以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す上面図であり、図2は、インクジェット式記録装置の側面図である。
図示するように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、被噴射媒体である記録シートSを搬送することで印刷を行う、所謂ライン式記録装置1である。
ここで、本実施形態では、記録シートSの搬送方向を第1の方向Xと称し、記録シートSのインクが着弾する面の面内方向において、第1の方向Xに直交する方向を第2の方向Yと称する。また、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に直交する方向、すなわち、記録シートSのインクが着弾する面に直交する方向を第3の方向Zと称する。さらに、第3の方向Zにおいて、記録シートS側をZ1、インクジェット式記録ヘッドユニット側をZ2と称する。本実施形態では、各方位(X、Y、Z)が互いに直交するものを例示したが、必ずしもこれに限定されるものでない。
インクジェット式記録装置1は、装置本体2と、装置本体2に対して第3の方向Zに昇降可能に設けられたインクジェット式記録ヘッドユニット3(以下、単にヘッドユニット3とも言う)と、液体としてインクを貯留したインクタンク等の液体貯留手段4と、記録シートSを搬送する第1搬送手段5及び第2搬送手段6と、を具備する。
ヘッドユニット3は、第2の方向Yに沿って延在している。本実施形態では、詳しくは後述するが、ヘッドユニット3には、インクを吐出する複数のインクジェット式記録ヘッド100(以下、単に記録ヘッド100とも言う)と、複数の記録ヘッド100を保持するユニットベース200と、を具備する。
液体貯留手段4は、ヘッドユニット3にインクを供給するものであり、本実施形態では、装置本体2に固定されている。装置本体2に固定された液体貯留手段4からのインクはチューブ等の供給管4aを介してヘッドユニット3に供給される。なお、ヘッドユニット3が液体貯留手段4を具備する態様、例えば、ヘッドユニット3のZ2側の上方に液体貯留手段4を搭載するようにしてもよい。
第1搬送手段5は、ヘッドユニット3の第1の方向Xの一方側、本実施形態では、X1側に設けられている。なお、本実施形態では、第1の方向Xにおいて、ヘッドユニット3に対して搬送方向の上流側をX1側と称し、下流側をX2側と称する。
第1搬送手段5は、第1搬送ローラー501と、第1搬送ローラー501に従動する第1従動ローラー502と、を具備する。第1搬送ローラー501は、記録シートSのインクが着弾する面とは反対面側、すなわちZ1側に設けられており、第1駆動モーター503の駆動力によって駆動される。また、第1従動ローラー502は、記録シートSのインクが着弾する面側、すなわちZ2側に設けられており、第1搬送ローラー501との間で記録シートSを挟持する。このような第1従動ローラー502は、図示しないばね等の付勢部材によって記録シートSを第1搬送ローラー501側に向かって押圧している。
第2搬送手段6は、搬送ベルト601、第2駆動モーター602、第2搬送ローラー603、第2従動ローラー604、テンションローラー605及び押さえローラー607を具備する。
第2搬送手段6の第2搬送ローラー603は、第2駆動モーター602の駆動力によって駆動される。搬送ベルト601は、無端ベルトからなり、第2搬送ローラー603と第2従動ローラー604との外周に掛けられている。このような搬送ベルト601は、記録シートSのZ1側に設けられている。テンションローラー605は、第2搬送ローラー603と第2従動ローラー604との間に設けられて、搬送ベルト601の内周面に当接し、ばね等の付勢部材606の付勢力によって搬送ベルト601に張力を付与している。これにより、搬送ベルト601は、第2搬送ローラー603と第2従動ローラー604との間でヘッドユニット3に相対向する面が平坦に配置される。
第2搬送手段6の押さえローラー607は、記録シートSのZ2側においてヘッドユニット3のX1側及びX2側のそれぞれに設けられている。この2つの押さえローラー607と搬送ベルト601との間で記録シートSを挟持することで、記録シートSの姿勢を平坦に保っている。
このようなインクジェット式記録装置1では、第1搬送手段5及び第2搬送手段6によって記録シートSを、ヘッドユニット3に対して第1の方向XにX1からX2側に向かって搬送しながら、ヘッドユニット3の各記録ヘッド100からインクを噴射させて、噴射したインクを記録シートSのZ2側の面に着弾させる、所謂、印刷を行う。
