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JP2018014386A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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JP2018014386A
JP2018014386A JP2016142380A JP2016142380A JP2018014386A JP 2018014386 A JP2018014386 A JP 2018014386A JP 2016142380 A JP2016142380 A JP 2016142380A JP 2016142380 A JP2016142380 A JP 2016142380A JP 2018014386 A JP2018014386 A JP 2018014386A
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泰央 田中
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泰央 田中
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

【課題】固体電解質層の表面積を大きくし、容量を増加させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供する。【解決手段】固体電解コンデンサの製造方法は、複数の凹部を有する陽極体11の表面に誘電体層12を形成する工程と、誘電体層12上に第1導電性高分子層を形成する工程と、を備え、誘電体層12上に第1導電性高分子層を形成する工程は、第1極性を帯びた第1導電性高分子121が分散された第1分散液120に誘電体層12が形成された陽極体11を浸漬させ、誘電体層12が形成された陽極体11の表面を第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
従来の固体電解コンデンサが開示された文献として、特開2009−64808号公報(特許文献1)が挙げられる。
特許文献1に開示の固体電解コンデンサに含まれるコンデンサ素子を製造するに際して、弁作用金属に対して化成処理を行ない、弁作用金属の表面に誘電体被膜を形成した後に、誘電体被膜が形成されたアルミ箔を導電性高分子が分散された分散液に浸漬させ、固体電解質層を形成する。その後、固体電解質層上にカーボン層および銀ペースト層を順に形成する。
特開2009−64808号公報
しかしながら、弁作用金属の外表面を多孔質状に構成し、誘電体被膜上に固体電解質層を形成する場合において、誘電体被膜が形成された弁作用金属を分散液に浸漬させるのみでは、多孔質状の表面に含まれる複数の凹部内に導電性高分子が十分充填されず、固体電解質層と誘電体被膜との接触面積を十分に確保することができない場合があった。このような場合には、固体電解コンデンサの容量が低下してしまう。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、固体電解質層の表面積を大きくし、容量を増加させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明に基づく固体電解コンデンサの製造方法は、複数の凹部を有する陽極体の表面に誘電体層を形成する工程と、上記誘電体層上に第1導電性高分子層を形成する工程と、を備え、上記誘電体層上に上記第1導電性高分子層を形成する工程は、外表面が第1極性を帯びた第1導電性高分子が分散された第1分散液に、上記誘電体層が形成された上記陽極体を浸漬させ、上記誘電体層が形成された上記陽極体の表面を上記第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程を含む。
上記本発明に基づく固体電解コンデンサの製造方法にあっては、上記誘電体層上に上記第1導電性高分子層を形成する工程は、上記誘電体層が形成された上記陽極体の表面を上記第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程にて上記誘電体層上に付着した上記第1分散液を加熱し、溶媒を除去する工程をさらに含むことが好ましい。この場合には、上記第1導電性高分子層を形成する工程にて、上記誘電体層が形成された上記陽極体の表面を上記第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程と、上記第1分散液を加熱し、溶媒を除去する工程を繰り返し実施することが好ましい。
