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JP2017113715A - 水素化処理触媒及びその製造方法 - Google Patents

水素化処理触媒及びその製造方法 Download PDF

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JP2017113715A
JP2017113715A JP2015252955A JP2015252955A JP2017113715A JP 2017113715 A JP2017113715 A JP 2017113715A JP 2015252955 A JP2015252955 A JP 2015252955A JP 2015252955 A JP2015252955 A JP 2015252955A JP 2017113715 A JP2017113715 A JP 2017113715A
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Kenji Yamane
健治 山根
勝吾 田河
Shogo Tagawa
勝吾 田河
渡部 光徳
Mitsunori Watabe
光徳 渡部
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JGC Catalysts and Chemicals Ltd
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Abstract

【課題】脱メタル性能及び脱アスファルテン性能に優れた水素化処理触媒などを提供すること。【解決手段】水素化処理触媒はアルミナ-リン担体を用い、比表面積100m2/g以上、全細孔容積0.80〜1.50ml/g、細孔直径10〜30nmの範囲に細孔分布の極大値を有し、細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積に対する前記極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積の占める割合が0.40以下、耐圧強度が10N/mm以上、リンをP2O5濃度換算量として0.4〜10.0質量%含み、水素化活性金属が周期律表第6A族の金属及び第8族の金属から選ばれる金属であり、硫黄の含有量がSO4濃度換算量として1.0質量%以下、FT−IRによって測定される酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度に対する、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度の比率が0.15〜0.50の範囲にある。【選択図】図1

Description

本発明は、水素存在下で炭化水素油中の硫黄分を除去するための水素化処理触媒の技術分野に関する。
本発明は、水素化処理触媒及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、バナジウムやニッケルなど金属汚染物質を含む残渣油などの重質炭化水素油の水素化処理に使用される水素化処理触媒及びその製造方法に関する。
重質炭化水素油の前処理プロセスにおいては、高い脱メタル性能・脱硫性能に加えて脱アスファルテン性能が求められる。アスファルテンは重質油中に多く含まれその分子量は大きくメタル量も多いため、高度に脱メタルを行う場合には水素化処理を行う必要がある。また、重質炭化水素油の水素化処理プロセスにおいて原料油中のアスファルテンを十分に水素化処理できないと生成油中にドライスラッジを多く含んだ基材となる。ドライスラッジを多く含有する基材は貯蔵安定性が低く様々なトラブルの原因となるため、原料油中のアスファルテンを高度に水素化処理することが重要である。
分子量が大きいアスファルテンを水素化処理するため、これまで細孔を大きくした触媒や、細孔分布のピークが2つあるバイモーダルタイプの触媒などが開発されてきた。近年は、原料油の更なる重質化に対応したり水素化処理プロセス後のR−FCC(Residual-Fluid Catalytic Cracking)処理負担軽減のため、より一層の性能向上が求められている。
例えば、特許文献1には、7〜20nmの範囲にメソポアと300〜800nmの範囲にマクロポアを有するバイモーダルタイプの触媒とすることで高い脱メタル性能及び脱硫性能を有する触媒が開示されている。
特開2006−181562号公報
特許文献1に記載の技術においては、バイモーダルタイプの水素化処理触媒とすることで高い脱メタル性能及び脱硫性能を有する触媒を開発できたが、脱アスファルテン性能は十分ではなかった。当該水素化処理触媒は7〜20nmの範囲にメソポア、300〜800nmの範囲にマクロポアを有している。一般に脱アスファルテン性能は触媒細孔が20nmを超えないと大幅に向上しないため、マクロポアを有していても主の反応細孔であるメソポアが脱アスファルテン反応に有効でなかった。
また、特許文献1に記載の技術においては、担体調製途中の捏和物に易分解物質を添加し、焼成し除去することでマクロポアを有する触媒を得ている。しかしながら、本調製法では、易分解物質を大量に使用する上、焼成により易分解物質を除去する必要があるため生産コスト・生産性が低いことが問題でもあった。
本発明の目的は、優れた脱メタル性能及び脱アスファルテン性能に優れた水素化処理触媒、及び簡便で生産性の高い当該触媒の製造方法を提供することにある。
第1の発明は、アルミナ-リン担体に水素化活性金属を担持した水素化処理触媒であって、
