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JP2017184539A - 無停電電源装置の充電制御コントローラおよびその充電制御方法 - Google Patents

無停電電源装置の充電制御コントローラおよびその充電制御方法 Download PDF

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和也 榎本
Kazuya Enomoto
和也 榎本
茂 大森
Shigeru Omori
茂 大森
信幸 三橋
Nobuyuki Mihashi
信幸 三橋
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Abstract

【課題】複数のバッテリーが並列接続された無停電電源装置において、複数のバッテリーの容量を短時間で回復させるとともに、バッテリーの寿命を長持ちさせることが可能な充電制御コントローラおよびその充電制御方法を提供する。【解決手段】並列接続された複数のバッテリー1乃至4に接続される無停電電源装置の充電制御コントローラは、商用電源と接続されてバッテリーを充電することが可能な充電器10と、複数のバッテリー1乃至4のうちの1つを充電器10から充電可能な状態に接続する充電制御部30とを備える。充電制御部30は、複数のバッテリー1乃至4のうち、残存容量が所定の閾値以下である2個以上のバッテリーに対し、順次、充電を行う。そして、充電により残存容量が閾値を超えたバッテリーについては、充電を中断する。【選択図】図4

Description

この発明は、複数のバッテリーが並列接続された無停電電源装置の充電制御を行うコントローラおよびその充電制御方法に関するものである。
従来より、停電等の商用電力遮断時に備えて、電力供給が必要な機器に常に接続しておき、停電等の商用電力遮断時に機器に対して電力を供給することが可能なバッテリーを搭載した無停電電源装置が知られている。この際、長時間のバックアップが求められる場合には、複数のバッテリーを並列接続するものが採用されている。
例えば特許文献1には、複数のバッテリーが並列接続された無停電電源装置において、通常時には各バッテリーが充電されるように切替器の切替制御が行われ、停電発生時にはバッテリーからインバータ/コンバータ部に給電が行われるように切替器の切替制御が行われ、バッテリーのチェック時にはチェック対象となるバッテリーがUPS内部負荷に接続されるように切替器の切替制御が行われることが記載されている。
特開2005−287174号公報
特許文献1に記載されているような従来の無停電電源装置では、通常時すなわち商用電源駆動時にはバッテリーは放電しないはずである。しかし、自然放電や、並列接続されたバッテリー間で流れる循環電流などのため、満充電されたバッテリーであっても少しずつ放電してしまい、バッテリー内部に結晶化したサルフェージョンが蓄積し、バッテリー容量が低下するという問題を生じやすい。この問題への対応策として、従来より、満充電になると自己放電分を補うために微量電流を流し続けて満充電状態を維持するトリクル充電方式が知られている。
しかし、トリクル充電方式では、充電器の電源を切るまで微量でも電流が流れ続けるのでバッテリーへの負荷はゼロではない。また、使用中は常に電力を消費することになる。この問題に対応するための充電方式としては、満充電になると内蔵回路がこれを検知して電流をストップすることで充電を完全に停止させ、内蔵回路が電圧降下を感知すると電流を流すことで充電を再開するフロート充電方式が知られている。複数のバッテリーに対してフロート充電を行う場合は、典型的には、一定の時間間隔で複数のバッテリーを順番に充電する。例えば、24時間サイクルで、複数のバッテリーを1個ずつ維持充電していくことで、全てのバッテリーの容量を常時一定以上に保つことができる。
しかしながら、上述の充電方式には、複数のバッテリーを満充電状態に維持するために長時間を要することがあるという問題がある。例えば、停電発生等により放電が実施され、一部のバッテリーの容量が著しく低下した場合、このバッテリーを再び満充電状態に戻すためには多くの充電時間を要する。仮に、放電されたバッテリーを満充電状態に戻すまでに15時間を要し、かつ放電されたバッテリーが複数存在するような場合には、バッテリーを全て満充電状態に戻すためには、15時間×バッテリー個数分の時間が必要となる。この間、無停電電源装置は、容量の逼迫した状態が続くことになり、この間は十分な性能を発揮できない可能性が生じてしまう。よって、特に複数のバッテリーが放電した場合については、可能な限り短時間でこれらのバッテリーの容量を回復させることが求められる。
