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JP2017122881A - 光硬化性接着剤、並びにそれを用いた偏光板及び積層光学部材 - Google Patents

光硬化性接着剤、並びにそれを用いた偏光板及び積層光学部材 Download PDF

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JP2017122881A JP2016002561A JP2016002561A JP2017122881A JP 2017122881 A JP2017122881 A JP 2017122881A JP 2016002561 A JP2016002561 A JP 2016002561A JP 2016002561 A JP2016002561 A JP 2016002561A JP 2017122881 A JP2017122881 A JP 2017122881A
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Abstract

【課題】低い粘度を有し、硬化後の接着剤層に気泡欠陥を生じさせずに偏光板を作製することができる光硬化性接着剤、並びにそれを用いた偏光板を提供する。【解決手段】ポリビニルアルコール系偏光子に熱可塑性樹脂フィルムを接着するための光硬化性接着剤であって、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、光カチオン重合開始剤(B)を1〜10重量部、及び分岐アルコール化合物(C)を0.1〜15重量部含有し、光カチオン硬化性成分(A)は、その全体量を基準に、式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物(A1)を30〜85重量%、及び、式(II)で表されるジグリシジル化合物(A2)を1〜70重量%含有する光硬化性接着剤、並びにそれを用いた偏光板が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系偏光子に熱可塑性樹脂フィルムを接着するための光硬化性接着剤、並びにそれを用いた偏光板及び積層光学部材に関する。
偏光板は、液晶表示装置を構成する光学部品の1つとして有用である。偏光板は通常、偏光子の両面に保護フィルムが積層された構造を有し、液晶表示装置に組み込まれる。偏光子の片面にのみ保護フィルムを設けることも知られているが、多くの場合、もう一方の面には、単なる保護フィルムではなく、別の光学機能を有するフィルムが保護フィルムを兼ねて接着される。偏光子の製造方法としては、二色性色素により染色された一軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸処理し、水洗後、乾燥する方法が広く採用されている。
通常、偏光子には、上述の水洗及び乾燥の後、直ちに保護フィルムが接着される。これは、乾燥後の偏光子は物理的強度が弱く、一旦これを巻き取ると、加工方向に裂けやすい等の問題があるためである。従って通常は、乾燥後の偏光子に直ちに、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液である水系接着剤が塗布され、この接着剤を介して偏光子の両面に同時に保護フィルムが接着される。通例、保護フィルムには、厚み30〜100μmのトリアセチルセルロースフィルムが使用されている。
トリアセチルセルロースは、透明性に優れ、各種の表面処理層や光学機能層をその表面に形成しやすく、また透湿度が高く、上記のような水系接着剤を用いて偏光子に接着した後の乾燥がスムーズに行えるといった、保護フィルムとして優れた利点を有する反面、透湿度が高いことに起因して、これを保護フィルムとする偏光板は、湿熱下、例えば温度70℃、相対湿度90%といった条件下では劣化を引き起こしやすいという問題があった。そこで、トリアセチルセルロースよりも透湿度の低い、例えばノルボルネン系樹脂を代表例とする非晶性ポリオレフィン系樹脂を保護フィルムとすることも知られている。
透湿度の低い樹脂からなる保護フィルムをポリビニルアルコール系偏光子に接着する場合、ポリビニルアルコール系偏光子とトリアセチルセルロースフィルムとの接着に従来用いられているポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を接着剤とすると、接着強度が十分でなかったり、得られる偏光板の外観が不良になったりする問題があった。これは、透湿度の低い樹脂フィルムは一般的に疎水性であることや、透湿度が低いために溶媒である水を十分に乾燥できないこと等の理由による。一方で、偏光子の両面に異なる種類の保護フィルムを接着することも知られている。例えば、偏光子の一方の面には非晶性ポリオレフィン系樹脂のような透湿度の低い樹脂からなる保護フィルムを接着し、偏光子の他方の面にはトリアセチルセルロースをはじめとするセルロース系樹脂のような透湿度の高い樹脂からなる保護フィルムを接着する提案もある。
そこで、透湿度の低い樹脂からなる保護フィルムとポリビニルアルコール系偏光子との間で高い接着力を与えるとともに、セルロース系樹脂のような透湿度の高い樹脂とポリビニルアルコール系偏光子との間でも高い接着力を与える接着剤として、光硬化性接着剤を用いる試みがある。例えば特開2004−245925号公報(特許文献1)には、芳香環を含まないエポキシ化合物を主成分とする接着剤が開示されており、活性エネルギー線の照射、具体的には紫外線の照射によるカチオン重合でこの接着剤を硬化させ、偏光子と保護フィルムとを接着することが提案されている。また特開2008−257199号公報(特許文献2)には、脂環式エポキシ化合物と脂環式エポキシ基を有しないエポキシ化合物とを組み合わせ、さらに光カチオン重合開始剤を配合した光硬化性接着剤を、偏光子と保護フィルムとの接着に用いる技術が開示されている。
また、特開2013−205719号公報(特許文献3)には、(A)光カチオン硬化性成分に対し、(B)光カチオン重合開始剤、並びに(C)分子内に2個の水酸基を有するジオール化合物を含有する光硬化性接着剤が提案されている。
特開2004−245925号公報 特開2008−257199号公報 特開2013−205719号公報
上記特許文献1〜3に具体的に開示される組成の接着剤は、粘度が必ずしも十分に低くならず、偏光子又はそこに貼合される熱可塑性樹脂フィルムに塗工し、薄膜で均一な接着剤層を形成することが必ずしも容易ではなかった。また、硬化後の接着剤層に気泡欠陥を生じることがあった。
本発明は、ポリビニルアルコール系偏光子に熱可塑性樹脂フィルムを接着するための光硬化性接着剤であって、室温での塗工が可能な程度に十分に低い粘度を有し、かつ硬化後の接着剤層に気泡欠陥を生じさせずに偏光板を作製することができる光硬化性接着剤の提供を目的とする。本発明の他の目的は、上記偏光板に他の光学層を積層してなる、液晶表示装置に好適に用いられる積層光学部材を提供することにある。
本発明は、以下に示す光硬化性接着剤、偏光板、及び積層光学部材を提供する。
[1] ポリビニルアルコール系偏光子に、熱可塑性樹脂フィルムを接着するための光硬化性接着剤であって、
光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、光カチオン重合開始剤(B)を1〜10重量部、及び分岐アルコール化合物(C)を0.1〜15重量部含有し、
前記光カチオン硬化性成分(A)は、その全体量を基準に、
下記式(I):
Figure 2017122881
(式中、R1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表すが、アルキル基が炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
Xは酸素原子、炭素数1〜6のアルカンジイル基又は下記式(Ia)〜(Id):
Figure 2017122881
のいずれかで表される2価の基を表し、ここでY1〜Y4は各々炭素数1〜20のアルカンジイル基を表すが、炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
a及びbは各々0〜20の整数を表す。)
で表される脂環式ジエポキシ化合物(A1)を30〜85重量%、並びに
下記式(II):
Figure 2017122881
(式中、Zは炭素数3〜8の分岐アルキレン基、又は式−Cm2m−Z1−Cn2n−で表される2価の基を表し、ここで−Z1−は、−O−、−CO−O−又は−O−CO−を表し、m及びnの一方は1以上、他方は2以上の整数を表すが、両者の合計は8以下であり、かつCm2m及びCn2nの一方は、分岐した2価の飽和炭化水素基を表す。)
で表されるジグリシジル化合物(A2)を1〜70重量%含有する、光硬化性接着剤。
[2] さらに、前記光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、下記式(IVa):
Figure 2017122881
(式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R5は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
で表されるアントラセン系化合物、及び下記式(IVb):
Figure 2017122881
(式中、R6及びR7は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
で表されるナフタレン系化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を0.1〜5重量部含有する、[1]に記載の光硬化性接着剤。
