複数の設備からそれぞれ収集された予兆の情報と、予兆後に発生した故障の情報とを蓄積し、前記予兆及び前記故障に基づいて、前記故障の前に発生した複数の前記予兆から前記故障と関連する前記予兆を抽出して、抽出した前記予兆に基づいて予兆パターンを作成し、前記予兆パターンにおける予兆間及び予兆故障間の遷移確率を算出して蓄積し、前記予兆パターンにおける最初の前記予兆が発生したとき、前記遷移確率に基づいて、当該予兆から前記故障に至る累積故障確率を算出し、前記予兆が発生した複数の前記設備に対して、前記累積故障確率に基づいて保守点検を行う前記設備の優先度を算出することを特徴とする。
本発明によれば、複数の予兆が発生している場合に、故障と関連性の高い予兆を抽出して、抽出した予兆に基づいて、保守点検を行う設備の優先度を高精度に設定することができる。
設備点検順位設定装置を含む冷熱設備システムのブロック構成図である。 故障履歴データベースに蓄積される故障履歴を示す故障履歴情報のデータ構成例を示した図である。 設備点検順位設定装置を構成するコンピュータのハードウェア構成図である。 故障に至る予兆の模式図である。 設備点検順位設定装置の処理を示すフローチャートである。 故障に至る予兆に関する複数の予兆パターンを示す模式図である。 図6に示す複数の予兆パターンをそれぞれ示す予兆パターンの模式図である。 同種類の予兆を間引く場合を説明する予兆の模式図である。 予兆発生から故障に至る遷移状態を説明する図であり、(a)は予兆発生から故障に至る際の連続する予兆関係を示し、(b)は連続する予兆関係において時間経過における遷移確率を算出したテーブルを示す。 予兆が発生したときに故障に至る経路を示す図であり、(a)は予兆Y2から故障K2に至る経路を示し、(b)は予兆Y3から故障K2に至る経路を示し、(c)は予兆Y4から故障K2に至る経路を示す。 モンテカルロシミュレーションにより累積故障確率を算出する処理を示したフローチャートである。 モンテカルロシミュレーションにより累積故障確率を算出する処理を示したフローチャートである。
図1は、本発明に係る設備点検順位設定装置の一実施の形態を示したブロック構成図である。図1には、冷熱設備2、稼動履歴受信部3、故障履歴データベース(DB)4及び設備点検順位設定装置10が示されている。図1に示すように、設備点検順位設定装置10には、稼動履歴受信部3と故障履歴データベース4とを介して複数の契約先施設に設置された複数の冷熱設備2が接続されている。本実施の形態では、冷熱設備2を点検対象の設備として図示しているが、点検が必要となるその他の設備でもよい。
稼動履歴受信部3、故障履歴データベース4及び設備点検順位設定装置10は、例えば監視センタに設置されている。稼動履歴受信部3は、冷熱設備(以下、単に「設備」という)2から設備状態を示す設備状態データを受信し、予兆及び異常が発生したときの設備状態データ、また、受信した設備状態データを必要により集計するなどして故障履歴情報を生成し故障履歴データベース4に蓄積する。稼動履歴受信部3は通信機能を有するコンピュータにより、故障履歴データベース4はデータベースサーバによりそれぞれ構成されている。設備状態データを受信して故障履歴データベース4に蓄積する方法としては、設備2の制御装置(図示省略)に搭載された通信ソフトウェアにより、電話回線およびインターネット回線を経由してオンラインで送信する方法などがある。
図2は、本実施の形態における故障履歴データベース4に蓄積される故障履歴を示す故障履歴情報のデータ構成例を示した図である。故障履歴情報は、故障の予兆が発生した日時を示す予兆発生日時に、故障時間間隔、設置環境情報及び発生状況情報が対応付けして構成される。予兆発生日時は、稼動履歴受信部3が設備2から送信されてくる設備状態データを参照することにより予兆の発生が検知された日時である。故障時間間隔は予兆の発生から設備2が故障するまでの時間間隔であり、異常発生日時と予兆発生日時との差分を示した値である。本実施の形態では、日数で示しているが時間でもよい。ここで、「異常」とは、1つの設備状態データが正常範囲内の値を示す正常状態から逸脱した場合をいう。「故障」とは、設備状態データが異常の発生により設備2が停止することをいう。また、「予兆」とは、設備状態データが正常範囲内であっても異常状態に近い状態であることを示す閾値を超えた場合をいう。
設置環境情報は、設備2の仕様及び設置場所に関する情報であり、設備2を特定する設備番号、設備2が設置された建物を特定する建物番号、設備2が備え付けられた住所を示す据付先、据え付けた年度を示す据付開始、設備2の型名及び建物内において設備2が設置された方角を示す設置方向に関する各種情報を含む。
