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JP2017152577A - 研磨液及び研磨方法 - Google Patents

研磨液及び研磨方法 Download PDF

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JP2017152577A JP2016034611A JP2016034611A JP2017152577A JP 2017152577 A JP2017152577 A JP 2017152577A JP 2016034611 A JP2016034611 A JP 2016034611A JP 2016034611 A JP2016034611 A JP 2016034611A JP 2017152577 A JP2017152577 A JP 2017152577A
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liquid
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春仙 玉田
Haruhisa Tamada
春仙 玉田
敬太 荒川
Keita Arakawa
敬太 荒川
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Abstract

【課題】無機絶縁膜の研磨速度を維持しながら、ストッパ膜に対する無機絶縁膜の研磨選択性を向上させることが可能な研磨液を提供する。【解決手段】酸化珪素等の無機絶縁膜を化学機械研磨するための研磨液であって、酸化セリウムを含む砥粒と、ホウ酸化合物と、水と、を含有する。ホウ酸化合物によりストッパ膜の過剰研磨が抑制され、酸化セリウムとの併用効果で研磨速度を維持することができる。また砥粒の分散安定性を良好に保つため、使用直前まで複数液のまま保存する。【選択図】なし

Description

本発明は、研磨液、及び、この研磨液を用いた研磨方法に関する。より詳細には、本発明は、半導体素子製造技術である、基板表面の平坦化工程、特に、層間絶縁膜、BPSG膜(ボロン、リンをドープした二酸化珪素膜)の平坦化工程、シャロートレンチ分離(STI)の形成工程等において使用することが可能な研磨液、及び、この研磨液を用いた研磨方法に関する。
現在のULSI半導体素子製造工程では、半導体素子の高密度・微細化のための加工技術が研究開発されている。その加工技術の一つであるCMP(ケミカルメカニカルポリッシング:化学機械研磨)技術は、半導体素子製造工程において、層間絶縁膜の平坦化、STI形成、プラグ及び埋め込み金属配線形成等を行う際に必須の技術となってきている。
従来、半導体素子製造工程において、酸化珪素膜等の無機絶縁膜はプラズマ−CVD(化学気相成長)、低圧−CVD(化学気相成長)等の方法で形成されている。この無機絶縁膜を平坦化するための化学機械研磨液として、フュームドシリカ系の研磨液を用いることが一般的に検討されている。フュームドシリカ系の研磨液は、四塩化珪酸を熱分解する等の方法で粒成長させて得られた粒子が配合されたスラリのpHを調整することによって製造される。但し、このようなフュームドシリカ系の研磨液は、研磨速度が低いという技術課題がある。
また、デザインルール0.25μm以降の世代では、集積回路内の素子分離にSTIが用いられている。STIでは、基板上に成膜した余分な酸化珪素膜を取り除くためにCMP技術が使用される。この場合、任意の深さにて研磨を停止させるために、酸化珪素膜の下に、研磨速度の低いストッパ膜が形成される。ストッパ膜としては、窒化珪素膜等が使用される。余分な酸化珪素膜を効率的に取り除くと共に、その後の研磨の進行を充分に抑制するには、酸化珪素膜とストッパ膜との研磨速度比が大きいことが望ましい。しかしながら、従来のコロイダルシリカ系の研磨液は、酸化珪素膜とストッパ膜との研磨速度比が3程度と小さく、STI用としては実用に耐える特性を有していない。
一方、フォトマスクやレンズ等のガラス表面に対する研磨液として、酸化セリウム粒子を含む酸化セリウム研磨液が用いられている。酸化セリウム粒子は、シリカ粒子やアルミナ粒子に比べ硬度が低く、研磨に際し被研磨面に傷が入りにくいことから、仕上げ鏡面研磨に有用である。また、酸化セリウム研磨液は、フュームドシリカ系やコロイダルシリカ系等のシリカ研磨液に比べ、研磨速度が速い利点がある。
