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JP2018009273A - プロテクター - Google Patents

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JP2018009273A
JP2018009273A JP2016191877A JP2016191877A JP2018009273A JP 2018009273 A JP2018009273 A JP 2018009273A JP 2016191877 A JP2016191877 A JP 2016191877A JP 2016191877 A JP2016191877 A JP 2016191877A JP 2018009273 A JP2018009273 A JP 2018009273A
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foam
resin
particles
protector
elastomer
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Application number
JP2016191877A
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English (en)
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洵史 山下
Junshi Yamashita
洵史 山下
高野 雅之
Masayuki Takano
雅之 高野
宗一郎 山崎
Soichiro Yamazaki
宗一郎 山崎
近藤 広隆
Hirotaka Kondo
広隆 近藤
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

【課題】軽量で衝撃吸収性に優れるプロテクターを提供することを課題とする。【解決手段】熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体を含むことを特徴とするプロテクターにより課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、プロテクターに関する。更に詳しくは、本発明は、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体を含み、軽量で衝撃吸収性に優れるプロテクターに関する。本発明のプロテクターは、装着者の保護及び/又は装着者に衝突した相手方の衝撃の吸収緩和が可能である。
スポーツ、バイク、工事現場、工場、介護、医療等の人が作業する場面において、人体を衝撃から保護する様々なプロテクター(保護具)が使用されている。このプロテクターでは、衝撃から人体を保護する役割を発泡体に担わせている。例えば、特開2012−125404号公報(特許文献1)には、ポリオレフィン系樹脂、ゴムスポンジ、ポリウレタン系樹脂等からなる発泡体を備えた野球又はソフトボール用のプロテクターが記載されている。
特開2012−125404号公報
しかしながら、特許文献1のプロテクターを構成する発泡体は、押出発泡によるシートから形成されたり、射出成型により形成されたりするため、形状の自由度が低かった。低い自由度は、人体の外形への追随性を不十分とし、その結果、衝撃吸収性が十分でないという課題を生じる。また、発泡体を構成する樹脂は、柔軟性が低すぎたり、繰り返し圧縮性が低すぎたりするため、長寿命のプロテクターを提供することが困難であった。そのため、高い追随性により改善された衝撃吸収性を備え、かつ柔軟性の高いプロテクターを提供することが望まれていた。
かくして本発明によれば、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体を含むことを特徴とするプロテクターが提供される。
本発明によれば、軽量で形状の選択性が高く、速い加速度での衝撃においても衝撃吸収性に優れたプロテクターを提供できる。また、速い加速度での衝撃においても衝撃吸収性に優れる事から、例えば、速い加速度での衝撃の一例である、転倒の場合、打撲や骨折等の危険性を低減することができる。本発明のプロテクターは、例えば、スポーツ、介護、医療等の分野において、打撲や骨折等の低減を目的としたプロテクターとして好適である。
以下のいずれかの場合、軽量で形状の選択性が高く、衝撃吸収性により優れたプロテクターを提供できる。
(1)発泡体が、20〜60のアスカーC硬度を有し、且つ錘を発泡体に落下させた際に錘が有する衝撃最大加速度が450m/s以下である。
(2)発泡体が、0.03〜0.3g/cmの密度を有する。
(3)熱可塑性エラストマーが、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー及びエステル系エラストマーから選択される。
(4)プロテクターが、発泡体を被覆する被覆層を更に含む。
(5)被覆層が、繊維強化樹脂製又は布製の被覆層である。
プロテクターは、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体を含む。
(1)発泡体の物性
(i)衝撃最大加速度
衝撃最大加速度は、450m/s以下であることが好ましい。450m/sより大きい場合、衝撃を受けたときに衝撃吸収性が乏しく、装着者に痛みを生じさせることがある。衝撃最大加速度は、400m/s以下であることがより好ましく、350m/s以下であることが更に好ましい。衝撃最大加速度の下限は、50m/sである。なお、衝撃最大加速度は、錘を発泡体に落下させた際に錘が示す値である。
(ii)アスカーC硬度
アスカーC硬度は、20〜60であることが好ましい。60より大きい場合、柔軟性に乏しく、衝撃時にプロテクター装着者に痛みが伝わることがある。20よりも小さい場合、柔軟すぎるため、衝撃を受けた際につぶれやすく、厚みを持たす必要がある。アスカーC硬度は25〜55がより好ましく、30〜50が更に好ましい。
(iii)密度
密度は、0.03〜0.3g/cmであることが好ましい。この範囲の密度であることで、軽量なプロテクターを提供できる。密度は、0.04〜0.25g/cmであることがより好ましく、0.05〜0.2g/cmであることが更に好ましい。
(2)発泡体の構成
発泡体を構成する発泡粒子は、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む。
基材樹脂の材料としては、緩衝材や梱包材としてポリスチレンがある。しかし、ポリスチレンは、原料となる単量体がスチレンであるため、剛性は高いものの、回復性や反発弾性が低いことが知られている。そのため、繰り返し圧縮される用途や柔軟性が求められるプロテクターとして使用し難かった。これに対して、本発明のプロテクターは、熱可塑性エラストマーに由来する反発弾性を示す。
熱可塑性エラストマーは、例えば、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー及びエステル系エラストマーから選択できる。基材樹脂は、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー及びエステル系エラストマーのいずれかのみからなっていてもよく、これらエラストマーの混合物であってもよい。
(i)アミド系エラストマー
アミド系エラストマーは、架橋していてもよく、非架橋であってもよい。本明細書において、非架橋とは、発泡体のアルコール系溶剤への不溶なゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。また、架橋とはこのゲル分率が3.0質量%より多いものを意味する。