発生状況情報は、予兆及び異常が発生したときの発生状況に関する情報であり、発生した予兆の内容を示す予兆内容、予兆が発生した時点の気温と湿度、予兆が発生した時点の気温と設定温度との温度差、カウントが開始されてから予兆が発生するまでに設備2のサーモスタットがON/OFFされた切替回数を示す発停回数、カウントが開始されてから予兆が発生するまでの間に設備2が稼動しているときの時間が積算された運転時間、カウントが開始されてから予兆が発生するまでに設備2のサーモスタットがONのときの時間が積算されたサーモON時間、運転時間当たりの発停回数を示す発停回数割合、運転時間当たりのサーモON時間を示すサーモON時間割合、カウントが開始されてから予兆が発生するまでの間に設備2の室内温度が設定温度に到達する平均時間を示す目標温度到達時間、異常の発生により設備2が停止したときの日時を示す異常発生日時及び発生した異常の内容を示す異常内容に関する各種情報を含む。なお、図2には、上記記載した発生状況情報の一部を図示している。
図3は、本実施の形態における設備点検順位設定装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において設備点検順位設定装置10を形成するコンピュータは、従前から存在する汎用的なパーソナルコンピュータ(PC)のハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図3に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24を接続したHDDコントローラ25、入力手段として設けられたマウス26とキーボード27、及び表示装置として設けられたディスプレイ28をそれぞれ接続する入出力コントローラ29、通信手段として設けられたネットワークコントローラ30を内部バス31に接続して構成される。
図4は、故障K1から故障K2の間に発生した時系列における予兆Y1,Y2,Y3,Y4を示している。すなわち、故障K2に至る予兆Y1,Y2,Y3,Y4を示している。図4において、設備点検順位設定装置10によって設備点検の優先順位を設定する概略内容について説明し、その後、設備点検順位設定装置10の各構成について説明する。図4においては、故障K1の発生後、予兆Y1,Y2,Y3,Y4が発生し、その後に故障K2が発生している。また、予兆Y1,Y2,Y3,Y4のうち予兆Y3の予兆種類のみB予兆であり、その他の予兆Y1,Y2,Y4の予兆種類はA予兆である。
設備点検順位設定装置10は、故障履歴データに基づいて、故障K2に至る予兆Y1,Y2,Y3,Y4のうち、故障K2と関連性の高い予兆を抽出して、抽出した予兆に基づいて予兆パターンDを抽出する。そして、設備点検順位設定装置10は、設備稼働状態において、予兆パターンDにおける最初の予兆Y2が発生したときに、故障K2に至る累積故障確率を算出し、この累積故障確率に基づいて、複数の設備2に対して保守点検を行う設備2の優先順位を設定するものである。
図1に戻り、設備点検順位設定装置10は、予兆パターン抽出部11、遷移確率蓄積部12、累積故障確率算出部13、優先度算出部14、出動限界時間算出部15を備えている。予兆パターン抽出部11は、故障に至る複数の予兆のうち、故障と関連性の高い予兆を抽出する。図4に示すように、例えば、故障K1が発生し、この故障K1の復旧後に、次の故障K2が発生する間に複数のY1,Y2,Y3,Y4が発生している。故障K2は、例えば、1つの予兆Y4によって発生することもあるが、通常、複数の予兆Y1,Y2,Y3,Y4が連続することによって発生することが多い。複数の予兆Y1,Y2,Y3,Y4の連続といっても、これら予兆Y1,Y2,Y3,Y4のなかには、故障発生への関連性が低い予兆Y1や、故障K2の発生から時系列において離れている予兆(図示せず)も含まれている。このため、予兆パターン抽出部11は、故障K2に至る複数の予兆Y1,Y2,Y3,Y4のうち、例えば、故障K2と関連性が高い予兆Y2,Y3,Y4、すなわち、故障発生に密接に関係する予兆Y2,Y3,Y4を抽出する。予兆パターン抽出部11は、故障発生に密接に関係する予兆Y2,Y3,Y4を抽出するとともに、故障発生への関連性が低い予兆Y1を除外して、故障K2に至る予兆Y2,Y3,Y4からなる予兆パターンDを作成する。予兆パターンDは、故障直前の一つまたは複数の予兆(図4においては予兆Y2,Y3,Y4)をまとめたものであり、複数の予兆が関係する場合には故障K2に至りやすい予兆Y2,Y3,Y4の発生順序も規定したものである。図4においては、予兆Y2,Y3,Y4の順序で規定したものが予兆パターンDとなる。
