JP2018090652A - 原油分散安定剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】高粘度の原油を分散又はエマルション化して粘度を低減し、得られた原油分散液又はエマルションを長時間安定に存在させることができる原油分散安定剤を提供する。【解決手段】ビニルアルコール系重合体を含有する原油分散安定剤であって、前記ビニルアルコール系重合体が、末端又は側鎖に疎水性基を有する原油分散安定剤である。【選択図】なし
Description
本発明は、ビニルアルコール系重合体を含有する原油分散安定剤に関する。
重質油に代表される原油は、在来型石油よりも高粘度の非在来型石油であり、豊富な埋蔵量から石油の枯渇問題緩和への貢献が期待されている。しかし、重質油は粘度が高く流動性に乏しいため、油層からの効率的な回収、およびパイプライン輸送が困難という問題があった。
このような重質油の流動性を改善し、回収、輸送する方法として、分散乳化剤としてポリビニルアルコール(PVA)を用い、重質油を水溶液中にエマルション化して低粘度化する技術が開示されている(特許文献1、2)。特許文献1および特許文献2に開示の方法は、API比重30°以下の重質油から、API比重10°以下の極めて粘度の高い超重質油やビチューメン類に至るまで有効にエマルション化し、粘度を低下させることができるとされている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、この方法で得られたエマルションは、短時間に粘度が高くなったり、沈降物が生成したり、粒子が凝集して大きくなったり、油が分離するといった現象がしばしば見られ、安定性に劣るという問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、高粘度の原油を分散又はエマルション化して粘度を低減し、得られた原油分散液又はエマルションを長時間安定に存在させることができる原油分散安定剤を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、疎水性基を末端又は側鎖に有するビニルアルコール系重合体を含有する原油分散安定剤により、高粘度の原油をエマルション化することができ、そのエマルションの状態を長時間にわたって安定に存在させることができることを見出し、本発明に至った。
上記課題は、ビニルアルコール系重合体を含有する原油分散安定剤であって、前記ビニルアルコール系重合体が、末端又は側鎖に疎水性基を有することを特徴とする原油分散安定剤を提供することによって解決される。
このとき、前記疎水性基が炭化水素基であることが好適であり、前記疎水性基が炭素数6〜18のアルキル基又はアリール基であることが好適である。また、このとき、前記ビニルアルコール系重合体が末端に疎水性基を有することが好適であり、API比重30°以下の原油に使用することが好適である。
上記課題は、上記原油分散安定剤と水とを含む原油処理剤であって、原油処理剤の全量100質量部に対して、前記原油分散安定剤を0.05〜40質量部含む原油処理剤を提供することによっても解決される。
また、上記課題は、上記原油処理剤と原油とを含む原油分散液であって、原油分散液の全量100質量部に対して、前記原油処理剤を3〜50質量部含み、前記ビニルアルコール系重合体を0.001〜1質量部含み、かつ、前記原油を50〜97質量部含む原油分散液を提供することによっても解決される。
本発明の原油分散安定剤により、高粘度の原油を分散又はエマルション化して粘度を低減し、得られた原油分散液又はエマルションを長時間安定に存在させることができる。
本発明の原油分散安定剤は、疎水性基を末端又は側鎖に有するビニルアルコール系重合体を含有することを特徴とする。本発明の原油分散安定剤により、高粘度の原油を分散又はエマルション化して、低粘度の原油分散液又はエマルションが得られることが明らかとなった。こうして得られた原油分散液又はエマルションは、短時間で粘度が高くなることがなく、安定性に優れている。後述する実施例と比較例との対比結果からも分かるように、無変性のPVAを用いた比較例1(重質油)では、原油分散液の粘度が6時間経過後に高くなっており、同様に無変性のPVAを用いた比較例2(ビチューメン)では、原油分散液において沈降物が生成してしまい粘度を測定することができなかった。これに対し、疎水性基を末端又は側鎖に有するビニルアルコール系重合体を含有する原油分散安定剤を用いた実施例1〜8では、原油の分散安定性に優れていた。したがって、油層からの原油の回収を効率的に行うことが可能となる。また、パイプラインによる輸送も可能となる。
本発明における原油には、重質油、ビチューメン(オイルサンド)、タール、ピッチ等の原油が含まれる。本発明の原油分散安定剤により高粘度の原油を分散又はエマルション化することができる。前記原油がAPI比重30°以下の原油であることが好ましい。すなわち、API比重30°以下の原油に使用する原油分散安定剤が本発明の好適な実施態様である。