この課題の解決策として、例えば、大きな電流を用いて充電を行うことで、バッテリーの容量を急速に回復させることが考えられる。しかしながら、大きな電流を出力するためには充電器の能力を上げる必要があり、充電器のサイズが大きくなる等の問題がある。また、バッテリーに大きな電流をかけることにより、バッテリーの寿命が低下してしまうという問題もある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、複数のバッテリーが並列接続された無停電電源装置において、複数のバッテリーの容量を短時間で回復させるとともに、バッテリーの寿命を長持ちさせることが可能な充電制御コントローラおよびその充電制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る無停電電源装置の充電制御コントローラは、並列接続された複数のバッテリーに接続される、無停電電源装置の充電制御コントローラであって、商用電源と接続され、前記バッテリーを充電することが可能な充電器と、前記複数のバッテリーのうちの1つを、前記充電器から充電可能な状態に接続する充電制御部と、を備え、前記充電制御部は、前記複数のバッテリーのうち、残存容量が所定の閾値以下である2個以上のバッテリーに対し、順次、充電を行い、前記充電により前記残存容量が前記閾値を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断することを特徴とする。
本発明に係る他の無停電電源装置の充電制御コントローラは、前記充電制御部は、前記充電にかかる時間が所定の最大時間を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断することを特徴とする。
本発明に係る無停電電源装置の充電制御方法は、並列接続された複数のバッテリーに接続された無停電電源装置の充電制御方法であって、前記無停電電源装置は、商用電源と接続されて前記バッテリーを充電することが可能な充電器と、前記複数のバッテリーのうちの1つを前記充電器から充電可能な状態に接続する充電制御部と、を備えており、前記充電制御部が、前記複数のバッテリーのうち、残存容量が所定の閾値以下である2個以上のバッテリーに対し、順次、充電を行うステップと、前記充電制御部が、前記充電により前記残存容量が前記閾値を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断するステップと、を有することを特徴とする。
本発明に係る他の無停電電源装置の充電制御方法は、前記充電制御部が、前記充電にかかる時間が所定の最大時間を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断するステップをさらに有することを特徴とする。
本発明により、複数のバッテリーが並列接続された無停電電源装置において、複数のバッテリーの容量を短時間で回復させるとともに、バッテリーの寿命を長持ちさせることが可能な充電制御コントローラおよびその充電制御方法を提供することができる。
従来の無停電電源装置において、循環電流が発生する機序を説明するための模式図である。 従来の無停電電源装置において、循環電流が発生する機序を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態における、電池容量と充電時間との関係、および閾値と最大時間との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態にかかる無停電電源装置の充電制御コントローラの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態にかかる無停電電源装置の充電制御コントローラの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態にかかる無停電電源装置の充電制御コントローラにおける、充電制御部30の具体的な動作例を示す模式図である。 本発明の実施の形態にかかる無停電電源装置の充電制御コントローラにおける、充電制御部30の具体的な構成例を示すブロック図である。
