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JP2018046794A - (メタ)アクリルアミドの製造方法、(メタ)アクリルアミド系重合体および(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリルアミドの製造方法、(メタ)アクリルアミド系重合体および(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ニトリルヒドラターゼを含む菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として、より効率よく、しかもより高品位な(メタ)アクリルアミドを製造する方法、およびこの(メタ)アクリルアミドを用いて、色相に優れ、水溶性と高分子量化が両立した、品質に優れたアクリルアミド系重合体の製造方法を提供する。【解決手段】電気伝導率が100μS/cm以下である水と(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物により水和反応させることを特徴とする(メタ)アクリルアミドの製造方法【選択図】なし

Description

本発明は、菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いて、効率よく(メタ)アクリロニトリルを水和して、品質の優れた(メタ)アクリルアミドを製造する方法、ならびに当該(メタ)アクリルアミドを重合して得られる(メタ)アクリルアミド系重合体およびその重合体の製造方法に関するものである。
アミド化合物の主要な製造方法の一つとして、ニトリル化合物を原料とする水和法は多くの場合に用いられており、アクリルアミド等のアミド化合物の工業的製法としては、例えば、ラネー銅等の金属銅触媒を用い、アクリロニトリル等のニトリル化合物を水和する方法、あるいは近年ではニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として用い、ニトリル化合物を水和する方法が知られている。
菌体および/またはその菌体処理物を触媒として用いる方法は、アクリロニトリル等のニトリル化合物の転化率および選択率が高いことから工業的に注目を浴びている。
このニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として、より高品質なアクリルアミドを効率よく製造するためには、菌体および/またはその菌体処理物等の触媒作用を阻害する不純物をできる限り除去する必要がある。
またアクリルアミドは、主としてアクリルアミド系重合体の原料として用いられるが、近年、アクリルアミド系重合体には、より一層の高品質化が求められている。例えば、アクリルアミド系重合体の用途には凝集剤があるが、凝集剤として用いられるアクリルアミド系重合体は、近年、性能向上の要求に伴い、水溶性を維持しながらより一層の高分子量化が求められている。またアクリルアミド系重合体には、製紙用添加剤等の用途があるが、この製紙用添加剤としては、得られる紙の品質をさらに向上させるために、より色相の優れた重合体が求められている。
ニトリルヒドラターゼを含む菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として得られるアクリルアミドの品質、あるいはアクリルアミド系重合体の品質を改善する方法として、例えば、特許文献1には、ニトリル化合物中の青酸濃度を化学的方法により低減させた後、ニトリル化合物にニトリルヒドラターゼを作用させるアミド化合物の製造方法が提案されている。また、特許文献2には、オキサゾール濃度が5mg/kg以下、且つ青酸濃度が1mg/kg以下であるアクリロニトリルを、酵素法により水和してアクリルアミドとし、該アクリルアミドを含むモノマーを重合するアクリルアミド系ポリマーの製造方法が提案されている。さらに、特許文献3には、水性媒体中でニトリル化合物からアミド化合物を製造する方法において、水性媒体中のベンゼン濃度が4.0ppm以下であることを特徴とするアミド化合物の製造方法が提案されている。
しかしながら、これら従来技術においては、ニトリルヒドラターゼを含む菌体等の触媒作用を阻害する因子を排除して効率良くアクリロニトリルの水和反応をするという観点からは、ニトリル化合物中の特定成分の低減のみでは必ずしも十分な効果が得られていない。
特開平11/123098号パンフレット 国際公開第2004/090148号パンフレット 特開2012/029695号パンフレット
ニトリルヒドラターゼを利用してアミド化合物を効率的に製造するにあたって、従来技術では解決できない別の要因によってもニトリルヒドラターゼのアミド化合物生産性低下の現象が存在しており、その要因の解決も望まれていた。また(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリルアミド系重合体の品質向上という観点からも、いまだ改善の余地があった。
本発明の課題は、ニトリルヒドラターゼを含む菌体および/またはその菌体処理物等を触媒として、より効率良く、しかもより高品位な(メタ)アクリルアミドを製造する方法、およびこの(メタ)アクリルアミドを用いて、色相に優れ、水溶性と高分子量化が両立した、品質の優れた(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、下記工程を有する(メタ)アクリルアミドの製造方法により上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕電気伝導率が100μS/cm以下である水と(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物により反応させることを特徴とする(メタ)アクリルアミドの製造方法
〔2〕ニトリルヒドラターゼがシュードノカルディア属由来またはロドコッカス属由来ニトリルヒドラターゼである前記〔1〕に記載の製造方法
〔3〕前記〔1〕に記載の(メタ)アクリルアミドを単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合して得られる(メタ)アクリルアミド系重合体
〔4〕前記〔1〕に記載の(メタ)アクリルアミドを単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合することを特徴とする(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法