ここで、アミド系エラストマー(発泡体)のゲル分率は下記の要領で測定される。
発泡体の質量W1を測定する。次に、130℃のアルコール系溶剤(例えば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール)100ミリリットル中に発泡体を24時間に亘って浸漬する。
次に、アルコール系溶剤中の残渣を80メッシュの金網を用いて濾過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて発泡体のゲル分率を算出できる。
ゲル分率(質量%)=W2/W1×100
基材樹脂としては、非架橋のアミド系エラストマーが含まれていることが好ましい。
アミド系エラストマーはビカット軟化温度が55〜170℃であることが好ましい。ビカット軟化温度が55℃を下回ると発泡後に常温に晒された時点で収縮することがある。170℃を超えると所望の密度への発泡が困難となることがある。ビカット軟化温度は60〜165℃であることがより好ましい。
非架橋のアミド系エラストマーには、ポリアミドブロック(ハードセグメント)とポリエーテルブロック(ソフトセグメント)とを有するコポリマーを使用できる。
ポリアミドブロックとしては、例えば、ポリεカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウラミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリナノメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)等のポリアミド構造が挙げられる。ポリアミドブロックは、これらポリアミド構造を構成する単位の組み合わせでもよい。
ポリエーテルブロックとしては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)等のポリエーテル構造が挙げられる。ポリエーテルブロックは、これらポリエーテル構造を構成する単位の組み合わせでもよい。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックはランダムに分散していてもよい。
ポリアミドブロックの数平均分子量Mnは300〜15000であることが好ましく、600〜5000であることがより好ましい。ポリエーテルブロックの数平均分子量Mnは100〜6000であることが好ましく、200〜3000であることがより好ましい。
非架橋のアミド系エラストマーには、米国特許第4,331,786号明細書、米国特許第4,115,475号明細書、米国特許第4,195,015号明細書、米国特許第4,839,441号明細書、米国特許第4,864,014号明細書、米国特許第4,230,838号明細書及び米国特許第4,332,920号明細書に記載されたアミド系エラストマーも使用できる。
非架橋のアミド系エラストマーは、反応性末端を有するポリアミドブロックと反応性末端を有するポリエーテルブロックとの共重縮合で得られるものが好ましい。この共重縮合としては特に下記のものを挙げることができる:
(a)ジアミン鎖端を有するポリアミドブロックとジカルボン酸鎖端を有するポリオキシアルキレンブロックとの共重縮合、
(b)ポリエーテルジオールとよばれる脂肪族ジヒドロキシ化α,ω−ポリオキシアルキレン単位のシアノエチル化及び水素化で得られるジカルボン酸鎖端を有するポリアミド単位とジアミン鎖端を有するポリオキシアルキレン単位との共重縮合、
(c)ジカルボン酸鎖端を有するポリアミド単位とポリエーテルジオールとの共重縮合(この場合に得られるものを特にポリエーテルエステルアミドとよんでいる)。
ジカルボン酸鎖端を有するポリアミドブロックを与える化合物としては、例えば、α,ω−アミノカルボン酸、ラクタム又はジカルボン酸の連鎖調節剤の存在下でのジカルボン酸とジアミンの縮合で得られる化合物が挙げられる。
(a)の共重縮合の場合、非架橋のアミド系エラストマーは、例えば、ポリエーテルジオールと、ラクタム(又はα,ω−アミノ酸)と、連鎖制限剤のジアシッドとを少量の水の存在下で反応させて得ることができる。非架橋のアミド系エラストマーは、種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有していてもよく、更に各成分がランダムに反応することでポリマー鎖中に分散していてもよい。
上記共重縮合時において、ポリエーテルジオールのブロックはそのまま用いてもよく、その水酸基とカルボキシ末端基を有するポリアミドブロックとを共重合して用いてもよく、その水酸基をアミノ化してポリエーテルジアミンに変換した後にカルボキシ末端基を有するポリアミドブロックと縮合して用いてもよい。また、ポリエーテルジオールのブロックをポリアミド前駆体及び連鎖制限剤と混合して共重縮合させることで、ランダムに分散させたポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマーを得ることも可能である。
(ii)オレフィン系エラストマー
オレフィン系エラストマーは、架橋していてもよく、非架橋であってもよい。非架橋とは、発泡体のキシレンへの不溶なゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。また、架橋とはこのゲル分率が3.0質量%より多いものを意味する。
ここで、オレフィン系エラストマー(発泡体)のゲル分率は下記の要領で測定される。
発泡体の質量W1を測定する。次に沸騰キシレン80ミリリットル中に発泡体を3時間還流加熱する。次にキシレン中の残渣を80メッシュの金網を用いてろ過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて発泡体のゲル分率を算出できる。
ゲル分率(質量%)=100×W2/W1
基材樹脂としては、非架橋のオレフィン系エラストマーが含まれていることが好ましい。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、鉱物性油非含有下で、発泡体に所定の密度と圧縮永久ひずみを与え得るものが好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するものが挙げられる。このような構造は、常温でゴム弾性を示し、高温では可塑化され成形可能となるという性質を与える。
例えば、ハードセグメントがポリプロピレン系樹脂であり、ソフトセグメントがポリエチレン系樹脂である非架橋のオレフィン系エラストマーが挙げられる。
前者のポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリプロピレンとしては、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック等から選択される立体規則性を有していてもよい。
後者のポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリエチレン以外の成分としてはポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンが挙げられる。
