以下に、図を参照することにより、本発明の実施形態について説明する。
なお、本実施形態においては、インクジェット方式の画像形成装置を参照して説明するが、本発明はこの点において限定されず、プリンタ、スキャナ、被写機、プロッタ、ファクシミリ及びファックス等において、吐出器(吐出ヘッド、インクヘッド、記録ヘッド、インクジェットなど)から液滴(インクなど)を吐出して、記録媒体の表面に画像を形成(又は、印刷、印写、印字、記録など)するものであれば、いずれのものにも応用することができる。
また、本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の吐出ヘッド(記録ヘッド、インクヘッド)を有する画像形成装置を説明するが、本実施形態を実施できる画像形成装置は、これらの吐出ヘッドを有するものに限定されない。例えば、グリーン(G)、レッド(R)、ライトシアン(LC)及び/又はその他の色に対応する吐出ヘッドを更に有するもの、又は、ブラック(B)のみの吐出ヘッドを有するものなどを含む。
さらに、本明細書において、HDとは色材濃度が高いインクを指し、MDとは色材濃度がHDインクよりも相対的に低いインクを指し、LDとは色材濃度がMDインクよりも相対的に低いインクを指す。HDKとは、色材濃度が高いブラックインクを指し、MDKとは色材濃度がHDKインクよりも相対的に低いブラックインクを指し、LDKとは色材濃度がMDKインクよりも相対的に低いブラックインクを指す。HDCとは色材濃度が高いシアンインクを指し、MDCとは色材濃度がHDCインクよりも相対的に低いシアンインクを指し、LDCとは色材濃度がMDCインクよりも相対的に低いシアンインクを指す。HDMとは、色材濃度が高いマゼンタインクを指し、MDMとは色材濃度がHDMインクよりも相対的に低いマゼンタインクを指し、LDMとは色材濃度がMDMインクよりも相対的に低いマゼンタインクを指す。HDYとは色材濃度が高いイエローインクを指し、MDYとは色材濃度がHDYインクよりも相対的に低いイエローインクを指し、LDYとは色材濃度がMDYインクよりも相対的に低いイエローインクを指す。
またさらに、本実施形態では、記録媒体として、ロール状に巻かれた連続紙(以下、「ロール紙Md」という。)を用いるが、本実施形態の画像形成装置が画像を形成することができる記録媒体は、ロール紙に限定されない。例えば、普通紙、上質紙、薄紙、厚紙、記録紙、OHPシート、合成樹脂フィルム、金属薄膜及び/又はその他表面にインク等で画像を形成することができるものを含む。ここで、ロール紙とは、切断可能なミシン目が所定間隔で形成された連続紙(連続帳票)などを指す。
(画像形成装置)
図1に、本実施形態の画像形成装置の一例の概略構成図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、例えばロール紙Mdである記録媒体を搬入する搬入手段10と、搬入されたロール紙Mdを前処理する前処理手段20と、ロール紙Mdの表面に画像を形成する画像形成手段40と、画像が形成されたロール紙Mdを後処理する後処理手段50と、を有して構成される。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、前処理及び後処理されたロール紙Mdを乾燥させる乾燥手段30と、後処理されたロール紙Mdを搬出する搬出手段60と、画像形成装置100の動作を制御する図示しない制御手段70を有していても良い。
搬入手段10は、記録媒体を前処理手段20等に搬送する手段である。搬入手段10は、本実施形態では、給紙部11及び複数の搬送ローラ12等で構成される。搬入手段10は、搬送ローラ12等を用いて、給紙部11の給紙ロールに巻き付けて保持されたロール紙Mdを搬入(移動)し、後述する前処理手段20(プラテン)等に搬送する。
前処理手段20は、画像が形成される前の記録媒体を処理する手段である。前処理手段20は、本実施形態では、搬入手段10によって搬入されたロール紙Mdの表面を、前処理液で前処理する。
インクジェット方式の画像形成装置では、インクジェット専用紙以外の記録媒体に外像形成を行った場合、滲み、濃度、色調、裏写りなどの品質問題や、耐水性、耐候性といった画像堅牢性に問題が生じることがある。そのため、記録媒体に画像を形成する前に、前処理手段20によって後述する前処理液を塗布し、インクを凝集させて、画像品質を向上させる。
本実施形態に係る前処理手段20による、前処理方法としては、前処理液を均一に塗布することができれば特に制限されず、例えばブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法等を採用することができる。
図2に、本実施形態の前処理手段20の一例の概略構成図を示す。図2を用いて、一例としてロールコート法を用いた前処理方法について説明する。
前処理手段20は、本実施形態では、搬入手段10(図1)によって前処理手段20内に搬入(搬送)されたロール紙Mdの表面に、貯留している前処理液20Lを塗布する。
前処理手段20は、先ず、攪拌(供給)ローラ21及び薄膜化(移送)ローラ22によって、前処理液20Lを塗布ローラ23の表面に薄膜状に転写(転移)する。次に、前処理手段20は、塗布ローラ23を回転するプラテンローラ24に押し付け、塗布ローラ23を回転する。このとき、前処理手段20は、塗布ローラ23とプラテンローラ24との間隙にロール紙Mdを搬送することで、ロール紙Mdの表面に前処理液20Lを塗布することができる。
また、前処理手段20は、圧力調整装置25を用いて、前処理液を塗布するときのニップ圧(塗布ローラ23とプラテンローラ24とが接触する位置に作用する圧力)を制御する。これにより、前処理手段20は、圧力調整装置25を用いてニップ圧を変えることで、後述する画像形成手段40が記録媒体上に形成する画像の解像度に基づいて、前処理液20Lの塗布量(膜厚、液量、付着量、乾燥付着量など)を制御(変化)することができる。
さらに、前処理手段20は、塗布ローラ23及びプラテンローラ24の回転速度を制御する。塗布ローラ23等の回転速度を変えることで、後述する画像形成手段40が記録媒体上に形成する画像の解像度に基づいて、前処理液20Lの塗布量を制御(変化)することができる。なお、前処理手段20は、例えば塗布ローラ23及びプラテンローラ24を駆動する図示しない動力源(駆動モーターなど)の動作を制御することによって、塗布ローラ23等の回転速度を制御してもよい。
以上により、本実施形態に係る前処理手段20によれば、噴射ヘッドを用いて前処理液を記録媒体に塗布する場合と比較して、塗布ローラ23等を用いて、ロール紙Md(記録媒体)の表面に均一に前処理液20Lを塗布することができる。そのため、比較的粘度の高い前処理液20Lを用いた場合でも、前処理液20Lをロール紙Md上に均一に薄く塗布することができ、画像の滲み等を低減することができる。
前述したように、本実施形態の画像形成装置100は、乾燥手段30を有していても良い。乾燥手段30は、記録媒体を加熱等により乾燥する手段であり、例えば、前処理手段20によって前処理されたロール紙Mdを乾燥させる前処理用乾燥部31と、後処理手段50によって後処理されたロール紙Mdを乾燥させる後処理用乾燥部32と、を有する。
前処理用乾燥部31は、例えばヒートローラ31h(図1参照)を用いることができる。
具体的には、前処理用乾燥部31は、ヒートローラ31hを例えば50〜100℃に加熱し、前処理液を塗布されたロール紙Mdの表面をヒートローラ31hに接触等させることができる。これにより、前処理用乾燥部31は、前処理液を塗布されたロール紙Mdの表面をヒートローラ31hにより加熱し、前処理液の水分を蒸発させ、ロール紙Md(の前処理液)を乾燥させることができる。ここで、前処理用乾燥手段31は、記録媒体の種類等及び/又は前処理液20Lの塗布量に基づいて、乾燥強度(乾燥方法)を制御してもよい。