[3] 水分含有量が、前記光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、0重量部超4重量部以下である、[1]又は[2]に記載の光硬化性接着剤。
[4] 25℃における粘度が100mPa・s以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性接着剤。
[5] ポリビニルアルコール系偏光子と、
前記ポリビニルアルコール系偏光子の少なくとも一方の面に、[1]〜[4]のいずれかに記載の光硬化性接着剤の硬化物を介して積層された熱可塑性樹脂フィルムと、
を含む、偏光板。
[6] [5]に記載の偏光板と、1層以上の他の光学層との積層体からなる、積層光学部材。
[7] 前記他の光学層が位相差板を含む、[6]に記載の積層光学部材。
本発明によれば、粘度が低くて塗工適性に優れ、硬化後の接着剤層に気泡が生じにくい光硬化性接着剤を提供することができる。本発明の光硬化性接着剤によれば、ポリビニルアルコール系偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとを高い接着強度で接着することが可能である。本発明に係る偏光板、並びにこれを用いた積層光学部材は、耐久性に優れ、接着剤層における気泡欠陥が抑制されたものとなり得る。
<光硬化性接着剤>
本発明に係る光硬化性接着剤は、ポリビニルアルコール系偏光子に熱可塑性樹脂フィルムを接着するための接着剤であり、光カチオン硬化性成分(A)と、光カチオン重合開始剤(B)と、分岐アルコール化合物(C)とを含有する。
(1)光カチオン硬化性成分(A)
光硬化性接着剤の主成分であり、重合硬化により接着力を与える光カチオン硬化性成分(A)は、以下の2種類の化合物を含有する。
(A1)上記式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物、及び
(A2)上記式(II)で表されるジグリシジル化合物。
脂環式ジエポキシ化合物(A1)を表す上記式(I)において、R1及びR2は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であるが、アルキル基が炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよい。このアルキル基は、式(I)においてXに結合するシクロヘキサン環の位置を1−位として(したがって、2つのシクロヘキサン環におけるエポキシ基の位置はいずれも3,4−位となる)、1−位〜6−位のいずれの位置に結合することもできる。このアルキル基は、もちろん直鎖であってもよいし、炭素数3以上の場合は分岐していてもよい。また上述のとおり、炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよい。脂環構造を有するアルキル基の典型的な例としては、シクロペンチルやシクロヘキシルがある。
同じく式(I)において、2つの3,4−エポキシシクロヘキサン環をつなぐXは、酸素原子、炭素数1〜6のアルカンジイル基又は上記式(Ia)〜(Id)のいずれかで表される2価の基である。ここで、アルカンジイル基は、アルキレンやアルキリデンを含む概念であり、アルキレンは直鎖であってもよいし、炭素数3以上の場合は分岐していてもよい。式(Ia)中のa及び式(Id)中のbは各々0〜20の整数を表す。
Xが上記式(Ia)〜(Id)のいずれかで表される2価の基である場合、各式における連結基Y1、Y2、Y3及びY4は、各々炭素数1〜20のアルカンジイル基であり、このアルカンジイル基が炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよい。これらのアルカンジイル基ももちろん、直鎖であってもよいし、炭素数3以上の場合は分岐していてもよい。また上述のとおり、炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよい。脂環構造を有するアルカンジイル基の典型的な例としては、シクロペンチレンやシクロヘキシレンがある。
式(I)で表される脂環式ジエポキシ化合物(A1)について具体的に説明すると、式(I)におけるXが上記式(Ia)で表される2価の基であり、その式中のaが0である化合物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい。)と、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい。)とのエステル化物である。その具体例を挙げると、
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔式(I)(ただし、Xはa=0である式(Ia)で表される2価の基)において、R1=R2=Hの化合物〕、
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート〔上と同じXを有する式(I)において、R1=6−メチル、R2=6−メチルの化合物〕、
3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート〔上と同じXを有する式(I)において、R1=1−メチル、R2=1−メチルの化合物〕、
3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート〔上と同じXを有する式(I)において、R1=3−メチル、R2=3−メチルの化合物〕
等がある。
式(I)におけるXが式(Ib)で表される2価の基である化合物は、アルキレングリコール類と3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい。)とのエステル化物である。式(I)におけるXが式(Ic)で表される2価の基である化合物は、脂肪族ジカルボン酸類と3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい。)とのエステル化物である。また、式(I)におけるXが式(Id)で表される2価の基である化合物は、3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい。)のエーテル体(b=0の場合)、又は、アルキレングリコール類もしくはポリアルキレングリコール類と3,4−エポキシシクロヘキシルメタノール(そのシクロヘキサン環に炭素数1〜6のアルキル基が結合していてもよい。)とのエーテル化物(b>0の場合)である。
ジグリシジル化合物(A2)を表す上記式(II)において、Zは、炭素数3〜8の分岐アルキレン基、又は式−Cm2m−Z1−Cn2n−で表される2価の基である。ここで、−Z1−は、−O−、−C(=O)−O−又は−O−C(=O)−であり、m及びnの一方は1以上、他方は2以上の整数であるが、両者の合計は8以下であり、かつCm2m及びCn2nの一方は、分岐した2価の飽和炭化水素基である。Zが上述の分岐アルキレン基、又は上述の2価の基であることは、後述する、ポリビニルアルコール系偏光子に接着される熱可塑性樹脂フィルムを溶解する光硬化性接着剤の能力(以下、この能力を単に「溶解力」ともいう。)を小さくするうえで有利である。
式(II)において、Zが分岐アルキレン基である化合物は、分岐アルキレングリコールのジグリシジルエーテルである。その具体例を挙げると、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、2−メチル−1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノール等がある。
また、式(II)において、Zが上記の式−Cm2m−Z1−Cn2n−で表される2価の基である化合物は、Zが分岐アルキレン基であり、そのアルキレン基のC−C結合が、−O−、−CO−O−又は−O−CO−で中断されている場合に相当する。
光カチオン硬化性成分(A)における脂環式ジエポキシ化合物(A1)の含有量は、光カチオン硬化性成分(A)の全体量を基準に、30〜85重量%とする。その含有量は、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは60〜75重量%である。光カチオン硬化性成分(A)中の脂環式ジエポキシ化合物(A1)の含有量が少なすぎると、硬化物の弾性率が低下し、冷熱サイクル試験で、偏光子が割れる頻度が高くなる。一方で、その含有量が多すぎると、以下に述べるジグリシジル化合物(A2)の量が相対的に少なくなって光硬化性接着剤の低粘度化が難しくなる。
光カチオン硬化性成分(A)における連結基に分岐構造を有するジグリシジル化合物(A2)の含有量は、1〜70重量%とする。その含有量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%である。光カチオン硬化性成分(A)中のジグリシジル化合物(A2)の含有量が70重量%より多くなると、硬化が不十分となり、偏光子/熱可塑性樹脂フィルム間の接着力が低下する。また、ジグリシジル化合物(A2)の含有量が1重量%より少ないと、光硬化性接着剤の低粘度化が難しくなる。
光硬化性接着剤を構成する光カチオン硬化性成分(A)は、以上説明した脂環式ジエポキシ化合物(A1)、及び連結基に分岐構造を有するジグリシジル化合物(A2)を、それぞれ上で説明した割合で含有する。硬化前の光硬化性接着剤の低粘度化、及びその硬化物による偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間の密着力向上をより一層効果的に図るうえで、光カチオン硬化性成分(A)の全体量を基準に、ジグリシジル化合物(A2)の含有量を25重量%以上にすることが好ましい。
光カチオン硬化性成分(A)は、脂環式ジエポキシ化合物(A1)、及び連結基に分岐構造を有するジグリシジル化合物(A2)が上で説明した量となる範囲において、他のカチオン重合性化合物を含んでいてもよい。