上記本発明に基づく固体電解コンデンサの製造方法は、上記第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程をさらに備えることが好ましい。この場合には、上記第2導電性高分子層を形成する工程は、上記第1導電性高分子層が形成された上記陽極体の表面を帯電させることなく、第2導電性高分子が分散された第2分散液に上記第1導電性高分子層が形成された上記陽極体を浸漬させる工程を含むことが好ましい。
上記本発明に基づく固体電解コンデンサの製造方法にあっては、上記第2導電性高分子として、上記第1導電性高分子と同じものを用いてもよい。
本発明によれば、固体電解質層の表面積を大きくし、容量を増加させることができる固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
実施の形態に係る固体電解コンデンサの概略断面図である。 図1に示すII部を拡大して示す断面図である。 実施の形態に係る固体電解コンデンサの製造フローを示す図である。 実施の形態に係る固体電解コンデンサの製造フローにおける第1導電性高分子層を形成する工程を示す図である。 実施の形態に係る固体電解コンデンサの製造フローにおける第1導電性高分子層を形成する工程での導電性高分子の様子を示す図である。 比較例に係る固体電解コンデンサの製造フローにおける第1導電性高分子層を形成する工程での導電性高分子の様子を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、実施の形態に係る固体電解コンデンサの概略断面図である。図2は、図1に示すII部を拡大して示す断面図である。図1および図2を参照して、実施の形態に係る固体電解コンデンサについて説明する。
図1に示すように、実施の形態に係る固体電解コンデンサ1は、複数のコンデンサ素子10と、陽極端子を構成する第1リードフレーム20と、負極端子を構成する第2リードフレーム30と、絶縁性樹脂体40と、導電性接着材50とを備える。
複数のコンデンサ素子10は、たとえば4つのコンデンサ素子10を含む。4つのコンデンサ素子は、中央部に位置する2つのコンデンサ素子10の間に第1リードフレーム20の一端20a側および第2リードフレーム30の一端30a側が挟み込まれるように、積層されている。
コンデンサ素子10は、陽極体としての金属層11と、陰極部15とを含む。金属層11は、たとえば、アルミニウム、タンタルおよびニオブなどの弁作用金属によって構成されている。
複数のコンデンサ素子10の金属層11の一端11a側は、第1リードフレーム20の一端20a側に溶接等によって電気的に接続されている。
金属層11の一端11a側には、第1マスキング部16および第2マスキング部17が設けられている。第1マスキング部16は、第2マスキング部17よりも金属層11の一端11a側に位置する。
第1マスキング部16および第2マスキング部17は、たとえば、絶縁樹脂、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物などのマスキング剤を塗布して形成する。絶縁性の材料には制限されないが、具体例としては、例えば、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体など)、低分子量ポリイミドおよびそれらの誘導体、さらにその前駆体、可溶性ポリイミドシロキサンとエポキシ樹脂からなる組成物などが列挙される。
第1マスキング部16は、後述する金属層11に誘電体層12(図2)を形成する際に、第1マスキング部16よりも金属層11の一端11a側に位置する部分に誘電体層12が形成されることを防止する。
第2マスキング部17は、後述する固体電解質層13を形成する際に、第2マスキング部17よりも金属層11の一端11a側に位置する部分に固体電解質層13が形成されることを防止する。
陰極部15は、金属層11の他端11b側を覆うように設けられている。複数のコンデンサ素子10の各々の陰極部15は、第2リードフレーム30の一端30a側に導電性接着材50によって電気的に接続されている。
陰極部15は、固体電解質層13および集電体層14を含む。固体電解質層13は、誘電体層12を覆うように設けられている。集電体層14は、固体電解質層13を覆うように設けられている。
絶縁性樹脂体40は、複数のコンデンサ素子10、第1リードフレーム20の一端20a側および第2リードフレーム30の一端30a側を覆う。絶縁性樹脂体40は、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で構成される。当該絶縁性樹脂には、フィラーとしてガラスまたはSiの酸化物が分散混合されていてもよい。絶縁性樹脂体40は、モールド成形およびディップ成形などの方法により形成することができる。
