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JP2018043515A - 剥離装置および剥離方法 - Google Patents

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JP2018043515A
JP2018043515A JP2017059253A JP2017059253A JP2018043515A JP 2018043515 A JP2018043515 A JP 2018043515A JP 2017059253 A JP2017059253 A JP 2017059253A JP 2017059253 A JP2017059253 A JP 2017059253A JP 2018043515 A JP2018043515 A JP 2018043515A
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梶野 一樹
Kazuki Kajino
一樹 梶野
美佳 上野
Mika Ueno
美佳 上野
増市 幹雄
Mikio Masuichi
幹雄 増市
博之 上野
Hiroyuki Ueno
博之 上野
和大 正司
Kazuhiro Shoji
和大 正司
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Abstract

【課題】剥離進行方向に当接体を移動させながら第1板状体から第2板状体を剥離させる剥離技術において、当接体と吸着部との干渉を回避しつつ上記剥離の安定化を図る。【解決手段】剥離進行方向において部分剥離を実行する吸着部よりも下流側で第2板状体の他方主面に当接する当接体と、第2板状体の剥離の進行にしたがって当接体を剥離進行方向に移動させる当接体移動部と、第2板状体の他方主面に当接している複数の吸着部のうち部分剥離を実行する前の剥離前吸着部に対して当接体が相対的に近づいてくるタイミングで剥離前吸着部を当接体から退避させ、当接体の通過後に剥離前吸着部を退避前の位置に戻す剥離前移動部と、を備えている。【選択図】図10C

Description

この発明は、第1板状体から第2板状体を剥離する剥離装置および剥離方法に関するものである。
上記した剥離装置としては、例えば特許文献1に記載された発明が従来より知られている。この特許文献1に記載の発明では、ブランケット(本発明の「第1板状体」に相当)と、版または基板(本発明の「第2板状体」に相当)とが密着されてなる密着体がステージで保持される一方、ステージの上方では上部吸着ブロックが設けられている。この上部吸着ブロックでは、支持フレームに対して複数の吸着ユニットが剥離進行方向に配設されている。各吸着ユニットでは、剥離進行方向と直交する水平方向に複数の吸着パッドが配列され、これらを一括して鉛直方向に移動させることが可能となっている。そして、複数の吸着ユニットのうち剥離進行方向における最上流の吸着ユニットが吸着パッドにより版(または基板)の上面を吸着しながら鉛直上方に移動することで、部分剥離が行われる。この「部分剥離」は、版(または基板)の上面のうち吸着パッドにより吸着されている被吸着部位をブランケットから剥離させる動作を意味している。また、最上流側の吸着ユニットによる部分剥離に続いて、残りの吸着ユニットが剥離進行方向に向かう順序で部分剥離を実行する。これによって、版(または基板)のブランケットからの剥離が剥離進行方向に進む。また、上記剥離動作に連動して剥離ローラ(本発明の「当接体」に相当)が移動することで剥離の進行速度を一定に維持している。
特開2016−10922号公報
特許文献1に記載の発明では、吸着ユニット毎に当該吸着ユニットを構成する吸着パッドを鉛直方向に昇降させる昇降機構が設けられている。昇降機構は吸着ユニットを予め版(または基板)から離間させておき、吸着ユニットの吸着位置を剥離ローラが通過するのを待って吸着パッドを版(または基板)に当接させる。したがって、吸着ユニットの個数と同数の昇降機構を設ける必要がある。例えばG1サイズの液晶表示装置を製造するためには6台または7台程度の昇降機構を設け、G4サイズの液晶表示装置を製造するためには13台程度の昇降機構を設けるため、上部吸着ブロックの重量化を招いている。このため、上部吸着ブロックを支持するために頑丈な装置フレームが必要となり、装置の大型化を招くという問題がある。また、各昇降機構はモータを駆動源とするボールねじ機構により構成されている。このため、装置コストが増大してしまうという問題もあった。そこで、後で詳述するように単一の移動機構によって吸着パッドを昇降させることも考えられるが、この場合、吸着パッドと剥離ローラとの干渉が重大な問題となる。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、剥離進行方向に当接体を移動させながら第1板状体から第2板状体を剥離させる剥離技術において、当接体と吸着部との干渉を回避しつつ上記剥離の安定化を図ることを目的とする。
この発明の一の態様は、一方主面が第1板状体に密着した第2板状体を第1板状体から剥離進行方向に剥離する剥離装置であって、第1板状体を保持する保持部と、剥離進行方向に配列され、第2板状体の他方主面を吸着する複数の吸着部と、保持部から離間する離間方向に吸着部を移動させることで吸着部が吸着している第2板状体の被吸着部位を第1板状体から剥離させる、部分剥離を複数の吸着部の配列順序で行って第2板状体の剥離を進行させる剥離制御部と、剥離進行方向において部分剥離を実行する吸着部よりも下流側で第2板状体の他方主面に当接する当接体と、第2板状体の剥離の進行にしたがって当接体を剥離進行方向に移動させる当接体移動部と、第2板状体の他方主面に当接している複数の吸着部のうち部分剥離を実行する前の剥離前吸着部に対して当接体が相対的に近づいてくるタイミングで剥離前吸着部を当接体から退避させ、当接体の通過後に剥離前吸着部を退避前の位置に戻す剥離前移動部と、を備えることを特徴としている。