酸化セリウム研磨液として、下記特許文献1には、高純度酸化セリウム砥粒を用いた半導体用CMP研磨液が記載されている。また、下記特許文献2には、酸化セリウム研磨液の研磨速度を制御し、グローバルな平坦性を向上させるために添加剤を加える技術が記載されている。
特開平10−106994号公報 特許3278532号公報
しかしながら、半導体デバイスの生産の更なる精度の向上が求められており、前記のような酸化セリウム研磨液に対しては、無機絶縁膜(酸化珪素膜等)の研磨速度を維持しながら、ストッパ膜(窒化珪素膜等)の過剰研磨の量が少なく(ストッパ膜の研磨速度が低く)、研磨対象の無機絶縁膜(酸化珪素膜等。窒化珪素膜等のストッパ膜を除く。以下同様)とストッパ膜との研磨速度比が大きいこと(すなわち、ストッパ膜に対する無機絶縁膜の研磨選択性(無機絶縁膜の研磨速度/ストッパ膜の研磨速度。「研磨選択比」とも言う)が高いこと)が求められている。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、無機絶縁膜の研磨速度を維持しながら、ストッパ膜に対する無機絶縁膜の研磨選択性を向上させることが可能な研磨液、及び、この研磨液を用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明に係る研磨液は、無機絶縁膜を化学機械研磨するための研磨液であって、酸化セリウムを含む砥粒と、ホウ酸化合物と、水と、を含有する。
本発明に係る研磨液によれば、被研磨膜(例えば、層間絶縁膜、BPSG膜及びSTI形成膜。基板の表面に形成された被研磨膜等)を研磨するCMP技術において、無機絶縁膜(酸化珪素膜等)の研磨速度を維持しながらストッパ膜の過剰研磨を抑制することができる。このような本発明に係る研磨液によれば、無機絶縁膜の研磨速度を維持しながら、ストッパ膜に対する無機絶縁膜の研磨選択性を向上させることができる。
前記無機絶縁膜は、酸化珪素膜であってもよい。
前記ホウ酸化合物の含有量は、前記砥粒の全質量基準で10質量%以上であることが好ましい。
前記ホウ酸化合物の含有量は、研磨液全質量基準で0.005〜2質量%であることが好ましい。
本発明に係る研磨液のpHは、4.0〜9.0であることが好ましく、4.0〜8.0であることがより好ましい。
本発明に係る研磨液は、前記砥粒及び水を含む第1の液と、前記ホウ酸化合物及び水を含む第2の液と、を有する複数液式研磨液として保存されてもよい。これにより、使用する直前まで砥粒の分散安定性を良好に保つことができるため、無機絶縁膜の優れた研磨速度を容易に得ることができると共に、優れた平坦性を得ることができる。
前記第1の液は、分散剤を更に含むことが好ましい。これにより、砥粒の分散安定性を更に良好に保つことができる。
本発明に係る研磨方法は、本発明に係る研磨液を用いて無機絶縁膜を研磨する。本発明に係る研磨液を使用するこのような研磨方法によれば、無機絶縁膜の研磨速度を維持しながら、ストッパ膜の過剰研磨を抑制し、ストッパ膜に対する無機絶縁膜の研磨選択性を向上させることができる。
本発明によれば、被研磨膜(例えば、層間絶縁膜、BPSG膜及びSTI形成膜)を研磨するCMP技術において、無機絶縁膜の研磨速度を維持しながらストッパ膜の過剰研磨を抑制することができる。このような本発明によれば、無機絶縁膜の研磨速度を維持しながら、ストッパ膜に対する無機絶縁膜の研磨選択性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<研磨液>
本実施形態に係る研磨液は、無機絶縁膜(酸化珪素膜等)をCMP(化学機械研磨)するための研磨液である。本実施形態に係る研磨液は、酸化セリウムを含む砥粒と、ホウ酸化合物と、水とを含有する。以下、本実施形態に係る研磨液に含まれる各成分について詳細に説明する。
(砥粒)
本実施形態に係る研磨液の砥粒は、酸化セリウムを含む。酸化セリウムを含む砥粒(酸化セリウム粒子)としては、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。一般に、酸化セリウムは、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩等のセリウム化合物を酸化することによって得られる。酸化セリウムを作製する方法としては、焼成法;過酸化水素等による酸化法などが挙げられる。
