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JP2018098140A - 蓄電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることが抑制された蓄電素子の提供。【解決手段】正極と負極を電極として有する電極体と、電解液と、を含み、電極体は、正極及び負極の間に配置されたセパレータ基材を有し、正極及び負極は、活物質粒子を含有する活物質層をそれぞれ有し、正極の活物質層及び負極の活物質層は、セパレータ基材を介して互いに対向し、少なくともいずれかの電極の活物質層の空隙率は、厚さ方向の一方と他方とで異なり、且つ、セパレータ基材に近い一方にて他方よりも低く、電極体は、セパレータ基材よりも空隙率が高く、且つ、空隙率の異なる活物質層とセパレータ基材との間に配置された高空隙層をさらに有する、蓄電素子とする。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子に関する。
従来、負極と電解質とを含むリチウムイオン二次電池であって、負極が、集電体と、集電体上に形成され負極活物質を含有する負極材料層とを有する、リチウムイオン二次電池が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の電池では、負極材料層を厚さ方向に半分に分割して、集電体側の負極材料層をA1、集電体側と反対側の負極材料層をA2としたときに、A1の平均空隙率がA2の平均空隙率よりも高い。
特許文献1に記載の電池では、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなる場合があり、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることが抑制された蓄電素子が要望されている。
特開2003−077542号公報
本実施形態は、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることが抑制された蓄電素子を提供することを課題とする。
本実施形態の蓄電素子は、正極と負極とを電極として有する電極体と、電解液と、を含み、電極体は、正極及び負極の間に配置されたセパレータ基材を有し、正極及び負極は、活物質粒子を含有する活物質層をそれぞれ有し、正極の活物質層及び負極の活物質層は、セパレータ基材を介して互いに対向し、少なくともいずれかの電極の活物質層の空隙率は、厚さ方向の一方と他方とで異なり、且つ、セパレータ基材に近い一方にて他方よりも低く、電極体は、セパレータ基材よりも空隙率が高く、且つ、空隙率の異なる活物質層とセパレータ基材との間に配置された高空隙層をさらに有する。斯かる構成において、活物質層の空隙率が高い他方の部分には、空隙率が高い分、空隙に入った電解液が多く存在する。一方で、活物質層の空隙率が低い一方の部分には、高空隙層から電解液が供給されやすい。これにより、上記の活物質層は、放電反応に寄与する十分な量の電解液を含浸している。従って、高レートでも低レートでも、放電反応が効率良く進みやすく、いずれのときでも十分な電気量を放電できる。従って、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることが抑制された蓄電素子を提供できる。
上記の蓄電素子では、セパレータ基材に近い上記一方の空隙率は、38%以上であってもよい。斯かる構成により、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることがより抑制される。
上記の蓄電素子では、正極及び負極のいずれも、空隙率が厚み方向で他方よりも一方にて低い活物質層をそれぞれ有し、高空隙層は、正極の活物質層とセパレータ基材との間、及び、負極の活物質層とセパレータ基材との間の両方に、それぞれ配置されていてもよい。斯かる構成により、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることがより抑制される。
本実施形態によれば、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることが抑制された蓄電素子を提供できる。
図1は、本実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。 図2は、図1のII−II線位置の断面図である。 図3は、図1のIII−III線位置の断面図である。 図4は、同実施形態に係る蓄電素子の電極体の構成を説明するための図である。 図5は、重ね合わされた正極、負極、及びセパレータの断面図(図4のV−V断面)である。 図6は、電極、高空隙層、及びセパレータ基材を模式的に表した断面図である。 図7は、同実施形態に係る蓄電素子を含む蓄電装置の斜視図である。
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、図1〜図6を参照しつつ説明する。蓄電素子には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