ここで、このようなインクジェット式記録装置1に搭載されるヘッドユニット3についてさらに図3〜図7を参照して詳細に説明する。なお、図3は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を分解した斜視図であり、図4は、ヘッドユニットの底面図であり、図5は、図4のA−A′線断面図であり、図6は、図5の要部を拡大した図であり、図7は、図4のB−B′線断面図である。また、本実施形態では、ヘッドユニット3の各方向についてインクジェット式記録装置1に搭載された際の方向、すなわち、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに基づいて説明する。
図示するように、本実施形態のヘッドユニット3は、複数の記録ヘッド100と、複数の記録ヘッド100を保持するユニットベース200と、ユニットベース200と記録ヘッド100との間に設けられたスペーサー300と、を具備する。
図4及び図5に示すように、記録ヘッド100は、Z1側の面にノズル開口101を有するノズル面102を有する。ノズル開口101は、ノズル面102の面内方向において第1の方向Xに対してノズル列が傾斜するように固定されている。すなわち、ノズル列を構成するノズル開口101の並設方向は、第1の方向Xに対して傾斜した第4の方向Xaとなっている。また、ノズル面102には、ノズル列が第2の方向Yに複数並設されている。
また、記録ヘッド100は、ノズル面102側から平面視した際に、第2の方向Yと第4の方向Xaとに沿った略平行四辺形となる形状を有する。もちろん、記録ヘッド100のノズル面102側から平面視した際の形状は、略平行四辺形に限定されず、矩形状や台形状、多角形状等であってもよい。
さらに、複数の記録ヘッド100は、記録シートSの搬送方向である第1の方向Xに直交する第2の方向Yに並設されてユニットベース200に固定されている。なお、本実施形態では、複数の記録ヘッド100は、第2の方向Yに一列に沿って、すなわち、第2の方向Yに沿った直線上に並設されている。つまり、複数の記録ヘッド100は第1の方向Xにずれて配置されていない。これによりヘッドユニット3の第1の方向Xの幅を狭くして、ヘッドユニット3の小型化を図ることができる。なお、本実施形態では、記録ヘッド100を第2の方向Yに並設することで、ヘッドユニット3は、第2の方向Yに長尺となり、第1の方向Xに短尺となる。つまり、ヘッドユニット3は、第2の方向Yに長手方向を有し、第1の方向Xに短手方向を有する。
このような記録ヘッド100は、複数の部材が積層されて構成されている。具体的には、図3及び図5に示すように、記録ヘッド100は、本実施形態では、インク滴を吐出する複数のノズル開口101が設けられた複数のヘッド本体110と、複数のヘッド本体110を保持する保持部材120と、ヘッド本体110のZ1側に設けられた固定板であるカバー130と、を具備し、これらヘッド本体110と保持部材120とカバー130とは第3の方向Zに積層されている。そして、本実施形態では、このような記録ヘッド100において、Z1側の面をノズル面102と称する。
また、保持部材120は、流路部材121と、ホルダー122と、流路部材121とホルダー122との間に保持された配線基板123とを具備する。配線基板123は、流路部材121とホルダー122との積層界面に露出して設けられている。また、記録ヘッド100のZ2側の面からは、配線基板123に接続されたケーブル126が導出されている。
このような記録ヘッド100がユニットベース200に複数固定されている。本実施形態では、記録ヘッド100は、ユニットベース200にスペーサー300を介して6個固定されている。
スペーサー300は、第1固定部301と、第1固定部301よりも第3の方向Zに厚い第2固定部302と、を具備する。
第1固定部301には、第3の方向Zに貫通する第1挿通孔304が設けられている。また、記録ヘッド100には、第1固定孔103が設けられている。そして、第1固定部301のZ2側から第1挿通孔304に雄ねじである第1ネジ部材401を挿入して、第1ネジ部材401を記録ヘッド100の第1固定孔103に螺合させることで、スペーサー300は、記録ヘッド100のZ2側の面に固定される。
このようなスペーサー300は、ノズル面102を平面視した際に、記録ヘッド100の並設方向である第2の方向Yにおいて、記録ヘッド100の外形内に収まる位置に配置されている。すなわち、第3の方向Zから見た際に、スペーサー300は、第2の方向Yにおいて、記録ヘッド100の外形から突出しない位置に配置されている。なお、記録ヘッド100の外形とは、記録ヘッド100の第1の方向X及び第2の方向Yに最も突出した部分のことを言う。
