JP2013205719A - 偏光板及びそれを用いた積層光学部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明保護膜が貼合されており、その接着剤層は、(A)(A1)分子内に脂環式環を有するとともにエポキシ基を2個有するジエポキシ化合物50〜90重量%と、(A2)脂肪族エポキシ化合物及び脂肪族ビニルエーテル化合物から選ばれる反応性脂肪族化合物10〜50重量%とを含有する光カチオン硬化性成分100重量部に対し、(B)光カチオン重合開始剤を1〜10重量部、並びに(C)ジオール化合物を0.5〜19重量部含有する光硬化性接着剤がカチオン重合によって硬化した層である偏光板が提供される。
【選択図】なし
Description
HO−X−OH (I)
で示され、式中のXは、酸素原子で中断されていてもよい総炭素数2〜8のアルキレン基である化合物であることができ、とりわけ、下式(Ia)
HO−(CmH2m−O)n−H (Ia)
で示され、式中のmは2又は3であり、nは2以上の整数であるが、m×nは8以下であるオリゴアルキレングリコールであるのが好ましい。式(Ia)で示されるオリゴアルキレングリコールのなかでも好適なものは、トリエチレングリコールである。
光硬化性接着剤は、光カチオン硬化性成分(A)100重量部に対し、光カチオン重合開始剤(B)を1〜10重量部及び分子内に2個の水酸基を有するジオール化合物(C)を 0.5〜19重量部含有する。また、光カチオン硬化性成分(A)は、分子内に脂環式環を有するとともにエポキシ基を2個有するジエポキシ化合物(A1)50〜90重量%と、分子内に芳香環を有しない脂肪族エポキシ化合物及び脂肪族ビニルエーテル化合物からなる群より選ばれる反応性脂肪族化合物(A2)10〜50重量%とを含有する。もちろん、これら(A1)と(A2)の合計が100重量%を超えることはない。
光硬化性接着剤の主成分であり、重合硬化により接着力を与える光カチオン硬化性成分(A)は、分子内に脂環式環を有するとともにエポキシ基を2個有するジエポキシ化合物(A1)と、分子内に芳香環を有しない脂肪族エポキシ化合物及び脂肪族ビニルエーテル化合物からなる群より選ばれる反応性脂肪族化合物(A2)を含有する。
B:3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、
C:エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、
D:ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) アジペート、
E:ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル) アジペート、
F:ジエチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
G:エチレングリコールビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルエーテル)、
H:2,3,14,15−ジエポキシ−7,11,18,21−テトラオキサトリスピロ[5.2.2.5.2.2]ヘンイコサン、
I:3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、
J:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、
K:ジシクロペンタジエンジオキサイドなど。
本発明では、以上説明した光カチオン硬化性成分(A)を活性エネルギー線の照射によるカチオン重合で硬化させて接着剤層を形成することから、光硬化性接着剤には、光カチオン重合開始剤(B)を配合する。光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、又は電子線の如き活性エネルギー線の照射によって、カチオン種又はルイス酸を発生し、光カチオン硬化性成分(A)の重合反応を開始するものである。光カチオン重合開始剤は光で触媒的に作用するため、光カチオン硬化性成分(A)に混合しても保存安定性や作業性に優れる。活性エネルギー線の照射によりカチオン種又はルイス酸を生じる化合物として、例えば、芳香族ヨードニウム塩や芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、鉄−アレーン錯体などを挙げることができる。
本発明では、以上の光カチオン硬化性成分(A)及び光カチオン重合開始剤(B)に加え、ジオール化合物(C)を配合して光硬化性接着剤とする。ジオール化合物(C)は、分子内に2個の水酸基を有する化合物であり、典型的には前記式(I)で示される化合物であることができるが、とりわけ前記式(Ia)で示されるオリゴアルキレングリコールが好ましく用いられる。