(2)光カチオン重合開始剤(B)
光硬化性接着剤は、光カチオン重合開始剤(B)を含有する。これにより、光カチオン硬化性成分(A)を活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化させて接着剤層を形成することができる。光カチオン重合開始剤(B)は、可視光線、紫外線、X線、電子線のような活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、光カチオン硬化性成分(A)の重合反応を開始させるものである。光カチオン重合開始剤(B)は光で触媒的に作用するため、光カチオン硬化性成分(A)に混合しても保存安定性や作業性に優れる。光カチオン重合開始剤(B)として使用し得る活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ジアゾニウム塩;芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩;鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレート
が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、
ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート
が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、例えば、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、
4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、
7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、
4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
が挙げられる。
鉄−アレーン錯体としては、例えば、
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロアンチモネート、
クメン−シクロペンタジエニル鉄(II) ヘキサフルオロホスフェート、
キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II) トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド
が挙げられる。
光カチオン重合開始剤(B)は、1種のみを単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。上記の中でも特に芳香族スルホニウム塩は、300nm付近の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する接着剤層を与えることができるため、好ましく用いられる。
光カチオン重合開始剤(B)の含有量は、光カチオン硬化性成分(A)全体100重量部に対して1〜10重量部とされ、好ましくは2〜6重量部である。光カチオン重合開始剤(B)を1重量部以上含有させることにより、光カチオン硬化性成分(A)を十分に硬化させることができ、得られる偏光板に高い機械強度と接着強度を与えることができる。一方、その含有量が多くなると、硬化物中のイオン性物質が増加することで硬化物の吸湿性が高くなり、偏光板の耐久性能を低下させる可能性があるため、光カチオン重合開始剤(B)の含有量は、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して10重量部以下とする。
(3)分岐アルコール化合物(C)
光硬化性接着剤は、光カチオン硬化性成分(A)及び光カチオン重合開始剤(B)に加えて、分岐アルコール化合物(C)を含有する。これらの成分を含有する本発明の光硬化性接着剤は、室温において低い粘度を示して良好な塗工適性を有しており、硬化後の接着剤層に発生し得る気泡欠陥を抑制しながらポリビニルアルコール系偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとを強固に接着させることができる。本発明者らの検討により、接着剤層に生じる気泡欠陥は、光硬化性接着剤が熱可塑性樹脂フィルムを溶解する能力(溶解力)と関係していることが明らかとなっている。
光硬化性接着剤に分岐アルコール化合物(C)を含有させることは、ポリビニルアルコール系偏光子に接着される熱可塑性樹脂フィルムを溶解する能力(溶解力)を上昇させないうえでも有利である。直鎖アルコールを添加した光硬化性接着剤では、光硬化性接着剤の溶解力が高いと、硬化後の接着剤層に気泡欠陥が生じやすいことが本発明者らの検討により明らかになっている。これは、光硬化性接着剤にフィルムが溶け込むことで、粘度が上昇したことが原因と推測している。分岐アルコール化合物(C)を含有する本発明の光硬化性接着剤によれば、光硬化性接着剤の溶解力への寄与がごく小さいため、添加前後での気泡発生の頻度に変化がない。これに対し、分岐アルコール化合物(C)の代わりに直鎖状のアルコール化合物を用いた場合には、気泡欠陥が多く発生する。
分岐アルコール化合物(C)とは、下記式(III):
Figure 2017122881
で表される化合物をいう。R8は、分岐構造を有するn価の炭化水素基を表す。nは1以上の整数であり、分岐アルコール化合物(C)が有する1分子あたりの水酸基の数を表し、上記炭化水素基の価数と同じ数である。「炭化水素基が分岐構造を有する」とは、上記式(III)に表される水酸基の少なくとも1つを含むように、かつ炭素数が最も多くなるように分岐アルコール化合物(C)の主鎖を設定したとき、R8で表される炭化水素基において、上記主鎖から枝分かれする炭素原子を含む側鎖を1又は2以上有することをいう。
8で表される分岐構造を有する炭化水素基は、例えば、炭素原子数が3以上の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であることができ、好ましくは飽和炭化水素基、より好ましくは脂肪族飽和炭化水素基、さらに好ましくはアルキレン基である。上記炭化水素基は、O原子、S原子、P原子、ハロゲン原子等のようなC原子及びH原子以外の原子(ヘテロ原子)を含んでいてもよい。例えば、上記炭化水素基は、アルキレン基である場合のようにメチレン基(−CH2−)を1個又は2個以上含む場合、当該メチレン基の1個以上は、2価の連結基、例えば−O−、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−で置換されていてもよい。メチレン基を置換する2価の連結基は、好ましくは−O−である。
分岐アルコール化合物(C)の具体例を挙げると、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、2−ブチルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルヘキシルアルコール、2−ノニルトリデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、2−ヘプチルウンデカノール、2−エチルヘキサノール、2−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソヘキシルアルコール、イソヘプチルアルコール、イソオクチルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコール、イソウンデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソミリスチルアルコール、イソペンタデシルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソイコシルアルコール等の単官能アルコール;1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,1’−[1−メチル−1,2−エタンジイルビス(オキシ)]ビス(2−プロパノール)(トリプロピレングリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール等の多官能アルコール(分子内に水酸基を2以上有する化合物)が挙げられる。分岐アルコール化合物(C)として市販品を用いることもできる。
光硬化性接着剤の溶解力を上昇させない観点、並びに、低粘度化、硬化促進及び接着強度の観点から、分岐アルコール化合物(C)の分子量は、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、200以下であることがさらに好ましい。このため、上記炭化水素基の炭素数は20以下であることが好ましい。分岐アルコール化合物(C)の分子量は、通常60以上であり、好ましくは80以上であり、より好ましくは100以上である。
分岐アルコール化合物(C)は、単官能アルコールであってもよいが、硬化促進及び接着強度の観点から多官能アルコール(分子内に水酸基を2以上有する化合物)であることが好ましく、すなわち、上記式(III)におけるnは2以上であることが好ましい。nは、通常12以下であり、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。nは、さらに好ましくは2〜6の整数である。