本実施形態の蓄電素子1は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子1は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子1は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子1は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子1と組み合わされて蓄電装置100に用いられる。前記蓄電装置100では、該蓄電装置100に用いられる蓄電素子1が電気エネルギーを供給する。
蓄電素子1は、図1〜図6に示すように、正極11と負極12とを含む電極体2と、電極体2を収容するケース3と、ケース3の外側に配置される外部端子7であって電極体2と導通する外部端子7と、を備える。また、蓄電素子1は、電極体2、ケース3、及び外部端子7の他に、電極体2と外部端子7とを導通させる集電体5等を有する。
電極体2は、正極11と負極12とがセパレータ4(セパレータ基材41)によって互いに絶縁された状態で積層された積層体22が巻回されることによって形成される。電極体2は、正極又は負極12とセパレータ基材41との間に、セパレータ基材41よりも空隙率が高い高空隙層8を有することが好ましい。
正極11は、金属箔111(集電箔)と、金属箔111の表面に重ねられ且つ活物質を含む正極活物質層112と、を有する。本実施形態では、正極活物質層112は、金属箔111の両面にそれぞれ重なる。なお、正極11の厚さは、通常、40μm以上150μm以下である。
金属箔111は帯状である。本実施形態の正極11の金属箔111は、例えば、アルミニウム箔である。正極11は、帯形状の短手方向である幅方向の一方の端縁部に、正極活物質層112の非被覆部(正極活物質層が形成されていない部位)115を有する。なお、金属箔111には、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されてもよい。
正極活物質層112は、粒子状の活物質(活物質粒子)と、粒子状の導電助剤と、バインダとを含有する。正極活物質層112(1層分)の厚さは、通常、12μm以上70μm以下である。正極活物質層112(1層分)の目付量は、通常、6mg/cm 以上17mg/cm 以下である。正極活物質層112の密度は、通常、1.0g/cm 以上6.0g/cm以下である。目付量及び密度は、金属箔111の一方の面を覆うように配置された1層分におけるものである。
正極活物質層112の空隙率は、厚さ方向の一方と他方とにおいて異なってもよい。具体的に、正極活物質層112の空隙率は、セパレータ基材41に近い方(一方)でより低く、金属箔111に近い方(他方)でより高い。即ち、正極活物質層112の空隙率は、セパレータ基材41に近い方よりも、金属箔111に近い方(セパレータ基材41から遠い方)で高い。図6に示すように、例えば正極活物質層112は、複数の活物質粒子Aの間隙によって多孔質に形成されている。活物質層の断面の単位面積あたり、斯かる間隙の面積比率がセパレータ基材41に近い方(一方)でより低い。空隙率が厚さ方向で異なることは、正極活物質層112の厚さを半分にしたときに、一方及び他方の空隙率を比較することによって確認する。具体的には、つぎの通りである。まず、放電状態の電池を乾燥雰囲気下で解体する。解体した電池から正極11の一部を切り出し、当該正極11の活物質層112をジメチルカーボネートで洗浄し、その後、2時間以上真空乾燥を行う。乾燥後の正極11における正極活物質層112を厚さ方向に切断した断面の走査型電子顕微鏡(SEM)の観察において、正極活物質層112の厚さの半分長さを四辺とする正方形の観察像を設定する。観察像は、厚み方向の一方と他方とでそれぞれ設定する。観察像の全面積に対する、空隙が占める面積の割合を算出することによって、それぞれの空隙率を求める。
正極活物質層112において金属箔111に近い方の空隙率は、セパレータ基材41に近い方の空隙率よりも、3ポイント以上5ポイント以下高くてもよい。正極活物質層112において金属箔111に近い方の空隙率は、通常、35%以上50%以下である。一方、セパレータ基材41に近い方の空隙率は、通常、25%以上45%以下である。セパレータ基材41に近い方の空隙率は、35%以上であってもよく、38%以上であってもよい。
正極活物質層112における空隙率は、例えば、正極活物質層112を形成するための合剤(後述)を複数回塗布して正極活物質層112を作製することによって、厚さ方向で異ならせることができる。具体的に、固形分がより少ない合剤を金属箔111に塗布したあと、固形分がより多い合剤をさらに塗布することによって、セパレータ基材41に近い方よりも、金属箔111に近い方で空隙率が高い正極活物質層112を作製することができる。また、例えば、正極活物質層112を形成するための合剤を金属箔111に1回塗布したあとに、合剤に対して比較的高い温度で乾燥処理を施し、金属箔111側と表面側とで空隙率の差を生じさせる方法を採用することができる。これにより、セパレータ基材41に近い方よりも、金属箔111に近い方で空隙率が高い正極活物質層112を作製することができる。