この発明は、複数のバッテリーが並列接続された無停電電源装置の充電制御を行うコントローラおよびその充電制御方法に関するものである。初めに、図1乃至図3を用いて、従来の無停電電源装置、および本実施の形態にかかる無停電電源装置の特徴について概略を説明する。
図1は、複数のバッテリーが並列接続されている従来の無停電電源装置において、各バッテリー間に循環電流が流れることを示す説明図である。図1では、複数のバッテリー1〜4が並列接続されている。このように複数のバッテリーが並列接続されている場合には、通常、各バッテリー間で電流が流れ、電池容量が減っていくが、この際に流れる電流を、循環電流という。
この循環電流は、接続されているバッテリー同士の電圧の差や内部抵抗の差によって発生する。しかし、たとえ同種のバッテリーであっても個体差があり、バッテリー同士の電圧や内部抵抗が一致することはないため、複数のバッテリーが並列接続されている限り、無負荷であっても常に循環電流が流れてバッテリーの電力が消費され続けることとなり、バッテリー容量を低下させ、バッテリーの寿命が短くなる要因となっている。
例えば、図1では、バッテリー2の電圧がバッテリー1,3,4より低い電圧のバッテリーであるとする。この場合、実線で示す矢印Aは、バッテリー1,3,4から、バッテリー2に流れている循環電流の様子を示している。そして、バッテリー2の電圧が他のバッテリーよりも高くなると、破線で示す矢印Bのように、今度はバッテリー2から他のバッテリー1,3,4に対して循環電流が流れてしまう。
図2は、複数のバッテリーが並列接続されている従来の無停電電源装置の概略構成および充電時の制御状態を示す説明図である。図2においても、複数のバッテリー1〜4が並列接続されており、各バッテリーには充電器10および放電器(インバータ)20が接続されている。そして、図2において、バッテリー1はほぼ満充電状態であり、バッテリー2はほぼ空(カラ)になっている状態であり、バッテリー3,4は少しだけ使われている状態であるとする。充電中は、スイッチSW1をON、スイッチSW2をOFFとする。
この状態で充電が行われる場合、図2では、充電器10からの充電時に、実線の矢印Cで示すように、充電器10から12Aの電流がバッテリー2に流れている。また同時に、破線の矢印Dに示すように、バッテリー1から3A、バッテリー3から1A、バッテリー4から1Aがそれぞれバッテリー2に循環電流として流れ、合計17Aで充電が行われることを示している。
このように、従来の無停電電源装置においては、例えば、あるバッテリーがせっかく新品に近い、ほぼ満充電状態にあるバッテリーであったとしても、そのバッテリーから循環電流が流れてしまったり、同じくらいの状態に見えるバッテリーであっても、電圧の差や内部抵抗の差によって循環電流が流れてしまうため、バッテリーに無駄な負荷をかけ続けてしまい、バッテリーの長寿命化の妨げになってしまうという問題があった。
そこで、本実施の形態にかかる無停電電源装置は、充電時にはバッテリーを1つずつ充電する、すなわち、充電器に1つのバッテリーのみが接続されるよう制御し、他のバッテリーに循環電流が流れないようにする。これにより、複数のバッテリーそれぞれの寿命を長くでき、無停電電源装置全体の長寿命化をはかることができる。
その上で、本実施の形態にかかる無停電電源装置は、容量が一定以上低下しているバッテリーが2個以上存在する場合には、時短充電モードでそれらのバッテリーを充電する。無停電電源装置は、時短充電モードにおいてはまず、容量が所定の閾値(例えば満充電の80%)より少ないバッテリーのうち、最も容量が少ないバッテリーに対し、上記閾値に達するまで充電を行う。その後、容量が上記閾値に満たない他のバッテリーについても、順次、上記閾値に達するまで充電を行う。このようにして、すべてのバッテリーの容量が上記閾値を超えたなら、無停電電源装置は、通常充電モードに移行する。すなわち、一定時間間隔で各バッテリーに対し順次、維持充電を実施する。これにより、全てのバッテリーを満充電状態に維持する。