非架橋のオレフィン系エラストマーには、軟化剤が含まれていてもよい。軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩、ナフテン酸又はその金属石鹸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油等が挙げられる。中でも石油系軟化剤と炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機等の混練機を用いてハードセグメントとなるポリプロピレン系樹脂と、ソフトセグメントとなるポリエチレン系樹脂とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマーが挙げられる。
なお、非架橋のオレフィン系エラストマーは、製造された発泡体のリサイクル性を向上できるという効果も奏する。また、通常のポリオレフィン系樹脂を発泡成形する場合と同様の発泡機での製造が容易である。従って、発泡体をリサイクルし再び発泡機へ供給して発泡成形をする場合でも、ゴム成分の発生による発泡不良を抑制できる。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、フーリエ変換赤外分光(FT−IR)測定において得られた2920±20cm-1の範囲の最大ピーク(A2920cm-1)と1376±20cm-1の範囲の最大ピーク(A1376cm-1)の吸光度比(A2920cm-1/A1376cm-1)が1.20〜10の範囲にあるエラストマーが好適に使用できる。吸光度比が1.20未満の場合、発泡体の硬度が高くなり、柔軟性の低下を招くことがある。10より大きい場合、発泡時の形状保持が困難となり、収縮を招くことがある。より好ましい吸光度比は1.20〜5である。
また、非架橋のオレフィン系エラストマーは、FT−IR測定において得られた2920±20cm-1の範囲の最大ピーク(A2920cm-1)と720±20cm-1の範囲の最大ピーク(A720cm-1)の吸光度比(A2920cm-1/A720cm-1)が0.02〜0.5の範囲にあるエラストマーが好適に使用できる。吸光度比が0.02未満の場合、発泡体の硬度が高くなり、柔軟性の低下を招くことがある。0.5より大きい場合、発泡時の形状保持が困難となり、収縮を招くことがある。より好ましい吸光度比は0.05〜0.4である。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる2920cm-1での吸光度A2920cm-1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖に含まれるメチレン基のC−H伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度を、1376cm-1での吸光度A1376cm-1は、オレフィン系エラストマー中に含まれる−C−CH部位のC−H対称変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度をそれぞれ意味している。従って、この吸光度比を測定すれば、非架橋のオレフィン系エラストマー中のハードセグメントとソフトセグメントとの構成成分とその割合をおおよそ推測できる。また720cm-1での吸光度A720cm-1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖の骨格振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。前記の2920±20cm-1の範囲の最大ピークとの吸光度比を測定することでも、非架橋のオレフィン系エラストマー中のハードセグメントとソフトセグメントとの構成成分とその割合をおおよそ推測できる。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアA硬度が30〜100であることが好ましく、40〜90であることがより好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(JIS K6253:97)に準拠して測定される。
また非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアD硬度が10〜70であることが好ましく、20〜60であることがより好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(ASTM D2240:95)に準拠して測定される。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、融点が80〜180℃であることが好ましく、90〜170℃であることがより好ましい。融点は、例えば、JIS K7121:2012の記載に準拠して測定される。
(iii)エステル系エラストマー
エステル系エラストマーは、軽量で形状の選択性が高く、衝撃吸収性に優れたプロテクターを与えさえすれば特に限定されない。例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含むエステル系エラストマーが挙げられる。
ハードセグメントは、例えば、ジカルボン酸成分及び/又はジオール成分から構成される。
ジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその誘導体に由来する成分が挙げられる。
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール(例えば、1,4−ブタンジオール)等のC2−10アルキレングリコール、(ポリ)オキシC2−10アルキレングリコール、C5−12シクロアルカンジオール、ビスフェノール類又はこれらのアルキレンオキサイド付加体等が挙げられる。ハードセグメントは、結晶性を有していてもよい。
ソフトセグメントは、ポリエステルタイプ及び/又はポリエーテルタイプのセグメントを使用できる。
ポリエステルタイプのソフトセグメントとしては、ジカルボン酸類(アジピン酸のような脂肪族C4−12ジカルボン酸)とジオール類(1,4−ブタンジオールのようなC2−10アルキレングリコール、エチレングリコールのような(ポリ)オキシC2−10アルキレングリコール)との重縮合体、オキシカルボン酸の重縮合体やラクトン(ε−カプロラクトンのようなC3−12ラクトン)の開環重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。ポリエステルタイプのソフトセグメントは、非晶性であってもよい。ソフトセグメントとしてのポリエステルの具体例としては、カプロラクトン重合体、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート等のC2−6アルキレングリコールとC6−12アルカンジカルボン酸とのポリエステルが挙げられる。このポリエステルの数平均分子量は、200〜15000の範囲であってもよく、200〜10000の範囲であってもよく、300〜8000の範囲であってもよい。
ポリエーテルタイプのソフトセグメントとしては、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール)のような脂肪族ポリエーテルに由来するセグメントが挙げられる。ポリエーテルの数平均分子量は、200〜10000の範囲であってもよく、200〜6000の範囲であってもよく、300〜5000の範囲であってもよい。
ソフトセグメントは、脂肪族のポリエステルとポリエーテルとの共重合体(ポリエーテル−ポリエステル)のようなポリエーテル単位を有するポリエステル、ポリオキシアルキレングリコール(例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール)のようなポリエーテルと脂肪族ジカルボン酸とのポリエステルに由来するセグメントであってもよい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの質量割合は、20:80〜90:10であってもよく、30:70〜85:15であってもよく、40:60〜80:20であってもよく、45:55〜70:30であってもよい。