(1)比表面積が100m/g以上であり、
(2)水銀圧入法で測定した全細孔容積が0.80〜1.50ml/gであり、
(3)細孔直径10〜30nmの範囲に細孔分布の極大値を有し、
(4)細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積(PVme)に対する前記極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下であり、
(5)耐圧強度が10N/mm以上であり、
(6)リンを触媒全量基準でP濃度換算量として0.4〜10.0質量%含み、
(7)水素化活性金属が周期律表第6A族の金属及び第8族の金属から選ばれる金属であり、
(8)硫黄の含有量が触媒全量基準でSO濃度換算量として1.0質量%以下であり、
(9)前記アルミナ−リン担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15〜0.50の範囲にあることを特徴とする水素化処理触媒である。
前記第1の発明は、以下の特徴を備えていてもよい。
(i)前記周期律表6A族の金属は、クロム、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一種の金属であり、前記周期律表8族の金属は、鉄、ニッケル及びコバルトのうちの少なくとも一種の金属であること。
(ii)前記アルミナ-リン担体におけるリン含有量が、担体全量基準でP濃度換算量として0.5〜7.0質量%であること。
(iii)前記水素化活性金属が、触媒全量基準で酸化物濃度換算量として1〜30質量%含まれること。
(iv)細孔直径100〜1000nmの範囲に細孔分布の極大値を有さないこと。
(v)または、細孔直径100〜1000nmの範囲に細孔分布の第2の極大値を有すること。このとき、細孔直径100〜1000nmの範囲の細孔容積(PVma)と、細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積(PVme)との割合(PVma/PVme)が0.1〜0.5の範囲にあること。
また、第2の発明は、上述の水素化処理触媒を用いることを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理方法である。
第3の発明は、アルミナ−リン担体に水素化活性金属を担持させる水素化処理触媒の製造方法であって、
(1)pHが2.0〜5.0に調整された酸性アルミニウム塩水溶液を撹拌しながら、pHが7.5〜10.0となるように塩基性アルミニウム塩水溶液を添加してアルミナ水和物を得る第1工程と、
(2)前記アルミナ水和物のアルミナ固形質量に対して20〜50倍量の純水で洗浄し除去したアルミナ水和物にリンを添加してアルミナ-リン水和物を得る第2工程と、
(3)前記アルミナ−リン水和物を順次熟成、捏和、成型、乾燥、及び焼成してアルミナ−リン担体を得る第3工程と、
(4)周期律表6A族の金属及び第8族の金属から選ばれる金属を前記担体に担持させる第4工程と、
を有することを特徴とする水素化処理触媒の製造方法である。
前記第3の発明は、以下の特徴を備えていてもよい。
(i)前記第2工程で、アルミナ水和物に対してリンを、前記担体全量基準でP濃度換算量として3.0〜7.0質量%となるように添加すること。
(ii)前記第2工程で、アルミナ水和物に対してリンを、担体全量基準でP濃度換算量として0.5〜2.5質量%となるように添加すること。
(iii)前記第2工程で、洗浄に用いる純水の温度は、50〜70℃の範囲であること。
(iv)前記第3工程で、前記アルミナ−リン水和物の熟成は、pHが7.0〜9.0の範囲で行われること。
本発明の水素化処理触媒によれば、脱メタル性能及び脱アスファルテン性能に優れた特性を示す。それ故、特に重質炭化水素油の水素化処理触媒として有効である。
また、本発明の水素化処理触媒の製造方法は簡便であって生産性が高く、製造コスト的にも有利である。
担体a、d、fの透過型フーリエ変換赤外分光光度計測定結果である。 水素化処理触媒Aの積分型、微分型の細孔分布図である。 水素化処理触媒Bの積分型、微分型の細孔分布図である。
本発明は、アルミナ-リン担体を用いた炭化水素油の水素化処理触媒(以下「本発明触媒」という)であり、以下に本発明触媒及びその製造方法の実施の形態について詳述する。
<リンおよびSOの含有>
本触媒には、リンが触媒全量基準でP濃度換算量として0.4〜10.0質量%含まれる。リン含有量が0.4質量%未満であると触媒強度(耐摩耗性)が低下するため好ましくない。リン含有量が10.0質量%を超えると触媒の比表面積が下がるため好ましくない。リンは触媒中に0.5〜10.0質量%含まれることが好ましく、1.0〜8.0質量%含まれることがより好ましく、2.0〜7.0質量%含まれることが更に好ましい。
ただし、リンは、本触媒を構成するアルミナ−リン担体において、担体全量基準でP濃度換算量として0.5〜7.0質量%含まれることが好ましく、1.0〜6.0質量%含まれることがより好ましく、1.5〜5.5質量%含まれることが更に好ましい。
当該担体におけるリン含有量が0.5質量%未満では、触媒強度が低下するおそれがある。また、本発明の目的である細孔直径5〜100nmの範囲に幅広い細孔分布を有することが困難となるおそれがある。また、担体におけるリン含有量が7.0質量%を超えると、細孔直径100〜1000nmの範囲の細孔容積が大きくなりすぎ触媒強度が低下するおそれがある。さらに、触媒嵩密度が低下して触媒性能も低下してしまうおそれもある。