光硬化性接着剤は、以上説明した光カチオン硬化性成分(A)、光カチオン重合開始剤(B)及びジオール化合物(C)に加え、他の成分を含んでいてもよい。配合しうる他の成分の例を挙げると、光増感剤、光増感助剤、熱カチオン重合開始剤、連鎖移動剤、熱可塑性樹脂、流動調整剤、消泡剤、レベリング剤、有機溶剤などがある。偏光子に貼合される保護膜の種類によっては、光増感剤、さらには光増感助剤を配合するのが好ましいことがある。
光硬化性接着剤は、これまでに説明した光カチオン硬化性成分(A)、光カチオン重合開始剤(B)、及びジオール化合物(C)、また必要に応じてその他の成分を混合することにより、調製することができる。混合の際、必要に応じて30〜50℃程度で加温し、攪拌機にて均一になるまで攪拌を行う。攪拌時間は特に限定されないが、通常5〜20分程度である。
偏光子は、自然光を直線偏光に変換する機能を有するフィルムであり、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたもので構成される。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体であってもよい。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98〜100モル%の範囲である。ポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,500〜5,000の範囲である。
保護膜は、上で説明したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子が、先述のとおり、物理的な強度に乏しいことから、それを補う目的で、偏光子の表面に設けられる。偏光子に、先に説明した光硬化性接着剤を介して保護膜を貼合し、光硬化性接着剤を硬化させて偏光板とする。保護膜は、従来から偏光板の保護膜として最も広く用いられているトリアセチルセルロースをはじめとするアセチルセルロース系樹脂フィルムや、トリアセチルセルロースよりも透湿度の低い樹脂フィルムで構成することができる。なお、トリアセチルセルロースの透湿度は、概ね400g/m2/24hr程度である。
ッケル錯塩系化合物などが知られている。
偏光子と保護膜は、先述の接着剤を介して接着される。偏光子と保護膜の接着にあたっては、上で説明した光硬化性接着剤の塗布層を、偏光子と保護膜の貼合面の一方又は両方に形成し、その塗布層を介して偏光子と保護膜を貼合する。接着剤の塗布層を形成する前に、偏光子と保護膜の貼合面の一方又は両方に対して、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理のような易接着処理を施してもよい。そして、未硬化の光硬化性接着剤の塗布層に活性エネルギー線を照射して硬化させ、保護膜を偏光子の上に固着させる。
本発明の偏光板は、偏光板以外の光学機能を有する光学層を積層して、積層光学部材とすることができる。典型的には、偏光板の保護膜に、接着剤や粘着剤を介して光学層を積層貼着することにより、積層光学部材とされるが、その他、例えば、偏光子の一方の面に本発明に従って光硬化性接着剤を介して保護膜を貼合し、偏光子の他方の面に接着剤又は粘着剤を介して光学層を積層貼着することもできる。後者の場合、偏光子と光学層を貼着するための接着剤として、本発明で規定する光硬化性接着剤を用いれば、その光学層は、同時に本発明で規定する保護膜ともなりうる。
(A1)分子内に脂環式環を有するジエポキシ化合物
(a11)3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート:ダイセル化学工業(株)から入手した商品名“セロキサイド 2021P”。
(a12)水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル:三菱化学(株)から入手した商品名“jER YX8000”。
(a21)1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル:ナガセケムケックス(株)から入手した商品名“デナコール EX-121”。
(a22)ジエチレングリコールジビニルエーテル:日本カーバイド工業(株)から入手。
(b1)トリアリールスルホニウム塩系光カチオン重合開始剤の50%プロピレンカーボネート溶液:サンアプロ(株)から入手した商品名“CPI-100P”。
(c1)トリエチレングリコール:東京化成工業(株)から入手。
(1)光硬化性接着剤液の調製
光カチオン硬化性成分を表1に示す割合(合計100部)で配合し、さらに上に示した光カチオン重合開始剤(b1)を固形分として 2.25部及びジオール化合物(c1)を表1に示す割合で配合した後、脱泡して、光硬化性接着剤液を調製した。