エステル系エラストマーには、東洋紡社製ペルプレン(PELPLENE)シリーズやバイロン(VYLON)シリーズが好適に使用できる。特に、ペルプレンシリーズを使用することが好ましい。
(iv)他の樹脂
基材樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アミド系樹脂(エラストマーを除く)、オレフィン系樹脂(エラストマーを除く)、エステル系樹脂(エラストマーを除く)、ポリエーテル樹脂等の他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂であってもよい。
(v)製造方法
発泡体は、発泡粒子が型内に複数充填された一対の金型を加熱媒体により加熱成形することで製造できる。例えば、多数の小孔を有する金型により構成された型内に発泡粒子を充填し、加圧水蒸気で発泡粒子を加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させ、一体化させることにより得ることができる。
発泡粒子に不活性ガス又は空気(以下、不活性ガス等と称する)を含浸させて、発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。発泡力を向上させることにより、加熱発泡時に発泡粒子同士の融着性が向上し、発泡体は更に優れた発泡性を有する。なお、不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
発泡粒子に不活性ガス等を含浸させる方法としては、例えば、常圧以上の圧力を有する不活性ガス等の雰囲気下に発泡粒子を置くことによって、発泡粒子中に不活性ガス等を含浸させる方法が挙げられる。発泡粒子は、金型内に充填する前に不活性ガス等が含浸されてもよいが、発泡粒子を金型内に充填した後に金型ごと不活性ガス等の雰囲気下に置くことで含浸されてもよい。なお、不活性ガスが窒素である場合、0.1〜2.0MPaの窒素雰囲気中に発泡粒子を20分〜24時間に亘って放置することが好ましい。
発泡粒子に不活性ガス等を含浸させた場合、発泡粒子をこのまま、金型内にて加熱、発泡させてもよいが、発泡粒子を金型内に充填する前に加熱、発泡させて、高発泡倍率の発泡粒子とした上で金型内に充填して加熱、発泡させてもよい。このような高発泡倍率の発泡粒子を用いることによって、高発泡倍率の発泡体を得ることができる。
金型に充填される発泡粒子は、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程(含浸工程)、発泡性粒子を発泡させる発泡工程を経て得ることができる。
(A)含浸工程
(a)樹脂粒子
樹脂粒子は、公知の製造方法及び製造設備を使用して得ることができる。
例えば、押出機から押し出された樹脂の溶融混練物を、水中カット、ストランドカット等により造粒することによって、樹脂粒子を製造できる。溶融混練時の温度、時間、圧力等は、使用原料及び製造設備に合わせて適宜設定できる。
溶融混練時の押出機内の溶融混練温度は、樹脂が十分に軟化する温度である、170〜280℃が好ましく、180〜270℃がより好ましい。溶融混練温度とは、押出機ヘッド付近の溶融混練物流路の中心部温度を熱伝対式温度計で測定した押出機内部の溶融混練物の温度を意味する。
樹脂粒子の形状は、例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状である。
樹脂粒子は、0.5〜3.5mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持力が低下して発泡性が低下することがある。3.5mmより大きい場合、成形型内への充填性が低下することがある。
樹脂粒子は、その長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.5〜3であることが好ましい。樹脂粒子のL/Dが0.5未満や3を超えている場合、金型内への充填性が低下することがある。なお、樹脂粒子の長さLは、押出方向の長さをいい、平均径Dは長さLの方向に実質的に直交する樹脂粒子の切断面の直径をいう。
樹脂粒子の平均径Dは0.5〜3.5mmが好ましい。平均径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持性が低下して発泡性粒子の発泡性が低下することがある。3.5mmより大きいと、金型内への発泡粒子の充填性が低下すると共に、板状の発泡体を製造する場合に発泡体の厚みを薄くできないことがある。
樹脂粒子には、気泡調整剤が含まれていてもよい。
気泡調整剤としては、重曹クエン酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸塩、無機気泡核剤等が挙げられる。これら気泡調整剤は、複数種組み合わせてもよい。
高級脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸塩としては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
無機気泡核剤としては、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
樹脂粒子は、他に、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等の難燃剤、カーボンブラック、酸化鉄、グラファイト等の着色剤等を含んでいてもよい。
(b)発泡性粒子
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を製造する。なお、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる要領としては、公知の要領を用い得る。例えば、密閉可能なオートクレーブ内に、樹脂粒子、分散剤及び水を供給して撹拌することによって、樹脂粒子を水中に分散させて分散液を製造し、この分散液中に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法が挙げられる。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難水溶性無機物や、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような界面活性剤が挙げられる。
発泡剤としては、汎用のものが用いられ、例えば、空気、窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)等の無機ガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;ハロゲン化炭化水素が挙げられ、脂肪族炭化水素、無機ガスが好ましい。なお、発泡剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
樹脂粒子に含浸させる発泡剤の量は、樹脂粒子100質量部に対して、1〜12質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が1質量部未満であると、発泡力が低くなり、高い発泡倍率では、良好に発泡させ難いことがある。12質量部を超えると、気泡膜の破れが生じやすくなり、可塑化効果が大きくなりすぎて、発泡時の粘度が低下しやすくなり、かつ収縮が起こりやすくなる。より好ましい発泡剤の量は1.5〜8質量部である。この範囲内であれば、発泡力を十分に高めることができ、高い発泡倍率であっても、より一層良好に発泡させることができる。発泡剤の含有量が8質量部以下であると、気泡膜の破れが抑えられ、可塑化効果が大きくなりすぎないために、発泡時の粘度の過度の低下が抑えられ、かつ収縮が抑えられる。
樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)は、以下のようにして測定される。
樹脂粒子を圧力容器に入れる前の質量Xgを測定する。圧力容器内で、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、圧力容器から含浸物を取り出した後の質量Ygを測定する。下記式により、樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)が求められる。
発泡剤の含有量(質量部)=((Y−X)/X)×100
樹脂粒子への発泡剤の含浸温度は、低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。含浸温度は、60〜120℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。発泡助剤(可塑剤)を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤(可塑剤)としては、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
発泡性粒子の形状は、特に限定されず、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状等が挙げられる。
発泡性粒子は、0.5〜3.5mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持性が低下して発泡性が低下することがある。3.5mmより大きいと、金型内への発泡粒子の充填性が低下すると共に、板状の発泡体を製造する場合に発泡体の厚みを薄くできないことがある。
(B)発泡工程
発泡工程では、発泡性粒子を発泡させて、発泡粒子を得ることができれば発泡温度、加熱媒体は特に限定されない。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、ポリアミドパウダーや界面活性剤等の合着防止剤、帯電防止剤を塗布してもよい。帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、及びステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
発泡粒子は、0.01〜0.3g/cmの範囲の嵩密度を有する。嵩密度が0.01g/cmより小さい場合、得られる発泡体に収縮が発生して外観が良好とならずかつ発泡体の機械的強度が低下することがある。0.3g/cmより大きい場合、発泡体の軽量性が低下することがある。
発泡粒子は、20〜320μmの平均気泡径を有することが好ましい。平均気泡径が20μm未満の場合、発泡体が収縮することがある。320μmより大きい場合、成形体の外観の悪化や融着の不良を招くことがある。平均気泡径は20〜200μmであることがより好ましく、40〜150μmであることが更に好ましい。
発泡粒子は、1.5〜10mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が1.5mm未満の場合、成形時の2次発泡性が低下することがある。10mmより大きい場合、加熱発泡により発泡体を作製する際に金型への充填性が低下することがある。平均粒子径は、3〜7mmであることがより好ましい。
(3)被覆層
プロテクターは、発泡体を被覆する被覆層を更に含んでいてもよい。被覆層を含むことで、発泡体の表面を保護できると共により衝撃吸収性の高いプロテクターを提供できる。被覆層は、発泡体の表面を保護できると共によりプロテクターの衝撃吸収性を向上させることができる限り、それを構成する材料、形状等を限定されない。被覆層は、樹脂製又は布製であってもよい。樹脂製の被覆層は、繊維で強化されていてもよい。なお、以下では、繊維で強化されていない被覆層を、ソリッド樹脂製の被覆層と称する。
(i)ソリッド樹脂製の被覆層
ソリッド樹脂には熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂が通常使用される。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エポキシ樹脂、アミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、サルファイド系樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
熱硬化樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂を予備重合した樹脂等が挙げられる。熱硬化樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ソリッド樹脂の厚みは、0.02〜2mmが好ましい。厚みがこの範囲内であるソリッド樹脂は、軽量であるにも関わらず機械的強度に優れている。より好ましい厚さは0.05〜1mmである。
被覆法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。
例えば、ソリッド樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、発泡体に接触させたフィルム状の熱可塑性樹脂を溶融して発泡体と一体化することで、発泡体を被覆できる。
また、熱硬化樹脂の場合は、発泡体に接触させた熱硬化樹脂の前駆体であるフィルム状の熱硬化性樹脂を加熱により硬化させて熱硬化樹脂として発泡体と一体化することで、発泡体を被覆できる。
(ii)繊維強化樹脂製の被覆層
繊維強化樹脂は、繊維成分と樹脂成分とから構成される。
(ii−1)繊維成分
繊維成分としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維等の無機繊維;ステンレス繊維やスチール繊維等の金属繊維;ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維等の有機繊維;ボロン繊維等の繊維に由来する成分が挙げられる。
繊維成分は、繊維強化樹脂中に、粒状で分散していてもよく、シート状の形態で存在していてもよい。この内、繊維強化樹脂の強度を向上させる観点から、シート状であることが好ましい。シート状の形態としては、織物(例えば、平織、綾織、朱子織等による織物)、編物、不織布、及び強化繊維を一方向に引き揃えた繊維束(ストランド)の糸での結束(縫合)体が挙げられる。
シート状の繊維成分は、1枚の繊維層のみからなっていてもよく、複数枚の繊維層の積層体であってもよい。複数枚の繊維層の積層体としては、
(1)一種の繊維のみからなるシート状の繊維層を複数枚用意し、これらを積層することで得られた積層体
(2)複数種の繊維の混合物からなるシート状の繊維層を複数枚用意し、これらを積層することで得られた積層体
(3)結束体からなるシート状の繊維層を複数枚用意し、これらを繊維束の繊維方向が互いに相違した方向を指向するように重ね合わせ、重ね合わせた結束体同士を糸で一体化(縫合)することで得られた積層体
等が挙げられる。なお、糸としては、ポリアミド樹脂糸やポリエステル樹脂糸等の合成樹脂糸、及びガラス繊維糸のようなステッチ糸が挙げられる。