分岐アルコール化合物(C)は、好ましくは分子量60〜400の多官能アルコールであり、より好ましくは分子量80〜300の多官能アルコールであり、さらに好ましくは分子量100〜200の多官能アルコールである。分岐アルコール化合物(C)の好適な例は、入手容易性及び安全性の観点、光硬化性接着剤の溶解力を上昇させない観点、並びに低粘度化、硬化促進及び接着強度の観点から、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の分岐アルキレングリコール化合物である。分岐アルキレングリコール化合物は、モノアルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール等であってよい。グリコールとは、2つの水酸基が異なる炭素原子に結合しているジオール(2官能アルコール)を意味する。なお、上記ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールはそれぞれ下記式a、bで表される化合物である。
Figure 2017122881
分岐アルコール化合物(C)の含有量は、光カチオン硬化性成分(A)全体100重量部に対して0.1〜15重量部とされ、好ましくは0.5〜12重量部であり、より好ましくは0.8〜8重量部である。分岐アルコール化合物(C)を0.1重量部以上含有させることにより、低粘度化、硬化促進及び接着強度の効果を有意に得ることが可能となる。一方、その含有量が15重量部を超えると、光カチオン硬化性成分(A)の硬化が不十分になる傾向にある。
(4)光硬化性接着剤に配合し得るその他の成分
光硬化性接着剤は、一般の光硬化性樹脂又は接着剤に配合することが知られているその他の成分を含有することもできる。他の成分の好適な例として、光増感剤及び光増感助剤を挙げることができる。光増感剤は、光カチオン重合開始剤(B)が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、光カチオン重合開始剤(B)による重合開始反応を促進させる化合物である。また光増感助剤は、光増感剤の作用を一層促進させる化合物である。熱可塑性樹脂フィルムの種類によっては、このような光増感剤、さらには光増感助剤を配合することが好ましいことがある。
光増感剤及び光増感助剤としては、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物等が挙げられる。アントラセン系化合物としては、例えば、下式(IVa)で表されるものが挙げられる。
Figure 2017122881
式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R5は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。上記式(IVa)で表されるアントラセン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
9,10−ジメトキシアントラセン、
9,10−ジエトキシアントラセン、
9,10−ジプロポキシアントラセン、
9,10−ジイソプロポキシアントラセン、
9,10−ジブトキシアントラセン、
9,10−ジペンチルオキシアントラセン、
9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、
9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、
9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、
9,10−ビス(2−ブトキシエトキシ)アントラセン、
9,10−ビス(3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジイソプロポキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジペンチルオキシアントラセン、
2−メチル−又は2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン等。
ナフタレン系化合物としては、例えば、下式(IVb)で表されるものが挙げられる。
Figure 2017122881
式中、R6及びR7は、各々独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。上記式(IVb)で表されるナフタレン系化合物の具体例を挙げると、次のような化合物がある。
4−メトキシ−1−ナフトール、
4−エトキシ−1−ナフトール、
4−プロポキシ−1−ナフトール、
4−ブトキシ−1−ナフトール、
4−ヘキシルオキシ−1−ナフトール、
1,4−ジメトキシナフタレン、
1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、
1,4−ジエトキシナフタレン、
1,4−ジプロポキシナフタレン、
1,4−ジブトキシナフタレン等。
光硬化性接着剤に上記のような光増感剤、光増感助剤を配合することにより、それを配合しない場合に比べ、接着剤の硬化性を向上させることができる。光カチオン硬化性成分(A)の100重量部に対して光増感剤、光増感助剤を0.1重量部以上配合することにより、このような効果を発現させることができる。
上記アントラセン系化合物の含有量は、偏光板のニュートラルグレーを維持する観点、及び低温保管時に析出する等の問題を抑制する観点から、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して0.1〜0.3重量部とすることが好ましい。また、ナフタレン系化合物の含有量は、低温保管時に析出する等の問題を抑制する観点から、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して5重量部以下とすることが好ましく、3重量部以下とすることがより好ましい。
光硬化性接着剤には、本発明の効果を損なわない限り、光増感剤及び光増感助剤以外のその他の添加剤成分を含有させることができる。その他の添加剤成分としては、熱カチオン重合開始剤、分岐アルコール化合物(C)以外のアルコール化合物(分岐アルコール化合物以外のポリオール類等)、イオントラップ剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、色素、有機溶剤等を挙げることができる。
添加剤成分を含有させる場合、その含有量は、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して1000重量部以下であることが好ましい。含有量が1000重量部以下である場合、必須成分である光カチオン硬化性成分(A)、光カチオン重合開始剤(B)及び分岐アルコール化合物(C)の組み合わせによる、硬化後の接着剤層における熱可塑性樹脂フィルムの溶解に起因する気泡欠陥の抑制、光硬化性接着剤の低粘度化及びこれに伴う良好な塗工性、並びにポリビニルアルコール系偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間の優れた接着強度という効果を良好に発揮することができる。
(5)光硬化性接着剤の水分含有量
光硬化性接着剤は、水分を含有してもよい。水分の含有量は、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、通常4重量部以下であり、好ましくは3重量部以下、より好ましくは3重量部未満である。0重量部を超える若干量の水分を含有することによりポリビニルアルコール系偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間の接着強度が向上することがある。水分の含有量は、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、通常0.01重量部以上であり、好ましくは0.03重量部以上であり、より好ましくは0.04重量部以上である。ただし、水分含有量があまりに多いと、光硬化性接着剤と水との分離が起こり、光硬化性接着剤を偏光子や熱可塑性樹脂フィルムの表面に均一に塗工することができなくなったり、光硬化性接着剤の硬化性が悪くなったりすることがある。光硬化性接着剤に意図的に水分を添加してもよく、この場合、特に限定されないが、蒸留水及び純水等の精製水を用いることができる。水分は、原料に由来する水分、製造工程で混入する水分等であってもよい。光硬化性接着剤の水分含有量は、カールフィッシャー容量法により測定される。
(6)光硬化性接着剤の物性
本発明に係る光硬化性接着剤は、上記所定の光カチオン硬化性成分(A)及び分岐アルコール化合物(C)を所定量含有していることにより低粘度性を有することができ、これにより、ポリビニルアルコール系偏光子に熱可塑性樹脂フィルムをこの光硬化性接着剤を用いて貼合するにあたって、優れた塗工適性を示すことができる。本発明に係る光硬化性接着剤は、具体的には、25℃において2〜300mPa・sの範囲の粘度を示すことができる。ここでいう粘度は、溶剤を実質的に含まない状態での粘度である。粘度が2mPa・sより小さいと、貼合後の搬送中に偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとが剥がれることがあり、粘度が300mPa・sを超えると偏光子と熱可塑性樹脂フィルムと接着剤を介して貼合する際、特に接着剤層が薄いときに、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間、すなわち接着剤層に気泡が混入しやすくなる。上記粘度は、好ましくは5〜200mPa・sであり、より好ましくは10〜150mPa・sであり、さらに好ましくは100mPa・s以下であり、特に好ましくは80mPa・s以下である。光硬化性接着剤の粘度は、E型粘度計を用いて測定される。