このように記録ヘッド100を第3の方向Zから見た際に、スペーサー300を記録ヘッド100の第2の方向Yの側面から突出しない位置に配置することで、第2の方向Yで隣り合う記録ヘッド100の間隔を狭くすることができる。これにより、第2の方向Yで隣り合う記録ヘッド100のヘッド本体110同士を近接して設けることができ、隣り合う記録ヘッド100の各ヘッド本体110に設けられたノズル開口101を第2の方向Yに近接して設けることができる。この結果、ヘッドユニット3の第2の方向Yに同様の間隔で並設されたドットを連続して形成することができる。
また、本実施形態では、スペーサー300は、ノズル面102を平面視した際に、記録シートSのヘッドユニット3に対する相対移動方向、つまり記録シートSの搬送方向である第1の方向Xにおいて、記録ヘッド100のノズル面102側の外形内に収まる位置に配置されている。これにより、ヘッドユニット3の第1の方向Xの幅を小さくすることができ、インクジェット式記録装置1における2つの押さえローラー607の第1の方向Xの距離を短くすることができる。したがって、2つの押さえローラー607の第1の方向Xの間隔を狭くすることができ、2つの押さえローラー607の間での記録シートSの姿勢の固定が容易になって、印刷品質を向上することができる。また、ヘッドユニット3及びインクジェット式記録装置1を小型化することが可能となる。
このようなスペーサー300は、第2固定部302がユニットベース200の記録シートS側であるZ1側の面に当接した状態で着脱可能に固定されている。具体的には、スペーサー300の第2固定部302には、ユニットベース200側に開口する第2固定孔306が設けられている。また、ユニットベース200には、第2挿通孔202が設けられている。そして、ユニットベース200のZ2側から雄ねじである第2ネジ部材402を挿入して、第2ネジ部材402をスペーサー300の第2固定孔306に螺合させることで、スペーサー300は、ユニットベース200のZ1側の面に当接した状態で固定される。すなわち、スペーサー300は、第2ネジ部材402によってユニットベース200のZ2側からのネジ止めによって着脱可能に固定される。このような本実施形態のスペーサー300は、第2ネジ部材402のネジ止めを解除することで、所望のタイミングでユニットベース200から取り外すことができる。
このように、記録ヘッド100に固定されたスペーサー300をユニットベース200に着脱可能に設けることで、記録ヘッド100は、ユニットベース200から容易に着脱することができる。これにより、ヘッドユニット3に設けられた複数の記録ヘッド100が故障した際に、壊れた記録ヘッド100のみを選択的に交換することが可能となる。つまり、1つの記録ヘッド100の故障によって、ヘッドユニット3全体を交換する必要がないため、コストを低減することができる。また、ヘッドユニット3の組み立て時においても、インク滴の噴射特性の揃わない記録ヘッド100を選択的に交換することが可能となり、歩留まりを向上することができる。
また、本実施形態では、記録ヘッド100及びスペーサー300を固定する第1ネジ部材401や、ユニットベース200及びスペーサー300を固定する第2ネジ部材402は、何れも記録ヘッド100のノズル面102とは反対側からネジ止めすることによって着脱可能に固定されている。したがって、第1ネジ部材401や第2ネジ部材402に付着したインクが予期せぬタイミングで記録シートSなどに落下するなどの不具合を抑制することができる。また、第1ネジ部材401と第2ネジ部材402とは、互いにネジ止めの方向が同じなので作業性がよい。
なお、本実施形態では、1つの記録ヘッド100に対して4個のスペーサー300を設けるようにした。具体的には、記録ヘッド100の第1の方向X及び第2の方向Yの面内における4つの角部のそれぞれにスペーサー300を設けるようにした。
また、スペーサー300として、厚さの異なる複数種類を用意し、複数の記録ヘッド100の相対的な第3の方向Zの高さを調整することで、複数の記録ヘッド100のノズル面102の高さ及び傾きを容易に揃えることができる。特に、本実施形態では、スペーサー300を記録ヘッド100から着脱自在とすることで、厚さの異なるスペーサー300に容易に交換することができる。したがって、各記録ヘッド100から噴射されるインク滴の着弾位置ずれを抑制して印刷品質を向上することができる。
このような記録ヘッド100がスペーサー300を介して固定されるユニットベース200についてさらに図8〜図10を参照して説明する。なお、図8は、ユニットベース200の底面側からの斜視図であり、図9はユニットベースの上面図であり、図10は、ユニットベースの底面図である。