(ii−2)樹脂成分
上記繊維に樹脂を含浸させることで繊維強化樹脂が得られる。樹脂を含浸させることによって、強化繊維同士が接着一体化される。樹脂には熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂が通常使用される。
熱可塑性樹脂及び熱硬化樹脂としては、上記ソリッド樹脂の欄で例示した樹脂をいずれも使用できる
繊維強化樹脂中における樹脂成分の含有量は、20〜70質量%であることが好ましい。含有量が20質量%未満の場合、強化繊維どうしの接着性や、繊維強化樹脂と発泡体との接着性が不十分となり、繊維強化樹脂の機械的強度や、プロテクターの機械的強度又は衝撃吸収性を十分に向上できないことがある。また、70質量%より多い場合、繊維強化樹脂の機械的強度が低下して、プロテクターの機械的強度を十分に向上できないことがある。より好ましい含有量は、30〜60質量%である。
繊維成分中に樹脂成分を含浸させる方法としては、特に限定されず、例えば、
(1)繊維成分を樹脂成分中に浸漬し、繊維成分に樹脂成分を含浸させる方法
(2)繊維成分に樹脂成分を塗布し、繊維成分に樹脂成分を含浸させる方法
等が挙げられる。
(ii−3)性質
繊維強化樹脂の厚みは、0.02〜2mmが好ましい。厚みがこの範囲内である繊維強化樹脂は、軽量であるにも関わらず機械的強度に優れている。より好ましい厚さは0.05〜1mmである。
繊維強化樹脂の目付は、50〜4000g/mが好ましい。目付がこの範囲内であることで、繊維強化樹脂が軽量で強度に優れた状態とされ得る。より好ましい目付は100〜1000g/mである。
(ii−4)被覆法
被覆法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。
例えば、繊維強化樹脂中の樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、発泡体に接触させた熱可塑性樹脂を溶融して発泡体と一体化することで、繊維強化樹脂で発泡体を被覆できる。
また、熱硬化樹脂の場合は、発泡体に接触させた熱硬化樹脂の前駆体である熱硬化性樹脂を加熱により硬化させて熱硬化樹脂として発泡体と一体化することで、繊維強化樹脂で発泡体を被覆できる。
(iii)布
布は、発泡体の表面を保護できさえすれば、特に限定されない。
布を構成する繊維成分は、上記繊維強化樹脂と同様の繊維成分を使用できる。
布には、織布、不織布、網布のいずれの構成も使用できる。具体的な構成は、上記繊維強化樹脂のシート状の繊維成分の説明の欄に記載した構成と同様の構成を使用できる。
布製の被覆層には、発泡体との密着性を向上させるために、樹脂成分が含まれていてもよい。樹脂成分は、上記繊維強化樹脂と同様の樹脂成分を使用できる。
布の厚みは、0.1〜2.0mmが好ましい。被覆層が布と樹脂成分とを含む場合、樹脂成分は、布の表面積に対して、0.01〜0.5g/cm含まれていることが好ましい。この場合、被覆層の厚みは、0.15〜2.1mmが好ましい。
被覆層が布のみからなる場合、例えば、発泡体及び/又は布を加熱して柔軟にすることで、密着性を向上させることにより、被覆層を形成できる。
被覆層が布と樹脂成分とを含む場合、上記繊維強化樹脂と同様の方法で被覆層を形成できる。
(4)プロテクターの種類
プロテクターは、衝撃吸収性と軽量性が求められるものであれば、特に限定されない。具体的なプロテクターとしては、スポーツ、バイク、工事現場、工場、介護、医療等の人が作業する場面において、人体を衝撃から保護する様々なプロテクターが挙げられる。プロテクターが保護し得る部位としては、例えば、腕、肘、胸、背中、腰、足、膝、足首等の種々の部位が挙げられる。また、プロテクターは、複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体からなるため、複雑な人体の外形に沿う形状を付与することができ、その結果、衝撃吸収性をより高めることができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<粒子の平均粒子径>
粒子約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き16.00mm、13.20mm、11.20mm、9.50mm、8.00mm、6.70mm、5.60mm、4.75mm、4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.50mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mmのJIS標準篩で5分間分級した。篩網上の試料質量を測定し、その結果から得られた累積質量分布曲線を元にして累積質量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とした。
<発泡粒子の嵩密度>
まず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて試料の見掛け体積(V)cmを一定にし、その質量と体積を測定し、次式に基づいて発泡粒子の嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<発泡体の密度>
発泡体の密度はJIS KI 7222:2005「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方」記載の方法で測定した。すなわち、100cm以上の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
測定用の試験片は、成形後72時間以上経過した試料から100mm×100mm×厚み10mmに切り取り、温度23±2℃、湿度50±5%又は、温度27±2℃、湿度65±5%の雰囲気条件に16時問以上放置したものを使用した。
<衝撃最大加速度>
試験片は長さ50mm×幅50mm×厚み10mmとした。衝撃試験装置MODEL−23(LANSMONT社製)、Lansmont衝撃解析システムを使用し、錘を試料片に落下させた際に錘が有する衝撃最大加速度(m/s)を衝撃試験装置付属の加速度変換器を用いて計測した。錘は自由落下するものとし、試料片と錘間:100mm、錘荷重:5.8kg、室温(約23℃)下の測定とした。得られた衝撃最大加速度の数値が小さいほど、衝撃吸収性が高いとした。
<プロテクターの衝撃時の痛み(官能評価)>
板状の発泡体から100mm×100mm×厚み10mmの試験片(プロテクター)を切り出し、試験片を被験者の腰部側面に大腿骨を覆う形でインナーウエアの上から両面テープで貼り付けた。試験片が発泡体と被覆層とから構成される場合は、発泡体側を被験者の腰部側面に大腿骨を覆う形でインナーウエアの上から両面テープで貼り付けた。
被験者自らが試験片を拳で叩いてプロテクターを取り付けなかった場合と比べた場合の痛みの軽減度合いを次の基準で評価した。結果は、被験者30人の平均とした。
◎:痛み軽減効果が大きかった。
○:痛みが軽減できた。
△:概ね痛みが軽減できた。
×:痛みの軽減が少なかった。
<アスカーC硬度>
アスカーC硬度はJIS K 7312:1996の試験方法に準拠して測定されたものとした。具体的には100mm×100mm×厚み10mmに調整した試料に対し、アスカーゴム硬度計C型を垂直に押し当て、1秒後の数値を計測した。その際、測定位置は試料外端より15mm以上内側で計測し、測定点同士は10mmの間隔を確保し、一つの試料に対し5点計測し平均値をアスカーC硬度とした。
実施例1
(1)樹脂粒子
