JP2018061999A - 圧延前ピンチロール装置、及び圧延前ピンチロール方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薄肉鋳片をインラインミルに送る圧延前ピンチロール装置であって、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かって縮径される第1凸曲線形状D111、第1凹曲線形状D112とを含む第1プロフィルPR411が形成された第1ピンチロールR411と、軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かって拡径される第2凹曲線形状D121、第2凸曲線形状D122とを含む第2プロフィルPR412が形成された第2ピンチロールR412とを備え、前記第1ピンチロールR411と前記第2ピンチロールR412は前記軸線O41、O42に沿って相対移動することを特徴とする。
【選択図】図4A
Description
そして、ミル油圧圧下装置は、統括制御装置からの指令(ミル圧下REF信号)に基づいて、油圧圧下シリンダを制御して、ロールギャップを変化させることが可能とされている。
また、ダミーシートを先導するダミーバーは、帯状鋳片に比べてかなり厚く形成されており、鋳造ストリップの先端とダミーシートとの接続部には、鋳造ストリップの板厚よりも厚い突起部が形成されている。
そして、インラインミルにおける圧延(フライングタッチ)は、上述の突起部がインラインミルを通過した後に開始される。
また、冷却ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって一定温度以上にならないように冷却されており、冷却ドラムの温度が一定に到達して以降の期間を定常鋳造時といい、定常鋳造時の冷却ドラムの温度を定常温度といい、このような状態を定常状態という。
その結果、鋳造開始直後の鋳造ストリップS201の板プロフィルは、図10(A)に示すように、幅方向端部に大きなエッジアップが形成される。
その結果、鋳造開始後しばらく経過した時点の鋳造ストリップS202の板プロフィルは、図10(B)に示すように、幅方向端部に鋳造開始直後の鋳造ストリップS201より小さなエッジアップが形成される。
その結果、鋳造開始からさらに時間が経過して定常状態に到達した後の鋳造ストリップS203の板プロフィルは、図10(C)に示すように、エッジアップはほとんど解消されることとなる。
その結果、鋳造ストリップのオフゲージは、鋳造ストリップの歩留まりが低下して製造コストが増大する大きな原因となっている。
また、ピンチロールにおける左右の荷重を検出して、ピンチロールにおける左右の荷重差を小さくすることにより、ピンチロールにおける左右のギャップ差を調整する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
さらに、鋳造ストリップが蛇行していない状態でオフセンターが生じた場合に、鋳造ストリップの板端部に相当する部分のロール径を小さくすると、蛇行が助長されるという問題があった。
請求項1に記載の発明は、一対の冷却ドラムとサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を前記一対の冷却ドラムを回転させながらその周面で凝固、成長させ鋳造する双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置において形成された薄肉鋳片を、一対のピンチロールによってインラインミルに送る圧延前ピンチロール装置であって、前記一対のピンチロールは、回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状と、前記第1凸曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状と、を有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状と、前記第2凹曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状と、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、を備え、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールは、前記回転軸線に沿って相対移動可能に構成されていることを特徴とする。
その結果、薄肉鋳片を効率的にインラインミルに送って効率的に圧延することができる。
また、この明細書において、第1曲線形状と第2曲線形状とは、一方側から定義した第1曲線形状と他方側から定義した第2曲線形状とが同一である場合と、同一でない場合があるものとする。
また、第1プロフィル、第2プロフィルは、第1曲線形状、第2曲線形状以外の形状部分(例えば、第1凸曲線形状の一方側に接続されて一方側から他方側に向かうにしたがって漸次拡径される曲線形状、第2凸曲線形状の他方側に接続されて一方側から他方側に向かうにしたがって漸次縮径される曲線形状、やその他の形状部分)を含む場合があるものとする。
また、第1冷却ドラムと第2冷却ドラムを相対移動させるとは、第1冷却ドラムと第2冷却ドラムの双方が軸線に沿って移動する場合のほか、第1冷却ドラムと第2冷却ドラムのうち一方のみが軸線に沿って移動する場合があるものとする。
その結果、一対のピンチロールの製造コストを削減することができる。
また、第1ピンチロールと第2ピンチロールの軸線方向の相対移動量を制御する場合、一定速度で移動する場合、移動速度を鋳造後経過時間等のパラメータにともなって変化させながら移動する場合を含むものとする。
その結果、インラインミルにおける薄肉鋳片の歩留まりを向上して、薄肉鋳片の製造コストを削減することができる。