ここで、上述の閾値の技術的意義について説明する。図3に示すように、バッテリーの充電においては、ある一定の容量(閾値)までの単位時間あたりの充電量と、当該閾値を超える容量の単位時間あたりの充電量とを比較すると、前者のほうが大きいという特性がある。換言すれば、バッテリーは、ある閾値までは高速に充電可能であるが、閾値を超えてしまうと充電スピードが低下していく。なお、典型的な鉛バッテリーにおいては、閾値は80%程度である。よって、本実施の形態では、容量が閾値以下であるバッテリーが2個以上存在する場合は、これらのバッテリーを、まずは上述の閾値レベルまで充電する。かかる制御により、無停電電源装置全体の容量を迅速に回復させることができ、停電など大容量の出力が必要となる事態に短時間で備えることが可能となる。
加えて、本実施の形態にかかる無停電電源装置は、時短充電モードにおいて、1つのバッテリーに対する充電時間が所定の最大時間(例えば5時間)を超えた場合は、当該バッテリーに対する充電を中断し、他のバッテリーに対する充電に移行する。
ここで、上述の最大時間の技術的意義について説明する。図3に示すように、充電開始後、容量がほぼ空(カラ)の状態から閾値に達するまでの時間t1は、バッテリーの特性に基づいてある程度予測することが可能である。仮に、バッテリーに対する充電開始から時間t1を経過しても容量が閾値に達しない場合は、バッテリーに何らかの異常が発生している可能性がある。そこで、本実施の形態にかかる無停電電源装置では、この時間t1に基いて決定される最大時間を予め保持しておく。例えば、あるバッテリーにおいて、通常、容量がほぼ空(カラ)の状態から閾値に達するまでの時間t1が5時間である場合、少なくともこの5時間以上の時間を最大時間として定義しておくことができる。そして、当該バッテリーに対する充電時間が最大時間を超えた場合は、当該バッテリーに対する時短充電を中断し、他のバッテリーに対する時短充電に移行する。当該バッテリーは期待された充電性能を発揮できないものと推測されるためである。この場合、当該バッテリーは、時短充電モードの終了後、通常充電モードにおいて、引続き充電される。かかる制御により、無停電電源装置全体の容量を迅速に回復させることができ、停電など大容量の出力が必要となる事態に短時間で備えることが可能となる。
続いて、図4のブロック図を用いて、本発明の実施の形態にかかる無停電電源装置のコントローラおよび無停電電源装置全体の構成について説明する。この無停電電源装置においては、複数のバッテリー1〜4が並列接続され、充電器10がこれらのバッテリー1〜4に接続されている。ここで、充電器10は、商用電源(図示せず)と接続されてバッテリー1〜4に電力を供給する。なお、複数のバッテリー1〜4は、典型的には放電器(インバータ)(図示せず)に接続される。放電器は、例えば外部の計測機器(図示せず)と接続されており、それら計測機器に対して電力を出力する。
なお、図4において一点鎖線で囲まれた部分に含まれている複数のバッテリー1〜4については、公知の任意のバッテリーを使用することが可能である。この一点鎖線で囲まれた部分を除く構成要素が、本実施の形態における無停電電源装置の充電制御コントローラである。
すなわち、本実施の形態における無停電電源装置の充電制御コントローラは、充電器10と、充電制御部30とを有する。充電器10は、充電制御部30を介して、並列接続された複数のバッテリー1〜4に接続される。
充電制御部30は、複数のバッテリー1〜4のうちの1つのみを、充電器10から充電可能な状態に接続するよう制御する。図7に、かかる制御を実施するための充電制御部30の構成例を示す。すなわち、具体的にどのようなスイッチ構成によりどのような切替制御を実施するかという一例を示す。
図7において、バッテリー1には、充電用スイッチSW11およびSW12が接続されている。同様に、バッテリー2には、充電用スイッチSW21およびSW22が接続されている。バッテリー3には、充電用スイッチSW31およびSW32が接続されている。バッテリー4には、充電用スイッチSW41およびSW42が接続されている。
そして、この図7では、バッテリー1のみを充電接続状態、その他のバッテリーを待機状態すなわち充電器10から切り離された状態に制御する際の、スイッチの動作例を示している。ここでは、バッテリー1の充電用スイッチSW11,SW12をONに、他のバッテリーの充電用スイッチSW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42をすべてOFFにすることにより、バッテリー1のみを充電接続状態としている。すなわち、これら充電用スイッチSW11,SW12,SW21,SW22,SW31,SW32,SW41,SW42が、図3に示す充電制御部30の一部を構成しており、充電制御部30がこれらスイッチのON/OFFを制御することにより、複数のバッテリーのうちのいずれか1つのみを充電器10と接続する。