本発明で用いられるビニルアルコール系重合体は、末端又は側鎖に疎水性基を有するものである(以下「変性PVA」と略記することがある)。疎水性基としては特に限定されず、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基が好適に用いられる。これら炭化水素基は置換基を有していても構わない。中でも、疎水性基が炭素数6〜18のアルキル基又はアリール基であることがより好適である。
炭素数6〜18のアルキル基としては、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
以下、疎水性基を末端に有するビニルアルコール系重合体(以下「末端変性PVA」と略記することがある)について説明する。末端変性PVAの製造方法について特に制限はなく、種々の方法を採用することができる。例えば、(1)疎水性基を有するアルコール、アルデヒド、チオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤として共存させてビニルエステルを重合させ、得られる重合体をけん化する方法、または(2)ビニルアルコール系重合体の末端に疎水性基を化学反応により導入する方法等が挙げられる。末端変性PVAをより経済的かつ効率的に得る方法として、疎水性基を有する連鎖移動剤、特に炭素数6〜18のアルキル基又はアリール基を有するチオールの存在下に、酢酸ビニル等のビニルエステル類を重合し、次いでけん化する方法が好ましい(特開昭59−166505号公報、特開平1−240501号公報、特公昭61−41924号公報及び特開平7−292025号公報参照)。
上記疎水性基を有する連鎖移動剤としては、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチル−ヘキシルアルデヒド、n−カプリンアルデヒド、n−デシルアルデヒド、n−ウンデシルアルデヒド、n−ラウリルアルデヒド、n−トリデシルアルデヒド、セチルアルデヒド、パルミチルアルデヒド、ステアリルアルデヒドなどの炭素数6〜18のアルデヒド;またはn−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、チオフェノールなどの炭素数6〜18のアルキル基又はアリール基を有するメルカプタンを利用することができる。中でも、連鎖移動剤としては、炭素数6〜18のアルキル基又はアリール基を有するメルカプタンが好適に使用される。炭素数は8以上がより好ましい。
これら末端変性PVAは、ビニルエステル系単量体を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等の従来公知の方法を採用して重合させ、得られたビニルエステル系重合体をけん化することにより製造することができる。工業的観点から好ましい重合方法は、溶液重合法、乳化重合法および分散重合法である。重合操作にあたっては、回分法、半回分法および連続法のいずれの重合方式を採用することも可能である。
重合に用いることができるビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどを挙げることができ、これらの中でも酢酸ビニルが工業的観点から好ましい。
ビニルエステル系単量体の重合に際して、本発明の主旨を損なわない範囲であればビニルエステル系単量体を他の単量体を共重合させても差し支えないが、ビニルエステル系単量体を単独で重合することが好ましい。使用しうる他の単量体としては、例えば、プロピレン、n−ブテン、イソブチレンなどのα−オレフィン;アクリル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシルなどのメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体などのアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体などのメタクリルアミド誘導体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテルなどのオキシアルキレン基含有単量体;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
本発明では、ビニルエステル系単量体を通常よりも高い温度条件で重合して得られる1,2−グリコール結合の含有量の多い変性PVAを用いることもできる。この場合、1,2−グリコール結合の含有量は、好ましくは1.9モル%以上、より好ましくは2.0モル%以上、さらに好ましくは2.1モル%以上である。
ビニルエステル系重合体のけん化反応には、従来公知の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基性触媒、またはp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いた、加アルコール分解ないし加水分解反応が適用できる。けん化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。中でも、メタノールまたはメタノールと酢酸メチルとの混合溶液を溶媒として用い、塩基性触媒である水酸化ナトリウムの存在下にけん化反応を行うのが簡便であり好ましい。