以下、図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、鋳造ストリップ(薄肉鋳片)の製造工程の概略構成を説明する図であり、図2は、第1実施形態に係る双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備(双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置)の一例を説明する概略構成図である。また、図3は、第1実施形態に係る冷却ドラムの概略構成を説明する図である。
図1、図2において、符号1は鋳造ストリップ製造工程を、符号10は双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備を、符号R10は一対の冷却ドラムを、符号Sは鋳造ストリップを示している。
また、圧延前ピンチロール装置40とインラインミル50の間にはテンションロール82が配置され、インラインミル50と圧延後ピンチロール装置60の間にはテンションロール83が配置されている。
また、圧延後ピンチロール装置60と巻取装置70の間にはデフレクタロール84が配置されている。
また、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12は、製造する鋳造ストリップSの板厚(内部品質)と対応させて、第1冷却ドラムR11と第2冷却ドラムR12の間隔(回転軸の軸間距離)を調整可能とされている。
なお、送りロール81は、例えば、ロール径200mm、ロール胴長(幅)2000mmの一対のロールにより構成されている。
上ピンチロールR411、下ピンチロールR412の移動量は、例えば、予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう鋳造ストリップSの板プロフィルに基づいて設定されている。
第1プロフィルPR411は、例えば、第1曲線形状D11を含んでいて、例えば、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって一旦拡径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなり軸線O41と平行になって第1曲線形状D11に接続され、第1曲線形状D11は他方側Rに向かうにしたがって漸次拡径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次大きくなるように形成されている。
ここで、軸線O41に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O41に対する傾きの絶対値により表示している。
ここで、第1凹曲線形状D112に係る軸線O41の「他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなる」とは、第1凹曲線形状D112が、上ピンチロールR411の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第1凹曲線形状D112が軸線O41に向かって窪む部分を含んでいることを必ずしも意味しない。
第2プロフィルPR412は、例えば、第2曲線形状D12を含んでいて、軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって一旦縮径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次小さくなって軸線O42と平行になって第2曲線形状D12に接続され、第2曲線形状D12は他方側Rに向かうにしたがって漸次縮径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次大きくなるように形成されている。
ここで、軸線O42に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O42に対する傾きの絶対値により表示している。
ここで、第2凹曲線形状D121に係る「軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら回転軸O42に対する接線の傾きが漸次大きくなる」とは、第2凹曲線形状D121が、上ピンチロールR412の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第2凹曲線形状D121が軸線O42に向かって窪んでいることを必ずしも意味しない。
なお、図4Bに示すように、上ピンチロールR411の一方側Lのドライブサイド端を0とし、他方側Rのワークサイド端を1.0とし、軸線方向の中央位置(0.5)におけるクラウンを0として説明する。
また、第1曲線形状D11を軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かって定義する3次以上の多項式と、第2曲線形状D12を軸線O42の他方側Rから一方側Lに向かって定義する3次以上の多項式は同一とされている。
なお、第1曲線形状D11を軸線O1の一方側Lから他方側Rに向かって定義する多項式と、第2曲線形状D12を軸線O2方向の他方側Rから一方側Lに向かって定義する多項式とは、異なる(同一でない)構成とされていてもよい。
図4Bに示したのは、上ピンチロールR411のクラウンを構成する3次、4次の多項式の一例である。
