JP2017105031A - 透湿性積層体 - Google Patents
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その他の先行技術として、特開2002−113828号公報(特許文献1)では、150℃以上の耐熱性を有する通気性耐熱繊維素材層、ポリエチレン系樹脂スパンボンド不織布層および微多孔性フィルムが熱接着により積層された包装用積層材料が提案されており、通気性、透湿性、微粉体バリア性を有するとともに、シール性にすぐれ、脱酸素剤、吸湿剤などの各種機能性物品の包装に適しているとされる。
すなわち、本発明は、以下の透湿性積層体を提供する。
ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)を有する透湿性積層体であり、当該透湿性積層体の透湿度が1,000〜20,000g/(m2・24hr)、流れ方向(MD)の引張破断強度が20〜200MPa、60℃における流れ方向(MD)の熱収縮率が5.0%以下、かつ、当該ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)と当該ポリオレフィン系不織布I(B)との層間接着剥離強度が0.5N/15mm以上であることを特徴とする透湿性積層体。
本発明の透湿性積層体は、ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)を有する透湿性積層体であり、当該透湿性積層体の透湿度が1,000〜20,000g/(m2・24hr)、流れ方向(MD)の引張破断強度が20〜200MPa、60℃における流れ方向(MD)の熱収縮率が5.0%以下、かつ、前記ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)とポリオレフィン系不織布I(B)との層間接着剥離強度が0.5N/15mm以上であることを特徴とする。
ここで流れ方向(MD)は、ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)の押出成形時における機械の引き取り方向に基づくものである。
ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が密度0.900〜0.940g/cm3、融点100〜130℃、配合量10〜50質量部、低密度ポリエチレン(LDPE)が密度0.910〜0.930g/cm3、融点100〜120℃、配合量1〜10質量部、ポリプロピレン(PP)が密度0.890〜0.910g/cm3、融点155〜170℃、配合量1〜10質量部、および無機充填材が配合量30〜88質量部の割合で含有することが好ましい。
配合量は好ましくは30〜88質量部、より好ましくは46〜78質量部である。配合量が30質量部以上とすることで、優れた透湿性が得られ、88質量部以下とすることで、耐水性および強度を得ることが出来る。
ポリオレフィン系不織布I(B)は、原料、製造方法、製造元および物性に特に規定は無い。
原料はポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂を主成分とするが、ポリエチレンテレフタレート(PET)など非オレフィン系樹脂を芯材とし、ポリエチレン(PE)を鞘材とした芯鞘構造の複合繊維不織布を用いても構わない。
ここでDSC融解ピークは、JIS K7121に準拠して、走査速度10℃/分に設定したDSCでの測定によって生じたピークである。
ポリオレフィン系不織布II(C)は、前記不織布I(B)と同一の不織布を用いてもよいし、異なる不織布を用いてもよい。異なる不織布の場合もまた、原料、製造方法、製造元および物性(目付など)に特に規定は無く、任意のものが使用できる。
条件(1) 前記ポリオレフィン系不織布I(B)のDSC融解ピークが80〜125℃に、前記ポリオレフィン系不織布II(C)のDSC融解ピークが130〜170℃にそれぞれ1つ以上有する。
条件(2) 前記ポリオレフィン系不織布I(B)のDSC融解ピークが130〜170℃に、前記ポリオレフィン系不織布II(C)のDSC融解ピークが80〜125℃にそれぞれ1つ以上有する。
本発明における透湿性積層体について、前記ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)の積層構成が、(A)/(B)/(C)または(B)/(A)/(C)であることが好ましい。
本発明は、ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)を有する透湿性積層体であり、前記透湿性積層体の透湿度が1,000〜20,000g/(m2・24hr)、流れ方向(MD)の引張破断強度が20〜200MPa、60℃における流れ方向(MD)の熱収縮率が5.0%以下、かつ、当該ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)と当該ポリオレフィン系不織布I(B)との層間接着剥離強度が0.5N/15mm以上であることを特徴とする。
本発明の透湿性積層体は、以下に記す方法で製造される。
前記ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、前記ポリオレフィン系不織布I(B)および前記ポリオレフィン系不織布II(C)を重ね合わせ、ヒートロールとニップロール間で押圧してラミネートするのが好ましい。代表的な方法としては、「熱フラットロール法」あるいは「熱エンボスロール法」が挙げられる。ここで、フラットロールはクロムなどでメッキされた平滑な表面を持つロールで、エンボスロールは平滑な表面に各種形状のエンボスパターン(格子柄、ドット柄、水玉柄、くさび柄など)が彫刻されたロールである。
