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JP2018054107A - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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JP2018054107A
JP2018054107A JP2016194537A JP2016194537A JP2018054107A JP 2018054107 A JP2018054107 A JP 2018054107A JP 2016194537 A JP2016194537 A JP 2016194537A JP 2016194537 A JP2016194537 A JP 2016194537A JP 2018054107 A JP2018054107 A JP 2018054107A
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祐輔 渡部
Yusuke Watabe
祐輔 渡部
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れ、長期間にわたり摺動性能を維持できるとともに、相手材に対する攻撃性を緩和し相手材の損傷を防止し得る摺動部材及びその製造方法を提供する。【解決手段】裏金層と、該裏金層の一方の面に設けられ、摺動面を形成するライニング層とを備えた摺動部材であって、前記ライニング層は、前記裏金層側に位置する第一焼結金属層と、前記摺動面側に位置する第二焼結金属層とを備え、前記第一焼結金属層の空孔率が、前記第二焼結金属層の空孔率よりも高い摺動部材とする。【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材及びその製造方法に関し、より詳細には、耐摩耗性に優れ、長期間にわたり摺動性能を維持できるとともに、相手材に対する攻撃性を抑制し相手材の損傷を防止し得る摺動部材及びその製造方法に関する。
従来、建機や自動車などの各種機械において、ハウジングに挿通された軸を回転可能とするために、すべり軸受などの摺動部材が用いられており、これに関する技術も開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
摺動部材は、例えば、裏金層とライニング層とを備えたブシュを備え、該ブシュは、裏金層の表面で金属粉末を焼結することにより形成されたバイメタルの焼結合金からなり、この焼結合金がライニング層を形成している。また、このブシュを備えた摺動部材は、例えば、燃料噴射ポンプ、エンジン、変速機、ショックアブソーバー等においてすべり軸受として用いられている。すべり軸受は円筒形状を成し、その内部に形成される中空部分にて円柱状の相手軸を軸受けする。
ブシュをバイメタルの焼結金属により形成する技術として、例えば、特許文献2には、裏金鋼板と、前記裏金鋼板上に焼結接合されたFe系焼結摺動材料層と、前記Fe系焼結摺動材料層と前記裏金鋼板との接合界面近傍に形成されたFe系合金粒の拡散層と、前記接合界面近傍に形成された、該接合界面側に伸長するCu合金相と、を備えるブシュが提案されている。
また、その他のFe系焼結合金としては、Fe粉末とCu−Fe−Mn合金粉末とCo−Mo−Cr−Si超合金粉末とC粉末とからなるものも知られている(例えば、特許文献3を参照)。
特開2007−333185号公報 国際公開第2007/086621号 特開2012−162771号公報
しかし、従来技術の摺動部材は、建設機械用等の大きな面圧がかかる軸受に用いようとすると、耐摩耗性が不足し、改善が求められていた。また、特許文献3の技術は、Fe粉末とC粉末が焼結過程で反応して焼結組織中に高硬度の遊離セメンタイト(FeC)が析出し、これが相手材(軸)を攻撃して損傷させるという問題点がある。
そこで本発明の目的は、耐摩耗性に優れ、長期間にわたり摺動性能を維持できるとともに、相手材に対する攻撃性を緩和し相手材の損傷を防止し得る摺動部材及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、裏金上に摺動面を形成するライニングを備えてなる摺動部材において、ライニングを複数層構成とし、それぞれの層の空孔率を特定の関係に定めることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]裏金層と、該裏金層の一方の面に設けられ、摺動面を形成するライニング層とを備えた摺動部材であって、前記ライニング層は、前記裏金層側に位置する第一焼結金属層と、前記摺動面側に位置する第二焼結金属層とを備え、前記第一焼結金属層の空孔率が、前記第二焼結金属層の空孔率よりも高いことを特徴とする摺動部材。