本願発明においては、ニトリルヒドラターゼを含む菌体および/またはその菌体処理物等を触媒とした反応において、原料水の電気伝導度を特定以下に低減することにより、(メタ)アクリルアミドを効率的に製造することができる。また、上述の方法により電気伝導度を抑制した原料水から得られる(メタ)アクリルアミドを用いてアミド系重合体を製造することにより、色相に優れ、水溶性と高分子量化が両立した、品質の優れたアクリルアミド系重合体を得ることができる。
以下、本発明の(メタ)アクリルアミドの製造方法について説明する。
〔(メタ)アクリルアミドの製造方法〕
本発明の(メタ)アクリルアミドの製造方法は、電気伝導度が100μS/cm以下である水と(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物により水和反応させる工程を有する。
<ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物>
本発明では、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物(以下、これらを単に「菌体触媒」ともいう。)を(メタ)アクリロニトリルの(メタ)アクリルアミドへの水和触媒として用いる。
ニトリルヒドラターゼとは、ニトリル化合物を加水分解して対応するアミド化合物を生成する能力(以下、「ニトリルヒドラターゼ活性」ともいう。)を有する酵素(たんぱく質)をいう。
ニトリルヒドラターゼを含有する菌体としては、ニトリルヒドラターゼを産生し、かつニトリル化合物およびアミド化合物の水溶液中でニトリルヒドラターゼ活性を保持している菌体であれば特に限定されない。ニトリルヒドラターゼを産生する菌体としては、ノカルディア(Nocardia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、好熱性のバチルス属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドクロウス(rhodochrous)種に代表されるロドコッカス(Rhodococcus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、キサントバクター(Xanthobacter)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、リゾビウム(Rhizobium)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、エルウィニア(Erwinia)属、エアロモナス(Aeromonas)属、シトロバクター(Citrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属またはサーモフィラ(thermophila)種に代表されるシュードノカルディア(Pseudonocardia)属、バクテリジューム(Bacteridium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する菌体等が挙げられる。これらは一種で用いても二種以上を併用しても良い。
また、これら菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および組換えDNA技術を用いて該ニトリルヒドラターゼの構成アミノ酸の一個または二個以上を他のアミノ酸で置換、欠失、削除もしくは挿入することにより、アミド化合物耐性やニトリル化合物耐性、温度耐性を更に向上させた変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体等も挙げられる。尚、ここでいう任意の宿主には、後述の実施例のように大腸菌(Escherichia coli)が代表例として挙げられるが、特に大腸菌に限定されるものではなく枯草菌(Bacillus subtilis)等のバチルス属菌、酵母や放線菌等の他の菌株も含まれる。その様なものの例として、MT−10822〔本菌株は、1996年2月7日に茨城県つくば市東1丁目1番3号の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許生物寄託センター)に受託番号FERMBP−5785として、特許手続き上の菌体の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づいて寄託されている。〕が挙げられる。
これら菌体の中でも、高活性、高安定性のニトリルヒドラターゼを有するという点で、シュードノカルディア(Pseudonocardia)属に属する菌体、および該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体、および変異型のニトリルヒドラターゼを発現させた形質転換体形質転換体が好ましい。なお、上記形質転換体は、ニトリルヒドラターゼの安定性をより高め、菌体当たりの活性がより高い点で好ましい。
また、菌体内にニトリルヒドラターゼを高発現できる、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J−1、該菌体よりクローニングしたニトリルヒドラターゼ遺伝子を任意の宿主で高発現させた形質転換体も同様に好ましい。上記ニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、分子生物学・生物工学・遺伝子工学の分野において公知の一般的な方法により調製できる。
本発明に係る組換えベクターは、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を含有するものであり、ベクターにニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を連結することにより得ることができる。ベクターとしては、特に限定されるものではなく、例えばpET-21a(+)、pKK223-3、pUC19、pBluescriptKS(+)およびpBR322等に代表される市販の発現プラスミドに、ニトリルヒドラターゼをコードする遺伝子を組み込むことにより、該ニトリルヒドラターゼの発現プラスミドを構築することができる。また、形質転換に使用する宿主生物としては、組換えベクターが安定、かつ自己増殖可能で、さらに外来のDNAの形質が発現できるものであれば良く、例えば大腸菌が好例として挙げられるが、大腸菌だけに限らず枯草菌、酵母等に導入することにより、ニトリルヒドラターゼの産生能を有する形質転換体を得ることができる。
上述のようなニトリルヒドラターゼを産生する菌体は、公知の方法により、適宜培養し増殖させ、ニトリルヒドラターゼを産生させても良い。この場合使用される培地としては炭素源、窒素源、無機塩類およびその他の栄養素を適量含有する培地であれば合成培地または天然培地のいずれも使用可能である。例えば、LB培地、M9培地等の通常の液体培地に、菌体を植菌した後、適当な培養温度(一般的には20℃〜50℃であるが、好熱菌の場合は50℃以上でも良い。)で培養させることにより調製できる。培養は前記培養成分を含有する液体培地中で振とう培養、通気撹拌培養、連続培養、流加培養等の通常の培養方法を用いて行うことができる。形質転換体の培養温度としては、15〜37℃が好ましい。培養条件は、特に限定されるものではなく、培養の種類、培養方法により適宜選択すれば良く、菌株が生育しニトリルヒドラターゼを産生することができれば良い。
