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JP2018002888A - ビニルエステル樹脂組成物 - Google Patents

ビニルエステル樹脂組成物 Download PDF

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JP2018002888A JP2016131972A JP2016131972A JP2018002888A JP 2018002888 A JP2018002888 A JP 2018002888A JP 2016131972 A JP2016131972 A JP 2016131972A JP 2016131972 A JP2016131972 A JP 2016131972A JP 2018002888 A JP2018002888 A JP 2018002888A
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勇人 齋藤
Isato Saito
勇人 齋藤
慎太郎 山内
Shintaro Yamauchi
慎太郎 山内
恒彦 西村
Tsunehiko Nishimura
恒彦 西村
内海 誠
Makoto Uchiumi
誠 内海
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Abstract

【課題】従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物に比べて、高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する硬化物の耐食性が優れているノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物を提供する。【解決手段】ビニルエステル樹脂組成物は、ビニルエステル樹脂(A)および芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)を含み、かつスチレンを含まない。【選択図】なし

Description

本発明は、ビニルエステル樹脂組成物、複合材料、ビニルエステル樹脂組成物の硬化物および複合材料の硬化物に関するものである。
従来、ビニルエステル樹脂組成物は、エポキシ化合物と、重合性不飽和結合およびカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の開環反応の生成物であるビニルエステル樹脂をスチレンなどのラジカル重合性モノマーに溶解させたものである。ビニルエステル樹脂組成物を硬化させた硬化物は、機械特性、電気特性、耐食性、耐熱性、光硬化特性、接着性などの種々の優れた特性を有するため、ビニルエステル樹脂組成物を原料とする繊維強化プラスチック(FRP)は、化学プラントのパイプ、薬液貯蔵タンク、コンクリート補修材等に適用されてきた。
一般的に使用されるビニルエステル樹脂組成物は、ラジカル重合性モノマーであるスチレンを30〜60質量%程度含有している。それゆえ、ハンドレイアップ成形法やスプレーアップ成形法などのオープンモールド成形法では、FRPを成形する時に、ビニルエステル樹脂組成物に含まれるスチレンが揮散して作業環境を悪化させる虞がある。
また、発がん性等の懸念から、近年では特定化学物質障害予防規則(特化則)の改正により、スチレンが新たに特定化学物質に指定されたことで、スチレンを扱う作業場での作業環境の測定や作業者の健康診断、作業環境の記録が義務付けられている。これらの規制の強化に伴い、社会的にノンスチレン材料の開発が求められている。
現状のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物は、主に低臭気化、繊維との密着性、乾燥性向上等を目的として開発されたものである(例えば、特許文献1〜5参照)。これらのノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物の硬化物は、防水用途、あるいは比較的低濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する耐食用途として使用されている。
特開2002−60282号公報 特開2005−298556号公報 特開2006−22163号公報 特開2006−152104号公報 特開2016−29125号公報
しかしながら、高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する硬化物の耐食性が優れているノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物は知られておらず、それらの用途には、スチレン型ビニルエステル樹脂組成物が使用されているのが現状である。
そこで、本発明の一態様は、従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物に比べて、高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する硬化物の耐食性が優れているノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ビニルエステル樹脂(A)および芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)を用いることで、従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物と比べ、高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する硬化物の耐食性が優れているノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物が得られることを見出した。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを指す。
即ち、本発明は、以下の[1]〜[15]で示される。
[1]ビニルエステル樹脂(A)および芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)を含み、かつスチレンを含まないことを特徴とするビニルエステル樹脂組成物。
[2]前記(メタ)アクリレート(B)が、下記式(1)又は式(2)で表される化合物であることを特徴とする[1]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
Figure 2018002888
