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JP2018061999A - 圧延前ピンチロール装置、及び圧延前ピンチロール方法 - Google Patents

圧延前ピンチロール装置、及び圧延前ピンチロール方法 Download PDF

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Abstract

【課題】双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置で鋳造した薄肉鋳片をインラインミルに送って圧延する場合に、インラインミルにおける蛇行を抑制することが可能な圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法を提供すること。
【解決手段】薄肉鋳片をインラインミルに送る圧延前ピンチロール装置であって、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かって縮径される第1凸曲線形状D111、第1凹曲線形状D112とを含む第1プロフィルPR411が形成された第1ピンチロールR411と、軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かって拡径される第2凹曲線形状D121、第2凸曲線形状D122とを含む第2プロフィルPR412が形成された第2ピンチロールR412とを備え、前記第1ピンチロールR411と前記第2ピンチロールR412は前記軸線O41、O42に沿って相対移動することを特徴とする。
【選択図】図4A

Description

本発明は、双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置によって鋳造された薄肉鋳片を、インラインミルに送るために用いる圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法に関する。
周知のように、一対の連続鋳造用冷却ドラム(以下、冷却ドラムという。)を平行に配置し、対向する周面をそれぞれ上方から下方に回転させ、これら冷却ドラムの周面によって形成された湯溜部に金属溶湯を注入し、金属溶湯を冷却ドラムの周面上で冷却、凝固させて、薄肉鋳片(以下、鋳造ストリップという。)を連続鋳造する双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備は、特許文献1に記載されるように、湯溜まりに注入された金属溶湯を冷却ドラムを回転させながら冷却ドラムの周面で凝固、成長させて、鋳造ストリップとして下方へ送り出す。冷却ドラムから送り出された鋳造ストリップは、ピンチロールによって水平方向へ送り出されて、下流のインラインミルによって所望の板厚に調整される。インラインミルによって所望の板厚に調整された鋳造ストリップは、インラインミルの下流に設置された巻取装置によってコイル状に巻き取るようになっている。
特許文献1に記載されたインラインミルは、例えば、鋳造ストリップを挟んで対向するように設けられた圧延ロールであるワークロールと、ワークロールの背後に設置されたバックアップロールとから構成されている。また、特許文献1に記載の例では、鋳造ストリップ上方のバックアップロールチョックの上方に位置されるハウジングに、油圧圧下シリンダが設置されている。
油圧圧下シリンダはワークロール及びバックアップロールの位置を検出する位置検出機能を有するとともに、反力計(ロードセル)を有しており、鋳造ストリップ2からの反力によって、ワークロールと鋳造ストリップの接触を検知するようになっている。また、油圧圧下シリンダには、ミル油圧圧下装置が接続されており、ミル油圧圧下装置は統括制御装置に接続されている。
そして、ミル油圧圧下装置は、統括制御装置からの指令(ミル圧下REF信号)に基づいて、油圧圧下シリンダを制御して、ロールギャップを変化させることが可能とされている。
インラインミルは、定常鋳造時に鋳造された鋳造ストリップの先端が、インラインミルを通過した後に、インラインミルのロールを回転させながらロールギャップを締め込んで圧延を開始するようになっており、このような圧延方法は、フライングタッチと呼ばれている。
また、双ドラム式薄肉鋳造ストリップ連続鋳造設備は、特許文献1(図7)に示されるように、鋳造ストリップの先端にダミーシートを接続して、鋳造ストリップを引き出して鋳造を開始する。
また、ダミーシートを先導するダミーバーは、帯状鋳片に比べてかなり厚く形成されており、鋳造ストリップの先端とダミーシートとの接続部には、鋳造ストリップの板厚よりも厚い突起部が形成されている。
そして、インラインミルにおける圧延(フライングタッチ)は、上述の突起部がインラインミルを通過した後に開始される。
双ドラム式薄肉鋳造ストリップ連続鋳造設備は、鋳造開始前には、冷却ドラムは低温であることが一般的であり、鋳造を開始すると、冷却ドラムは金属溶湯との接触により昇温する。
また、冷却ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって一定温度以上にならないように冷却されており、冷却ドラムの温度が一定に到達して以降の期間を定常鋳造時といい、定常鋳造時の冷却ドラムの温度を定常温度といい、このような状態を定常状態という。
冷却ドラムのプロフィルは、鋳造を開始してから定常鋳造時に到達するまでに、経過時間とともに変化する。そのため、冷却ドラムのプロフィルは、定常鋳造時における鋳造ストリップの板プロフィル(板クラウン)が所望の板プロフィルとなるように設定されている。
図9は、従来の双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備によって鋳造ストリップを製造する際の冷却ドラムのプロフィルと鋳造ストリップの板プロフィルの鋳造開始後の経過時間にともなう変化を示す概念図である。なお、鋳造ストリップの板プロフィルは、冷却ドラムをシフトせずに鋳造して、インラインミルにおける圧下を実施する前の形態を示している。
鋳造開始時における冷却ドラムR101は、図9(A)に示すように、幅方向中央側がくぼんだ凹形のプロフィルに設定されている。その結果、冷却ドラムR101の間で、ハッチングで示すような幅方向中央側が凸形の板プロフィルを有する鋳造ストリップS101が鋳造される。
次に、鋳造を開始からしばらく時間が経過すると、冷却ドラムR101は、図9(B)に示すように、金属溶湯からの入熱によって幅方向中央側が膨張(拡径)して、鋳造開始時よりも小さな凹形のプロフィルであるR102に変化する。そのため、鋳造ストリップS102の板プロフィルは、鋳造開始時の鋳造ストリップS101よりもクラウン量が小さい凸形に変化する。
次いで、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後は、冷却ドラムR102は、図9(C)に示すように、金属溶湯からの入熱によってさらに膨張(拡径)して、わずかな凹形のプロフィルであるR103に変化する。そのため、鋳造ストリップS103の板プロフィルは、鋳造ストリップS102よりもクラウン量がさらに小さい凸形である鋳造ストリップS103に変化である。
図9(A)から図9(C)に到達するまでの時間は、金属溶湯の鋼種(溶融温度)、鋳造ストリップの厚さ、冷却ドラムの回転速度や冷却効率によって異なるが、概ね鋳造開始から約30秒程度である。
一方、鋳造ストリップの板プロフィルの変化には、冷却ドラムの熱膨張に起因する変化のほかに、鋳造開始から定常温度に到達するまの冷却ドラムの冷却不均一による凝固シェルの成長変化がある。
一般に冷却ドラムでの冷却が強ければ凝固シェル厚さは厚くなり、鋳造ストリップの厚さは厚くなる。冷却ドラムの幅方向では、冷却ドラムの板方向中央側よりも冷却ドラムの幅方向端部の方が冷却効率は高い。
したがって、凝固シェルの厚さは板中央部よりも板端部の方が厚くなる。その結果、鋳造開始後の鋳造ストリップは、板端部の板厚が板中央部の板厚よりも厚くなり、板端部の板厚が厚い部分をエッジアップと呼ぶ。このエッジアップの量は鋳造開始時が最も大きく、鋳造開始後の経過時間とともに減少して、定常鋳造時にはほぼ解消する。
図10は、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造装置によって鋳造ストリップを製造する際の冷却ドラムが定常温度に到達するまでの凝固シェルの成長変化に起因する鋳造ストリップの板プロフィルの変化を示す概念図である。なお、図10では、冷却ドラムのプロフィルの変化を省略して示している。
鋳造開始直後には、冷却ドラム中央側よりも冷却ドラム幅方向端部のほうが熱が逃げやすいことから、金属溶湯は、鋳造ストリップの幅方向端部において大きく冷却されて、凝固シェルは、鋳造ストリップの幅方向中央部に比較して幅方向端部のほうが厚く形成される。
その結果、鋳造開始直後の鋳造ストリップS201の板プロフィルは、図10(A)に示すように、幅方向端部に大きなエッジアップが形成される。
鋳造開始後しばらく経過すると、冷却ドラム中央側と冷却ドラム幅方向端部の温度差が鋳造開始時よりも小さくなり、金属溶湯は、鋳造ストリップの幅方向端部における冷却が鋳造開始時よりも小さくなり、凝固シェルの幅方向中央部と端部における厚さの差は、鋳造開始時よりも小さくなる。
その結果、鋳造開始後しばらく経過した時点の鋳造ストリップS202の板プロフィルは、図10(B)に示すように、幅方向端部に鋳造開始直後の鋳造ストリップS201より小さなエッジアップが形成される。
鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後は、冷却ドラム中央側と冷却ドラム幅方向端部の温度差がさらに小さくなり、凝固シェルの幅方向中央部と端部における厚さの差はほとんどなくなる。
その結果、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後の鋳造ストリップS203の板プロフィルは、図10(C)に示すように、エッジアップはほとんど解消されることとなる。
図10(A)から図10(C)に到達するまでの時間は、金属溶湯の鋼種(溶融温度)、鋳造ストリップの厚さ、冷却ドラムの回転速度や冷却効率によって異なるが、図9(A)〜図9(C)の場合とほぼ同じであり、概ね鋳造開始から約30秒程度である。
以上のことから、鋳造開始から定常鋳造時に至るまでの鋳造ストリップの板プロフィルは、冷却ドラムの熱膨張によるクラウン変化と、冷却ドラムの冷却不均一によるエッジアップ変化とを併せたものとなる。
鋳造ストリップの板プロフィルは、鋳造開始直後は図11(A)のS301に示すように幅方向中央と両端側の板厚が厚くなり、鋳造開始後しばらく経過した時点では図11(B)のS302に示すように板厚の偏りが減少し、定常状態では図11(C)のS303に示すように板厚は概ね均一になる。
双ドラム式薄肉鋳造ストリップ連続鋳造設備で鋳造した鋳造ストリップをインラインミルで圧延する場合、鋳造ストリップの温度は、インラインミル入側において約1000℃であるので、板幅方向のメタルフロー(幅広がり)を生じさせてわずかな板クラウンを調整することが可能であるが、インラインミルは、図11(A)に示すような板プロフィルの鋳造ストリップに対応するほどのクラウン制御能力は備えていない。
また、インラインミルにおいて、図11(A)に示すような板プロフィルの鋳造ストリップをクラウン量が調整される程度の大きな力で圧延すると、板幅中央部と板幅端部は板厚が厚いことから、長手方向により大きな伸びを生じて、板幅中央部における中伸びと板幅端部における端伸びが極端に大きくなり、その結果、鋳造ストリップが破断し易くなるという現象が発生する。
