JP2017214559A - 成型用フィルム及びそれを用いた成型転写箔 - Google Patents
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Abstract
Description
(1) ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及び平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下である無機粒子を含み、ポリエチレン系樹脂が島成分としてポリプロピレン系樹脂中に分散する海島構造、又はポリプロピレン系樹脂が島成分としてポリエチレン系樹脂中に分散する海島構造を有する層(A層)を有することを特徴とする、成型用フィルム。
(2) 前記A層において、島成分中よりも海成分中に無機粒子が多く分布することを特徴とする、(1)に記載の成型用フィルム。
(3) 長手方向に平行かつフィルム面に垂直な面で前記A層を切断したときの断面において、前記A層全体の面積100%に対して、海部分の面積が50%以上75%以下であり、島部分の面積が25%以上50%以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の成型用フィルム。
(4) フィルム面の表面粗さ(SRa)が、両面とも0.01μm以上5.0μm以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の成型用フィルム。
(5) 成型転写箔用フィルムであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の成型用フィルム。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の成型用フィルム、意匠層、及び接着層がこの順に位置することを特徴とする、成型転写箔。
A層は、成型用フィルムの品位、耐熱性、成型性、及び成型転写箔としたときの自己保持性を向上させる観点から、ポリプロピレン系樹脂を含むことが重要である。ポリプロピレン系樹脂とは、樹脂全体100質量%中にプロピレンモノマー由来成分を50質量%以上100質量%以下含むものをいう。
A層は、成型用フィルムの品位、耐熱性、及び成型転写箔としたときの自己保持性を向上させる観点から、ポリエチレン系樹脂を含有することが重要である。ポリエチレン系樹脂とは、樹脂全体100質量%中にエチレンモノマー由来成分を50質量%以上100質量%以下含む樹脂をいう。
A層は、ポリエチレン系樹脂が島成分としてポリプロピレン系樹脂中に分散する海島構造、又はポリプロピレン系樹脂が島成分としてポリエチレン系樹脂中に分散する海島構造を有することが重要である。海島構造とは、海成分(連続相)中に分散する島成分(分散相)を有する構造をいう(図1)。このような態様とすることにより、意匠層形成時における成型用フィルムの寸法安定性と成型転写箔としたときの自己保持性を両立させることができる。
熱収縮率(%)=[1−(熱処理後の標線の長さ(mm)/200(mm))×100
なお、A層が複数存在する場合においてA層全体とは、全てのA層を併せたものではなく、ある一つのA層の全体を意味する。すなわち、A層が複数存在する場合において、「長手方向に平行かつフィルム面に垂直な面でA層を切断したときの断面において、A層全体の面積100%に対して、海部分の面積が50%以上75%以下であり、島部分の面積が25%以上50%以下である」というには、A層の少なくとも一つが該要件を満たせばよい。
本発明の成型用フィルムは、成型転写箔としたときの加工性と成型加飾後の成型部材(以下、製品部材ということがある。)の意匠性を両立する観点から、平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下である無機粒子を含むことが重要である。ここで、平均粒径とはレーザー回折法により測定した平均粒径をいう。
本発明の成型用フィルムは、成型部材の意匠性とフィルムの巻き取り性(成型転写箔の加工性)を両立させる観点から、フィルム面の表面粗さ(SRa)が、両面とも0.01μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.05μm以上2.0μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上1.0μm以下であることがさらに好ましい。
次に、本発明の成型用フィルムを製造する方法について、ホモポリプロピレン、線状低密度ポリエチレンを含むものを例に挙げて具体的に説明するが、本発明の成型用フィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明の成型用フィルムは、意匠層形成時における成型用フィルムの寸法安定性と成型転写箔としたときの自己保持性に優れているため、成型転写箔用フィルムとして好適に用いることができる。そして、本発明の成型転写箔は、本発明の成型用フィルム、意匠層、及び接着層がこの順に位置することが重要である。
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