絶縁性樹脂体40から引き出された第1リードフレーム20は、絶縁性樹脂体40の側面および下面40aに沿って折り曲げられている。絶縁性樹脂体40から引き出された部分の第1リードフレーム20は、陽極端子として機能する。
絶縁性樹脂体40から引き出された第2リードフレーム30は、絶縁性樹脂体40の側面および下面40aに沿って折り曲げられている。絶縁性樹脂体40から引き出された部分の第2リードフレーム30は、陰極端子として機能する。
図2に示すように、金属層11は、複数の凹部11cを有する。金属層11は、多孔質状の外表面を有する。複数の凹部11cは、多孔質の部分によって構成されている。
誘電体層12は、金属層11の表面の一部を覆うように設けられている。誘電体層12は、他端11b側に位置する金属層11の表面を覆う。誘電体層12は、弁作用金属の酸化被膜によって構成される。上述した第1マスキング部16よりも一端11a側に位置する部分の金属層11の外表面には、誘電体層12は設けられていない。
固体電解質層13は、金属層11の複数の凹部11cを埋めるように設けられている。固体電解質層13は、第1導電性高分子層131および第2導電性高分子層132を含む。
第1導電性高分子層131は、複数の凹部11c内に充填されるように、誘電体層12上に設けられている。第1導電性高分子層131は、たとえば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などの導電性高分子を含むポリマーで構成されている。
第2導電性高分子層132は、第1導電性高分子層131上に設けられている。第2導電性高分子層132は、たとえば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などの導電性高分子を含むポリマーで構成されている。
集電体層14は、固体電解質層13の外表面に設けられている。集電体層14は、第1集電体層141と第2集電体層142とを含む。
第1集電体層141は、第2導電性高分子層132の外表面に設けられている。第1集電体層141は、カーボン(C)を含む導電性膜によって構成されている。第1集電体層141は、カーボンペーストを塗布して乾燥させることにより形成される。
第2集電体層142は、第1集電体層141の外表面に設けられている。第2集電体層142は、銀(Ag)を含む導電成膜によって構成されている。第2集電体層142は、銀ペーストを塗布して乾燥させることにより形成される。
なお、本実施の形態においては、集電体層14が2層構造である場合を例示して、説明したが、これに限定されず、単層構造であってもよいし、3層以上の多層構造であってもよい。
(固体電解コンデンサの製造方法)
図3は、実施の形態に係る固体電解コンデンサの製造フローを示す図である。図3を参照して、実施の形態に係る固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
図3に示すように、固体電解コンデンサ1を製造するに際して、まず、工程(S1)にて、複数の金属層11を準備する。具体的には、短冊状の複数の金属層11を支持体110(図4参照)に所定のピッチで取り付けたワークを準備する。なお、複数の金属層11として、予めエッチング等によって粗面化処理を施されたものを用いる。
次に、工程(S2)にて、金属層11の一部をマスキングする。このマスキングは、次工程で行われる誘電体層12の形成領域を規定するために行なわれる。具体的には、金属層11の一端側の表面に、絶縁樹脂、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物などのマスキング剤を塗布する。この工程により形成されたマスキング部が、第1マスキング部16となる。
次に、工程(S3)にて、金属層11の外表面の一部に誘電体層12を形成する。具体的には、金属層11の外表面の一部を酸化させる。金属層11としてアルミニウムを用いる場合には、たとえば、第1マスキング部16によって規定される誘電体層12の形成領域をアジピン酸アンモニウム水溶液に浸漬して酸化処理する。これにより、金属層11の表面が酸化され、誘電体層12となる酸化物が形成される。
次に、工程(S4)にて、金属層11の一部をマスキングする。このマスキングは、次工程で行われる固体電解質層13の形成領域を規定するために行なわれる。具体的には、第1マスキング部16よりも他端側に位置する金属層11の表面に、絶縁樹脂、無機質微粉とセルロース系樹脂からなる組成物などのマスキング剤を塗布する。この工程により形成されたマスキング部が、第2マスキング部17となる。