多項式の具体的な求め方については、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412とのシフト量を最大とした状態において、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412との軸方向の間隙分布を、図9(A)に示すような鋳造開始時の薄肉鋳片のプロフィルと幾何学的に一致するように、かつ、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412とのシフト量を最小とした状態において、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412との軸方向の間隙分布を、図9(C)に示すような定常時の薄肉鋳片のプロフィルと幾何学的に一致するように、各項の係数を決めても良い。
第1冷却ドラムR11あるいは第2冷却ドラムR12の半径方向の熱膨張量は、熱伝導計算で求めても良いし、鋳造開始前と定常状態とでの軸方向のドラム間隙分布を測定することによって求めても良い。
上ピンチロールR411のクラウンは、例えば、次のような3次の多項式で表すことができる。
R13(X)=A13×X3+B13×X2+C13×X+D13
A13=2472.8、B13=3118.3、C13=498.99、
D13=220.98
ここで、R13(X)は、軸線O41からのクラウン量(半径あたりの数値)を、Xは軸方向の位置を示している。
上ピンチロールR411のクラウンは、例えば、次のような4次の多項式で表すことができる。
R14(X)=A14×X4+B14×X3+C14×X2+D14×X+E14
A14=1544.3、B14=5561.4、C14=5048.7、
D14=885.06、E14=220.9875
ここで、R14(X)は、軸線O41からのクラウン量(半径あたりの数値)を、Xは軸方向の位置を示している。
また、多項式の次数を高次に設定することで、所望のクラウンに近似させやすくなることはいうまでもない。
また、上ピンチロールR411は、上圧延荷重検出装置43Aを介してパスライン調整装置44と連結され、下ピンチロールR40Bは、圧下装置43Bと接続されている。
また、圧延前ピンチロール装置40は、鋳造ストリップSの幅方向中央に対して左右に生じるモーメントが等しくなるように、一対のピンチロールR412の押付力を制御するようになっている。
インラインミル50は、図1、図2に示すように、対向配置されたワークロール51A、51Bと、ワークロール51A、51Bの背後に配置された中間ロール52A、52Bと、中間ロール52A、52Bの背後に配置されたバックアップロール53A、53Bと、インラインミル制御装置54と、板厚計55とを備えている。
この実施形態では、例えば、ワークロール外径400mm、中間ロール外径450mm、バックアップロール外径1200mm、胴長(幅)はいずれも2000mmとされている。
なお、圧延後ピンチロール装置60のロールは、例えば、外径400mm、ロール胴長(幅)2000mmとされている。
(1)まず、タンディッシュTが金属溶湯を一時的に貯蔵する。
(2)次に、タンディッシュTに貯蔵された金属溶湯を、タンディッシュ下部に形成されたノズルを介して、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10の金属溶湯貯留部15に注入する。このとき、ノズルを制御して、金属溶湯貯留部15に貯留される金属溶湯の量を一定とする。
(3)次いで、一対の冷却ドラムR10を回転させながら、金属溶湯貯留部15に貯留された金属溶湯を一対の冷却ドラムR10の周面で凝固、成長させて、鋳造ストリップSを鋳造する。
双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10において鋳造を開始する際は、例えば、図5に示すように、鋳造ストリップSの先端となる部分にダミーシート11を接続する。このとき、ダミーシート11の進行方向先端側には鋳造ストリップSに比べてかなり厚いダミーバー13が設けられ、鋳造ストリップSとダミーシート11の接続部には、鋳造ストリップSの板厚よりも厚い突起部12が形成される。
この実施形態では、鋳造ストリップSの寸法は、例えば、板厚2mm、板幅1200mmとされ、一対の冷却ドラムR10の周速(鋳造速度)は、例えば、150m/minである。ただし、これに限定されない。
(4)一対の冷却ドラムR10で形成された鋳造ストリップSは、必要に応じて、酸化防止装置20において、酸化防止処理をする。
(5)次いで、送りロール81によって、冷却ドラムR10と送りロール81の間における鋳造ストリップSのループ長を一定に保ちながら、鋳造ストリップSを下流側に搬送する。
(6)次に、必要に応じて、冷却装置30によって鋳造ストリップSを冷却する。
(7)次いで、圧延前ピンチロール装置40によって、鋳造ストリップSに圧延前ピンチロール装置40とインラインミル50間の張力を発生させながらインラインミル50に送る。
(8)インラインミル50は、突起部12がインラインミル50を通過した後、フライングタッチを開始する。すわなち、鋳造ストリップSの板速度にインラインミルのロール速度を同期させながら圧下力をかけて行く。
(9)インラインミル50は、鋳造ストリップSを圧延して、所望の板厚に調整する。
(10)圧延後ピンチロール装置60によって、鋳造ストリップSにインラインミル50と圧延後ピンチロール装置60間の張力を発生させながら、鋳造ストリップSをインラインミル50から巻取装置70に送る。
(11)巻取装置70は、送られてきた鋳造ストリップSを巻き取る。
図6は、圧延前ピンチロール装置40によって、インラインミル50に鋳造ストリップSを送る際の作用について説明する概略図である。
鋳造ストリップの板クラウンは、鋳造開始直後の大きな凸型クラウンから定常時の小さな凸型クラウンに変化する(図9参照)。