本発明では上述のニトリルヒドラターゼを産生する菌体を、ニトリル化合物と反応させるために、遠心等による集菌や、破砕し菌体破砕物を作製する等、さまざまな処理を行っても良く、これらのなんらかの処理を施した菌体を菌体処理物と総称する。
破砕される菌体の形態としては、ニトリルヒドラターゼを産生する菌体を含む限り特に限定はされず、例えば、該菌体を含む培養液そのもの、その培養液を遠心分離して分離・回収された集菌体、さらにこの集菌体を生理食塩水等で洗浄したものが挙げられる。
<水(原料水)>
一般に自然界の水や水道水にはカルシウムやナトリウム等の塩類成分が微量溶解しており、主にそれらの成分はイオンの状態で溶解しているため、塩類成分が溶解している水は電気伝導度が高くなる。本発明で用いる水の電気伝導度は100μS/cm以下であり、好ましくは50μS/cm以下であり、より好ましくは10μS/cm以下である。水の電気伝導度が100μS/cm以下である場合には、そのまま水和反応に用いることができる。水の電気伝導度が100μS/cmより大きい場合には、水を精製し、電気伝導度を低くする。水を精製する方法は、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができ、例えば、蒸留、イオン交換樹脂による処理、逆浸透膜による濾過が挙げられる。水の電気伝導度は、例えば、交流二電極法や電磁誘導法により測定することができる。
<pH調節剤>
pH調節剤は、反応液のpHを菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲に調節するために用いられる。
反応に好適なpHが7よりも小さい場合には、pH調節剤として酸を用いることができる。
pH調節剤として用いる酸としては、無機酸、有機酸のいずれも用いることができる。無機酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、沃化水素等のハロゲン化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜沃素酸、亜沃素酸、沃素酸、過沃素酸等のハロゲン化オキソ酸、硫酸、硝酸、燐酸、硼酸が挙げられる。有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、蓚酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、安息香酸等のカルボン酸やメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。pH調節剤として用いる酸は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の酸は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の酸も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の酸の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
反応に好適なpHが7よりも大きい場合には、pH調節剤として塩基を用いることができる。
pH調節剤として用いる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれも用いることができる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩、アンモニアが挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジンが挙げられる。pH調節剤として用いる塩基は、気体、固体、液体いずれの状態でも用いることができるが、反応槽への供給の容易性を考慮すると、液体の状態のものを用いることは好ましく、気体あるいは固体の状態の塩基は水溶液として用いることはより好ましい。反応槽のpH調節の制御性を考慮すると、液体の状態の塩基も水溶液として用いることはより好ましい。水溶液として用いる場合の塩基の濃度は、特に制限はないが、高濃度の水溶液を用いるとpH調節が困難となるため、好ましくは0.1wt%以上99wt%以下、より好ましくは1wt%以上90wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上50wt%以下である。
<反応槽>
反応槽としては、一つの反応器から構成される単段の反応槽を用いても良く、複数の反応器から構成される多段の反応槽を用いても良い。反応器としては、槽型反応器を用いても良く、管型反応器を用いても良い。槽型反応器としては、撹拌機を備える反応器が好ましい。槽型反応器が攪拌機を有する場合の攪拌機の攪拌翼は任意の形状のものを選択でき、例えば、プロペラ翼、フラットパドル翼、ピッチドパドル翼、フラットタービン翼、ピッチドタービン翼、リボン翼、アンカー翼、フルゾーン翼が挙げられる。攪拌翼は、1枚であっても良く、複数枚備えていても良い。
反応槽には反応液の一部を反応槽へ戻すための循環ポンプを備えた外部循環ラインを設置しても良い。
反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合の、外部循環ラインに備えられたポンプは、特に限定されるものではなく、例えば、遠心ポンプ、傾斜ポンプあるいは軸流ポンプ等のターボ式ポンプや、往復ポンプや回転ポンプ等の容積型ポンプが挙げられる。
反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合には、外部循環ラインに備えられたポンプを用いて、反応液の一部が反応槽内から取り出され、外部循環ラインを経由して反応槽へ戻される。反応槽に設置された外部循環ラインには、温度制御装置が設置されていることは好ましい。温度制御装置としては、好ましくは熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、多管円筒式、渦巻管式、渦巻板式、プレート式、二重管式等の形態のものが挙げられる。
複数の反応器から構成される多段の反応槽にポンプを備えた外部循環ラインを設置する場合には、ポンプを備えた外部循環ラインは各々の反応器に全て設置されていても良く、いずれか一つの反応器にのみ設置されていても良い。複数の反応器から構成される場合において、ポンプを備えた外部循環ラインがいずれか一つの反応器にのみ設置される場合には、一段目の反応器(最も上流に位置する反応器)に設置されることが好ましい。