(式(1)又は式(2)中、R1は水素原子またはメチル基である。R2は炭素数が0〜10の直鎖または分岐した2価の炭化水素基であり、水酸基、アルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していても良い。但し、R2の炭素数が0で、Arが酸素原子と直接結合していても良い。R3は炭素数が1〜10の直鎖または分岐した2価の炭化水素基であり、水酸基、アルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していても良い。Arはフェニル基、ナフチル基から選ばれる少なくとも1つを示し、水素原子の一部または全部がアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アリール基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシル基、水酸基、またはヒドロキシアルキル基から選ばれる少なくとも1つで置換されていても良い。)
[3]前記(メタ)アクリレート(B)が、下記式(3)又は式(4)で表される化合物であることを特徴とする[2]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
Figure 2018002888
[4]前記(メタ)アクリレート(B)が、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートおよびフェノキシエチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする[3]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[5]重合性モノマー(C)(ただし、スチレンおよび前記(メタ)アクリレート(B)を除く)を更に含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[6]前記ビニルエステル樹脂(A)、前記(メタ)アクリレート(B)および前記重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、前記(メタ)アクリレート(B)を15〜75質量部含むことを特徴とする[5]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[7]前記(メタ)アクリレート(B)および前記重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、前記重合性モノマー(C)を40質量部以下含むことを特徴とする[5]または[6]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[8]前記ビニルエステル樹脂(A)、前記(メタ)アクリレート(B)および前記重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、前記ビニルエステル樹脂(A)を15〜85質量部含むことを特徴とする[5]〜[7]のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[9]前記ビニルエステル樹脂(A)が、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と、重合性不飽和結合およびカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸(b)との開環反応の生成物であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[10]前記エポキシ化合物(a)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびノボラックフェノール型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする[9]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[11]ラジカル重合開始剤(D)を更に含むことを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[12]硬化促進剤(E)を更に含むことを特徴とする[11]に記載のビニルエステル樹脂組成物。
[13][1]〜[12]のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物と、繊維補強材、充填剤および骨材から選択される少なくとも1種とを配合してなることを特徴とする複合材料。
[14][1]〜[12]のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物の硬化物。
[15][13]に記載の複合材料の硬化物。
本発明の一態様によれば、従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物に比べて、高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する硬化物の耐食性が優れているノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物を提供することを可能にする。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
[ビニルエステル樹脂組成物]
本実施形態のビニルエステル樹脂組成物は、ビニルエステル樹脂(A)および芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)を必須成分として含み、かつスチレンを含まない。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「スチレンを含まない」とは、ビニルエステル樹脂組成物中のスチレンの含有量が0.1質量%以下であることを意味し、不純物等の他の成分と共に混入するものまでを排除するものではない。
<ビニルエステル樹脂(A)>
本実施形態のビニルエステル樹脂(A)は、一般的に、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)中のエポキシ基と、重合性不飽和結合およびカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸(b)のカルボキシル基との開環反応によって得られる重合性不飽和結合を有する化合物である。このようなビニルエステル樹脂(A)に関しては、例えば、ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、1988年発行)等に記載がある。