フィルムの表面粗さSRaは、光干渉型顕微鏡(菱化システム社製、“VertScan”(登録商標)2.0)を用いて、観察モード=Forcusモード、フィルタ=530nm white、ScanRange=105nmにて表面形態観察し、中心線平均表面粗さを求めた。測定は意匠層付与面と裏面についてそれぞれ3回行い、それぞれの平均値を意匠層付与面、裏面におけるフィルム面の表面粗さ(SRa)とした。
フィルムから切り出した試料の任意の5点における厚みをダイヤルゲージにより測定し、その平均値をフィルムの全体厚みとした。
フィルムを長手方向に平行かつフィルム面に垂直な面で切断し、その断面をライカマイクロシステムズ(株)製金属顕微鏡LeicaDMLMを用いて、倍率100倍で拡大した画像を撮影した。次いで、撮影した画像における島部分の輪郭を特定し、画像を二値化処理してフィルム断面全体の面積100%に占める島部分の面積比(%)を測定した。そして、フィルム断面全体の面積100%より島部分の面積比(%)を差し引いて、海部分の面積比(%)を算出した。測定は5回行い、その平均値をそれぞれ島部分の面積比(%)、海部分の面積比(%)とした。
フィルムロールサンプルの表面に、アプリケーターを用いて、アクリル樹脂(東洋ケミカル製 6500B)にカーボンブラックを分散して得られたブラックインキを塗工し、意匠層を形成した。さらに上記のフィルムロールサンプルを任意の位置で200mm×300mmの大きさに切り出してサンプルとした。サンプルの表面に、アプリケーターを用いてポリエステル系接着剤(東亞合成製 PPET−1501S)を塗工し、80℃で10分間乾燥させて塗膜厚み20μmの接着層を形成し、成型転写箔を得た。成型転写箔を、布施真空株式会社製の三次元真空加熱成型機(TOM成形機;型番NGF−0406−T(図2))で120℃に真空加熱し、50℃に加熱された成型部材を(ポリプロピレン製樹脂型;底面直径150mm)フィルムとの距離50mm)圧空0.2MPaの条件で真空圧空成型を行い、成型転写箔(フィルム/意匠層/接着層)/成型部材の構成体を得た。真空加熱工程中の成型転写箔のドローダウンの程度より、成型転写箔の自己保持性を以下の基準で評価した。なお、成型転写箔の自己保持性はB以上を合格とした。
A:真空加熱工程において成型転写箔のドローダウンが10mm未満であった。
B:真空加熱工程において成型転写箔が成型部材と接触はしないが、フィルムのドローダウンが10mm以上50mm未満であった。
C:真空加熱工程において成型転写箔のドローダウンが50mm以上であり、成型部材と接触した。
「(4)成型転写箔の自己保持性」に記載の方法を用いて、型に沿って成型できた状態(絞り比:成型高さ/底面直径)より、成型転写箔の成型性を以下の基準で評価した。なお、成型転写箔の成型性はC以上を合格とした。
A:絞り比1.0以上で成型できた。
B:絞り比0.8以上1.0未満で成型できたが、絞り比1.0以上では成型できなかった。
C:絞り比0.7以上0.8未満で成型できたが、絞り比0.8以上では成型できなかった。
D:絞り比0.7以上で成型できなかった。
意匠層を形成させていない成型用フィルムが巻かれたフィルムロールの任意の位置より、意匠層を形成しない面に100mm(長手方向)×100mm(幅方向)の大きさのマーキングを行った。次いで、上記のフィルムロールに巻かれた成型用フィルムに、アプリケーターを用いてアクリル樹脂(東洋ケミカル製6500B)にカーボンブラックを分散させて得られたブラックインキを塗工し、80℃で5分間乾燥させて塗膜厚み30μmの意匠層を形成した。こうして得られた意匠層を有する成型用フィルムより先にマーキングした箇所を切り出してサンプルとし、意匠層形成後における該サンプルの幅方向および長手方向の寸法をノギスで測定し、次の基準で意匠層形成時の加工性を評価した。なお、ここで幅方向とは、フィルム面に平行かつ長手方向と直交する方向をいう。また、意匠層形成時の加工性はC以上を合格とした。
A:フィルムの幅方向および長手方向における寸法変化が、いずれも1mm未満である。
B:フィルムの幅方向および長手方向の少なくとも一方に、1mm以上5mm未満の寸法変化があり、かつフィルムの幅方向および長手方向のいずれにも5mm以上の寸法変化がない。
C:フィルムの幅方向および長手方向の少なくとも一方に、5mm以上10mm未満の寸法変化があり、かつフィルムの幅方向および長手方向のいずれにも10mm以上の寸法変化がない。
D:フィルムの幅方向および長手方向の少なくとも一方に、10mm以上の寸法変化がある。
フィルムロールの表面に、ダイコーターによりアクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工し、80℃で10分間乾燥を行って塗膜厚み30μmの意匠層を形成させた。さらに意匠層の上に、アプリケーターを用いて、日本ケミカル製892Lを塗工した。次いで、80℃で10分間乾燥を行い、塗膜厚み20μmの接着層を形成し、成型転写箔ロールを作製した。得られた成型転写箔ロールから任意の位置で200mm(機械方向)×300mm(幅方向)の大きさに成型転写箔を切り出した。次いで、フィルム/意匠層/接着層/成型部材(平面状のポリプロピレン製樹脂型)の順になるように、成型転写箔と成型部材を重ねて真空圧空成型を行い、得られた成型体に照射強度が2,000mJ/cm2となるように紫外線を照射して塗剤を硬化させた。その後、フィルムのみを剥離して得られた製品部材の表面を走査型白色干渉顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 VS−1000)を用いて倍率5倍で観察し、次の基準でその表面外観(うねり:製品部材の最大点高さ−最小点高さ)を評価した。なお、製品部材の表面外観はC以上を合格とした。