正極11の活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物である。正極11の活物質の平均一次粒子径は、通常、0.5μm以上2.0μm以下である。平均一次粒子径は、下記のようにして測定する。正極11を厚さ方向に切断し、切断によって現れた正極活物質層112の断面を走査型電子顕微鏡で観察する。断面において少なくとも100個の活物質粒子の一次粒子をランダムに選ぶ。選んだ一次粒子の粒子径を測定して平均する。なお、活物質粒子が真球状でない場合、最も長い径を測定する。
正極11の活物質は、例えば、リチウム金属酸化物である。具体的に、正極の活物質は、例えば、LiMeO(Meは、1又は2以上の遷移金属を表す)によって表される複合酸化物(LiCo、LiNi、LiMn、LiNiCoMn等)である。
より具体的に、正極11の活物質は、LiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物(ただし、0<p≦1.3であり、q+r+s=1であり、0≦q≦1であり、0≦r≦1であり、0≦s≦1であり、1.7≦t≦2.3である)であってもよい。なお、0<q<1であり、0<r<1であり、0<s<1であってもよい。
上記のごときLiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物は、例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi1/6Co1/6Mn2/3、LiCoO などである。このとき、リチウム金属複合酸化物に、当該化学組成で示される以外の微量元素が含まれてもよい。
正極活物質層112に用いられるバインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
正極活物質層112は、炭素を98質量%以上含む炭素質材料を導電助剤として含有する。正極活物質層112は、例えば、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等を導電助剤として含有し得る。
負極12は、金属箔121(集電箔)と、金属箔121の上に形成された負極活物質層122と、を有する。本実施形態では、負極活物質層122は、金属箔121の両面にそれぞれ重ねられる。金属箔121は帯状である。本実施形態の負極の金属箔121は、例えば、銅箔である。負極12は、帯形状の短手方向である幅方向の一方の端縁部に、負極活物質層122の非被覆部(負極活物質層が形成されていない部位)125を有する。負極12の厚さは、通常、40μm以上150μm以下である。
負極活物質層122は、粒子状の活物質(活物質粒子)と、バインダと、を含む。負極活物質層122は、セパレータ4(セパレータ基材41)を介して正極活物質層112と向き合うように配置される。負極活物質層122の幅は、正極活物質層112の幅よりも大きい。
負極12の活物質は、負極12において充電反応及び放電反応の電極反応に寄与し得るものである。例えば、負極12の活物質は、天然黒鉛や人工黒鉛などの黒鉛、非晶質炭素(難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素)などの炭素材料、又は、ケイ素(Si)及び錫(Sn)などリチウムイオンと合金化反応を生じる材料である。本実施形態の負極の活物質は、黒鉛であり、具体的には、天然黒鉛である。
負極活物質層122(1層分)の厚さは、通常、10μm以上50μm以下である。負極活物質層122の目付量(1層分)は、通常、0.3g/100cm以上1.0g/100cm以下である。負極活物質層122の密度(1層分)は、通常、0.5g/cm以上6.0g/cm以下である。
負極活物質層122の空隙率は、正極活物質層112と同様に、厚さ方向において異なってもよい。具体的に、負極活物質層122の空隙率は、セパレータ基材41に近い方でより低く、金属箔121に近い方でより高くてもよい。即ち、負極活物質層122の空隙率は、セパレータ基材41に近い方よりも、金属箔121に近い方で高くてもよい。負極活物質層122の空隙率は、上述した正極活物質層112の空隙率と同様にして測定する。
負極活物質層に用いられるバインダは、正極活物質層に用いられるバインダと同様のものである。本実施形態のバインダは、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。
負極活物質層122では、バインダの割合は、活物質粒子とバインダとの合計質量に対して、1質量%以上10質量%以下であってもよい。
負極活物質層122は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の負極活物質層122は、導電助剤を有していない。
本実施形態の電極体2では、以上のように構成される正極11と負極12とがセパレータ4(セパレータ基材41)によって絶縁された状態で巻回される。即ち、本実施形態の電極体2では、正極11、負極12、及びセパレータ4の積層体22が巻回される。セパレータ4は、絶縁性を有する部材である。セパレータ4は、正極11と負極12との間に配置される。これにより、電極体2(詳しくは、積層体22)において、正極11と負極12とが互いに絶縁される。また、セパレータ4は、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、リチウムイオンが、セパレータ4を挟んで交互に積層される正極11と負極12との間を移動する。
