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JP2018079687A - 画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法 - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法 Download PDF

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JP2018079687A JP2017195149A JP2017195149A JP2018079687A JP 2018079687 A JP2018079687 A JP 2018079687A JP 2017195149 A JP2017195149 A JP 2017195149A JP 2017195149 A JP2017195149 A JP 2017195149A JP 2018079687 A JP2018079687 A JP 2018079687A
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Abstract

【課題】圧力をかけてもオフセットせず、耐ブロッキング性、及び耐摺擦性に優れ、光沢性が高い画像が得られる画像形成方法の提供。【解決手段】記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程と、を含み、前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下である画像形成方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、使用する装置の騒音が小さく、操作性が良いという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ記録媒体として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィスや家庭での出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機としての利用が期待され、溶剤インキやUVインキによる非吸収性の記録媒体に対しても記録が可能な印刷機が実際に市販されてきた。しかし、近年、環境面への対応から、水性インキの需要が高まっている。
インクジェット用の水性インクとしては、印刷対象を普通紙や写真光沢紙のような専用紙としたインクが古くから開発されている。一方、近年、インクジェット記録方式の用途拡大が期待されており、コート紙のような塗工紙への印刷のニーズが高まっている。しかし、コート紙のような浸透性が低い記録媒体に顔料を強固に定着させることは難しく、耐摺擦性が悪くなってしまうという問題がある。
そこで、画像が形成された記録媒体の耐摺擦性を向上できる、可動部材の変位量を応答性よく制御して可動部材が可動範囲を超えて変位することを有効に防止し、機器の筐体内面に衝突することによる可動部材の損傷、振動や異音の発生、用紙の汚れ付着などの問題を未然に回避することができるロール紙搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、圧力をかけてもオフセットせず、耐ブロッキング性、及び耐摺擦性に優れ、光沢性が高い画像が得られる画像形成方法の提供を目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像形成方法は、記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程とを含み、前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下である。
本発明によると、圧力をかけてもオフセットせず、耐ブロッキング性、及び耐摺擦性に優れ、光沢性が高い画像が得られる画像形成方法を提供することができる。
図1は、連続紙を用いる画像形成装置の一例を示す模式図である。 図2は、対数減衰率と経過時間との関係を示すグラフである。 図3は、本発明の画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置を示す模式図である。 図4は、図3におけるヘッドユニット304の拡大図である。 図5は、画像を有する連続紙(ロール紙)の一例を示す斜視図である。 図6は、図5の画像を有する連続紙(ロール紙)の側面図である。
(画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成システム)
本発明の画像形成方法は、記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程と、を含み、前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であり、さらに必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の画像形成方法は、従来のロール紙搬送装置では、耐ブロッキング性が不十分であるという問題があるという知見に基づくものである。
また、本発明者らは、以下の知見を得た。
インク中に樹脂エマルジョンを添加することにより、従来からの課題である定着性を向上することができるが、定着性を向上させることができる樹脂は弾性が高く、前記樹脂を添加することにより対数減衰率の最大値が大きくなってしまう。前記対数減衰率の最大値が大きくなることにより、画像形成後に定着ローラを用いて定着させる場合や、ロール紙に印刷し、その後、巻き取る場合など、画像部に圧力がかかるタイミングにおいて画像がオフセットしてしまうことが問題となるという知見に基づくものである。
また、図1に示すような、給紙装置1、記録媒体2、前処理液付与部3、インク吐出部ヘッド4、及び乾燥部5を有し、連続紙を用いる画像形成装置を用いた際、画像形成後の連続紙をロール状に巻き直していく過程において、ロール中心近くに大きな圧力がかかり、画像がオフセットしてしまうことが広く問題になっている。
また、連続紙に張力をかけて画像形成後の紙をロール状に巻き直していく場合など、ロール中心近くに限らず、ロール外縁でも大きな圧力がかかり、画像がオフセットし得る。また、こうした連続紙を用いた場合、一度、第一のインク付与工程において印刷して巻き取った後に、第一のインク付与工程にて記録した記録媒体の面に対して、再度印刷を行う第二のインク付与工程である「追い刷り」を行う場合がある。一度目の画像形成後の巻き取り圧力が大きいと、ロールが均一に巻かれ、追い刷りをきれいに行うことができるが、前述の通り画像がオフセットを起こしてしまう。一方で、巻き取り圧力が小さいとロールが撓み、不均一な状態となり、追い刷りの際に紙が一定の速度で搬送されないことによる記録の位置ズレなどの問題が起こるという知見に基づくものである。
なお、上記問題を解決できるという点から、第二のインク付与工程は、第一のインク付与工程で記録した記録媒体の面に対して行われるのが好ましいが、第一のインク付与工程で記録した記録媒体の面とは逆の面に対して行われる場合を排除するものではない。
本発明の画像形成装置は、インクと、記録媒体に前記インクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与手段と、前記未加圧画像に圧力を加えて、画像を形成する加圧手段と、を有し、前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下である。
本発明の画像形成システムは、インクと、記録媒体に前記インクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与手段と、前記未加圧画像に圧力を加えて、画像を形成する加圧手段と、を有し、前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下である。
[対数減衰率]