なお、アルミナ−リン担体における担体全量基準でのリンの含有量に対して、水素化処理触媒における触媒全量基準でのリンの含有量が増加する場合がある。この理由としては、アルミナ−リン担体に水素化活性金属を担持させる工程(後述の第4工程)にてリン酸を含む溶液を用いて水素化活性金属の含浸液を調製し、含浸法により水素化活性金属を担持させたときにリンの含有量が増加する例が挙げられる。
また、当該担体における残存SO量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。残存SO量が1質量%を過度に超えると触媒強度が低下するおそれがある。
<水素化活性金属の担持>
本発明触媒は、周期律表第6A族の金属及び第8族の金属から選ばれる金属が水素化活性金属として担体に担持される。水素化活性金属の担持量は、触媒全量基準で酸化物濃度換算量として1〜30質量%の範囲が好ましい。水素化活性金属の担持量が1質量%以上であると、本発明の効果をより一層発揮することができる。また、水素化活性金属の担持量が30質量%以下であると、脱メタル性(脱メタル選択性)や触媒活性の安定性を維持でき、さらに生産コストを抑えられる点で好ましい。第6A族金属としては、クロム、モリブデンやタングステンが好ましく、第8族金属としては、鉄、ニッケルやコバルトが好ましい。
また、周期律表第6A族の金属に関しては、酸化物濃度換算量として好ましい担持量は、1〜20質量%の範囲、より好ましくは3〜15質量%の範囲である。周期律表第8族の金属に関しては、酸化物濃度換算量として好ましい担持量は、0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.3〜5質量%の範囲である。
<比表面積>
本触媒の比表面積は100m/g以上である。該比表面積が100m/g未満の場合には、脱メタル性能へ影響は小さいが脱硫反応速度が大きく低下する傾向にある。該比表面積は、150〜250m/gの範囲にあることが望ましい。比表面積が250m/gを超えても、本発明の効果の向上はさほど認められず、むしろ脱メタル性(脱メタル選択性)が低下する傾向にあり、触媒活性の安定性が低下するおそれがある。なお、本発明での比表面積はBET(Brunauer-Emmett-Teller)法で測定した値である。
<細孔容積>
本触媒の全細孔容積は0.80〜1.50ml/gの範囲にある。該全細孔容積が0.80ml/g未満の場合には脱メタルの寿命が短くなる傾向にあり、1.50ml/gより大きい場合には触媒強度が低下する。該全細孔容積は、0.85〜1.40ml/gの範囲にあることが好ましく、0.90〜1.30ml/gの範囲にあることがより好ましい。なお、本発明における該全細孔容積は、細孔直径が3〜10000nm範囲の細孔容積を意味する。
本発明での細孔直径、細孔容積及び細孔分布は、水銀圧入法により測定したものであり、細孔直径は、水銀の表面張力480dyne/cm、接触角150°を用いて計算した値である。
<細孔容積分布>
本触媒の細孔分布は、細孔直径10〜30nmの範囲に極大値を有する。当該極大値が細孔直径10nm未満の範囲にあると、脱メタル性能が大幅に低下し、一方、当該極大値が細孔直径30nmを超える範囲にあると脱硫性能が低下する傾向にあり好ましくない。この極大値が存在する好ましい細孔直径の範囲は、12〜25nmであり、更に好ましくは15〜20nmである。
本触媒の細孔分布においては、細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積(PVme)に対する、前記極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下である。ΔPV/PVmeが0.40を超えるとアスファルテン分子との反応性が低下し、脱メタル性能及び脱アスファルテン性能が低下するため好ましくない。
ここで、リン−アルミナ担体におけるリンの添加量を制御することにより細孔直径100〜1000nmの範囲で細孔分布に第2の極大値を有する触媒を得ることができる。担体全量基準でP濃度換算量として3.0〜7.0質量%のリンを含有量に相当するリン源を、原料に添加して焼成したリン−アルミナ担体には、前記細孔直径範囲の細孔分布に第2の極大値を持つ。細孔分布に第2の極大値を有すると、脱アスファルテン及び脱メタル性能を高くすることができる。一方で、リンの含有量が0.5〜2.5質量%の範囲では、第2の極大値はほとんど形成されない。
さらに、この第2の極大値を有する触媒において、第2の極大値を含む細孔直径100〜1000nmの範囲の細孔容積(PVma)と、10〜30nmの範囲の細孔分布の極大値を含む細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積(PVme)との割合(PVma/PVme)が0.1〜0.5の範囲にあると、上述の効果をより一層発揮することができる。ただし、PVma/PVmeが0.5を超えると触媒強度が低下するおそれがある。
これらに加えて、細孔分布に第2の極大値を有する触媒と第2の極大値を有さない触媒とを組み合わせる(例えば2種類の触媒を混合する)ことで、脱アスファルテン及び脱メタル性能と、脱硫選択性とを兼ね備えた触媒システムを提供することが可能となる。
<摩耗強度>
本発明触媒の摩耗強度は、0.5%以下である。触媒の摩耗強度が0.5%を超えると、使用済み後の触媒再生においても割れや粉化が発生しやすくなる。摩耗強度は、ASTM(American Society for Testing and Materials) D4058−81で測定した値である。
<耐圧強度>