また、この発明の他の態様は、一方主面が第1板状体に密着した第2板状体を第1板状体から剥離進行方向に剥離する剥離方法であって、第1板状体を保持部で保持する保持工程と、吸着部で第2板状体の他方主面を吸着しながら吸着部を保持部から離間する離間方向に移動させることで吸着部が吸着している第2板状体の被吸着部位を第1板状体から剥離させる部分剥離を、剥離進行方向に配列された複数の吸着部で行う剥離工程と、を備え、剥離工程は、保持工程を継続させながら剥離進行方向において最上流に位置する吸着部から最下流に位置する吸着部に向かう順序で部分剥離を行うとともに、剥離進行方向において部分剥離を実行する吸着部よりも下流側で第2板状体の他方主面に当接する当接体を第2板状体の剥離の進行にしたがって剥離進行方向に移動させながら第2板状体の他方主面に当接している複数の吸着部のうち部分剥離を実行する前の剥離前吸着部に対して当接体が相対的に近づいてくるタイミングで剥離前吸着部を当接体から退避させ、当接体の通過後に剥離前吸着部を退避前の位置に戻すことを特徴としている。
このように構成された発明では、記剥離進行方向において部分剥離を実行する吸着部よりも下流側で当接体が第2板状体の他方主面に当接し、第2板状体の剥離の進行にしたがって剥離進行方向に移動する。そして、当接体が剥離前吸着部に相対的に近づいてくると、剥離前吸着部は当接体から退避させられ、当接体の通過後に退避前の位置に戻される。したがって、当接体と吸着部との干渉を回避しつつ剥離処理を安定して行うことができる。
この発明にかかる剥離装置の第1実施形態を示す斜視図である。 図1に示す剥離装置を正面から見た図である。 図1および図2に示す剥離装置の電気的構成を示すブロック図である。 第1実施形態での剥離処理を示すフローチャートである。 第1実施形態での剥離処理中の各段階における各部の位置関係を示す図である。 本発明にかかる剥離装置の第2実施形態における剥離処理の完了直後における装置各部の状況を示す模式図である。 本発明にかかる剥離装置の第2実施形態での基板の搬出直前における装置各部の状況を示す図である。 本発明にかかる剥離装置の第3実施形態を示す図である。 図7に示す剥離装置の側面図である。 第3実施形態での剥離処理を示すフローチャートである。 第3実施形態での剥離処理中の各段階における各部の位置関係を示す図である。
図1はこの発明にかかる剥離装置の第1実施形態を示す斜視図である。また、図2は図1に示す剥離装置を正面から見た図である。各図における方向を統一的に示すために、図1右下に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。ここでXY平面が水平面、Z軸が鉛直軸を表す。より詳しくは、(+Z)方向が鉛直上向き方向を表している。
この剥離装置1Aは、主面同士が互いに密着した状態で搬入される2枚の板状体を剥離させるための装置である。例えばガラス基板や半導体基板等の基板の表面に所定のパターンを印刷する印刷プロセスの一部において用いられる。より具体的には、この印刷プロセスでは、被転写体である基板に転写すべきパターンを一時的に担持する担持体としてのブランケット表面にパターン形成材料を均一に塗布する(塗布工程)。また、パターン形状に応じて表面加工された版をブランケット上の塗布層に押し当てることによって塗布層をパターニングし(パターニング工程)、ブランケット上にパターン層を形成する。さらに、こうしてパターン層が形成されたブランケットを基板に密着させることでパターン層をブランケットから基板に最終転写し(転写工程)、基板上にパターンを印刷する。
このとき、パターニング工程において密着された版とブランケットとの間、または転写工程において密着された基板とブランケットとの間を離間させるために、本装置を好適に適用することが可能である。もちろんこれらの両方に用いられてもよく、これ以外の用途で用いられても構わない。例えば担持体に担持された薄膜を基板に転写する際の剥離プロセスにも適用することができる。
この剥離装置1Aは、図示を省略するメインフレームの上にステージブロック3および上部吸着ブロック5がそれぞれ固定された構造を有している。図1では装置の内部構造を示すためにメインフレームや筐体の図示を省略している。また、これらの各ブロックの他に、この剥離装置1Aは後述する制御ユニット9(図3)を備えている。
ステージブロック3は、版または基板とブランケットとが密着されてなる密着体(以下、「ワーク」という)を載置するためのステージ30を有している。本実施形態では、ステージ30は石定盤で形成されており、その上面310は略水平な平面に仕上げられている。この上面310は載置されるワークの平面サイズより少し大きい平面サイズを有している。そして、ワークを構成する版または基板の有効領域(薄膜またはパターンが形成される領域)の全体がステージ30の上面中央部311に位置するように、ワークはステージ30に載置される。この上面中央部311には格子状の溝(図示省略)が設けられている。また、上面中央部311を取り囲むように真空吸着溝312が設けられ、ワークがステージ30に載置されたとき、当該ワークを構成するブランケットによって塞がれるように設けられている。
上記した格子状溝および真空吸着溝312は、後述するように制御バルブV31、V32(図3)を介して負圧供給部94(図3)に接続されており、負圧が供給されることで、ステージ30に載置されるワークを吸着保持する吸着溝としての機能を有する。これら2種類の溝はステージ上では繋がっておらず、また互いに独立した制御バルブV31、V32を介して負圧供給部94に接続されているので、両方の溝を使用した吸着の他に、一方の溝のみ使用した吸着も可能となっている。
一方、上部吸着ブロック5は、図1に示すように、ステージブロック3の(+Y)方向側でメインフレームから立設される2本の支持柱51、51と、支持柱51、51に対してステージブロック3の上部を覆いながら鉛直方向Zにおいて移動自在に取り付けられた可動体52と、可動体52に対して鉛直方向Zにおいて移動自在に取り付けられた吸着部53A〜53Fと、可動体52を駆動して鉛直方向Zに移動させる移動部54とを備えている。