なお、前処理用乾燥部31は、乾燥手段をヒートローラに限定されない。すなわち、前処理用乾燥部31は、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、温風乾燥及びその他乾燥方法を用いることができる。また、前処理用乾燥部31は、複数の乾燥方法を組み合わせた乾燥方法を用いてもよい。さらに、前処理用乾燥部31は、前処理液手段20が前処理液を塗布する前に、ロール紙Md(記録媒体)を加熱してもよい(プレヒート工程)。
後処理用乾燥部32の構成は、前処理用乾燥部31の構成と同様のものを使用することができる。なお、後処理用乾燥手段32は、記録媒体の種類等、前処理液20Lの塗布量、及び/又は、後処理液50Lの吐出量に基づいて、乾燥強度(乾燥方法)を制御してもよい。
前処理工程後の記録媒体は、画像形成手段40によって、画像データに応じた画像が形成される。即ち、画像形成手段40は、記録媒体に画像を形成する手段である。
図3に、本実施形態の画像形成手段40の一例の概略構成図を示す。
図3に示した画像形成手段40は、フルライン型のヘッドであり、画像形成手段40には、記録媒体の搬送方向Xmの上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの吐出ヘッド40K、40C、40M及び40Yが配置されている。
なお、本実施形態においては、インクの種類としては、同一カラーに対して少なくとも第1の色材濃度を有する第1のインクと、第2の色材濃度を有する第2のインクと、を有する。なお、第1の色材濃度と第2の色材濃度とは、各々濃度が異なり、例えば一方が標準濃度のインクであり、他方が高画像品質対応の濃度が高いインクであっても良い。また、一方が標準濃度のインクであり、他方が低画像品質対応の濃度が低いインクであっても良い。さらに、一方が高画像品質対応の濃度が高いインクであり、他方が低画像品質対応の濃度が低いインクであっても良い。
ここで、ブラック(K)の吐出ヘッド40Kは、本実施形態では、ロール紙Mdの搬送方向Xmと直行する方向に4つのヘッドユニット40K−1、40K−2、40K−3及び40K−4を千鳥状に配置している。これにより、画像形成手段40は、ロール紙Md(記録媒体)の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直行する方向)の全域に画像を形成することができる。
図4に、本実施形態の画像形成手段40の吐出ヘッドの断面形状の一例を説明するための概略図を示す。より具体的には、図4(a)は、画像形成手段40の流路(液室40Fの長手方向の断面)の一例を示す概略断面図であり、図4(b)は、画像形成手段40の吐出口40Nの配置(液室40Fの短手方向(吐出口の並び方向)の断面(図4(a)のSC1))を示す断面図である。
図4(a)に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成手段40の吐出ヘッド(40K等)は、本実施形態では、吐出するインクの通路を形成する流路板41と、流路板41の下面(吐出ヘッドの内部方向)に接合された振動板42と、流路板41の上面(吐出ヘッドの外側方向)に接合されたノズル板43と、振動板42の周縁部を保持するフレーム部材44とを備える。また、吐出ヘッドは、振動板42を変形させるための圧力発生手段(アクチュエータ手段)45を有する。
なお、吐出ヘッドは、本実施形態では、ノズル面(ノズル板43の外形表面)に、複数の吐出口(ノズル、印字ノズル)40Nを備える。ここで、複数の吐出口40Nは、吐出ヘッド40K−1の長手方向に1列に配置され、ノズル列を構成している。なお、吐出ヘッド40K−1は、複数のノズル列を備えてもよい。
本実施形態に係る吐出ヘッド(40K等)は、流路板41と、振動板42と、ノズル板43とを積層することによって、吐出口(ノズル)40Nに連通する流路であるノズル連通路40R及び液室40Fを形成することができる。また、吐出ヘッドは、フレーム部材44を更に積層することによって、液室40Fにインクを供給するためのインク流入口40S及びインクを液室40Fに供給する共通液室40Cなどを形成することができる。
更に、吐出ヘッドは、圧力発生手段45を用いて、振動板42を変形(撓み変形)することができる。これにより、吐出ヘッドは、液室40Fの容積(体積)を変化させ、液室40F内のインクに作用する圧力を変化させることができる。この結果、吐出ヘッドは、吐出口40Nから、インクを吐出することができる。
流路板41としては、例えば、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を用いることができる。これにより、流路板41は、水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路40R及び液室40Fとなる凹部及び穴部を形成されることができる。なお、流路板41に用いることができる材料は、単結晶シリコン基板に限られるものではない。即ち、流路板41は、ステンレス基板、感光性樹脂及びその他材料を用いることができる。
振動板42としては、例えば、ニッケルの金属プレートを用いることができる。これにより、振動板42は、ニッケル電鋳(例えばエレクトロフォーミング法、電鋳法)で加工されることができる。なお、振動板42は、ニッケルの金属プレート以外の金属板、又は、金属と樹脂板との接合部材などを用いてもよい。
ノズル板43としては、例えば、単結晶シリコン基板を用いることができる。これにより、ノズル板43は、流路板41と同様に、異方性エッチングで加工されることができる。なお、ノズル板43は、金属部材からなる外形表面に、所要の層を介して、撥水層を形成されてもよい。
また、ノズル板43は、本実施形態では、液滴(インク滴)を吐出する複数のノズル40Nを有する。具体的には、ノズル板43は、各液室40Fに対応して、直径10〜30μmのノズル40Nを夫々形成されている。
フレーム部材44としては、例えば、熱硬化性樹脂(例えばエポキシ系樹脂)又はポリフェニレンサルファイト(PPS)などを用いることができる。これにより、フレーム部材44は、射出成形で加工されることができる。
また、フレーム部材44は、本実施形態では、圧力発生手段45を収納する収容部、共通液室40Cとなる凹部、共通液室40Cに吐出ヘッド外部からインクを供給するためのインク供給口40INを形成されている。
圧力発生手段45は、電気機械変換素子を用いることができる。圧力発生手段45は、本実施形態では、電気機械変換素子である圧電素子45Pと、圧電素子45Pを接合固定するベース基板45Bと、隣り合う圧電素子45Pの間隙に配置された支柱部とを備えている。また、圧力発生手段45は、圧電素子45Pを図示しない駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル45C等を備えている。
ここで、圧電素子45Pは、図4(b)に示すように、圧電材料45Ppと内部電極45Peとを交互に積層した積層型圧電素子(PZT)を用いることができる。
内部電極45Peは、複数の個別電極45Peiと複数の共通電極45Pecとを有する。内部電極45Peは、本実施形態では、圧電素子45Ppの端面に交互に個別電極45Pei又は共通電極45Pecを接続している。
また、圧電素子45Pは、実施形態では、圧電素子45Ppの圧電方向として、d33方向を用いる。これにより、圧力発生手段45は、圧電素子45Pの圧電効果(d33方向の変位)を用いて、液室40F内のインクを加圧又は減圧することができる。なお、圧力発生手段45は、圧電素子45Pのd31方向の変位を用いて、液室40F内のインクを加圧又は減圧してもよい。また、圧力発生手段45は、1つの吐出口40Nに対して1列の圧電素子を配置してもよい。