図示するように、ユニットベース200は、底部210と、底部210のZ1側に設けられた壁部230と、を具備する。このようなユニットベース200としては、例えば、アルミニウム合金等の金属又は樹脂等を用いて、切削加工又は成型等により形成することができる。
底部210は、第1の方向X及び第2の方向Yを含む面方向を有する板形状を有し、第1の方向Xの両側に設けられた固定部211と、固定部211の間に設けられて固定部211よりも厚さの厚い厚肉部212と、を具備する。これら2つの固定部211と、2つの固定部211に挟まれた厚肉部212とは、第2の方向Yに亘って連続して設けられている。また、固定部211と厚肉部212とは一体的に設けられている。
固定部211は、Z1側の面に記録ヘッド100がスペーサー300を介して固定される固定面213を有する。なお、本実施形態では、底部210の記録ヘッド100が固定される固定面213とは反対面、すなわち、Z2側の面を供給面214と称する。
底部210の固定部211には、第3の方向Zに貫通する第2挿通孔202が設けられている。記録ヘッド100に固定されたスペーサー300は、上述したように供給面214側から第2挿通孔202を挿通した第2ネジ部材402を螺合させることによって、固定面213に固定される。なお、上述のように、1つの記録ヘッド100には、4つのスペーサー300が設けられている。すなわち、記録ヘッド100は、第1の方向Xで厚肉部212を挟んで配置された固定部211のそれぞれに2カ所ずつ、合計4カ所で固定される。つまり、記録ヘッド100は、ユニットベース200に短手方向である第1の方向Xの複数箇所で固定されている。このように、ユニットベース200に第1の方向Xの複数箇所で記録ヘッド100を固定することで、記録ヘッド100が固定されることによるユニットベース200の短手方向の剛性を向上させることができる。また、記録ヘッド100のうち、ユニットベース200の短手方向である第1の方向Xの両端を固定するスペーサー300がユニットベース200に固定される固定面213は、底部210を短手方向である第1の方向Xに4等分した場合における両端の領域となるように配置するのが好ましい。このように、スペーサー300が固定される固定面213を底部210の短手方向の両端部に設けることで、記録ヘッド100が固定されることによるユニットベース200の短手方向の剛性をさらに向上させることができる。
また、底部210の厚肉部212には、第3の方向Zに貫通する供給孔215が設けられている。底部210に固定された記録ヘッド100の流路は、供給孔215によって供給面214側に露出されており、供給孔215によって露出された流路にチューブ等の供給管4aが供給面214側から接続される(図1参照)。すなわち、記録ヘッド100には、供給面214側からインクが供給される。なお、本実施形態では、底部210の供給面214側から記録ヘッド100に直接、供給管4aを接続するようにしたが、特にこれに限定されず、底部210の供給面214側に他の流路部材を設け、他の流路部材に供給管4aを接続して、供給管4aから他の流路部材を介して記録ヘッド100にインクを供給するようにしてもよい。本実施形態では、供給孔215を厚肉部212に設けることで、底部210の剛性が著しく低下するのを抑制して底部210の剛性を確保することができる。すなわち、供給孔215を固定部211に設けた場合、固定部211は、厚肉部212に比べて厚さが薄いため、固定部211の供給孔215が設けられた部分の剛性が著しく低下してしまうからである。
このような底部210は、複数の記録ヘッド100が第2の方向Yに並設されて固定されるため、底部210の第2の方向Yが長尺(長手方向)となり、底部210の第1の方向Xが短尺(短手方向)となっている。そして、底部210に厚肉部212を設けることで、底部210の剛性を向上することができる。特に、底部210は、第2の方向Yに長尺となっているため、第2の方向Yに亘って厚肉部212を設けることで、剛性の低下し易い長手方向の剛性を向上することができる。
壁部230は、記録ヘッド100の並設方向である第2の方向Yに亘って連続して設けられた2つの第1壁部231と、2つの第1壁部231の端部同士を接続する第2壁部232と、を有する。すなわち、壁部230は、2つの第1壁部231と2つの第2壁部232とが連続する環状形状を有する。
具体的には、第1壁部231は、板状部材からなり、底部210の第1の方向Xの両端部のそれぞれに、固定面213に垂直な方向、すなわち、第3の方向ZのZ1側に底部210から延びるように立設されている。また、第1壁部231は、記録ヘッド100の並設方向である第2の方向Yに亘って連続して設けられている。すなわち、第1壁部231は、板状部材からなり、その表面が第2の方向Y及び第3の方向Zを含む方向となるように配置されている。