ナイロン12をハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコールをソフトセグメントとするアミド系エラストマー(商品名「Pebax5533 SA01」、ビカット軟化温度142℃、アルケマ社製)100質量部と有機系気泡調整剤(商品名「花王ワックスEBFF」、花王社製)0.3質量部を単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、アミド系エラストマーを始めは180℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
続いて、溶融状態のアミド系エラストマーを冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルからアミド系エラストマーを押出した。なお、マルチノズル金型は、出口部の直径が0.7mmのノズルを40個有しており、ノズルの出口部は全て、マルチノズル金型の前端面に想定した、直径が139.5mmの仮想円上に等間隔毎に配設されていた。マルチノズル金型は220℃に保持されていた。
回転軸の後端部外周面には、4枚の回転刃が回転軸の周方向に等間隔毎に一体的に設けられており、各回転刃はマルチノズル金型の前端面に常時、接触した状態で仮想円上を移動するように構成されていた。
更に、冷却部材は、正面円形状の前部と、この前部の外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が315mmの円筒状の周壁部とからなる冷却ドラムを備えていた。そして、供給管及びドラムの供給口を通じて冷却ドラム内に冷却水が供給されており、周壁部の内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水が前方に向かって螺旋状に流れていた。
樹脂粒子の製造にあたっては、まず、マルチノズル金型に回転軸を取り付けずかつ冷却部材をマルチノズル金型から退避させておいた。この状態で、押出機から樹脂粒子を押出した。次に、マルチノズル金型に回転軸を取り付けかつ冷却部材を所定位置に配設した後、回転軸を回転させた。マルチノズル金型の前端面に配設した回転刃を3440rpmの回転数で回転させてあり、樹脂粒子をノズルの出口部の開口端において回転刃で切断して略球状のアミド系エラストマーの樹脂粒子を製造した。
樹脂粒子は、回転刃による切断応力によって外方あるいは前方に向かって飛ばされ、冷却部材の冷却ドラムの内面に沿って流れている冷却水に衝突して直ちに冷却された。
冷却された樹脂粒子は、冷却ドラムの排出口を通じて冷却水と共に排出された後、脱水機にて冷却水と分離された。得られた樹脂粒子は、粒子の長さが1.2〜1.7mmで、粒子の径が0.8〜0.9mmであった。
(2)発泡性粒子
樹脂粒子(平均粒子径1.3mm)15kg(100質量部)を加温密閉可能な内容積43リットルの耐圧回転式混合機に投入した。更に、合着防止剤としてエパン740(第一工業製薬社製:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール分子量2000、エチレンオキサイド単位含有率40質量%)0.5質量部を投入し撹拌した。樹脂粒子を撹拌させながら、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン:イソブタン=65:35)12質量部を圧入し、70℃に昇温させ2時間撹拌を続けたその後、20℃まで冷却して混合機から除圧後すぐに取り出すことで、発泡性粒子を得た。
(3)発泡粒子
内容積50Lの撹拌機付き円筒型予備発泡機に発泡性粒子を2kg投入し、水蒸気を用いて、発泡温度135℃で撹拌しながら、発泡させた。
得られた発泡粒子の嵩密度を測定したところ、0.09g/cmであった。
(4)発泡体
得られた発泡粒子を乾燥させ、1日間室温に放置した後、圧力容器中に密閉し、圧力容器内を窒素ガスで置換した後、窒素ガスを、含浸圧(ゲージ圧)1.0MPaまで圧入した。20℃の環境下に静置し、加圧養生を8時間実施した。取り出し後、加圧養生させた発泡粒子を、10mm×300mm×400mmの成形用金型に充填し、0.24MPaの水蒸気にて40秒間加熱を行い、冷却することで、発泡体からなるプロテクターを得た。得られた発泡体の密度は0.10g/cmであった。得られた発泡体について、上記した評価方法により、衝撃最大加速度、アスカーC硬度を測定した。
実施例2
発泡工程において、発泡機内の圧力を0.25MPaに変更したこと以外は、実施例1と同様にして発泡粒子及び発泡体からなるプロテクターを得た。
なお、この発泡体の密度は0.06g/cmであった。
実施例3
(1)樹脂粒子
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO R110E(プライムポリマー社製)100質量部と気泡調整剤としての重曹クエン酸系の化学発泡剤(商品名「ファインセルマスターPO410K」、大日精化社製)0.5質量部とを45kg/hのペースで、口径50mmの単軸押出機と口径65mmの単軸押出機とが連結されたタンデム型押出機に連続的に供給した。
押出機内における最高到達温度が260℃となるようにしてオレフィン系エラストマーを溶融混錬した。この溶融オレフィン系エラストマーを下流側の押出機(口径65mmの押出機)を通過させつつこの押出機先端部における樹脂温度が230℃となるように冷却した。
上記溶融オレフィン系エラストマーを押出機の先端部に装着したダイス(温度320℃、入り口側樹脂圧18MPa)のダイス孔(直径0.8mm、ランド長さ3.0mmのノズルが32個配置)から約70℃の冷却水を収容したチャンバー内に押し出した。押出物を8枚の切断刃を有する回転刃の回転軸を3400rpmの回転数で回転させ、粒状に切断し、冷却水にて冷却させて樹脂粒子を得た。
(2)発泡性粒子
樹脂粒子(平均粒子径1.2mm)を容量5Lの圧力容器内で密閉し、炭酸ガスを含浸圧4.0MPaまで圧入した。その後、温度20℃の環境下で24時間静置し、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸することで発泡性粒子を得た。この方法により、樹脂粒子に含浸された炭酸ガスのガス量は3.8質量%であった。
(3)発泡粒子
上記含浸工程のおける除圧の後、すぐに圧力容器から発泡性粒子を取り出し、炭酸カルシウム0.1質量部を添加し、混合した。その後、発泡性粒子を容積量が50リットルである円筒型バッチ式加圧予備発泡機に投入し、発泡温度105〜110℃で撹拌しながら15秒加熱することにより発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を塩化水素水溶液で洗浄することで炭酸カルシウムを除去した後、乾燥した。
得られた発泡粒子は収縮した。収縮した発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が0.5MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。得られた発泡粒子の嵩密度を測定したところ、0.09g/cmであった。
(4)発泡体
発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が2.0MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。窒素ガスを含浸した発泡粒子を、30mm×300mm×400mmの成形金型内に充填し、0.10MPaの水蒸気で34秒間加熱を行うことで発泡体を得た。次いで発泡体の面圧が0.01MPa以下になるまで冷却することで発泡体からなるプロテクターを取り出した。得られた発泡体の密度は0.10g/cmであった。得られた発泡体について、上記した評価方法により、衝撃最大加速度、アスカーC硬度を測定した。