前記ヒートロールは一般的には、加熱された水、水蒸気または油などの媒体を循環させ加熱する金型ロール、あるいは誘導コイルが内蔵された誘導発熱式ロールや外部からIHヒーターで加熱する高周波加熱ロールなどが一般的に入手できる。ニップロールは金属製あるいは合成ゴム製であり、ニップロール両端に設けられた圧縮空気または作動油による可動シリンダーで、ヒートロールと押圧(ニップ)される。
ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)は、以下の製造方法で作製した。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)として、ノバテックLL UF230(日本ポリエチレン(株)製、密度0.920g/cm3、MFR1.0g/10min、融点122℃)を22質量部、低密度ポリエチレン(LDPE)として、ノバテックLD LF441(日本ポリエチレン(株)製、密度0.923g/cm3、MFR2.3g/10min、融点110℃)を5質量部、ポリプロピレン(PP)として、ノバテックPP SA03(日本ポリプロ(株)製、密度0.900g/cm3、MFR30g/10min、融点166℃)を5質量部、無機充填材として、炭酸カルシウム(ライトンBS−0、備北粉化工業(株)製、平均粒子径1.1μm)を64質量部、可塑剤として、ジペンタエリスリトール系液体可塑剤(D600、(株)ジェイ・プラス製)を4質量部、熱安定剤として、IRGANOX B225(BASFジャパン(株)製)を0.1質量部を原料として用いた。これらの原料をヘンシェルミキサーで5分間混合した後、φ80mm同方向二軸押出機にてコンパウンドペレットを作製した。その後、φ90mm単軸押出機およびφ300mm円ダイの空冷インフレーション成形法からロール式縦延伸機で、目付が75g/m2、透湿度が10,000g/(m2・24hr)、幅が1000mmの多孔質フィルム(A)を得た。
ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)として、芯材がポリエステル、鞘材がポリエチレンの芯鞘構造の複合繊維不織布(ユニチカ(株)製、エルベス T0203WDO、目付:20g/m2)を使用した。
前記(A)〜(C)を、φ600mm誘導発熱式フラットロール、φ500mmシリコン製ニップロールを備えた熱ラミネーション設備を使用し、以下の工程で貼り合わせて透湿性積層体を得た。
第1工程:φ600mm誘導発熱式フラットロール温度を140℃、φ500mmシリコン製ニップロール温度を120℃、ラミネーション加工速度を23m/minおよびニップロール圧力を120N/cmにて、多孔質フィルム(A)と不織布I(B)とを貼り合わせた。
第2工程:さらに不織布II(C)を第1工程と同条件で、積層構成が(B)/(A)/(C)となるように貼り合わせた。
ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)は、以下の製造方法で作製した。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)として、ノバテックLL UF230(日本ポリエチレン(株)製、密度0.920g/cm3、MFR1.0g/10min、融点122℃)を17質量部、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(m−LLDPE)として、カーネル KF360T(日本ポリエチレン(株)製、密度0.900g/cm3、MFR3.5g/10min、融点90℃)を5質量部、低密度ポリエチレン(LDPE)として、ノバテックLD LF441(日本ポリエチレン(株)製、密度0.923g/cm3、MFR2.3g/10min、融点110℃)を5質量部、ポリプロピレン(PP)として、ノバテックPP SA03(日本ポリプロ(株)製、密度0.900g/cm3、MFR30g/10min、融点166℃)を5質量部、無機充填材として、炭酸カルシウム(ライトンBS−0、備北粉化工業(株)製、平均粒子径1.1μm)を64質量部、可塑剤として、ジペンタエリスリトール系液体可塑剤(D600、(株)ジェイ・プラス製)を4質量部、熱安定剤として、IRGANOX B225(BASFジャパン(株)製)を0.1質量部を原料として用いた。これらの原料を前記実施例1と同条件にて作製して、目付が75g/m2、透湿度が10,000g/(m2・24hr)、幅が1000mmの多孔質フィルム(A)を得た。
ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)として、実施例1と同様のものを使用した。
前記(A)〜(C)を、φ600mm誘導発熱式フラットロール、φ500mmシリコン製ニップロールを備えた熱ラミネーション設備を使用し、以下の工程で貼り合わせて透湿性積層体を得た。
第1工程:φ600mm誘導発熱式フラットロール温度を140℃、φ500mmシリコン製ニップロール温度を120℃、ラミネーション加工速度を23m/minおよびニップロール圧力を120N/cmにて、多孔質フィルム(A)と不織布I(B)とを貼り合わせた。
第2工程:さらに不織布II(C)を第1工程と同条件で、積層構成が(B)/(A)/(C)となるように貼り合わせた。
ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)は、原料に直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE):ノバテックLL UF230 7質量部、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(m−LLDPE):カーネル KF360T 15質量部、低密度ポリエチレン(LDPE):ノバテックLD LF441 5質量部、無機充填材:炭酸カルシウム ライトンBS−0 64質量部、可塑剤:ジペンタエリスリトール系液体可塑剤 D600 4質量部、熱安定剤:IRGANOX B225 0.1質量部を前記実施例1と同条件にて、目付75g/m2、透湿度10,000g/(m2・24hr)、原反幅1000mmの多孔質フィルム原反を得た。
ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)として、実施例1と同様のものを使用した。
前記(A)〜(C)を、φ600mm誘導発熱式フラットロール、φ500mmシリコン製ニップロールを備えた熱ラミネーション設備を使用し、以下の工程で貼り合わせて透湿性積層体を得た。
第1工程:φ600mm誘導発熱式フラットロール温度を140℃、φ500mmシリコン製ニップロール温度を120℃、ラミネーション加工速度を23m/minおよびニップロール圧力を120N/cmにて、多孔質フィルム(A)と不織布I(B)とを貼り合わせた。
第2工程:さらに不織布II(C)を第1工程と同条件で、積層構成が(B)/(A)/(C)となるように貼り合わせた。
実施例1〜2および比較例1〜2を以下の項目で評価した。評価結果は表1に示す。
得られた透湿性積層体から試験片(MD:250mm,TD:200mm)を採取した後、電子天秤で重量(g)を測定し、その数値を20倍して目付とした。
(2)透湿度
透湿度はJIS Z0208(カップ法)に準拠する。温度40℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿オーブン内に1時間入れ、吸湿剤である塩化カルシウム15gの重量変化から吸湿量を求める。サンプルは無作為に3点測定し、その算術平均値を求めた。
(3)耐水圧
JIS L1092 B法(高水圧法)に準拠する測定装置を用いて、20.0±3.0℃の環境下で50kPa/minの昇圧速度で、透湿性積層体から水滴が3点滲み出した時の圧力を耐水圧とした。サンプルは無作為に3点測定し、その算術平均値を求めた。
(4)流れ方向(MD)の引張破断強度
JIS K7127に準拠し、試験幅25mm、引張速度200m/minで3回測定した。透湿性積層体の試験片が破断した点の強度および厚みから計算し、算術平均値を求めた。
(5)60℃における流れ方向(MD)の熱収縮率
得られた透湿性積層体から試験片(MD:200mm,TD:10mm)を採取し、両端を拘束せず、槽内温度60℃に設定した対流オーブンに1.0時間静置加熱する。その後、MD方向の長さ L(mm)を測定する。熱収縮率は、(L−200)/200×100 で求められ、サンプルは無作為に3点測定し、その算術平均値を求めた。
(6)多孔質フィルム(A)と不織布I(B)との層間接着剥離強度
23℃、50%湿度環境下でJIS K7127準拠の引張試験機で試験幅15mm、引張速度200m/min、チャック間隔50mmにおいて、多孔質フィルムの機械流れ方向(MD)に沿って、180℃剥離(T剥離)強度を測定する。サンプルは無作為に3点測定し、その算術平均値を求めた。
しかしながら、比較例1は、多孔質フィルムがポリプロピレン・ホモポリマーを含んでいないため、ラミネーションの予熱によって融解し、透湿性が著しく失われたと推定される。
Claims (7)
- ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)を有する透湿性積層体であり、
当該透湿性積層体の透湿度が1,000〜20,000g/(m2・24hr)、流れ方向(MD)の引張破断強度が20〜200MPa、60℃における流れ方向(MD)の熱収縮率が5.0%以下、かつ、当該ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)と当該ポリオレフィン系不織布I(B)との層間接着剥離強度が0.5N/15mm以上であることを特徴とする透湿性積層体。 - 前記ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)の積層構成が、(A)/(B)/(C)または(B)/(A)/(C)であることを特徴とする請求項1に記載の透湿性積層体。
- 前記多孔質フィルム(A)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が10〜50質量部、低密度ポリエチレン(LDPE)が1〜10質量部、ポリプロピレン(PP)が1〜10質量部、および無機充填材が30〜88質量部の割合で含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透湿性積層体。
- 前記ポリオレフィン系不織布I(B)および前記ポリオレフィン系不織布II(C)のDSC融解ピークが80〜170℃に1つ以上有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の透湿性積層体。
- 前記ポリオレフィン系不織布I(B)のDSC融解ピークが80〜125℃に、前記ポリオレフィン系不織布II(C)のDSC融解ピークが130〜170℃にそれぞれ1つ以上有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の透湿性積層体。
- 前記ポリオレフィン系不織布I(B)のDSC融解ピークが130〜170℃に、前記ポリオレフィン系不織布II(C)のDSC融解ピークが80〜125℃にそれぞれ1つ以上有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の透湿性積層体。
- 前記ポリオレフィン系多孔質フィルム(A)、ポリオレフィン系不織布I(B)およびポリオレフィン系不織布II(C)を、(A)/(B)/(C)の順で重ね合わせ、ヒートロールとニップロールとの間で押圧してラミネートされる請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の透湿性積層体の製造方法。
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