以下、疎水性基を側鎖に有するビニルアルコール系重合体(以下「側鎖変性PVA」と略記することがある)について説明する。側鎖変性PVAの製造方法について特に制限はなく、種々の方法を採用することができる。例えば、炭素数6〜18のα−オレフィンやN−(メタ)アクリルアミド誘導体から選択される少なくとも1種の単量体とビニルエステル系単量体とを共重合させ、得られる共重合体をけん化する方法が好適に採用される。炭素数6〜18のα−オレフィンとしては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。炭素数6〜18のN−(メタ)アクリルアミド誘導体としては、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−デシル(メタ)アクリルアミド、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。炭素数は8以上がより好ましい。
ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどを挙げることができ、これらの中でも酢酸ビニルが工業的観点から好ましい。
得られる共重合体のけん化反応としては、上記末端変性PVAの説明のところに記載した方法と同様の方法を用いることができる。
上記変性PVAのけん化度は、好ましくは70〜99.9モル%であり、より好ましくは80〜99.5モル%であり、更に好ましくは85〜99モル%である。けん化度が70モル%未満の場合、PVAの水への溶解性が低下するおそれがある。なお、変性PVAのけん化度は、JIS−K6726(1994)に従って測定することができる。
上記変性PVAの粘度平均重合度(以下単に重合度と言うことがある)の上限は、通常4000以下であり、好ましくは2000以下であり、特に好ましくは1000以下である。粘度平均重合度が4000より大きいと、変性PVAの生産性が低下するおそれがある。粘度平均重合度の下限については特に制限はないが、分散安定性が良好となる観点から、粘度平均重合度は100以上が好ましく、150以上がより好ましく、200以上が更に好ましい。なお、変性PVAの粘度平均重合度は、JIS−K6726(1994)に従って測定した値である。すなわち、変性PVAをけん化度99.5モル%以上に再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](リットル/g)から次式により求めることができる。
P=([η]×10000/8.29)(1/0.62)
P=([η]×10000/8.29)(1/0.62)
上記変性PVAの変性量は、好ましくは0.01〜10モル%である。変性量が0.01モル%未満の場合、原油を分散することが困難となるおそれがあるとともに、原油分散液が短時間で分離してしまうおそれがある。上記変性PVAの変性量は、より好ましくは0.05モル%以上であり、更に好ましくは0.2モル%以上である。一方、変性量が10モル%を超える場合、PVAの溶解性が低下するおそれがあり、より好ましくは5モル%以下であり、更に好ましくは2モル%以下である。なお、変性PVAの変性量は、プロトンNMR測定により得ることができる。
上記説明したように、本発明で用いられるビニルアルコール系重合体は、末端又は側鎖に疎水性基を有するものであるが、原油の分散安定性をより向上させる観点から、ビニルアルコール系重合体が疎水性基を末端に有するものであることが好ましい。
本発明の原油分散安定剤は、原油に対して直接添加してもよいが、好適には水と混合して得られる原油処理剤として使用される。このとき、原油処理剤の全量100質量部に対して、前記原油分散安定剤を0.05〜40質量部含むことが好ましい。原油の分散安定性をより向上させる観点から、前記原油分散安定剤の下限としては、0.1質量部以上であることがより好ましい。一方、前記原油分散安定剤の上限としては、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。本発明において、原油処理剤の全量100質量部に対して、前記原油分散安定剤を0.05〜40質量部含み、かつ水を60〜99.95質量部含む原油処理剤が好適な実施態様である。原油の分散安定性をより向上させる観点から、前記原油分散安定剤を0.1〜30質量部含み、かつ水を70〜99.9質量部含む原油処理剤がより好適な実施態様であり、前記原油分散安定剤を0.1〜20質量部含み、かつ水を80〜99.9質量部含む原油処理剤が更に好適な実施態様である。
前記原油処理剤としては、原油分散安定剤を含む水溶液であることが好ましい。前記原油処理剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルコール等の水以外の溶媒が含まれていてもよく、通常用いられる安定剤、界面活性剤等が含まれていてもよい。
本発明において、前記原油処理剤を用いて原油を分散又はエマルション化する方法としては特に限定されない。パイプライン輸送の前処理として前記原油処理剤と原油とを混合する方法が好適な実施態様であり、油層中に前記原油処理材を注入し、分散又はエマルション化した原油分散液を得る方法も好適な実施態様である。また、前記原油処理剤を用いた原油の改質方法も好適な実施態様である。