一段目の槽型反応器と二段目の管型反応器とから構成される反応槽を用い、槽型反応器から取り出される反応液を管型反応器で更に反応させる形態とし、槽型反応器にポンプを備えた外部循環ラインを設置する反応槽は、転化率を向上できるのでより好ましい。
槽型反応器および管型反応器は、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性が維持される温度に保たれる限り、熱交換器を備えていてもいなくても良いが、後述する反応槽温度を制御するため、前記反応器は熱交換器を備えることが好ましい。熱交換器としては、例えば、多管円筒式、渦巻管式、渦巻板式、プレート式、二重管式等の形態のものを外部循環ライン上に設置することは好ましく、それ以外にも、ジャケット式、コイル式等反応器に直接設置する形態のものが挙げられる。反応器が管型反応器である場合は、反応器自体を多管円筒式あるいは二重管式の熱交換器で構成することが可能である。
反応方法としては、例えば、(1)菌体触媒、反応原料〔(メタ)アクリロニトリルおよび原料水〕およびpH調節剤を反応槽に一度に全量仕込んでから反応を行う方法(回分反応)、(2)菌体触媒、反応原料〔(メタ)アクリロニトリルおよび原料水〕およびpH調節剤の一部を反応槽に仕込んだ後、連続的または間欠的に残りの菌体触媒、反応原料〔(メタ)アクリロニトリルおよび原料水〕およびpH調節剤を供給して反応を行う方法(半回分反応)、(3)菌体触媒、反応原料〔(メタ)アクリロニトリルおよび原料水〕およびpH調節剤の連続的または間欠的な供給と、反応液〔菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成した(メタ)アクリルアミド等を含む。〕の連続的または間欠的な取り出しを行いながら、反応槽内の反応液を全量取り出すことなく連続的に反応を行う方法(連続反応)が挙げられる。これらの中でも、工業的にアミド化合物を大量かつ効率的に製造しやすい点で、連続反応が好ましい。
反応は、菌体触媒の存在下で行われる。菌体触媒の使用形態として、好ましくは懸濁床であり例えば連続反応の場合、菌体触媒の懸濁液を調製し、懸濁液を反応槽に供給すれば良い。
なお、反応槽として複数の反応器から構成される多段の反応槽を用いる場合、その構成としては、(a)菌体触媒、反応原料〔(メタ)アクリロニトリルおよび原料水〕およびpH調節剤を上段の反応器に供給し、上段の反応器から取り出された反応液〔菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成した(メタ)アクリルアミド等を含む。〕を、下段の反応器に供給する直列式態様、(b)菌体触媒、反応原料〔(メタ)アクリロニトリルおよび原料水〕およびpH調節剤を二以上の反応器に(他の反応器を経由せずに)直接供給する並列式態様が挙げられる。
例えば、多段の反応槽を用いて連続反応を行う場合等において、菌体触媒、反応原料〔(メタ)アクリロニトリルおよび原料水〕およびpH調節剤の供給先は、一段目の反応器(最も上流に位置する反応器)のみに限定されず、二段目以降の反応器(下流に位置する反応器)であっても良い。
反応槽内の液温である反応槽温度は、菌体触媒の耐熱性にもよるが、通常0〜50℃に設定され、好ましくは10〜40℃に設定される。反応槽温度が前記範囲にあると、菌体触媒のニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
反応槽温度とは、反応槽が一つの反応器のみから構成される場合は、当該反応器内の液温を指し、反応槽が複数の反応器から構成される場合は、各々の反応器内の液温を指す。反応槽温度は、例えば、熱電対法(例:Kタイプ)により測定することができる。反応槽温度は、反応槽内の任意の場所で測定可能であり、具体的には反応槽出口(反応液取り出し口)で測定可能である。
反応は、一般的には常圧下で行われるが、(メタ)アクリロニトリルの溶解度を高めるために加圧下で行うこともできる。反応槽内のpHは、菌体触媒の活性を良好に保つための好適な範囲であれば特に限定されないが、好ましくはpH5〜pH10の範囲にある。pHが前記範囲にあると、ニトリルヒドラターゼ活性を良好に維持できる点で好ましい。
反応槽のpHとは、反応槽が一つの反応器のみから構成される場合は、当該反応器内のpHを指し、反応槽が複数の反応器から構成される場合は、各々の反応器内のpHを指す。反応槽のpHは、例えば、指示薬法、水素電極法、キンヒドロン電極法、アンチモン電極法、ガラス電極法により測定することができる。反応槽のpHは、反応槽内の任意の場所で測定可能であり、具体的には反応槽出口(反応液取り出し口)で測定可能である。
反応時間(反応液の滞留時間)は、通常0.5〜50時間、好ましくは2〜25時間である。多段の反応槽を用いる場合、反応時間とは、全反応器における合計の反応時間(反応液の滞留時間)を指す。
<菌体触媒貯槽>
菌体触媒貯槽とは、菌体触媒の懸濁液を保有し、菌体触媒の懸濁液を反応槽に供給する触媒供給管を有する。菌体触媒貯槽は、温度制御装置を有していても良く、温度制御装置を有していなくても良いが、菌体触媒の懸濁液の液温を制御する観点から、温度制御装置を有することは好ましい。
菌体貯槽が温度制御装置を有する場合の温度制御装置は、菌体貯槽が有しても良い外部循環ライン上に設けても良く、菌体貯槽自体に設けても良い。菌体貯槽における温度制御装置としては、例えば、熱交換器が挙げられる。熱交換器としては、例えば、多管円筒式熱交換器、渦巻管式熱交換器、渦巻板式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換等の菌体貯槽の外部循環ラインに設置する形態のもの、あるいはジャケット式熱交換器、コイル式熱交換器等の菌体触媒貯槽に直接設置する形態のものが挙げられる。
菌体触媒貯槽は攪拌機を有していても良く、攪拌機を有していなくても良いが、菌体触媒の液温を制御する観点から、攪拌機を有することは好ましい。菌体触媒貯槽が攪拌機を有する場合の攪拌機の攪拌翼は任意の形状のものを選択でき、例えば、プロペラ翼、フラットパドル翼、ピッチドパドル翼、フラットタービン翼、ピッチドタービン翼、リボン翼、アンカー翼、フルゾーン翼が挙げられる。攪拌翼は、一枚であっても良く、複数枚備えていても良い。
<反応原料の供給>