遷移確率蓄積部12は、抽出した予兆パターンDにおける各予兆間の遷移確率を算出して、予兆パターンDの遷移確率を蓄積する。遷移確率とは、ある予兆から次の予兆または故障に遷移するときの確率である。遷移確率蓄積部12は、予兆間や予兆故障間の時間経過における遷移確率を算出して、算出結果を蓄積する。例えば、図9(a)に示すように、予兆Y2,Y3,Y4からなる予兆パターンD3において、予兆Y2から故障K2に至る場合、予兆Y2と故障K2とが連続する部分(連続部分L1)、予兆Y2と予兆Y3とが連続する部分(連続部分L2)、予兆Y3と故障K2とが連続する部分(連続部分L3)、予兆Y3と予兆Y4とが連続する部分(連続部分L4)、予兆Y4と故障K2とが連続する部分(連続部分L5)の予兆間、予兆故障間が存在する。遷移確率蓄積部12は、連続部分L1〜L5に関する遷移確率をそれぞれ算出して、それら遷移確率を蓄積する。すなわち、累積故障確率算出部13において、故障K2に至る累積故障確率を算出するために、予め予兆パターンDの遷移確率を算出して蓄積してテーブルとして記憶する。
累積故障確率算出部13は、予兆パターンDにおける最初の予兆が発生したとき、遷移確率蓄積部12で算出した遷移確率に基づいて、当該最初の予兆から故障に至る累積故障確率を算出する。例えば、図9(a)に示すように、予兆パターンD3における最初の予兆Y2が発生したときに、故障K2に至る累積故障確率を算出する。実際の設備稼働時には、予兆パターンD3の予兆順序とおりに予兆Y2,Y3,Y4が発生するとは限らないので、この予兆パターンD3に関して故障K2に至る累積故障確率を算出する。
優先度算出部14は、累積故障確率算出部13により算出された累積故障確率に基づいて予兆が発生した各設備に対して保守点検を行う優先度を算出する。出動限界時間算出部15は、優先度算出部14により算出された優先度に基づいて出動限界時間を算出する。保守員は、支社等に待機しており、必要により保守点検先となる設備2に向かうことになる。基本的には、故障の予兆が発生した場合、その予兆が発生した設備2に対して故障の発生を未然に防ぐために故障が発生すると予測される時間の前に保守点検を実施するのが好ましい。ここで、出動限界時間とは、保守員を出動させなければ設備2が故障する限界の時間のことである。
なお、予兆パターン抽出部11、遷移確率蓄積部12、累積故障確率算出部13、優先度算出部14、出動限界時間算出部15における具体的な処理については、後述の設備点検順位設定装置10の動作説明において詳しく説明する。
また、本実施形態における設備点検順位設定方法を実行するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで設備点検順位設定方法が実現される。
次に、設備点検順位設定装置10の動作について説明する。設備2が稼動している間、稼動履歴受信部3には、予兆または故障が発生した設備2から故障履歴情報の生成に必要な情報が含まれる設備状態データが送信される。稼動履歴受信部3は、受信した設備状態データを解析することで予兆の発生を検知すると、設備状態データに基づき予兆発生日時、設置環境情報、発生状況情報に含まれる予兆内容、気温、湿度、温度差、発停回数、運転時間、サーモON時間、発停回数割合、サーモON時間割合及び目標温度到達時間を設定して故障履歴情報を生成する。また、稼動履歴受信部3は、受信した設備状態データを解析することで異常の発生を検知すると、予兆の発生により生成された故障履歴情報の中から設置環境情報等を参照して異常が発生した設備2に対応する故障履歴情報を特定し、受信した設備状態データに基づき、故障履歴情報の異常発生日時及び異常内容を設定登録する。さらに、稼動履歴受信部3は、予兆の発生から異常の発生までの時間間隔を算出して故障時間間隔を設定登録する。このようにして、予兆及び故障の発生に伴い稼動履歴受信部3により故障履歴情報が生成されて、図2に示す故障履歴情報が故障履歴データベース4に蓄積される。
続いて、設備点検順位設定装置10の処理について図5に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS101では、予兆パターン抽出部11が、故障に至る複数の予兆から故障と関連性の高い予兆を抽出して、この抽出した予兆に基づいて予兆パターンを作成する。予兆の抽出及び予兆パターンの作成について、図6、7を参照して説明する。図6において、図4と同様に、故障K1の発生後、予兆Y1,Y2,Y3,Y4が発生し、その後に故障K2に至っている。図6において符号Tは時間軸を示している。また、予兆Y1,Y2,Y3,Y4のうち予兆Y3の予兆種類のみB予兆であり、その他の予兆Y1,Y2,Y4の予兆種類はA予兆である。
