以下に、第1実施形態に係る液体吐出装置であるインクジェット記録装置1及び液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッド31の構成について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、液体吐出装置であるインクジェット記録装置1の説明図である。図2はインクジェットヘッド31の斜視図であり、図3は分解斜視図である。図4はインクジェットヘッド31の断面図である。図中X,Y,Zは互いに直交する3方向を示している。なお、本実施形態において、インクジェットヘッド31のノズル41aがZ方向の一方である下向きに配置される姿勢を基準として方向の説明を記載するが、これに限られるものではない。
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、筐体11と、媒体供給部12と、画像形成部13と、媒体排出部14と、搬送装置15と、制御部16と、を備える。
インクジェット記録装置1は、媒体供給部12から画像形成部13を通って媒体排出部14に至る所定の搬送路A1に沿って、記録媒体である用紙Pを搬送しながらインクを吐出することで用紙Pに画像形成処理を行う液体吐出装置である。
筐体11は、インクジェット記録装置1の外郭を構成する。筐体11の所定箇所に、用紙Pを外部に排出する排出口11aを備える。
媒体供給部12は複数の給紙カセット12a、12aを備える。給紙カセット12aは、筐体11内に複数設けられている。複数の給紙カセット12aは、例えば、上側が開口する所定のサイズの箱状に構成され、各種サイズの用紙Pを複数枚積層して保持可能に構成される。
媒体排出部14は、排紙トレイ14aを備える。排紙トレイ14aは、筐体11の排出口11aの近傍に設けられている。排紙トレイ14aは、排出口11aから排出される用紙Pを保持可能に構成されている。
画像形成部13は、用紙を支持する支持部17と、支持部17の上方に対向配置された複数のヘッドユニット30と、を備える。
支持部17は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト18と、搬送ベルト18を裏側から支持する支持プレート19と、搬送ベルト18の裏側に備えられた複数のベルトローラ20と、を備える。
支持部17は、画像形成の際に、搬送ベルト18の上面である保持面18aに用紙Pを支持するとともに、ベルトローラ20の回転によって所定のタイミングで搬送ベルト18を送ることにより、用紙Pを下流側へ搬送する。
ヘッドユニット30は、複数(4色)のインクジェットヘッド31と、各インクジェットヘッド31上にそれぞれ搭載された液体タンクとしてのインクタンク32と、インクジェットヘッド31とインクタンク32とを接続する接続流路33と、循環部である循環ポンプ34と、を備える。ヘッドユニット30は、インクタンク32と、インクジェットヘッド31の内部に作りこまれた共通室C2及び圧力室C1において液体を常時循環させる循環型のヘッドユニットである。本実施形態において、インクジェットヘッド31としてシアン、マゼンダ、イェロー、ブラックの4色のインクジェットヘッド31C,31M,31Y,31Kと、これらの各色のインクをそれぞれ収容するインクタンク32として、インクタンク32C,32M,31Y,31Kを備える。インクタンク32は接続流路33によってインクジェットヘッド31に接続される。接続流路33は、インクジェットヘッド31の供給口64に接続される供給流路33aと、インクジェットヘッド31の排出口65に接続される回収流路33bと、を備える。
また、インクタンク32には、図示しないポンプなどの負圧制御装置が連結されている。そして、インクジェットヘッド31とインクタンク32との水頭値に対応して、負圧制御装置によりインクタンク32内を負圧制御することで、インクジェットヘッド31の各ノズルに供給されたインクを所定形状のメニスカスに形成させている。
循環ポンプ34は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。循環ポンプ34は、供給流路33aに設けられている。循環ポンプ34は、配線により制御部16の駆動回路に接続され、CPU16aの制御によって制御可能に構成されている。循環ポンプ34は、インクジェットヘッド31とインクタンク32を含む循環流路で液体を循環させる。
搬送装置15は、媒体供給部12の給紙カセット12aから画像形成部13を通って媒体排出部14の排紙トレイ14aに至る搬送路A1に沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置15は、搬送路A1に沿って配置される複数のガイドプレート対21a〜21hと、複数の搬送用ローラ22a〜22hと、を備えている。