各支持柱51、51では、(−Y)方向側の側面に対し、Z方向に延設されたガイドレール511が取り付けられている。また、各ガイドレール511にはスライダ(図示省略)がZ方向に摺動自在に取り付けられており、これらのスライダを繋ぐように可動体52が取り付けられている。より詳しくは、可動体52の(+Y)側では、水平プレート521がX方向に延設されており、X方向における水平プレート521の両端部がそれぞれスライダに固着されている。このため、可動体52は移動部54によってZ方向に昇降移動される。
この可動体52は、水平プレート521以外に、一対のハンド522、522と、吸着支持プレート523と、プレート支持部材524とを有している。可動体52では、水平プレート521の(−Y)側主面から一対のハンド522、522が(−Y)方向に延設されている。ハンド522、522はそれぞれ水平プレート521の(+X)側端部および(−X)側端部に固定されており、X方向においてハンド522、522はステージ30と同程度の幅だけ離間している。そして、(+X)側のハンド522では、プレート支持部材524の(−X)側端部を(+X)側のハンド522より(−X)方向に突出させた状態でプレート支持部材524がハンド522の下面に取り付けられている。一方、(−X)側のハンド522では、プレート支持部材524の(+X)側端部をハンド522より(+X)方向に突出させた状態でプレート支持部材524が(−X)側のハンド522の下面に取り付けられている。そして、プレート支持部材524の(−X)側端部および(+X)側端部によって吸着支持プレート523の(−X)側端部および(+X)側端部がそれぞれ下方から支持され、その支持状態で吸着支持プレート523がハンド522、522およびプレート支持部材524に固定されている。
吸着支持プレート523は、図1に示すようにステージ30の上面中央部311と同程度の平面サイズを有しており、Y方向に離間して吸着支持プレート523に穿設された一対の貫通孔(後の図5中の符号523a、523a)が6組、X方向において互いに離間しながら配列されている。これら6組の貫通孔対を介して吸着部53A〜53Fがそれぞれ鉛直方向Zに移動自在に取り付けられている。これら吸着部53A〜53Fは同一構成を有しているため、ここでは吸着部53Aの構成を説明し、その他については同一符号を付して説明を省略する。
吸着部53Aは6組の貫通孔対のうちX方向における最上流の貫通孔対に設けられている。当該貫通孔対に対し、図2に示すように、2本の支持パイプ531、531がそれぞれ挿嵌されており、Z方向に移動自在となっている。各支持パイプ531、531の上端部が貫通孔を介して上方に突出し、当該上端部に対して係合部材532が取り付けられている。このように係合部材532は吸着支持プレート523よりも上方側、つまり(+Z)側に配置されている。この係合部材532は貫通孔対の離間距離よりも長いサイズを有するプレート形状を有している。このため、係合部材532が吸着支持プレート523の上面に係合することで、支持パイプ531、531の下方端部が貫通孔対を介して垂下した状態で吸着部53Aは吸着支持プレート523に支持される。
ここで、図1および図2に示すように、各支持パイプ531、531の上端部のうち吸着支持プレート523よりもさらに上方に突出した部分に円環状のスペーサ533が緩挿されるとともに、上端に螺刻された雄ネジ(図示省略)に対してナット534が取り付けられている。このように、本実施形態では、スペーサ533のZ方向サイズを変更することで各支持パイプ531、531に対する係合部材532のZ方向位置を調整可能となっている。つまり、図2に示すように、次に説明する吸着パッドから係合部材532までの距離(吸着パッドの高さ位置)を吸着部53A〜53F毎に調整可能となっている。
各支持パイプ531、531の下端部は吸着支持プレート523の貫通孔対を介して吸着支持プレート523の下方側に延設されている。そして、支持パイプ531、531の下端に対してマニホールド(図示省略)が接続されている。このマニホールドはY方向に延設されており、ボックス状ケース535で上面および側面が覆われている。マニホールドからは複数の分岐部がボックス状ケース535を介して下方に突設され、それぞれに対して吸着パッド536が取り付けられている。各吸着パッド536はマニホールドおよび支持パイプ531を介して制御バルブV5(図3、図5Aなどを参照)を介して負圧供給部94に接続されている。このため、制御ユニット9からの開成指令に応じて上記制御バルブV5が開くと、全吸着パッド536に対して負圧が印加されてワークの上面(版や基板の上面)を吸着可能となっている。
吸着部53A〜53Fでは、上記したように互いに異なるZ方向サイズのスペーサ533を使用している。より詳しくは、図1および図2に示すように、吸着部53A〜53Fの配列方向Xにおいて最上流で最も長いスペーサ533が使用され、下流側に進むにしたがってスペーサ533のZ方向サイズは小さくなっている。このため、吸着支持プレート523が最も高い位置に位置決めされているとき(図1、図2参照)、全吸着部53A〜53Fで係合部材532が吸着支持プレート523に係合して各吸着パッド536をスペーサ533のZ方向サイズに応じた高さ位置に位置させる。つまり、吸着部53A〜53Fはそれぞれ自重によって吸着支持プレート523に懸吊されており、吸着部53Aの吸着パッド536が最も高い位置に位置し、X方向に進むにしたがって徐々に低くなり、最終的に吸着部53Fの吸着パッド536が最もステージ30に近づいている。
このように吸着部53A〜53Fは吸着支持プレート523により支持されているため、吸着支持プレート523を含む可動体52が移動部54によりZ方向に昇降されることで、吸着部53A〜53Fは可動体52ともに昇降して後で詳述するように剥離動作を実行する。このように移動部54は剥離動作を制御する剥離制御部の一構成として機能する。この移動部54は、図1に示すように、支持柱51、51を繋ぐように取り付けられたモータ支持プレート541と、モータ支持プレート541に固定されたモータ542と、モータ542の回転によって可動体52をガイドレール511に沿って昇降させる昇降機構543とを備えている。これらのうち昇降機構543は、モータ542の回転運動を直線運動に変換する変換機構としての例えばボールねじ機構で構成されており、制御ユニット9からの下降指令に応じてモータ542が所定方向に回転すると、昇降機構543によって可動体52が吸着部53A〜53Fとともに(−Z)方向に下降して全吸着パッド536をステージ30上のワークの上面に当接させる(図5B参照)。逆に、モータ542が逆回転すると、昇降機構543によって可動体52が吸着部53A〜53Fとともに(+Z)方向に上昇させてワークに対して剥離動作を実行し、ブラケットから版または基板を剥離させる。