なお、支柱部は、圧電素子部材(圧電素子45P)を分割することで、圧電素子45Pと同時に形成してもよい。すなわち、吐出ヘッドは、圧電素子に電圧を印加しないことによって、圧電素子部材を支柱部として用いることができる。
以下に、吐出ヘッドがノズル40Nからインクを吐出する動作(引き−押し打ち動作)を具体的に説明する。
吐出ヘッドは、本実施形態では、先ず、圧電素子45P(圧力発生手段45)に印加している電圧を基準電位から下げ、圧電素子45Pをその積層方向に縮小させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの縮小によって、振動板42を撓み変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の撓み変形によって、液室40Fの容積(体積)を拡大(膨張)させる。これにより、吐出ヘッドは、共通液室40Cから液室40F内にインクを流入させることができる。
次に、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を上げ、圧電素子45Pを積層方向に伸長させる。また、吐出ヘッドは、圧電素子45Pの伸長によって、振動板42をノズル40N方向に変形させる。このとき、吐出ヘッドは、振動板42の変形によって、液室40Fの容積(体積)を縮小(収縮)させる。これにより、吐出ヘッドは、液室40F内のインクに圧力を付加することができる。また、吐出ヘッドは、インクを加圧することによって、吐出口40Nからインクを吐出(噴射)することができる。
その後、吐出ヘッドは、圧電素子45Pに印加している電圧を基準電位に戻し、振動板42を初期位置に戻す(復元する)。このとき、吐出ヘッドは、液室40Fの膨張によって液室40F内を減圧し、共通液室40C内から液室40F内にインクを充填(補充)する。次いで、吐出ヘッドは、ノズル40Nのメニスカス面の振動が減衰(安定)した後、次のインクの吐出のための動作に移行し、上記の動作を繰り返す。
なお、本発明を用いることができる吐出ヘッドの駆動方法は、上記の例(引き−押し打ち)に限定されるものではない。すなわち、吐出ヘッドの駆動方法は、圧電素子45Pに印加する電圧(駆動波形)を制御することによって、引き打ち又は押し打ち等を行うことができる。
以上により、本実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成手段40(4つの吐出ヘッド40K、40C、40M及び40Y)を用いて、1回の記録媒体(ロール紙Md)の搬送動作で、画像形成領域の全域に、白黒又はフルカラーの画像を形成することができる。
なお、本発明を用いることができる圧力発生手段45は、上記の例(圧電素子45P)に限定されるものではない。すなわち、圧力発生手段45は、発熱抵抗体を用いて液室40F内のインクを加熱して気泡を発生させる方法(いわゆるサーマル型)のもの(例えば特開昭61−59911号公報参照)を用いてもよい。また、圧力発生手段45は、液室40Fの壁面に振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させた静電力によって振動板を変形させる方法(いわゆる静電型)のもの(例えば特開平6−71882号公報参照)を用いてもよい。
後処理手段50は、画像が形成された後の記録媒体を処理する手段であり、画像形成手段40によって画像を形成されたロール紙Mdの表面を、後述する後処理液で後処理する。
ここで、後処理とは、ロール紙Md(記録媒体)上に後述する後処理液によって処理し、記録媒体上に透明な保護層を形成することを指す。
後処理手段50は、記録媒体の種類や記録媒体に吐出されるインク量などの印刷条件に基づいて、後処理液の塗布領域や塗布方向を変更しても良い。例えば、塗布領域としては、記録媒体全面に亘って後処理液を塗布しても良いし、画像表面の特定の部分のみに塗布しても良い。
なお、後処理手段50の後処理方法は、特に制限はなく、後処理液の種類に応じて適宜選択してもよい。また、後処理手段50の後処理方法は、前述の前処理手段20の前処理液の塗布方法、又は、前述の画像形成手段40のインクを吐出する方法を用いることができる。更に、後処理手段50の後処理方法は、装置の小型化及び後処理液の保存安定性の観点から、画像形成手段40のインクを吐出する方法と同様の方法を用いることがより好ましい。ここで、後処理液を吐出させる場合では、画像形成手段40のインクを吐出する方法で使用されている水溶性有機溶剤(湿潤剤)を適当量含有することが好ましい。
また、本実施形態に係る後処理手段50は、後処理液の乾燥付着量を0.5g/m2〜10g/m2とすることが好ましく、2g/m2〜8g/m2とすることがより好ましい。後処理液の乾燥付着量が0.5g/m2未満の場合、画像品質(画像濃度、彩度、光沢度及び定着性)が低下する場合がある。また、後処理液の乾燥付着量が10g/m2を超える場合、保護層(後処理液)の乾燥性が低下することがある。また、後処理による画像品質の向上効果が飽和し、経済的に不利となる場合がある。
後処理手段50後の記録媒体は、好ましくは後処理用乾燥手段32を経て、搬出手段60によって搬出(排出)される。
図1に示すように、搬出手段60は、本実施形態では、保管部61及び複数の搬送ローラ62等で構成される。搬出手段60は、搬送ローラ62等を用いて、保管部61の保管ロールに画像が形成されたロール紙Mdを巻き付けて、保管する。
なお、ロール紙Mdを保管部61の保管ロールに巻き付けるときに、ロール紙Mdに作用する圧力が大きくなる場合には、ロール紙Mdの裏面に他の画像が転写することを防止するため、巻き取り直前にロール紙Mdを更に乾燥する乾燥部を設けてもよい。
本実施形態の画像形成装置は、前処理液の塗布によって色材が凝集することによる滲みを防止することができ、また後処理液の塗布によって画像の耐熱性の向上及び光沢ムラを低減することができる。また、解像度に応じて前処理液と後処理液の塗布量の制御が可能な構成であるため、処理液の付着不足による目標画像品質、耐擦性等の未達や、処理液の付着過多による乾燥時間の増加及びコスト増加を防止することができ、解像度に依存せず常に高い品質で堅牢性を有する画像形成が可能である。
なお、記録媒体の種類によって前処理液や後処理液の効果があまり出ない場合は、該当する工程を省略しても良い。
(画像形成方法)
次に、前述した画像形成装置を用いた画像形成方法、特に回復動作について説明する。
一般的に、画像形成装置における回復動作は、印字前の回復動作、印字中の回復動作及び印字後の回復動作に分類される。
本実施形態の画像形成装置においては、色材濃度が異なる2種類以上のインクを同一の吐出ヘッドを用いて吐出することにより画像を形成する。即ち、同一の吐出ヘッドにおいて、同じ駆動波形を用いて画像形成するため、色材濃度が異なる2種類以上のインクの各々は、インクの粘度、密度、表面張力などを揃える必要がある。ここで、高画質用の高色材濃度インク及び低コスト用の低色材濃度インクを製造するために、色材の濃度を変更すると、インクの粘度などを揃えるために、他の成分の含有比率を変更する必要が生じる。この場合、色材量、その他の成分の含有量などによって、インクの蒸発速度が変わる。また、固形分量によって蒸発時の粘度が変わるため、初期粘度が同じインクにおいても、インクの種類によって、経時的に粘度が変化する。このような状況において、例えば高い色材濃度のインクに合わせた回復動作を、低い色材濃度のインクに適用した場合、回復動作時のインクの廃棄量が多くなってしまう。