実施例4
発泡工程において、発泡機内の加熱時間を30秒に変更したこと以外は、実施例3と同様にして発泡粒子及び発泡体からなるプロテクターを得た。
なお、この発泡体の密度は0.06g/cmであった。
比較例1
非エラストマーであるポリエチレンとポリスチレンとの複合樹脂のビーズ発泡体(積水化成品工業社製ピオセラン OP−10DLV)について、上記した評価方法により、衝撃最大加速度及びアスカーC硬度を測定した。
比較例2
非エラストマーであるポリプロピレンのビーズ発泡体(JSP社製 ピーブロック15P)について、上記した評価方法により、衝撃最大加速度及びアスカーC硬度を測定した。
比較例3
発泡ウレタンボード(セキスイウレタン加工社製50SH)について、上記した評価方法により、衝撃最大加速度及びアスカーC硬度を測定した。
実施例5
(1)樹脂粒子
ポリブチレンテレフタレート(PBT)をハードセグメント、脂肪族ポリエーテルをソフトセグメントとするエステル系エラストマー(商品名:「ペルプレンGP475」、融点:155℃、ビカット軟化点:110℃、東洋紡社製)100質量部と有機系気泡調整剤(商品名:「花王ワックスEBFF」、花王社製)0.3質量部を単軸押出機に供給し、180〜280℃で溶融混練した。次に、溶融状態のエステル系エラストマーを冷却して粘度を調整した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型(直径1.3mmのノズルを8穴有する)の各ノズルから樹脂を押し出し、水中カットした。なお、水温は30〜50℃、カッター刃数は8枚、カッター回転数は3000〜4500rpmとした。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.4〜1.8mm、粒子の平均径Dが1.4〜1.8mmであった。
(2)発泡性粒子
内容積5Lの撹拌機付オートクレーブに、樹脂粒子1.5kg(100質量部)、蒸留水3L、界面活性剤(商品名:「ニューレックスR」、油化産業社製)5gを投入し、密閉した後、撹拌状態で発泡剤のブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3)16質量部を圧入した。次に、オートクレーブを100℃で2時間加熱して、25℃まで冷却した。冷却完了後にオートクレーブを除圧し、直ちに蒸留水で界面活性剤を洗浄し、脱水することで発泡性粒子を得た。
(3)発泡粒子
発泡性粒子1.5kg(100質量部)に合着防止剤(商品名:「エパン450」、第一工業製薬社製)0.25質量部を塗布した後、内容積50Lの撹拌機付円筒型予備発泡機に投入し、撹拌させながらゲージ圧0.14MPaの水蒸気で加熱して、発泡粒子を得た。発泡粒子の嵩密度は0.180g/cmであった。
(4)発泡体
発泡粒子をオートクレーブに投入し、ゲージ圧0.5MPaの窒素ガスを圧入した後、30℃で18時間静置して、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。
窒素ガスを含浸させた発泡粒子をオートクレーブから取り出して、直ちに水蒸気孔を有する400mm×300mm×厚み11mmの大きさの成形用キャビティ内に充填し、ゲージ圧0.21MPaの水蒸気で加熱成形を行い、密度0.208g/cmの発泡体を得た。
実施例6
(1)樹脂粒子
実施例5と同様の方法で作製した。
(2)発泡性粒子
実施例5と同様の方法で作製した。
(3)発泡粒子
水蒸気のゲージ圧力を0.15MPaに変更したこと以外は実施例5と同様に作製した。発泡粒子の嵩密度は、0.131g/cmであった。
(4)発泡体
水蒸気のゲージ圧を0.20MPaに変更したこと以外は実施例5と同様の方法で密度0.137g/cmの発泡体を作製した。
実施例7
ポリエステル生地(大塚屋社製)にポリオレフィン樹脂エマルション〈ユニチカ社製アローベースSB−1230N)を、ポリエステル生地の面積に対して、0.1g/cmの比率で塗布した。得られた塗布物を、25℃で48時間乾燥させることで、ポリオレフィン樹脂含浸ポリエステル生地を得た。また、実施例3と同様にして、窒素ガスが含浸した嵩密度0.09g/cmの発泡粒子を作製した。上記ポリオレフィン樹脂含浸ポリエステル生地を30mm×300mm×400mmの板状の成形金型の内壁の形状に沿わすよう固定した。発泡粒子を、成形金型内に充填し、0.10MPaの水蒸気で34秒間加熱を行うことでポリエステル生地を表皮に被覆した発泡体(表皮被覆発泡体)を得た。次いで発泡体の面圧が0.01MPa以下になるまで冷却することで表皮被覆発泡体からなるプロテクターを取り出した。
実施例8
繊維強化樹脂として、炭素繊維からなる綾織の織物に熱硬化性樹脂が含浸されている面材(三菱レイヨン社製パイロフィルプリプレグ TR3523−395GMP、目付:200g/m、厚み:0.23mm、CFRP)を2枚用意した。面材は、一辺250mmの平面正方形状であった。また、面材には、熱硬化性樹脂として未硬化のエポキシ樹脂が50質量%含有されていた。
2枚の面材をそれらの経糸の長さ方向が互いに90°の角度をなすように表裏面それぞれに重ね合わせて多層面材とした。
続いて、上記多層面材と実施例2の発泡体を30mm×250mm×250mmの大きさに加工したものとの積層体を雌雄金型間に配設した。次いで雌雄金型を型締めすることによって、プレス成形により、多層面材を芯材に熱接着させることで、CFRPを表皮に被覆した発泡体(表皮被覆発泡体)を得た。
なお、プレス成形の条件詳細は、次のとおりである。積層体が135℃となるようにプレス温度を90秒間保持することで、多層面材に含まれているエポキシ樹脂を硬化させることなくエポキシ樹脂の流動性を保持させた。その後、積層体を135℃で200秒間加熱し、多層面材に含有されている未硬化のエポキシ樹脂を硬化させることで、多層面材の繊維同士を硬化したエポキシ樹脂で固定すると共に多層面材と発泡体とを一体化させた。
その後、表皮被覆発泡体を30℃以下に冷却した後、雌雄金型を開いて表皮被覆発泡体からなるプロテクターを取り出した。
実施例及び比較例で得られた結果を表1に示した。
Figure 2018009273
熱可塑性エラストマーを基材樹脂とする複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体を含むプロテクターは、衝撃時の痛みを低減可能であることがわかった。

Claims (6)

  1. 熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体を含むことを特徴とするプロテクター。
  2. 前記発泡体が、20〜60のアスカーC硬度を有し、且つ錘を発泡体に落下させた際に錘が有する衝撃最大加速度が450m/s以下である請求項1に記載のプロテクター。
  3. 前記発泡体が、0.03〜0.3g/cmの密度を有する請求項1又は2に記載のプロテクター。
  4. 前記熱可塑性エラストマーが、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー及びエステル系エラストマーから選択される請求項1〜3のいずれか1つに記載のプロテクター。
  5. 前記プロテクターが、前記発泡体を被覆する被覆層を更に含む請求項1〜4のいずれか1つに記載のプロテクター。
  6. 前記被覆層が、繊維強化樹脂製又は布製の被覆層である請求項5に記載のプロテクター。
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