図3は図1および図2に示す剥離装置の電気的構成を示すブロック図である。装置各部は制御ユニット9により制御される。制御ユニット9は、装置全体の動作を司るCPU91と、各部に設けられたモータ類を制御するモータ制御部92と、各部に設けられたバルブ類を制御するバルブ制御部93と、各部に供給する負圧を発生する負圧供給部94と、ユーザからの操作入力を受け付けたり装置の状態をユーザに報知するためのユーザインタフェース(UI)部95とを備えている。なお、工場用力など外部から供給される負圧を利用可能である場合には制御ユニット9が負圧供給部を備えていなくてもよい。
モータ制御部92は、移動部54に設けられたモータ542などのモータ群を駆動制御する。バルブ制御部93は、負圧供給部94からステージ30に設けられた吸着溝につながる配管経路上に設けられ、これらの吸着溝に対し所定の負圧を個別に供給するためのバルブ群、負圧供給部94から各吸着パッド536につながる配管経路上に設けられて各吸着パッド536に対する負圧の供給と供給停止とを切り替える制御バルブV5などを制御する。
次に、上記のように構成された剥離装置1Aによる剥離動作について、図4、図5Aないし図5Dを参照しながら説明する。図4は剥離処理を示すフローチャートである。また、図5Aないし図5Dは処理中の各段階における各部の位置関係を示す図であり、処理の進行状況を模式的に表したものである。なお、図5Aないし図5Dにおいては、スペーサの図示を省略している。また、図5Aないし図5D中の制御バルブV5を示す記号において三角形の部分が黒いものは、制御バルブV5が開いている状態を示し、三角形の部分が白いものは、制御バルブV5が閉じている状態を示している。これらの点については後で説明する実施形態においても同様である。ここでは、基板SBのブランケットBLからの剥離を例示して説明するが、版をブランケットBLから剥離する場合も同様であり、基板を版に読み替えればよい。
図4に示す剥離処理は、ブランケットBLの上面と基板SBの下面とがパターン層(図示省略)を介して相互に密着されたワークWKに対して剥離処理を施してブランケットBLから基板SBを剥離するものである。この剥離処理は、CPU91が予め記憶された処理プログラムを実行して各部を制御することによりなされる。
剥離装置1Aに対して電源を投入した直後やリセット指令が制御ユニット9に与えられると、装置が初期化されて装置各部が所定の初期状態に設定される(ステップS11)。初期状態では、制御ユニット9からの上昇指令に応じて移動部54が作動し、吸着支持プレート523を含む可動体52を上端位置まで上昇させる。この上昇によって、全吸着部53A〜53Fの係合部材532が吸着支持プレート523と係合して吸着支持プレート523とともに上昇してステージ30から上方に離れて位置する。なお、本実施形態では、支持パイプ531に対する係合部材532の取付位置、つまり吸着パッド536から係合部材532までの距離が吸着部53A〜53F毎に相違しているため、吸着部53A〜53Fのうち吸着部53Fの吸着パッド536が最もステージ30に近く、吸着部53E〜53Aに進むにしたがって吸着パッド536がステージ30から離間して位置決めされる。
外部の搬送ロボット等によってワークWKがステージ30上の上記位置にロードされる(ステップS12)。すると、制御ユニット9は制御バルブV31、V32を開いて負圧供給部94からの負圧をステージ30の吸着溝の両方に与え、図5Aに示すように、ワークWKを吸着保持する(ステップS13:保持工程)。
それに続いて、制御ユニット9からの下降指令に応じて移動部54が作動し、図5B中の白抜き矢印で示すように、吸着支持プレート523を含む可動体52を下降させる。このとき、まず最初にX方向における最下流の吸着部53Fの吸着パッド536がステージ30に載置されるワークの上面に当接する。その後において可動体52はさらに下降していくが、吸着部53Fでは吸着支持プレート523に対する係合部材532の係合は解除され、吸着部53Fはその位置を維持する。一方、残りの吸着部53E〜53Aでは、この順序で吸着部53Fと同様の動作が行われる。こうして、全吸着部53A〜53Fの吸着パッド536がワークWKの上面、つまり基板SBの上面に当接する(ステップS14)。それに続いて、制御ユニット9は制御バルブV5を開いて負圧供給部94からの負圧を吸着部53A〜53Fの吸着パッド536に与える。これによって、ワークWKの上面(基板SBの上面)が吸着部53A〜53Fで吸着保持される(ステップS15)。なお、負圧供給タイミングはこれに限定されず、例えば可動体52の下降段階より負圧を供給するように構成してもよい。
次に、制御ユニット9からの上昇指令に応じて移動部54が作動し、図5C中の白抜き矢印で示すように、吸着支持プレート523を含む可動体52を上昇させる(ステップS16)。可動体52の上昇によって、吸着支持プレート523がX方向における最上流の吸着部53Aの係合部材532と最初に係合し、さらなる可動体52の上昇に伴って吸着部53Aの吸着パッド536が(+Z)方向に上昇する。このとき、基板SBのうち吸着部53Aの吸着パッド536で吸着されている部位、つまり被吸着部位がブランケットBLから剥離する。このような部分剥離が可動体52の上昇に伴って(+X)方向に進行する(剥離工程)。つまり、図5Cに示すように、吸着部53Aによる部分剥離から、さらに吸着部53B、53Cによる部分剥離が順次実行され、ブランケットBLからの基板SBの剥離が(+X)方向に進行する。このように、本実施形態では、(+X)方向が本発明の「剥離進行方向」に相当している。