本発明に係る光硬化性接着剤は、ポリビニルアルコール系偏光子に熱可塑性樹脂フィルムを貼合して偏光板を製造するために用いることができる。この際、接着剤が熱可塑性樹脂フィルムを溶解すると、上述のとおり、その溶解が原因となって偏光板の接着剤層に気泡欠陥を生じることがある。本発明に係る光硬化性接着剤は、上で説明した特定の2種類の化合物を所定割合で含有する光カチオン硬化性成分(A)及び分岐アルコール化合物(C)が配合されていることにより、安全性が高く、また、熱可塑性樹脂フィルムを溶解する能力(溶解力)が小さいものとなり得る。光カチオン硬化性成分(A)の1つであるジグリシジル化合物(A2)として、連結基Zが分岐構造を有するもの、典型的には連結基Zが分岐アルキレン基である化合物を採用することは、安全性を高くし、また、溶解力の上昇を抑えるうえで有利である。安全性をより高くし、溶解力の上昇を抑えるために、連結基Zが分岐構造を有するもの、典型的には連結基Zが分岐アルキレン基であるジグリシジル化合物(A2)を採用するとともに、分岐アルコール化合物(C)として分岐した多官能アルコール(とりわけ分岐アルキレングリコール化合物)を採用することが好ましい。本発明に係る光硬化性接着剤は、ポリビニルアルコール系偏光子に接着される熱可塑性樹脂フィルムを23℃において2日間浸漬したとき、当該熱可塑性樹脂フィルムの重量減少が0〜30重量%、さらには25重量%以下であることができる。本発明に係る光硬化性接着剤は、例えば、延伸されたアセチルセルロース系樹脂フィルムに対して、小さい溶解力を有することができる。延伸されたアセチルセルロース系樹脂フィルムとしては、例えば、波長590nmにおける面内位相差値が10nm以上である、さらには50nm以上であるアセチルセルロース系樹脂フィルムが挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムを光硬化性接着剤に浸漬したときの重量減少は、以下のようにして求められる。すなわち、まず、熱可塑性樹脂フィルムを適当な大きさに裁断し、その重量を求める。次に、この裁断された熱可塑性樹脂フィルムを、液体状態で調製され、温度が23℃に保たれた光硬化性接着剤に浸漬して2日間放置した後に取り出し、表面に付着した接着剤を拭き取った後、その重量を求める。そして、以下の式:
重量減少(%)={(浸漬前のフィルム重量−浸漬後のフィルム重量)/浸漬前のフィルム重量}×100
から、浸漬後の重量減少を求める。
<偏光板>
本発明に係る偏光板は、ポリビニルアルコール系偏光子と、その少なくとも一方の面に、上記光硬化性接着剤の硬化物である接着剤層を介して貼合される熱可塑性樹脂フィルムとを含むものである。当該偏光板は、本発明に係る光硬化性接着剤を用いているので、硬化した接着剤層において熱可塑性樹脂フィルムの溶解に起因する気泡の混入(気泡欠陥)が抑制されている。
また本発明に係る偏光板において硬化した接着剤層は、高い引張弾性率を有することができる。これにより、本発明に係る偏光板は、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間の接着強度が良好であり得る。本発明に係る偏光板において上記接着剤層の引張弾性率は、80℃において、例えば1000MPa以上、さらには1500Mpa以上であることができる。本発明に係る偏光板において偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間の剥離強さは、0.5N/25mm以上であることができ、さらには0.7N/25mm以上、なおさらには1.0N/25mm以上であることもできる。接着剤層の80℃における引張弾性率、及び偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間の剥離強さは、後述する実施例の項の記載に従って測定される。
(1)ポリビニルアルコール系偏光子
ポリビニルアルコール系偏光子は、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムで構成される。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体等が例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。ポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も使用し得る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000〜10000、好ましくは1500〜5000の範囲である。
偏光子は、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程を経て、製造される。
一軸延伸は、二色性色素による染色の前に行ってもよいし、二色性色素による染色と同時に行ってもよいし、二色性色素による染色の後に行ってもよい。一軸延伸を二色性色素による染色後に行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸の方法は特に制限されず、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤により膨潤した状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することにより、二色性色素を吸着させることができる。二色性色素としてはヨウ素又は二色性有機染料が用いられる。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜0.5重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜10重量部程度である。この水溶液の温度は、通常20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常30〜300秒程度である。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は通常、水100重量部あたり1×10-3〜1×10-2重量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を含有していてもよい。この水溶液の温度は、通常20〜80℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常30〜300秒程度である。
染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は通常、水100重量部あたり2〜15重量部程度、好ましくは5〜12重量部程度である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸水溶液におけるヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり2〜20重量部程度、好ましくは5〜15重量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常100〜1200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。ホウ酸水溶液の温度は、通常50℃以上、好ましくは50〜85℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度であり、浸漬時間は、通常2〜120秒程度である。その後に行われる乾燥処理は通常、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥温度は、通常40〜100℃である。また、乾燥処理の時間は、通常120〜600秒程度である。ポリビニルアルコール系偏光子の厚みは、5〜50μm程度であることができる。
(2)熱可塑性樹脂フィルム
熱可塑性樹脂フィルムは、従来から偏光子用の保護フィルムとして最も広く用いられているトリアセチルセルロースをはじめとするアセチルセルロース系樹脂フィルムや、トリアセチルセルロースよりも透湿度の低い透明樹脂フィルムで構成することができる。トリアセチルセルロースの透湿度は、概ね400g/m2/24hr程度である。熱可塑性樹脂フィルムの透湿度は、JIS Z 0208に規定されるカップ法により、40℃の温度及び90%の相対湿度で測定される。
熱可塑性樹脂フィルムは、延伸されていないフィルム、又は、一軸若しくは二軸延伸されたフィルムのいずれであってもよい。熱可塑性樹脂フィルムは、例えば偏光子用の保護フィルムであることができるほか、位相差フィルム等の光学補償フィルムであってもよい。
一つの好ましい実施形態において、偏光子の少なくとも一方の面に貼合される熱可塑性樹脂フィルムは、アセチルセルロース系樹脂で構成される。このアセチルセルロース系樹脂フィルムは、紫外線吸収剤を含有していてもよい。他の好ましい実施形態において、偏光子の少なくとも一方の面に貼合される熱可塑性樹脂フィルムは、トリアセチルセルロースより透湿度の低い熱可塑性樹脂樹脂フィルム、例えば、透湿度が300g/m2/24hr以下の熱可塑性樹脂樹脂フィルムで構成される。このような透湿度の低い熱可塑性樹脂樹脂フィルムを構成する樹脂として、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、鎖状ポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、鎖状ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。さらに他の好ましい実施形態においては、偏光子の一方の面に本発明に係る光硬化性接着剤の硬化物である接着剤層を介して、アセチルセルロース系樹脂からなる第1熱可塑性樹脂フィルムが貼合され、偏光子の他方の面に同じく本発明に係る光硬化性接着剤の硬化物である接着剤層を介して、上記のような透湿度のより低い透明樹脂からなる第2熱可塑性樹脂フィルムが貼合される。