インラインミルにおける板形状の中伸び起因の絞りによる板破断に対しては、インラインミルの張力を高くすることが有効である。しかしながら、インラインミルの張力を高くするためには、ピンチロールの押付力を高く取る必要があり、ピンチロールの押付力を高く取ると、図11(A)、図11(B)に示すような板厚が厚い部分を、圧延してしまう場合がある。
そして、板厚が厚い部分を圧延してしまうと、ピンチロールでの蛇行による板破断や激しい形状不良によりインラインミルでの絞りによる板破断を引き起こすことになる。板破断が生じると、残っている溶湯は直ちに廃棄処分されることになるので、多大な歩留まり低下を生じさせることとなる。
一方、インラインミルにおいてフライングタッチが開始されて鋳造ストリップが圧延開始され、インラインミルで所望の板厚となるまでの間の鋳造ストリップは、オフゲージ(板厚外れ)として後工程で切断されてスクラップとして処理されることが一般的である。
その結果、鋳造ストリップのオフゲージは、鋳造ストリップの歩留まりが低下して製造コストが増大する大きな原因となっている。
以上のように、インラインミルにおけるフライングタッチをより早く開始して、鋳造ストリップを安定的かつ効率的に所望の板厚に圧延するには、インラインミルの入側及び出側で鋳造ストリップに張力を負荷することが有効であり、この張力は大きい方が蛇行防止や形状不良防止に効果的であり、そのためにはピンチロールの押付力を大きくするとともに、ピンチロールの押付力を大きくしても蛇行や形状不良を発生させないことが有効である。
上述したように、ピンチロールの押付力を大きくして鋳造ストリップを軽圧下してしまうと、鋳造ストリップに幅方向に非対称性な伸びが生じて、鋳造ストリップがピンチロールにおいて蛇行してインラインミルの入側でオフセンターとなる場合がある。
インラインミルの入側のおける鋳造ストリップのオフセンターの発生は、鋳造ストリップの幅方向における伸び率の非対称性を誘発して、結果的により大きな蛇行を生じさせることとなり、片伸びに起因する板形状不良や片伸びに起因する絞りが発生して、板破断が発生したり、さらに蛇行が大きくなると、鋳造ストリップがハウジング等に衝突して板破断が生じるという問題がある。
以上のように、鋳造開始時に板幅両端部と中央部が板厚とされた板プロフィル(図11(A)〜図11(C)参照)からほぼ均一な板プロフィルに変化する際に、鋳造ストリップに安定した張力を早いタイミングで負荷させるとともに、インラインミルにおけるフライングタッチを早いタイミングで開始してオフゲージの発生を抑制するための種々の技術が開示されている。
例えば、鋳造ストリップの蛇行量を検出して、ピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、ピンチロールにおける左右の荷重を検出して、ピンチロールにおける左右の荷重差を小さくすることにより、ピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、鋳造ストリップの板端部に相当するピンチロールの幅方向両端側のロール径を小さくして、鋳造を開始してから定常鋳造に到達するまで、鋳造ストリップの板プロフィルの変化の影響を少なくするために、ピンチロールに台形の形状を付与する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2000−343103号公報 特開2003−039108号公報 特許第4850829号公報 特開2012−170960号公報
しかしながら、鋳造ストリップの蛇行量を検出して、ピンチロールにおける左右のギャップ差を調整するためには、鋳造ストリップの板幅が一定であることが必要であり、鋳造ストリップに左右非対称のバリ等があると、蛇行が発生しているのかバリ等が影響しているのか判別することが困難な場合がある。また、蛇行制御の閾値を大きく設定すると、蛇行制御の応答性が低下するという問題がある。
また、蛇行制御に際しては測定した蛇行量に基づいて実行する必要があるが、蛇行が発生しても検出器によって蛇行量が測定されるまでは、蛇行制御に反映することができないので、蛇行をリアルタイムに調整することができないという問題がある。
一方、鋳造ストリップが蛇行せずにオフセンターが生じた場合や、鋳造ストリップの左右の端部に温度差がある場合には、ピンチロールにおける左右のギャップ差を調整してピンチロールの左右の荷重差をなくしても、必ずしも蛇行が減少すると限らないという問題がある。
さらに、鋳造ストリップが蛇行していない状態でオフセンターが生じた場合に、鋳造ストリップの板端部に相当する部分のロール径を小さくすると、蛇行が助長されるという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置で鋳造した薄肉鋳片をインラインミルに送って圧延する場合に、インラインミルにおける蛇行を抑制することが可能な圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明の発明者らは、双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置によって鋳造された薄肉鋳片をインラインミルに送って圧延する場合に、インラインミルにおける蛇行を抑制して安定して圧延するための技術を鋭意研究した結果、圧延前ピンチロールを構成する一対のピンチロールによって形成される隙間を、鋳造開始後経過時間にともなって変化する薄肉鋳片の板プロフィルと対応させて変化させることによって高い押付力を付与しても薄肉鋳片の部分的な圧延を防止し、薄肉鋳片を蛇行や板形状不良なく安定してインラインに通板するとともに、フライングタッチのタイミングを早くするために有効であるとの知見を得た。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、一対の冷却ドラムとサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を前記一対の冷却ドラムを回転させながらその周面で凝固、成長させ鋳造する双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置において形成された薄肉鋳片を、一対のピンチロールによってインラインミルに送る圧延前ピンチロール装置であって、前記一対のピンチロールは、回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状と、前記第1凸曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状と、を有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状と、前記第2凹曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状と、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、を備え、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールは、前記回転軸線に沿って相対移動可能に構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、一対の冷却ドラムとサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を前記一対の冷却ドラムを回転させながらその周面で凝固、成長させ鋳造する双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置において形成された薄肉鋳片を一対のピンチロールによってインラインミルに送る圧延前ピンチロール方法であって、前記一対のピンチロールは、回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状と、前記第1凸曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状と、を有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状と、前記第2凹曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状と、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、を備え、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールは、前記回転軸線に沿って相対移動可能に構成されていることを特徴とする。
この発明に係る圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法によれば、双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置で鋳造された薄肉鋳片を、第1凸曲線形状と第1凹曲線形状とを有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、第2凹曲線形状と第2凸曲線形状とを有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、を備えた一対のピンチロールを用いて、インラインミルに送るので、一対のピンチロールによって形成される薄肉鋳片を挟む間隙が、鋳造を開始してから定常鋳造時に到達するまでの薄肉鋳片の板プロフィルが有する凹凸の変化と効率的に対応することが可能であり、その結果、圧延前ピンチロールにおける薄肉鋳片の圧下を抑制することができる。
その結果、薄肉鋳片を効率的にインラインミルに送って効率的に圧延することができる。
この明細書において、第1凸曲線形状、第1凹曲線形状、第1曲線形状、第2凸曲線形状、第2凹曲線形状、第2曲線形状は、多項式により定義されたもののほか、多項式以外の手段(例えば、数値データの集合等)が含まれる。
また、この明細書において、第1曲線形状と第2曲線形状とは、一方側から定義した第1曲線形状と他方側から定義した第2曲線形状とが同一である場合と、同一でない場合があるものとする。
また、第1プロフィル、第2プロフィルは、第1曲線形状、第2曲線形状以外の形状部分(例えば、第1凸曲線形状の一方側に接続されて一方側から他方側に向かうにしたがって漸次拡径される曲線形状、第2凸曲線形状の他方側に接続されて一方側から他方側に向かうにしたがって漸次縮径される曲線形状、やその他の形状部分)を含む場合があるものとする。
また、第1冷却ドラムと第2冷却ドラムを相対移動させるとは、第1冷却ドラムと第2冷却ドラムの双方が軸線に沿って移動する場合のほか、第1冷却ドラムと第2冷却ドラムのうち一方のみが軸線に沿って移動する場合があるものとする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の圧延前ピンチロール装置であって、前記第1曲線形状と、前記第2曲線形状の少なくともいずれか一方は、多項式で定義されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の圧延前ピンチロール方法であって、前記第1曲線形状と、前記第2曲線形状の少なくともいずれか一方は、多項式で定義されていることを特徴とする。
この発明に係る圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法によれば、第1曲線形状と、第2曲線形状の少なくともいずれか一方が多項式で定義された一対のピンチロールを用いるので、第1曲線形状、第2曲線形状を効率的かつ確実に定義することができ、一対のピンチロールを効率的に製造することができる。
その結果、一対のピンチロールの製造コストを削減することができる。