[2]前記第一焼結金属層の空孔率と前記第二焼結金属層の空孔率との差が、5%以上であることを特徴とする前記[1]に記載の摺動部材。
[3]前記第一焼結金属層の空孔率が30〜40%であり、かつ前記第二焼結金属層の空孔率が10〜25%であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の摺動部材。
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の摺動部材を製造する方法であって、裏金層の一方の面に、第一の金属粉末を散布し、散布された第一の金属粉末を焼結して第一焼結金属層を形成する第一焼結工程と、前記第一焼結金属層上に、第二の金属粉末を散布し、該第二の金属粉末を緻密化させ、緻密化した第二の金属粉末を焼結して第二焼結金属層を形成する第二焼結工程とを有することを特徴とする摺動部材の製造方法。
[5]前記第二の金属粉末の緻密化が、下記(1)〜(3)からなる群から選択される少なくとも1つの方法により行われることを特徴とする前記[4]に記載の摺動部材の製造方法。
(1)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に振動を加える方法
(2)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に第二の金属粉末をプレスする方法
(3)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に脱気する方法
[6]前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の摺動部材を備えることを特徴とするすべり軸受。
本発明によれば、ライニング層が少なくとも第一焼結金属層と第二焼結金属層から構成され、第一焼結金属層の空孔率が第二焼結金属層の空孔率よりも高いので、硬く緻密な第二焼結金属層が初期のシビア摩耗に耐性を有し、また初期摩耗が進行した後は空孔率が高く潤滑油を多く含む第一焼結金属層から潤滑油が摺動面に供給され、長期間にわたり摩擦を低減することが可能となる。また、空孔率の高い第一焼結金属層は、大きな面圧がかかった場合に塑性変形しやすく、相手材に対する攻撃性を緩和することができる。
したがって本発明によれば、耐摩耗性に優れ、長期間にわたり摺動性能を維持できるとともに、相手材に対する攻撃性を緩和し相手材の損傷を防止し得る摺動部材及びその製造方法を提供することができる。
実施形態に係る摺動部材の外観を示す概念図である。 実施形態に係る摺動部材の製造方法におけるステップS01〜ステップS04の工程を示した図である。 実施形態に係る摺動部材の製造方法におけるステップS05〜ステップS07の工程を示した図である。 (a)及び(b)はそれぞれ、別実施例に係るカラーの製造方法を示した図。である 実施例1で得られた摺動部材のライニング層の断面観察の写真図である。
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態の摺動部材であるすべり軸受40の概略図である。すべり軸受40は円筒状の外形を呈しており、その摺動面としての内周面(内側)7から外周面(外側)8に向かう径方向に沿って、ライニング層11、裏金層15、カラー30の三層が、同心円状に配置されている。本実施形態に係るすべり軸受40は、図示しない建機や自動車などの各種機械が有するハウジングに相通された相手軸(以下、単に「軸」ともいう)を回転可能とするために用いられるすべり軸受であり、ハウジングに圧入されて使用されるものである。この軸は、すべり軸受40の中央に形成された穴を貫通するとともに、回転可能に支持されている。
ライニング層11は、回転する軸と直接接触する部材であって、軸が摺動しながら回転するため、低摩擦性、耐摩耗性、耐焼付性などが要求される。ライニング層11は、金属粉末を焼結して得られる焼結体(焼結金属)より構成される多孔質金属焼結層である。
本発明において、ライニング層11は、裏金層15側に位置する第一焼結金属層12と、摺動面7側に位置する第二焼結金属層13とを備える。