アセチルセルロース系樹脂は、セルロースにおける水酸基の少なくとも一部が酢酸エステル化されている樹脂であり、一部が酢酸エステル化され、一部が他の酸でエステル化されている混合エステルであってもよい。アセチルセルロース系樹脂の具体例として、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等を挙げることができる。
非晶性ポリオレフィン系樹脂は、ノルボルネンやテトラシクロドデセン(別名ジメタノオクタヒドロナフタレン)、あるいはそれらに置換基が結合した化合物のような、環状オレフィンの重合単位を有する重合体であり、環状オレフィンに鎖状オレフィン及び/又は芳香族ビニル化合物を共重合させた共重合体であってもよい。環状オレフィンの単独重合体、あるいは2種以上の環状オレフィンの共重合体の場合は、開環重合によって二重結合が残るので、そこに水素添加されたものが、非晶性ポリオレフィン系樹脂として一般的に用いられる。中でも、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が代表的である。
ポリエステル系樹脂は、二塩基酸と二価アルコールとの縮合重合によって得られる重合体であり、ポリエチレンテレフタレートが代表的である。(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル酸メチルを主な単量体とする重合体であり、メタクリル酸メチルの単独重合体のほか、メタクリル酸メチルと、これ以外のモノマー(アクリル酸メチルのようなアクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系モノマーや、芳香族ビニル化合物等)との共重合体であってもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。
ポリカーボネート系樹脂は、主鎖にカーボネート結合(−O−CO−O−)を有する重合体であり、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合重合によって得られるものが代表的である。鎖状ポリオレフィン系樹脂は、エチレンやプロピレンの如き鎖状オレフィンを主な単量体とする重合体であり、単独重合体や共重合体であることができる。中でも、プロピレンの単独重合体や、プロピレンに少量のエチレンが共重合されている共重合体が代表的である。
熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて公知の添加剤を含有していてもよい。公知の添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤、界面活性剤等を挙げることができる。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等がある。ただし、偏光子に積層される熱可塑性樹脂フィルムとして透明性が必要とされるため、これら添加剤の量は最小限にとどめておくことが好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムとして、光学補償機能が付与されたフィルムを用いることもできる。アセチルセルロース系樹脂フィルムを用いることもできる。かかる光学補償フィルムとして例えば、アセチルセルロース系樹脂に位相差調整機能を有する化合物を含有させた位相差フィルム、アセチルセルロース系樹脂の表面に位相差調整機能を有する化合物が塗布された位相差フィルム、アセチルセルロース系樹脂を一軸又は二軸に延伸して得られる位相差フィルム等が挙げられる。光学補償フィルムとして他の熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、通常5〜200μm程度の範囲であり、好ましくは10〜120μm、さらに好ましくは10〜100μmである。熱可塑性樹脂フィルムは、偏光子への接着面とは反対側の表面に、ハードコート層、反射防止層、防眩層、帯電防止層、光拡散層等の各種表面処理層(コーティング層)を有していてもよい。
(3)偏光板の製造
上述の光硬化性接着剤を用いて、偏光子の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂フィルムを接着することにより偏光板が得られる。具体的には、上述の光硬化性接着剤の塗布層を偏光子及び/又は熱可塑性樹脂フィルムの接着面に形成し、その塗布層を介して偏光子と熱可塑性樹脂フィルムを貼合した後、未硬化の光硬化性接着剤の塗布層を、活性エネルギー線の照射により硬化させ、熱可塑性樹脂フィルムを偏光子上に固着させる。光硬化性接着剤の塗布層の形成には、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の塗工方式が利用できる。また、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムを両者の接着面が内側となるように連続的に供給しながら、その間に接着剤を流延させる方式を採用することもできる。
光硬化性接着剤の塗工方式に応じて、溶剤を用いて光硬化性接着剤の粘度調整を行ってもよい。溶剤には、偏光子の光学性能を低下させることなく、光硬化性接着剤を良好に溶解するものが用いられるが、その種類に特別な限定はない。例えば、トルエンに代表される炭化水素類、酢酸エチルに代表されるエステル類等の有機溶剤が使用できる。ただし、溶剤を含有させた場合、活性エネルギー線の照射する前に、溶剤を除去する乾燥工程を設ける必要が生じるため、できるだけ溶剤を使用しないことが好ましい。
硬化後の接着剤層の厚みは、偏光板の特性設計により、任意に設定できるが、接着剤材料費低減の観点からは小さい方が好ましい。一般的には、0.01〜20μm、好ましくは、0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。接着剤層の厚みを小さくすると接着剤層への気泡混入や、密着性及び耐久性の低下が生じやすくなるが、本発明の光硬化性接着剤によれば、これを効果的に抑制することができる。接着剤層が過度に厚くなると、接着剤の反応率が低下し、偏光板の耐湿熱性が悪化する傾向にある。
偏光子の片面にのみ熱可塑性樹脂フィルムを接着する場合は、例えば、偏光子の他面に、液晶セル等の他の光学部材に接着するための粘着剤層を直接設ける等の形態をとることもできる。一方、偏光子の両面に熱可塑性樹脂フィルムを接着する場合、これらの熱可塑性樹脂フィルムは同種の樹脂からなっていてもよいし、異種の樹脂からなっていてもよい。偏光子の一方の面に接着される熱可塑性樹脂フィルムは、上述した本発明に係る光硬化性接着剤を用いて接着されるが、偏光子の他方の面に接着される熱可塑性樹脂フィルムは、本発明に係る光硬化性接着剤を用いて接着されてもよいし、他の接着剤を用いて接着されてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムの偏光子への接着に先立って、熱可塑性樹脂フィルム及び/又は偏光子の接着面に、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理、プライマ処理、アンカーコーティング処理、火炎処理等の易接着処理が施されてもよい。
光硬化性接着剤の塗布層に活性エネルギー線を照射するために用いる光源は、紫外線、電子線、X線等を発生できるものであればよい。特に波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好適に用いられる。
光硬化性接着剤への活性エネルギー線照射強度は特に制限されないが、光カチオン重合開始剤(B)の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜3000mW/cm2であることが好ましい。0.1mW/cm2未満であると、反応時間が長くなりすぎ、3000mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱及び光硬化性接着剤の重合時の発熱により、光硬化性接着剤の黄変や偏光子の劣化を生じる可能性がある。
光硬化性接着剤への光照射時間も特に制限されないが、照射強度と照射時間の積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。10mJ/cm2未満であると、光カチオン重合開始剤(B)由来の活性種の発生が十分でなく、得られる接着剤層の硬化が不十分となる可能性があり、一方でその積算光量が5000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上には不利なものとなる。
偏光子の両面に熱可塑性樹脂フィルムを接着する場合、活性エネルギー線の照射はどちらの熱可塑性樹脂フィルム側から行ってもよいが、例えば、一方の熱可塑性樹脂フィルムが紫外線吸収剤を含有し、他方の熱可塑性樹脂フィルムが紫外線吸収剤を含有しない場合には、紫外線吸収剤を含有しない熱可塑性樹脂フィルム側から活性エネルギー線を照射するのが、照射される活性エネルギー線を有効に利用し、硬化速度を高めるうえで好ましい。
光硬化性接着剤を硬化させて得られる偏光板は、後述する実施例の項の記載に従って測定される偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間の剥離強さが0.5N/25mm以上であることが好ましく、0.7N/25mm以上であることがより好ましい。剥離強さが0.5N/25mm未満であると、偏光板を裁断したときに偏光子と接着剤層との間で剥がれを生じることがある。
<積層光学部材及び液晶表示装置>
本発明の偏光板は、偏光板以外の光学機能を有する光学層を積層して積層光学部材とすることができる。典型的には、偏光板の熱可塑性樹脂フィルム上に接着剤や粘着剤を介して光学層を積層貼着することにより積層光学部材とされるが、その他、例えば、偏光子の一方の面に本発明に係る光硬化性接着剤を介して熱可塑性樹脂フィルムを接着し、偏光子の他方の面に接着剤や粘着剤を介して光学層を積層貼着することもできる。後者の場合、偏光子と光学層を貼着するための接着剤として、本発明に係る光硬化性接着剤を用いれば、その光学層は、同時に熱可塑性樹脂フィルムともなり得る。偏光板に2以上の光学層が積層されてもよい。