そのため、本実施形態では、高い色材濃度のインクを使用した場合と、低い色材濃度のインクを使用した場合とで、異なる回復動作を実施する。本実施形態における、各々の回復動作について、図を参照して説明する。
図5に、本実施形態の回復動作の一例を説明するための概略図を示す。また、図6に、本実施形態の回復動作の他の例を説明するための概略図を示す。なお、図5は、色材濃度が異なる2種類のインクを同一の吐出ヘッドで使用する場合の回復動作の一例であり、図6は、色材濃度が異なる3種類のインクを同一の吐出ヘッドで使用する場合の回復動作の一例である。
ここでは、2種類のインクを同一の吐出ヘッドで使用する場合の回復動作についてのみ説明するが、同様の回復動作により、3種類以上のインクを同一の吐出ヘッドで使用する場合にも適用可能である。
先ず、現在セットされているインクを識別する(S300)。インクの識別は、例えばHDインクかどうかを判定することで実施することができる。より具体的には、インクが保存されているタンク(例えばインクカートリッジ)にIDチップなどを用いて色材濃度毎の認識表示を備えることで実施することができる。
次に、前回画像形成からの休止時間が、所定の時間(例えば168時間)を超えているかどうかを判定する(S310、S320)。
次に、休止時間が所定の時間を越えている場合は、好ましくは吸引による回復動作を実施し(S311、S321)、所定の時間以内である場合は、好ましくは空吐出による回復動作を実施する(S312、S322)。
次に、印字データに基づき、印字(画像形成)する(S313、S323)。印字中も、好ましくは空吐出による回復動作が実施される(S314、S324)。
そして、S315、S325で印字が終了した後も、好ましくは空吐出による回復動作が実施される(S316、S326)。
各々の回復動作について、より詳細に説明する。
[印字前の回復動作]
印字前の回復動作は、主に、印字休止時間や、温度及び/又は湿度といった休止中のインク環境などに依存して、劣化した(増粘した)インクを廃棄するために実施される。また、インクの劣化は、ノズルの吐出孔の孔径や、休止時にノズル面をキャッピングするキャップ部材の材質や、ノズル面との密着性といった吐出ヘッドの構成などにも依存する。
インクの廃棄方法としては、インクを吸引する方法や、インクを空吐出する方法などが挙げられる。なお、インクの廃棄量としては、前者の場合、吸引時間及び/又は吸引圧を変更することによって、後者の場合、空吐出液滴数及び/又は空吐出液滴量を変更することによって、調整することができる。
なお、空吐出とは、画像形成に用いずに劣化したインクを吐出することを指す。具体例としては、非印字領域に設けられた図示しない廃インク受けやホームポジションなどの図示しないキャップ内などに、吐出孔近傍の増粘したインクをリセットする目的で吐出することを指す。
空吐出のタイミングとしては、ワイピングなどのメンテナンス作業によって吐出ノズル内に混入した異物などを廃棄するための空吐出、印字中の休止ノズルの増粘インクを廃棄するための空吐出、印字後に全ての増粘インクを廃棄するための空吐出などがある。インクジェット記録装置を連帳機として使用する場合は、印字中はホームポジションに戻ることが困難であるため、被記録媒体上の使用しない領域に吐出されることがある。また、画像の目立たない場所に吐出させても良い。
印字休止時は吐出ヘッドのノズル面がキャッピングされているため、インクの蒸発が緩やかになる。そのため、色材濃度が高いインクと、色材濃度が低いインクと、の間で、所定の時間まではインクの蒸発量に顕著な差異が生じないことが多い。そのため、空吐出などの、同じ回復動作を適用しても良い。前記所定の時間は、画像形成装置の構成にも依存するため限定されないが、例えば、168時間とすることができる。
一方、休止時間が例えば168時間以上の場合、色材濃度が高いインクと色材濃度が低いインクとでインク粘度に差異がある可能性が高い。そのため、回復動作は、インクを吸引する方法を採用することが好ましい。色材濃度が低いインクは、色材の種類にも依存するが、通常、湿潤剤などの他の成分がリッチとなることが多い。そのため、特に極性が高い色材を使用している場合は、ノズル近傍の溶剤リッチな相よりも、ノズル内部の水分リッチな相へと色材が拡散して、ノズル内部において相対的に粘度が高くなっていることがある。そのため、色材濃度が高いインクの場合よりも、色材濃度が低いインクの場合において、吸引によるインクの廃棄量が多くなるシーケンスを採用することが好ましい。
[印字中の回復動作]
印字中の回復動作としては、前述した空吐出による方法を採用することが好ましい。インクの廃棄量は、空吐出液滴数及び/又は空吐出液滴量を変更することによって、調整することができる。
印字中の回復動作における空吐出は、一般的に、記録媒体上の画像と画像の間の余白部分に、インクを吐出することで実施される。印字中は、色材濃度が高いインクの方が、色材濃度が低いインクと比して乾燥が進行しやすく、粘度が高くなりやすい。そのため、空吐出によって廃棄されるインク量も、色材濃度が高いインクの方が、色材濃度が低いインクの場合よりも、多くすることが好ましい。なお、余白部分を変更することはできないため、色材濃度が高いインクは、色材濃度が低いインクに比較して、空吐出1滴の滴量を大きくすることによって、インク量を調整することが好ましい。
また、画像データから予め各々のノズルの印字デューティーが既知である場合は、それに合わせて(色毎に)空吐出液滴数及び/又は空吐出液滴量を変更する構成であっても良い。
[印字後の回復動作]
印字後の回復動作としては、前述した空吐出による方法を採用することが好ましい。印字後の回復動作は、主に、印字時間と印字中の各々のノズルのデューティーの影響を受ける。しかしながら、ノズル内部のインクは、印字中の空吐出によって初期化されている状態に近いため、印字後の回復動作は、ノズル面に付着したインクミストなどの汚れを取り除くために、ノズル面のワイピングを含むことが好ましい。
ノズル面に付着したインクミストなどのインクは、増粘して固着している可能性が高いため、特に色材濃度が高いインクを使用した場合には、インクを吸引して固着インクを十分に湿らせた状態でワイピングを実施することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の画像形成方法では、現在セットされているインクの種類に応じて、個別の回復動作が実施される。
次に、本実施形態で使用できるインク、前処理液、後処理液などについて、詳細に説明する。
(インク)
本実施形態においては、インクの種類としては、同一カラーに対して少なくとも第1の色材濃度を有する第1のインクと、第2の色材濃度を有する第2のインクと、を有する。なお、第1の色材濃度と第2の色材濃度とは、各々濃度が異なり、例えば一方が標準濃度のインクであり、他方が高画像品質対応の濃度が高いインクであっても良い。また、一方が標準濃度のインクであり、他方が低画像品質対応の濃度が低いインクであっても良い。さらに、一方が高画像品質対応の濃度が高いインクであり、他方が低画像品質対応の濃度が低いインクであっても良い。
本実施形態で使用できるインクとしては、記録用インクとして使用されるものであれば特に限定されず、例えば、水、着色剤、湿潤剤、界面活性剤、水分散性樹脂などを含むものを使用することができる。また、必要に応じて、浸透剤などのその他の成分を含んでも良い。
以下、各々の成分について一例を説明するが、本発明はこの点において限定されない。
[着色剤]
着色剤としては、水分散性であり、顔料を含む、水分散性着色剤を使用することが好ましい。