鋳造を開始する際には、上ピンチロールR411を矢印F4111方向に、下ピンチロールR412を矢印F4121方向に移動する。そして、例えば、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412を、第1凸曲線形状D111と第2凸曲線形状D122が軸線O41、O42方向において離間(第1凹曲線形状D112と第2凹曲線形状D121が軸線O41、O42方向において近接)した状態で停止させる。ここで、上ピンチロールR411と下ピンチロールR412の間隙は、可能な限り鋳造ストリップに板幅方向のいずれの位置でも押付力が均等になるように(バラつきが小さくなるように)配置する。
(2)図6(B)に示すように、例えば、図6(A)において、第1凹曲線形状D112と第2凹曲線形状D121が軸線O41、O42方向において近接した状態で停止させた上ピンチロールR411と下ピンチロールR412を、矢印F4112、矢印F4122方向に移動させる。
このとき、上ピンチロールR411は軸線O41方向に凹形とされ、下ピンチロールR412は軸線O42方向に凹形とされており、一対のピンチロールR410の間隙は、軸線O41(O42)方向中央が端部よりも間隙が大きく形成される(図11参照。)。
そして、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412は、鋳造ストリップS411(S)のクラウン変化に応じて軸線O41、O42方向に移動させて、鋳造ストリップに板幅方向に可能な限り均等に押付力を負荷する。
(3)鋳造を開始して定常鋳造時に到達するまでは、図6(C)に示すように、上ピンチロールR411を矢印F4113方向に移動するとともに、下ピンチロールR412を矢印F4123方向に移動しながら鋳造ストリップS412(S)を通板する。
上ピンチロールR411、下ピンチロールR412が移動するにつれて、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412のロール間隙はロール幅方向中央における間隙がロール端部よりも大きいものの、図6(B)より小さくなり、鋳造開始直後の凸型クラウンが変化して小さくなるのに対応できる。
鋳造開始から定常鋳造時に到達するまでの間は、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10の第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12(図1参照)の温度が上昇して幅方向中央側が拡径(熱膨張)するので、鋳造ストリップS412(S)の幅方向中央の凹形が次第に小さく(浅く)変形するが、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412によって形成される間隙が鋳造ストリップS412(S)と対応して狭くなることから、鋳造ストリップS412(S)を幅方向において均等に押圧して挟むことができる。
(4)定常鋳造時に到達すると、図6(D)に示すように、上ピンチロールR411、下ピンチロールR412の移動を停止する。
定常鋳造時に到達すると、鋳造ストリップS413(S)の板プロフィルが変化しなくなるので、上ピンチロールR411及び下ピンチロールR412は停止する。
その結果、鋳造ストリップSを効率的にインラインミル40に送って効率的に圧延することができる。
その結果、一対のピンチロールR410の製造コストを削減することができる。
次に、図1〜図3、図5、図7A、図7B、図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、図1〜図3、図5については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。図7Aは、第2実施形態に係る一対のピンチロールの概略構成を説明する図であり、図7Bは、上ピンチロールの第1プロフィルに係る6次の多項式(3次以上の多項式)の一例を示す図である。図1〜図3、図7A、図8において、符号R420は一対のピンチロールを示している。
また、上ピンチロールR421と、下ピンチロールR422は、ピンチロール幅方向(軸線O41、O42)に沿って矢印F421、F422方向に相対移動するように制御可能とされている。
第1プロフィルPR421は、例えば、第1曲線形状D21を含んでいて、例えば、軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって一旦拡径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなってから第1曲線形状D21に接続され、第1曲線形状D21の他方側Rには第1エッジ逃し形状E421が形成されている。
ここで、軸線O41に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O41に対する傾きの絶対値により表示している。
ここで、第1凹曲線形状D212に係る「(軸線O41の)他方側Rに向かうにしたがって縮径されながら軸線O41に対する接線の傾きが漸次小さくなる」とは、第1凹曲線形状D212が、上ピンチロールR421の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第1凹曲線形状D212が軸線O41に向かって窪む部分を含んでいることを必ずしも意味しない。
第2プロフィルPR422は、例えば、第2曲線形状D22を含んでいて、軸線O42の一方側Lに第2エッジ逃し形状E422が形成され、第2エッジ逃し形状E422の他方側Rには第2曲線形状D22が接続され、第2曲線形状D22の他方側Rは漸次縮径されながら軸線O42に対する接線の傾きが漸次大きくなるように形成されている。
ここで、軸線O42に対する傾きが大きくなる又は小さくなるとは、軸線O42に対する傾きの絶対値により表示している。