ここで、エポキシ化合物(a)の2個以上のエポキシ基に対する不飽和一塩基酸(b)のカルボキシル基の開環反応による生成物の構造パターンは、無限に存在するため、一義的に決められない。そのため、ビニルエステル樹脂(A)の構造の全てを網羅的に記載する、即ち、ビニルエステル樹脂(A)の構造を直接特定することは、およそ実際的でない。
<エポキシ化合物(a)>
エポキシ化合物(a)は、特に制限はないが、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびノボラックフェノール型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種を含む。上記の2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)を用いることにより、硬化物の機械的強度および耐食性がより一層向上する。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるもの、あるいはビスフェノールAのグリシジルエーテルと上記ビスフェノール類の縮合物とエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
ノボラックフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック又はクレゾールノボラックとエピクロルヒドリン及び/又はメチルエピクロルヒドリンとを反応させて得られるものが挙げられる。
<不飽和一塩基酸(b)>
不飽和一塩基酸(b)としては、重合性不飽和結合を有するモノカルボン酸であれば、特に制限はないが、好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸等であり、より好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸であり、さらに好ましくはメタクリル酸である。メタクリル酸を使用することで、エポキシ化合物(a)との反応により得られるビニルエステル樹脂(A)の酸やアルカリによる加水分解が起こりにくくなり、硬化物の耐食性が向上する。
エポキシ化合物(a)と不飽和一塩基酸(b)を開環反応させる際に、不飽和一塩基酸(b)は、エポキシ化合物(a)のエポキシ基1当量に対して、好ましくは0.3〜1.5当量であり、より好ましくは0.4〜1.2当量であり、さらに好ましくは0.5〜1.0当量である。不飽和一塩基酸(b)がエポキシ化合物(a)のエポキシ基1当量に対して、0.3〜1.5当量であれば、ビニルエステル樹脂組成物のラジカル重合反応により、十分な硬度を持つ硬化物が得られる。
<ビニルエステル樹脂(A)の合成方法>
本実施形態で使用されるビニルエステル樹脂(A)は、公知の合成方法により合成することができる。
ビニルエステル樹脂(A)の合成方法としては、例えば、エステル化触媒の存在下でエポキシ化合物(a)と不飽和一塩基酸(b)とを70〜150℃、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは90〜130℃で反応させる方法が挙げられる。
エステル化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリンもしくはシアザビシクロオクタンなどの三級アミン、トリフェニルホスフィンあるいはジエチルアミン塩酸塩などの公知の触媒が使用できる。
ビニルエステル樹脂(A)の含有量は、ビニルエステル樹脂(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および後述する重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、好ましくは15〜85質量部であり、より好ましくは30〜80質量部であり、さらに好ましくは45〜75質量部である。ビニルエステル樹脂(A)の含有量がビニルエステル樹脂(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、15〜85質量部であれば、硬化物の機械的強度および耐食性がより一層向上する。
なお、ビニルエステル樹脂(A)を合成した後の未反応の不飽和一塩基酸(b)は、後述する重合性モノマー(C)とする。
<芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)>
芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)に、特に制限は無い。中でも、好ましくは、式(1)又は式(2)で表される化合物である。
Figure 2018002888
(式(1)又は式(2)中、R1は水素原子またはメチル基である。R2は炭素数が0〜10の直鎖または分岐した2価の炭化水素基であり、水酸基、アルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していても良い。但し、R2の炭素数が0で、Arが酸素原子と直接結合していても良い。R3は炭素数が1〜10の直鎖または分岐した2価の炭化水素基であり、水酸基、アルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していても良い。Arはフェニル基、ナフチル基から選ばれる少なくとも1つを示し、水素原子の一部または全部がアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アリール基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシル基、水酸基、またはヒドロキシアルキル基から選ばれる少なくとも1つで置換されていても良い。)
R2の炭素数は0〜10であり、好ましくは0〜5であり、より好ましくは0〜3である。R2の炭素数が「0」のときは、R2が存在せずArが直接酸素原子に結合していることを意味する。
Arは置換を有していても良い。その置換基は、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アリール基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシル基、水酸基、またはヒドロキシアルキル基から選ばれる少なくとも1つであり、好ましくはメチル基である。置換基の数は1または2が好ましい。
R3の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3である。好ましい置換基はR2と同様である。
R2及びR3の具体例としては、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)−、−CHCH(CH)CH−が挙げられる。
芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)は、より好ましくは、式(3)又は式(4)で表される化合物である。
Figure 2018002888
(式(3)又は式(4)中、R1、R2、R3は式(1)および式(2)と同一のものを示す。)
式(3)又は式(4)で示される化合物としては、例えば、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸とスチレンオキサイドの付加生成物(1(2)−ヒドロキシ−2(1)−フェニルエチルメタクリレート)などが挙げられる。中でも好ましくは、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートである。
芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)の含有量は、ビニルエステル(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および後述する重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、好ましくは15〜75質量部であり、より好ましくは25〜65質量部であり、さらに好ましくは30〜60質量部である。芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)の含有量がビニルエステル(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、15〜75質量部であれば、硬化物の機械的強度および耐食性がより一層向上する。
<重合性モノマー(C)>
本実施形態のビニルエステル樹脂組成物には、重合性モノマー(C)(ただし、スチレンおよび芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)を除く)を添加することができる。
重合性モノマー(C)としては、スチレンおよび芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)以外の単官能または多官能のモノマーであれば、特に制限は無い。
重合性モノマー(C)の具体例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
重合性モノマー(C)の含有量は、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、好ましくは40質量部以下であり、より好ましくは30質量部以下であり、さらに好ましくは20質量部以下である。
<ラジカル重合開始剤(D)>
本実施形態のビニルエステル樹脂組成物に、硬化剤として、ラジカル重合開始剤(D)を添加することにより、ビニルエステル樹脂組成物を硬化させることができる。
なお、本実施形態のビニルエステル樹脂組成物にラジカル重合開始剤(D)を添加すると、ビニルエステル樹脂組成物の硬化が始まるので、ビニルエステル樹脂組成物を貯蔵するときは、ラジカル重合開始剤(D)を添加しないことが望ましい。
ラジカル重合開始剤(D)としては、特に制限は無く、公知の熱ラジカル開始剤、光ラジカル開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤(D)としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル系、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系、ジクミルパーオキサイド等ジアルキルパーオキサイド系、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の有機過酸化物が挙げられる。
ラジカル重合開始剤(D)は、用途や硬化条件に応じて、適宜選択すればよい。
ラジカル重合開始剤(D)の添加量は、ビニルエステル(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜10.0質量部であり、より好ましくは0.2〜6.0質量部であり、さらに好ましくは0.3〜3.5質量部である。ラジカル重合開始剤(D)の添加量がビニルエステル(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、0.1〜10.0質量部であれば、ビニルエステル樹脂組成物のラジカル重合反応が進行し、十分な硬度を持つ硬化物が得られる。
<硬化促進剤(E)>
本実施形態のビニルエステル樹脂組成物に、ラジカル重合開始剤(D)を添加する場合、硬化促進剤(E)をさらに添加することが好ましい。
硬化促進剤(E)は、特に制限は無いが、金属元素と有機酸の塩が好ましい。
硬化促進剤(E)としては、例えば、コバルト系、バナジウム系、マンガン系などが挙げられ、具体例としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウムなどが挙げられる。
上記以外の硬化促進剤(E)としては、例えば、バナジウムアセチルアセトナト、コバルトアセチルアセトナト、鉄アセチルアセトナト等の金属キレート類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン等のN,N−置換アニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン等のN,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド等の4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニルモルホリン、ピペリジン等のアミン類、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルブチルラクトン、ジメチルアセトアセタミドなどのβ−ジケトンなどが挙げられる。これらの硬化促進剤(E)は、金属元素と有機酸の塩と併用してもよい。
硬化促進剤(E)の添加量は、ビニルエステル(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、好ましくは0.01〜6.0質量部であり、より好ましくは0.05〜4.0質量部であり、さらに好ましくは0.1〜3.0質量部である。硬化促進剤(E)の添加量がビニルエステル(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)および重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、0.01〜6.0質量部であれば、低温〜常温においても、ビニルエステル樹脂組成物のラジカル重合反応が速やかに進行する。