セパレータ4は、帯状である。セパレータ4は、多孔質なセパレータ基材41を有する。セパレータ4は、正極11及び負極12間の短絡を防ぐために正極11及び負極12の間に配置されている。本実施形態のセパレータ4は、セパレータ基材41のみを有する。セパレータ基材41の空隙率は、正極活物質層112の金属箔111に近い方の空隙率よりも高く、通常、40%以上70%以下である。
セパレータ基材41の空隙率は、上述した正極活物質層112の空隙率の測定方法と同様に、当該測定の際に解体した電池から切り出したセパレータ4の一部を用い、走査型電子顕微鏡の観察像から求める。セパレータ基材41の空隙率は、例えば、透気抵抗度が異なるセパレータ基材41を採用することによって、変えることができる。
セパレータ基材41は、多孔質に構成される。セパレータ基材41は、例えば、織物、不織布、又は多孔膜である。セパレータ基材の材質としては、高分子化合物、ガラス、セラミックなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)、及び、セルロースからなる群より選択された少なくとも1種が挙げられる。
本実施形態の電極体2は、正極活物質層112又は負極活物質層122と、セパレータ基材41と、の間に配置された高空隙層8を有する。電極体2は、正極活物質層112とセパレータ基材41との間、及び、負極活物質層122とセパレータ基材41との間の両方に高空隙層8を有してもよく、この場合、負極活物質層122の空隙率が、上述した正極活物質層112の空隙率と同様に、厚さ方向で異なってもよい。高空隙層8の空隙率は、セパレータ基材41の空隙率よりも高い。高空隙層8の空隙率は、正極活物質層112(又は負極活物質層122)のセパレータ基材41に近い方の空隙率よりも高く、金属箔111(又は金属箔121)に近い方の空隙率よりも高い。高空隙層8の空隙率は、通常、55%以上85%以下である。
高空隙層8の空隙率は、上述した正極活物質層112の空隙率の測定方法と同様に、当該測定の際に解体した電池から切り出した高空隙層8の一部を用い、走査型電子顕微鏡の観察像から求める。高空隙層8の空隙率は、例えば、高空隙層8を形成するために調製する、溶媒を含む組成物における無機粒子やバインダ(後述)の量を少なくする(固形分を少なくする)ことによって、高くすることができる。
高空隙層8は、少なくとも電気絶縁性を有する無機粒子を含み、さらに、バインダを含む。高空隙層8の電気絶縁性は、正極活物質層112及び負極活物質層122のいずれの電気絶縁性よりも高い。高空隙層8の電気伝導率は、10−6S/m未満である。
高空隙層8は、Liイオンなどが正極11及び負極12の間で移動できるように、無機粒子間の空隙によって多孔質に形成されている。無機粒子は、電気伝導率が10−6S/m未満の絶縁材料を95質量%以上含むものである。
高空隙層8は、通常、無機粒子を30質量%以上99質量%以下含有する。高空隙層8は、通常、バインダを1質量%以上70質量%以下含有する。
無機粒子としては、例えば、酸化物粒子、窒化物粒子、イオン結晶の粒子、共有結合性結晶の粒子、粘土粒子、鉱物資源由来物質あるいはそれらの人造物質の粒子などが挙げられる。酸化物粒子(金属酸化物粒子)としては、例えば、酸化鉄、SiO、Al、TiO、BaTiO、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物などの粒子が挙げられる。窒化物粒子としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの粒子が挙げられる。イオン結晶の粒子としては、例えば、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの粒子が挙げられる。共有結合性結晶の粒子としては、例えば、シリコン、ダイヤモンドなどの粒子が挙げられる。粘土粒子としては、例えば、タルク、モンモリロナイトなどの粒子が挙げられる。鉱物資源由来物質あるいはそれらの人造物質の粒子としては、例えば、ベーマイト(アルミナ水和物)、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカなどの粒子が挙げられる。なお、水和物を含む天然鉱物(例えば、上記の粘土、鉱物資源由来物質)を焼成した焼成体を採用することもできる。本実施形態では、無機粒子は、Al粒子である。
高空隙層8のバインダは、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン− ブタジエンゴム、ニトリル− ブタジエンゴム、ポリスチレン、又は、ポリカーボネートなどである。
高空隙層8は、正極活物質層112又は負極活物質層122の面上に形成されることによって、セパレータ基材41と正極活物質層112又は負極活物質層122との間に配置されてもよい。また、高空隙層8は、セパレータ基材41の面上に形成されることによって、セパレータ基材41と正極活物質層112又は負極活物質層122との間に配置されてもよい。