まず、予兆パターンDの作成について説明する。図6に示すように、故障K2から遡って、どの予兆Y1,Y2,Y3,Y4が故障K2に密接に関連しているかを、予兆数を変えたときの故障確率の変化率を用いて判断する。換言すれば、故障K2の要因が、予兆Y4のみであるのか(予兆パターンD1)、予兆Y3、Y4であるのか(予兆パターンD2)、予兆Y2,Y3,Y4であるのか(予兆パターンD3)、または、予兆Y1,Y2,Y3,Y4であるのか(予兆パターンD4)を判断する。
予兆パターンD1〜D4のうち、いずれの予兆パターンを選択するかは以下の考え方による。例えば、予兆パターンD1と予兆パターンD2とを比較した場合、故障確率の変化率が小さければ、予兆数増加による故障傾向の変化が小さい、つまり、予兆数を増加しても故障との関連性が低いと判断して、予兆数が少ない予兆パターンD1を採用する。また、予兆パターンD1と予兆パターンD2とを比較した場合、故障確率の変化率が大きければ、予兆数増加による故障傾向の変化が大きい、つまり、予兆数を増加することによって故障との関連性が高くなると判断して、予兆数が多い予兆パターンD2を採用する。
なお、故障との関連性が高くなると判断して予兆パターンにおける予兆数を制限なく増加した場合には、予兆数の増加により故障に至る確率が低下し、また、予兆パターンのデータ量も増大するので、予兆パターンにおける予兆数はできるだけ少ないほうが好ましい。また、故障の発生を推測するためには、予兆パターンの種類は多い方が好ましい。また、予兆間に所定の時間間隔がある場合、すなわち、予兆間が時系列において離間している場合、故障発生から離れている予兆は、故障に関連する可能性は低いと判断して、予兆パターンから除外する。
次に、予兆パターンの具体的な決定方法について説明する。図7は、図6に示す故障K2に至る予兆パターンD1,D2,D3,D4を分けて示したものである。ここで、符号F1で示すように、予兆Y4が発生して故障K2に至るとき(予兆パターンD1)の故障確率P1を0.2、符号F2で示すように、予兆Y3に続いて予兆Y4が発生して故障K2に至るとき(予兆パターンD2)の故障確率P2を0.35、符号F3で示すように、予兆Y2に続いて予兆Y3,Y4が発生して故障K2に至るとき(予兆パターンD3)の故障確率P3を0.23、符号F4で示すように、予兆Y1に続いて予兆Y2,Y3,Y4が発生して故障K2に至るとき(予兆パターンD4)の故障確率P4を0.2とする。
故障確率Pxの変化率PCxは、以下の数式1によって算出することができる。
変化率PCx=(Px−Px+1)×100/Px・・・数1
また、予兆パターンDのPxの変化率PCxに基づいて故障との関連性を判断する閾値を予め設定する。予兆パターンDのPxの変化率PCxが閾値を超えている場合、故障との関連性が高いと判断する。よって、閾値を小さく設定すると、故障との関連性を判断するレベルが下がり、予兆パターンDにおける予兆数が増加し、逆に閾値を大きく設定すると、故障との関連性を判断するレベルが上がり、予兆パターンDにおける予兆数が減少する。なお、ここでは閾値を例えば閾値30%と設定する。そして、予兆パターンDの故障確率Pxの変化率PCxが、閾値30%以下となるまで、予兆パターンDの故障確率Pxの変化率PCxを比較する。
数式1に基づいて、予兆パターンD1,D2,D3,D4の故障確率Pxの変化率PCxを算出すると、予兆パターンD1と予兆パターンD2とでは、
変化率PCx(D1・D2)=(0.2−0.35)×100/0.2=75%となり、閾値30%と比較すると、閾値30%を超えているので、予兆パターンD2を採用する。
同様に、予兆パターンD2と予兆パターンD3とでは、
変化率PCx(D2・D3)=(0.35−0.23)×100/0.35=34%となり、閾値30%と比較すると、閾値30%を超えているので、この場合も予兆パターンD3を採用する。
また、同様に、予兆パターンD3と予兆パターンD4とでは、
変化率PCx(D3・D4)=(0.23−0.2)×100/0.23=13%となり、閾値30%と比較すると、閾値30%以下であるので、この場合は予兆数が少ない予兆パターンD3を採用する。このように、予兆パターンD1,D2,D3,D4に関して故障確率Pxの変化率PCxを比較することによって、故障K2に至る予兆パターンDとして予兆パターンD3を採用する。