TEOS(オルトケイ酸テトラエチルの略称)−CVD法等で形成される酸化珪素膜の研磨に、酸化セリウムを含む砥粒を使用する場合、砥粒の結晶子径(結晶子の直径)が大きく、かつ、結晶歪みが少ない程(すなわち、結晶性が良い程)、高速研磨が可能であるが、被研磨膜に研磨傷が入りやすい傾向がある。このような観点から、酸化セリウムを含む砥粒は、2個以上の結晶子から構成され、結晶粒界を有する粒子が好ましく、結晶子径が1〜300nmの範囲内である粒子がより好ましい。
前記結晶子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で測定することができる。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)観察で得られた画像から、粒子の長径と短径とを測定し、長径と短径との積の平方根を粒径とする。
砥粒中のアルカリ金属及びハロゲン類の含有量は、半導体素子の製造に係る研磨に好適に用いられることから、10ppm以下であることが好ましい。
砥粒の平均粒径は、10〜500nmが好ましく、20〜400nmがより好ましく、50〜300nmが更に好ましい。砥粒の平均粒径が10nm以上であれば、良好な研磨速度が得られやすい傾向があり、500nm以下であれば、被研磨膜に傷がつきにくくなる傾向がある。
ここで、砥粒の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布計(例えば、BECKMANCOULTER社製のサブミクロン粒子アナライザー「N5」。測定条件は、Intensity(信号の強さ)が1.0E+4〜1.0E+6の範囲となるように調整(水により希釈)。測定時間は240秒)で測定したD50の値(体積分布のメジアン径、累積中央値)を意味する。なお、後述するように研磨液が、砥粒を水に分散させた酸化セリウムスラリと、添加剤を水に溶解させた添加液とに分けて保存されている場合は、酸化セリウムスラリを適切な含有量に希釈して測定することができる。
砥粒における酸化セリウムの含有量は、ストッパ膜に対する無機絶縁膜の研磨選択性が更に向上する観点から、50質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が極めて好ましい。砥粒は、酸化セリウムからなる(酸化セリウムの含有量が実質的に100質量%である)態様であってもよい。
砥粒の含有量は、良好な研磨速度が得られやすい傾向がある観点から、研磨液全質量基準で、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。砥粒の含有量は、粒子の凝集が抑制されて被研磨膜に傷がつきにくくなる傾向がある観点から、研磨液全質量基準で、20質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。
(ホウ酸化合物)
本実施形態に係る研磨液は、ストッパ膜の過剰研磨を抑制する目的で、ホウ酸化合物を含有する。これにより、無機絶縁膜の研磨速度を維持しながらストッパ膜の過剰研磨を抑制することができる。この効果は、前記ホウ酸化合物と、酸化セリウムを含む砥粒とを併用することにより効率的に得られる。
ホウ酸化合物としては、ホウ酸及びその塩、アルキル化ボロン酸(アルキルボロン酸)、ホウ酸エステル、メタホウ酸及びその塩、四ホウ酸及びその塩等が挙げられる。前記塩としては、アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。
ホウ酸化合物としては、ホウ素に結合した水酸基を少なくとも2つ有する化合物及びその塩(アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等)からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。このようなホウ酸化合物としては、例えば、下記一般式(1)を満たす化合物及びその塩が挙げられる。式(1)を満たす化合物及びその塩としては、ホウ酸;ホウ酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム等のホウ酸塩;メチルボロン酸、エチルボロン酸、プロピルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、t−ブチルボロン酸、フェニルボロン酸等のアルキル化ボロン酸などが挙げられる。