この場合、図7の実線の矢印Gで示すように、充電器10からの電流12Aは、すべてバッテリー1にのみ流れることとなり、12Aの電流でバッテリー1を充電させることができる。他のバッテリー2,3および4については、すべてのスイッチがOFFになっているため、完全に充電器10から切り離された待機状態となっている。
このように、本実施の形態では、待機状態にあるバッテリーは完全に充電回路から切り離されるため、充電回路において図1および図2で説明したような循環電流が流れることがなく、無駄な放電を抑制できる。また、待機状態にあるバッテリーには充電器10からの電力が流れることがないので、バッテリーの長寿命化をはかることができる。
また、充電制御部30は、複数のバッテリー1〜4の電圧を常時監視し、容量が予め定められた閾値以下であるバッテリーが2個以上存在する場合には、時短充電モードに移行し、それらのバッテリーに対する時短充電を実施する制御を行う。
さらに、充電制御部30は、時短充電モードの実行時、充電時間が予め定められた最大時間を超えるバッテリーが存在する場合には、そのバッテリーに対する充電をスキップし、他のバッテリーに対する時短充電を優先して実施する制御を行う。
次に、図5のフローチャートを用いて、本実施の形態にかかる充電制御部30が行う制御について詳細に説明する。
S1:
充電制御部30は、複数のバッテリー1〜4の残存容量を常時監視する。典型的には、充電制御部30は、バッテリーの電圧を一定時間毎に測定し、電圧の測定値に基づいて残存容量を推測する。なお、電圧に基づいて残存容量を推測する手法は公知であるから、ここでは詳細な説明を省略する。
S2:
充電制御部30は、複数のバッテリー1〜4のうち、S1で取得した残存容量が所定の閾値以下であるものが2個以上存在するか否かを判定する。存在する場合、ステップS3に遷移する。存在しない場合は、ステップS1に戻り、残存容量の監視を継続する。
なお、閾値は、図示しない記憶領域に予め保持されているものとする。閾値は、複数のバッテリー1〜4毎にそれぞれ異なる値が設定されても良く、または全てのバッテリーに共通の値が設定されていても良い。閾値としては、バッテリーを高い時間効率で充電することのできる容量の上限(%)を示す値が設定される。図3に示すように、バッテリーには、ある一定の容量(閾値)を超えると、単位時間あたりの充電量が低下するという特性がある。換言すれば、閾値以下においては、バッテリーは、単位時間あたりにより多くの容量を充電できる、すなわち高速に充電できる。なお、典型的な鉛バッテリーにおいては、閾値は80%程度である。
本ステップの処理について、具体例を用いて説明する。例えばいま、図6に示すように、バッテリー1の容量が60%、バッテリー2の容量が70%、バッテリー3の容量が85%、バッテリー4の容量が90%であるものとする。また、閾値は、全てのバッテリーについて一律80%と定められているものとする。このとき、充電制御部30は、現在の残存容量が閾値(80%)以下であるバッテリー1およびバッテリー2を、時短充電の対象として決定する。すなわち、バッテリー1およびバッテリー2に対し、ステップS3以降の処理を実施する。
S3:
充電制御部30は、ステップS2において残存容量が閾値以下であると判定された2個以上のバッテリーに対して、順次、時短充電を実施する。この充電動作を、時短充電モードという。また、時短充電とは、残存容量が閾値以下であるバッテリーに対し、容量が閾値に達するまで充電を行うことをいう。
好ましくは、充電制御部30は、残存容量が少ないバッテリーから順に、1つずつ時短充電を行っていく。すなわち、最初のサイクルでは、ステップS2において残存容量が閾値以下であると判定された複数のバッテリーのうち、最も残存容量が少ないバッテリーを対象として、ステップS4およびS5にかかる処理を行う。以降、n回目のサイクルでは、n番目に残存容量が少ないバッテリーを対象に、ステップS4およびS5にかかる処理を行う。こうして、ステップS2で抽出された全てのバッテリーに対し、順次、時短充電を行う。