第2壁部232は、底部210の第2の方向Yの両端部のそれぞれに、固定面213に垂直な方向、すなわち、第3の方向ZのZ1側に延びるように立設して設けられている。また、第2壁部232は、第1の方向Xに対して傾斜した方向、本実施形態では、記録ヘッド100のノズル開口101の並設方向である第4の方向Xaに沿って連続して設けられている。すなわち、第2壁部232は、板状部材からなり、その表面が第4の方向Xa及び第3の方向Zを含む方向となるように配置されている。
また、第1壁部231と第2壁部232との端部同士は接続されている。本実施形態では、第1壁部231と第2壁部232とを連続して一体的に設けるようにした。したがって、壁部230は、2つの第1壁部231と2つの第2壁部232とによって複数の記録ヘッド100を囲む環状形状に形成されている。
このように環状形状の壁部230を設けることで、ユニットベース200の剛性を向上することができる。すなわち、ユニットベース200として底部210のみを設けた場合に比べて、第1壁部231を設けることで、第2の方向Yの曲げモーメントに対する剛性を向上することができる。また、底部210に対して第2壁部232を設けることで第1の方向Xの曲げモーメントに対する剛性を向上することができる。そして、第1壁部231及び第2壁部232を設けることで、ねじりモーメントに対する剛性を向上することができる。本実施形態では、第1壁部231と第2壁部232と接続して壁部230を環状形状とすることで、第1の方向X及び第2の方向Yの曲げモーメントに対する剛性と、ねじりモーメントに対する剛性とをさらに向上することができる。したがって、ヘッドユニット3のノズル面102にキャップを当接させる際の荷重を高くしても、ユニットベース200の変形を抑制することができる。そして、ユニットベース200の変形を抑制することができるため、キャップがノズル面102に当接する荷重を高くすることで、キャップとノズル面102との密封性を向上してキャップを介して吸引動作を確実に行わせることができる。また、キャップがノズル面102に当接する荷重を高くして、キャップとノズル面との密封性を向上して、ノズル開口101からのインクの蒸発を抑制することができる。さらに、複数の記録ヘッド100を保持してヘッドユニット3自体の自重が大きくなったとしても、ユニットベース200の剛性を向上することで自重による変形及び破壊を抑制することができる。
また、本実施形態では、記録ヘッド100が第2の方向Yに沿った一列に配置されるため、ユニットベース200は、高いアスペクト比で第2の方向Yに長尺化し易い。しかしながら、ユニットベース200に記録ヘッド100の並設方向に連続する壁部230、特に第1壁部231を設けることで、ユニットベース200の変形し易い長手方向の剛性を向上して変形を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、上述したように、記録ヘッド100に固定されたスペーサー300をユニットベース200にZ1側の固定面213とは反対面側からネジ止めすることにより固定したため、スペーサー300を記録ヘッド100のノズル面102側において第2の方向Yから突出させることなく、スペーサー300を記録ヘッド100の第2の方向Yの外形内に収まるように配置することができる。したがって、第2の方向Yで並設された互いに隣り合う記録ヘッド100の間隔を狭くすることができると共に、ユニットベース200の第1の方向Xの幅を小さくすることができる。このようにヘッドユニット3の第1の方向Xの幅を小さくすることで、ユニットベース200の剛性をさらに向上することができる。
また、ユニットベース200に壁部230を設けることで、底部210の剛性を向上することができるため、底部210の厚さを厚くする必要がなく、ユニットベース200の重量の増加を抑制して、自重による変形を抑制することができると共に、小型化を図ることができる。ちなみに、ユニットベース200に壁部230を設けずに、底部210のみを設けた場合、底部210の剛性を向上するには第3の方向Zに厚くしなくてはならず、重量が増加すると共に大型化してしまう。本実施形態では、ユニットベース200に壁部230を設けることで、ユニットベース200の剛性の向上、軽量化及び小型化を図ることができる。
このようなユニットベース200には、記録ヘッド100のケーブル126を挿通するためのケーブル用開口201が設けられている。ケーブル用開口201は、本実施形態では、底部210と壁部230との境界に跨がって設けられている。このようなケーブル用開口201を介してユニットベース200に固定された記録ヘッド100のケーブル126は、供給面214側に導出される。