この明細書において、第1曲線形状と第2曲線形状の少なくともいずれか一方が多項式(例えば、3次以上の多項式)で定義されるとは、第1曲線形状と第2曲線形状がともに多項式により定義される場合のほか、第1曲線形状、第2曲線形状の一方のみが多項式により定義される場合を含むものとする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の圧延前ピンチロール装置であって、前記第1曲線形状の前記他方側に接続されて前記他方側に向かうにしたがって縮径された第1エッジ逃し形状と、前記第2曲線形状の前記一方側に接続されて前記一方側に向かうにしたがって縮径された第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載の圧延前ピンチロール方法であって、前記第1曲線形状の前記他方側に接続されて前記他方側に向かうにしたがって縮径された第1エッジ逃し形状と、前記第2曲線形状の前記一方側に接続されて前記一方側に向かうにしたがって縮径された第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする。
この発明に係る圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法によれば、一対の冷却ドラムが、第1エッジ逃し形状と、第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えているので、鋳造開始時に薄肉鋳片の板幅端部に厚い凝固シェルが形成されていても、エッジアップが発生するのを抑制することができる。
この明細書において、一対のピンチロールが第1エッジ逃し形状と第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えるとは、一対のピンチロールが第1エッジ逃し形状と第2エッジ逃し形状の双方を備える場合のほか、一対のピンチロールが第1エッジ逃し形状、第2エッジ逃し形状のいずれか一方のみを備える場合を含むものとする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール装置であって、予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう前記薄肉鋳片の板プロフィルとに基づいて、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールの前記回転軸線方向の相対移動量を制御することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項7から9のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール方法であって、予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう前記薄肉鋳片の板プロフィルとに基づいて、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールの前記回転軸線方向の相対移動量を制御することを特徴とする。
この発明に係る圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法によれば、予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう薄肉鋳片の板プロフィルに基づいて、第1ピンチロールと第2ピンチロールの軸線方向の相対移動量を制御するので、薄肉鋳片の板プロフィルの凹凸の偏りと対応して、薄肉鋳片を安定してインラインミルに送ることができる。
この明細書において、鋳造開始後経過時間にともなう薄肉鋳片の板プロフィルを予め取得するとは、実験により取得する場合のほか、シミュレーション等、実験以外の方法によって取得する場合を含むものとする。
また、第1ピンチロールと第2ピンチロールの軸線方向の相対移動量を制御する場合、一定速度で移動する場合、移動速度を鋳造後経過時間等のパラメータにともなって変化させながら移動する場合を含むものとする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール装置であって、前記一対のピンチロールの通板方向前方と通板方向後方の少なくともいずれか一方に、前記薄肉鋳片の幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、前記位置検出装置が検出した薄肉鋳片の幅方向位置に基づいて、前記一対のピンチロールが前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して対称に挟むように前記一対のピンチロールの相対移動量を制御することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項7から10のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール方法であって、前記一対のピンチロールの通板方向前方と通板方向後方の少なくともいずれか一方に、前記薄肉鋳片の幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、前記位置検出装置が検出した薄肉鋳片の幅方向位置に基づいて、前記一対のピンチロールが前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して対称に挟むように前記一対のピンチロールの相対移動量を制御することを特徴とする。
この発明に係る圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法によれば、通板方向前方と通板方向後方の少なくともいずれか一方に配置した位置検出装置が検出した薄肉鋳片の幅方向位置に基づいて、一対のピンチロールが薄肉鋳片の幅方向中央に対して対称に挟むように一対のピンチロールの相対移動量を制御するので、薄肉鋳片の荷重差に起因する蛇行を抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の圧延前ピンチロール装置であって、前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントが等しくなるように前記一対のピンチロールの押付力を制御することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の圧延前ピンチロール方法であって、前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントが等しくなるように前記一対のピンチロールの押付力を制御することを特徴とする。
この発明に係る圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法によれば、薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントが等しくなるように、一対のピンチロールの押付力を制御するので、薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントに起因する蛇行を抑制することができる。
本発明に係る双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置及び薄肉鋳片の製造方法によれば、薄肉鋳片に生じる蛇行を抑制して、鋳造を開始してからフライングタッチまでの時間を短縮して薄肉鋳片を安定してインラインミルに送ることができる。
その結果、インラインミルにおける薄肉鋳片の歩留まりを向上して、薄肉鋳片の製造コストを削減することができる。
本発明の第1実施形態に係る鋳造ストリップの製造工程の概略構成の一例を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備からインラインミルに至るまでの概略構成の一例を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る圧延前ピンチロール装置の概略構成の一例を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る一対のピンチロールの概略構成の一例を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係る第1ピンチロールの第1プロフィルを構成する3次以上の多項式の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備により鋳造ストリップを製造する際の鋳造開始時の概要を説明する概念図である。 本発明の第1実施形態に係る圧延前ピンチロール装置によって鋳造ストリップをインラインミルに送る際の作用について説明する概略図である。 本発明の第2実施形態に係る一対のピンチロールの概略構成の一例を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る第1ピンチロールの第1プロフィルを構成する6次の多項式の一例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る圧延前ピンチロール装置によって鋳造ストリップをインラインミルに送る際の作用について説明する概略図である。 従来の双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置によって鋳造ストリップを製造する際の冷却ドラムのプロフィルと薄肉鋳片の板プロフィルの鋳造開始後の経過時間にともなう変化を示す概念図である。 双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際に、冷却ドラムが定常温度に到達するまでの温度変化によって生じる薄肉鋳片の板プロフィルの変化を示す概念図である。 双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置によって薄肉鋳片を製造する際に、鋳造開始時における薄肉鋳片の板プロフィルを示す概念図である。
<第1実施形態>
以下、図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、鋳造ストリップ(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を説明する図であり、図2は、第1実施形態に係る双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備(双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置)の一例を説明する概略構成図である。また、図3は、第1実施形態に係る冷却ドラムの概略構成を説明する図である。
図1、図2において、符号1は鋳造ストリップ製造工程を、符号10は双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備を、符号R10は一対の冷却ドラムを、符号Sは鋳造ストリップを示している。
鋳造ストリップ製造工程1は、図1に示すように、例えば、タンディッシュ(貯蔵装置)Tと、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10と、酸化防止装置20と、冷却装置30と、圧延前ピンチロール装置40と、インラインミル50と、圧延後ピンチロール装置60と、巻取装置70とを備えている。
また、鋳造ストリップ製造工程1は、タンディッシュT、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10、酸化防止装置20、冷却装置30、圧延前ピンチロール装置40、インラインミル50、圧延後ピンチロール装置60、巻取装置70はこの順に配置されている。
また、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10と圧延前ピンチロール装置40の間には送りロール81が配置されている。