第一焼結金属層12を構成する焼結金属としては、例えば、鉄系焼結金属、銅系焼結金属、鉄銅合金系焼結金属等が挙げられる。中でも、ライニング層の硬度を高めて耐摩耗性を向上させるという観点から、鉄系焼結金属が好ましい。鉄系焼結金属としては、例えば、Cu:13.5〜22.5質量%、Sn:1.5〜2.5質量%、C:0.5〜3.0質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる金属等を挙げることができる。
第一焼結金属層12の厚みは、本発明の効果が向上するという観点から、例えば、500〜1500μmであり、800〜1200μmが好ましい。
第一焼結金属層12の空孔率は、30〜40%であることが好ましい。第一焼結金属層12の空孔率が30%以上であると、相手軸との摺動時において荷重がかかった際に第一焼結金属層12が変形しやすいため、ライニング層が相手軸となじみやすくなり、優れた耐摩耗性を有することができる。
なお、空孔率は、得られた摺動部材の切断断面を金属顕微鏡により撮影し、空孔を画像解析することにより測定することができる。
第一焼結金属層12の空孔率は、下記で説明するように、焼結条件、圧延時の圧力の度合等を適宜決定することにより調整することができる。
第二焼結金属層13を構成する焼結金属としては、上記の第一焼結金属層12で説明した各種焼結合金が挙げられ、好ましい焼結金属も同様である。本発明において、第一焼結金属層12と第二焼結金属層13とは、焼結合金の種類が同じでも異なっていてもよい。
第二焼結金属層13の厚みは、本発明の効果が向上するという観点から、例えば、1500〜2500μmであり、1200〜2000μmが好ましい。
本発明において、第一焼結金属層12と第二焼結金属層13の厚みの比は、1:1〜1:5であることが好ましく、1:2〜1:3であることがより好ましい。
第二焼結金属層13の空孔率は、10〜25%であることが好ましい。第二焼結金属層13の空孔率が10%以上であると、摺動に必要な潤滑油をライニング層に十分に染み込ませることができるので、摺動部材に優れた摺動特性を与えることができる。空孔率が25%以下であると、摺動部材として必要な強度を担保することができる。第二焼結金属層13の空孔率は、15〜25%であることが好ましい。
第二焼結金属層13の空孔率は、下記で説明するように、焼結条件、圧延時の圧力の度合、第二焼結金属層形成用粉末を緻密化させる手段・条件を適宜決定することにより調整することができる。
本発明の摺動部材は、第一焼結金属層12の空孔率が、第二焼結金属層13の空孔率よりも高いことを特徴としている。第一焼結金属層12の空孔率が、第二焼結金属層13の空孔率よりも高いことで、硬く緻密な第二焼結金属層13が初期のシビア摩耗に耐性を有し、また初期摩耗が進行した後は空孔率が高く潤滑油を多く含む第一焼結金属層12から潤滑油が摺動面に供給され、長期間にわたり摩擦を低減することが可能となる。また、空孔率の高い第一焼結金属層12は、大きな面圧がかかった場合に塑性変形しやすく、相手材に対する攻撃性を緩和することができる。
本発明において、第一焼結金属層12の空孔率と第二焼結金属層13の空孔率との差が、5%以上であることが好ましい。空孔率の差が5%未満であると、上記作用効果を奏することができない場合がある。
第一焼結金属層12の空孔率と第二焼結金属層13の空孔率との差は、5〜10%であることがより好ましい。
ライニング層11の厚みは、所望のすべり軸受の軸径に応じて適宜調整すればよいが、例えば直径80mmの軸が挿通される場合、1.65〜2.1mmが好ましい。
ライニング層11には、図1に示したように、その摺動面7に、外部から潤滑油を供給する溝6と、溝6から供給された潤滑油をためることが可能な複数の凹部(インデント)5を有することが好ましい。凹部5を備えることで、該凹部5に潤滑油を保持することができるため、摺動性能を良好に維持することができる。
本発明において、ライニング層11は第一焼結金属層12と第二焼結金属層13との間に更に他の焼結金属層を設けてもよい。他の焼結金属層の空孔率及び厚み、並びに他の焼結金属層を構成する焼結金属は任意であるが、空孔率は第二焼結金属層13よりも高く、第一焼結金属層12よりも小さいものであることが好ましい。
裏金層15は、板状の金属部材より構成され、軸からの荷重を受ける部材である。裏金層15とライニング層11との二層構造により構成されるバイメタルが、主として摺動部材としての役割を果たすブシュ20を構成する。
裏金層15を構成する金属としては、例えば、鉄系金属等が挙げられる。