本触媒の耐圧強度は、10N/mm以上である。この耐圧強度が10N/mm未満であると、触媒を充填する際に壊れやすく、反応時に偏流や圧損の原因となるおそれがある。このため、耐圧強度が10N/mm以上でなければならない。なお、耐圧強度は、圧壊強度ともいわれ、本発明での耐圧強度は、木屋式硬度計で測定した値である。
<担体に含まれる酸性OH基及び塩基性OH基>
本発明触媒の担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15〜0.50の範囲にある。より好ましくは、0.40〜0.50の範囲である。活性金属は、アルミナ担体表面の特性により分散性が異なることが知られており、担体の表面のOH基について、酸性OH基と塩基性OH基との比率をこのように適正化することにより、担体がアルミナ−リン担体であることと相俟って、水素化活性金属について高い分散性が得られ、高い脱硫性能が得られる。図1に、本発明触媒の担体(実施例中に示す担体a、d、f)について、酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲及び塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲を含む光吸収スペクトルの例を示しておく。
次に、本発明触媒を製造するための好適な実施形態について説明する。
<アルミナ−リン担体の製造方法>
(第1工程)
敷き水に酸性アルミニウム塩を添加し、Alとして例えば0.1〜2.0質量%、pH2.0〜5.0となるように調製した酸性アルミニウム塩水溶液を攪拌しながらその液温を例えば50〜80℃に加温する。酸性アルミニウム塩としては、水溶性の塩であればよく、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどが挙げられ、Al換算で0.5〜20質量%、好ましくは2〜10質量%含む水溶液を用いることが望ましい。
次に、この酸性アルミニウム塩水溶液を攪拌しながら、pH7〜10となるように塩基性アルミニウム塩の水溶液を例えば30〜200分間、好ましくは60〜180分間で添加し、アルミナ水和物を得る。塩基性アルミニウム塩としては、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリなどが挙げられ、Al換算で2〜30質量%、好ましくは10〜25質量%含む水溶液を用いることが望ましい。
(第2工程)
次に、得られたアルミナ水和物を50〜70℃、好ましくは55〜65℃の純水で洗浄し、ナトリウム、硫酸根等の不純物(副生性塩)を除去し、洗浄ケーキを得る。アルミナ水和物の洗浄は、アルミナ固形質量に対して20〜50倍量の純水で洗浄し、副生性塩の除去を行うことが好ましい。更に、洗浄ケーキに純水を加えて、Al濃度が5〜18質量%、好ましくは7〜15質量%となるように調製した後、アルミナ水和物にリンを添加して、アルミナ-リン水和物を得る。リンは、担体中にP濃度として0.5〜7.0質量%含まれるよう添加することが好ましく、1.0〜6.0質量%含むことがより好ましく、1.5〜5.5質量%含むことが更に好ましい。リン源としては、リン酸、亜リン酸、リン酸アンモニア、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムなどのリン酸化合物が使用可能である。
(第3工程)
第2工程にて得られたアルミナ−リン水和物を還流器付きの熟成タンク内において、30℃以上、好ましくは80〜100℃で、例えば1〜10時間、好ましくは2〜5時間熟成する。熟成の際のpHは、7.0〜9.0の範囲内とるすことが好ましい。次いで得られた熟成物を慣用の手段により、例えば加熱捏和して成形可能な捏和物とした後、押出成型などにより所望の形状に成型し、乾燥し、400〜800℃で0.5〜10時間焼成してアルミナ−リン担体を得る。
(第4工程)
前記第3工程にて得られたアルミナ−リン担体を用いて、慣用の手段で周期律表第6A族の金属及び第8族の金属の各々から選ばれる金属を担持することにより、本発明の水素化処理触媒を製造することができる。このような金属の原料としては、例えば、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸コバルト、炭酸コバルト、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモン、及びパラタングステン酸アンモンなどの金属化合物が使用され、含浸法、浸漬法などの周知の方法などにより担体に担持される。金属担持後の担体は、通常400〜600℃で0.5〜5時間焼成され本発明の水素化処理触媒となる。
ここで既述のように、アルミナ−リン担体の製造方法における第2工程において、担体にリンを担体全量基準でP濃度として3.0〜7.0質量%となるように添加することで、細孔直径100〜1000nmの範囲で細孔分布に第2の極大値を有する触媒を得ることができる。この触媒は、脱アスファルテン及び脱メタル性能を高くすることができる。
一方、アルミナ−リン担体の製造方法における第2工程において、担体にリンを担体全量基準でP濃度として0.5〜2.5質量%となるように添加することで、細孔直径100〜1000nmの範囲で細孔分布に第2の極大値を有さない触媒を得ることができる。この触媒は、脱硫選択性に優れる。
なお、本触媒における上述したパラメータ(比表面積、前最高容積、細孔直径10〜30nmの細孔分布の極大値、ΔPV/PVmeの値、耐圧強度)についても、基本的にリンの添加量により制御することができるが詳細は実施例で説明する。