セパレータ4の幅(帯形状の短手方向の寸法)は、負極活物質層122の幅より僅かに大きい。セパレータ4は、正極活物質層112及び負極活物質層122が重なるように幅方向に位置ずれした状態で重ね合わされた正極11と負極12との間に配置される。このとき、図4に示すように、正極11の非被覆部115と負極12の非被覆部125とは重なっていない。即ち、正極11の非被覆部115が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向に突出し、且つ、負極12の非被覆部125が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向(正極11の非被覆部115の突出方向と反対の方向)に突出する。積層された状態の正極11、負極12、及びセパレータ4、即ち、積層体22が巻回されることによって、電極体2が形成される。正極11の非被覆部115又は負極12の非被覆部125のみが積層された部位によって、電極体2における非被覆積層部26が構成される。
非被覆積層部26は、電極体2における集電体5と導通される部位である。非被覆積層部26は、巻回された正極11、負極12、及びセパレータ4の巻回中心方向視において、中空部27(図4参照)を挟んで二つの部位(二分された非被覆積層部)261に区分けされる。
以上のように構成される非被覆積層部26は、電極体2の各極に設けられる。即ち、正極11の非被覆部115のみが積層された非被覆積層部26が電極体2における正極11の非被覆積層部を構成し、負極12の非被覆部125のみが積層された非被覆積層部26が電極体2における負極12の非被覆積層部を構成する。
ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。ケース3は、電極体2及び集電体5等と共に、電解液を内部空間に収容する。ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。ケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。ケース3は、ステンレス鋼及びニッケル等の金属材料、又は、アルミニウムにナイロン等の樹脂を接着した複合材料等によって形成されてもよい。
電解液は、非水溶液系電解液である。電解液は、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類である。電解質塩は、LiClO、LiBF、及びLiPF等である。本実施形態の電解液は、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートを所定の割合で混合した混合溶媒に、0.5〜1.5mol/LのLiPFを溶解させたものである。
ケース3は、ケース本体31の開口周縁部と、長方形状の蓋板32の周縁部とを重ね合わせた状態で接合することによって形成される。また、ケース3は、ケース本体31と蓋板32とによって画定される内部空間を有する。本実施形態では、ケース本体31の開口周縁部と蓋板32の周縁部とは、溶接によって接合される。
以下では、図1に示すように、蓋板32の長辺方向をX軸方向とし、蓋板32の短辺方向をY軸方向とし、蓋板32の法線方向をZ軸方向とする。ケース本体31は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ板状の部材である。
蓋板32は、ケース3内のガスを外部に排出可能なガス排出弁321を有する。ガス排出弁321は、ケース3の内部圧力が所定の圧力まで上昇したときに、該ケース3内から外部にガスを排出する。ガス排出弁321は、X軸方向における蓋板32の中央部に設けられる。
ケース3には、電解液を注入するための注液孔が設けられる。注液孔は、ケース3の内部と外部とを連通する。注液孔は、蓋板32に設けられる。注液孔は、注液栓326によって密閉される(塞がれる)。注液栓326は、溶接によってケース3(本実施形態の例では蓋板32)に固定される。
外部端子7は、他の蓄電素子1の外部端子7又は外部機器等と電気的に接続される部位である。外部端子7は、導電性を有する部材によって形成される。例えば、外部端子7は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、銅又は銅合金等の銅系金属材料等の溶接性の高い金属材料によって形成される。
外部端子7は、バスバ等が溶接可能な面71を有する。面71は、平面である。外部端子7は、蓋板32に沿って拡がる板状である。詳しくは、外部端子7は、Z軸方向視において矩形状の板状である。
集電体5は、ケース3内に配置され、電極体2と通電可能に直接又は間接に接続される。本実施形態の集電体5は、クリップ部材50を介して電極体2と通電可能に接続される。即ち、蓄電素子1は、電極体2と集電体5とを通電可能に接続するクリップ部材50を備える。
集電体5は、導電性を有する部材によって形成される。図2に示すように、集電体5は、ケース3の内面に沿って配置される。集電体5は、蓄電素子1の正極11と負極12とにそれぞれ配置される。本実施形態の蓄電素子1では、集電体5は、ケース3内において、電極体2の正極11の非被覆積層部26と、負極12の非被覆積層部26とにそれぞれ配置される。