ここで、第2凹曲線形状D221に係る「軸線O42の一方側Lから他方側Rに向かうにしたがって拡径されながら回転軸O42に対する接線の傾きが漸次大きくなる」とは、第2凹曲線形状D221が、上ピンチロールR422の外側に曲率中心を有する円の接線の集合である趣旨であり、第2凹曲線形状D221が軸線O42に向かって窪んでいることを必ずしも意味しない。
なお、第1曲線形状D21を軸線O41の一方側Lから他方側Rに向かって定義する多項式と、第2曲線形状D22を軸線O42の他方側Rから一方側Lに向かって定義する多項式とは、異なる(同一でない)構成とされていてもよい。
なお、図7Bに示すように、上ピンチロールR421の一方側Lのドライブサイド端を0とし、他方側Rのワークサイド端を1.0とし、軸線方向の中央位置(0.5)におけるクラウンを0として説明する。
また、第1曲線形状D21を軸線O41の一方側Lから他方側Rに定義する6次の多項式と、第2曲線形状D22を軸線O42の他方側Rから一方側Lに定義する6次の多項式は同一とされている。
図7Bに示したのは、上ピンチロールR421のクラウンを構成する6次の多項式の一例である。
R26(X)=A26×X6+B26×X5+C26×X3+D26×X2+E26×X+F26
A26=19118、B26=64084、C26=75507、D26=4343.6、E26=164.19、F26=260.84875
ここで、R26(X)は、軸線O41からのクラウン量(半径あたりの数値)を、Xは軸方向の位置を示している。
なお、上記多項式は一例であり、条件等に応じて任意に設定することができる。
また、多項式の次数を高次に設定することで、所望のクラウンに近似させやすくなることはいうまでもない。
図8は、第2実施形態に係る圧延前ピンチロール装置40によって、インラインミル50に鋳造ストリップSを送る際の作用について説明する概略図である。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
そして、鋳造を開始する際には、上ピンチロールR421を矢印F4211方向に、下ピンチロールR422を矢印F4221方向に移動し、例えば、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422を、第1凹曲線形状D212と第2凹曲線形状D221が軸線O41、O42方向において近接した状態で停止させる。ここで、上ピンチロールR421と下ピンチロールR422の間隙は、可能な限り鋳造ストリップに板幅方向のいずれの位置でも押付力が均等になるように(バラつきが小さくなるように)配置する。
(2)図8(B)に示すように、例えば、図8(A)において、第1凸曲線形状D211と第2凸曲線形状D222が軸線O41、O42方向において離間(第1凹曲線形状D212と第2凹曲線形状D221が軸線O41、O42方向において近接)した状態で停止させた上ピンチロールR421と下ピンチロールR422を、矢印F4212、矢印F4222方向に移動させる。
そして、金属溶湯貯留部に溶鋼(金属溶湯)を供給して鋳造ストリップを形成する。
このとき、鋳造ストリップS421(S)は、幅方向中央がわずかにくぼんだ板プロフィルを有しているが、一対のピンチロールR420は、鋳造ストリップS421(S)のくぼんだ部分を他の部分とほぼ均等の押付力で挟んで通板する。また、鋳造ストリップS421(S)の板幅端部に大きな凝固シェルが形成されていても、第1エッジ逃し形状E421、第2エッジ逃し形状E422によって凝固シュル部分(エッジアップ部分)を大きな押付力で圧下することが抑制される。
鋳造を開始した後は、定常状態時になるまで上ピンチロールR421を矢印F4212方向に移動し、下ピンチロールR422を矢印F4222方向に移動する。
(3)鋳造を開始して定常鋳造時に到達するまでは、図8(C)に示すように、上ピンチロールR421を矢印F4213方向に移動するとともに、下ピンチロールR422を矢印F4223方向に移動しながら鋳造ストリップS12を通板する。
鋳造開始から定常鋳造時に到達するまでの間は、双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造設備10の第1冷却ドラムR11、第2冷却ドラムR12(図1参照)の温度が上昇して幅方向中央側が拡径(熱膨張)するので、鋳造ストリップS422(S)の幅方向中央の凹形が次第に小さく(浅く)変形するが、上ピンチロールR421、下ピンチロールR422によって形成される間隙が鋳造ストリップS422(S)と対応して狭くなることから、鋳造ストリップS422(S)を幅方向において均等に押圧して挟むことができる。
エッジアップがなくなって(又はエッジアップが設定値以下になって)第1エッジ逃し形状E421、第2エッジ逃し形状E422の必要がなくなったら、軸線O41(O42)方向の移動を停止する。
(4)定常鋳造時に到達すると、図8(D)に示すように、上ピンチロールR421、下ピンチロールR422の移動を停止する。
定常鋳造時に到達すると、鋳造ストリップS423(S)の板プロフィルが変化しなくなるので、上ピンチロールR421及び下ピンチロールR422は停止して、鋳造ストリップS423(S)は幅方向にほぼ均等に押圧しながら通板する。
また、一対のピンチロールR420が、第1エッジ逃し形状E421と、第2エッジ逃し形状E422を備えているので、鋳造開始時に鋳造ストリップSの板幅端部に厚い凝固シェルが形成された場合であっても、鋳造ストリップSの板幅端部を大きな力で押圧して圧下(圧延)するのを抑制することができる。
実施例は、図1と同様の構成を備えた鋳造ストリップの製造工程において実施した。また、実施例で使用した鋳造ストリップは、板厚2mm、板幅1200mmである。
鋳造開始からの冷却ドラムの加速レートは150m/min/30秒であり、定常鋳造状態の冷却ドラムの回転速度は150m/minである。