また、圧延前ピンチロール装置40とインラインミル50の間にはテンションロール82が配置され、インラインミル50と圧延後ピンチロール装置60の間にはテンションロール83が配置されている。
また、圧延後ピンチロール装置60と巻取装置70の間にはデフレクタロール84が配置されている。
双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10は、図1、図2に示すように、例えば、一対の冷却ドラムR10と、一対の冷却ドラムR10の幅方向両側に配置されたサイド堰(不図示)とを備え、一対の冷却ドラムR10とサイド堰は、金属溶湯貯留部15を構成するようになっている。
一対の冷却ドラムR10は、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12とを備え、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12は、幅方向中央がわずかにくぼんだ凹形のプロフィルを有している。
また、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12は、製造する鋳造ストリップSの板厚(内部品質)と対応させて、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12の間隔(回転軸の軸間距離)を調整可能とされている。
また、第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12は、内部に冷却媒体(例えば、冷却水)が流通可能とされ、内部に冷却媒体を流通させることによって、冷却されるように構成されている。
この実施形態では、第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12は、例えば、外径800mm、ドラム胴長(幅)1500mm、定常時における鋳造ストリップSの板クラウンが30μmになるように設定(初期加工)されている。なお、一対の冷却ドラムR10の外径、ドラム胴長(幅)は、これに限定されないことはいうまでもない。
酸化防止装置20は、鋳造直後の鋳造ストリップSの表面が酸化してスケールが発生するのを防止するものであり、酸化防止装置20内では、例えば、窒素ガスによって酸素量を調整するようになっている。酸化防止装置20は、鋳造する鋳造ストリップSの鋼種等を考慮し、必要に応じて適用することが好ましい。
双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10の下流側では、圧下装置(不図示)によって送りロール81が鋳造ストリップSを挟圧するとともに、一対の冷却ドラムR10と送りロール81の間における鋳造ストリップSのループ長を計測しながら、このループ長が一定となるように回転数を制御して、鋳造ストリップSに水平方向の搬送力を付与するようになっている。
なお、送りロール81は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
冷却装置30は、例えば、多数のスプレーノズル(不図示)を備えていて、鋼種に応じて、スプレーノズルから鋳造ストリップSの表面(上下面)に冷却水を噴出して鋳造ストリップSを冷却するようになっている。
圧延前ピンチロール装置40は、図3に示すように、例えば、位置検出装置40A、40Bと、上ピンチロール(第1ピンチロール)R411と、下ピンチロール(第2ピンチロール)R412と、ハウジング41と、ロールチョック42A、42Bと、上圧延荷重検出装置43Aと、下圧延荷重検出装置43Bと、電動圧下装置(圧下手段)44と、を備えている。
上下ピンチロールR411、R412は、内部に中空流路が形成されていて、冷却媒体(例えば、冷却水)が流通することにより冷却可能とされている。また、上下ピンチロールR411、R412は、例えば、ロール径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとされている。
また、上ピンチロールR411と、下ピンチロールR412は、図4Aに示すように、ドラム幅方向(軸線O41、O42)に沿って矢印F411、F412方向に移動するように制御されている。
上ピンチロールR411、下ピンチロールR412の移動量は、例えば、予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう鋳造ストリップSの板プロフィルに基づいて設定されている。
また、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412の移動量は、例えば、実験により取得した鋳造ストリップSの板プロフィルに基づいて設定されている。なお、実験によらず、シミュレーションに基づいて設定してもよいし、板プロフィル計によって取得したデータに基づいて、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412の移動量リアルタイムに制御する構成としてもよい。
上ピンチロールR411は、図4Aに示すように、軸線(回転軸線)O41周りに回転可能に構成されていて、外周面に第1プロフィルPR411が形成されている。
第1プロフィルPR411は、例えば、第1曲線形状D11を含んでいて、例えば、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって一旦拡径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなり軸線O41と平行になって第1曲線形状D11に接続され、第1曲線形状D11は他方側Rに向かうにしたがって漸次拡径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次大きくなるように形成されている。
ここで、軸線O41に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O41に対する傾きの絶対値により表示している。
第1曲線形状D11は、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら回転軸O41に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状D111と、第1凸曲線形状D111と接続され他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状D112とを備えており、第1凸曲線形状D111、第1凹曲線形状D112は、漸次緩やかに形状変化するように設定されている。
ここで、第1凹曲線形状D112に係る軸線O41の「他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなる」とは、第1凹曲線形状D112が、上ピンチロールR411の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第1凹曲線形状D112が軸線O41に向かって窪む部分を含んでいることを必ずしも意味しない。
下ピンチロールR412は、図4Aに示すように、軸線(回転軸線)O42周りに回転可能に構成されていて、外周面に第2プロフィルPR412が形成されている。
第2プロフィルPR412は、例えば、第2曲線形状D12を含んでいて、軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって一旦縮径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次小さくなって軸線O42と平行になって第2曲線形状D12に接続され、第2曲線形状D12は他方側Rに向かうにしたがって漸次縮径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次大きくなるように形成されている。
ここで、軸線O42に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O42に対する傾きの絶対値により表示している。
第2曲線形状D12は、軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら回転軸O42に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状D121と、第2凹曲線形状D121と接続され他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状D122とを備えており、第2凹曲線形状D121、第2凸曲線形状D122は、漸次緩やかに形状変化するように設定されている。
ここで、第2凹曲線形状D121に係る「軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら回転軸O42に対する接線の傾きが漸次大きくなる」とは、第2凹曲線形状D121が、上ピンチロールR412の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第2凹曲線形状D121が軸線O42に向かって窪んでいることを必ずしも意味しない。
以下、図4Bを参照して、第1実施形態に係る上ピンチロールR411の第1プロフィルPR411を例にして、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412のクラウン(第1プロフィルPR411、第2プロフィルPR412)について説明する。図4Bは、上ピンチロールR411の第1プロフィルPR411に係る3次の多項式、及び4次の多項式の一例を示す図である。
なお、図4Bに示すように、上ピンチロールR411の一方側Lのドライブサイド端を0とし、他方側Rのワークサイド端を1.0とし、軸線方向の中央位置(0.5)におけるクラウンを0として説明する。
この実施形態では、第1曲線形状D11と、第2曲線形状D12は、図4Bに示すように、3次の多項式や4次の多項式(3次以上の多項式)によって定義可能とされている。
また、第1曲線形状D11を軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かって定義する3次以上の多項式と、第2曲線形状D12を軸線O42の他方側Rから一方側Lに向かって定義する3次以上の多項式は同一とされている。
なお、第1曲線形状D11を軸線O1の一方側Lから他方側Rに向かって定義する多項式と、第2曲線形状D12を軸線O2方向の他方側Rから一方側Lに向かって定義する多項式とは、異なる(同一でない)構成とされていてもよい。
上ピンチロールR411のクラウン(第1プロフィルPR411)は、図4Bに示すとおりである。
図4Bに示したのは、上ピンチロールR411のクラウンを構成する3次、4次の多項式の一例である。
多項式の具体的な求め方については、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412とのシフト量を最大とした状態において、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412との軸方向の間隙分布を、図9(A)に示すような鋳造開始時の薄肉鋳片のプロフィルと幾何学的に一致するように、かつ、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412とのシフト量を最小とした状態において、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412との軸方向の間隙分布を、図9(C)に示すような定常時の薄肉鋳片のプロフィルと幾何学的に一致するように、各項の係数を決めても良い。