また、図8に、同種類(A予兆)の予兆Y10,Y11,Y12が連続して発生した後に、B予兆の予兆Y13が発生、その後、A予兆の予兆Y14が発生して故障K2に至る場合を示す。図8に示すように、同種類(A予兆)の予兆Y10,Y11,Y12が連続して発生する場合には、同種類の予兆を一つの予兆とみなして、同種類の予兆を間引いて予兆パターンDを作成する。すなわち、同種類の予兆が連続して発生することが多く(例えば、図8ではA予兆が連続して発生している)、これら全ての同種類の予兆を含めて予兆パターンDを作成すると、同様な予兆パターンDが多数作成されてしまうので、同種類の予兆が連続して発生した場合には、同種類の予兆を一つの予兆とみなして予兆パターンDを作成する。
図5のフローチャートに戻り、ステップS101において、予兆パターンD3を作成した後、ステップS102に進む。ステップS102では、予兆パターンD3における各予兆間、予兆故障間の時間経過における遷移確率を算出して、算出した遷移確率を蓄積する。予兆パターンD3に関して、図9(a)に示すように、予兆Y2から故障K2に至る経路において、予兆間、予兆故障間は、連続部分L1,L2,L3,L4,L5の5つ存在する。遷移確率蓄積部12は、連続部分L1,L2,L3,L4,L5における予兆Y2,Y3,Y4間、予兆Y2,Y3,Y4と故障K2との間の時間経過における遷移確率を算出して、算出した遷移確率を蓄積する。図9(b)に、連続部分L1,L2,L3,L4,L5に関する時間経過における遷移確率を算出したテーブルを示す。なお、算出した遷移確率のテーブルは、RAM23またはHDD24に記憶される。遷移確率の算出後、ステップS103に進む。
ステップS103では、予兆パターンD3の累積故障確率を算出する。ステップS103における予兆パターンD3の累積故障確率の算出には、公知のモンテカルロ法を使用する。モンテカルロ法とは、乱数を用いて数値計算を行い、必要とする解の近似解を得る方法であり、本実施形態ではモンテカルロ法のうちでも特にメトロポリス法を使用する。
図10(a)における予兆パターンD3を例として説明する。図10(a)に示すように、予兆Y2が発生して、故障K2に至る経路は、経路G1,G2,G3の3通りである。すなわち、予兆Y2が発生した場合には、予兆Y2から直接故障K2に至る経路G1、予兆Y2から予兆Y3を経由して故障K2に至る経路G2、予兆Y2から予兆Y3,Y4を経由して故障K2に至る経路G3の3通りがある。この3通りの経路G1,G2,G3に関してモンテカルロ法を使用することによって、1つの累積故障確率として算出する。
また、図10(b)に示すように、予兆Y3が発生した場合、すなわち、予兆Y3が発生してから直接故障K2に至る経路G4、予兆Y3から予兆Y4を経由して故障K2に至る経路G5の2通りについても同様に、モンテカルロ法を使用して1つの累積故障確率として算出する。なお、図10(c)に示すように、予兆Y4が発生した場合、故障K2に至る経路G6の1通りであるので、モンテカルロ法を使用する必要はない。
図11、12に、モンテカルロシミュレーションによる処理のフローチャートを示す。まず、モンテカルロシミュレーションの概要について説明する。モンテカルロシミュレーションとは、(1)予兆パターンDの初めに発生する予兆を初期値x0として設定し、(2)現在状態をxtとして、次の状態候補、すなわち、次に発生する予兆または故障をx’として選択し、(3)次の状態候補の確率と現在状態の確率との比r=P(x’)/P(xt)を算出し、(4)一様乱数Rを発生させて、(5)R<rであれば次の状態候補(次の予兆または故障)を次の状態に設定し、R<rでなければ現在状態を次の状態として、(6)(2)〜(5)を時間tまで繰り返すものである。また、(1)〜(6)までの処理を、累積故障確率の分布が収束するまで繰り返す。収束しない場合には、このシミュレーションを予め設定した上限回数まで繰り返す。
図11においてステップS201では、予兆パターンD3の初めに発生する予兆を設定する。すなわち、予兆パターンD3の予兆Y2を初期値として設定して、ステップS202に進む。
ステップS202では、ステップS201で設定した初期値(予兆Y2)を現在の状態に選択してステップS203に進む。
ステップS203では、予兆Y2の次に発生する遷移候補を選択する。図10(a)に示すように、予兆Y2の次に発生する遷移候補としては、予兆Y3または故障K2が考えられる。そこで、遷移候補として予兆Y3または故障K2を選択して、ステップS204に進む。