偏光板に積層される光学層としては、液晶セルの背面側に配置される偏光板に対して、その偏光板における液晶セルとは反対側に積層される、反射層、半透過反射層、光拡散層、集光板、輝度向上フィルム等が挙げられる。また、液晶セルの前面側に配置される偏光板及び/又は液晶セルの背面側に配置される偏光板に対して、その偏光板における液晶セル側に積層される位相差板(位相差フィルム)等が挙げられる。
反射層、半透過反射層、光拡散層はそれぞれ、反射型偏光板、半透過反射型偏光板、拡散型偏光板である積層光学部材とするために設けられる。反射型偏光板は、視認側からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置に用いられ、バックライト等の光源を省略できるため、液晶表示装置を薄型化しやすい。また半透過型偏光板は、明所では反射型として、暗所ではバックライトからの光で表示するタイプの液晶表示装置に用いられる。反射型偏光板は、例えば、偏光子上の熱可塑性樹脂フィルムにアルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成することにより作製できる。半透過型偏光板は、上記の反射層をハーフミラーとしたり、パール顔料等を含有させて光透過性を示す反射板を偏光板に接着したりすることで作製できる。一方、拡散型偏光板は、例えば、偏光板上の熱可塑性樹脂フィルムにマット処理を施す方法、微粒子含有の樹脂を塗布する方法、微粒子含有のフィルムを接着する方法等、種々の方法を用いて表面に微細凹凸構造を形成することによって作製できる。
さらに、積層光学部材は、反射拡散両用の偏光板であることもできる。反射拡散両用の偏光板は、例えば、拡散型偏光板の微細凹凸構造面にその凹凸構造を反映した反射層を設けることにより作製できる。微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラツキを防止し、明暗のムラを抑制し得る等の利点を有する。また、微粒子を含有した樹脂層やフィルムは、入射光及びその反射光を拡散させるため、明暗ムラを抑制し得る等の利点も有する。表面微細凹凸構造を反映させた反射層は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングのような蒸着やメッキ等の方法により、金属を微細凹凸構造の表面に直接付設することで形成できる。表面微細凹凸構造を形成するために配合する微粒子は、例えば、平均粒径が0.1〜30μmであるシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンのような無機系微粒子、架橋又は非架橋のポリマーのような有機系微粒子等であることができる。
集光板は、光路制御等を目的に用いられるもので、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、あるいはドット付設シート等として形成することができる。
輝度向上フィルムは、液晶表示装置における輝度の向上を目的に用いられるもので、その具体例は、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持した円偏光分離シートを含む。
位相差板(位相差フィルム)は、液晶セルによる位相差の補償等を目的として使用される。その具体例は、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶層が形成されたものを含む。フィルム基材上に液晶層を形成する場合、フィルム基材として、トリアセチルセルロースのようなアセチルセルロース系樹脂フィルムが好ましく用いられる。
複屈折性フィルムを形成するプラスチックとしては、例えば、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレンのような鎖状ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリアミド等が挙げられる。延伸フィルムは、一軸や二軸等の適宜な方式で処理したものであることができる。位相差板は、広帯域化等、光学特性の制御を目的として、2枚以上を組み合わせて使用してもよい。
液晶表示装置に適用したときに有効に光学補償を行えることから、積層光学部材としては、偏光板以外の光学層として位相差板(位相差フィルム)を含むものが好ましく用いられる。位相差板の位相差値(面内及び厚み方向)は、適用される液晶セルに応じて調整される。
積層光学部材は、偏光板と、上述した各種の光学層から使用目的に応じて選択される1層又は2層以上とを組み合わせ、2層又は3層以上の積層体とすることができる。その場合、積層光学部材を形成する各種光学層は、接着剤や粘着剤(感圧接着剤とも呼ばれる)を用いて偏光板と一体化されるが、そのために用いる接着剤や粘着剤は、接着剤層や粘着剤層が良好に形成されるものであれば特に限定はない。接着作業の簡便性や光学歪の発生防止等の観点から、粘着剤を使用することが好ましい。粘着剤には、(メタ)アクリル系重合体や、シリコーン系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等をベースポリマーとするものを用いることができる。中でも、(メタ)アクリル系粘着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度な濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性等を有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。(メタ)アクリル系粘着剤においては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の官能基含有(メタ)アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合した、重量平均分子量が10万以上の(メタ)アクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
偏光板への粘着剤層の形成は、例えば、トルエンや酢酸エチル等の有機溶媒に粘着剤組成物を溶解又は分散させて10〜40重量%の溶液を調製し、これを偏光板上に直接塗工する方式や、予めセパレートフィルム(剥離フィルム)上に粘着剤層を形成しておき、それを偏光板上に移着する方式等により行うことができる。粘着剤層の厚みは、その接着力等に応じて決定されるが、1〜50μm程度の範囲が適当である。
粘着剤層には必要に応じて、ガラス繊維やガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料や着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が配合されていてもよい。紫外線吸収剤には、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等がある。
液晶表示装置は、液晶セルと、その少なくとも一方の面上に配置される上記偏光板又は上記積層光学部材とを含むものである。偏光板や積層光学部材は、粘着剤層を介して液晶セルの片側又は両側に積層することができる。偏光板及び積層光学部材はそれぞれ、液晶セルに貼合するための粘着剤層がそれらの外面に積層された粘着剤層付の偏光板及び積層光学部材であってもよい。用いる液晶セルは任意であり、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、スーパーツイステッドネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のもの等、種々の液晶セルを使用して液晶表示装置を形成することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。以下、使用量ないし含有量を表す部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。また、以下の例で用いた光カチオン硬化性成分(A)、光カチオン重合開始剤(B)、分岐アルコール化合物(C)又は直鎖アルコール化合物(C’)、及び光増感剤・光増感助剤(D)は次のとおりであり、以下それぞれの記号で表示する。なお、表中では、これらの成分をそれぞれ(A)、(B)、(C)、(C’)、(D)と略記している。
〔光カチオン硬化性成分(A)〕
(a1)3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔上記式(I)において、R1=R2=H、X=−C(=O)−O−CH2−である化合物〕、
(a21)ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル〔上記式(II)において、Z=−CH2C(CH32CH2−である化合物〕、
(a22)1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル〔上記式(II)において、Z=−(CH24−である化合物〕。
〔光カチオン重合開始剤(B)〕
(b1)下記式(V)で表される化合物と下記式(VI)で表される化合物との混合物のプロピレンカーボネート50%溶液。
Figure 2017122881
〔分岐アルコール化合物(C)〕
(c1)ジプロピレングリコール(上記式(a)で表される化合物)、
(c2)トリプロピレングリコール(上記式(b)で表される化合物)、
(c3)ネオペンチルグリコール、
(c4)3−メチル−1,5−ペンタンジオール。
〔直鎖アルコール化合物(C’)〕
(c5)トリエチレングリコール。