正極11の集電体5と負極12の集電体5とは、異なる材料によって形成される。具体的に、正極11の集電体5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、負極12の集電体5は、例えば、銅又は銅合金によって形成される。
本実施形態の蓄電素子1では、電極体2とケース3とを絶縁する袋状の絶縁カバー6に収容された状態の電極体2(詳しくは、電極体2及び集電体5)がケース3内に収容される。
次に、上記実施形態の蓄電素子1の製造方法について説明する。
蓄電素子1の製造方法では、まず、金属箔(集電箔)に活物質を含む合剤を塗布し、活物質層を形成し、電極(正極11及び負極12)を作製する。次に、正極11、セパレータ4、及び負極12を重ね合わせて電極体2を形成する。続いて、電極体2をケース3に入れ、ケース3に電解液を入れることによって蓄電素子1を組み立てる。
電極(正極11)の作製では、金属箔の両面に、活物質とバインダと溶媒とを含む合剤をそれぞれ塗布することによって正極活物質層112を形成する。合剤の塗布量を変化させることによって、正極活物質層112の厚さや目付量を調整することができる。正極活物質層112を形成するための塗布方法としては、一般的な方法が採用される。このとき、固形分がより少ない合剤を金属箔に塗布したあとに、固形分がより多い合剤をさらに塗布することによって、厚さ方向で空隙率が異なり、金属箔に近い方で空隙率が高い活物質層を形成できる。合剤を塗布した後に、加温等を行うことによって、合剤に含まれている溶媒を揮発させることができる。合剤を1回塗布した場合、加温時の温度を比較的高くすることによって、溶媒の揮発速度を高めて、金属箔に近い方で空隙率が高い活物質層を形成できる。さらに、正極活物質層112を所定の圧力でロールプレスする。プレス圧を変化させることにより、正極活物質層112の厚さや密度を調整できる。なお、同様にして、負極12を作製することができる。
電極体2の形成では、正極11と負極12との間にセパレータ4を挟み込んだ積層体22を巻回することにより、電極体2を形成する。詳しくは、正極活物質層112と負極活物質層122とがセパレータ4を介して互いに向き合うように、正極11とセパレータ4と負極12とを重ね合わせ、積層体22を作る。積層体22を巻回して、電極体2を形成する。
なお、高空隙層8は、例えば、無機粒子とバインダと溶媒とを含む組成物を、セパレータ基材41の面に塗布するか、又は、正極11又は負極12の少なくともいずれかの活物質層の表面に塗布することによって形成できる。そして、上記のごとく巻回するときに、高空隙層8も積層された積層体22を巻回する。
蓄電素子1の組み立てでは、ケース3のケース本体31に電極体2を入れ、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぎ、電解液をケース3内に注入する。ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐときには、ケース本体31の内部に電極体2を入れ、正極11と一方の外部端子7とを導通させ、且つ、負極12と他方の外部端子7とを導通させた状態で、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐ。電解液をケース3内へ注入するときには、ケース3の蓋板32の注入孔から電解液をケース3内に注入する。
上記のように構成された本実施形態の蓄電素子1は、正極11と負極12とを電極として有する電極体2と、電解液と、を含む。電極体2は、正極11及び負極12の間に配置されたセパレータ基材41を有する。正極11及び負極12は、活物質粒子を含有する正極活物質層112及び負極活物質層122をそれぞれ有する。正極活物質層112及び負極活物質層122は、セパレータ基材を介して互いに対向する。正極活物質層112又は負極活物質層122の空隙率は、厚さ方向の一方と他方とで異なり、且つ、セパレータ基材41に近い一方にて他方よりも低い。電極体2は、セパレータ基材41よりも空隙率が高く、且つ、空隙率の異なる正極活物質層112とセパレータ基材41との間に配置された高空隙層8をさらに有する。斯かる構成において、正極活物質層112又は負極活物質層122の空隙率が高い他方の部分には、空隙率が高い分、空隙に電解液が多く存在する。一方で、正極活物質層112又は負極活物質層122の空隙率が低い一方の部分には、空隙率が比較的高い高空隙層8から電解液が供給されやすい。これにより、正極活物質層112又は負極活物質層122は、放電反応に寄与する十分な量の電解液を含浸している。従って、高レートでも低レートでも、放電反応が効率良く進みやすく、いずれのときでも十分な電気量を放電できる。従って、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることが抑制された蓄電素子を提供できる。
上記の蓄電素子1では、正極活物質層112又は負極活物質層122のセパレータ基材41に近い方(一方)の空隙率は、38%以上であってもよい。斯かる構成により、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることがより抑制される。