本発明の水素化処理触媒は、バナジウムやニッケルなどの金属汚染物質を含む残渣油などの重質炭化水素油の水素化処理に使用され、既存の水素化処理装置及びその操作条件を採用することができる。前記操作条件の例を挙げると、温度350〜450℃、圧力3〜20MPa、液空間速度0.1〜3hr−1の条件で水素存在下、前記重質炭化水素油を本発明の水素化処理触媒と接触させる処理である。
また、本発明触媒の製造は簡便であるので、例えばアルミナ水和物の混和物中に易分解性物質を添加して、バイモーダルタイプの細孔径分布を形成する場合と比較して、生産性も高く、製造コスト的にも有利である。
[測定方法について]
後述のように、本発明の実施例及び比較例の各々における水素化処理触媒について、成分の含有量、比表面積及び性状に関する数値を測定しているが、これらの測定を行う方法について記載しておく。
<担体成分(アルミナ、シリカ、酸化リン、チタニア)および金属成分(モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、リン)の含有量の測定方法>
測定試料3gを容量30mlの蓋付きジルコニアボールに採取し、加熱処理(200℃、20分)させ、焼成(700℃、5分)した後、Na 2gおよびNaOH 1gを加えて15分間溶融した。さらに、HSO 25mlと水200mlを加えて溶解したのち、純水で500mlになるよう希釈して試料とした。得られた試料について、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて、各成分の含有量を酸化物換算基準(Al、SiO、P、TiO、MoO、NiO、CoO、MgO、CuO)で測定した。
<比表面積の測定方法>
測定試料を磁製ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、300℃の温度で2時間加熱処理後、デシケーターに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、試料の比表面積(m/g)をBET法にて測定した。
<圧壊強度の測定方法>
圧壊強度は、前処理として、試料を500℃で1時間焼成したものを室温までデシケーターにて冷却したものから長さ4mm以上の試料40個以上を木屋式硬度計(圧縮子3.18mm)を用いて圧縮し、破砕された時の荷重を求めて次式により算出した。
圧壊強度(N/mm)=S×9.807/L×n
ここで、Sは加圧荷重の総和(kg)、Lは圧縮子の径(3.18mm)、nは測定個数を表す。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
[実施例1]
薬液添加口2箇所を持つ循環ラインを設けたタンクに純水35.2kgを張り込み、撹拌しながら硫酸アルミニウム水溶液(Alとして濃度7質量%)13.0kgを添加し、70℃に加温して循環させた。この時のアルミナ水溶液のpHは2.3であった。次に、アルミン酸ナトリウム水溶液9.5kg(Alとして濃度22質量%)を撹拌及び循環させながら70℃を保ちながら180分で添加し、アルミナ水和物を得た。添加後のpHは、9.5であった。次に、得られたアルミナ水和物(硝酸根(副生成塩)含有量:アルミナ固形分100g中、約7g)を60℃の純水100L(アルミナ水和物中のアルミナ固形質量の33倍量)で洗浄し、ナトリウム等の不純物を除去し、洗浄ケーキを得た。洗浄ケーキに純水を加えて、Al濃度が8質量%となるように調製した後、アルミナ水和物にリン酸256g(Pとして濃度62質量%)を添加して、還流器のついた熟成タンクにて95℃で3時間熟成し、アルミナ−リン水和物を得た。熟成の際のpHは7.4であった。熟成終了後のスラリーを脱水し、スチームジャケットを備えた双腕式ニーダーにて練りながら所定の水分量まで濃縮捏和した。得られた捏和物を押出成形機にて1.7mmの四つ葉型の柱状に押し出し成形した。得られたアルミナ成形品は、110℃で12時間乾燥した後、さらに680℃で3時間焼成してアルミナ−リン担体aを得た。担体aは、リンがP濃度換算で5質量%、アルミニウムがAl濃度換算で94.8質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体aの透過型フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、FT-IR-6100)測定結果を図1に示す。担体aにおける酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saは0.061、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbは0.294であり、これらの比率Sb/Saは0.21であった。
酸化モリブデン26.6gと炭酸ニッケル9.7gとを、イオン交換水400mlに懸濁させ、この懸濁液を液容量が減少しないように適当な還流措置を施して95℃で5時間過熱した後、リンゴ酸13.3gを加えて溶解させ、含浸液を作製した。この含浸液を、500gの担体aに噴霧含浸させた後、250℃で乾燥し、更に電気炉にて550℃で1時間焼成して水素化処理触媒A(以下、単に「触媒A」ともいう。以下の実施例についても同様である。)を得た。触媒Aの金属成分は、MoOが5質量%(触媒全量基準)で、NiOが1質量%(触媒全量基準)であった。触媒Aの性状を表1に示す。触媒Aは、リンがP濃度換算で4.8質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。また、図2に、それぞれ水素化処理触媒Aの積分型(実線)、微分型(破線)の細孔分布図を示す。なお、耐圧強度は木屋式硬度計(藤原製作所社製)に基づいて測定した。