反応槽へ供給する原料水は、単独で反応槽へ供給しても良く、(メタ)アクリロニトリルと混合した後に反応槽へと供給しても良い。原料水を単独で反応槽へ供給する場合、原料水供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法は、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができる。原料水を反応槽へ供給する方法としては、液体輸送機能を有する機器を使用することができ、例えば、遠心ポンプ、傾斜ポンプあるいは軸流ポンプ等のターボ式ポンプや、往復ポンプや回転ポンプ等の容積型ポンプ等のポンプ類、スクリューコンベア等のコンベア類を用いることができる。原料水を反応槽へ供給する方法として、上記の液体輸送機能を有する機器を使用しないで供給することもできる。液体輸送機能を有する機器を使用しない場合には、例えば、原料水を貯蔵する原料水貯槽を反応槽の上部へ設置し、原料水貯槽と反応槽を原料水供給管により接続し、重力を用いた落下により供給する方法が挙げられる。あるいは、原料水貯槽を加圧することにより生じる原料水貯槽と反応槽との圧力差を用いて供給する方法が挙げられる。
原料水を反応槽へ供給する原料水供給管は、一つの反応槽につき一本であっても良く、複数本あっても良い。原料水供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであっても良く、複数あっても良い。原料水供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
原料水と(メタ)アクリロニトリルを混合した後に反応槽へ供給する場合の原料水と(メタ)アクリロニトリルを混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、攪拌槽を用いて攪拌混合する方法、原料水と(メタ)アクリロニトリルを配管中で混合する方法が挙げられる。攪拌槽を用いる場合には、撹拌槽の形状は特に限定されるものではないが、一般的に円筒形の撹拌槽が用いられ、縦型円筒形、横型円筒形、いずれの場合も用いることができる。撹拌槽には邪魔板を供えていても良く、邪魔板を供えていなくても良い。
攪拌槽を用いる場合の、攪拌翼は任意の形状のものを選択でき、例えば、プロペラ翼、フラットパドル翼、ピッチドパドル翼、フラットタービン翼、ピッチドタービン翼、リボン翼、アンカー翼、フルゾーン翼が挙げられる。攪拌翼は、一枚であっても良く、複数枚備えていても良い。
原料水と(メタ)アクリロニトリルを配管中で混合するには、原料水供給管と(メタ)アクリロニトリル供給管を結合することにより原料水と(メタ)アクリロニトリルを直接混合することができ、さらには配管中にスタティックミキサー等のラインミキサーを設置することにより積極的に混合する方法等が挙げられる。
原料水と(メタ)アクリロニトリルを混合した後に反応槽へ供給する場合に、(メタ)アクリロニトリルは水との混合後、完全に水に溶解していても良いが、必ずしも水に完全に溶解している必要はなく、任意の比率で混合させれば良い。好ましくは水:(メタ)アクリロニトリルの比率が、体積比で100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、さらに好ましくは10:1〜1:10である。
原料水と(メタ)アクリロニトリルを混合した後に反応槽へ供給する場合の、原料水と(メタ)アクリロニトリルの混合物の供給方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
原料水と(メタ)アクリロニトリルを混合した後に反応槽へ供給する場合の、原料水と(メタ)アクリロニトリルの混合物を反応槽へ供給する供給管は、一つの反応槽につき一本であっても良く、複数本あっても良い。供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであっても良く、複数あっても良い。供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
反応槽へ供給する(メタ)アクリロニトリルは、原料水と混合した後に反応槽へと供給しても良く、単独で反応槽へ供給しても良い。(メタ)アクリロニトリルを単独で反応槽へ供給する場合、(メタ)アクリロニトリル供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
(メタ)アクリロニトリルを単独で反応槽へ供給する場合の(メタ)アクリロニトリルの供給方法は、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を反応槽へ供給する方法で例示した方法を用いることができる。
(メタ)アクリロニトリルを反応槽へ供給する(メタ)アクリロニトリル供給管は、一つの反応槽につき一本であっても良く、複数本であっても良い。(メタ)アクリロニトリル供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであっても良く、複数あっても良い。(メタ)アクリロニトリル供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
<pH調節剤の供給>
反応槽へ供給するpH調節剤は、単独で反応槽へ供給しても良く、反応槽へ供給される水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物に混合した後に反応槽へ供給しても良い。pH調節剤を単独で反応槽へ供給する場合、pH調節剤の供給管の反応槽中の反応液への供給口の設置位置には特に制限はなく、反応液の上部へ設置しても、反応液中へ設置しても良い。
pH調節剤を単独で反応槽へ供給する場合のpH調節剤の供給方法は、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を反応槽へ供給する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤を反応槽へ供給するpH調節剤の供給管は、一つの反応槽につき一本であっても良く、複数本であっても良い。pH調節剤の供給管の供給口は、一本の供給管につき一つであっても良く、複数あっても良い。pH調節剤の供給管の供給口の形状は特に制限はなく、通常使用される形状のものであればいずれも好適に使用できる。
pH調節剤を水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物と混合した後に反応槽へ供給する場合のpH調節剤が混合される水系媒体とは、好ましくは原料水である。pH調節剤を混合する水系媒体を含有する混合物とは、例えば、原料水と(メタ)アクリロニトリルの混合物や菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成した(メタ)アクリルアミド等を含む反応液が挙げられる。