また、第1壁部231のZ1側の端部には、外側、すなわち、第1の方向Xに向かって突出する第3壁部233が設けられている。このように第1壁部231のZ1側の端部に第3壁部233を設けることによって、第1壁部231の外側には、段差234が形成される。そして第1壁部231の外側に設けられた段差234内には、中継基板400が収容されている。ここで、中継基板400は、リジット基板からなり、段差234内にネジ等によって固定されている。この中継基板400には、ユニットベース200のケーブル用開口201から供給面214側に導出された複数のケーブル126が接続されている。このように、複数の記録ヘッド100のケーブル126を、ユニットベース200の供給面214側に開口するケーブル用開口201を挿通させて共通の中継基板400に接続することで、ケーブル用開口201からノズル面102側のインクミストが侵入し難く、ケーブル126や記録ヘッド100の配線基板123等にインクが付着するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、第1壁部231の外側に第3壁部233によって段差234を設け、段差234内に中継基板400を収容するようにした。このため、中継基板400がZ1側に露出されるのを抑制して、ノズル面102側のインクのミスト等が中継基板400に付着するのを抑制することができる。すなわち、第3壁部233によって中継基板400のZ1側を覆うことで、中継基板400にインクが付着し難くすることができる。
さらに、中継基板400の第3の方向Zの大きさは、段差234の第3の方向Zの高さよりも大きいものを用いるのが好ましい。これにより、ケーブル用開口201のうち、第1壁部231に開口する部分、すなわち、第1の方向X側の開口は中継基板400によって塞がれる。したがって、ケーブル用開口201からのインクの侵入を中継基板400によって抑制することができる。もちろん、中継基板400が収容された段差234を蓋部材等で覆うことで、中継基板400へのインクの付着をさらに抑制することができる。ただし、段差234を蓋部材で覆うことによってヘッドユニット3が第1の方向Xに大型化してしまう虞がある。本実施形態では、中継基板400を覆うことなく、第1の方向Xに露出させることで、ヘッドユニット3の第1の方向Xを小型化することができる。
このようなユニットベース200には、上述したように記録ヘッド100がスペーサー300を介して固定される。ここで、ユニットベース200にスペーサー300を介して固定される記録ヘッド100のヘッド側固定面は、ノズル面102が設けられたZ1側とは反対側のZ2側に位置する。これにより、ユニットベース200が第1の方向Xに大型化するのを抑制して、ねじれに対する剛性を向上することができる。ちなみに、ヘッド側固定面をノズル面102側に設ける場合、ノズル面102側にヘッド固定面を有するフランジ等を設ける必要があると共に、ユニットベース200にフランジが固定される領域が必要になり、ユニットベース200が大型化してしまう。特に、本実施形態では、複数の記録ヘッド100は、第2の方向Yに近接して設ける必要があるため、ユニットベース200のフランジが固定される領域は記録ヘッド100の第1の方向Xの両側に設ける必要があり、ユニットベース200が第1の方向Xに大型化して、ねじりに対する剛性が低下してしまう。
また、本実施形態では、記録ヘッド100をユニットベース200のZ1側の面に固定することで、ユニットベース200を小型化してユニットベース200の剛性をさらに向上することができる。ちなみに、記録ヘッド100をユニットベース200のZ2側の面に固定する場合、ユニットベース200には、記録ヘッド100のノズル開口101側をZ1側に露出すると共にノズル開口101を記録シートSに近接させるための開口や、記録ヘッド100を固定するための領域等が必要になり、大型化してしまう。特に、本実施形態では、複数の記録ヘッド100は、第2の方向Yに近接して設ける必要があるため、ユニットベース200の記録ヘッド100を固定するための領域は記録ヘッド100の第1の方向Xの両側に配置する必要があり、ユニットベース200が第1の方向Xに大型化し、ねじりに対する剛性が低下してしまう。
また、本実施形態では、底部210に対して壁部230を記録ヘッド100が固定されたZ1側に設けるようにすることで、ヘッドユニット3の第3の方向Zの小型化を図ることができる。ちなみに、記録ヘッド100をユニットベース200のZ1側に設け、壁部230をユニットベース200のZ2側に設けるようにしてもよいが、ヘッドユニット3が第3の方向Zに大型化してしまう。