第1冷却ドラムR11あるいは第2冷却ドラムR12の半径方向の熱膨張量は、熱伝導計算で求めても良いし、鋳造開始前と定常状態とでの軸方向のドラム間隙分布を測定することによって求めても良い。
<3次の多項式>
上ピンチロールR411のクラウンは、例えば、次のような3次の多項式で表すことができる。
R13(X)=A13×X+B13×X+C13×X+D13
A13=2472.8、B13=3118.3、C13=498.99、
D13=220.98
ここで、R13(X)は、軸線O41からのクラウン量(半径あたりの数値)を、Xは軸方向の位置を示している。
<4次の多項式>
上ピンチロールR411のクラウンは、例えば、次のような4次の多項式で表すことができる。
R14(X)=A14×X+B14×X+C14×X+D14×X+E14
A14=1544.3、B14=5561.4、C14=5048.7、
D14=885.06、E14=220.9875
ここで、R14(X)は、軸線O41からのクラウン量(半径あたりの数値)を、Xは軸方向の位置を示している。
なお、上記多項式は一例であり、条件等に応じて任意に設定することができる。
また、多項式の次数を高次に設定することで、所望のクラウンに近似させやすくなることはいうまでもない。
また、上下ピンチロールR411、R412は、ハウジング41内にロールチョック42A、42Bを介して配置されていて、モータ(不図示)によって回転駆動されるようになっている。
また、上ピンチロールR411は、上圧延荷重検出装置43Aを介してパスライン調整装置44と連結され、下ピンチロールR40Bは、圧下装置43Bと接続されている。
圧下装置43が下ピンチロールR412を押し上げると、上下ピンチロールR411、R412に負荷された圧下荷重を検出するとともに、鋳造ストリップSには圧延前ピンチロール装置40とインラインミル50間に張力が発生するようになっている。
また、圧延前ピンチロール装置40とインラインミル50間に生じる張力は、テンションロール82によって測定される。そして、圧延前ピンチロール装置40とインラインミル50間に生じる張力が、予め設定された張力になるように、一対のピンチロールR410の速度を制御するようになっている。
また、圧延前ピンチロール装置40は、鋳造ストリップSの幅方向中央に対して左右に生じるモーメントが等しくなるように、一対のピンチロールR412の押付力を制御するようになっている。
インラインミル50は、鋳造ストリップSを圧延して、鋳造ストリップSを所望の板厚に薄くする装置であり、この実施形態では、6段圧延機とされている。
インラインミル50は、図1、図2に示すように、対向配置されたワークロール51A、51Bと、ワークロール51A、51Bの背後に配置された中間ロール52A、52Bと、中間ロール52A、52Bの背後に配置されたバックアップロール53A、53Bと、インラインミル制御装置54と、板厚計55とを備えている。
ワークロール51A、51Bはモータ(不図示)により回転駆動されるとともに、入出側から冷却水によって冷却されている。
インラインミル制御装置54は、制御部540と、油圧圧下シリンダ541と、ミル油圧圧下装置542と、ロール回転速度設定手段543と、ロールベンディング力設定手段544、ロールクロス角度設定手段545とを備えている。
また、バックアップロール53Bには油圧圧下シリンダ(油圧圧下装置)541が連結され、油圧圧下シリンダ541にはミル油圧圧下装置542が接続されて、制御部540からの指示により油圧圧下シリンダ541を制御して、ロールギャップを調整するようになっている。
また、ロール回転速度設定手段543、ロールベンディング力設定手段544、ロールクロス角度設定手段545は、ワークロール51A、51B、バックアップロール53A、53Bに対して、ロール回転速度、ロールベンディング力、ロールクロス角度を設定するようになっている。
そして、インラインミル50は、下流に配置された板厚計(例えば、X線板厚)55によって鋳造ストリップSの板厚を測定して、その測定結果に基づいて、鋳造ストリップSが予め設定された板厚に形成されるようにロールギャップを調整する。
この実施形態では、例えば、ワークロール外径400mm、中間ロール外径450mm、バックアップロール外径1200mm、胴長(幅)はいずれも2000mmとされている。
圧延後ピンチロール装置60は、例えば、上下に対向配置された一対のロールと、ピンチロールを駆動するモータ(モータ)と、圧下装置(油圧)(不図示)を備えていて、圧下装置によってピンチロールを圧下させて、鋳造ストリップSに、インラインミル50との間で張力を発生させるようになっている。
インラインミル50と圧延後ピンチロール装置60の間の張力は、テンションロール83により測定され、予め設定された張力となるように第2ピンチロールの速度が制御されるようになっている。
なお、圧延後ピンチロール装置60のロールは、例えば、外径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとされている。
巻取装置70は、インラインミル50で圧延されて圧延後ピンチロール装置60から送り出された鋳造ストリップSをデフレクタロール84を介して受取り、コイル状に巻き取るようになっている。
以下、鋳造ストリップ製造工程1における鋳造ストリップSの製造について説明する。
(1)まず、タンディッシュTが金属溶湯を一時的に貯蔵する。
(2)次に、タンディッシュTに貯蔵された金属溶湯を、タンディッシュ下部に形成されたノズルを介して、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10の金属溶湯貯留部15に注入する。このとき、ノズルを制御して、金属溶湯貯留部15に貯留される金属溶湯の量を一定とする。
(3)次いで、一対の冷却ドラムR10を回転させながら、金属溶湯貯留部15に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムR10の周面で凝固、成長させて、鋳造ストリップSを鋳造する。
双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10において鋳造を開始する際は、例えば、図5に示すように、鋳造ストリップSの先端となる部分にダミーシート11を接続する。このとき、ダミーシート11の進行方向先端側には鋳造ストリップSに比べてかなり厚いダミーバー13が設けられ、鋳造ストリップSとダミーシート11の接続部には、鋳造ストリップSの板厚よりも厚い突起部12が形成される。
この実施形態では、鋳造ストリップSの寸法は、例えば、板厚2mm、板幅1200mmとされ、一対の冷却ドラムR10の周速(鋳造速度)は、例えば、150m/minである。ただし、これに限定されない。
(4)一対の冷却ドラムR10で形成された鋳造ストリップSは、必要に応じて、酸化防止装置20において、酸化防止処理をする。
(5)次いで、送りロール81によって、冷却ドラムR10と送りロール81の間における鋳造ストリップSのループ長を一定に保ちながら、鋳造ストリップSを下流側に搬送する。
(6)次に、必要に応じて、冷却装置30によって鋳造ストリップSを冷却する。
(7)次いで、圧延前ピンチロール装置40によって、鋳造ストリップSに圧延前ピンチロール装置40とインラインミル50間の張力を発生させながらインラインミル50に送る。
(8)インラインミル50は、突起部12がインラインミル50を通過した後、フライングタッチを開始する。すわなち、鋳造ストリップSの板速度にインラインミルのロール速度を同期させながら圧下力をかけて行く。
(9)インラインミル50は、鋳造ストリップSを圧延して、所望の板厚に調整する。
(10)圧延後ピンチロール装置60によって、鋳造ストリップSにインラインミル50と圧延後ピンチロール装置60間の張力を発生させながら、鋳造ストリップSをインラインミル50から巻取装置70に送る。
(11)巻取装置70は、送られてきた鋳造ストリップSを巻き取る。
次に、図6を参照して、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10が鋳造した鋳造ストリップSを圧延前ピンチロール装置40によってインラインミル50に送る際の作用について説明する。
図6は、圧延前ピンチロール装置40によって、インラインミル50に鋳造ストリップSを送る際の作用について説明する概略図である。
(1)上ピンチロールR411と、下ピンチロールR412は、図6(A)に示すように、軸線O41、O42方向において対向する位置(上ピンチロールR411と下ピンチロールR412が幅方向で揃う位置)に配置される。
鋳造ストリップの板クラウンは、鋳造開始直後の大きな凸型クラウンから定常時の小さな凸型クラウンに変化する(図9参照)。
鋳造を開始する際には、上ピンチロールR411を矢印F4111方向に、下ピンチロールR412を矢印F4121方向に移動する。そして、例えば、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412を、第1凸曲線形状D111と第2凸曲線形状D122が軸線O41、O42方向において離間(第1凹曲線形状D112と第2凹曲線形状D121が軸線O41、O42方向において近接)した状態で停止させる。ここで、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412の間隙は、可能な限り鋳造ストリップに板幅方向のいずれの位置でも押付力が均等になるように(バラつきが小さくなるように)配置する。
(2)図6(B)に示すように、例えば、図6(A)において、第1凹曲線形状D112と第2凹曲線形状D121が軸線O41、O42方向において近接した状態で停止させた上ピンチロールR411と下ピンチロールR412を、矢印F4112、矢印F4122方向に移動させる。
このとき、上ピンチロールR411は軸線O41方向に凹形とされ、下ピンチロールR412は軸線O42方向に凹形とされており、一対のピンチロールR410の間隙は、軸線O41(O42)方向中央が端部よりも間隙が大きく形成される(図11参照。)。
そして、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412は、鋳造ストリップS411(S)のクラウン変化に応じて軸線O41、O42方向に移動させて、鋳造ストリップに板幅方向に可能な限り均等に押付力を負荷する。
(3)鋳造を開始して定常鋳造時に到達するまでは、図6(C)に示すように、上ピンチロールR411を矢印F4113方向に移動するとともに、下ピンチロールR412を矢印F4123方向に移動しながら鋳造ストリップS412(S)を通板する。
上ピンチロールR411、下ピンチロールR412が移動するにつれて、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412のロール間隙はロール幅方向中央における間隙がロール端部よりも大きいものの、図6(B)より小さくなり、鋳造開始直後の凸型クラウンが変化して小さくなるのに対応できる。
鋳造開始から定常鋳造時に到達するまでの間は、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10の第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12(図1参照)の温度が上昇して幅方向中央側が拡径(熱膨張)するので、鋳造ストリップS412(S)の幅方向中央の凹形が次第に小さく(浅く)変形するが、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412によって形成される間隙が鋳造ストリップS412(S)と対応して狭くなることから、鋳造ストリップS412(S)を幅方向において均等に押圧して挟むことができる。