<添加剤>
本実施形態のビニルエステル樹脂組成物には、硬化物の耐食性を向上させる効果を阻害しない範囲内で添加剤を添加することができる。
添加剤としては、揺変性付与剤、揺変性付与助剤、増粘剤、着色剤、可塑剤、パラフィンワックス類等が挙げられる。
揺変性付与剤としては、シリカ、クレー等の無機粉末が挙げられる。
揺変性付与助剤としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、有機4級アンモニウム塩、BYK−R−605(ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
増粘剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。
着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。
可塑剤としては、塩素化パラフィン、リン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられる。
パラフィンワックス類は、硬化物の表面の空気遮断効果により表面乾燥性を向上させる目的で加えることができる。
パラフィンワックス類としては、石油系ワックス、オレフィンワックス、極性ワックス、特殊ワックス等が挙げられる。
[複合材料]
本実施形態の複合材料は、本実施形態のビニルエステル樹脂組成物に、繊維補強材、充填剤および骨材から選択される少なくとも一種を組み合わせることにより得られる。
<繊維補強材・充填剤・骨材>
繊維補強材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維などの有機または無機および合成または天然の繊維補強材が挙げられる。
繊維補強材としては、チョップ、チョップドストランドマット、コンチニアスストランドマット、ロービング、ロービングクロス、平織り、朱子織り、綾織等のクロス、織物、組物、三次元織物・組物などの形状のものが使用できる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、フライアッシュ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス粉末、木粉など挙げられ、さらにガラスマイクロバルーン、サラン樹脂のマイクロバルーン、アクリロニトリルのマイクロバルーン、シラスバルーンなどの中空フィラーなどが挙げられる。
骨材としては、珪砂、砕石、砂利などの一般骨材、さらに焼却灰などから合成した合成骨材、軽量骨材などが挙げられる。
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、本実施形態のビニルエステル樹脂組成物または本実施形態の複合材料を硬化させることにより得られる。
<ビニルエステル樹脂組成物および複合材料の硬化方法>
本実施形態のビニルエステル樹脂組成物および複合材料は、公知の方法で硬化させることができる。
ビニルエステル樹脂組成物または複合材料の硬化方法としては、例えば、ビニルエステル樹脂組成物または複合材料にラジカル重合開始剤(D)を添加し、常温または加熱により硬化させる方法や、ビニルエステル樹脂組成物または複合材料に硬化促進剤(E)を添加し、混合した後、ラジカル重合開始剤(D)を添加することで、常温または高温下で硬化させる方法等が挙げられる。
<ビニルエステル樹脂組成物および複合材料の使用方法>
本実施形態のビニルエステル樹脂組成物および複合材料は、スチレンを含まず、かつ従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂と比べて、硬化物の耐食性が高いため、化学プラントのパイプ、薬液貯蔵タンク、コンクリート補修材等に適用されるFRPの原料として、用いることができる。
FRPの成形方法は、特に制限は無いが、ビニルエステル樹脂組成物を繊維補強材に含浸させながら塗布または機械成形し、硬化させる方法や、複合材料を塗布または機械成形し、硬化させる方法が挙げられる。
ビニルエステル樹脂組成物を繊維補強材に含浸させながら塗布または機械成形し、硬化させる方法の例としては、ハンドレイアップ成形法、レジントランスファー成形法、バキュームアシストレジントランスファー成形法などが挙げられる。
ここで、ビニルエステル樹脂組成物は、例えば、ハケ、ロール、コテ、ヘラ、シリンジ等の公知の塗布手段を用いて塗布することができる。
複合材料を塗布または機械成形し、硬化させる方法の例としては、スプレーアップ成形法、フィラメントワインディング成形法、シートワインディング成形法、引き抜き成形法、射出成形法などが挙げられる。
FRPの成形方法は、目的に応じて、適宜選択すればよい。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は、実施例により制限されるものではない。
<ビニルエステル樹脂組成物の合成およびFRP試験片の作製>
表1および表2に示す配合となるように、以下の実施例または比較例に従って、ビニルエステル樹脂組成物を合成した後、ビニルエステル樹脂組成物を用いて、以下の手順により、耐食試験用のFRP試験片を作製した。
(実施例1)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が188.0であるビスフェノールA型エポキシ樹脂アラルダイト(登録商標)AER−2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)434.5g、ベンジルメタクリレートとしてのライトエステルBZ(共栄社化学株式会社製)125.3g及びハイドロキノン0.13gを溶解させたメタクリル酸66.3gを仕込み、撹拌しながら昇温した。100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールとしてのセイクオールTDMP(精工化学株式会社製)1.9gを溶解させたメタクリル酸132.7gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が11mgKOH/g以下になった時点で冷却し、110℃以下になった時点で、ベンジルメタクリレート438.6g及びトリメチルハイドロキノン0.2gを加え、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂組成物(VE−1)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−1)100質量部に6質量%ナフテン酸コバルト溶液0.5質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.5質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−1')を作製した。