前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値としては、1.50以下であり、0.01以上1.50以下が好ましく、0.7以上1.50以下がより好ましい。前記対数減衰率の最大値が、1.50以下であると、インク造膜中のベタツキを抑制し、ブロッキングの発生を防止できる。
前記対数減衰率の最大値になる時間としては、3,800秒間以下であり、100秒間以上3,800秒間以下が好ましく、1,700秒間以上3,800秒間以下がより好ましい。前記対数減衰率の最大値になる時間が、3,800秒間以下であると、インク造膜速度を速くすることができ、ブロッキングの発生を防止できる。なお、前記対数減衰率の最大値になる時間とは、測定開始から対数減衰率が最大値となるまでの時間を意味する。
前記対数減衰率の最大値が1.50以下であり、前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であると、未加圧画像形成後に3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下の圧力をかけてもブロッキングが起こらず、耐摺擦性も良好であり、さらに光沢が良好な画像を得ることができる。また、インクの造膜時に膜のタック性が上昇しにくいため、裏紙とインクがくっつかないため、ブロッキングの発生を抑制することができる。さらに、ブロッキングが発生しないため、強く紙同士を巻きつけることが可能であり、これにより定着性を向上でき、また、強く巻くことにより表面が平滑化され、光沢性を向上することができる。
前記対数減衰率は、以下のようにして算出することができる。
前記対数減衰率の測定方法として、剛体振り子型物性試験器(装置名:RPT−3000W、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いる。アルミ基盤上にインクを40μL滴下し、厚み100μmコート用の専属塗布冶具(PCT−100)にて厚み100μmのインク膜を塗る。得られたインク膜を速やかに冷熱ブロック(CHB−100)と共に設置し、シリンダーエッジ(RBP−040)と振り子(FRB−100)をセットする。この時振り子最下部にFRB−100専属重り2つをセットする。測定温度は常温(25℃)から60℃まで5℃/minで昇温させ、それ以降は60℃にて保温し続ける。対数減衰率と温度を時間に対しプロットを取る。得られたプロットを平滑化し、その最大値を算出し、対数減衰率の最大値とする。なお、前記対数減衰率の最大値は、タック力の指標とすることができる。
前記平滑化後の対数減衰率(D’(n))は、n番目プロットの対数減衰率をD(n)と定義した場合、以下のようにして求めることができる。
D’(n)={D(n−2)+D(n−1)+D(n)+D(n+1)+D(n+2)}/5
D’(1)=D(1)
D’(2)={D(1)+D(2)}/2
図2は、対数減衰率と経過時間との関係を示すグラフである。図2に示すように、SampleAは、対数減衰率の最大値が1.50を超え、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間を超えている。一方、SampleBは、対数減衰率の最大値が1.50以下、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下である。前記SampleBのように、対数減衰率の最大値が1.50以下、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることにより、耐ブロッキング性、耐摺擦性、及び光沢性を向上することができる。
[加圧工程における未加圧画像に加わる圧力]
前記加圧工程における未加圧画像に加わる圧力としては、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下が好ましく、3.5kg/cm以上7.3kg/cm以下がより好ましい。前記圧力が、3.5kg/cm以上であると、十分な画像の定着性を得ることができ、耐摺擦性を向上でき、8.0kg/cm以下であると、未加圧画像が加圧ローラや重なっている未加圧画像、又は紙にオフセットすることを防止できる。なお、前記圧力の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の装置を選択することができる。また、前記加圧工程における前記圧力が、前記インクを付与した後の前記連続紙をロール状に巻くことにより生じる場合においても、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の装置を選択することができ、例えば、装置名:I−SCAN5027(ニッタ株式会社製)を用いることができる。
前記加圧ローラにかける設定圧力と、未加圧画像にかかる圧力とは同一である。
前記圧力としては、加圧ローラにて、張力をかけることなく、単純積層した場合に、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下とすることができる。
前記加圧ローラにて、張力をかけることなく、単純積層した場合の圧力としては、例えば、ロールの巻厚が直径0.5mの場合に3.5kg/cmとなり、ローラの巻厚が直径1.5mの場合に8.0kg/cmとなる。
前記ロール状の連続紙にかかる圧力としては、例えば、ロール状の連続紙の写真や情報等から、ロール状の連続紙の直径、高さ、質量を参考にして算出することができる。
前記加圧工程における前記圧力としては、前記記録媒体が、連続紙である場合に、前記インクを付与した後の前記連続紙をロール状に巻くことにより生じることが好ましい。
前記対数減衰率の最大値及びその時間が所定の範囲であるインク膜は、前記所定の圧力の範囲内の圧力をかけた場合、オフセットが生じず、耐ブロッキング性が良好であるばかりか、画像の耐摺擦性、及び光沢性も向上でき、かつその圧力範囲であれば十分な巻き取り圧力がかかっているため、追い刷りも問題なく行えるという追加効果も得ることができる。
<第一のインク付与工程及び第一のインク付与手段>
前記第一のインク付与工程は、記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する工程である。
前記第一のインク付与手段は、記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する手段である。
前記第一のインク付与工程は、前記第一のインク付与手段により好適に実施することができる。
インク膜表面の対数減衰率の最大値及び前記対数減衰率の最大値になる時間は、特にインク中の樹脂の種類等の影響を受ける。前記対数減衰率の最大値及び前記対数減衰率の最大値になる時間の範囲を実現可能な一例としての樹脂の種類や添加量等については、以降で詳細に説明する。
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
また、前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリコールエーテル化合物が好ましく、水酸基を有さないグリコールエーテル化合物がより好ましく、下記一般式(1)で表されるグリコールエーテル化合物が特に好ましい。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。
前記一般式(1)中のRとしては、水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基であり、水素原子、メチル基が好ましい。
前記一般式(1)中のRとしては、炭素数1以上10以下のアルキル基であり、メチル基、エチル基が好ましい。
前記一般式(1)中のRとしては、炭素数1以上10以下のアルキル基であり、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましい。
前記一般式(1)中のnとしては、1以上5以下の整数であり、2以上3以下の整数が好ましい。
前記一般式(1)で表されるグリコールエーテル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