Figure 2017152577
[式(1)中、Rは、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、又は、アリール基を示す。前記アルキル基の水素原子は、水酸基、カルボキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、アミノ基、又は、炭素数1〜20のモノ若しくはジアルキルアミノ基で置換されていてもよい。前記アリール基としては、フェニル基、ベンジル基、トリル基等が挙げられる。]
ホウ素に結合した水酸基を少なくとも2つ有する化合物及びその塩は、少なくとも2つの水酸基及び/又は−OX基(Xは、アンモニウム基(NH基)、アルカリ金属、アルカリ土類金属等)がストッパ膜に対して選択的に配位又は吸着することで保護膜を形成していると考えられる。これにより、ストッパ膜の過剰研磨を更に抑制することができる。
ホウ酸化合物は、水への溶解性が高い化合物が好ましく、溶解性に優れる観点から、ホウ酸がより好ましい。
前記ホウ酸化合物の含有量は、ストッパ膜の過剰研磨が更に抑制される観点から、研磨液全質量基準で、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が特に好ましく、0.2質量%以上が極めて好ましい。前記ホウ酸化合物の含有量は、被研磨膜(例えば、TEOS−CVD法等で形成される酸化珪素膜)の研磨速度への影響が小さい(研磨速度の低下が容易に抑制される)観点、及び、砥粒の凝集が容易に抑制される傾向がある観点から、研磨液全質量基準で、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、前記芳香族化合物の含有量は、0.005〜2質量%が好ましい。
前記ホウ酸化合物の含有量は、ストッパ膜の過剰研磨が更に抑制される観点から、砥粒の全質量基準で、10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、100質量%以上が更に好ましい。前記ホウ酸化合物の含有量は、研磨剤の安定性の観点から、砥粒の全質量基準で、2000質量%以下が好ましく、1000質量%以下がより好ましく、500質量%以下が更に好ましい。
(水)
水としては、特に制限されないが、脱イオン水、イオン交換水、超純水等が好ましい。水の含有量は、前記各含有成分の含有量の残部でよく、研磨液中に含有されていれば特に限定されない。なお、研磨液は、必要に応じて水以外の溶媒、例えば、エタノール、アセトン等の極性溶媒などを更に含有してもよい。
(分散剤)
本実施形態に係る研磨液は、砥粒を分散させるための分散剤を含有することができる。分散剤としては、水溶性陰イオン性分散剤、水溶性非イオン性分散剤、水溶性陽イオン性分散剤、水溶性両性分散剤等が挙げられ、中でも、水溶性陰イオン性分散剤が好ましい。分散剤は、一種類を単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性陰イオン性分散剤としては、共重合成分としてアクリル酸を含む高分子及びその塩が好ましく、前記高分子の塩がより好ましい。共重合成分としてアクリル酸を含む高分子及びその塩としては、例えば、ポリアクリル酸及びそのアンモニウム塩、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体及びそのアンモニウム塩、並びに、アクリル酸アミドとアクリル酸との共重合体及びそのアンモニウム塩が挙げられる。
その他の水溶性陰イオン性分散剤としては、例えば、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン及び特殊ポリカルボン酸型高分子分散剤が挙げられる。
水溶性非イオン性分散剤としては、例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びアルキルアルカノールアミドが挙げられる。
水溶性陽イオン性分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ココナットアミンアセテート及びステアリルアミンアセテートが挙げられる。