[実施例2]
実施例1において、添加するリン酸を99.4g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ−リン担体bを得た。熟成の際のpHは8.5であった。担体bは、リンがP濃度換算で2質量%、アルミニウムがAl濃度換算で97.8質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体bにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.274、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.106であり、これらの比率Sb/Saは0.38であった。担体bを用いて実施例1と同様にして触媒Bを得た。触媒Bの性状を表1に示す。触媒Bは、リンがP濃度換算で1.9質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。また、図3に、それぞれ水素化処理触媒Bの積分型(実線)、微分型(破線)の細孔分布図を示す。
[実施例3]
実施例1において、添加するリン酸を150.7g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ−リン担体cを得た。熟成の際のpHは8.1であった。担体cは、リンがP濃度換算で3質量%、アルミニウムがAl濃度換算で96.8質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体cにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.307、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.092であり、これらの比率Sb/Saは0.30であった。担体cを用いて実施例1と同様にして触媒Cを得た。触媒Cの性状を表1に示す。触媒Cは、リンがP濃度換算で2.9質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。
[比較例1]
実施例1において、リン酸を添加しないこと以外は実施例1と同様にしてアルミナ担体dを得た。熟成の際のpHは9.5であった。担体dは、硫酸根がSO換算で0.2質量%、アルミニウムがAl濃度換算で99.8質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体dにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.171、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.090であり、これらの比率Sb/Saは0.53であった。担体dを用いて実施例1と同様にして触媒Dを得た。触媒Dの性状を表1に示す。触媒Dは、リンがP濃度換算で0質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。また、担体dの透過型フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、FT-IR-6100)測定結果を図1に示す。
[比較例2]
実施例1において、添加するリン酸を9.8g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ−リン担体eを得た。熟成の際のpHは9.3であった。担体eは、リンがP濃度換算で0.2質量%、アルミニウムがAl濃度換算で99.6質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体eにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.182、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.093であり、これらの比率Sb/Saは0.51であった。担体eを用いて実施例1と同様にして触媒Eを得た。触媒Eの性状を表1に示す。触媒Eは、リンがP濃度換算で0.2質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。
[比較例3]
実施例1において、添加するリン酸を481.8g添加すること以外は実施例1と同様にしてアルミナ−リン担体fを得た。熟成の際のpHは5.6であった。担体fは、リンがP濃度換算で9質量%、アルミニウムがAl濃度換算で90.8質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体fにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.471、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.062であり、これらの比率Sb/Saは0.13であった。担体fを用いて実施例1と同様にして触媒Fを得た。触媒Fの性状を表1に示す。触媒Fは、リンがP濃度換算で8.6質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。また、担体fの透過型フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、FT-IR-6100)測定結果を図1に示す。