また、上記の樹脂粒子の中でも、耐摺擦性の点から、ウレタン樹脂粒子が好ましい。
−ウレタン樹脂粒子−
前記ウレタン樹脂粒子は、ポリウレタンからなり、前記ポリウレタンは、イソシアネート基を複数有するイソシアネート化合物と、水酸基を複数有したポリオール化合物をウレタン結合させたものである。それぞれイソシアネート化合物やポリオール化合物はそれ自身が高分子化合物でもよい。
−−イソシアネート化合物−−
前記ポリウレタンに用いられるイソシアネート基を複数有するイソシアネート化合物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二官能イソシアネート化合物、三官能イソシアネート化合物、四官能イソシアネート化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記二官能イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,4−ベンゼンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記三官能イソシアネート化合物としては、例えば、1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート、1,4,8−オクタントリイソシアネート、1,3,5−ベンゼントリイソシアネートなどが挙げられる。
前記四官能イソシアネート化合物としては、例えば、1,2,5,6−シクロヘキサンテトライソシアネートなどが挙げられる。
これらの中でも、これらを用いてウレタンを合成すると得られる機械強度や耐候性などに差異があるが、量産のハンドリング、環境保全、及び物性操作の点から、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートが好ましい。
−−ポリオール化合物−−
前記ポリオール化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;4,4’−ジヒドロキシビフェニル類(3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等);ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類(ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン);ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類(ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等);前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ポリオール化合物としては、例えば、カーボネート系ポリオール、エステル系ポリオール、エーテル系ポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらは、それぞれポリオール化合物中に2つ以上の水酸基を有している。
前記ポリオール化合物としては、化合物両末端に水酸基を有していることが合成上好ましい。
前記カーボネート系ポリオールとしては、下記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。
前記エステル系ポリオールとしては、下記一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
前記エーテル系ポリオールとしては、下記一般式(C)で表される化合物であることが好ましい。
ただし、前記一般式(A)〜(C)中、Rは、それぞれ独立に、ヘキサメチレン基、シクロヘキサン基、フェニレン基、テトラメチレン基、シクロヘキサンジメチレン基、シクロヘキサンモノメチレン基などさまざまな骨格が含まれ、例に挙げたものに限らない。また、nは、1〜20である。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
[質量比(グリコールエーテル化合物/ウレタン樹脂粒子)]
前記ウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)と、前記グリコールエーテル化合物の含有量(質量%)との質量比(グリコールエーテル化合物/ウレタン樹脂粒子)としては、0.4以上2.4以下が好ましく、0.4以上1.8以下がより好ましく、1.2以上1.8以下が特に好ましい。前記質量比(グリコールエーテル化合物/ウレタン樹脂粒子)が、0.4以上2.4以下であると、対数減衰率の最大値を1.50以下、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間を3,800秒間以下とすることが容易となる。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
前記顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、混晶を使用してもよい。
前記顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
前記無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、前記有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
前記顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
前記染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35などが挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水;超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S−1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
一般式(S−1)
(但し、一般式(S−1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F−1)
上記一般式(F−1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0〜10の整数が好ましく、nは0〜40の整数が好ましい。
一般式(F−2)
2n+1−CHCH(OH)CH−O−(CHCHO)−Y
上記一般式(F−2)で表される化合物において、YはH、又はCnF2n+1でnは1〜6の整数、又はCHCH(OH)CH−CnF2n+1でnは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。
この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN−403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN−403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
<記録媒体>
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。
特に、本発明において効果が得られる記録媒体としては、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる記録媒体などが挙げられる。
前記支持体と前記塗工層を有する記録媒体は、一般にコート紙と呼ばれ、インクの浸透性が低い記録媒体として知られている。コート紙のような浸透性が低い記録媒体に色材を強固に定着させることは難しく、耐摺擦性が悪くなってしまうことが多いが、上記の通り、インク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であれば、未加圧画像形成後に3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下の圧力がかかっても、ブロッキングが起こらず、さらに光沢性が良好な画像が得られるため特に好ましい。