水溶性両性分散剤としては、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド及び2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが挙げられる。
分散剤の含有量は、砥粒の分散性を向上させて沈降を抑制し、被研磨膜の研磨傷を更に減らす観点から、研磨液全質量基準で0.001〜10質量%の範囲が好ましい。
分散剤の重量平均分子量は、特に制限はないが、100〜150000が好ましく、1000〜20000がより好ましい。分散剤の分子量が100以上であれば、酸化珪素膜等の無機絶縁膜を研磨するときに良好な研磨速度が得られやすい傾向がある。分散剤の分子量が150000以下であれば、研磨液の保存安定性が低下しにくい傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPCで測定し、標準ポリオキシエチレン換算した値である。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る研磨液は、前記ホウ酸化合物及び分散剤とは別の添加剤として水溶性高分子を使用することができる。このような水溶性高分子としては、例えば、カルボン酸基又はカルボン酸塩基を有する水溶性有機高分子及び/又はその塩;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、寒天、カードラン及びプルラン等の多糖類;ポリビニルアルコール、ポリアクロレイン等のビニル系ポリマなどが挙げられる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、500以上が好ましい。なお、重量平均分子量は、GPCで測定し、標準ポリオキシエチレン換算した値である。水溶性高分子の含有量は、研磨液全質量基準で0.01〜5質量%が好ましい。
(研磨液の調製・保存方法)
本実施形態に係る研磨液は、例えば、砥粒及び水(必要に応じて更に分散剤)を配合して砥粒を分散させた後に前記ホウ酸化合物を添加することによって得ることができる。なお、本実施形態に係る研磨液は、砥粒、前記ホウ酸化合物、水、並びに、任意に分散剤及び/又は水溶性高分子を含む一液式研磨液として保存してもよく、砥粒及び水を含む酸化セリウムスラリ(第1の液)と、前記ホウ酸化合物及び水を含む添加液(第2の液)と、を有する複数液式研磨液(例えば二液式研磨液)として保存してもよい。前記酸化セリウムスラリは、任意に分散剤を更に含んでいてもよい。前記添加液は、任意に水溶性高分子を更に含んでいてもよい。
なお、複数液式研磨液の場合は、前記ホウ酸化合物以外の添加剤は、酸化セリウムスラリ及び添加液のいずれに含まれてもよいが、砥粒の分散安定性に影響がない観点から、添加液に含まれることが好ましい。
酸化セリウムスラリと添加液とを分けた複数液式研磨液として保存する場合、これら複数の液の配合を任意に変えることにより平坦化特性と研磨速度とを調整することができる。複数液式研磨液を用いて研磨する場合、酸化セリウムスラリ及び添加液をそれぞれ別の配管で送液し、これらの配管を供給配管出口の直前で合流させて両液を混合して研磨パッド上に供給する方法や、研磨直前に酸化セリウムスラリと添加液とを混合する方法を用いることができる。
本実施形態に係る研磨液は、貯蔵・運搬・保管等に係るコストを抑制できる観点から、使用時に水等の液状媒体で希釈(例えば2倍以上に希釈)されて使用される研磨液用貯蔵液として保管することができる。前記貯蔵液は、研磨の直前に液状媒体で希釈されてもよく、研磨パッド上に貯蔵液と液状媒体とを供給し、研磨パッド上で希釈されてもよい。
前記貯蔵液の希釈倍率としては、倍率が高いほど貯蔵・運搬・保管等に係るコストの抑制効果が高いため、2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。また、上限としては特に制限はないが、倍率が高いほど貯蔵液に含まれる成分の量が多く(含有量が高く)なり、保管中の安定性が低下する傾向があるため、一般的には、10倍以下が好ましく、7倍以下がより好ましく、5倍以下が更に好ましい。なお、三液以上に含有成分を分けてもよく、その場合についても同様である。