裏金層15の厚みは、所望のすべり軸受の軸径に応じて適宜調整すればよいが、例えば直径80mmの軸が挿通される場合、1.85〜2.15mmが好ましい。
本発明において、ブシュ20に凹部5を形成する際に、加工機(例えば、プレス機)による応力によりブシュ20の背面、すなわち裏金層15側の表面に盛り上がりが発生する場合がある。そこで、ブシュ20の裏金層15側にカラー30を設けることが好ましい。
カラー30は、円筒形状を呈する金属部材より構成され、すべり軸受40の全体形状を維持するとともに、すべり軸受40(ブシュ20)をハウジングなどの他の部材に固定するための部材である。ブシュ20がカラー30の内面に圧入されることにより、すべり軸受40が形成される。
次に本発明の摺動部材の製造方法について、すべり軸受である場合について説明する。
本実施形態に係るすべり軸受40の製造方法は、裏金層15の一方の面に、第一の金属粉末を散布し、散布された第一の金属粉末を焼結して第一焼結金属層12を形成する第一焼結工程と、第一焼結金属層12上に、第二の金属粉末を散布し、該第二の金属粉末を緻密化させ、緻密化した第二の金属粉末を焼結して第二焼結金属層13を形成する第二焼結工程とを有する。具体的に、図2、3に示す如く、第一の粉末散布工程(ステップS01A)と第一の焼結工程(ステップS02A)、第二の粉末散布・緻密化工程(ステップS01B)と第二の焼結工程(ステップS02B)、凹部形成工程(ステップS03)、ブシュ形成工程(ステップS04)、熱処理工程(ステップS05)、圧入工程(ステップS06)、及び含油・仕上げ工程(ステップS07)を備える。以下、各工程について具体的に説明する。
図2に示したように、第一の粉末散布工程(ステップS01A)では、まず、板状の金属部材である裏金(裏金層15)を準備する。この裏金層15の材料には、例えば鉄系部材などが用いられる。次に、第一焼結金属層12を形成するための第一の金属粉末を、散布装置を用いて裏金層15の表面15aに散布し、散布層12aを形成する。第一の金属粉末としては、例えば、鉄粉と銅粉とが略均一に混合されたものを使用することができる。このように、板状の裏金層15の表面に略均一に散布層12aを散布して、板状の焼結前部材10aを構成する。なお、第一の金属粉末の平均粒径は、例えば、Fe:120μm、CuSn:60μm、C:15μmである。
次に、図2に示す第一の焼結工程(ステップS02A)では、第一の粉末散布工程(ステップS01A)で構成した焼結前部材10aを焼結炉に入れてヒータで加熱し、散布層12aにおける主成分である鉄粉末の融点よりも低い温度の雰囲気で散布層12aを焼結させる。
本発明の摺動部材における空孔率を得るために、ステップS02Aでの焼結温度は、例えば、800〜1300℃であり、好ましくは900〜1000℃であり、焼結時間は、例えば、30〜90分であり、好ましくは50〜80分である。
このステップS02Aにより、散布層12aは多孔質の第一焼結金属層12となるとともに、裏金層15と第一焼結金属層12とのバイメタルとなる。
次に、第二の粉末散布・緻密化工程(ステップS01B)では、第一の粉末散布工程(ステップS01A)と同様に、第二焼結金属層13を形成するための第二の金属粉末を、散布装置を用いて第一焼結金属層12上に散布し、散布層13aを形成する。第二の金属粉末としては、例えば、第一の金属粉末と同様のものを使用することができる。
第二の粉末散布・緻密化工程(ステップS01B)では、散布層13aに対して緻密化を行う。散布層13aの緻密化の方法としては特に限定されないが、下記(1)〜(3)からなる群から選択される少なくとも1つの方法により行われることが好ましい。
(1)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に振動を加える方法
(2)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に第二の金属粉末をプレスする方法
(3)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に脱気する方法
上記(1)〜(3)のいずれかの方法を行うことで、散布層13aに含まれる空気を除去するとともに粉末間の空隙部を減少させることができる。この緻密化の度合によって、第二焼結金属層13の空孔率の調整が可能である。
なお、このステップS01Bでは、散布層13aの緻密化が施される故に、散布層13a自体の厚みが減少する場合がある。この場合、所望の厚みの第二焼結金属層13を得るためには、散布層13a自体の厚みの減少を勘案して、緻密化前の散布層13aの厚みを増加させておくのが好ましい。