本発明において、前記原油処理剤を用いて原油を分散又はエマルション化する際の配合割合としては特に限定されないが、原油処理剤と原油との質量比(原油処理剤/原油)が3/97〜50/50であることが好ましい。原油の分散安定性をより向上させる観点から、前記質量比が5/95〜40/60であることがより好ましい。
また本発明において、前記原油処理剤を含む原油分散液であって、原油分散液の全量100質量部に対して、前記原油処理剤を3〜50質量部含み、前記ビニルアルコール系重合体を0.001〜1質量部含み、かつ、前記原油を50〜97質量部含む原油分散液が好適な実施態様である。原油分散液の全量100質量部に対する前記原油処理剤の含有量としては、原油の分散安定性をより向上させる観点から、5〜40質量部であることが好ましく、前記原油の含有量としては、60〜95質量部であることが好ましい。また、前記ビニルアルコール系重合体の含有量としては、原油の分散安定性をより向上させる観点から、0.05〜0.8質量部であることが好ましい。こうして得られた原油分散液は、エネルギー源として好適に使用される。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[末端疎水性基含有PVAの合成]
<PVA−1〜3>
特公昭61−41924号公報の実施例1に記載の方法で、末端にアルキル基を有するビニルアルコール系重合体(PVA−1〜3)を合成した。合成に用いたメルカプタンの種類、JIS−K6726(1994)に準拠して測定したビニルアルコール単位の含有量(けん化度)及び粘度平均重合度、1H−NMR測定により求めた変性量を表1に示す。
<PVA−1〜3>
特公昭61−41924号公報の実施例1に記載の方法で、末端にアルキル基を有するビニルアルコール系重合体(PVA−1〜3)を合成した。合成に用いたメルカプタンの種類、JIS−K6726(1994)に準拠して測定したビニルアルコール単位の含有量(けん化度)及び粘度平均重合度、1H−NMR測定により求めた変性量を表1に示す。
<PVA−4>
特開平7−292025号公報の実施例1に記載の方法で、末端にフェニル基を有するビニルアルコール系重合体(PVA−4)を合成した。合成に用いたメルカプタンの種類、JIS−K6726(1994)に準拠して測定したビニルアルコール単位の含有量(けん化度)及び粘度平均重合度、1H−NMR測定により求めた変性量を表1に示す。
特開平7−292025号公報の実施例1に記載の方法で、末端にフェニル基を有するビニルアルコール系重合体(PVA−4)を合成した。合成に用いたメルカプタンの種類、JIS−K6726(1994)に準拠して測定したビニルアルコール単位の含有量(けん化度)及び粘度平均重合度、1H−NMR測定により求めた変性量を表1に示す。
[側鎖疎水性基含有PVAの合成]
<PVA−5>
(1)攪拌機、還流冷却管、アルゴン導入管、開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル630質量部、1−ドデセン6.2質量部、及びメタノール1766質量部を仕込み、アルゴンバブリングをしながら30分間系内をアルゴン置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部を添加し重合を開始した。60℃で4.8時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合停止時の重合率は60%であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応のモノマーの除去を行い、1−ドデセンが導入されたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液(濃度55.6%)を得た。
<PVA−5>
(1)攪拌機、還流冷却管、アルゴン導入管、開始剤の添加口を備えた反応器に、酢酸ビニル630質量部、1−ドデセン6.2質量部、及びメタノール1766質量部を仕込み、アルゴンバブリングをしながら30分間系内をアルゴン置換した。反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0質量部を添加し重合を開始した。60℃で4.8時間重合した後、冷却して重合を停止した。重合停止時の重合率は60%であった。続いて、30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応のモノマーの除去を行い、1−ドデセンが導入されたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液(濃度55.6%)を得た。