本実施形態に係る研磨液は、所望のpHに調整して研磨に供することができる。pH調整剤としては、特に制限はないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、酢酸等の酸;水酸化ナトリウム、アンモニア(アンモニア水等)、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の塩基が挙げられる。研磨液が半導体研磨に使用される場合には、アンモニア水又は酸が好適に使用される。pH調整剤としては、予めアンモニアで部分的に中和された水溶性高分子のアンモニウム塩を使用することができる。
研磨液のpHは、研磨液の保存安定性が向上する傾向があり、被研磨膜の傷の発生数が減少する傾向がある観点から、4.0以上が好ましく、4.5以上がより好ましく、4.8以上が更に好ましく、5.0以上が特に好ましい。研磨液のpHは、平坦性の向上効果を充分に発揮することができる観点から、9.0以下が好ましく、8.0以下がより好ましく、7.5以下が更に好ましく、7.0以下が特に好ましい。これらの観点から、研磨液のpHは、4.0〜9.0が好ましく、4.0〜8.0がより好ましい。研磨液のpHは、室温(25℃)における研磨液のpHである。
研磨液のpHは、pHメータ(例えば、横河電機株式会社製のModel PH81(商品名))で測定することができる。例えば、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液(pH:4.21(25℃))及び中性リン酸塩pH緩衝液(pH6.86(25℃)))を用いて2点校正した後、電極を研磨液に入れて、25℃で2分以上経過して安定した後の値を測定することで、研磨液のpHを測定することができる。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨液の、被研磨膜(基板表面に形成された被研磨膜等)の研磨への応用(Use)について説明する。
本実施形態に係る研磨方法は、前記研磨液を用いて被研磨膜(無機絶縁膜)を研磨する。本実施形態に係る研磨方法は、前記研磨液を用いて、基板表面に形成された被研磨膜(無機絶縁膜)を研磨する、基板の研磨方法であってもよい。より詳しくは、例えば、基板表面に形成された被研磨膜を研磨定盤の研磨パッドに押圧した状態で、前記研磨液を被研磨膜と研磨パッドとの間に供給しながら、基板と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨膜を研磨する。本実施形態に係る研磨方法は、前記研磨液を用いて、ストッパ膜に対して被研磨膜(無機絶縁膜)を選択的に研磨する態様であってもよい。
基板としては、例えば、半導体基板(回路素子及び配線パターンが形成された段階の半導体基板や、回路素子が形成された段階の半導体基板等)の上に無機絶縁膜が形成された基板などの、半導体素子製造に係る基板が挙げられる。
前記被研磨膜としては、酸化珪素膜;酸化珪素膜の複合膜等の無機絶縁膜などが挙げられる。このような基板上に形成された無機絶縁膜を、本実施形態に係る研磨液で研磨することによって、無機絶縁膜表面の凹凸を解消し、基板全面にわたって平滑な面とすることができる。また、本実施形態に係る研磨液は、シャロートレンチ分離にも使用できる。
以下、無機絶縁膜が形成された半導体基板の場合を例に挙げて、基板の研磨方法を更に詳細に説明する。
研磨装置としては、半導体基板を保持するホルダーと、回転数を変更可能なモータ等が取り付けてあり、かつ、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤と、を有する一般的な研磨装置を使用することができる。研磨装置としては、例えば、株式会社荏原製作所製の研磨装置:F−REX、AMAT製のMIRRA,Reflexion等を使用できる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン及び多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用できる。また、研磨パッドには、研磨液が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件に制限はないが、定盤の回転速度は、半導体基板が飛び出さないように200回転/分以下の低回転が好ましく、半導体基板にかける圧力(加工荷重)は、研磨後に傷が発生しないように100kPa以下が好ましい。研磨している間は、研磨パッドに研磨液をポンプ等で連続的に供給することができる。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨終了後の半導体基板は、流水中でよく洗浄後、スピンドライヤ等を用いて、半導体基板上に付着した水滴を払い落として乾燥させることが好ましい。