次に、工程(S5)にて、誘電体層12上に第1導電性高分子層131を形成する。誘電体層12上に第1導電性高分子層131を形成する工程(S5)は、外表面が第1極性を帯びた第1導電性高分子が分散された第1分散液120(図4参照)に誘電体層12が形成された金属層11を浸漬させ、誘電体層12が形成された金属層11の表面を第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程と、誘電体層12上に付着した第1分散液を加熱し、溶媒を除去する工程とを含む。
図4は、実施の形態に係る固体電解コンデンサの製造フローにおける第1導電性高分子層を形成する工程を示す図である。図4を参照して、誘電体層12上に第1導電性高分子層131を形成する工程の詳細について説明する。
図4に示すように、誘電体層12上に第1導電性高分子層131を形成するに際して、第1導電性高分子が分散された第1分散液120が貯留された貯留槽130を準備する。貯留槽130は、SUS等の導電性を有する金属によって構成されており、電極体として機能する。
第1導電性高分子としては、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられるが、導電性重合体はこれに限られるものではない。
導電性重合体にはドーパントが使用され、ドーパントとしてはドーピング能がある化合物なら如何なるものでもよく、例えば、有機スルホン酸、無機スルホン酸、有機カルボン酸及びこれらの塩を使用できる。アリールスルホン酸塩系ドーパントが好適に用いられ、たとえば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸またはそれらの置換誘導体などの塩を用いることができる。
第1分散液120としては、たとえば、高分子電解質であるポリスチレンスルホン酸(PPS)をポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)に添加した混合溶液を用いることができる。第1分散液120は、導電性高分子と溶媒を含む溶液である。
続いて、支持体110に支持された複数の金属層11の一部を浸漬させる。具体的には、誘電体層12が形成された複数の金属層11のうち、第2マスキング部17によって規定される固体電解質層13の形成領域を第1分散液120に浸漬させる。
この状態において、誘電体層12が形成された複数の金属層11と、電極体としての貯留槽130との間に、第1分散液120が介在することなる。ここで、支持体110は、電源140の正極側に接続されている。一方で、貯留槽130は、電源140の負極側に接続されている。
電源140を駆動させ、誘電体層12が形成された金属層11を分散液に浸漬させながら金属層11と電極体としての貯留槽130の間に電圧を印加する。たとえば、1Vの電圧を1分間印加する。なお、電圧は2Vとしてもよく、1V〜2V程度の値としてもよい。
図5は、実施の形態に係る固体電解コンデンサの製造フローにおける第1導電性高分子層を形成する工程での導電性高分子の様子を示す図である。
図5に示すように、第1導電性高分子121は、外側が負極となり、内側が正極となるように分極している。すなわち第1導電性高分子121の表面は、第1極性としての負極を帯びている。
上述のように、金属層11側を正極として、電圧を印加する場合には、誘電体層12が形成された金属層11の外表面が、第1極性と反対の第2極性としての正極に帯電する。このため、第1導電性高分子121は、金属層11の表面側に引き寄せられて、金属層11の凹部11cの深部まで第1導電性高分子121が入り込む。これにより、金属層11が有する複数の凹部11c内に、第1導電性高分子121を密に充填することができる。
続いて、電圧の印加を停止し、第1分散液120から複数の金属層11を引き上げる。次に、誘電体層12上に付着した第1分散液を加熱し、溶媒を除去する工程において、所定の温度で、所定の時間加熱する。たとえば、130℃の温度で数分から10分程度加熱する。
第1導電性高分子層131を形成する際には、第1極性を帯びた第1導電性高分子121が分散された第1分散液120に誘電体層12が形成された金属層11を浸漬させ、誘電体層12が形成された金属層11の表面を第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程と、誘電体層12上に付着した第1分散液を加熱し、溶媒を除去する工程とを複数回繰り返して行なうことが好ましい。上記帯電させる工程と上記加熱し、除去する工程とを1サイクルとした場合に、5〜15サイクル程度行なうことが好ましい。これにより、複数の凹部11cに第1導電性高分子121が密に充填された状態を維持しつつ、第1導電性高分子層の膜厚を十分に確保することができる。