具体例を用いて説明する。図6の例では、バッテリー1およびバッテリー2が時短充電の対象となる。最初のサイクルでは、残存容量が60%と最も小さいバッテリー1を時短充電の対象とする。2回目すなわち最後のサイクルでは、残存容量が70%であるバッテリー2を時短充電の対象とする。
S4:
充電制御部30は、ステップS3において充電対象とされたバッテリーと、充電器10とを接続し、充電を実施する。このとき、充電制御部30は、一定時間毎に、例えば電圧を測定するなどして、充電中のバッテリーの容量を計測する。ここで、バッテリーの容量が予め定められた閾値を超えた場合は、ステップS6に遷移する。すなわち、このバッテリーに対する時短充電は完了したものとみなして、次のバッテリーの時短充電サイクルに移行する。一方、閾値を超えない場合は、ステップS5に遷移する。
具体例を用いて説明する。いま、図6におけるバッテリー1に対する時短充電サイクルを実施中であるものとする。充電制御部30は、充電器10とバッテリー1とを接続して、バッテリー1に電力を供給する。バッテリー1の容量は、初期値(60%)を起点として、時間の経過とともに上昇する。充電制御部30は、バッテリー1の容量をチェックし、容量が閾値(80%)を超えているなら、ステップS6に遷移する。容量が閾値を超えていなければ、ステップS5の処理を実行する。
S5:
充電制御部30は、充電中のバッテリーについて、充電開始からの経過時間を計測する。そして、経過時間が予め定められた最大時間を超えた場合は、ステップS6に遷移する。すなわち、このバッテリーに対する時短充電は、何らかの事情により正常に完了できないものと判断して、このバッテリーに対する時短充電を断念し、次のバッテリーの時短充電サイクルに移行する。一方、経過時間が最大時間を超えていない場合は、ステップS4に戻る。
すなわち、充電制御部30は、一定時間ごとに、ステップS4およびS5の処理を繰り返し実行する。そして、バッテリー容量が閾値を超えるか、経過時間が最大時間を超えたことをトリガとして、ステップS6に遷移する。
なお、最大時間は、図示しない記憶領域に予め保持されているものとする。最大時間は、複数のバッテリー1〜4毎にそれぞれ異なる値が設定されても良く、または全てのバッテリーに共通の値が設定されていても良い。
具体例を用いて説明する。いま、図6におけるバッテリー1に対する時短充電サイクルを実施中であるものとする。また、最大時間として、予め5時間が設定されているものとする。充電制御部30は、バッテリー1が時短充電を開始してからの経過時間をカウントし、経過時間が最大時間(5時間)を超えているなら、ステップS6に遷移する。経過時間が最大時間を超えていなければ、ステップS4に戻る。
S6:
充電制御部は、時短充電を実施中であったバッテリーを充電器10から切り離し、時短充電を終了する。
ここで充電制御部30は、ステップS2において残存容量が閾値以下であると判定された全てのバッテリーに対して、時短充電すなわちステップS4およびS5が実施されたか否かを判定する。実施されていれば、時短充電モードを終了する。好ましくは、この場合、充電制御部30は通常充電モードに移行する。すなわち、所定の時間間隔(例えば24時間間隔)で、複数のバッテリー1〜4に対し順番に補充電を行っていく。
一方、ステップS2において残存容量が閾値以下であると判定された複数のバッテリーのうち、時短充電を実施していないバッテリーが残っている場合は、充電制御部30は、ステップS3に遷移し、次のバッテリーに対する時短充電サイクルを実施する。
具体例を用いて説明する。いま、図6におけるバッテリー1に対する時短充電サイクルが、ステップS4またはS5の判定に基づいて完了したものとする。最初のサイクルでバッテリー1に対する時短充電が実施されたとすれば、バッテリー2に対する時短充電はまだ実施されていない。よって、充電制御部30は、残るバッテリー2に対する時短充電サイクルを開始すべく、ステップS3に遷移する。
2回目のサイクルにおいて、バッテリー2に対する時短充電サイクルが、ステップS4またはS5の判定に基づいて完了したならば、充電制御部30は、ステップS2で抽出された全てのバッテリーに対する時短充電が終了したものと判定できる。よって、充電制御部30は、時短充電モードから通常充電モードに移行する。
以上のように、本実施の形態の無停電電源装置の充電制御コントローラまたはその充電制御方法によれば、複数のバッテリーが並列接続された無停電電源装置において、充電制御部30は、残存容量が所定の閾値以下である2個以上のバッテリーに対し、順次時短充電を実施する。すなわち、これらのバッテリーに対し、その特性上、時間効率のよい充電が可能な容量の範囲における充電を優先して行う。これにより、無停電電源装置全体の容量を短時間で回復させることができる。