前記支持体と前記塗工層を有する記録媒体においては、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量は、2mL/m以上35mL/m以下が好ましく、2mL/m以上10mL/m以下がより好ましい。
前記接触時間100msでの前記インク及び純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、画像形成後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
動的走査吸液計にて測定した接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量は、3mL/m以上40mL/m以下が好ましく、3mL/m以上10mL/m以下がより好ましい。
前記接触時間400msでの転移量が少ないと、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。前記接触時間100ms及び400msにおける純水の前記記録媒体への転移量は、いずれも記録媒体の塗工層を有する側の面において測定することができる。
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88頁〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。
紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はインクの転移量を測定することができる。
接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量としては、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
前記紙としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材パルプ、古紙パルプなどが用いられる。
前記木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、NBSP、LBSP、GP、TMPなどが挙げられる。
前記古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。
具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組合せから製造することができる。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、画像形成後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。
前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。 これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(記録媒体)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
−塗工層−
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。なお、本発明において塗工層とは、上記の通り顔料及びバインダー(結着剤)を含有していればよく、実際に塗工されて設けられたものか否か等の形成方法は問わないものを意味する。
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの含有量は、前記バインダー100質量部に対して、50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部以であると、光沢性を向上できる。前記含有量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下が好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対して、2質量部以上20質量部以下が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記含有量が2質量部以上であると、前記効果を向上でき、20質量部以下であると、塗工液の流動性に優れ、塗工操業性を向上でき、コスト面からも経済的である。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、前記有機顔料の平均粒子径は、0.2μm以上3.0μm以下が好ましく、空隙率40%以上の中空型がより好ましい。
前記バインダーとしては、水性樹脂を使用するのが好ましい。
前記水性樹脂としては、水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかを好適に用いられる。
前記水溶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体が好ましい。
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体、などが挙げられる。また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。これら水性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。
前記水性樹脂の含有量としては、顔料100質量部に対して、2質量部以上100質量部以下が好ましく、3質量部以上50質量部以下がより好ましい。前記含有量は、記録媒体の吸液特性が所望の範囲に入るように決定される。
目的に応じてカチオン性有機化合物を適宜選択使用することができる。例えば、水溶性インク中の直接染料や酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と反応して不溶な塩を形成する1級〜3級アミン、4級アンモニウム塩のモノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、オリゴマー、ポリマーが好ましい。
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)等とを組み合わせて使用することが好ましい。併用により、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
前記カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は3meq/g以上8meq/g以下が好ましい。前記カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量としては、0.3g/m以上2.0g/m以下が好ましい。前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量が、0.3g/m以上2.0g/m以下であると、充分な画像濃度向上し、フェザリング低減の効果を向上できる。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン界面活性剤が特に好ましい。前記界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどが挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。
また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲にて、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。