この部分剥離は可動体52の上昇に伴ってさらに進行し、図5Dに示すように吸着支持プレート523が上端位置に到達した時点では、全吸着部53A〜53Fはステージ30から(+Z)方向に離れて基板SB全体をブランケットBLから剥離(全体剥離)し、ステージ30の上方位置で位置決めして保持する。このことを制御ユニット9が確認する(ステップS17で「YES」と判定する)と、可動体52の上昇を停止させる(ステップS18)。
その後、吸着溝によるブランケットBLの吸着保持を解除し、分離された基板SBおよびブランケットBLを外部の搬送ロボット等によって装置外へ搬出することで(ステップS19)、剥離処理が完了する。なお、吸着パッド536による基板SBの吸着保持は搬送ロボット等による基板SBの保持が完了した後で解除される。
以上のように、第1実施形態では、吸着支持プレート523を含む可動体52が鉛直方向Zに昇降自在に設けられるとともに、各吸着部53A〜53Fには吸着支持プレート523に係合可能な係合部材532が設けられている。そして、図5Cに示すように、可動体52の上昇に伴って吸着部53A〜53Fの係合部材532がX方向における吸着部53A〜53Fの配列順序で吸着支持プレート523と係合し、基板SBの上面を吸着しながら(+Z)方向に移動して部分剥離が順番に実行される。つまり、部分剥離が吸着部53A〜53Fの配列順序と同じ順序で行われて基板SBがブランケットBLから剥離される。このように可動体52を移動部54に(+Z)方向に移動させることによって所望の剥離処理を行うことが可能となっており、その結果、吸着部毎に移動部を設けていた従来装置に比べて剥離装置1Aを小型化することができ、しかも装置コストを低減することができる。
図6Aおよび図6Bは本発明にかかる剥離装置の第2実施形態を示す図であり、図6Aは剥離処理の完了直後における装置各部の状況を示し、図6Bは基板の搬出直前における装置各部の状況を示している。この剥離装置1Bが第1実施形態と大きく相違する点は、吸着部53A〜53Fにより吸着保持される基板の姿勢を傾斜姿勢から水平姿勢に整える姿勢調整ユニット55が追加されている点であり、その他の構成は基本的に第1実施形態と同一である。そこで、相違点を中心に説明し、以下の説明では同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
この剥離装置1Bでは、第1実施形態の装置に対して姿勢調整ユニット55が追加装備されている。姿勢調整ユニット55は、水平姿勢のまま吸着支持プレート523と吸着パッド536との間で鉛直方向Zに移動自在な姿勢制御用の可動体551と、可動体551をZ方向に移動させる2本のエアシリンダ552と、支持パイプ531の中間部に取り付けられた係合部材553とを備えている。可動体551はプレート形状を有し、吸着支持プレート523と同様に、支持パイプ531を挿通するための貫通孔551aを有している。そして、図6Aおよび図6Bに示すように、貫通孔551aの各々に支持パイプ531を挿通させた状態で可動体551は吸着支持プレート523の下方位置に水平配置されている。
エアシリンダ552は、可動体551を水平姿勢に維持させたままZ方向に移動させる移動部として機能する。具体的には、各エアシリンダ552のピストン部を鉛直下方に向けながらシリンダ部がX方向における水平プレート521に取り付けられている。剥離処理を行う際には、図6Aに示すように、エアシリンダ552のピストン部を伸張させて可動体551を剥離処理位置に退避して、第1実施形態と同様にして剥離処理を実行可能となっている。一方、剥離処理の完了時点では、基板SBは傾斜しているため、制御ユニット9からの姿勢調整指令に応じてエアシリンダ552がピストン部を収縮して姿勢調整を行う。すなわち、図6Bに示すように、ピストン部の収縮によって可動体551がZ方向に上昇するが、その上昇途中で吸着部53F〜53Aの順序で各係合部材553と係合し、吸着部53F〜53Aをそれぞれ係合開始タイミングに応じた距離だけZ方向に移動させる。また、本実施形態では、吸着パッド536と係合部材553とのZ方向における距離はいずれの吸着部53A〜53Fともほぼ同一に設定されている。その結果、基板SBの姿勢は傾斜姿勢から略水平な姿勢に調整される。なお、こうして姿勢調整された後で基板SBは外部の搬送ロボット等によって装置外へ搬出される。
以上のように、第2実施形態では、姿勢調整ユニット55を設けたことで剥離後の基板SBを水平姿勢に調整することができるため、基板SBの搬出が容易なものとなる。なお、ここでは、剥離された基板SBの搬出時について説明したが、剥離された版の搬出時においても同様である。
図7は本発明にかかる剥離装置の第3実施形態を示す図である。また、図8は図7に示す剥離装置の側面図である。この剥離装置1Cが第1実施形態と大きく相違する点は、本発明の「当接体」の一例に相当する剥離ローラ561を有するローラユニット56が追加されている点と、ローラユニット56をX方向に移動させる移動部57と、ローラユニット56のX方向移動に連動して吸着部53A〜53GをZ方向に昇降させるカム機構58が追加されている点と、吸着部53A〜53G毎に負圧の供給と供給停止を切り替える制御バルブV5A〜V5Gが設けられている点であり、その他の構成が基本的に第1実施形態と同一である。したがって、以下においては、相違点を中心に説明し、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
この第3実施形態では、特許文献1に記載の発明と同様に、剥離動作を安定化させるためにローラユニット56が設けられている。このローラユニット56は、図8に示すように、基板SBのY方向サイズと同程度の長さを有する剥離ローラ561と、剥離ローラ561の回転軸を上方から軸支するローラ支持テーブル562とを有している。ローラ支持テーブル562は、剥離ローラ561の最下端部がZ方向においてワークWKの上面、つまり基板SBの上面に当接可能な高さ位置に位置するように剥離ローラ561を支持している。また、ローラ支持テーブル562は上記のように剥離ローラ561を支持しながら図示を省略するX方向ガイドにガイドされてX方向に移動自在となっている。このローラ支持テーブル562には、移動部57が連結されており、制御ユニット9からの移動指令に応じて移動部57がローラ支持テーブル562を駆動することで、ローラユニット56はワークWKから(−X)方向に離れた退避位置(実線位置)と、剥離開始位置(破線位置)との間でX方向に移動する。