(2)上記(1)で得られた1−ドデセンが導入されたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液540質量部にイオン交換水3.75質量部、メタノール199質量部を加え(溶液中の1−ドデセンが導入されたポリ酢酸ビニルは300質量部)、さらに、水酸化ナトリウムメタノール溶液(濃度12.8%)を添加して、40℃でけん化を行った(けん化溶液の1−ドデセンが導入されたポリ酢酸ビニル濃度40%、水分率0.5質量%、1−ドデセンが導入されたポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対する水酸化ナトリウムのモル比0.0075)。水酸化ナトリウムメタノール溶液を添加後約15分でゲル化物が生成したので、これを粉砕機にて粉砕し、さらに40℃で45分間放置してけん化を進行させた。これに酢酸メチルを加えて残存するアルカリを中和した後、メタノールソックスレーでよく洗浄し、真空乾燥機中40℃で12時間乾燥することにより、側鎖疎水性基含有PVA(PVA−5)を得た。1H−NMR測定により求めた1−ドデセンの含有量(変性量)、JIS−K6726(1994)に準拠して測定したビニルアルコール単位の含有量(けん化度)及び粘度平均重合度を表1に示す。
実施例1
ガラス製スクリュー管に、PVA−1の0.5質量%水溶液6質量部、重質油(35℃粘度580mPa・s、API比重11.6)14質量部を添加し、マグネチックスターラーを用いて1500rpmで15分間撹拌し、原油分散液を作製した。作製直後の原油分散液の粘度(A)および35℃で6時間経過後の原油分散液の粘度(B)を、B型粘度計を用いて35℃で測定した。得られた結果を表2に示す。また、分散液安定性の指標として、(B/A)の値を表2に示す。
ガラス製スクリュー管に、PVA−1の0.5質量%水溶液6質量部、重質油(35℃粘度580mPa・s、API比重11.6)14質量部を添加し、マグネチックスターラーを用いて1500rpmで15分間撹拌し、原油分散液を作製した。作製直後の原油分散液の粘度(A)および35℃で6時間経過後の原油分散液の粘度(B)を、B型粘度計を用いて35℃で測定した。得られた結果を表2に示す。また、分散液安定性の指標として、(B/A)の値を表2に示す。
実施例2〜8
実施例1において、PVAの種類、PVAの濃度、原油の種類、分散液組成を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして原油分散液を作製し、評価を行った。尚、実施例7および8で用いたビチューメンはカナダ産(35℃での粘度66100mPa・s、API比重7.6)である。得られた結果を表2に示す。
実施例1において、PVAの種類、PVAの濃度、原油の種類、分散液組成を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして原油分散液を作製し、評価を行った。尚、実施例7および8で用いたビチューメンはカナダ産(35℃での粘度66100mPa・s、API比重7.6)である。得られた結果を表2に示す。
比較例1
実施例1で用いたPVA−1に代えて無変性PVA(重合度300、けん化度88モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして原油分散液を作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例1で用いたPVA−1に代えて無変性PVA(重合度300、けん化度88モル%)を用いた以外は実施例1と同様にして原油分散液を作製し、評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例2
比較例1で用いた重質油に代えてビチューメンを用いた以外は比較例1と同様にして原油分散液を作製し、評価を行った。得られた原油分散液は直ちに沈降物を生成し、粘度を測定することができなかった。得られた結果を表2に示す。
比較例1で用いた重質油に代えてビチューメンを用いた以外は比較例1と同様にして原油分散液を作製し、評価を行った。得られた原油分散液は直ちに沈降物を生成し、粘度を測定することができなかった。得られた結果を表2に示す。
Claims (7)
- ビニルアルコール系重合体を含有する原油分散安定剤であって、前記ビニルアルコール系重合体が、末端又は側鎖に疎水性基を有することを特徴とする原油分散安定剤。
- 前記疎水性基が炭化水素基である請求項1記載の原油分散安定剤。
- 前記疎水性基が炭素数6〜18のアルキル基又はアリール基である請求項1又は2記載の原油分散安定剤。
- 前記ビニルアルコール系重合体が末端に疎水性基を有する請求項1〜3のいずれか記載の原油分散安定剤。
- API比重30°以下の原油に使用する請求項1〜4のいずれか記載の原油分散安定剤。
- 請求項1〜5のいずれか記載の原油分散安定剤と水とを含む原油処理剤であって、原油処理剤の全量100質量部に対して、前記原油分散安定剤を0.05〜40質量部含む原油処理剤。
- 請求項6記載の原油処理剤と原油とを含む原油分散液であって、原油分散液の全量100質量部に対して、前記原油処理剤を3〜50質量部含み、前記ビニルアルコール系重合体を0.001〜1質量部含み、かつ、前記原油を50〜97質量部含む原油分散液。
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