さらに、本実施形態では、底部210に対して壁部230と記録ヘッド100とは同じZ1側に設けられており、壁部230によって記録ヘッド100の主要な側面は覆われている。これにより、ヘッドユニット3をインクジェット式記録装置1へ取り付ける際などのハンドリング時等において記録ヘッド100が他の部材に当接するのを抑制することができる。また、紙ジャム等によって記録シートSが記録ヘッド100に当接するのも抑制することができる。したがって、他の部材が記録ヘッド100に当接するのを抑制して、記録ヘッド100が破壊されるのを抑制することができる。
なお、壁部230は、第3の方向Zにおいて記録ヘッド100を構成する積層された部材の界面を覆う大きさで形成するのが好ましい。本実施形態では、図3等に示すように、記録ヘッド100を構成する保持部材120は、流路部材121と、ホルダー122と、流路部材121とホルダー122との間に保持された配線基板123とを具備する。そして、配線基板123は、図7に示すように、流路部材121とホルダー122との積層界面に露出して設けられている。このため、壁部230が、配線基板123を露出する界面、すなわち、流路部材121とホルダー122との積層界面を覆うことで、インクが配線基板123に付着するのを抑制することができる。もちろん、配線基板123は、流路部材121とホルダー122との積層された界面に露出されていなくてもよい。すなわち、記録ヘッド100を構成する積層された部材の界面は、配線基板123を露出する界面に限定されず、接着剤等によって接合された界面であってもよい。接着剤によって接合された界面を壁部230によって覆うことで、接着剤のインクによる浸食を抑制することができ、接着強度の低下を抑制することができる。もちろん、記録ヘッド100を構成する積層された部材の界面には、接着剤が設けられていなくてもよい。何れにしても界面を壁部230で覆うことで、界面から記録ヘッド100内へのインクの侵入を抑制することができる。ちなみに、本実施形態では、壁部230をノズル面102に近接する大きさで設けるようにした。ただし、ノズル面102は、ワイパーによってワイピングされると共に、記録シートSとの距離、所謂、ペーパーギャップを小さくする必要があるため、記録ヘッド100のノズル面102の方が、壁部230よりもZ1側に突出しているのが好ましい。
また、ユニットベース200に複数の記録ヘッド100を保持させることで、記録ヘッド100にノズル列を複数列設けて多列化する場合に比べて、歩留まりを向上することができる。ただし、ユニットベース200に複数の記録ヘッド100を保持させることで、複数の記録ヘッド100の全体における重量が増加し易いが、ユニットベース200に壁部230を設けることで剛性を向上して、記録ヘッド100の重量による変形を抑制することができる。
なお、本実施形態のユニットベース200は、複数の記録ヘッド100を第2の方向Yに並設して保持するため、底部210が、第1の方向Xに短尺で、第2の方向Yに長尺となる略矩形を有する。これに対して、壁部230のうち第2壁部232は、第1の方向Xに対して傾斜した第4の方向Xaに沿って設けられている。このため、底部210は、第2の方向Yの両端部のそれぞれに壁部230よりも外側に庇状に突出した第1突出部217及び第2突出部218を有する。すなわち、底部210は、第2の方向YのY1側において第2壁部232よりも外側に突出した第1突出部217と、第2の方向YのY2側において第2壁部232よりも外側に突出した第2突出部218と、を有する。
第1突出部217には、ヘッドユニット3の昇降方向である第3の方向Zに貫通する第1貫通孔219が設けられている。第1貫通孔219内には、第3の方向Zが軸方向となる第1軸9aが挿通される。また、第1貫通孔219内には、第1軸9aの外周面に接して荷重を受ける第1軸受部220が設けられている。
また、第2突出部218には、供給面214側にさらにZ2側に向かって突出する筒状の突部221が設けられている。この突部221の内部には、当該突部221と共に第2突出部218を第3の方向Zに貫通する第2貫通孔222が設けられており、第2貫通孔222内には、第3の方向Zが軸方向となる第2軸9bが挿通される。また、第2貫通孔222のZ1側の開口部及びZ2側の開口部には、第2軸9bの外周面に接して荷重を受ける第2軸受部223及び第3軸受部224が設けられている。すなわち、第2貫通孔222のZ2側の開口部には第2軸受部223が設けられ、Z1側の開口部には第3軸受部224が設けられている。また、第2軸受部223と第3軸受部224とは、第2貫通孔222内で断続して設けられている。そして、第2貫通孔222内では、第3の方向Zに離れた位置に設けられた2つの第2軸受部223及び第3軸受部224の2カ所で第2軸9bの荷重を受けるようになっている。すなわち、本実施形態では、ユニットベース200は、装置本体2に設けられた2本の第1軸9a及び第2軸9bに対して第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224の合計3カ所で支持している。