上記の蓄電素子1では、高空隙層8は、正極活物質層112とセパレータ基材41との間、及び、負極活物質層122とセパレータ基材41との間の両方に、それぞれ配置されてもよい。正極活物質層112及び負極活物質層122の空隙率は、いずれも、厚さ方向において異なり、セパレータ基材41から遠い方(他方)よりも近い方(一方)で、低くてもよい。斯かる構成により、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることがより抑制される。
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記の実施形態では、活物質を含む活物質層が金属箔に直接接した正極について詳しく説明したが、本発明では、正極が、バインダと導電助剤とを含む導電層であって活物質層と金属箔との間に配置された導電層を有してもよい。
上記実施形態では、活物質層が各電極の金属箔の両面側にそれぞれ配置された電極について説明したが、本発明の蓄電素子では、正極11又は負極12は、活物質層を金属箔の片面側にのみ備えてもよい。
上記実施形態では、積層体22が巻回されてなる電極体2を備えた蓄電素子1について詳しく説明したが、本発明の蓄電素子は、巻回されない積層体22を備えてもよい。詳しくは、それぞれ矩形状に形成された正極、セパレータ、負極、及びセパレータが、この順序で複数回積み重ねられてなる電極体を蓄電素子が備えてもよい。
上記実施形態では、蓄電素子1が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子1の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態では、蓄電素子1の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
蓄電素子1(例えば電池)は、図7に示すような蓄電装置100(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)に用いられてもよい。蓄電装置100は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材91と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子に適用されていればよい。
以下に示すようにして、非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を製造した。
(実施例1)
(1)正極の作製
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、導電助剤(アセチレンブラック)と、バインダ(PVdF)と、活物質粒子(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)とを混合し、混練することで、正極用の2種類の合剤を調製した。まず、導電助剤、バインダ、活物質粒子の配合量を、それぞれ4.5質量%、4.5質量%、91質量%とした低固形分の合剤を調製した。次に、導電助剤、バインダ、活物質粒子の配合量を、それぞれ4.5質量%、4.5質量%、91質量%とした高固形分の合剤を調製した。このとき、有機溶媒の量を低固形分の合剤よりも少なくすることで、高固形分の合剤を調製した。調製した低固形分の合剤を、アルミニウム箔(厚さ15μm)の両面に、乾燥後の塗布量(目付量 1層分)が4.3mg/cmとなるようにそれぞれ塗布した。塗布した合剤のうえに、高固形分の合剤を乾燥後の塗布量(目付量 1層分)が4.3mg/cmとなるようそれぞれ塗布した。乾燥後、所定の圧力でロールプレスを行った。その後、真空乾燥して、水分等を除去した。活物質層(1層分)の厚さは、32μmであった。活物質層の密度は、2.69g/cmであった。
(2)負極の作製
活物質粒子としては、天然黒鉛の粒子を用いた。バインダとしては、スチレンブタジエンゴムを用いた。負極用の合剤は、溶剤としての水と、バインダと、カルボキシメチルセルロース(CMC)と、活物質粒子とを混合、混練することで調製した。CMCは、1.0質量%となるように配合し、バインダは、2.0質量%となるように配合し、活物質粒子は、97.0質量%となるように配合した。調製した負極用の合剤を、乾燥後の塗布量(目付量 1層分)が3.8mg/cmとなるように、銅箔(厚さ10μm)の両面にそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行い、真空乾燥して、水分等を除去した。活物質層(1層分)の厚さは、39μmであった。活物質層の密度は、0.974g/cmであった。
(3)セパレータ(セパレータ基材)
セパレータ基材として厚さが22μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。ポリエチレン製微多孔膜の透気抵抗度は、100秒/100ccであった。
(4)高空隙層(無機多孔層)