ステップS204では、ステップS203で選択した遷移候補に関して、時間t(ここでは1時間)における遷移確率を算出してステップS205に進む。時間tにおける予兆Y3と故障K2との遷移確率は、上述のP(x’)/P(xt)に基づくと、P(予兆Y3)/P(予兆Y2)=0.2、P(故障K2)/P(予兆Y2)=0.4となる。予兆Y3の遷移確率と故障K2との遷移確率をフローチャートの処理毎に算出してもよいが、ここでは、図9(b)のテーブルを使用する。予兆Y2の発生から1時間以内に発生する予兆Y3の遷移確率と故障K2との遷移確率は、図9(b)のテーブルを参照すると、予兆Y3では0.2、故障K2では0.4である。
ステップS205では、一様乱数Rを発生させて、ステップS206に進む。この一様乱数Rは、予兆Y2の次に発生する遷移候補を推定するために用いる。例えば、発生した一様乱数Rは0.7とする。
ステップS206では、一様乱数Rと、ステップS204で算出した予兆Y3の遷移確率と故障K2の遷移確率とを比較して、次の状態を判定する。次の状態としては、図10(a)に示すように、現在の状態を維持するか、次の予兆に遷移するか、または故障に遷移するかのいずれかの状態があり、現在の状態を維持する場合にはステップS207に進み、次の予兆に遷移する場合にはステップS209に進み、故障に遷移する場合にはステップS211に進む。
今回は予兆Y2の次の状態を判定する。一様乱数Rが予兆Y3の遷移確率よりも小さい場合には予兆Y3に遷移し、一様乱数Rが予兆Y3の遷移確率と故障K2の遷移確率とを加えた合算値よりも小さい場合には故障K2に遷移し、一様乱数Rが合算値を超えている場合には現状の予兆Y2を維持する。
例えば、上述の数値で判断すると、一様乱数R(0.7)、予兆Y3の遷移確率(0.2)、故障K2の遷移確率(0.4)であるので、一様乱数R(0.7)が合算値(0.2+0.4)を超えている場合に相当し、ステップS207に進んで現状の予兆Y2の状態を維持する。
ステップS207では、予兆Y3と故障K2とのいずれにも遷移しないので、予兆Y2の状態を維持して、ステップS208に進む。ステップS208では、時間tをカウントアップした後、時間tと上限時間Nとを比較して、時間tが上限時間Nに達しているかを判断する。すなわち、時間tが上限時間Nに達していない場合(Yes)、ステップS202に戻り、ステップS202以下を繰り返す。また、時間tが上限時間Nに達している場合(No)、図12のステップS212に進む。
引き続き、ステップS208からステップS202に戻る場合について説明する。ステップS202以下を繰り返すとき、予兆Y2からの遷移候補は、前回と同様に予兆Y3または故障K2となる。今回、時間tはカウントアップにより2時間になるので、予兆Y3の遷移確率と故障K2の遷移確率とは、図9(b)のテーブルを参照すると、予兆Y3では0.3、故障K2では0.2となる。そして、ステップS205において一様乱数Rを発生させた結果、例えば、一様乱数Rが0.25である場合、一様乱数R(0.25)、予兆Y3の遷移確率(0.3)、故障K2の遷移確率(0.2)となる。この条件において、ステップS206では、一様乱数R(0.25)が予兆Y3の遷移確率(0.3)よりも小さい場合に相当し、ステップS209に進んで次の予兆Y3の状態に遷移する。
ステップS209では、次の予兆(予兆Y3)に遷移すると判断して、ステップS210に進む。ステップS210では、次の予兆(予兆Y3)を現在の状態に変更して、すなわち、現在の状態を予兆Y2から予兆Y3に変更して、ステップS202に戻り、ステップS202以下を繰り返す。ステップS202に戻り、ステップS202以下を繰り返すとき、予兆Y3からの遷移候補は、図10(b)に示すように、予兆Y4または故障K2となる。予兆Y4の遷移確率と故障K2の遷移確率とは、図9(b)のテーブルから予兆Y4では0.5、故障K2でも0.5となる。そして、ステップS205において一様乱数Rを発生させた結果、例えば、一様乱数Rが0.6である場合、一様乱数R(0.6)、予兆Y4の遷移確率(0.5)、故障K2の遷移確率(0.5)となる。この条件において、ステップS206では、一様乱数R(0.6)が予兆Y4の遷移確率(0.5)と故障K2の遷移確率(0.5)とを加えた合算値よりも小さい場合に相当し、ステップS211に進んで故障K2の状態に遷移する。
ステップS211では、故障K2に遷移すると判断して、ステップS212に進む。ステップS212では、これで1回のシミュレーションを終了し、シミュレーション回数をカウントアップして、ステップS213に進む。