このように、第一焼結金属層12上の表面に略均一に散布層13aを散布して、板状の焼結前部材10bを構成する。
次に、図2に示す第二の焼結工程(ステップS02B)では、第二の粉末散布・緻密化工程(ステップS01B)で構成した焼結前部材10bを焼結炉に入れてヒータで加熱し、散布層13aにおける主成分である鉄粉末の融点よりも低い温度の雰囲気で散布層13aを焼結させる。
本発明の摺動部材における空孔率を得るために、ステップS02Bでの焼結温度は、例えば、800〜1300℃であり、好ましくは900〜1000℃であり、焼結時間は、例えば、30〜90分であり、好ましくは50〜80分である。
このステップS02Bにより、散布層13aは多孔質の第二焼結金属層13となるとともに、裏金層15と第一焼結金属層12と第二焼結金属層13とのバイメタルからなる焼結合金10となる。
上記第一焼結工程及び第二焼結工程によって、第一焼結金属層12の空孔率が、第二焼結金属層13の空孔率よりも高いブシュ20を形成することができる。
本発明において、所望の空孔率を確保したうえで第一の焼結工程(ステップS02A)及び/又は第二の焼結工程(ステップS02B)の間や、これらの工程の後に、焼結金属をローラー等で圧延してもよい。圧延処理を行うことにより、ライジング層を所望の板厚とすることができる。
続いて、図2に示す凹部形成工程(ステップS03)が実施される。ステップS03では、ライニング層11に複数の凹部5を形成する。凹部5の形成方法は特に限定されず、プレス加工、切削加工等が挙げられる。
次に、図2に示すブシュ成形工程(ステップS04)ではステップS01〜ステップS03で形成した焼結合金10を、ライニング層11が内側となるようにプレス機等によって巻いて曲げ加工を行い、円筒状のブシュ20を成形する。このブシュ形成工程によって、後に摺動部材であるすべり軸受40の内周面となる、ブシュ20の内周面が形成される。
次に、図3に示す熱処理工程(ステップS05)では、ブシュ20に対して浸炭焼入れ等の熱処理を行い、ブシュ20のライニング硬化及び表面改質を行う。この処理により、裏金層15及びライニング層11それぞれの硬さが向上し(例えば、裏金層15はビッカース硬さ100〜400、第一焼結金属層12はビッカース硬さ650〜800、第二焼結金属層13はビッカース硬さ400〜650)、ブシュ20の強度が向上する。
次に、図3に示す圧入工程(ステップS06)では、円筒状の金属部材(例えば、鉄系部材)であるカラー30に、熱処理を行ったブシュ20を圧入し、すべり軸受40を形成する。カラー30はブシュ20のような熱処理は行われていないため、その硬さは裏金層15よりも小さい(例えば、ビッカース硬さ100〜200)。また、カラー30の内径寸法はブシュ20を圧入できる程度に、ブシュ20の外径寸法と同一若しくは若干小さく形成されている。この圧入工程によって、後に摺動部材であるすべり軸受40の外周面となる、カラー30の外周面が形成される。
次に、図3に示す含油・仕上げ工程(ステップS07)では、含油機を用いてすべり軸受40に高粘度潤滑油からなる油分を含浸させる。含油工程では、高粘度潤滑油を加熱して低粘度化し、この潤滑油内にすべり軸受40を浸漬し、真空雰囲気下で静置する。これにより、すべり軸受40の気孔内の空気が気孔外へ吸い出される一方で、低粘度化した潤滑油がすべり軸受40の気孔内に吸引される。潤滑油を吸引したすべり軸受40を空気中に取り出して室温にまで放冷すると、低粘度化した潤滑油はすべり軸受40の気孔内で再び元の高粘度潤滑油に戻り流動性を失う。これにより、高粘度潤滑油をすべり軸受40の気孔内に留めておくことができる。
上記の如く、本実施形態に係る摺動部材であるすべり軸受40においては、板状の金属部材である裏金層15の表面において、第一焼結工程と第二焼結工程によりライニング層11が形成されることにより、バイメタルの焼結合金10が形成される。本発明では、第二の焼結工程において金属粉末の焼結前に緻密化処理を行うため、ライニング層11は空港率の異なる2層で構成される。そして、焼結合金10が円筒状のブシュ20として形成され、ブシュ20に熱処理が施された後に、ブシュ20が円筒状の金属部材であるカラー30に圧入されて、すべり軸受40が形成される。即ち、本実施形態に係るすべり軸受40は、図1に示したように、その内側から外側に向かってライニング層11、裏金層15、カラー30の三層が配置される。即ち、ブシュ20と、ブシュ20の周囲に設けられたカラー30より、すべり軸受40が構成される。