水分散性着色剤としては、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不在下で水分散性及び水溶性の少なくともいずれかを示す顔料、ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン、界面活性剤及び質量平均分子量50,000以下の水溶性高分子化合物のいずれかにより分散された顔料、などが挙げられる。このうち、低湿潤剤濃度においても比較的安定して噴射が可能となる観点から、ポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。また、この顔料は、乾燥性を良好にするために、湿潤剤濃度を10%以下と低くしたインクにおいても、印写中のノズル抜けを起こすことなく安定的に印写可能であるため好ましい。
なお、色材を含有したポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、及びポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものの少なくともいずれかを指す。この場合、必ずしも顔料でなく水不溶性の染料などであっても良い。また、全ての顔料が封入及び/又は吸着している必要はなく、例えば、顔料がエマルジョン中に分散されていても良い。
ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマーを使用することが好ましい。
顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、有機顔料のいずれであっても良い。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックを使用することが好ましい。なお、カーボンブラックは、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法で製造することができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料を使用することが好ましい。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のものなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
カラー用のものとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
これらの中でも、ブラック用の顔料はカーボンブラックを使用することが好ましい。ブラックインクとしてカーボンブラックは色調に優れるとともに、耐水性、退光性、分散安定性に優れ、且つ安価であるため、好ましい。
その他顔料(例えば、カーボン)の表面を樹脂等で処理し、水中に分散可能としたグラフト顔料や、顔料(例えば、カーボン)の表面にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした加工顔料等を使用しても良い。また、顔料をマイクロカプセルなどに包含させ、顔料を水中に分散可能なものとしたものを使用しても良い。
[湿潤剤]
湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体例としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。上述した湿潤剤の中でも、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールを使用することが好ましい。
インク中における湿潤剤の含有量としては、プラスチック表面フィルムなど非多孔質基材に印写する場合は、なるべく少ないほうが乾燥性の観点から有利であり、通常30%以下であり、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは5質量%以下である。湿潤剤の含有量が30質量%を越える場合、乾燥性が悪化することがある。しかしながら、乾燥手段として、加熱・送風手段など補助手段を設ける場合は上述の限りではない。また、1日以上放置乾燥又は加熱乾燥が可能な使用形態の場合、30質量%以上使用しても良い。
一方、湿潤剤の含有量が10質量%未満の場合、長時間キャリッジ動作して他の色を印字中にその色のノズルだけ印字が行われない場合に、印字しない色のノズル部が乾燥することによりノズル抜けを起こすことがある。この場合には、記録媒体以外の場所に空吐出を頻繁に行うことが必要であり、少なくともA4サイズ印字する毎に1回は行うことが好ましく、より好ましくは1ライン印字毎に空吐出を行う。また、長期停止時にノズル部を覆うキャップ内に水を供給する方法も、ノズル部の乾燥を防止することができるため好ましい。
上述したように、湿潤剤の少ないインクは、機械的に維持機構を充実させることにより噴射の信頼性を維持させることが好ましい。但し、着色剤としてポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを使用する場合は、低湿潤剤濃度でも比較的噴射安定しているため、必ずしも上記の限りではない。
[界面活性剤]
界面活性剤を含むインクは、ポリエステルシートのようなプラスチック表面シートに印字する際にも、媒体面への濡れ性、レベリング性が向上し、乾燥性、画質均一性が良好であり、好ましい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤、湿潤剤などの組み合わせなどに応じて、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、レベリング性が良好で、濡れ性を向上させるためには、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を使用することが好ましい。これらは普通紙にも印字可能なインクとして共通化する場合には特に好ましく使用することができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は、起泡性が少なく、近年問題視されているフッ素化合物の生体蓄積性についても安全性が高いため、好ましい。
パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩などが挙げられる。パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業社製)、Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもDuPont社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のPF−151Nが好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基が用いられているものが水系界面活性剤として良好な性質を示す。
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物、などが挙げられる。ポリエーテル変性シリコーン化合物の市販品としては、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
また、界面活性剤として、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤以外にも、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アセチレングリコール系の界面活性剤などを用いても良い。
アセチレングリコール系の界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
界面活性剤は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。なお、単独では記録液中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる場合もある。