ステップS213では、シミュレーション回数が、予め設定された上限回数に達しているか判断する。上限回数に達した場合(Yes)、一連の処理を終了し、上限回数に達していない場合(No)、ステップS214に進む。
ステップS214では、累積故障確率の分布が収束するまで一連の処理を繰り返す。すなわち、ステップS214において、累積故障確率の分布が収束した場合(Yes)、一連の処理を終了し、累積故障確率の分布が収束していない場合(No)、ステップS201に戻り、ステップS201以下を繰り返す。
ここで、シミュレーションの上限回数の設定について説明する。予兆パターンDにおける予兆数が多い程、故障に至る分岐数は増える。このため、予兆パターンDにおける予兆数に応じて、シミュレーションの上限回数を設定する。例えば、予兆パターンDにおける予兆数が1つの場合には、シミュレーションの上限回数を10000回に設定し、予兆パターンDにおける予兆数が2つの場合には、シミュレーションの上限回数を20000回に設定し、また、予兆パターンD3のように、予兆パターンDにおける予兆数が3つの場合には、シミュレーションの上限回数を30000回に設定する。
図5のフローチャートに戻り、ステップS104において、ステップS103で算出した累積故障確率に基づいて、予兆が発生した各設備に対して保守点検を行う優先度を算出する。換言すれば、予兆が発生した各設備のうち、累積故障確率に基づいて、最も保守点検を必要としている設備、つまり、故障に至る確率が高い設備を選択する。ステップS104では、設備稼働状態において、複数の設備に予兆がそれぞれ発生したとき、それら予兆に関する予兆パターンDの累積故障確率を比較することによって、予兆が発生した複数の設備から、最も故障する確率が高い設備を選択して、ステップS105に進む。
ステップS104の処理の具体例として、例えば、あるタイミングにおいて、複数の設備において予兆が発生したとき、これら予兆に関する予兆パターンの累積故障確率を比較して、これら設備の中から、累積故障確率が高い予兆パターンの設備を選択する。そして、選択した設備の保守点検を優先的に行う。このように、累積故障確率に基づいて、最も保守点検が必要な設備(故障する確率が高い設備)を把握することができる。
ステップS105では、ステップS104において最も保守点検が必要であると選択された設備に対して出動限界時間を算出する。出動限界時間は、予兆が発生してから故障に至ると予測される故障予測時間と、保守員がその設備に到達して保守点検を完了するまでの保守時間とを比較することによって算出される。
故障予測時間は、発生した予兆に関する予兆パターンに基づいて算出する。すなわち、予兆が発生してから、故障に至るまでに予測される時間に基づいて算出する。また、保守時間は、予兆が発生した設備に近い支社等に待機している保守員が、その設備に向かい、保守点検を完了するまでに要する時間に基づいて算出する。そして、故障予測時間よりも保守時間が短くなるように出動限界時間を算出し、保守員は、出動限界時間に基づいて、保守点検を実施する。
以上、説明したように、設備点検順位設定装置10は、故障履歴データに基づいて、故障に至る複数の予兆のうち、故障と関連性の高い予兆を抽出して予兆パターンDを作成し、この予兆パターンDにおける最初の予兆が発生したときに、故障に至る累積故障確率を算出する。そして、設備点検順位設定装置10は、この累積故障確率に基づいて、保守点検を行う設備2の優先度を算出する。このため、故障に至るまでに複数の予兆が発生している場合に、これら予兆の中から故障と関連性の低い予兆を除外して、故障と関連性の高い予兆に基づいて、故障に至る故障確率を算出でき、故障確率の精度を向上することができる。
その結果、保守点検を行う設備2の優先度を高精度に算出することができ、故障時期および故障に至る確率を考慮した保守点検を行う設備2の優先度を決定することができる。また、故障しやすい設備2から保守点検順位を設定することで、効率的に保守点検を行うことができ、故障を低減させることが可能となり、設備2の長期使用が可能となる。
また、予兆と故障との関連性を判断するための閾値を有しており、この閾値を調整することによって、予兆パターンDにおける故障に関連する予兆数を調整することができる。また、予兆パターンDのデータ量を調整することもできる。
また、予兆パターンD内に同種類の予兆が連続して存在する場合、連続する同種類の予兆を1つの予兆として予兆パターンDを作成するので、類似する予兆パターンDを除外することができ、異なる種類の予兆パターンDのデータ量を確保することができる。