コニカミノルタオプト(株)から入手した紫外線吸収剤を含む厚さ80μm のトリアセチルセルロースフィルム〔商品名“コニカタック KC8UX2MW ”〕の表面にコロナ放電処理を施し、そのコロナ放電処理面に、上で調製したそれぞれの接着剤液を硬化後の膜厚が約3μm となるように、バーコーターを用いて塗工した。その接着剤層に、厚さ28μm のポリビニルアルコール−ヨウ素系偏光子を貼合した。また、コニカミノルタオプト(株)から入手したアセチルセルロース系樹脂からなる厚さ40μm の位相差フィルム〔商品名“N-TAC KC4FR-1 ”〕の表面にコロナ放電処理を施し、そのコロナ放電処理面に、上と同じ接着剤液を硬化後の膜厚が約3μm となるように、バーコーターを用いて塗工した。その接着剤層に、上で作製したトリアセチルセルロースフィルムが片面に貼合された偏光子の偏光子側を貼合し、積層物を作製した。この積層物のアセチルセルロース系位相差フィルム側から、ベルトコンベア付き紫外線照射装置〔ランプはフュージョンUVシステムズ社製の“Dバルブ”使用〕を用いて積算光量が250mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。こうして、偏光子の両面に保護膜が貼合された偏光板を作製した。
上記(2)で作製した偏光板を200mm×25mmの大きさに裁断して、ポリビニルアルコール−ヨウ素系偏光子と、アセチルセルロース系位相差フィルム“N-TAC KC4FR-1 ”との間、及び厚さ80μm のトリアセチルセルロースフィルム“コニカタック KC8UX2MW ”との間のはく離強さを求めた。アセチルセルロース系位相差フィルムと偏光子の間のはく離強さを測定するときは、アセチルセルロース系位相差フィルムの露出面にアクリル系の粘着剤層を設け、厚さ80μm のトリアセチルセルロースフィルムと偏光子の間のはく離強さを測定するときは、厚さ80μm のトリアセチルセルロースフィルムの露出面にアクリル系の粘着剤層を設け、それぞれの粘着剤層をガラス板に貼った。そして、偏光子と粘着剤側の保護フィルム(アセチルセルロース系位相差フィルム“N-TAC KC4FR-1 ”又は厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム“コニカタック KC8UX2MW”)の間にカッターの刃を入れ、長さ方向に端から30mm剥がして、その剥がした部分を試験機のつかみ部でつかんだ。この状態の試験片を、温度23℃、相対湿度55%の雰囲気中、JIS K 6854
-2:1999 「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に準じて、つかみ移動速度300mm/分で180度はく離試験を行い、つかみ部の30mmを除く170mmの長さにわたる平均はく離力を求めた。この結果を表1にまとめした。
上記(3)の180度はく離試験によって保護フィルムから剥がした後の偏光子表面を指触で確認し、べた付きがない場合を硬化性良好(○)とし、べた付きがある場合を硬化性不良(×)として、結果を表1にまとめた。
Claims (7)
- 二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明樹脂からなる保護膜が貼合されてなり、
該接着剤層は、
(A)(A1)分子内に脂環式環を有するとともにエポキシ基を2個有するジエポキシ化合物50〜90重量%と、
(A2)分子内に芳香環を有しない脂肪族エポキシ化合物及び脂肪族ビニルエーテル化合物からなる群より選ばれる反応性脂肪族化合物10〜50重量%と
を含有する光カチオン硬化性成分100重量部に対し、
(B)光カチオン重合開始剤を1〜10重量部、並びに
(C)分子内に2個の水酸基を有するジオール化合物を0.5〜19重量部
含有する光硬化性接着剤がカチオン重合によって硬化した層であることを特徴とする偏光板。 - 前記ジオール化合物(C)は、下式(I)
HO−X−OH (I)
で示され、式中のXは、酸素原子で中断されていてもよい総炭素数2〜8のアルキレン基である請求項1に記載の偏光板。 - 前記ジオール化合物(C)は、下式(Ia)
HO−(CmH2m−O)n−H (Ia)
で示され、式中のmは2又は3であり、nは2以上の整数であるが、m×nは8以下である請求項2に記載の偏光板。 - 前記ジオール化合物(C)はトリエチレングリコールである請求項3に記載の偏光板。
- 前記偏光子と前記保護膜との間の180度はく離試験による接着強さが 0.6N/25mm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の偏光板。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の偏光板と、他の光学層との積層体からなることを特徴とする積層光学部材。
- 前記他の光学層は位相差フィルムを含む請求項6に記載の積層光学部材。
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