ローラ支持テーブル562の上面のうち(+Y)側表面領域および(−Y)側表面領域に対してカム機構58の一構成部品である台形柱形状のカム581、581が設けられている。各カム581、581では、上面が水平面であり、その(+X)側面および(−X)側面が裾広がり形状の傾斜面に仕上げられている。これらのカム581、581はローラユニット56のX方向移動と一緒に移動するが、X方向の最上流に配設されている吸着部53Aを除き、上記カム581、581のX方向移動に連動して吸着部53B〜53GをZ方向に昇降させるために、吸着部53B〜53Gの各々にはカムフォロア部が設けられている。
ここでは、図8を参照しつつ吸着部53Cに設けられたカムフォロア部の構成について説明する。カムフォロア部は、係合部材532の(+X)側端部および(−X)側端部から鉛直下方、(−Z)方向に連結部材583、583が延設されている。各連結部材583は吸着支持プレート523に設けられた貫通孔523bに挿通されている。各連結部材583の下方端部には、カムフォロア支持テーブル584が取り付けられている。このカムフォロア支持テーブル584はカム581の移動経路の上方位置に配置され、カム581の上面および傾斜面に当接するカムフォロア585を上方より回転自在に支持している。このため、ローラユニット56のX方向移動と一緒にカム581、581が吸着部53Cの下方位置に移動してくると、カムフォロア585がカム581の傾斜面や水平面と係合し、カムフォロア部を介して係合部材532を上方に押し上げる。これによって、図8に示すように、Z方向における吸着支持プレート523の位置とは関係なく、吸着部53Cの全吸着パッド536が上方に引き上げられ、ローラユニット56との干渉を防止することができる。一方、ローラユニット56が吸着部53Cの下方位置を通過すると、吸着部53Cではカムフォロア585とカム581との係合が解消され、カムフォロア部、係合部材532、全支持パイプ531および全吸着パッド536が一体的に自重によって(−Z)方向に移動し、吸着部53Cの吸着パッド536がワークWKの上面(基板SBの上面)に当接する。このように構成されたカム機構58は、部分剥離を実行する前の吸着部(以下「剥離前吸着部」という)の吸着パッド536がワークWKを吸着する被吸着部位をローラユニット56が通過する間だけ剥離前吸着部を上方に退避する機能、つまりローラユニット56のX方向移動に対する吸着部53Cの干渉を防止する機能を有している。なお、他の吸着部53B、53D〜53Gにおいてもカムフォロア部が設けられ、ローラユニット56との干渉を防止する。
次に、このように構成された剥離装置1Cの動作について図9および図10Aないし図10Dを参照しつつ説明する。図9は第3実施形態での剥離処理を示すフローチャートである。図10Aないし図10Dは第3実施形態での剥離処理中の各段階における各部の位置関係を示す図である。剥離装置1Cに対して電源を投入した直後やリセット指令が制御ユニット9に与えられると、装置が初期化されて装置各部が所定の初期状態に設定される(ステップS31)。初期状態では、図7に示すように、制御ユニット9からの上昇指令に応じて移動部54が作動し、吸着支持プレート523を含む可動体52を上端位置まで上昇させる。この上昇によって、全吸着部53A〜53Gの係合部材532が吸着支持プレート523と係合して吸着支持プレート523とともに上昇してステージ30から上方に離れて位置する。この実施形態においても、第1実施形態と同様に、吸着部53A〜53Gのうち吸着部53Gの吸着パッド536が最もステージ30に近く、吸着部53F〜53Aに進むにしたがって吸着パッド536がステージ30から離間して位置決めされる。また、初期状態では、図7の実線に示すように、制御ユニット9からの退避指令に応じて移動部57が作動してローラユニット56をカム581とともに退避位置に移動させ、位置決めする。
外部の搬送ロボット等によってワークWKがステージ30上の上記位置にロードされる(ステップS32)。すると、制御ユニット9は制御バルブV31、V32を開いて負圧供給部94からの負圧をステージ30の吸着溝の両方に与え、ワークWKを吸着保持する(ステップS33:保持工程)。
それに続いて、制御ユニット9からの移動指令に応じて移動部57が作動し、図10Aに示すように、ローラユニット56をカム581とともに剥離開始位置に移動させ、位置決めする(ステップS34)。それに続いて、制御ユニット9からの開成指令に応じて制御バルブV5Aが開成して吸着部53Aの吸着パッド536のみに負圧を与える。また、この状態のまま制御ユニット9からの下降指令に応じて移動部54が、図10B中の白抜き矢印で示すように、吸着支持プレート523を含む可動体52を下降させる。このとき、まず最初にX方向における最下流の吸着部53Gの吸着パッド536がステージ30に載置されるワークの上面に当接する。その後において可動体52はさらに下降していくが、吸着部53Gでは吸着支持プレート523に対する係合部材532の係合は解除され、吸着部53Gはその位置を維持する。残りの吸着部53F〜53Aでは、この順序で吸着部53Gと同様の動作が行われる。そして、吸着部53Aの吸着パッド536がワークWKの上面、つまり基板SBの上面に到達すると、当該吸着パッド536により基板SBが局部的に吸着保持される。ただし、吸着部53B、53Cの下方位置には、ローラユニット56およびカム581が位置しているため、吸着部53B、53Cの係合部材532に連結されたカムフォロア585がカム581に係止され、吸着パッド536はワークWKよりも上方に位置する。特に、図10Bに示すように剥離ローラ561が吸着部53Bの直下に位置しているため、カムフォロア585はカム581の上面に係合し、吸着パッド536はローラユニット56よりも高い位置に位置している。これによって、吸着部53Bとローラユニット56との干渉が防止されている。