このように被研磨膜である無機絶縁膜を研磨液で研磨することによって、表面の凹凸を解消し、半導体基板全面にわたって平滑な面が得られる。平坦化されたシャロートレンチを形成した後は、無機絶縁膜の上にアルミニウム等の金属配線を形成し、その配線間及び配線上に再度無機絶縁膜を形成後、研磨液を用いて当該無機絶縁膜を研磨して平滑な面を得ることができる。この工程を所定数繰り返すことにより、所望の層数を有する半導体基板を製造することができる。
本実施形態に係る研磨液により研磨される被研磨面は、例えば、無機絶縁膜(酸化珪素膜等)を有しており、ストッパ膜(窒化珪素膜等)を更に有していてもよい。酸化珪素膜は、リン及びホウ素等の元素がドープされていてもよい。無機絶縁膜の作製方法としては、低圧CVD法、プラズマCVD法等が挙げられる。
低圧CVD法による酸化珪素膜形成は、Si源としてモノシラン:SiH、酸素源として酸素:Oを用いることができる。このSiH−O系酸化反応を400℃以下の低温で行うことにより酸化珪素膜が得られる。場合によっては、CVDにより得られた酸化珪素膜は、1000℃以下の温度で熱処理される。高温リフローによる表面平坦化を図るために、酸化珪素膜にリン:Pをドープするときには、SiH−O−PH系反応ガスを用いることが好ましい。
プラズマCVD法は、通常の熱平衡下では高温を必要とする化学反応が低温でできる利点を有する。プラズマ発生法には、容量結合型及び誘導結合型の2つが挙げられる。反応ガスとしては、Si源としてSiH、酸素源としてNOを用いたSiH−NO系ガス、及び、テトラエトキシシラン(TEOS)をSi源に用いたTEOS−O系ガス(TEOS−プラズマCVD法)が挙げられる。基板温度は250〜400℃が好ましく、反応圧力は67〜400Paが好ましい。
低圧CVD法による窒化珪素膜形成は、Si源としてジクロルシラン:SiHCl、窒素源としてアンモニア:NHを用いることができる。このSiHCl−NH系酸化反応を900℃の高温で行うことにより窒化珪素膜が得られる。プラズマCVD法による窒化珪素膜形成における反応ガスとしては、例えば、Si源としてSiH、窒素源としてNHを用いたSiH−NH系ガスが挙げられる。基板温度は、300〜400℃が好ましい。
本実施形態に係る研磨液及び研磨方法は、半導体基板に形成された無機絶縁膜だけでなく、各種半導体装置の製造プロセス等にも適用することができる。本実施形態に係る研磨液及び研磨方法は、例えば、所定の配線を有する配線板に形成された酸化珪素膜、ガラス及び窒化珪素等の無機絶縁膜;ポリシリコン、Al、Cu、Ti、TiN、W、Ta及びTaN等を主として含有する膜;フォトマスク・レンズ・プリズム等の光学ガラス;ITO等の無機導電膜;ガラス及び結晶質材料で構成される光集積回路・光スイッチング素子・光導波路;光ファイバーの端面;シンチレータ等の光学用単結晶;固体レーザ単結晶;青色レーザLED用サファイヤ基板;SiC、GaP、GaAs等の半導体単結晶;磁気ディスク用ガラス基板;磁気ヘッドなどを研磨することにも適用することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<酸化セリウム粒子の作製>
平均粒径201nmの酸化セリウム粒子を含む水分散液(酸化セリウム分散液)を準備した。酸化セリウム分散液としては、酸化セリウム粒子及び分散剤を水と混合した後に、超音波分散機を用いて酸化セリウム粒子を分散させることにより調製した水分散液(酸化セリウム粒子:5質量%、分散剤:0.05質量%)を用いた。分散剤としては、ポリアクリル酸アンモニウム(重量平均分子量:8000)を用いた。超音波分散は、超音波周波数400kHz、分散時間20分で行った。上記工程を経て得られた酸化セリウム分散液の平均粒径は、BECKMANCOULTER社製のサブミクロン粒子アナライザー「N5」の単分散モードを用いて測定して得られたものであり、酸化セリウム粒子の水分散液をBECKMANCOULTER社製のサブミクロン粒子アナライザー「N5」から得られるIntensity(信号の強さ)が1.0E+4〜1.0E+6の範囲となるように調整し(水により希釈し)240秒の測定を行い得られた結果を用いた。