[水分散性樹脂]
水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物、などが挙げられる。
縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、珪素樹脂などが挙げられる。付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
水分散性樹脂は、ホモポリマーとして使用されても良いし、コポリマーして使用して複合系樹脂として用いても良い。また、単相構造型及びコアシェル型、パワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。
水分散性樹脂としては、樹脂自身が親水基を持ち自己分散性を有するもの、樹脂自身は分散性を有さず界面活性剤や親水基を有する樹脂にて分散性を付与したものが使用できる。これらの中でも、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂のアイオノマーや不飽和単量体の乳化及び懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンを使用することが好ましい。また、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂エマルジョンも好ましく使用することができる。不飽和単量体の乳化重合の場合には、不飽和単量体、重合開始剤、及び界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、pH調整剤などを添加した水系媒体中で樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を容易に変更することができるため、目的の性質を得やすい。
不飽和単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などを単独及び複数組み合わせて用いることができる。これらの単量体を組み合わせることで柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行うことで、樹脂の特性を改質することも可能である。
不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。
単官能の(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
多官能の(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパントリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミド単量体類としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
芳香族ビニル単量体類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
ビニルシアン化合物単量体類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
アリル化合物単量体類としては、例えば、アリルスルホン酸その塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
オレフィン単量体類としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
ジエン単量体類としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
ビニル単量体類としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
不飽和炭素を有するオリゴマー類としては、例えば、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
水分散性樹脂は、強アルカリ性、強酸性下においては分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が好ましく、特に水分散着色剤との混和性の点からpHは6〜11がより好ましく、7〜9が更に好ましい。
水分散性樹脂の粒径は分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インク化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径は50nm以上であることが好ましい。また、粒径が数十μmオーダになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない場合がある。ノズル口よりもインクの粒径が小さい場合であっても、粒子径が大きい粒子がインク中に存在すると吐出性が悪化することが知られている。そのため、インク吐出性を阻害させないために、平均粒子径は500nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。
水分散性樹脂は、水分散着色剤を、プラスチック性の記録媒体表面で流動化させず(画像濃度の偏り(ビーディング)を防ぎ)、かつ、媒体表面に定着させる働き又は定着補助する働きを有し、常温で被膜化して色材の定着性を向上させる機能を有する。そのため、水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は常温以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましい。
また、水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下の場合、樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、水分散性樹脂のガラス転移温度は―40℃より高いことが好ましい。また水分散性樹脂のガラス転移温度が−30℃以上の場合、印字物表面の擦過性が向上するためより好ましい。更に好ましくは、ガラス転移温度が0℃以上であり、かつ最低造膜温度が0℃以下であると、印字直後の印字物表面の膜形成が良好となり、乾燥性、定着性が向上する。
水分散性樹脂のインクにおける含有量は、着色剤を包んでいる樹脂も含めて全固形分中60質量%以上95質量%以下の範囲内にあることが好ましい。
[その他の成分]
本実施形態のインクは、その他の成分として、浸透剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などを含んでも良い。
浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2質量%以上5.0質量%未満のポリオールの少なくとも1種を含有することが好ましい。このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、例えば2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2、2、4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが特に好ましい。
その他の併用できる浸透剤としては、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテルなどが挙げられる。