また、インラインミルでは圧下率30%の圧延が行われ、インラインミル出側の鋳造ストリップの板厚は1.4mmである。
また、第1ピンチロールとインラインミル間の張力は合力で3.6tf(応力:約15MPa)である。また、押付力は左右合わせて約15tfである。
そして、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)となるように荷重制御した。
そして、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)になるように荷重制御した。
そして、鋳造開始直後は板端部とピンチロールとが接触しないようにして、鋳造開始後の定常状態では、ピンチロールが板全面と接触するように、ピンチロールの軸線O41、O42方向のシフト量を制御するとともに、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)になるように荷重制御した。
そして、鋳造開始直後は板端部とピンチロールとが接触しないようにして、鋳造開始後の定常状態では、ピンチロールが板全面と接触するようにし、ピンチロールの軸線O41、O42方向のシフト量を制御するとともに、押付力が一定(右7.5tf、左7.5tf)になるように荷重制御した。
また、鋳造ストリップのオフセンター位置を検出して、上ピンチロール及び下ピンチロールが、軸線O41(O42)方向において、鋳造ストリップの幅方向中央から等距離(鋳造ストリップの幅方向中央に対して対称)となるように上下のピンチロールの軸線O41(O42)方向位置を補正するとともに、押付力が板幅方向に均一になるように左右のピンチロール押付力を修正した。
また、オフセンターを50mm与えても蛇行が拡大されることはなかったが、オフセンターを90mm以上与えると蛇行が拡大して、最終的に、鋳造ストリップが圧延前ピンチロール装置のハウジングポストに当たって破断した。
また、オフセンターを90mm与えても蛇行が拡大されることはなかった。
その結果、鋳造ストリップの製造コストを低減できることが明らかとなった。
R 他方側
O1、O2 軸線(冷却ドラム)
O42、O42 軸線(回転軸線(ピンチロール))
S 鋳造ストリップ(薄肉鋳片)
T タンディッシュ
10 双ドラム式鋳造ストリップ連続鋳造装置(双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置)
R10 一対の冷却ドラム
R11 第1冷却ドラム
R12 第2冷却ドラム
11 ダミーシート
12 突起部
13 ダミーバー
15 金属溶湯貯留部
20 酸化防止装置
30 冷却装置
40 圧延前ピンチロール装置
40A、40B 位置検出装置
R421、R421 上ピンチロール(第1ピンチロール)
R421、R422 下ピンチロール(第2ピンチロール)
PR11、PR21 第1プロフィル
PR12、PR22 第2プロフィル
D11、D21 第1曲線形状
D12、D22 第2曲線形状
D111、D211 第1凸曲線形状
D112、D212 第1凹曲線形状
E421 第1エッジ逃し形状
D121、D221 第2凸曲線形状
D122、D222 第2凹曲線形状
E422 第2エッジ逃し形状
42 ハウジング
42A、42B ロールチョック
43A 上圧延荷重検出装置
43B 下圧延荷重検出装置
44 電動圧下装置(圧下手段)
50 インラインミル
51A、51B ワークロール
52A、52B 中間ロール
53A、53B バックアップロール
54 インラインミル制御装置
542 油圧圧下シリンダ
542 ミル油圧圧下装置
543 ロール回転速度設定手段
544 ロールベンディング力設定手段
545 ロールクロス角度設定手段
55 板厚計
60 圧延後ピンチロール装置
81 送りロール
82、83 テンションロール
84 デフレクタロール
70 巻取装置
Claims (12)
- 一対の冷却ドラムとサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を前記一対の冷却ドラムを回転させながらその周面で凝固、成長させ鋳造する双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置において形成された薄肉鋳片を、一対のピンチロールによってインラインミルに送る圧延前ピンチロール装置であって、
前記一対のピンチロールは、
回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状と、前記第1凸曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状と、を有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、
回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状と、前記第2凹曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状と、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、
を備え、
前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールは、前記回転軸線に沿って相対移動可能に構成されていることを特徴とする圧延前ピンチロール装置。 - 請求項1に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
前記第1曲線形状と、前記第2曲線形状の少なくともいずれか一方は、多項式で定義されていることを特徴とする圧延前ピンチロール装置。 - 請求項1又は2に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