また、充電制御部30は、時短充電の際、充電開始からの経過時間が最大時間を超えるバッテリーが有れば、当該バッテリーに対する時短充電をスキップする。すなわち、充電制御部30は、時短充電に適さないバッテリーを時短充電サイクルから外し、時短充電に適したバッテリーのみを優先して充電する。これにより、無停電電源装置全体の容量を短時間で回復させることができる。
また、充電制御部30は、時短充電モードの完了後、通常充電モードに移行する。すなわち、一定間隔で、並列接続された複数のバッテリーのうちの1つを充電器10に接続し、補充電を行う。これにより、バッテリーの寿命を長持ちさせながら、無停電電源装置全体の容量を維持することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
例えば、本発明においては、上述のように、並列接続されている複数のバッテリーを個々に管理することができるため、複数のバッテリーについては、必ずしも同種のバッテリーである必要はない。例えば、電圧が同程度であり、温度のチェックが不要である等、充電電圧と管理条件が同等なバッテリーであれば、容量の異なるバッテリーを使用することができる。また、上述の実施の形態では、出願時の技術水準に基づき、典型的なバッテリーとして鉛バッテリーを想定しているが、同様の特性を有するものであれば、鉛バッテリー以外のバッテリーを採用しても構わない。
また、上述の実施の形態では、並列接続する複数のバッテリーの数を4つとして説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、少なくとも2つあればよい。
1,2,3,4 バッテリー
10 充電器
30 充電制御部
SW11,SW12 バッテリー1の充電用スイッチ
SW21,SW22 バッテリー2の充電用スイッチ
SW31,SW32 バッテリー3の充電用スイッチ
SW41,SW42 バッテリー4の充電用スイッチ

Claims (4)

  1. 並列接続された複数のバッテリーに接続される、無停電電源装置の充電制御コントローラであって、
    商用電源と接続され、前記バッテリーを充電することが可能な充電器と、
    前記複数のバッテリーのうちの1つを、前記充電器から充電可能な状態に接続する充電制御部と、を備え、
    前記充電制御部は、前記複数のバッテリーのうち、残存容量が所定の閾値以下である2個以上のバッテリーに対し、順次、充電を行い、
    前記充電により前記残存容量が前記閾値を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断することを特徴とする
    無停電電源装置の充電制御コントローラ。
  2. 前記充電制御部は、前記充電にかかる時間が所定の最大時間を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断することを特徴とする
    請求項1記載の無停電電源装置の充電制御コントローラ。
  3. 並列接続された複数のバッテリーに接続された無停電電源装置の充電制御方法であって、
    前記無停電電源装置は、商用電源と接続されて前記バッテリーを充電することが可能な充電器と、前記複数のバッテリーのうちの1つを前記充電器から充電可能な状態に接続する充電制御部と、を備えており、
    前記充電制御部が、前記複数のバッテリーのうち、残存容量が所定の閾値以下である2個以上のバッテリーに対し、順次、充電を行うステップと、
    前記充電制御部が、前記充電により前記残存容量が前記閾値を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断するステップと、を有することを特徴とする
    無停電電源装置の充電制御方法。
  4. 前記充電制御部が、前記充電にかかる時間が所定の最大時間を超えたバッテリーについては、前記バッテリーに対する前記充電を中断するステップをさらに有することを特徴とする
    請求項3記載の無停電電源装置の充電制御方法。
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