pH調節剤を原料水と混合した後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と(メタ)アクリロニトリルを混合する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤を原料水と混合した後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水の混合物を供給方法は、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水を単独で反応槽へ供給する場合の原料水の供給方法で例示した方法を用いることができる。
反応槽へ供給するpH調節剤と水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物は任意の比率で混合されれば良く、好ましくは、pH調節剤:水系媒体および/または水系媒体を含有する混合物の比率が、体積比で1:1〜1:100,000,000、より好ましくは、1:10〜1:10,000,000である。
pH調節剤を原料水と(メタ)アクリロニトリルと混合した後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と原料水と(メタ)アクリロニトリルの混合物を混合する方法としては、公知の方法を用いることができ、具体的には、上記の原料水と(メタ)アクリロニトリルを混合する方法で例示した方法を用いることができる。
pH調節剤と菌体触媒、未反応原料、pH調節剤および生成した(メタ)アクリルアミド等を含む反応液と混合した後に反応槽へ供給する場合の、pH調節剤と反応液を混合する方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。反応槽に反応液の一部を反応槽に戻すためのポンプを備えた外部循環ラインを設置し、当該外部循環ラインとpH調節剤供給管を結合させることにより、水系媒体を含有する混合物として反応槽内から取り出された反応液の一部を用い、反応液の一部とpH調節剤を外部循環ライン中で直接混合する方法等が挙げられる。外部循環ラインにて直接混合された反応液の一部とpH調節剤は、そのまま外部循環ラインを用いて反応槽へ供給される

<菌体触媒の供給>
菌体触媒の供給は、特に限定するものではなく、公知の方法を用いることができる。菌体触媒を反応槽へ供給する方法としては、液体輸送機能を有する機器を使用することができ、例えば、遠心ポンプ、斜流ポンプあるいは軸流ポンプ等のターボ型ポンプや、往復ポンプや回転ポンプ等の容積型ポンプ等のポンプ類、スクリューコンベア等のコンベア類を用いることができる。菌体触媒を供給する方法として、上記の液体輸送機能を有する機器を使用しないで供給することもできる。液体輸送機能を有する機器を使用しない場合には、例えば、菌体触媒を貯蔵する菌体貯槽を反応槽の上部へ設置し、菌体貯槽と反応槽を菌体触媒供給管により接続し、重力を用いた落下により供給する方法が挙げられる。あるいは、菌体貯槽を加圧するか、反応槽を減圧することにより生じる菌体貯槽と反応槽の圧力差を用いて供給する方法が挙げられる。
菌体触媒の使用量は、反応条件や触媒の種類およびその形態により変化するが、上記菌体の乾燥菌体重量換算で、反応液に対して、通常10〜50,000重量ppm、好ましくは50〜30,000重量ppmである。
本発明の(メタ)アクリルアミドの製造方法において、得られた(メタ)アクリルアミドの回収および精製は、例えば、濃縮操作(例:蒸発濃縮)、活性炭処理、イオン交換処理、濾過処理、晶析操作により行うことができる。
以上のようにして、反応原料である(メタ)アクリロニトリルから(メタ)アクリルアミドを得ることができる。
〔(メタ)アクリルアミド系重合体〕
本発明の(メタ)アクリルアミド系重合体は、上述のようにして得られた(メタ)アクリルアミドを単独重合、または、アミド化合物と共重合可能な少なくとも一種の不飽和単量体と共重合することにより製造できる。
<不飽和単量体>
(メタ)アクリルアミドと共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸およびそれらの塩;
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルアミノアルキルエステル、またはそれらの第4級アンモニウム誘導体;
N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、またはそれらの4級アンモニウム誘導体;
アセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド等の親水性アクリルアミド;
N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン;
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート;
メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン;
アクリルアミド;
メタクリルアミド;
N,N−ジ−n−プロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−n−ヘキシルアクリルアミド、N−n−ヘキシルメタクリルアミド、N−n−オクチルアクリルアミド、N−n−オクチルメタクリルアミド、N−tert−オクチルアクリルアミド、N−n−ドデシルアクリルアミド、N−n−ドデシルメタクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド誘導体;
N,N−ジグリシジルアクリルアミド、N,N−ジグリシジルメタクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)アクリルアミド、N−(4−グリシドキシブチル)メタクリルアミド、N−(5−グリシドキシペンチル)アクリルアミド、N−(6−グリシドキシヘキシル)アクリルアミド等のN−(ω−グリシドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド誘導体;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
これら単量体は、一種単独で用いてもよいが、二種以上併用してもよい。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−アミジノプロパン)2塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸ナトリウム)等のアゾ系遊離基開始剤;
上記過酸化物と重亜硫酸ナトリウム、トリエタノールアミン、硫酸第一鉄アンモニウム等の還元剤を併用するいわゆるレドックス系触媒が挙げられる。
上記した重合開始剤は一種単独で用いてもよいが、二種以上併用してもよい。重合開始剤の量は、通常、単量体の総重量に対し、0.001〜5重量%の範囲である。