前記非イオン界面活性剤のHLB(親水性/親油性比)としては、4以上15以下が好ましく、7以上13以下がより好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、前記カチオン性有機化合物100質量部に対して、0質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1.0質量部以下がより好ましい。
前記塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲にて、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。前記その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤などが挙げられる。
前記塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記支持体上に塗工層液を含浸又は塗布する方法により行うことができる。 前記塗工層液の含浸又は塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コストの点から、抄紙機に設置されているコンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレスなどで含浸又は塗布し、オンマシンで仕上げてもよい。
前記塗工層液の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分で、0.5g/m以上20g/m以下が好ましく、1g/m以上15g/m以下がより好ましい。
前記含浸又は塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上250℃以下程度が好ましい。
前記記録媒体は、更に支持体の裏面にバック層、支持体と塗工層との間、また、支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
<<加圧工程及び加圧手段>>
前記加圧工程は、第一のインク付与工程において得られた未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する工程である。
前記加圧手段は、第一のインク付与手段において得られた未加圧画像に圧力を加えて、画像を形成する手段である。
前記加圧工程は、前記加圧手段により好適に実施することができる。
前記未加圧画像に圧力を加えることにより、耐ブロッキング性、及び耐摺擦性に優れ、光沢性が高い画像を得ることができる。
前記圧力としては、インクを付与した後の連続紙をロール状に巻くことにより生じることが好ましい。
上記のような連続紙が重なることにより生じる圧力以外にも、カット紙が積層した際、また連続紙やカット紙を裁断する作業に伴い圧力がかかる場合や、画像形成後に定着性を良好にするためのローラや、後処理液を塗布するためのローラを設置することにより圧力がかかる場合等があり、このようなケースも前記加圧工程における画像に加わる圧力に含まれるものとする。
<<第二のインク付与工程及び第二のインク付与手段>>
前記第二のインク付与工程は、加圧工程後の連続紙に、インクを付与して画像を形成する工程である。
前記第二のインク付与手段は、加圧工程後の連続紙に、インクを付与して画像を形成する手段である。
前記第二のインク付与工程は、前記第二のインク付与手段により好適に実施することができる。
(印刷物の製造方法)
本発明の印刷物の製造方法は、記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程と、を含み、前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下である。
前記第一のインク付与工程としては、画像形成方法における第一のインク付与工程と同様の工程を用いることができる。
前記加圧工程としては、画像形成方法における加圧工程と同様の工程を用いることができる。
以下、本発明に係る画像形成方法、画像形成装置、画像形成システム、及び印刷物の製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、画像形成システムとは、本発明を構成する各手段が複数の装置に分散して又は跨って存在する場合において、これら複数の装置全体を含む概念として定義する。例えば、以降にて説明する第一のインク付与手段と加圧手段が別の装置に存在する場合を含む概念である。また、連続紙とは、画像形成の際の搬送方向に連続する記録媒体である。
前記連続紙としては、例えば、ロール状に丸められたロール紙や、所定間隔毎に折り曲げられた連帳紙等が挙げられる。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
図3は、本発明の画像形成装置の一例であるインクジェット記録装置を示す模式図である。本発明が適用されるインクジェット記録装置300は、記録媒体搬送部301と、記録媒体203に前処理液を付与する前処理工程部302、前処理液が付与された記録媒体203を乾燥させる前処理後乾燥部303と画像形成工程部304、画像形成工程後の記録媒体に後処理液を付与する後処理工程部305、後処理液が付与された記録媒体203を乾燥させる後処理後乾燥部306にて構成されている。
記録媒体搬送部301は、給紙装置307、複数の搬送ローラ、巻き取り装置308で構成されている。記録媒体203はロール状に巻かれた連続紙(ロール紙)であり、記録媒体203は搬送ローラによって給紙装置から巻き出され、プラテン上を搬送されて巻き取り装置によって巻き取られる。
記録媒体搬送部301から搬送された記録媒体203は、図3の前処理工程部302にて前処理液が塗布される。インクジェットでは、インクジェット専用紙以外の記録媒体に画像形成を行うと、滲み、濃度、色調や裏写りなどの品質問題や、耐水性、耐候性といった画像堅牢性に関わる問題が発生しており、この問題の解決手段として、記録媒体に画像を形成する前に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布して画像品質向上を図る技術を行っている。
前記前処理工程としては、印刷用紙表面に上記の前処理液を均一に塗布する塗布方法を用いればよく、特に制限はない。このような塗布方法として、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
また、前処理部には、塗布工程の後に前処理後乾燥部303を設けてもよい。前記前処理後乾燥部は、例えば、ヒートローラー311、312を有する。この装置によれば、前処理液を塗布された連続紙は搬送ローラにより、ヒートローラーに搬送される。ヒートローラーは50℃以上100℃以下の高温に熱せられており、前処理液を塗布された連続紙は、ヒートローラーからの接触伝熱により、水分が蒸発し、乾燥される。
図4は、図3におけるヘッドユニット304の拡大図である。同図に示すように304のノズル面309には多数の印字ノズル310がヘッドユニット304の長手方向に沿って配列されてノズル列を構成している。本実施形態ではノズル列は1列であるが複数列設けることもできる。なお、他の記録ヘッド304C、304M、304Yも同様の構成であり、4つの記録ヘッド304K、304C、304M、304Yは同じピッチを保持して搬送方向に配列されている。これにより、1回の記録動作で印刷領域幅全体への画像形成が可能となる。
画像形成工程後の記録媒体は、後処理工程部305にて後処理液が付与される。後述するこの後処理液は、記録媒体上に透明な保護層を形成し得る成分を含有する。
本実施形態における後処理工程では、記録媒体の画像形成領域の特定の部分のみに付与する。塗布量は画像を形成するインクの色に応じて、最適な量を塗布することが好ましい。さらに好ましくは記録媒体の種類や解像度に応じて塗布量、塗布方法を変えるとよい。
この後処理液を付与する方法としては、特に制限はなく後処理液の種類によって各種方法が適宜選択されるが、前記前処理液の塗布方法と同様の方法又は上記のインクジェット用インクを飛翔させる方法と同様の方法のいずれかを好適に用いることができる。これらの中でも、装置構成や後処理液の保存安定性の点からインクジェット用インクを飛翔させる方法と同様の方法が特に好ましい。この後処理工程は、形成された画像表面に乾燥付着量が0.5g/m以上10g/m以下となるように透明な樹脂を含む後処理液を付与して保護層を形成する工程である。