(実施例2)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が176.5であるノボラックフェノール型エポキシ樹脂YDPN−638(東都化成株式会社製)473.0gを仕込み、撹拌しながら昇温した。80〜100℃になった時点で、ベンジルメタクリレート100.5g及びハイドロキノン0.6gを溶解させたメタクリル酸77.0gを仕込んだ。また、100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール3.5gを溶解させたメタクリル酸153.8gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が18mgKOH/g以下になった時点で冷却し、100℃以下になった時点で、ベンジルメタクリレート201.0g、トリメチルハイドロキノン0.5及びハイドロキノン0.04gを加え、ノボラックフェノール型ビニルエステル樹脂組成物(VE−2)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−2)100質量部に6質量%ナフテン酸コバルト溶液0.3質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.0質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−2')を作製した。
(実施例3)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が188.0であるビスフェノールA型エポキシ樹脂アラルダイト(登録商標)AER−2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)434.5g、フェニルメタクリレートとしてのアクリエステルPH(三菱レイヨン株式会社製)125.3g及びハイドロキノン0.13gを溶解させたメタクリル酸66.3gを仕込み、撹拌しながら昇温した。100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1.9gを溶解させたメタクリル酸132.7gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が11mgKOH/g以下になった時点で冷却し、110℃以下になった時点で、フェニルメタクリレート438.6g及びトリメチルハイドロキノン0.2gを加え、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂組成物(VE−3)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−3)100質量部に8質量%オクチル酸コバルト溶液0.3質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.0質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−3')を作製した。
(実施例4)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が176.5であるノボラックフェノール型エポキシ樹脂YDPN−638(東都化成株式会社製)473.0gを仕込み、撹拌しながら昇温した。80〜100℃になった時点で、フェニルメタクリレート100.5g及びハイドロキノン0.6gを溶解させたメタクリル酸77.0gを仕込んだ。また、100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(セイクオールTDMP)3.5gを溶解させたメタクリル酸153.8gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が18mgKOH/g以下になった時点で冷却し、100℃以下になった時点で、フェニルメタクリレート201.0g、トリメチルハイドロキノン0.5及びハイドロキノン0.04gを加え、ノボラックフェノール型ビニルエステル樹脂組成物(VE−4)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−4)100質量部に8質量%オクチル酸コバルト溶液0.3質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.0質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−4')を作製した。
(実施例5)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が188.0であるビスフェノールA型エポキシ樹脂アラルダイト(登録商標)AER−2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)434.5g、フェノキシエチルメタクリレート125.3g及びハイドロキノン0.13gを溶解させたメタクリル酸66.3gを仕込み、撹拌しながら昇温した。100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1.9gを溶解させたメタクリル酸132.7gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が11mgKOH/g以下になった時点で冷却し、110℃以下になった時点で、フェノキシエチルメタクリレートとしてのFA−310M(日立化成株式会社製)438.6g及びトリメチルハイドロキノン0.2gを加え、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂組成物(VE−5)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−5)100質量部に6質量%ナフテン酸コバルト溶液0.5質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.5質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−5')を作製した。