(4)定常鋳造時に到達すると、図6(D)に示すように、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412の移動を停止する。
定常鋳造時に到達すると、鋳造ストリップS413(S)の板プロフィルが変化しなくなるので、上ピンチロールR411及び下ピンチロールR412は停止する。
第1実施形態に係る圧延前ピンチロール装置40及び圧延前ピンチロール方法によれば、第1凸曲線形状D111と第1凹曲線形状D112とを有する第1曲線形状D11を含む第1プロフィルPR411が形成された上ピンチロールR411と、第2凹曲線形状D121と第2凸曲線形状D122とを有する第2曲線形状D12を含む第2プロフィルPR412が形成された下ピンチロールR412とを備えた一対のピンチロールR410を用いて、鋳造ストリップSをインラインミル50に送るので、一対のピンチロールR410によって形成される鋳造ストリップSを挟む間隙が、鋳造を開始してから定常鋳造時に到達するまでの鋳造ストリップSの板プロフィルが有する板クラウンの変化と効率的に対応することが可能であり、圧延前ピンチロール装置40における鋳造ストリップSの中央凸部の圧下(圧延)を抑制することができる。
その結果、鋳造ストリップSを効率的にインラインミル40に送って効率的に圧延することができる。
第1実施形態に係る圧延前ピンチロール装置40及び圧延前ピンチロール方法によれば、第1曲線形状D11と、第2曲線形状D12が3次の多項式で定義された一対のピンチロールR410を用いるので、第1曲線形状D11、第2曲線形状D12を効率的かつ確実に定義することができ、一対のピンチロールR410を効率的に製造することができる。
その結果、一対のピンチロールR410の製造コストを削減することができる。
第1実施形態に係る圧延前ピンチロール装置40及び圧延前ピンチロール方法によれば、予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう鋳造ストリップSの板プロフィルとに基づいて、第1ピンチロールR410と第2ピンチロールR420の軸線O41、O42方向の相対移動量を制御するので、鋳造ストリップSの板プロフィルの凹凸の偏りと対応して、鋳造ストリップSを安定してインラインミル50に送ることができる。
第1実施形態に係る圧延前ピンチロール装置40及び圧延前ピンチロール方法によれば、通板方向前方と通板方向後方に配置した位置検出装置40A、40Bが検出した鋳造ストリップSの幅方向位置に基づいて、一対のピンチロールR410が鋳造ストリップSを幅方向中央に対称に挟むように一対のピンチロールR410の相対移動量を制御するので、鋳造ストリップSの荷重差に起因する蛇行を抑制することができる。
第1実施形態に係る圧延前ピンチロール装置40及び圧延前ピンチロール方法によれば、鋳造ストリップSの幅方向中央に対して左右に生じるモーメントが等しくなるように、一対のピンチロールR410の押付力を制御するので、鋳造ストリップSの幅方向中央に対して左右で生じるモーメントに起因する蛇行を抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、図1〜図3、図5、図7A、図7B、図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、図1〜図3、図5については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。図7Aは、第2実施形態に係る一対のピンチロールの概略構成を説明する図であり、図7Bは、上ピンチロールの第1プロフィルに係る6次の多項式(3次以上の多項式)の一例を示す図である。図1〜図3、図7A、図8において、符号R420は一対のピンチロールを示している。
一対のピンチロールR420は、図7Aに示すように、上ピンチロール(第1ピンチロール)R421と下ピンチロール(第2ピンチロール)R422とを備え、鋳造ストリップSの板プロフィルと対応させて、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422の間隔(回転軸の軸間距離)を調整するようになっている。
また、上ピンチロールR421と、下ピンチロールR422は、ピンチロール幅方向(軸線O41、O42)に沿って矢印F421、F422方向に相対移動するように制御可能とされている。
上ピンチロールR421は、図7Aに示すように、外周面に第1プロフィルPR421が形成されている。
第1プロフィルPR421は、例えば、第1曲線形状D21を含んでいて、例えば、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって一旦拡径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなってから第1曲線形状D21に接続され、第1曲線形状D21の他方側Rには第1エッジ逃し形状E421が形成されている。
ここで、軸線O41に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O41に対する傾きの絶対値により表示している。
第1曲線形状D21は、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら回転軸O41に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状D211と、第1凸曲線形状D211と接続され他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状D212とを備えており、第1凸曲線形状D211、第1凹曲線形状D212は、漸次緩やかに形状変化するように設定されている。
ここで、第1凹曲線形状D212に係る「(軸線O41の)他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなる」とは、第1凹曲線形状D212が、上ピンチロールR421の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第1凹曲線形状D212が軸線O41に向かって窪む部分を含んでいることを必ずしも意味しない。
第1エッジ逃し形状E421は、第1凸曲線形状D211の他方側Rに接続されていて、他方側Rに向かうにしたがって漸次縮径された形状とされている。また、第1エッジ逃し形状E421は、一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって軸線O41に対する傾斜が漸次大きくなることが好適である。
下ピンチロールR422は、図7Aに示すように、軸線O42周りに回転可能に構成されていて、外周面に第2プロフィルPR422が形成されている。
第2プロフィルPR422は、例えば、第2曲線形状D22を含んでいて、軸線O42の一方側Lに第2エッジ逃し形状E422が形成され、第2エッジ逃し形状E422の他方側Rには第2曲線形状D22が接続され、第2曲線形状D22の他方側Rは漸次縮径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次大きくなるように形成されている。
ここで、軸線O42に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O42に対する傾きの絶対値により表示している。
第2曲線形状D22は、軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら回転軸O42に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状D221と、第2凹曲線形状D221と接続され他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状D222とを備えており、第2凹曲線形状D221、第2凸曲線形状D222は、漸次緩やかに形状変化するように設定されている。
ここで、第2凹曲線形状D221に係る「軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら回転軸O42に対する接線の傾きが漸次大きくなる」とは、第2凹曲線形状D221が、上ピンチロールR422の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第2凹曲線形状D221が軸線O42に向かって窪んでいることを必ずしも意味しない。
第2エッジ逃し形状E422は、第2凸曲線形状D221の一方側Lに接続され、一方側に向かうにしたがって漸次縮径された形状とされている。また、第2エッジ逃し形状E422は、一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって軸線O42に対する傾斜が漸次小さくなることが好適である。
この実施形態では、第1曲線形状D21と、第2曲線形状D22は、それぞれ6次の多項式(3次以上の多項式)によって定義可能な曲線とされていて、第1曲線形状D21を軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かって定義する6次の多項式と、第2曲線形状D22を軸線O42方向の他方側Rから一方側Lに向かって定義する6次の多項式は同一とされている。
なお、第1曲線形状D21を軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かって定義する多項式と、第2曲線形状D22を軸線O42の他方側Rから一方側Lに向かって定義する多項式とは、異なる(同一でない)構成とされていてもよい。
以下、図7Bを参照して、第2実施形態に係る上ピンチロールR421の第1プロフィルPR421を例にして、上ピンチロールR421、下ピンチロールR422のクラウン(第1プロフィルPR421、第2プロフィルPR422)について説明する。図7Bは、上ピンチロールR421の第1プロフィルPR421に係る6次の多項式の一例を示す図である。
なお、図7Bに示すように、上ピンチロールR421の一方側Lのドライブサイド端を0とし、他方側Rのワークサイド端を1.0とし、軸線方向の中央位置(0.5)におけるクラウンを0として説明する。
この実施形態では、第1曲線形状D21と、第2曲線形状D22は、図7Bに示すように、6次の多項式(3次以上の多項式)によって定義可能とされている。
また、第1曲線形状D21を軸線O41の一方側Lから他方側Rに定義する6次の多項式と、第2曲線形状D22を軸線O42の他方側Rから一方側Lに定義する6次の多項式は同一とされている。
上ピンチロールR421のクラウン(第1プロフィルPR421)は、図7Bに示すとおりである。
図7Bに示したのは、上ピンチロールR421のクラウンを構成する6次の多項式の一例である。
<6次の多項式>
R26(X)=A26×X+B26×X+C26×X+D26×X+E26×X+F26
A26=19118、B26=64084、C26=75507、D26=4343.6、E26=164.19、F26=260.84875
ここで、R26(X)は、軸線O41からのクラウン量(半径あたりの数値)を、Xは軸方向の位置を示している。
多項式の具体的な求め方については、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422とのシフト量を最大とした状態において、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422との軸方向の間隙分布を、図11(A)に示すような鋳造開始時の薄肉鋳片のプロフィルと幾何学的に一致するように、かつ、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422とのシフト量を最小とした状態において、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422との軸方向の間隙分布を、図11(C)に示すような定常時の薄肉鋳片のプロフィルと幾何学的に一致するように、各項の係数を決めても良い。