〔光増感剤・光増感助剤(D)〕
(d1)1,4−ジエトキシナフタレン、
(d2)9,10−ジブトキシナフタレン。
<実施例1〜15、比較例1〜4>
(1)光硬化性接着剤の調製
表1に示される各成分を表1に示される配合割合で混合した後、脱泡して、光硬化性接着剤(液状)を調製した。表1における各成分の配合量の単位は「部」である。なお、光カチオン重合開始剤(B)は、50%プロピレンカーボネート溶液であるが、表1にはその固形分量に基づく配合量を示している。
Figure 2017122881
(2)光硬化性接着剤の25℃における粘度の測定
上記(1)で調製したそれぞれの光硬化性接着剤(接着剤液)について、東機産業(株)製のE型粘度計“TVE−25L”を用いて、温度25℃における粘度(mPa・s)を測定した。結果を表2に示す。
(3)光硬化性接着剤の25℃における水分の測定
上記(1)で調製したそれぞれの光硬化性接着剤(接着剤液)について、平沼産業(株)製の水分計“AQV−2100ST”を用いて、温度25℃における水分(光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対する重量部)を測定した。結果を表2に示す。
(4)熱可塑性樹脂フィルムを溶解する光硬化性接着剤の能力(溶解力)の測定
トリアセチルセルロース(TAC)からなる厚み40μmの位相差フィルム〔商品名“N−TAC KC4FR−1”、コニカミノルタオプト(株)製〕を用意した。この位相差フィルムは、ポリビニルアルコール系偏光子に、光学補償機能を兼ね備える熱可塑性樹脂フィルムとして貼合され、偏光板を製造するのに用いられるものである。この位相差フィルムを10mm×40mmの大きさに裁断した後、上で調製したそれぞれの光硬化性接着剤(接着剤液)20gに、23℃の温度で2日間浸漬した。2日後、位相差フィルムを取り出し、ベンコットンで位相差フィルムに付着している接着剤液を拭き取り、重量を測定した。接着剤液への浸漬前のフィルム重量と浸漬後のフィルム重量から、下記式:
重量減少(%)={(浸漬前のフィルム重量−浸漬後のフィルム重量)/浸漬前のフィルム重量}×100
によりそのフィルムの重量減少を求め、これを溶解力とした。結果を表2に示す。重量減少が大きいほど溶解力が高い。
(5)接着剤層の80℃における引張弾性率の測定
上記(1)で調製したそれぞれの光硬化性接着剤(接着剤液)について、未処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名“ソフトシャイン”、東洋紡(株)製)にバーコーター#20で塗布し、ベルトコンベア付き紫外線照射装置(メタルハライドランプ)を用いて積算光量が3000mJ/cm2(UVA)となるように紫外線を照射した。24時間後にポリエチレンテレフタレートフィルムから接着剤硬化物(硬化した接着剤層)を剥離し、(株)日立ハイテクサイエンス製の粘弾性測定装置(DMA7100)を用いて、80℃における引張弾性率(MPa)を測定した。その結果を表2に示す。
(6)偏光板の作製
ノルボルネン系樹脂(環状ポリオレフィン系樹脂)からなる厚み50μmの位相差フィルム〔商品名“ZEONOR”、日本ゼオン(株)製〕(表2中、「COP」と略記する。)、紫外線吸収剤を含む厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)からなる延伸されていない熱可塑性樹脂フィルム(表2中、「TAC」と略記する。)、又はトリアセチルセルロース(TAC)からなる厚み40μmの位相差フィルム〔商品名“N−TAC KC4FR−1”、コニカミノルタオプト(株)製〕(表2中、「位相差TAC」と略記する。)の片面にコロナ処理を施し、これらのコロナ処理面に、上記(1)で調製した光硬化性接着剤(接着剤液)を接着剤塗工装置を用いて塗工した。この接着剤の塗工層上に厚み25μmのポリビニルアルコール−ヨウ素系偏光子を積層し、ニップロールを用いて貼合した(押し付け圧:1.5MPa)。次いで、総積算光量(波長320〜400nmの波長領域における光照射強度の積算量)が約350mJ/cm2(測定器:FusionUV社製UV Power PuckIIによる測定値)の紫外線(UVA)を照射することにより接着剤層を硬化させて、偏光子の片面に熱可塑性樹脂フィルムが貼合された偏光板を得た。接着剤層の厚みは、硬化後の厚みで2.8μmとした。
(7)偏光板の180度剥離試験
上記(6)で作製した偏光板を長さ200mm×幅25mmの大きさに裁断した後、熱可塑性樹脂フィルム側にアクリル系粘着剤層を設けて、当該熱可塑性樹脂フィルムと偏光子との間の剥離強さを測定するための試験片とした。試験片をその粘着剤層を用いてガラス板に貼り、偏光子と熱可塑性樹脂フィルムとの間にカッターの刃を入れ、長さ方向に端から30mm剥がして、その剥がした部分を試験機のつかみ部でつかんだ。この状態の試験片について、温度23℃及び相対湿度55%の雰囲気中にて、JIS K 6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じて、つかみ移動速度300mm/分で180度剥離試験を行い、つかみ部の30mmを除く170mmの長さにわたる平均剥離力を求め、これを、熱可塑性樹脂フィルムと偏光子との間の剥離強さとした。熱可塑性樹脂フィルムが上記3種である場合のそれぞれについて剥離強さを測定した。なお、測定時は、偏光板を作製してから24時間後である。結果を表2に示す。
Figure 2017122881
上記(6)で作製した偏光板を長さ2000mm×幅1000mmの大きさに裁断し、その表面から、顕微鏡(測定器:キーエンス社製のデジタルマイクロスコープ“VHX−500”)を用いて、倍率100倍で観察し、硬化後の接着剤層における50μm以上の気泡の有無を確認したところ、いずれの実施例においても気泡は認められなかった一方、いずれの比較例においては気泡が認められた。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系偏光子に、熱可塑性樹脂フィルムを接着するための光硬化性接着剤であって、
    光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、光カチオン重合開始剤(B)を1〜10重量部、及び分岐アルコール化合物(C)を0.1〜15重量部含有し、
    前記光カチオン硬化性成分(A)は、その全体量を基準に、
    下記式(I):
    Figure 2017122881
    (式中、R1及びR2は各々独立に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表すが、アルキル基が炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
    Xは酸素原子、炭素数1〜6のアルカンジイル基又は下記式(Ia)〜(Id):
    Figure 2017122881
    のいずれかで表される2価の基を表し、ここでY1〜Y4は各々炭素数1〜20のアルカンジイル基を表すが、炭素数3以上の場合は脂環構造を有していてもよく;
    a及びbは各々0〜20の整数を表す。)
    で表される脂環式ジエポキシ化合物(A1)を30〜85重量%、並びに
    下記式(II):
    Figure 2017122881
    (式中、Zは炭素数3〜8の分岐アルキレン基、又は式−Cm2m−Z1−Cn2n−で表される2価の基を表し、ここで−Z1−は、−O−、−CO−O−又は−O−CO−を表し、m及びnの一方は1以上、他方は2以上の整数を表すが、両者の合計は8以下であり、かつCm2m及びCn2nの一方は、分岐した2価の飽和炭化水素基を表す。)
    で表されるジグリシジル化合物(A2)を1〜70重量%含有する、光硬化性接着剤。
  2. さらに、前記光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、下記式(IVa):
    Figure 2017122881
    (式中、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R5は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
    で表されるアントラセン系化合物、及び下記式(IVb):
    Figure 2017122881
    (式中、R6及びR7は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
    で表されるナフタレン系化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を0.1〜5重量部含有する、請求項1に記載の光硬化性接着剤。
  3. 水分含有量が、前記光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対して、0重量部超4重量部以下である、請求項1又は2に記載の光硬化性接着剤。
  4. 25℃における粘度が100mPa・s以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光硬化性接着剤。
  5. ポリビニルアルコール系偏光子と、
    前記ポリビニルアルコール系偏光子の少なくとも一方の面に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性接着剤の硬化物を介して積層された熱可塑性樹脂フィルムと、
    を含む、偏光板。
  6. 請求項5に記載の偏光板と、1層以上の他の光学層との積層体からなる、積層光学部材。
  7. 前記他の光学層が位相差板を含む、請求項6に記載の積層光学部材。
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