複数のガイドプレート対21a〜21hは、それぞれ、搬送される用紙Pを挟んで対向配置される一対のプレート部材を備え、用紙Pを搬送路A1に沿って案内する。
搬送用ローラ22a〜22hは、給紙ローラ22a、搬送ローラ対22b〜22g、排出ローラ対22hを備える。これらの搬送用ローラ22a〜22hが制御部16のCPU16aの制御によって駆動されて回転することで、用紙Pを搬送路A1に沿って下流側に送る。なお、搬送路A1には用紙の搬送状況を検出するセンサが各所に配置されている。
制御部16は、コントローラであるCPU(中央制御装置)16aと、各種のプログラムなどを記憶するROMと、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAMと、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
図2乃至図4に示すように、インクジェットヘッド31は、複数のノズル41aを有する第1ベース40と、第1ベース40の一方側である上方に配置されノズル41aに連通する複数の圧力室C1を形成する第2ベース50と、第2ベースの一方側である上方に配置され複数の圧力室C1に連通する共通室C2を形成する第3ベース60と、を備える。なお、図2及び図3においては説明のため、絶縁層45、保護層46及び撥インク層47を省略して配線層44,43を露出させて示している。
第1ベース40は、ノズルプレート41と、ノズルプレート41の下面、すなわち用紙Pに対向する表面に形成される第1配線層43と、圧電素子42と、第2配線層44と、絶縁層45と、保護層46と、撥インク層47と、を備える。
ノズルプレート41は、例えばシリコンウエハにより矩形の板状に構成されている。ノズルプレート41は、例えば厚さ4μm程度のSiO2(酸化シリコン)膜である。ノズルプレート41の膜厚は、1〜50μmの範囲が好ましい。ノズルプレート41は、例えば第2ベース50と一体に形成され、酸素雰囲気で加熱処理して形成される。ノズルプレート41は、液体を吐出する貫通孔であるノズル41aを複数有する。ノズル41aはY方向において2個、X方向において8個ずつ、並列配置されている。ノズルプレート41の表面に、第1配線層43と、圧電素子42と、第2配線層44と、が積層して形成される。
第1配線層43は、例えば、Pt(白金)及びAl(アルミニウム)の薄膜である。第1配線層43は、ノズルプレート41の表面において各ノズル41aの外縁に形成される環状の第1電極43aと、第1電極43aからY方向に引き出されるライン状のパターン配線43bと、外部に電気的に接続されるコンタクト部43dと、を一体に備える個別配線43cを、X方向に複数並列して備える。各個別配線43cは、ノズル41aの位置にそれぞれ対応し、各ノズル41aに1つの個別配線43cが形成されている。
圧電素子42は、第1配線層43の第1電極43aに積層して設けられている。圧電素子42は、圧電材料で形成された所定の厚さを有する膜である。圧電素子42は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3:PZT)で形成される。圧電素子42は、ノズル41aの周りを囲む環状に構成されている。圧電素子42は、その厚み方向に分極を発生させる。すなわち、圧電素子42に分極の方向と同方向の電界が印加されると、当該電界の方向と直交する方向、すなわち膜厚に対して直交する方向(面内方向)に、収縮または伸長する。
第2配線層44は、ノズルプレート41の表面であって、第1配線層43及び圧電素子42の表面を含む所定の領域に、積層して形成されている。
第2配線層44は、第2電極44aと、複数のパターン配線部44bと、共通パターン配線部44cと、コンタクト部44dと、を連続して一体に備える櫛歯状に構成されている。
第2電極44aは、各ノズル41aの外縁において圧電素子42上に重なる複数の環状に構成されている。
複数のパターン配線部44bは、複数の第2電極44aからそれぞれY方向に引き出されるライン状に構成されている。共通パターン配線部44cは、X方向に沿うライン状に構成され、複数のパターン配線部44bの第2電極44aとは反対側の端部を接続する。第2配線層44のX方向の両端のパターン配線部44bの端部には、外部と電気的に接続されるコンタクト部44dを構成する。
第1電極43aと圧電素子42と第2電極44aとの積層構造により、ノズル41aの周囲を囲む環状の駆動素子48が構成される。駆動素子48は、圧電素子42の一方に第1電極43aが、他方に第2電極44aが積層して形成されているため、両電極43a,44aに電圧が選択的に印加されることにより、圧電素子42が変形し、圧力室C1の圧力変動を生じさせることで、ノズル41aから液体を吐出させる。