なお、上記多項式は一例であり、条件等に応じて任意に設定することができる。
また、多項式の次数を高次に設定することで、所望のクラウンに近似させやすくなることはいうまでもない。
次に、図8を参照して、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10が鋳造した鋳造ストリップSを圧延前ピンチロール装置40によってインラインミル50に送る際の作用について説明する。
図8は、第2実施形態に係る圧延前ピンチロール装置40によって、インラインミル50に鋳造ストリップSを送る際の作用について説明する概略図である。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
(1)鋳造開始前は、上ピンチロールR421と、下ピンチロールR422は、図8(A)に示すように、軸線O41、O42方向において対向する位置(上ピンチロールR421と下ピンチロールR422が幅方向で揃う位置)に配置される。
そして、鋳造を開始する際には、上ピンチロールR421を矢印F4211方向に、下ピンチロールR422を矢印F4221方向に移動し、例えば、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422を、第1凹曲線形状D212と第2凹曲線形状D221が軸線O41、O42方向において近接した状態で停止させる。ここで、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422の間隙は、可能な限り鋳造ストリップに板幅方向のいずれの位置でも押付力が均等になるように(バラつきが小さくなるように)配置する。
(2)図8(B)に示すように、例えば、図8(A)において、第1凸曲線形状D211と第2凸曲線形状D222が軸線O41、O42方向において離間(第1凹曲線形状D212と第2凹曲線形状D221が軸線O41、O42方向において近接)した状態で停止させた上ピンチロールR421と下ピンチロールR422を、矢印F4212、矢印F4222方向に移動させる。
そして、金属溶湯貯留部に溶鋼(金属溶湯)を供給して鋳造ストリップを形成する。
このとき、鋳造ストリップS421(S)は、幅方向中央がわずかにくぼんだ板プロフィルを有しているが、一対のピンチロールR420は、鋳造ストリップS421(S)のくぼんだ部分を他の部分とほぼ均等の押付力で挟んで通板する。また、鋳造ストリップS421(S)の板幅端部に大きな凝固シェルが形成されていても、第1エッジ逃し形状E421、第2エッジ逃し形状E422によって凝固シュル部分(エッジアップ部分)を大きな押付力で圧下することが抑制される。
鋳造を開始した後は、定常状態時になるまで上ピンチロールR421を矢印F4212方向に移動し、下ピンチロールR422を矢印F4222方向に移動する。
(3)鋳造を開始して定常鋳造時に到達するまでは、図8(C)に示すように、上ピンチロールR421を矢印F4213方向に移動するとともに、下ピンチロールR422を矢印F4223方向に移動しながら鋳造ストリップS12を通板する。
鋳造開始から定常鋳造時に到達するまでの間は、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10の第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12(図1参照)の温度が上昇して幅方向中央側が拡径(熱膨張)するので、鋳造ストリップS422(S)の幅方向中央の凹形が次第に小さく(浅く)変形するが、上ピンチロールR421、下ピンチロールR422によって形成される間隙が鋳造ストリップS422(S)と対応して狭くなることから、鋳造ストリップS422(S)を幅方向において均等に押圧して挟むことができる。
エッジアップがなくなって(又はエッジアップが設定値以下になって)第1エッジ逃し形状E421、第2エッジ逃し形状E422の必要がなくなったら、軸線O41(O42)方向の移動を停止する。
(4)定常鋳造時に到達すると、図8(D)に示すように、上ピンチロールR421、下ピンチロールR422の移動を停止する。
定常鋳造時に到達すると、鋳造ストリップS423(S)の板プロフィルが変化しなくなるので、上ピンチロールR421及び下ピンチロールR422は停止して、鋳造ストリップS423(S)は幅方向にほぼ均等に押圧しながら通板する。
第2実施形態に係る圧延前ピンチロール装置及びピンチロール方法によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、一対のピンチロールR420が、第1エッジ逃し形状E421と、第2エッジ逃し形状E422を備えているので、鋳造開始時に鋳造ストリップSの板幅端部に厚い凝固シェルが形成された場合であっても、鋳造ストリップSの板幅端部を大きな力で押圧して圧下(圧延)するのを抑制することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例は、図1と同様の構成を備えた鋳造ストリップの製造工程において実施した。また、実施例で使用した鋳造ストリップは、板厚2mm、板幅1200mmである。
鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは150m/min/30秒であり、定常鋳造状態の冷却ドラムの回転速度は150m/minである。
また、インラインミルでは圧下率30%の圧延が行われ、インラインミル出側の鋳造ストリップの板厚は1.4mmである。
また、第1ピンチロールとインラインミル間の張力は合力で3.6tf(応力:約15MPa)である。また、押付力は左右合わせて約15tfである。
比較例1は、従来技術に係る圧延前ピンチロール装置において、ロールプロフィルをフラットに設定して、鋳造ストリップのオフセンターをゼロにした。
そして、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)となるように荷重制御した。
比較例2は、従来技術に係る圧延前ピンチロール装置において、ロールプロフィルを台形に設定し、鋳造ストリップにオフセンター(10〜120mm)を与えた。
そして、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)になるように荷重制御した。
本発明例1は、前述の第2実施形に係るロールプロフィルを備えた圧延前ピンチロール装置を使用して、鋳造ストリップのオフセンターをゼロにした。
そして、鋳造開始直後は板端部とピンチロールとが接触しないようにして、鋳造開始後の定常状態では、ピンチロールが板全面と接触するように、ピンチロールの軸線O41、O42方向のシフト量を制御するとともに、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)になるように荷重制御した。
本発明例2は、前述の第2実施形に係るロールプロフィルを備えた圧延前ピンチロール装置を使用して、オフセンター(10〜120mm)を与えた。
そして、鋳造開始直後は板端部とピンチロールとが接触しないようにして、鋳造開始後の定常状態では、ピンチロールが板全面と接触するようにし、ピンチロールの軸線O41、O42方向のシフト量を制御するとともに、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)になるように荷重制御した。
また、鋳造ストリップのオフセンター位置を検出して、上ピンチロール及び下ピンチロールが、軸線O41(O42)方向において、鋳造ストリップの幅方向中央から等距離(鋳造ストリップの幅方向中央に対して対称)となるように上下のピンチロールの軸線O41(O42)方向位置を補正するとともに、押付力が板幅方向に均一になるように左右のピンチロール押付力を修正した。
比較例1では、鋳造開始から28秒以降でないと安定したフライングタッチはできなかった。その結果、約40mのオフゲージが発生した。
比較例2では、鋳造開始から5秒で安定したフライングタッチが可能となり、オフゲージは約8mに抑えられた。しかしながら、オフセンターを50mm以上与えると蛇行が拡大して、最終的に、鋳造ストリップが圧延前ピンチロール装置のハウジングポストに当たって破断した。
本発明例1では、鋳造開始から5秒で安定したフライングタッチが可能となり、オフゲージは約8mに抑えられた。
また、オフセンターを50mm与えても蛇行が拡大されることはなかったが、オフセンターを90mm以上与えると蛇行が拡大して、最終的に、鋳造ストリップが圧延前ピンチロール装置のハウジングポストに当たって破断した。
本発明例2では、鋳造開始から5秒で安定したフライングタッチが可能となり、オフゲージは約8mに抑えられた。
また、オフセンターを90mm与えても蛇行が拡大されることはなかった。
以上のことから、本発明によれば、双ドラム式薄肉鋳造ストリップ連続鋳造設備において、圧延前ピンチロール装置での蛇行を防止されて、早期フライングタッチが可能となり、鋳造ストリップを安定して製造できるが判明した。
その結果、鋳造ストリップの製造コストを低減できることが明らかとなった。
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、一対のピンチロールR410、R420が3次以上の多項式で定義される第1曲線形状、第2曲線形状を含むプロフィルを有している場合について説明したが、一対のピンチロールR410、R420の表面に形成されるプロフィルを多項式で定義する場合における、多項式の次数は任意に設定してもよい。
また、上記実施の形態においては、例えば、第1曲線形状D11、D21、第2凸曲線形状D21、D22が3次以上の多項式により定義される場合について説明したが、多項式以外の手段(例えば、数値データの集合等)によって定義してもよい。また、第1凸曲線形状、第1凹曲線形状、第2凹曲線形状、第2曲線形状のいずれか一つを多項式以外によって定義してもよい。
また、上記実施の形態においては、第1曲線形状D411、D421と第2曲線形状D412、D422に関して、一方側から定義した第1曲線形状D411、D421と他方側から定義した第2曲線形状D412、D422が同一である場合である場合について説明したが、一方側から定義した第1曲線形状D411、D421と他方側から定義した第2曲線形状D412、D422を同一とするかどうかは任意に設定することができる。
また、上記実施の形態においては、上ピンチロールR421、R421と下ピンチロールR421、R422がともに移動する場合について説明したが、上ピンチロールR421、R421と下ピンチロールR421、R422のいずれを移動するかは任意に設定することが可能であり、上ピンチロールR421、R421と下ピンチロールR421、R422のうち一方のみが軸線O42、O42に沿って移動する構成としてもよい。
なお、上記実施の形態においては、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造装置10が、鋳造ストリップSの鋳造を開始する際に、ダミーシート11を用いる場合について説明したが、ダミーシートを用いない場合であっても、一対の冷却ドラムのプロフィルが経過時間とともに熱膨張する双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造装置に対して適用することが可能である。