前記第1曲線形状の前記他方側に接続されて前記他方側に向かうにしたがって縮径された第1エッジ逃し形状と、前記第2曲線形状の前記一方側に接続されて前記一方側に向かうにしたがって縮径された第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする圧延前ピンチロール装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう前記薄肉鋳片の板プロフィルとに基づいて、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールの前記回転軸線方向の相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
前記一対のピンチロールの通板方向前方と通板方向後方の少なくともいずれか一方に、前記薄肉鋳片の幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、
前記位置検出装置が検出した薄肉鋳片の幅方向位置に基づいて、前記一対のピンチロールが前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して対称に挟むように前記一対のピンチロールの相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール装置。 - 請求項5に記載の圧延前ピンチロール装置であって、
前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントが等しくなるように前記一対のピンチロールの押付力を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール装置。 - 一対の冷却ドラムとサイド堰によって金属溶湯貯留部を形成し、前記金属溶湯貯留部に貯留された金属溶湯を前記一対の冷却ドラムを回転させながらその周面で凝固、成長させ鋳造する双ドラム式薄肉鋳片連続鋳造装置において形成された薄肉鋳片を一対のピンチロールによってインラインミルに送る圧延前ピンチロール方法であって、
前記一対のピンチロールは、
回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第1凸曲線形状と、前記第1凸曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって縮径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第1凹曲線形状と、を有する第1曲線形状を含む第1プロフィルが外周面に形成された第1ピンチロールと、
回転軸線の一方側から他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸に対する接線の傾きが漸次大きくなる第2凹曲線形状と、前記第2凹曲線形状と接続され前記他方側に向かうにしたがって拡径されながら前記回転軸線に対する接線の傾きが漸次小さくなる第2凸曲線形状と、を有する第2曲線形状を含む第2プロフィルが外周面に形成された第2ピンチロールと、
を備え、
前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールは、前記回転軸線に沿って相対移動可能に構成されていることを特徴とする圧延前ピンチロール方法。 - 請求項7に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
前記第1曲線形状と、前記第2曲線形状の少なくともいずれか一方は、多項式で定義されていることを特徴とする圧延前ピンチロール方法。 - 請求項7又は8に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
前記第1曲線形状の前記他方側に接続されて前記他方側に向かうにしたがって縮径された第1エッジ逃し形状と、前記第2曲線形状の前記一方側に接続されて前記一方側に向かうにしたがって縮径された第2エッジ逃し形状の少なくともいずれか一方を備えることを特徴とする圧延前ピンチロール方法。 - 請求項7から9のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
予め取得した鋳造開始後経過時間にともなう前記薄肉鋳片の板プロフィルとに基づいて、前記第1ピンチロールと前記第2ピンチロールの前記回転軸線方向の相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール方法。 - 請求項7から10のいずれか1項に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
前記一対のピンチロールの通板方向前方と通板方向後方の少なくともいずれか一方に、前記薄肉鋳片の幅方向位置を検出する位置検出装置を備え、
前記位置検出装置が検出した薄肉鋳片の幅方向位置に基づいて、前記一対のピンチロールが前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して対称に挟むように前記一対のピンチロールの相対移動量を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール方法。 - 請求項11に記載の圧延前ピンチロール方法であって、
前記薄肉鋳片の幅方向中央に対して左右で生じるモーメントが等しくなるように前記一対のピンチロールの押付力を制御することを特徴とする圧延前ピンチロール方法。
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