無機粒子(アルミナ粒子)95質量%と、バインダ(具体的にポリフッ化ビニリデン)5質量%と、溶媒とを含む組成物を調製し、斯かる組成物をセパレータ基材の片方の面に塗布した。加熱によって溶媒を揮発させ、セパレータ基材上に高空隙層(無機多孔層)を形成した。なお、下記のごとく電極体を巻回する前に、高空隙層を正極活物質層に接触するように配置した。
(5)電解液の調製
電解液としては、以下の方法で調製したものを用いた。非水溶媒として、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを、いずれも1容量部ずつ混合した溶媒を用い、この非水溶媒に、塩濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させ、電解液を調製した。
(6)ケース内への電極体の配置
上記の正極、上記の負極、上記の電解液、セパレータ、高空隙層、及びケースを用いて、一般的な方法によって電池を製造した。
まず、セパレータが上記の正極および負極の間に配されて積層されてなるシート状物を巻回した。次に、巻回されてなる電極体を、ケースとしてのアルミニウム製の角形電槽缶のケース本体内に配置した。続いて、正極及び負極を2つの外部端子それぞれに電気的に接続させた。さらに、ケース本体に蓋板を取り付けた。上記の電解液を、ケースの蓋板に形成された注液口からケース内に注入した。最後に、ケースの注液口を封止することにより、ケースを密閉した。
(実施例2〜15、比較例1〜10)
正極活物質層、セパレータ基材、高空隙層の各空隙率を表1に示すように変えた点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。
詳しくは、実施例1〜15、比較例1〜10(比較例2,6,8を除く)では、上記のごとく、低固形分の合剤を塗布したあとに、高固形分の合剤を塗布することによって、厚み方向で空隙率が異なる正極活物質層を作製した。
一方、比較例2,6,8では、所定の固形分の合剤を1回のみ塗布することによって、厚み方向で空隙率が異ならない正極活物質層を作製した。
また、表1に示す各実施例、各比較例(ただし、比較例1,5は除く)では、セパレータ基材の片方の面上に高空隙層を形成した。
また、表2に示す各実施例、各比較例(ただし、比較例7は除く)では、正極活物質層の表面に、高空隙層用の組成物を塗布することによって、正極活物質層の上に高空隙層を形成した。
なお、いずれの負極活物質層も、厚み方向の空隙率が異なるように形成しなかった。
<高レートと低レートとでの放電電気量の差(放電レート特性)の評価>
4.2Vまで充電した電池を40Aの放電電流で2.4Vまで放電することで、40A放電時の放電電気量C1を測定した。
上記の測定を行った電池を4.2Vまで充電し、200Aの放電電流で2.4Vまで放電することで、200A放電時の放電電気量C2を測定した。
そして、[C2/C1]×100の計算式によって算出された値を放電レート特性とした。
製造した電池の放電レート特性の評価結果を表1及び表2に示す。表1及び表2から把握されるように、実施例の電池では、高レートと低レートとでの放電電気量の差が大きくなることが抑制された。
1:蓄電素子(非水電解質二次電池)、
2:電極体、
26:非被覆積層部、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋板、
4:セパレータ、
5:集電体、 50:クリップ部材、
6:絶縁カバー、
7:外部端子、 71:面、
8:高空隙層(無機多孔層)、
11:正極、
111:正極の金属箔(集電箔)、 112:正極活物質層、
12:負極、
121:負極の金属箔(集電箔)、 122:負極活物質層、
91:バスバ部材、
100:蓄電装置。

Claims (3)

  1. 正極と負極とを電極として有する電極体と、電解液と、を含み、
    前記電極体は、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータ基材を有し、
    前記正極及び負極は、活物質粒子を含有する活物質層をそれぞれ有し、
    前記正極の活物質層及び前記負極の活物質層は、前記セパレータ基材を介して互いに対向し、
    少なくともいずれかの電極の活物質層の空隙率は、厚さ方向の一方と他方とで異なり、且つ、前記セパレータ基材に近い前記一方にて前記他方よりも低く、
    前記電極体は、前記セパレータ基材よりも空隙率が高く、且つ、前記空隙率の異なる前記活物質層と前記セパレータ基材との間に配置された高空隙層をさらに有する、蓄電素子。
  2. 前記セパレータ基材に近い前記一方の空隙率は、38%以上である、請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 前記正極及び前記負極のいずれも、前記空隙率が厚み方向で前記他方よりも前記一方にて低い活物質層をそれぞれ有し、
    前記高空隙層は、前記正極の活物質層と前記セパレータ基材との間、及び、前記負極の活物質層と前記セパレータ基材との間の両方に、それぞれ配置されている、請求項1又は2に記載の蓄電素子。
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