前記後処理後乾燥部は、例えば、図3のようなヒートローラー313、314からなる。この装置によれば、後処理液を塗布された連続紙は搬送ローラにより、ヒートローラーに搬送される。ヒートローラーは高温に熱せられており、後処理液を塗布された連続紙は、ヒートローラーからの接触伝熱により、水分が蒸発し、乾燥される。乾燥手段としてはこれに限らず、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風などを適用することもでき、単体の装置を用いるのではなく、例えば、ヒートローラーと温風装置を組み合わせるなどをしてもよい。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた「対数減衰率の最大値」、及び「対数減衰率の最大値になる時間」は、以下のようにして測定した。
(対数減衰率の最大値、及び対数減衰率の最大値になる時間)
前記対数減衰率の最大値、及び前記対数減衰率の最大値になる時間は、剛体振り子型物性試験器(装置名:RPT−3000W、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した。
具体的には、アルミ基盤上にインクを40μL滴下し、厚み100μmコート用の専属塗布冶具(PCT−100)にて厚み100μmのインク膜を塗った。得られたインク膜を速やかに冷熱ブロック(CHB−100)と共に設置し、シリンダーエッジ(RBP−040)と振り子(FRB−100)をセットした。この時振り子最下部にFRB−100専属重り2つをセットした。測定温度は常温(25℃)から60℃まで5℃/minで昇温させ、それ以降は60℃にて保温し続けた。対数減衰率と温度を時間に対しプロットを取った。得られたプロットを平滑化し、その最大値を算出し、対数減衰率の最大値とした。
なお、前記平滑化後の対数減衰率(D’(n))は、n番目プロットの対数減衰率をD(n)と定義した場合、以下のようにして求めることができる。
D’(n)={D(n−2)+D(n−1)+D(n)+D(n+1)+D(n+2)}/5
D’(1)=D(1)
D’(2)={D(1)+D(2)}/2
(ポリウレタン樹脂粒子分散液の調製例1)
<ポリウレタン樹脂粒子分散液1の調製>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、1,6−ヘキサンジオール、及び1,6−ヘキサン二酸をOH/COOH=1.5となるように、チタンテトライソプロポキシド(1,000ppm(1質量%)対樹脂成分)とともに投入した。その後、4時間程度で200℃まで昇温した。次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、さらに、1,334Pa〜2,000Pa(10mmHg〜15mmHg)の減圧下で5時間反応させ、中間体ポリエステルを得た。
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステルとイソホロンジイソシアネートをモル比2.0で投入し、酢酸エチルにて48質量%となるように希釈後、100℃で5時間反応させた。その後、大量の水を加え、脱溶を行い、固形分濃度が10質量%であるポリウレタン樹脂粒子分散液1を得た。
(ポリウレタン樹脂粒子分散液の調製例2)
<ポリウレタン樹脂粒子分散液2の調製>
ポリウレタン樹脂粒子分散液の調製例1において、1,6−ヘキサンジオールを1,4−ブタンジオールに変更した以外は、ポリウレタン樹脂粒子分散液の調製例1と同様にして、固形分濃度が10質量%であるポリウレタン樹脂粒子分散液2を得た。
(ポリウレタン樹脂粒子分散液の調製例3)
<ポリウレタン樹脂粒子分散液3の調製>
ポリウレタン樹脂粒子分散液の調製例1において、1,6−ヘキサン二酸を1,4−ブタン二酸に変更した以外は、ポリウレタン樹脂粒子分散液の調製例1と同様にして、固形分濃度が10質量%であるポリウレタン樹脂粒子分散液3を得た。
(インクの調製例1)
<インク1の調製>
マゼンタ顔料(商品名:ピグメントレッド122、大日精化工業株式会社製)5.0質量%、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(ダウ・ケミカル日本株式会社製)4.0質量%、トリエチレングリコールジメチルエーテル(ダウ・ケミカル日本株式会社製)5.0質量%、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)(関東化学株式会社製)25.0質量%、ポリウレタン樹脂粒子分散液1(固形分濃度:10質量%)50.0質量%、及び合計が100質量%となるように超純水を残量添加して、撹拌及び混合してインク1を得た。
(インクの調製例2〜20)
<インク2〜20の調製>
インクの調製例1において、下記表1〜3に示す組成に変更した以外は、インクの調製例1と同様にして、インク2〜20を得た。
なお、前記表1〜3において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・マゼンタ顔料:大日精化工業株式会社製、商品名:ピグメントレッド122
・イエロー顔料:大日精化工業株式会社製、商品名:ピグメントイエロー154
・トリプロピレングリコールモノブチルエーテル:ダウ・ケミカル日本株式会社製
・トリエチレングリコールジメチルエーテル:ダウ・ケミカル日本株式会社製
・ジエチレングリコールジエチルエーテル:ダウ・ケミカル日本株式会社製
・ジプロピレングリコールジメチルエーテル:ダウ・ケミカル日本株式会社製
・トリプロピレングリコールジメチルエーテル:ダウ・ケミカル日本株式会社製
・1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール):関東化学株式会社製
(実施例1〜39及び比較例1〜10)
[画像の形成]
得られたインク1〜20を用いて、インクジェットプリンティングシステム(RICOH Pro VC60000、株式会社リコー製)により、記録媒体の両面に画像を記録し、画像の評価を行った。前記記録媒体としては、下記表4及び5に示すようにLAG90(Stora Enso社製、紙幅520.7mm)、Magno Plus Silk(Sappi Global社製)、又はMagno Gloss(Sappi Global社製)のロール紙をセットし、1,200dpiの解像度にて未加圧画像を記録した。巻き取り装置は、Rewinding module RW6(Hunkeler社製)を用いて、その際、単純積層することにより、下記表4及び5に示すような圧力となるように巻取り、画像を形成した。形成した画像を用いて、「耐ブロッキング性」、「耐摺擦性」、及び「光沢性」を評価した。次に、一度記録が終了した後に再度紙をセットし、第一のインクを第二のインク(ブラックインク)に変えて、1,200dpiの解像度にてベタ画像の記録を行い、「第二のインク付与時の位置ズレ」を評価した。なお、未加圧画像にかかる圧力は、装置名:面圧分布測定システムI−SCAN(ニッタ株式会社製)、センサーシートとしてI−SCAN#5027(ニッタ株式会社製)を用いて測定した。図5及び図6に示すように、ロール状に連続紙12を巻き取り、空洞10を有する紙管11の外側から20cmの位置に、圧力を測定するセンサーシート13を設置した。センサーシート13を、連続紙12の横幅方向に位置を変えた3点に設置することにより、3点の測定点を設けた。その後、連続紙13の巻き取りを継続し、前記3点の測定点から見て10cm紙が重なる状態とした段階での圧力を測定し、3点の圧力の平均値を、未加圧画像にかかる圧力とした。結果を下記表4及び5に示す。
また、前記LAG90において、動的走査吸液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88頁〜92頁、空閑重則)により測定した接触時間100msにおける純水の転移量は、2.9mL/mであり、前記接触時間400msにおける純水の転移量は、4.9mL/mである。