A:うねりが0.01mm未満であった。
B:うねりが0.01mm以上0.05mm未満であった。
C:うねりが0.05mm以上0.1mm未満であった。
D:うねりが0.1mm以上であった。
アクリル/ウレタン系のブラックインキを塗工したフィルムロールサンプルをダイコーターの巻出しにセットし、搬送速度30m/分でフィルムを搬送し、巻き取り側で巻き取った。この際、フィルムの搬送状態を観察し、加工性を次の基準で評価した。なお、成型転写箔の加工性はC以上を合格とした。
A:フィルムに皺が入ることなく、ロールとして巻き取れた。
B:フィルムに皺が入ったが、ブロッキングなく、ロールとして巻き取れた。
C:フィルムに皺が入り、ブロッキングが確認されたものの、ロールとして巻き取れた。
D:フィルムがロールとして巻き取れなかった。
プライムポリマー社製“プライムポリプロ”(登録商標)J106
(ポリエチレン系樹脂)
プライムポリマー社製“エボリュー”(登録商標)SP2540
(無機粒子マスターバッチA)
炭酸カルシウム(マスターバッチ100質量%において30質量%)・ポリプロピレン系樹脂(マスターバッチ100質量%において70質量%)ベースのマスターバッチ
炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名“カルテックスR”)
(無機粒子マスターバッチB)
炭酸カルシウム(マスターバッチ100質量%において30質量%)・ポリエチレン系樹脂(マスターバッチ100質量%において70質量%)ベースのマスターバッチ
炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名“カルテックスR”)
(実施例1)
海部分を得るための樹脂組成物及び島部分を得るための樹脂組成物を表1に示す組成で混合し、それぞれ単軸押出機(スクリュー長/スクリュー径(L/D):30)に供給した。次いで、供給部温度230℃、それ以降の温度を240℃でこれらを溶融し、濾過精度50μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、Tダイ(リップ間隙:0.4mm)より、40℃に温度制御した金属製賦形ロール上にシート状に吐出させたその際、30℃に温度制御したマット調ゴム製賦形ロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、フィルム厚み100μmのフィルムを得た。得られたフィルムおよびそれを用いた成型転写箔、成型部材の評価結果を表1に示した。
海部分を得るための樹脂組成物及び島部分を得るための樹脂組成物の組成を表に1、2記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た(但し、比較例1、2においては島部分を得るための樹脂組成物はなし。)。得られたフィルムおよびそれを用いた成型転写箔、成型部材の評価結果を表1、2に示した。
海部分の面積比(%)及び海部分の面積比(%)は、フィルム全体を100%として算出した。
2 海成分
3 島成分
4 無機粒子
5 三次元真空加熱成型機
6 成型転写箔
7 成型部材
8 台座
9 加熱ヒーター
10 真空圧空チャンバー
11 ドローダウン
Claims (6)
- ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及び平均粒径が0.1μm以上5.0μm以下である無機粒子を含み、ポリエチレン系樹脂が島成分としてポリプロピレン系樹脂中に分散する海島構造、又はポリプロピレン系樹脂が島成分としてポリエチレン系樹脂中に分散する海島構造を有する層(A層)を有することを特徴とする、成型用フィルム。
- 前記A層において、島成分中よりも海成分中に無機粒子が多く分布することを特徴とする、請求項1に記載の成型用フィルム。
- 長手方向に平行かつフィルム面に垂直な面で前記A層を切断したときの断面において、前記A層全体の面積100%に対して、海部分の面積が50%以上75%以下であり、島部分の面積が25%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の成型用フィルム。
- フィルム面の表面粗さ(SRa)が、両面とも0.01μm以上5.0μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の成型用フィルム。
- 成型転写箔用フィルムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の成型用フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の成型用フィルム、意匠層、及び接着層がこの順に位置することを特徴とする、成型転写箔。
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