(比較例1)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が188.0であるビスフェノールA型エポキシ樹脂アラルダイト(登録商標)AER−2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)434.5g、イソボルニルメタクリレートとしてのライトエステルIB−X(共栄社化学株式会社製)125.3g及びハイドロキノン0.13gを溶解させたメタクリル酸66.3gを仕込み、撹拌しながら昇温した。100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1.9gを溶解させたメタクリル酸132.7gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が11mgKOH/g以下になった時点で冷却し、110℃以下になった時点で、イソボルニルメタクリレート438.6g及びトリメチルハイドロキノン0.2gを加え、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂組成物(VE−6)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−6)100質量部に6質量%ナフテン酸コバルト溶液0.5質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.5質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−6')を作製した。
(比較例2)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が176.5であるノボラックフェノール型エポキシ樹脂YDPN−638(東都化成株式会社製)473.0gを仕込み、撹拌しながら昇温した。80〜100℃になった時点で、t−ブチルメタクリレートとしてのアクリエステルTB(三菱レイヨン株式会社製)100.5g及びハイドロキノン0.6gを溶解させたメタクリル酸77.0gを仕込んだ。また、100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール3.5gを溶解させたメタクリル酸153.8gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が18mgKOH/g以下になった時点で冷却し、100℃以下になった時点で、t−ブチルメタクリレート201.0g、トリメチルハイドロキノン0.5及びハイドロキノン0.04gを加え、ノボラックフェノール型ビニルエステル樹脂組成物(VE−7)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−7)100質量部に8質量%オクチル酸コバルト溶液0.5質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.0質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−7')を作製した。
(比較例3)
温度計、攪拌機、ガス導入口及び還流冷却器を備えた1Lの四つ口フラスコに、エポキシ当量が188.0であるビスフェノールA型エポキシ樹脂アラルダイト(登録商標)AER−2603(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)434.5g、ジシクロペンタジエニルオキシエチルメタクリレートとしてのFA−512MT(日立化成株式会社製)125.3g及びハイドロキノン0.13gを溶解させたメタクリル酸66.3gを仕込み、撹拌しながら昇温した。100〜110℃になった時点で、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1.9gを溶解させたメタクリル酸132.7gを約30分間かけて滴下し、130℃で反応させた。酸価が11mgKOH/g以下になった時点で冷却し、110℃以下になった時点で、ジシクロペンタジエニルオキシエチルメタクリレート438.6g及びトリメチルハイドロキノン0.2gを加え、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂組成物(VE−8)を合成した。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−8)100質量部に8質量%オクチル酸コバルト溶液0.5質量部を加えよく混合した後、55質量%メチルエチルケトンパーオキサイド溶液1.5質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−8')を作製した。
(比較例4)
従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物(VE−9)として、リポキシ(登録商標)NSR−2000(昭和電工製)を用いた。
ビニルエステル樹脂組成物(VE−9)100質量部に8質量%オクチル酸コバルト溶液1.0質量部を加えよく混合した後、適応温度が10〜35℃の有機過酸化物としての硬化剤328E(化薬アクゾ株式会社製)1.0質量部を混合し、ビニルエステル樹脂組成物(VE−9')を作製した。
<FRP試験片の作製>
PETフィルム上において、実施例および比較例で得られたビニルエステル樹脂組成物(VE−x'、xは1〜9の数字)をガラス繊維としての、中間層のチョップドストランドマットおよび表層のサーフェーシングマットの積層体(いずれも日東紡績株式会社製)に含浸させながらJIS K 7070に準拠した手順で塗布し、25℃で15時間養生させた。その後110℃で2時間硬化させ、FRP硬化物を作製した。硬化物から長さ80mm×幅80mm×厚さ3mmの試験片を切り出した。
Figure 2018002888
Figure 2018002888
なお、表1および表2において、成分(A)〜(E)は、それぞれビニルエステル樹脂(A)、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)、重合性モノマー(C)、ラジカル重合開始剤(D)、硬化促進剤(E)を意味する。
<耐食試験>
JIS K 6911に準拠した手順で、FRP試験片の曲げ強さおよびバーコル硬さを測定した。次に、表3に示す薬液・温度条件下で、FRP試験片を30日間浸漬させた後、再度曲げ強さおよびバーコル硬さを測定し、式
(耐食試験後の値)/(初期の値)×100・・・(1)
から、曲げ強さおよびバーコル硬さの保持率[%]を算出した。
表3に、耐食試験の評価結果を示す。
Figure 2018002888
なお、表3において、37%HCl、75%HSOおよび5%NaOHは、それぞれ37質量%塩酸、75質量%硫酸水溶液および5質量%水酸化ナトリウム水溶液を意味する。