<研磨液の作製>
(実施例1)
ホウ酸2.5gと、前記酸化セリウム分散液25gとを混合した。ここに、脱イオン水とプロピオン酸とを加えて、全量1000g、pH6.0(25℃)の酸化セリウム研磨液(酸化セリウム粒子の含有量:0.125質量%)を作製した。
また、前記と同様に測定サンプルを調製して、研磨液中の砥粒の平均粒径をレーザ回折式粒度分布計(BECKMANCOULTER社製のサブミクロン粒子アナライザー「N5」)で測定した結果、平均粒径は201nmであった。
(実施例2〜5及び比較例1〜5)
添加剤の種類及び含有量並びに研磨液のpHを表1の内容へ変更した以外は、実施例1と同様にして酸化セリウム研磨液を作製した。ホウ酸化合物以外の酸を用いた比較例において、含有成分を混合した際にpHが目標の値よりも小さくなった場合には、アンモニアを加えてpHを調整した。
<絶縁膜の研磨>
研磨試験ウエハとして、パターンの形成されていないブランケットウエハ(Blanket wafer)を用いた。ブランケットウエハは、シリコン(Si)基板上にプラズマTEOS法で酸化珪素膜を形成したもの、及び、シリコン(Si)基板上に低圧CVD法で窒化珪素膜(SiN膜)を形成したものを用いた。
このような研磨試験ウエハの研磨には研磨装置(株式会社荏原製作所製のF−REX300)を用いた。基板取り付け用の吸着パッドを貼り付けたホルダーに研磨試験ウエハをセットした。研磨装置の直径600mmの研磨定盤に、多孔質ウレタン樹脂製の研磨パッド(溝形状=グルーブタイプ:ダウ・コーニング社製、型番VP3100)を貼り付けた。さらに、被研磨膜である絶縁膜面を下にして前記ホルダーを研磨定盤上に載せ、加工荷重を210gf/cm(20.6kPa)に設定した。
前記研磨パッド上に前記酸化セリウム研磨液を250mL/分の速度で滴下しながら、研磨定盤と研磨試験ウエハとをそれぞれ130回転/分で作動させて、研磨試験ウエハを研磨した。研磨後の研磨試験ウエハは、純水でよく洗浄後、乾燥した。
前記ブランケットウエハを用いて30秒研磨試験を行い、酸化珪素膜の研磨速度及び窒化珪素膜の研磨速度を測定し、そこから研磨選択比(酸化珪素膜の研磨速度/窒化珪素膜の研磨速度)を算出した。酸化珪素膜の研磨速度は、速いほど良好であり、窒化珪素膜の研磨速度は、遅いほど良好であり、研磨選択比は、その値が大きいほど良好であることを示す。
Figure 2017152577
表1から、本発明により提供される研磨液は、研磨選択比の値が特に大きく、酸化珪素膜の研磨速度の低下が抑制されて高い研磨速度が維持されつつ窒化珪素膜の研磨速度が特に遅いことが分かる。

Claims (9)

  1. 無機絶縁膜を化学機械研磨するための研磨液であって、
    酸化セリウムを含む砥粒と、ホウ酸化合物と、水と、を含有する、研磨液。
  2. 前記無機絶縁膜が酸化珪素膜である、請求項1に記載の研磨液。
  3. 前記ホウ酸化合物の含有量が、前記砥粒の全質量基準で10質量%以上である、請求項1又は2に記載の研磨液。
  4. 前記ホウ酸化合物の含有量が、研磨液全質量基準で0.005〜2質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液。
  5. pHが4.0〜9.0である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨液。
  6. pHが4.0〜8.0である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨液。
  7. 前記砥粒及び水を含む第1の液と、前記ホウ酸化合物及び水を含む第2の液と、を有する複数液式研磨液として保存される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨液。
  8. 前記第1の液が分散剤を更に含む、請求項7に記載の研磨液。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨液を用いて無機絶縁膜を研磨する、研磨方法。
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