浸透剤のインクにおける含有量としては、0.1質量%〜4.0質量%の範囲内にあるが好ましい。浸透剤の添加量が0.1質量%未満の場合、速乾性が得られず滲んだ画像となることがある。一方、浸透剤の添加量が4.0質量%を超える場合、着色剤の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなったり、また記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題が発生することがある。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、プラスチック材料及びゴム材料のための劣化防止剤を用いることができ、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β'−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等が挙げられる。前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等が挙げられる。
ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)等が挙げられる。
(前処理液)
本実施形態で使用できる前処理液としては、水溶性脂肪族系有機酸を含有し、後述する水分散性着色剤を凝集させる性質を有するものであれば、特に限定されない。ここで、凝集するとは前述した水分散性着色剤粒子同士が吸着集合する意味であり、粒度分布測定装置などにより確認することができる。この前処理液に、水溶性脂肪族系有機酸等のイオン性物質を加えると、水分散性着色剤の表面電荷にイオンが吸着することで表面電荷が中和されるので、分子間力による凝集作用が増強されて凝集させることができる。凝集を確認する方法の例としては、水分散性着色剤濃度5質量%のインクジェット用インク5μlに、前処理液を30ml加えたときに、瞬時に着色剤が凝集するかを確認する方法が挙げられる。
水溶性脂肪族系有機酸としては、水溶性脂肪族系カルボキシル基含有有機酸や水溶性脂肪族系スルホ基含有有機酸などが挙げられる。ここで、脂肪族とは直鎖或いは分岐の炭化水素基を含むことを意味し、炭化水素基は飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基でも良い。水溶性脂肪族系有機酸の炭素数は、特に限定されないが、溶媒への溶解性の点から1分子あたり2個以上、6個以下であることが好ましく、2個以上、4個以下であることがより好ましい。この水溶性脂肪族系有機酸における酸基の数は、画像濃度の点から、1分子あたり3個以下であることが好ましく、より好ましくは1分子あたり2個以下、更に好ましくは1分子あたり1個である。
水溶性脂肪族系カルボキシル基含有有機酸の具体例としては、例えば、乳酸(pKa:3.83)、リンゴ酸(pKa:3.4)、クエン酸(pKa:3.13)、酒石酸(pKa:2.93)、蓚酸(pKa:1.04)、マロン酸(pKa:2.05)、琥珀酸(pKa:4.21)、アジピン酸(pKa:4.42)、酢酸(pKa:4.76)、プロピオン酸(pKa:4.87)、酪酸(pKa:4.82)、吉草酸(pKa:4.82)、グルコン酸(pKa:2.2)、ピルビン酸(pKa:2.49)、フマル酸(pKa:3.02)などが挙げられる。
水溶性脂肪族系スルホ基含有有機酸の具体例としては、例えばタウリンなどが挙げられる。
水溶性脂肪族系有機酸の添加量は、前処理液全体の1〜40質量%であることが好ましく、更に好ましくは3〜30質量%である。添加量が40質量%よりも多いと処方上中和に必要な量の水溶性有機モノアミンを入れられなくなる可能性があり、1質量%よりも少ないと画像品質を向上させる効果が小さくなる可能性がある。
本実施形態における前処理液は、水溶性有機モノアミン化合物、水溶性有機溶剤、脂肪族系有機酸塩化合物又は無機金属塩化合物、界面活性剤などのその他の成分を含んでも良い。
例えば、インクの浸透性制御及び金属の腐食防止性の目的で水溶性勇気モノアミン化合物を、インクの浸透性制御及び金属の腐食防止性の目的などで水溶性有機溶剤を、顔料が記録用メディア表面に留まりやすくなり、塩析効果が向上するために画像濃度が増加するための目的などで脂肪族系有機酸塩化合物又は無機金属塩化合物を、記録用メディア表面の濡れ性を改質し、画像形成物の画像濃度、彩度及び白ポチを改良する目的などで界面活性剤を添加しても良い。
(後処理液)
本実施形態における後処理液としては、記録用メディア上に透明な保護層を形成し得る成分を含有し、例えば、水分散性樹脂、界面活性剤、水、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。この後処理液は、塗布又は飛翔させる方法によっても異なるが、画像部光沢性を出す為に、又は画像部を樹脂層で保護する為に(光沢性・定着性向上)、紫外線照射により高分子化する成分を含んでなる樹脂組成物及び熱可塑性樹脂が好ましい。特に、光沢性・定着性向上の理由により熱可塑性樹脂エマルジョン(水分散性樹脂ともいう)が好ましい。なお、インクジェット記録装置により後処理液を飛翔させる場合には、湿潤剤を適当量含有することが好ましい。
水分散性樹脂としては、そのガラス転移温度(Tg)が−30℃以上であることが好ましく、−20〜100℃の範囲がより好ましい。水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は50℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。水分散性樹脂のガラス転移温度(Tg)が−30℃未満であると、水分の蒸発後も粘着剤の様にタック性があり、実使用が困難となることがある。水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)が50℃を超えると、ヒーター、温風等の乾燥手段を用いても短時間で成膜できないため、実使用が困難となることがある。水分散性樹脂のガラス転移温度は、例えばTMA法、DSC法及びDMA法(引張り法)により測定することができる。水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、例えば最低造膜温度測定装置(MFT型)により測定することができる。
水分散性樹脂としては、例えばアクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素樹脂、などが好適である。これらの水分散性樹脂は、上記のインクジェット用インクに用いられる水分散性樹脂と同様のものを適宜選択して用いることができる。これらの水分散性樹脂の上記の保護層における含有量は、固形分で1質量%〜50質量%が好ましく、インクジェット記録装置により飛翔させる場合は1質量%〜30質量%が好ましい。樹脂含有量が50質量%を超えると粘度が高くなる可能性があり、樹脂含有量が1質量%未満であると成膜性が落ちたり水分蒸発のためのエネルギーも多く必要になったりする。
また、本実施形態における後処理液の水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、後処理液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。後処理液にした時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになると後処理液を飛翔させる装置のヘッドのノズル口より大きくなるため好ましくない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子が後処理液中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないために後処理液の平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、上記のインクジェット用インクに用いられる界面活性剤と同様のものから目的に応じて適宜選択することができる。上記のその他の成分としては、例えば、防カビ剤、消泡剤、pH調整剤などが挙げられる。