次に、再び図3に示すように、工程(S6)にて、第1導電性高分子層131上に第2導電性高分子層132を形成する。具体的には、工程S3にて形成された第2マスキング部17によって規定される固体電解質層13の形成領域に位置する第1導電性高分子層131の外表面に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などの第2導電性高分子を分散させた第2分散液を付着させ、所定の温度で加熱し、溶媒を除去する。付着、および加熱のサイクルは、たとえば1〜3回程度行なわれるが、行われなくてもよい。
なお、第2分散液の付着は、第2分散液が貯留された槽に、第1導電性高分子層131が形成された金属層11を浸漬させることにより行なう。この場合においては、第1導電性高分子層131が形成された金属層11を帯電させることなく、金属層11の固体電解質層13の形成領域を第2導電性高分子が分散された第2分散液に浸漬させる。
第2導電性高分子としては、第1導電性高分子と同様に、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含む導電性重合体が挙げられるが、導電性重合体はこれに限られるものではない。
導電性重合体にはドーパントが使用され、ドーパントとしてはドーピング能がある化合物なら如何なるものでもよく、例えば、有機スルホン酸、無機スルホン酸、有機カルボン酸及びこれらの塩を使用できる。アリールスルホン酸塩系ドーパントが好適に用いられ、たとえば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸またはそれらの置換誘導体などの塩を用いることができる。
第2導電性高分子として、第1導電性高分子と同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。第2導電性高分子として、第1導電性高分子と同じものを用いる場合には、製造工程において、準備する材料を共通化することができるため、製造コストを低減することができる。なお、第2導電性高分子の粒径は、第1導電性高分子の粒径よりも大きくてもよい。第1導電性高分子の粒径を第2導電性高分子の粒径よりも小さくすることにより、第1導電性高分子が金属層11の複数の凹部11c内に侵入しやすくなる。
同様に、第2分散液は、第1分散液と同じものを用いてもよいし、異なるものを用いてもよい。なお、第2分散液が貯留される貯留槽と、第1分散液が貯留される貯留槽とは異なることが好ましい。
次に、工程(S7)にて、固体電解質層13の外表面に集電体層14を形成する。具体的には、第2導電性高分子層132の外表面に、カーボンペーストを塗布してこれを乾燥させることにより、第1集電体層141を形成する。続いて、第1集電体層141の外表面に銀ペーストを塗布してこれを乾燥させることにより、第2集電体層142を形成する。
第2集電体層142が形成された複数の金属層11の各々を、切断して、支持体から分離することにより、複数のコンデンサ素子10が形成される。
次に、工程(S8)にて、第1リードフレーム20および第2リードフレーム30上に複数のコンデンサ素子10を積層する。この際、複数のコンデンサ素子10のうち中央部に位置する2つのコンデンサ素子10の間に、第1リードフレーム20および第2リードフレーム30が位置するように、複数のコンデンサ素子10を積層する。
また、複数のコンデンサ素子10を積層するにあたり、陰極部15側では、互いに隣り合うコンデンサ素子10の間に導電性接着剤70を介在させる。同様に、第2リードフレームと、これに隣り合うコンデンサ素子10との間にも導電性接着剤70を介在させる。これにより、複数のコンデンサ素子10の陰極部15と、第2リードフレーム30とが電気的に接続される。
複数のコンデンサ素子10を積層した後に、溶接等を用いて、複数のコンデンサ素子10の金属層11の一端11a側と第1リードフレーム20の一端側等を電気的に接続する。
次に、工程(S9)にて、積層された複数のコンデンサ素子10と、第1リードフレーム20および第2リードフレーム30の一部とを、絶縁性樹脂でモールドする。これにより、絶縁性樹脂体40が形成される。絶縁性樹脂体40からはみ出す部分の第1リードフレーム20および第2リードフレーム30を絶縁性樹脂体40の側面および下面40aに沿って折り曲げることにより、固体電解コンデンサ1が製造される。
(比較例)
図6は、比較例に係る固体電解コンデンサの製造フローにおける第1導電性高分子層を形成する工程での導電性高分子の様子を示す図である。
比較例に係る固体電解コンデンサの製造方法は、基本的に実施の形態に係る固体コンデンサの製造方法に準じたものであるが、誘電体層12上に第1導電性高分子層131を形成する工程において、電圧を印加しない点において相違する。