上記の如く構成することにより、すべり軸受40をハウジングに圧入する際に、すべり軸受40の外周面にかじりを生じにくくすることができる。具体的には、すべり軸受40の外周に配置されるカラー30には熱処理が行われていないため、カラー30の硬さは裏金層15等と比較して小さくなる。このため、すべり軸受40をハウジングに圧入する際にハウジングと当接するカラー30の部分でかじりの発生を抑制することが可能となる。
また、熱処理がされていないカラー30が外周部に配置されることにより、すべり軸受40の全体的な硬さを抑えることができる。これにより、すべり軸受40が局部的に発生する強い当りを減少させることができ、耐焼付き性及び耐摩耗性を向上させて割れを生じにくくすることができる。
加えて、厚み(半径方向の厚さ)が大きいすべり軸受40を形成する場合でも、カラー30の半径方向厚さを調整すればよく、焼結合金10の厚さを一定とすることができる。このため、すべり軸受40の厚みが大きい場合でも容易に成形することが可能となる。
さらに、本実施形態によれば、板状の焼結前部材10bから焼結合金10を形成し、この焼結合金10を曲げ加工してブシュ20を成形する構成としているため、焼結材料のみで円筒状部品を成形する必要がなく、容易に加工することができる。加えて、脆性の高い焼結材料のみを裏金層に圧入する必要がないため、焼結材料を裏金層に圧入する際に割れが生じることがない。
また、板状の焼結合金10の段階で溝加工又は凹部(インデント)加工により溝や凹部を形成しておくことができるため、すべり軸受40の内周面に溝や凹部を容易に形成して、すべり軸受40の内周面における摺動特性を向上させることが可能となる。
上記の如く、本実施形態によれば、ハウジングに圧入する際にすべり軸受40の裏金部分であるカラー30にかじりが生じにくく、割れにくく、溝や凹部等の成形がしやすい、すべり軸受40を製造することが可能となるのである。
尚、本願発明の「円筒状の金属部材であるカラー30」は、パイプ材やソリッド材から切削形成しても、また、板状(帯状)の部材の端部同士を突き合せて(巻いて)形成してもよく、コスト面や設備面で適宜選択可能である。但し、板状部材から円筒形状を作成した方がより安価にカラーを作成でき好ましい。その場合は締め代を持たせるために合せ目を閉じた状態で仕上げ加工をする。さらに、板状部材を巻いてカラーを形成する場合は、合せ目を溶接で結合するのみでなく、クリンチ形状で結合するようにしてもよい。
以下、図4を用いて、カラー30を板状部材から形成し、合せ目をクリンチ形状で結合した場合について説明する。具体的には図4(a)に示す如く、両端にクリンチ形状(略円形状の係合凸部17a及び係合凹部17bを有する板状部材を、図示しない曲げ加工機等によって巻いて曲げ加工を行い、中央部分が半円筒状の曲げ部材17cを成形する。この際、曲げ部材17cにおける内周面の曲率半径は、ブシュ20における外周面の曲率半径と略同一か、少し大きくなるように形成する。この荒曲げ工程によって形成される曲げ部材17cにおける外側の面が、カラー30の外周面、即ちすべり軸受40の外周面となる。
次に、図4(b)に示す如く、半円筒形状の固定型である上型52sの側に曲げ部材17cの中央部分(半円筒状部分)をセットする。そして、同じく半円筒形状の可動型である下型52mを、曲げ部材17cの端部の側から図4(b)に示す矢印Uの如く近接させるのである。これにより、板状部材である曲げ部材17cの両側端部を、下型52mの半円筒面に沿わせて変形させることにより、クリンチ形状を係合させる。具体的には、係合凸部17aを係合凹部17bに進入させて係合させることにより、板状部材である曲げ部材17cの両側端部を接合するのである。このようにして、外側部材であるカラー30を形成する。その後、ブシュ20を円筒状のカラー30に圧入して、すべり軸受40を形成する。
本発明の摺動部材によれば、ライニング層11が少なくとも第一焼結金属層と第二焼結金属層から構成され、第一焼結金属層の空孔率が第二焼結金属層の空孔率よりも高いので、大きな面圧がかかった場合に第一焼結金属層が塑性変形しやすく、相手材に対する攻撃性を緩和することができる。また、第二焼結金属層が硬く緻密であるため、初期の摩耗に耐性を有する。そして、初期摩耗が進行した後は空孔率が高く潤滑油を多く含む第一焼結金属層から潤滑油が摺動面に供給され、長期間にわたり摩擦を低減することが可能となる。