[比較例4]
実施例1において、硫酸アルミニウム水溶液にアルミン酸ナトリウム水溶液を添加した後のpHを8.5と得られたアルミナ水和物を60℃の純水を50L(アルミナ水和物中のアルミナ固形質量の17倍量)で洗浄したこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ−リン担体gを得た。熟成の際のpHは6.8であった。担体gは、リンがP濃度換算で5質量%、アルミニウムがAl濃度換算で93.7質量%、硫酸根がSO換算で1.3質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体gにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.293、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.059であり、これらの比率Sb/Saは0.20であった。担体gを用いて実施例1と同様にして触媒Gを得た。触媒Gの性状を表1に示す。触媒Gは、リンがP濃度換算で4.8質量%、硫酸根がSO換算で1.2質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。
[比較例5]
実施例1において、硫酸アルミニウム水溶液にアルミン酸ナトリウム水溶液を添加した後のpHを7.0としたこと以外は、実施例1と同様にしてアルミナ−リン担体hを得た。熟成の際のpHは6.5であった。担体hは、リンがP濃度換算で5質量%、アルミニウムがAl濃度換算で92.4質量%、硫酸根がSO換算で2.7質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体hにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.291、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.057であり、これらの比率Sb/Saは0.20であった。担体hを用いて実施例1と同様にして触媒Hを得た。触媒Hの性状を表1に示す。触媒Hは、リンがP濃度換算で4.8量%、硫酸根がSO換算で2.5質量%(いずれも触媒全量基準)含有されていた。
[比較例6]
実施例2において、熟成の際のpHを10.0となるよう15質量%アンモニア水を添加したこと以外は、実施例2と同様にしてアルミナ−リン担体iを得た。担体iは、リンがP濃度換算で2質量%、アルミニウムがAl濃度換算で97.8質量%、硫酸根がSO換算で0.2質量%(いずれも担体全量基準)含有されていた。担体iにおける酸性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Saは0.179、塩基性OH基に対応するスペクトルピークの吸光度Sbは0.092であり、これらの比率Sb/Saは0.51であった。担体iを用いて実施例1と同様にして触媒Iを得た。触媒Iの性状を表1に示す。
[触媒活性評価試験]
水素と硫化水素を用いて予備硫化を行った実施例1〜3の触媒A〜C及び比較例1〜6の触媒D〜Iについて、固定床式のマイクロリアクターを用い、以下に示す条件で水素化脱メタル活性、脱硫活性、及び脱アスファルテン活性を調べた。
反応条件;
触媒充填量 :400ml
反応圧力 :13.5MPa
液空間速度(LHSV) :1.0hr−l
水素/油比(H/HC) :800Nm/kl
反応温度 :370℃
また、原料油には下記性状の常圧残渣油を使用した。
原料油性状;
密度(15℃) :0.9761g/cm
アスファルテン分 :3.4質量%
イオウ分 :4.143質量%
メタル(Ni+V)量 :80.5質量%
水素化脱メタル活性、脱硫活性、及び脱アスファルテン活性を脱メタル率、脱硫率及び脱アスファルテン率として表し、その値を表1に示した。
なお、脱メタル率は次式により求めた。
脱メタル率=(原料油中のメタル濃度−水素化処理生成油中のメタル濃度/原料油中のメタル濃度)×100
また、脱硫率は次式により求めた。
脱硫率=(原料油中の硫黄濃度−水素化処理生成油中の硫黄濃度/原料油中の硫黄濃度)×100
脱アスファルテン率は次式により求めた。
脱アスファルテン率=(原料油中のアスファルテン濃度−水素化処理生成油中のアスファルテン濃度/原料油中のアスファルテン濃度)×100
Figure 2017113715
[評価結果]
表1の結果から、本発明における触媒A〜Cは、所定の構成を有しているので、比較例1〜3の触媒D〜Fよりも脱メタル率、脱アスファルテン率の値が特に高く、脱硫活性も高いことがわかる。また、細孔径100〜1000nmの範囲に細孔分布の第2の極大値を有する触媒A、C(実施例1、3)では、脱メタル率と脱アスファルテン率が非常に高い値を示すこともわかる。ただし、単にこの第2の極大値を所定の範囲に有していても、本発明の他の構成を満たしていない比較例3の触媒Fでは、上述した本発明の効果を奏することはできない。また、比較例4、5は、実施例1と異なり、硫酸根が本発明で規定する範囲を外れてしまうため、リン含有量が実施例1と同じであっても細孔直径100〜1000nmの範囲の細孔容積(PVma)の割合が高くなりPVma/PVmeが0.1〜0.4の範囲を外れてしまうため、触媒の耐圧強度が低く商業用触媒として適さない。さらに、リン含有量が0.5〜7.0質量%の範囲にあり、また硫酸根がSO換算で1.0質量%以下のアルミナ−リン担体を用いたとしても、比較例6では、第3工程におけるアルミナ−リン水和物の熟成において、pHが7.0〜9.0の範囲内で行われていない。この結果、細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積(PVme)に対して、細孔直径10〜30nmの範囲に細孔分布の極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合(ΔPV/PVme)が高くなってしまうため、触媒活性や耐圧強度が低い。