また、モンテカルロシミュレーションにより累積故障確率を算出し、予兆パターンDにおける予兆数に応じて、モンテカルロシミュレーションの回数の上限回数を設定しているので、予兆パターンDに適応したシミュレーションを行うことができ、また、シミュレーションによる演算の負荷を減らすことができる。特に、設備数や故障履歴のデータ量が多い場合には、モンテカルロシミュレーションの演算量は莫大な量となるが、シミュレーションの上限回数を設定することにより、必要な演算結果を得られるとともに、演算負荷を減らすことができる。
また、出動限界時間算出部15は、優先度算出部14により算出された優先度に基づいて出動限界時間を算出するため、算出された出動限界時間に基づいて、保守員が設備2を保守点検することで設備2の故障を一層低減させることが可能となる。
2 設備、3 稼動履歴受信部、4 故障履歴データベース、10 設備点検順位設定装置、11 予兆パターン抽出部、12 遷移確率蓄積部、13 累積故障確率算出部、14 優先度算出部、15 出動限界時間算出部、D,D1,D2,D3,D4 予兆パターン、G1,G2,G3,G4,G5,G6 経路、K1,K2 故障、L1,L2,L3,L4,L5 連続部分、Y1,Y2,Y3,Y4,Y10,Y11,Y12,Y13Y,14 予兆。

Claims (6)

  1. 複数の設備からそれぞれ収集された予兆の情報と、予兆後に発生した故障の情報とを蓄積する故障履歴蓄積部と、
    前記故障履歴蓄積部に蓄積された前記予兆及び前記故障に基づいて、前記故障の前に発生した複数の前記予兆から前記故障と関連する前記予兆を抽出して、抽出した前記予兆に基づいて予兆パターンを作成する予兆パターン抽出部と、
    前記予兆パターンにおける予兆間及び予兆故障間の遷移確率を算出して蓄積する遷移確率蓄積部と、
    前記予兆パターンにおける最初の前記予兆が発生したとき、前記遷移確率に基づいて、当該予兆から前記故障に至る累積故障確率を算出する累積故障確率算出部と、
    前記予兆が発生した複数の前記設備に対して、前記累積故障確率に基づいて保守点検を行う前記設備の優先度を算出する優先度算出部と、
    を備えることを特徴とする設備点検順位設定装置。
  2. 請求項1に記載の設備点検順位設定装置であって、
    前記予兆パターン抽出部は、各予兆間の故障確率の変化率と、前記故障との関連性を判断する閾値とを比較することによって、複数の前記予兆から前記故障と関連する前記予兆を抽出することを特徴とする設備点検順位設定装置。
  3. 請求項1または2に記載の設備点検順位設定装置であって、
    前記予兆パターン抽出部は、前記予兆パターン内に同種類の前記予兆が連続して存在する場合、連続する同種類の前記予兆を1つの前記予兆として前記予兆パターンを作成することを特徴とする設備点検順位設定装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の設備点検順位設定装置であって、
    前記累積故障確率算出部は、モンテカルロシミュレーションにより前記累積故障確率を算出し、前記予兆パターンにおける予兆数に応じて、前記モンテカルロシミュレーションの回数の上限回数を設定することを特徴とする設備点検順位設定装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の設備点検順位設定装置であって、
    前記優先度算出部により算出された優先度に基づいて、保守員を出動させなければ前記設備が前記故障する限界の時間である出動限界時間を算出する出動限界時間算出部を備えたことを特徴とする設備点検順位設定装置。
  6. 複数の設備からそれぞれ収集された故障履歴に基づいて、保守点検を行う前記設備の優先順位を設定する設備点検順位設定方法であって、
    複数の設備からそれぞれ収集された予兆の情報と、予兆後に発生した故障の情報とを蓄積し、
    前記予兆及び前記故障に基づいて、前記故障の前に発生した複数の前記予兆から前記故障と関連する前記予兆を抽出して、抽出した前記予兆に基づいて予兆パターンを作成し、
    前記予兆パターンにおける予兆間及び予兆故障間の遷移確率を算出して蓄積し、
    前記予兆パターンにおける最初の前記予兆が発生したとき、前記遷移確率に基づいて、当該予兆から前記故障に至る累積故障確率を算出し、
    前記予兆が発生した複数の前記設備に対して、前記累積故障確率に基づいて保守点検を行う前記設備の優先度を算出することを特徴とする設備点検順位設定方法。
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