(実施例)
以下、本実施形態の画像形成装置の効果を確認した実施形態について、説明する。
[ポリマー溶液の調製]
機械式攪拌機、温度系、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2質量部、アクリル酸2.8質量部、ラウリルメタクリレート12.0質量部、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0質量部、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)4.0質量部及びメルカプトエタノール0.4質量部を仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8質量部、アクリル酸25.2質量部、ラウリルメタクリレート108.0質量部、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0質量部、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)36.0質量部、メルカプトエタノール3.6質量部、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4質量部及びメチルエチルケトン18質量部の混合溶液を、2.5時間でフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8質量部及びメチルエチルケトン18質量部の混合溶液を、0.5時間でフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成させた後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8質量部を添加し、更に1時間熟成させた。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364質量部を添加し、濃度が50%のポリマー溶液800質量部を得た。
[顔料分散体の調製]
<ブラック分散体1の調製>
前述で得られたポリマー溶液28質量部、顔料としてカーボンブラック(デグサ社FW100)26質量部、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6質量部、メチルエチルケトン20質量部及びイオン交換水30質量部を十分に攪拌した。その後、3本ロールミル((株)ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200質量部に投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0wt%の黒色のポリマー微粒子分散体(ブラック分散体1)160質量部を得た。
<シアン分散体1の調製>
顔料種をC.I.ピグメントブルー15:3に変更した以外はブラック分散体1の調製と同様の方法により、シアンのポリマー微粒子分散体(シアン分散体1)を得た。
<マゼンタ分散体1の調製>
顔料種をC.I.ピグメントレッド122に変更した以外はブラック分散体1の調製と同様の方法により、マゼンタのポリマー微粒子分散体(マゼンタ分散体1)を得た。
<イエロー分散体1の調製>
顔料種をC.I.ピグメントイエロー97に変更した以外はブラック分散体1の調製と同様の方法により、イエローのポリマー微粒子分散体(イエロー分散体1)を得た。
各々の顔料分散体を使用して、表1に示す処方で、インク調製例1乃至8の高色材濃度インク、低色材濃度インクを作製した。インクの調合としては、先ず、顔料分散体を除く全ての材料を混合して30分間攪拌した後、顔料分散体を混合して再び30分間攪拌し、孔径1.5μmのポリプロピレン製のデプスカートリッジフィルターでろ過した。
得られたインク調製例1乃至8を用いて、下記の評価を行った。
なお、表1におけるEHDは、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(KHネオケム株式会社製)であり、FS300は、フッ素系界面活性剤であるゾニールFS300(DuPont社製)であり、KM72Fは、シリコーン消泡剤(信越化学工業製)である。
[粘度上昇速度]
インク調製例1乃至8のインクについて、蒸発速度及び蒸発時の粘度を測定し、蒸発に伴う粘度上昇速度について評価した。
具体的には、先ず、シャーレに所定量のインクを入れ、温度及び湿度が各々40℃、10%に管理された恒温槽中に所定の時間放置した。放置後の重量変化を測定し、その時点でのインクの粘度を測定した。なお、インクの粘度は、粘度計(東機産業株式会社製;RE−550L)を使用して、25℃での粘度を測定した。
図7に、本実施形態における、インクの放置時間に対するインク粘度の変化の測定例である。より具体的には、図7(a)はブラックインク(インク調製例1及び2)の例であり、図7(b)はシアンインク(インク調製例3及び4)の例であり、図7(c)はマゼンタインク(インク調製例5及び6)の例であり、図7(d)はイエローインク(インク調製例7及び8)の例である。
図7より明らかであるように、高い色材濃度を有するインクと低い色材濃度を有するインクとでは、経時におけるインクの粘度の変化が異なるため、異なる回復動作を採用することが好ましいことがわかった。本実施形態では、休止時間が例えば168時間以上の場合、色材濃度が高いインクと色材濃度が低いインクとでインク粘度に大きく差異が生じる。そのため、休止前の回復動作について、168時間以上の休止時間となる場合は特に、異なる回復動作を採用することが好ましい。
[吐出性]
インク調製例1乃至8のインクを、プリンター(リコー製、IPSio GXe3300)を用いて、下記表2、表3及び表4で示した回復動作条件で、印字評価を行った。チャートは、モノクロの文字チャートで、普通紙、速い、のモードで、マイペーパーを用いて800枚連続印字を行った。なお、休止時間は168時間以下とした。
なお、Hsは、高色材濃度のインク使用時における、印字前の回復動作を指し、Lsは、低色材濃度のインク使用時における、印字前の回復動作を指す。また、Hpは、高色材濃度のインク使用時における、印字中の回復動作を指し、Lpは、低色材濃度のインク使用時における、印字中の回復動作を指す。さらに、Heは、高色材濃度のインク使用時における、印字後の回復動作を指し、Leは、低色材濃度のインク使用時における、印字後の回復動作を指す。
表2及び表3で示した回復動作の実施形態では、800枚印字する間に、抜けやかすれは生じなかった。また、高い色材濃度を有するインクと低い色材濃度を有するインクとで、異なる回復動作を採用しているため、抜けやかすれが生じない画像形成条件において、廃棄するインク量を最小限にすることができる。
一方、表4で示した回復動作の実施形態(比較の実施形態)では、800枚印字する間に、抜けやかすれが生じていた。これは、低い色材濃度を有するインクに適切な回復動作を高い色材濃度を有するインクの場合にも適用したことが一因であると考えられる。即ち、高い色材濃度を有するインクと低い色材濃度を有するインクとで、同じ回復動作を採用する場合は、抜けやかすれが生じないようにするため、高い色材濃度を有するインクに対応する廃棄インク量を採用する必要があるため、廃棄するインク量を多くなる。そのため、印字工程全体における、廃棄インク量が多くなる。