Claims (13)

  1. アルミナ-リン担体に水素化活性金属を担持した水素化処理触媒であって、
    (1)比表面積が100m/g以上であり、
    (2)水銀圧入法で測定した全細孔容積が0.80〜1.50ml/gであり、
    (3)細孔直径10〜30nmの範囲に細孔分布の極大値を有し、
    (4)細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積(PVme)に対する前記極大値における細孔直径の±2nmの範囲の細孔容積(ΔPV)の占める割合(ΔPV/PVme)が0.40以下であり、
    (5)耐圧強度が10N/mm以上であり、
    (6)リンを触媒全量基準でP濃度換算量として0.4〜10.0質量%含み、
    (7)水素化活性金属が周期律表第6A族の金属及び第8族の金属から選ばれる金属であり、
    (8)硫黄の含有量が触媒全量基準でSO濃度換算量として1.0質量%以下であり、
    (9)前記アルミナ−リン担体は、透過型フーリエ変換赤外分光光度計によって測定される酸性OH基に対応する3674〜3678cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Saに対する、塩基性OH基に対応する3770〜3774cm−1の波数範囲にあるスペクトルピークの吸光度Sbの比率Sb/Saが0.15〜0.50の範囲にあることを特徴とする水素化処理触媒。
  2. 前記周期律表6A族の金属は、クロム、モリブデン及びタングステンのうちの少なくとも一種の金属であり、前記周期律表8族の金属は、鉄、ニッケル及びコバルトのうちの少なくとも一種の金属であることを特徴とする請求項1記載の水素化処理触媒。
  3. 前記アルミナ-リン担体におけるリン含有量が、担体全量基準でP濃度換算量として0.5〜7.0質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の水素化処理触媒。
  4. 前記水素化活性金属が、触媒全量基準で酸化物濃度換算量として1〜30質量%含まれることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の水素化処理触媒。
  5. 細孔直径100〜1000nmの範囲に細孔分布の極大値を有さないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の水素化処理触媒。
  6. 細孔直径100〜1000nmの範囲に細孔分布の第2の極大値を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の水素化処理触媒。
  7. 細孔直径100〜1000nmの範囲の細孔容積(PVma)と、細孔直径5〜100nmの範囲の細孔容積(PVme)との割合(PVma/PVme)が0.1〜0.4の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の水素化処理触媒。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一つに記載の水素化処理触媒を用いることを特徴とする重質炭化水素油の水素化処理方法。
  9. アルミナ−リン担体に水素化活性金属を担持させる水素化処理触媒の製造方法であって、
    (1)pHが2.0〜5.0に調整された酸性アルミニウム塩水溶液を撹拌しながら、pHが7.5〜10.0となるように塩基性アルミニウム塩水溶液を添加してアルミナ水和物を得る第1工程と、
    (2)前記アルミナ水和物のアルミナ固形質量に対して20〜50倍量の純水で洗浄し除去したアルミナ水和物にリンを添加してアルミナ-リン水和物を得る第2工程と、
    (3)前記アルミナ−リン水和物を順次熟成、捏和、成型、乾燥、及び焼成してアルミナ−リン担体を得る第3工程と、
    (4)周期律表6A族の金属及び第8族の金属から選ばれる金属を前記担体に担持させる第4工程と、
    を有することを特徴とする水素化処理触媒の製造方法。
  10. 前記第2工程で、アルミナ水和物に対してリンを、前記担体全量基準でP濃度換算量として3.0〜7.0質量%となるように添加することを特徴とする請求項9に記載の水素化処理触媒の製造方法。
  11. 前記第2工程で、アルミナ水和物に対してリンを、担体全量基準でP濃度換算量として0.5〜2.5質量%となるように添加することを特徴とする請求項9に記載の水素化処理触媒の製造方法。
  12. 前記第2工程で、洗浄に用いる純水の温度は、50〜70℃℃の範囲であることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一つに記載の水素化処理触媒の製造方法。
  13. 前記第3工程で、前記アルミナ−リン水和物の熟成は、pHが7.0〜9.0の範囲で行われることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか一つに記載の水素化処理触媒の製造方法。
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