絶縁層45は、SiO2で構成された膜である。絶縁層45は、第1配線層43上の所定の領域と、第2配線層44上の所定の領域に形成されている。絶縁層45は、第1配線層43と第2配線層44とを、所定の領域において絶縁する。なお、絶縁層45は、SiN(窒化ケイ素)のような他の材料によって形成されても良い。
保護層46は、絶縁層と異なる材料であって、例えば東レ株式会社のフォトニース(登録商標)のような感光性ポリイミドによって形成される。保護層46は、ノズルプレート41の表面であって駆動素子48以外の領域上に形成されている。保護層46は、ノズルプレート41と接着して形成されることで、ノズルプレート41の座屈変形を抑制する。保護層46は、各ノズル41aに対応する位置に円形の開口部46aを有する。
撥インク層47は、保護層46と、開口部46aに位置する絶縁層45上に形成される膜である。撥インク層47は、撥液性を有するシリコン系撥液材料またはフッ素含有系有機材料によって形成される。
第2ベース50は、例えば、100〜775μmの厚さを有する矩形の板状に形成される。第2ベースは、例えばシリコンウエハで形成される基材層51と、基材層のノズルプレート41とは反対側の面に積層される変形規制膜52と、を備える。第2ベース50は、例えば円柱形の圧力室C1を構成する貫通孔50aを複数有する。圧力室C1の直径は、例えば、190μmである。複数の圧力室C1は、第2ベース50に対向配置されるノズルプレート41の各ノズル41aに連通する位置にそれぞれ形成されている。
ここで、図4に示すように、圧力室C1の孔の形状は、直径D1より、深さL1が大きく構成されている。圧力室C1の形状を深さL1>直径D1とすることにより、圧力室C1内のインクに係る圧力が、共通室C2に逃げるのを遅らせることができる。
変形規制膜52は、ノズルプレート41が第2ベース50と一体に形成される場合に、第2ベース50の反りを低減するよう機能する。例えば、変形規制膜52をノズルプレート41と同じ材料で同じ膜厚とすれば、基材層51両面にてのノズルプレート41の膜応力と変形規制膜52の膜応力は同じになり、第2ベース50に生じる反りを効果的に低減することができる。そのため、変形規制膜52は、基材層51のシリコンウエハをCVD法(化学的気相成膜法)や酸素雰囲気の加熱処理で形成される厚さ4μmのSiO2(酸化シリコン)膜を用いてもよい。
第3ベース60は、例えば、ステンレス,セラミックスまたは樹脂のような他の材料によって、矩形状の板状に構成される。使用されるセラミックスは、例えば、アルミナセラミックス,ジルコニア,炭化ケイ素,窒化ケイ素のような窒化物,炭化物または酸化物である。使用される樹脂は、例えば、ABS,ポリアセタール,ポリアミド,ポリカーボネートまたはポリエーテルサルフォンのようなプラスチック材である。第3ベース60の材料は、インクを吐出するための圧力の発生に影響が生じないように、ノズルプレート41との膨張係数の差を考慮して選択される。
第3ベース60の下面、すなわち第2ベース50に対向する面には、圧力室C1に連通する共通室C2を構成する流路部63が形成されている。流路部63は、例えば平面視矩形状であって所定の深さを有する凹みである。流路部63は複数の圧力室C1に対向する領域を含み、複数の圧力室Cに連通する1つの共通室C2を構成する。
流路部63の底面63aの両端部には、それぞれインクタンク32に連通する供給口64及び排出口65が形成されている。供給口64及び排出口65は、軸心がZ方向に沿う円形の貫通孔であり共通室C2と、インクタンク32との接続流路33とを連通する。供給口64及び排出口65はノズルが並列するX方向において両端のノズル41aの外側の位置に配置されている。
流路部63の内壁には、気泡を保持する凹凸部67が形成されている。凹凸部67は、各々がY方向に延びるとともに断面視V字形状の溝67aを、X方向において複数本並列して備えている。各溝67aの幅寸法w1は、例えばw1<D1の範囲で構成され、本実施形態においては一例として50μmとした。各溝67aの深さd1は、本実施形態においては一例として50μmとした。
溝67aは、少なくとも隣接する一対の圧力室C1の間の領域に対向する位置に設けられている。本実施形態においては、第2ベース50の上面に対向する壁面において、隣接する一対の圧力室C1の間に4〜6本程度の溝67aがX方向において等間隔で配置されている。なお、溝67aの本数は4〜6本に限らない。
溝67aは、共通室C2での循環流F1の流れ方向であるX方向に直交するY方向に沿って連続的に延びるとともに、流れ方向であるY方向において複数並列配置されている。溝67aを構成する壁により気泡が循環流F1とともに下流側に流れる際に捕捉される。