重合温度は単一重合開始剤の場合には、通常0〜120℃の範囲であり、より好ましくは5〜90℃の範囲である。また、重合温度は常に一定の温度に保つ必要はなく、重合の進行に伴い適宜変更してもよいが、通常は重合の進行に伴い、重合熱が発生して重合温度が上昇する傾向にあるため、必要に応じ、冷却する場合もある。
本発明の(メタ)アクリルアミド系重合体の分子量は特に制限はないが、通常10万〜5000万の範囲であり、好ましくは50万〜3000万の範囲である。
この様にして得られた(メタ)アクリルアミド系重合体は、水溶性と高分子量化が両立された重合体であり、しかも色相に優れたものであり、凝集剤、製紙用添加剤、石油回収剤等として好適に使用することができる。
〔(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法〕
本発明の(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法としては、例えば、水溶液重合、乳化重合を用いることができる。
これらの中でも水溶液重合の場合は、通常、(メタ)アクリルアミドと必要に応じて添加する不飽和単量体との合計濃度が5〜90重量%である

重合時の雰囲気は特に限定はないが、重合を速やかに進行する観点からは、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合することが好ましい。
重合時間は特に限定はないが、通常1〜20時間の範囲である。
また重合時の水溶液のpHも特に限定はないが、必要に応じpHを調整して重合してもよい。その場合には、上記の(メタ)アクリルアミドの製造方法で述べたpH調節剤を用いることができる。
次に本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔ニトリルヒドラターゼを含有する菌体の調製〕
特開2001−340091号公報の実施例1に記載の方法に従いNo.3クローン菌体を取得し、同じく、同実施例1の方法で培養してニトリルヒドラターゼを含有する湿菌体を得た。
〔水の精製〕
蒸留装置として、ジムロート式冷却凝集器および8段相当の充填塔を備えたガラス製5L丸底フラスコを準備した。
水道水3kgを丸底フラスコへ装置に装入し、蒸留操作を行った。加熱にはオイルバスを使用し、留出温度が100℃に達するまでの留分を初留とした。留出温度100〜101℃の留分を主留として2kg得た。
水道水の電気伝導度を交流二電源法により測定したところ180μS/cmであった。また主留サンプルを同様に分析したところ電気伝導度は10μS/cmであった。以後、蒸留処理後の水を精製水aと呼ぶ。
〔アクリルアミドの製造〕
最終製品として、水溶液中のアクリルアミド濃度が50重量%の製品を得るため、以下の条件で反応を行った。
第1反応器として攪拌器を備えた1Lガラス製フラスコ、第2反応器として内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブ20mを準備した。原料水の供給管、pH調節剤の供給管、アクリロニトリルの供給管および菌体触媒の供給管はそれぞれ第1反応器へ直接接続している。
第1反応器には、予め400gの精製水aを仕込んだ。上記培養方法で得られた湿菌体を水道水に懸濁した。第1反応器内を撹拌しながら、この懸濁液を10g/hの速度で連続的に供給した。また、アクリロニトリルは32g/hの速度で、精製水aは38g/hの速度で連続的に供給した。反応中の反応液の温度は15℃となるように、第1反応器および第2反応器とも10〜20℃の温度の水浴中に浸漬し温度制御を行った。pH調節剤として0.1M−NaOH水溶液を用い、反応pHが7.5〜8.5となるように供給量を調節し、第1反応器へ連続的に供給した。
第1反応器の液面レベルを一定に保つように、反応液を第1反応器から80g/hの速度で連続的に抜き出し、第2反応器に連続的に供給して、第2反応器内でさらに反応を進行させた。
反応開始から50時間後に以下のHPLC条件にて分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10ppm以下)となった。
ここで分析条件は以下のとおりであった。
・アクリルアミド分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長250nm、カラム温度40℃)
分離カラム :SCR-101H (株式会社島津製作所製)
溶離液 :0.05%(容積基準)−リン酸水溶液
・アクリロニトリル分析条件:
高速液体クロマトグラフ装置:LC−10Aシステム(株式会社島津製作所製)
(UV検出器波長200nm、カラム温度40℃)
分離カラム:Wakosil-II 5C18HG (和光純薬製)
溶離液 :7%(容積基準)−アセトニトリル、0.1mM−酢酸、
0.2mM−酢酸ナトリウムを各濃度で含有する水溶液

〔アクリルアミド系重合体の製造〕
上記の方法で得られた反応液を、酸性下(pH=5)で活性炭処理により湿菌体を除去し、さらに、0.1M−NaOH水溶液を用いて中和を行い濃度50重量%のアクリルアミド水溶液を得た。
得られたアクリルアミド水溶液に水道水を加えて濃度20重量%のアクリルアミド水溶液とした。この20重量%アクリルアミド水溶液500gを1Lポリエチレン容器に入れ、18℃に保ちながら、窒素を通じて液中の溶存酸素を除き、直ちに、発泡スチロール製の保温用ブロックの中に入れた。
ついで、200×10-6mpm(アクリルアミドに対するモル比)の4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸ナトリウム)、200×10-6mpmのジメチルアミノプロピオニトリル、および80×10-6mpmの過硫酸アンモニウムを各々小量の水道水に溶解して、この順序に1Lポリエチレン容器中に素早く注入した。これらの試薬には、予め窒素ガスを通じておき、また、注入およびその前後には、上記ポリエチレン容器にも少量の窒素ガスを通じ、酸素ガスの混入を防止した。
試薬を注入すると、数分間の誘導期の後、ポリエチレン容器の内部の温度が上昇するのが認められたので窒素ガスの供給をとめた。約100分間、保温用ブロック中で、そのままの状態でポリエチレン容器を保持したところ、ポリエチレン容器の内部の温度が約70℃に達した。そこで、ポリエチレン容器を保温用ブロックから取り出し、97℃の水に2時間浸漬し、さらに重合反応を進めた。その後冷水に浸漬して冷却し、重合反応を停止した。
このようにして得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルをポリエチレン容器から取り出し、小塊にわけ、肉挽器ですりつぶした。このすりつぶしたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを、100℃の熱風で2時間乾燥した後に、高速回転刃粉砕器で粉砕して乾燥粉末状のアクリルアミドポリマーを得た。得られた乾燥粉末状のアクリルアミドポリマーを篩にかけ、32〜42メッシュのものを分取し、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