図6に示すように、第1導電性高分子層131を形成する工程において、金属層11と電極体としての貯留槽130との間に電圧を印加しない場合においては、金属層11の外表面(より特定的には、誘電体層12の外表面)が正に帯電することがない。このため、第1分散液120中の第1導電性高分子121が、金属層11の複数の凹部11cの深部にまで入り込まないことが起こり得る。このような場合には、第1導電性高分子層131と誘電体層12との接触面積を十分に確保することができず、固体電解コンデンサの容量が低くなってしまう。
(比較例と比較した実施の形態の効果)
実施の形態に係る固体電解コンデンサ1の製造方法にあっては、誘電体層12上に第1導電性高分子層131を形成する工程において、第1極性を帯びた第1導電性高分子121が分散された第1分散液120に誘電体層12が形成された金属層11を浸漬させ、誘電体層12が形成された金属層11の表面を第1極性と反対の第2極性に帯電させる。
これにより、表面が第1極性を帯びた第1導電性高分子121が、第1極性と異なる第2極性に帯電した金属層11の表面に引き寄せられて、金属層11の凹部11cの深部まで第1導電性高分子121が入り込む。この結果、第1導電性高分子層131と誘電体層12との接触面積を大きくすることができ、固体電解コンデンサ1の容量を増加させることができ、ひいては、固体電解コンデンサ1のESR(等価直列抵抗)を低減させることができる。
なお、上述した実施の形態においては、第1分散液120が貯留された貯留槽130がSUS等の導電性の金属で構成されることにより、貯留槽130が電極体として機能する場合を例示して説明したが、これに限定されず、電極体が、貯留槽130内にて複数の金属層11に対向するように配置されたプレート状の金属片等によって構成されていてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 固体電解コンデンサ、10 コンデンサ素子、11 金属層、12 誘電体層、13 固体電解質層、14 集電体層、15 陰極部、16 第1マスキング部、17 第2マスキング部、20 第1リードフレーム、30 第2リードフレーム、40 絶縁性樹脂体、50 導電性接着材、70 導電性接着剤、110 支持体、120 第1分散液、121 第1導電性高分子、130 貯留槽、131 第1導電性高分子層、132 第2導電性高分子層、140 電源、141 第1集電体層、142 第2集電体層。

Claims (4)

  1. 複数の凹部を有する陽極体の表面に誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層上に第1導電性高分子層を形成する工程と、を備え、
    前記誘電体層上に前記第1導電性高分子層を形成する工程は、
    外表面が第1極性を帯びた第1導電性高分子が分散された第1分散液に、前記誘電体層が形成された前記陽極体を浸漬させ、前記誘電体層が形成された前記陽極体の表面を前記第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程を含む、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記誘電体層上に前記第1導電性高分子層を形成する工程は、前記誘電体層が形成された前記陽極体の表面を前記第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程にて前記誘電体層上に付着した前記第1分散液を加熱し、溶媒を除去する工程をさらに含み、
    前記第1導電性高分子層を形成する工程にて、前記誘電体層が形成された前記陽極体の表面を前記第1極性と反対の第2極性に帯電させる工程と、前記第1分散液を加熱し、溶媒を除去する工程を繰り返し実施する、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記第1導電性高分子層上に第2導電性高分子層を形成する工程をさらに備え、
    前記第2導電性高分子層を形成する工程は、前記第1導電性高分子層が形成された前記陽極体の表面を帯電させることなく、第2導電性高分子が分散された第2分散液に前記第1導電性高分子層が形成された前記陽極体を浸漬させる工程を含む、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記第2導電性高分子として、前記第1導電性高分子と同じものを用いる、請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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