こうして、吸着部53Aにより基板SBの一部、つまり被吸着部位が吸着保持されるとともに当該被吸着部位の(+X)側近傍部位が剥離ローラ561で押さえ付けられている。この状態で制御ユニット9からの上昇指令に応じて移動部54が作動し、図10C中の白抜き矢印で示すように、吸着支持プレート523を含む可動体52を上昇させる(ステップS35)。可動体52の上昇によって、吸着支持プレート523がX方向における最上流の吸着部53Aの係合部材532と最初に係合し、さらなる可動体52の上昇に伴って吸着部53Aの吸着パッド536が(+Z)方向に上昇する。このとき、基板SBのうち吸着部53Aの吸着パッド536で吸着されている部位、つまり被吸着部位がブランケットBLから剥離する。このような部分剥離が可動体52の上昇に伴って(+X)方向に進行する(剥離工程)。
また、可動体52の上昇開始と同時あるいは若干遅れて制御ユニット9からの移動指令に応じて移動部57が作動してローラユニット56をカム581とともに(+X)方向に移動させる(ステップS36)。これにより、カム581がローラユニット56とともに吸着部53Bから(+X)方向に離れ、吸着部53Bの吸着パッド536が自重によりワークWKの上面に下降する。この下降開始タイミングで制御ユニット9から出力される開成指令に応じて制御バルブV5Bが開成し、当該吸着パッド536に負圧が与えられる。したがって、当該吸着パッド536がワークWKの上面に到達した時点で基板SBの上面を部分的に吸着保持する。このとき、当該吸着パッド536により保持された被吸着部位の(+X)側近傍部位は剥離ローラ561で押さえ付けられている。そして、このような状態となった後で可動体52の上昇によって、吸着支持プレート523が吸着部53Bの係合部材532と係合し、吸着部53Bの吸着パッド536が(+Z)方向に上昇する。これによって、吸着部53Bによる部分剥離が実行され、基板SBの剥離が(+X)方向に進行する。このような部分剥離が図10Cに示すように吸着部53C、53D、…で実行されていく。そして、図10Dに示すように吸着支持プレート523が上端位置に到達した時点では、全吸着部53A〜53Gはステージ30から(+Z)方向に離れて基板SB全体をブランケットBLから剥離(全体剥離)し、ステージ30の上方位置で位置決めして保持する。また、カム581およびローラユニット56は退避位置に移動している。このことを制御ユニット9が確認する(ステップS37で「YES」と判定する)と、可動体52の上昇ならびにローラユニット56の移動を停止させる(ステップS38)。
その後、吸着溝によるブランケットBLの吸着保持を解除し、分離された基板SBおよびブランケットBLを外部の搬送ロボット等によって装置外へ搬出することで(ステップS39)、剥離処理が完了する。なお、吸着パッド536による基板SBの吸着保持は搬送ロボット等による基板SBの保持が完了した後で解除される。
以上のように、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、可動体52の上昇に伴って吸着部53A〜53Gの係合部材532がX方向における吸着部53A〜53Gの配列順序で吸着支持プレート523と係合し、基板SBの上面を吸着しながら(+Z)方向に移動して部分剥離が順番に実行される。このように可動体52を移動部54に(+Z)方向に移動させることによって所望の剥離処理を行うことが可能となっており、その結果、吸着部毎に移動部を設けていた従来装置に比べて剥離装置1Cを小型化することができ、しかも装置コストを低減することができる。また、吸着パッド536で吸着保持された被吸着部位の近傍を剥離ローラ561で押さえ付けた状態で部分剥離を行っているため、剥離処理を安定して行うことができる。
上記したように、本実施形態では、ブランケットBLが本発明の「第1板状体」の一例に相当し、基板SBまたは版が本発明の「第2板状体」の一例に相当し、基板SBや版の上面および下面がそれぞれ本発明の「他方主面」および「一方主面」に相当している。また、(+X)方向および(+Z)方向がそれぞれ本発明の「剥離進行方向」および「離間方向」に相当している。ステージ30が本発明の「保持部」の一例に相当している。また、可動体52、移動部54および係合部材532がそれぞれ本発明の「第1可動体」、「第1移動部」および「第1係合部材」の一例に相当しており、これらによって本発明の「剥離制御部」が構成されている。剥離ローラ561、移動部57およびカム機構58がそれぞれ本発明の「当接体」、「当接体移動部」および「剥離前移動部」の一例に相当している。また、制御バルブV5A〜V5Gが本発明の「吸着切替部」の一例に相当している。また、支持パイプ531が本発明の「支持部材」の一例に相当している。また、可動体551、エアシリンダ552および係合部材553がそれぞれ「第2可動体」、「姿勢調整移動部」および「第2係合部材」の一例に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態および第2実施形態では、6個の吸着部53A〜53Fにより剥離処理を行い、第3実施形態では7個の吸着部53A〜53Gにより剥離処理を行っているが、吸着部の戸数はこれらに限定されるものではなく、複数の吸着部によって剥離処理を行う剥離装置全般に対して本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、吸着パッドの高さ位置を吸着部毎に調整するためにスペーサ533を用いているが、高さ位置の調整手段はこれに限定されるものではなく、任意である。例えば、係合部材532に挿通された各支持パイプ531、531に対応して係合部材532の(+X)方向側の側面にネジ穴をそれぞれ設け、各ネジ穴からネジで支持パイプ531の側面を係止することで係合部材532に対して支持パイプ531、531を所望の高さ位置で固定してもよい。このような構成を採用することによって、上記スペーサが不要となり、簡易な構成で吸着パッドの高さ位置を任意に調整可能となる。