したがって本発明によれば、耐摩耗性に優れ、長期間にわたり摺動性能を維持できるとともに、相手材に対する攻撃性を緩和し相手材の損傷を防止し得る摺動部材及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
(実施例1)
図2に示す製造方法にしたがって、本発明の摺動部材を製造した。
まず、板状の金属部材(鉄系部材)である裏金層15を準備し、平均粒径がFe:120μm、CuSn:60μm、C:15μmである第一の金属粉末(C:1.5質量%、Cu:16.2質量%、Sn:1.8質量%、残部はFe)を、散布装置を用いて裏金層15の表面に散布し、散布層12aを厚み0.7mmで形成し、板状の焼結前部材10aを得た。
続いて、焼結前部材10aを焼結炉に入れ、焼結温度950℃で、60分間加熱焼結して第一焼結金属層12を形成した。
次に、第一焼結金属層12の表面に、第一の金属粉末と同様の構成の第二の金属粉末を、散布装置を用いて散布して、厚み1.2mmの散布層13aを形成し、板状の焼結前部材10bを得た。
その後、焼結前部材10bに300秒間振動を与えることにより、散布層13aの緻密化を行った。
続いて、緻密化された散布層13aを有する焼結前部材10bを焼結炉に入れ、焼結温度950℃で、60分間加熱焼結して第二焼結金属層13を形成した。
以上の工程により、第一焼結金属層12及び第二焼結金属層13の厚みがそれぞれ500μm及び1000μmであるライニング層を有する摺動部材を得た。
得られた摺動部材の切断断面を金属顕微鏡により撮影し、ライニング層における第一焼結金属層及び第二焼結金属層の空孔率を、画像解析することにより測定した。
第一焼結金属層の空孔率は30%であり、第二焼結金属層の空孔率は15%であった。また、ライニング層の断面観察の写真図を図5に示す。
上記結果より、実施例1の摺動部材において、第一焼結金属層12の空孔率が第二焼結金属層13の空孔率よりも高く、また、第一焼結金属層12の空孔率と第二焼結金属層13の空孔率との差が15%であることがわかった。
本発明の摺動部材は、特にすべり軸受として好適に用いられる。
5 凹部
6 溝
7 内周面(摺動面)
8 外周面
11 ライニング層
12 第一焼結金属層
13 第二焼結金属層
15 裏金層
20 ブシュ
30 カラー
40 すべり軸受(摺動部材)

Claims (6)

  1. 裏金層と、該裏金層の一方の面に設けられ、摺動面を形成するライニング層とを備えた摺動部材であって、
    前記ライニング層は、前記裏金層側に位置する第一焼結金属層と、前記摺動面側に位置する第二焼結金属層とを備え、
    前記第一焼結金属層の空孔率が、前記第二焼結金属層の空孔率よりも高いことを特徴とする摺動部材。
  2. 前記第一焼結金属層の空孔率と前記第二焼結金属層の空孔率との差が、5%以上であることを特徴とする請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記第一焼結金属層の空孔率が30〜40%であり、かつ前記第二焼結金属層の空孔率が10〜25%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摺動部材を製造する方法であって、
    裏金層の一方の面に、第一の金属粉末を散布し、散布された第一の金属粉末を焼結して第一焼結金属層を形成する第一焼結工程と、
    前記第一焼結金属層上に、第二の金属粉末を散布し、該第二の金属粉末を緻密化させ、緻密化した第二の金属粉末を焼結して第二焼結金属層を形成する第二焼結工程と
    を有することを特徴とする摺動部材の製造方法。
  5. 前記第二の金属粉末の緻密化が、下記(1)〜(3)からなる群から選択される少なくとも1つの方法により行われることを特徴とする請求項4に記載の摺動部材の製造方法。
    (1)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に振動を加える方法
    (2)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に第二の金属粉末をプレスする方法
    (3)前記第一焼結金属層上に第二の金属粉末を散布した後に脱気する方法
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摺動部材を備えることを特徴とするすべり軸受。
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