また、上記実施の形態においては、第1プロフィルPR421、第2プロフィルPR422が、第1エッジ逃し形状E421、第2エッジ逃し形状E422を備える場合について説明したが、例えば、第1プロフィルPR421、第2プロフィルPR422が第1エッジ逃し形状E421、第2エッジ逃し形状E422を備えるかどうかは任意に設定することができ、第1プロフィルPR421、第2プロフィルPR422のいずれか一方が第1エッジ逃し形状E421、第2エッジ逃し形状E422を備える構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、第1プロフィルPR421の一方側Lに、他方側Rに向かうにしたがって拡径される部分と、第2プロフィルPR422の他方側Rに、他方側Rに向かうにしたがって縮径される部分と、を備える場合について説明したが、これらの双方又はいずれか一方を備えるかどうか、又はいずれも備えない構成とするかどうかは任意に設定することができる。
また、上記実施の形態においては、金属溶湯が溶鋼である場合について説明したが、アルミニウム、銅等、溶鋼以外の金属溶湯を用いる双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置に適用してもよい。
この発明に係る圧延前ピンチロール装置及び圧延前ピンチロール方法によれば、双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置で鋳造した薄肉鋳片を、蛇行を抑制しながらインラインミルに通板して、薄肉鋳片の歩留まりを向上することができるので、産業上利用可能である。
L 一方側
R 他方側
O1、O2 軸線(冷却ドラム)
O42、O42 軸線(回転軸線(ピンチロール))
S 鋳造ストリップ(薄肉鋳片)
T タンディッシュ
10 双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造装置(双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置)
R10 一対の冷却ドラム
R11 第1冷却ドラム
R12 第2冷却ドラム
11 ダミーシート
12 突起部
13 ダミーバー
15 金属溶湯貯留部
20 酸化防止装置
30 冷却装置
40 圧延前ピンチロール装置
40A、40B 位置検出装置
R421、R421 上ピンチロール(第1ピンチロール)
R421、R422 下ピンチロール(第2ピンチロール)
PR11、PR21 第1プロフィル
PR12、PR22 第2プロフィル
D11、D21 第1曲線形状
D12、D22 第2曲線形状
D111、D211 第1凸曲線形状
D112、D212 第1凹曲線形状
E421 第1エッジ逃し形状
D121、D221 第2凸曲線形状
D122、D222 第2凹曲線形状
E422 第2エッジ逃し形状
42 ハウジング
42A、42B ロールチョック
43A 上圧延荷重検出装置
43B 下圧延荷重検出装置
44 電動圧下装置(圧下手段)
50 インラインミル
51A、51B ワークロール
52A、52B 中間ロール
53A、53B バックアップロール
54 インラインミル制御装置
542 油圧圧下シリンダ
542 ミル油圧圧下装置
543 ロール回転速度設定手段
544 ロールベンディング力設定手段
545 ロールクロス角度設定手段
55 板厚計
60 圧延後ピンチロール装置
81 送りロール
82、83 テンションロール
84 デフレクタロール
70 巻取装置

Claims (12)

  1. 一対の冷却ドラムとサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を前記一対の冷却ドラムを回転させながらその周面で凝固、成長させ鋳造する双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置において形成された薄肉鋳片を、一対のピンチロールによってインラインミルに送る圧延前ピンチロール装置であって、
    前記一対のピンチロールは、
    回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状と、前記第1凸曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状と、を有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、
    回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状と、前記第2凹曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状と、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、
    を備え、
    前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールは、前記回転軸線に沿って相対移動可能に構成されていることを特徴とする圧延前ピンチロール装置。
  2. 請求項1に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
    前記第1曲線形状と、前記第2曲線形状の少なくともいずれか一方は、多項式で定義されていることを特徴とする圧延前ピンチロール装置。
  3. 請求項1又は2に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
    前記第1曲線形状の前記他方側に接続されて前記他方側に向かうにしたがって縮径された第1エッジ逃し形状と、前記第2曲線形状の前記一方側に接続されて前記一方側に向かうにしたがって縮径された第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする圧延前ピンチロール装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
    予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう前記薄肉鋳片の板プロフィルとに基づいて、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールの前記回転軸線方向の相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
    前記一対のピンチロールの通板方向前方と通板方向後方の少なくともいずれか一方に、前記薄肉鋳片の幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、
    前記位置検出装置が検出した薄肉鋳片の幅方向位置に基づいて、前記一対のピンチロールが前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して対称に挟むように前記一対のピンチロールの相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール装置。
  6. 請求項5に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
    前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントが等しくなるように前記一対のピンチロールの押付力を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール装置。
  7. 一対の冷却ドラムとサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を前記一対の冷却ドラムを回転させながらその周面で凝固、成長させ鋳造する双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置において形成された薄肉鋳片を一対のピンチロールによってインラインミルに送る圧延前ピンチロール方法であって、
    前記一対のピンチロールは、
    回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状と、前記第1凸曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状と、を有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、
    回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状と、前記第2凹曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状と、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、
    を備え、
    前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールは、前記回転軸線に沿って相対移動可能に構成されていることを特徴とする圧延前ピンチロール方法。
  8. 請求項7に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
    前記第1曲線形状と、前記第2曲線形状の少なくともいずれか一方は、多項式で定義されていることを特徴とする圧延前ピンチロール方法。
  9. 請求項7又は8に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
    前記第1曲線形状の前記他方側に接続されて前記他方側に向かうにしたがって縮径された第1エッジ逃し形状と、前記第2曲線形状の前記一方側に接続されて前記一方側に向かうにしたがって縮径された第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする圧延前ピンチロール方法。
  10. 請求項7から9のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
    予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう前記薄肉鋳片の板プロフィルとに基づいて、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールの前記回転軸線方向の相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール方法。
  11. 請求項7から10のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
    前記一対のピンチロールの通板方向前方と通板方向後方の少なくともいずれか一方に、前記薄肉鋳片の幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、
    前記位置検出装置が検出した薄肉鋳片の幅方向位置に基づいて、前記一対のピンチロールが前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して対称に挟むように前記一対のピンチロールの相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール方法。
  12. 請求項11に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
    前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントが等しくなるように前記一対のピンチロールの押付力を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール方法。
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