以上のように構成されたインクジェット記録装置1の動作について説明する。CPU16aは、例えばインターフィースにおいてユーザーが操作入力部の操作による印刷指示を検出する。そして、印刷指示を検出すると、CPU16aは搬送装置15を駆動して用紙Pを搬送するとともに、所定のタイミングでヘッドユニット30に対して印字信号を出力することで、インクジェットヘッド31を駆動する。インクジェットヘッド31は吐出動作として、画像データに応じた画像信号により、駆動素子48を選択的に駆動してノズル41aからインクを吐出して、搬送ベルト18上に保持された用紙Pに画像を形成する。
液体吐出動作として、CPU16aは、駆動回路により配線層43、44を介して駆動素子48に駆動電圧を印加する。すると、圧電素子42の変形により、駆動素子48が変形する。例えば、駆動する圧力室C1の容積を増大させる方向に変形させ、圧力室C1内を負圧にすることで、インクが圧力室C1内に導かれる。一方、圧力室C1の容積が減少する方向に変形させ、圧力室C1内を加圧することで、ノズル41aからインク滴が吐出する。
CPU16aは、循環ポンプ34を駆動することで、インクタンク32とインクジェットヘッド31とを通る循環流路で液体を循環させる。循環動作により、インクタンク32内のインクは、供給口64を通って、流路部63で構成される共通室C2に流入し、複数の圧力室C1に供給される。すなわち、図4に矢印で示すインクの循環流F1が発生する。
以上の様に構成されたインクジェットヘッド31は、共通室C2の壁面に気泡を捕捉する凹凸部67を備えている。したがって、液体吐出動作に際し、気泡が上流側のノズル41aから圧力室C1内に混入した場合、インクの循環流F1とともに気泡が共通室C2に流入したとしても、下流側へ流れる途中で凹凸部67に捕捉されることになる。凹凸部67に捕捉されて共通室C2に溜まった気泡は、インクに溶存することにより自然解消される。
すなわち、インクジェットヘッド31によれば、ノズル41aから離れた位置に気泡を留め、気泡が下流側のノズル41aに至ることを回避することで、気泡による吐出不良を抑制できる。
また,インクジェットヘッド31は、凹凸部67として、共通室C2の長手方向にほぼ直交する方向、すなわち、インクの循環流F1の流れ方向に直交する方向に延在する溝67aを備える構成としたため、下流側の圧力室C1に移動する気泡を捕捉しやすく、また多くの気泡を繋げて溜めることもできる。したがって、確実に気泡を捉えることができ、高い吐出性能を実現できる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば上記第1実施形態においては、凹凸部67として、底部側の幅寸法が狭くなる断面視V字状の溝67aを形成した例を示したが、これに限られるものではない。例えば他の実施形態として図5及び図6に示す第3ベース60Aのように、凹凸部67として、断面視半円状の溝68aを複数備える構成としてもよい。
また、例えば上記第1実施形態においては、凹凸部67として、Y方向に連続して延びるとともに断面視V字状の溝67aを形成した例を示したが、これに限られるものではない。例えば他の実施形態として図7及び図8に示す第3ベース60Bのように、圧力室側に開口するとともに幅寸法が一定の溝69aを備え、Y方向において複数の溝69aが間欠的に並列配置される構成も適用できる。これらの実施形態にかかる第3ベース60A,60Bにおいても上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
図9は他の実施形態にかかるインクジェットヘッド131の構成を示す断面図である。本実施形態に係るインクジェットヘッド131は、凹凸部67として、溝67aに変えて、圧力室C1に連通する円周状の周壁に形成された段差による周溝167を備えている。
インクジェットヘッド131の第3ベース160は、第1プレート161と、第2プレート162と、を積層して備える。
第1プレート161は、例えば、ステンレス,セラミックスまたは樹脂のような他の材料によって、矩形状の板状に構成される。第1プレート161には、圧力室C1に連通する接続路C3が形成されている。接続路C3は段差を有する貫通孔であり、大径孔163と小径孔164とを連続して有している。すなわち、本実施形態において共通室C2は、その一部として、圧力室C1に連通するとともに流路径が拡大及び縮小する接続路C3を備える。
接続路C3の大径孔163の径D2は圧力室C1の径D1よりも大径に構成され、小径孔164の径D3は圧力室C1の径D1と同等に構成されている。一例として、D1,D2,及びD3は、それぞれ190μm,210μm,190μmとした。