前記Magno Plus Silkにおいて、動的走査吸液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88頁〜92頁、空閑重則)により測定した接触時間100msにおける純水の転移量は、2.5mL/mであり、前記接触時間400msにおける純水の転移量は、4.3mL/mである。
前記Magno Glossにおいて、動的走査吸液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88頁〜92頁、空閑重則)により測定した接触時間100msにおける純水の転移量は、1.8mL/mであり、前記接触時間400msにおける純水の転移量は、3.5mL/mである。
(耐ブロッキング性)
目視にて、記録画像同士の張り付き具合と画像の転写(オフセット)の様子を確認し、下記評価基準に基づいて、「耐ブロッキング性」を評価した。品質的にランク7以上が良好であり、特にランク10が良好である。また、ランク3以下は著しく品質を落とす。
〔評価基準〕
10:紙同士がくっつき合わず、画像剥がれもなく、視覚的に均一な画像になっている
9 :紙同士がくっつき合わず、画像剥がれはないが、10μm未満の微小な画像抜けがある
8 :紙同士がくっつき合わず、画像剥がれはないが、10μm以上20μm未満の微小な画像抜けがある
7 :紙同士がくっつき合わず、画像剥がれはないが、20μm以上30μm未満の微小な画像抜けがある
6 :紙同士くっつき合わず、画像剥がれはないが、30μm以上40μm未満の微小な画像抜けがある
3 :紙同士がくっつき合っており、画像が著しく欠ける
1 :紙同士がくっつき合っており、画像が著しく欠け、さらに紙も著しく欠損する
0 :紙同士がくっつき合っており、合一している
(耐摺擦性)
得られた各画像について、1.2cm四方に切った紙(LAG90(Stora Enso社製))を用いて画像を20回擦り、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて紙へのインク付着汚れを測定し、擦った紙の地肌色を差し引いた濃度を算出し、下記評価基準に基づいて、「耐摺擦性」を評価した。
〔評価基準〕
○:転写濃度が0.05未満
△:転写濃度が0.05以上0.10未満
×:転写濃度が0.10以上
(光沢性)
得られた各画像について、光沢計(BYK Gardner社製:Micro−TRI−Gloss 4520)を用いて、60°光沢を測定し、加圧前及び加圧後の「光沢性」を評価した。
(第二のインク付与時の位置ズレ)
第二のインクを記録した際の第一のインクとの位置ズレを目視にて確認し、下記評価基準に基づいて、「第二のインク付与時の位置ズレ」を評価した。
〔評価基準〕
○:位置ズレなし
×:位置ズレあり
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、
前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程と、を含み、
前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする画像形成方法である。
<2> 前記記録媒体が、連続紙であり、
前記加圧工程が、前記記録媒体をロール状に巻き取る巻取工程である前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記圧力が、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<4> 前記加圧工程後の連続紙に、インクを付与して画像を形成する第二のインク付与工程をさらに含む前記<2>から<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<5> 前記記録媒体が、支持体と、前記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有し、
動的走査吸液計により測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、2mL/m以上35mL/m以下であり、かつ前記接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、3mL/m以上40mL/m以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<6> 前記記録媒体が、連続紙であり、
前記加圧工程における前記圧力が、前記インクを付与した後の前記連続紙をロール状に巻くことにより生じ、
前記記録媒体が、支持体と、前記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有し、動的走査吸液計により測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、2mL/m以上35mL/m以下であり、かつ前記接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、3mL/m以上40mL/m以下である前記<1>に記載の画像形成方法である。
<7> 前記インクが、ウレタン樹脂粒子をさらに含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<8> 前記有機溶剤が、グリコールエーテル化合物を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<9> 前記グリコールエーテル化合物が、水酸基を有さないグリコールエーテル化合物である前記<8>に記載の画像形成方法である。
<10> 前記グリコールエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される前記<9>のいずれかに記載の画像形成方法である。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。
<11> 前記ウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)と、前記グリコールエーテル化合物の含有量(質量%)との質量比(グリコールエーテル化合物/ウレタン樹脂粒子)が、0.4以上1.8以下である前記<8>から<10>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<12> 前記インク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が0.01以上1.30以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が100秒間以上3,000秒間以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<13> 前記グリコールエーテル化合物の含有量が、インク全量に対して、2.0質量%以上8.0質量%以下である前記<8>から<12>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<14> インクと、
記録媒体に前記インクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与手段と、
前記未加圧画像に圧力を加えて、画像を形成する加圧手段と、を有し、
前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<15> 前記インクが、ウレタン樹脂粒子をさらに含む前記<14>に記載の画像形成装置である。
<16> 前記インク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が0.01以上1.30以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が100秒間以上3,000秒間以下である前記<14>から<15>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<17> インクと、