[実施例2]
〔水の精製〕
イオン交換装置として、陽イオン交換樹脂の充填塔および陰イオン交換樹脂の充填塔を準備し、それぞれの充填塔に500ccの樹脂を充填した。陽イオン交換樹脂塔と陰イオン交換樹脂塔は連結した。
水道水3kgを300cc/hの流速で陽イオン交換樹脂塔、次いで陰イオン交換樹脂塔に通液し、2.5kgのイオン交換処理水を得た。
水道水の電気伝導度を交流二電源法により測定したところ180μS/cmであった。またイオン交換処理水を同様に分析したところ電気伝導度は3μS/cmであった。以後、イオン交換処理水を精製水bと呼ぶ。
〔アクリルアミドの製造〕
実施例1のアクリルアミドの製造において、精製水aを使用する代わりに、精製水bを使用した以外は実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。反応開始から50時間後にHPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10ppm以下)となった。
〔アクリルアミド系重合体の製造〕
実施例1のアクリルアミド系重合体の製造において精製水aから得られたアクリルアミド水溶液を使用する代わりに、精製水bから得られたアクリルアミド水溶液を使用する以外は実施例1と同様にしてアクリルアミド系重合体の製造を行った。得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを実施例1と同様の処理を行い、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
[実施例3]
〔水の精製〕
逆浸透膜処理装置として、200cm2の有効面積を有する逆浸透膜を準備した。
水道水3kgを300cc/hの流速で逆浸透膜に通液し、2kgの逆浸透膜処理水を得た。
水道水の電気伝導度を交流二電源法により測定したところ180μS/cmであった。また逆浸透膜処理水を同様に分析したところ電気伝導度は8μS/cmであった。以後、逆浸透膜処理水を精製水cと呼ぶ。
〔アクリルアミドの製造〕
実施例1のアクリルアミドの製造において、精製水aを使用する代わりに、精製水cを使用した以外は実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。反応開始から50時間後にHPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10ppm以下)となった。
〔アクリルアミド系重合体の製造〕
実施例1のアクリルアミド系重合体の製造において精製水aから得られたアクリルアミド水溶液を使用する代わりに、精製水cから得られたアクリルアミド水溶液を使用する以外は実施例1と同様にしてアクリルアミド系重合体の製造を行った。得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを実施例1と同様の処理を行い、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
[比較例]
実施例1のアクリルアミドの製造において、精製水aを使用する代わりに、水道水を使用した以外は実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。反応開始から50時間後にHPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が92%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が15ppmとなった。
第2反応器出口にてアクリロニトリルが検出されたため、反応を完結させるために湿菌体の懸濁液の供給速度を10g/hから12g/hへと変更した以外は実施例1と同様にして、アクリルアミドの製造を行った。反応開始から50時間後にHPLC分析を行ったところ、第1反応器出口でのアクリルアミドへの転化率が95%、かつ第2反応器出口でのアクリロニトリル濃度が検出限界以下(10ppm以下)となり反応が完結した。
実施例1のアクリルアミド系重合体の製造において精製水aから得られたアクリルアミド水溶液を使用する代わりに、水道水から得られたアクリルアミド水溶液を使用する以外は実施例1と同様にしてアクリルアミド系重合体の製造を行った。得られたアクリルアミドポリマーの含水ゲルを実施例1と同様の処理を行い、以後の試験に供するポリマーサンプルとした。
<アクリルアミドポリマーの試験法>
上記実施例1、2、3および比較例で得られたポリマーサンプルの水溶性の評価、標準粘度の測定、および色調の評価を以下の方法で行った。
水溶性:水溶性は、1Lビーカーに水道水600mlを入れ、定められた形状の攪拌羽根を用いて25℃で攪拌しながらポリマーサンプル0.66g(純分0.6g)を添加し、400rpmで2時間攪拌を行い、得られた溶液を150メッシュの金網で濾過し、不溶解分の多少と濾過性から、水溶性を判断した。即ち、完溶のものを◎、完溶に近いものを○、不溶解分があるが、それを濾別する事ができるものを△、濾液の通過が遅く、不溶解分の濾過が事実上できないものを×とした。
標準粘度:上記の水溶性試験により得られる濾液は、濃度0.1重量%のポリマー水溶液であるが、これに1M濃度相当の塩化ナトリウムを加え、BL型粘度計でBLアダプターを用いて25℃、ローター回転数60rpmで粘度を測定した(標準粘度)。このような方法で得られる標準粘度は分子量に相関のある値として慣用される。
色調:ポリマーの色調についてはポリマー粉体を目視で評価した。
評価結果を表1に示した。

Claims (4)

  1. 電気伝導率が100μS/cm以下である水と(メタ)アクリロニトリルを、ニトリルヒドラターゼを含有する菌体および/またはその菌体処理物により水和反応させることを特徴とする(メタ)アクリルアミドの製造方法
  2. ニトリルヒドラターゼがシュードノカルディア属由来またはロドコッカス属由来ニトリルヒドラターゼである請求項1に記載の製造方法
  3. 請求項1に記載の(メタ)アクリルアミドを単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合して得られる(メタ)アクリルアミド系重合体
  4. 請求項1に記載の(メタ)アクリルアミドを単独重合、またはアミド化合物と共重合可能な少なくとも1種の不飽和単量体と共重合することを特徴とする(メタ)アクリルアミド系重合体の製造方法
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