なお、各インク圧力室C1内のインクに圧力変化が発生し、各ノズル41aからインクを吐出する時、第3ベース160の第1プレート161は、圧力室C1内に発生した圧力を閉じ込めて、共通室C2へ圧力が逃げることを防ぐセパレートプレートとしての役割を果たすため、直径D3は、圧力室C1の直径に対して1/4以下の大きさでも良い。
第2プレート162は、例えば、ステンレス,セラミックスまたは樹脂のような他の材料によって、矩形状の板状に構成される。第2プレート162の下面、すなわち第1プレート161及び圧力室C1に対向する面には、圧力室C1に連通する共通室C2を構成する流路部63が形成されている。流路部63は、例えば平面視矩形状であって所定の深さを有する凹みである。流路部63は複数の圧力室C1に対向する領域を含み、複数の接続路C3を通じて複数の圧力室C1に連通する1つの共通室C2を構成する。
流路部63の底面63aの両端部には、それぞれインクタンク32に連通する供給口64及び排出口65が形成されている。
本実施形態にかかるインクジェットヘッド131においても上記第1実施形態にかかるインクジェットヘッド31と同様の効果を奏する。すなわちインクジェットヘッド131において、凹凸部として、共通室C2の一部の内壁である接続路C3の周壁に形成された周溝167で、気泡を捕捉することができる。したがって、気泡が下流側のノズルに移動することを防止し、吐出不良を回避できる。
また、インクジェットヘッド131においては、各インク圧力室C1内のインクに圧力変化が発生し、各ノズル41aからインクを吐出する時、第3ベース160の第1プレート161は、圧力室C1内に発生した圧力を閉じ込めて、共通室C2へ圧力が逃げることを防ぐセパレートプレートとしての役割を果たすこともできる。
また、上記実施形態においてはベースとして3つのベース40,50,60でインクジェットヘッド1を構成する例を示したがこれに限られるものではなく、1つのベースで構成し、あるいは2つ、または4つ以上のベースを組み合わせて構成してもよい。
また、各部を構成する材料は上記実施形態で例示したものに限られず、適宜変更可能である。例えば、ノズルプレート41は、シリコンウエハ表面にCVD法(化学的気相成膜法)でSiO2(酸化シリコン)膜を成膜して形成しても良い。また、ノズルプレート41は、複数の層で構成された積層膜で形成されていても良い。また、ノズルプレート41として、SiO2(酸化シリコン)膜に代えて、SiN(窒化シリコン)等の半導体材料、或いは、Al2O3(酸化アルミニウム)等を用いることもできる。
第2ベースの基材層は、例えば、炭化シリコン(SiC)やゲルマニウム基板のような他の半導体であっても良い。また、基材はこれに限らず、セラミックス,ガラス,石英,樹脂,または金属のような他の材料によって形成されても良い。利用されるセラミックスは、例えば、アルミナセラミックス,ジルコニア,炭化ケイ素,窒化ケイ素,またはチタン酸バリウムのような窒化物,炭化物,または酸化物である。利用される樹脂は、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン),ポリアセタール,ポリアミド,ポリカーボネート、またはポリエーテルサルフォンのようなプラスチック材である。利用される金属は、例えば、アルミまたはチタンである。
また、圧電素子42は上記に限らず、例えば、PTO(PbTiO3:チタン酸鉛),PMNT(Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbTiO3),PZNT(Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−PbTiO3),ZnOおよびAlNのような種々の圧電性材料によって形成されても良い。
各配線層43,44は、上記に限らず、他にNi(ニッケル),Cu(銅),Al(アルミニウム),Ag(銀),Ti(チタン),W(タングステン),Mo(モリブデン),Au(金)のような他の材料によって形成されても良い。
保護層46の材料も上記に限られるものではない、例えば、他の種類のポリイミド,ABS,ポリアセタール,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリエーテルサルフォンのようなプラスチック材料も保護層46として用いることが可能である。
また、吐出する材料もインクに限られるものではなく、他の液体として、例えば導電性粒子を含む高粘度液体材料を吐出する構成としてもよい。例えばパッケージ基板に金属配線材料を吐出する配線パターン描画装置に適用することも可能である。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。