記録媒体に前記インクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与手段と、
前記未加圧画像に圧力を加えて、画像を形成する加圧手段と、を有し、
前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする画像形成システムである。
<18> 前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が0.01以上1.30以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が100秒間以上3,000秒間以下である前記<17>に記載の画像形成システムである。
<19> 記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、
前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程と、を含み、
前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする印刷物の製造方法である。
<20> 前記インク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が0.01以上1.30以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が100秒間以上3,000秒間以下である前記<19>に記載の印刷物の製造方法である。
前記<1>から<13>のいずれかに記載の画像形成方法、前記<14>から<16>のいずれかに記載の画像形成装置、前記<17>から<18>のいずれかに記載の画像形成システム、及び前記<19>から<20>のいずれかに記載の印刷物の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2013−248883号公報
300 インクジェット記録装置(画像形成装置)
203 記録媒体

Claims (16)

  1. 記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、
    前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程と、を含み、
    前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記記録媒体が、連続紙であり、
    前記加圧工程が、前記記録媒体をロール状に巻き取る巻取工程である請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記圧力が、3.5kg/cm以上8.0kg/cm以下である請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
  4. 前記加圧工程後の連続紙に、インクを付与して画像を形成する第二のインク付与工程をさらに含む請求項2から3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 前記記録媒体が、支持体と、前記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有し、
    動的走査吸液計により測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、2mL/m以上35mL/m以下であり、かつ前記接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、3mL/m以上40mL/m以下である請求項1から4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 前記記録媒体が、連続紙であり、
    前記加圧工程における前記圧力が、前記インクを付与した後の前記連続紙をロール状に巻くことにより生じ、
    前記記録媒体が、支持体と、前記支持体の少なくとも一方の面側に設けられた塗工層と、を有し、動的走査吸液計により測定した接触時間100msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、2mL/m以上35mL/m以下であり、かつ前記接触時間400msにおける純水の前記記録媒体への転移量が、3mL/m以上40mL/m以下である請求項1に記載の画像形成方法。
  7. 前記インクが、ウレタン樹脂粒子をさらに含む請求項1から6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 前記有機溶剤が、グリコールエーテル化合物を含む請求項1から7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 前記グリコールエーテル化合物が、水酸基を有さないグリコールエーテル化合物である請求項8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 前記グリコールエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される請求項9に記載の画像形成方法。
    ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、R、及びRは、それぞれ独立に、炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、nは1以上5以下の整数を表す。
  11. 前記ウレタン樹脂粒子の含有量(質量%)と、前記グリコールエーテル化合物の含有量(質量%)との質量比(グリコールエーテル化合物/ウレタン樹脂粒子)が、0.4以上1.8以下である請求項8から10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 前記インク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が0.01以上1.30以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が100秒間以上3,000秒間以下である請求項1から11のいずれかに記載の画像形成方法。
  13. 前記グリコールエーテル化合物の含有量が、インク全量に対して、2.0質量%以上8.0質量%以下である請求項8から12のいずれかに記載の画像形成方法。
  14. インクと、
    記録媒体に前記インクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与手段と、
    前記未加圧画像に圧力を加えて、画像を形成する加圧手段と、を有し、
    前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする画像形成装置。
  15. インクと、
    記録媒体に前記インクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与手段と、
    前記未加圧画像に圧力を加えて、画像を形成する加圧手段と、を有し、
    前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする画像形成システム。
  16. 記録媒体にインクを付与して未加圧画像を形成する第一のインク付与工程と、
    前記未加圧画像に圧力が加わり、画像を形成する加圧工程と、を含み、
    前記インクが、水、有機溶剤、及び色材を含有し、
    前記インクを用いて形成されたインク膜を剛体振り子試験により測定した60℃における対数減衰率の最大値が1.50以下であり、かつ前記対数減衰率の最大値になる時間が3,800秒間以下であることを特徴とする印刷物の製造方法。
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