表3から、実施例1〜5のFRP試験片が、上記の高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に30日間浸漬させても、曲げ強さおよびバーコル硬さの保持率が70%以上であることがわかる。このことから、実施例1〜5のビニルエステル樹脂組成物が、比較例4の従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物と比べて、高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する硬化物の耐食性が優れているノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物であるのは明らかである。
一方、比較例1〜3のビニルエステル樹脂組成物は、芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)を含まないため、高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液に対する硬化物の耐食性が低下する。
本発明のビニルエステル樹脂組成物の硬化物は、高い耐食性を有するため、従来のノンスチレン型ビニルエステル樹脂組成物の硬化物では困難であった高温かつ高濃度の酸およびアルカリの水溶液と接触する箇所にも使用することができる。具体的には、本発明のビニルエステル樹脂組成物の硬化物は、コンクリート構造物の補強・補修や薬液貯蔵タンクなどの防食材として使用することができる。また、本発明のビニルエステル樹脂組成物は、特定化学物質であるスチレンを使用しないため、取り扱いや手続きが容易である。

Claims (15)

  1. ビニルエステル樹脂(A)および芳香環基を有する(メタ)アクリレート(B)を含み、かつスチレンを含まないことを特徴とするビニルエステル樹脂組成物。
  2. 前記(メタ)アクリレート(B)が、下記式(1)又は式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のビニルエステル樹脂組成物。
    Figure 2018002888
    (式(1)又は式(2)中、R1は水素原子またはメチル基である。R2は炭素数が0〜10の直鎖または分岐した2価の炭化水素基であり、水酸基、アルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していても良い。但し、R2の炭素数が0で、Arが酸素原子と直接結合していても良い。R3は炭素数が1〜10の直鎖または分岐した2価の炭化水素基であり、水酸基、アルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していても良い。Arはフェニル基、ナフチル基から選ばれる少なくとも1つを示し、水素原子の一部または全部がアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アリール基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシル基、水酸基、またはヒドロキシアルキル基から選ばれる少なくとも1つで置換されていても良い。)
  3. 前記(メタ)アクリレート(B)が、下記式(3)又は式(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載のビニルエステル樹脂組成物。
    Figure 2018002888
  4. 前記(メタ)アクリレート(B)が、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートおよびフェノキシエチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  5. 重合性モノマー(C)(ただし、スチレンおよび前記(メタ)アクリレート(B)を除く)を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  6. 前記ビニルエステル樹脂(A)、前記(メタ)アクリレート(B)および前記重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、前記(メタ)アクリレート(B)を15〜75質量部含むことを特徴とする請求項5に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  7. 前記(メタ)アクリレート(B)および前記重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、前記重合性モノマー(C)を40質量部以下含むことを特徴とする請求項5または6に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  8. 前記ビニルエステル樹脂(A)、前記(メタ)アクリレート(B)および前記重合性モノマー(C)の合計100質量部に対し、前記ビニルエステル樹脂(A)を15〜85質量部含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  9. 前記ビニルエステル樹脂(A)が、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と、重合性不飽和結合およびカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸(b)との開環反応の生成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  10. 前記エポキシ化合物(a)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂およびノボラックフェノール型エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項9に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  11. ラジカル重合開始剤(D)を更に含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  12. 硬化促進剤(E)を更に含むことを特徴とする請求項11に記載のビニルエステル樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物と、繊維補強材、充填剤および骨材から選択される少なくとも1種とを配合してなることを特徴とする複合材料。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のビニルエステル樹脂組成物の硬化物。
  15. 請求項13に記載の複合材料の硬化物。
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