上記第2実施形態では、第1実施形態に対して姿勢調整ユニット55を適用しているが、姿勢調整ユニット55と同一構成を第3実施形態に適用し、剥離処理直後の基板SBや版の姿勢を傾斜姿勢から略水平な姿勢に調整するように構成してもよい。この場合、姿勢調整された後で基板SBや版を外部の搬送ロボット等によって装置外へ容易に搬出することが可能となる。
この発明は、第1板状体から第2板状体を剥離させる剥離技術全般に適用することができる。
1A,1B,1C…剥離装置
30…ステージ(保持部)
52…(第1)可動体
53A〜53G…吸着部
54…(第1)移動部
55…姿勢調整ユニット
56…ローラユニット
57…(当接体)移動部
58…カム機構(剥離前移動部)
531…支持パイプ(支持部材)
532…(第1)係合部材
536…吸着パッド
551…(第2)可動体
552…エアシリンダ(姿勢調整移動部)
553…(第2)係合部材
561…剥離ローラ(当接体)
581…カム
585…カムフォロア
BL…ブランケット(第1板状体)
SB…基板(第2板状体)
V5A〜V5G…制御バルブ(吸着切替部)
X…剥離進行方向
Z…離間方向

Claims (8)

  1. 一方主面が第1板状体に密着した第2板状体を前記第1板状体から剥離進行方向に剥離する剥離装置であって、
    前記第1板状体を保持する保持部と、
    前記剥離進行方向に配列され、前記第2板状体の他方主面を吸着する複数の吸着部と、
    前記保持部から離間する離間方向に前記吸着部を移動させることで前記吸着部が吸着している前記第2板状体の被吸着部位を前記第1板状体から剥離させる、部分剥離を前記複数の吸着部の配列順序で行って前記第2板状体の剥離を進行させる剥離制御部と、
    前記剥離進行方向において前記部分剥離を実行する前記吸着部よりも下流側で前記第2板状体の他方主面に当接する当接体と、
    前記第2板状体の剥離の進行にしたがって前記当接体を前記剥離進行方向に移動させる当接体移動部と、
    前記第2板状体の他方主面に当接している前記複数の吸着部のうち前記部分剥離を実行する前の剥離前吸着部に対して前記当接体が相対的に近づいてくるタイミングで前記剥離前吸着部を前記当接体から退避させ、前記当接体の通過後に前記剥離前吸着部を退避前の位置に戻す剥離前移動部と、
    を備えることを特徴とする剥離装置。
  2. 請求項1に記載の剥離装置であって、
    前記剥離制御部は、
    前記離間方向に移動可能に設けられた第1可動体と、
    前記第1可動体を前記離間方向に移動させる第1移動部と、
    前記吸着部毎に設けられ、前記離間方向に移動する前記第1可動体に係合することで前記第1可動体の移動に伴って前記吸着部を前記離間方向に移動させる、複数の第1係合部材と、を有し、
    前記複数の第1係合部材がそれぞれ前記第1可動体に係合するタイミングは前記配列順序と同じである剥離装置。
  3. 請求項2に記載の剥離装置であって、
    前記剥離前移動部は、前記剥離前吸着部に取り付けられたカムフォロアと、前記当接体に取り付けられたカムとを有し、前記カムに対して前記カムフォロアが係合することで前記当接体に対して前記剥離前吸着部を移動させる剥離装置。
  4. 請求項2または3に記載の剥離装置であって、
    前記吸着部毎に、前記吸着部に対して負圧の供給と供給停止とを切り替える吸着切替部が設けられる剥離装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の剥離装置であって、
    各吸着部は、前記離間方向に延設された支持部材と、前記支持部材の先端部に取り付けられて前記第2板状体の他方主面に当接して吸着する吸着パッドとを有し、
    前記複数の第1係合部材は前記複数の吸着部と1対1で対応して前記支持部材の後端部に取り付けられ、
    前記吸着パッドから前記第1係合部材までの距離は前記配列順序で長くなっている剥離装置。
  6. 請求項5に記載の剥離装置であって、
    各第1係合部材は、前記支持部材の後端部に対する前記離間方向での位置を変更自在となっている剥離装置。
  7. 請求項5または6記載の剥離装置であって、
    前記離間方向において前記第1可動体と前記吸着パッドとの間で移動可能に設けられた第2可動体と、
    前記第2可動体を前記離間方向に移動させる姿勢調整移動部と、
    前記複数の吸着部と1対1で対応して前記支持部材の中間部に取り付けられ、前記離間方向に移動する前記第2可動体に係合することで前記第2可動体の移動に伴って前記吸着部を前記離間方向に移動させ、前記複数の吸着部を鉛直方向において揃える、複数の第2係合部材と、
    を有する剥離装置。
  8. 一方主面が第1板状体に密着した第2板状体を前記第1板状体から剥離進行方向に剥離する剥離方法であって、
    前記第1板状体を保持部で保持する保持工程と、
    吸着部で前記第2板状体の他方主面を吸着しながら前記吸着部を前記保持部から離間する離間方向に移動させることで前記吸着部が吸着している前記第2板状体の被吸着部位を前記第1板状体から剥離させる部分剥離を、前記剥離進行方向に配列された複数の前記吸着部で行う剥離工程と、を備え、
    前記剥離工程は、
    前記保持工程を継続させながら前記剥離進行方向において最上流に位置する前記吸着部から最下流に位置する前記吸着部に向かう順序で前記部分剥離を行うとともに、
    前記剥離進行方向において前記部分剥離を実行する前記吸着部よりも下流側で前記第2板状体の他方主面に当接する当接体を前記第2板状体の剥離の進行にしたがって前記剥離進行方向に移動させながら前記第2板状体の他方主面に当接している前記複数の吸着部のうち前記部分剥離を実行する前の剥離前吸着部に対して前記当接体が相対的に近づいてくるタイミングで前記剥離前吸着部を前記当接体から退避させ、前記当接体の通過後に前記剥離前吸着部を退避前の位置に戻すことを特徴とする剥離方法。
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