このような第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224は、本実施形態では、記録ヘッド100の並設方向である第2の方向Yにおいて記録ヘッド100と重なる位置に配置されている。これにより、ユニットベース200の第1の方向Xの小型化を図ることができる。また、2本の第1軸9a及び第2軸9bによってユニットベース200の長手方向である第2の方向Yの両端部を支持することができるため、ユニットベース200の第1軸9a及び第2軸9bの軸方向である第3の方向Zに対する傾きを抑制することができる。ちなみに、第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224を、第1の方向Xにおいて記録ヘッド100と重なる位置に配置するためにはユニットベース200に第1貫通孔219及び第2貫通孔222を設けるためのスペースが必要になり、ユニットベース200が第1の方向Xに大型化してしまう。特に、本実施形態のユニットベース200には、詳しくは後述する第1当接面225及び第2当接面227が第1の方向Xに設けられているため、第1当接面225及び第2当接面227と、第1貫通孔219及び第2貫通孔222が干渉するため、第1の方向Xに大型化し易い。また、2本の第1軸9a及び第2軸9bに対してユニットベース200の重心位置が第1の方向Xにずれるため、ユニットベース200が第1軸9a及び第2軸9bに対して傾き易い。本実施形態では、壁部230を設けることによって形成された底部210の第1突出部217及び第2突出部218に第1貫通孔219及び第2貫通孔222を設けたため、第1貫通孔219及び第2貫通孔222を設けるための新たなスペースが不要となって第1の方向Xだけではなく、第2の方向Yにおいても小型化を図ることができる。また、2本の第1軸9a及び第2軸9bの間又は間に近い位置にヘッドユニット3の重心を配置することができるため、ユニットベース200の第1軸9a及び第2軸9bの傾きが生じ難い。
また、底部210よりも突出した突部221を設け、突部221の第2貫通孔222内に第2軸受部223及び第3軸受部224を設けることで、第2軸受部223と第3軸受部224とを第3の方向Zで互いに離れた位置に配置することができる。このため、底部210全体において第3の方向Zに厚くする必要がなく、ユニットベース200の重量の増加を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1軸9a及び第2軸9bの2本の軸に対して3カ所の第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224で位置決めするようにした。すなわち、第1軸9aに対して第1軸受部220の1カ所で位置決めし、第2軸9bに対して第2軸受部223及び第3軸受部224の2カ所で位置決めすることで、ユニットベース200の第1軸9a及び第2軸9bに対する傾き、特に第1の方向Xに向かって回転する方向の傾きを抑制することができるが、2本の軸である第1軸9a及び第2軸9bを位置決めする軸受部の数は3つ以上であればこれに限定されるものではない。例えば、2本の第1軸9a及び第2軸9bのそれぞれに対して2つの軸受部、合計4つの軸受部を設ける構成としてもよい。ただし、4つの軸受部のそれぞれにおいて第1軸9a及び第2軸9bとのクリアランス、傾き等を調整するのが困難で、軸受部と第1軸9a及び第2軸9bとのクリアランスに偏りが生じ、ヘッドユニット3が第3の方向Zに移動し難くなってしまう虞がある。本実施形態では、第1軸9a及び第2軸9bの2本の軸に対して、第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224の3つの軸受部を設けることで、第1軸9aと第1軸受部220とのクリアランスと、第2軸9bと第2軸受部223及び第3軸受部224とのクリアランスとの調整を容易に行うことができ、ヘッドユニット3を第1軸9a及び第2軸9bに対して第3の方向Zに滑らかに移動させることができる。また、1本の軸に対して3つ以上の軸受部を設けてもよいが、同様に3つ以上の軸受部の相対的な位置決めが困難で、ヘッドユニット3を軸に対して滑らかに移動させ難い。
さらに、第1突出部217には、Z1側に第1当接面225を有する第1当接部226が設けられている。第1当接部226は、第1突出部217からZ2に向かって突出して設けられた側壁226bと、側壁226bの突出したZ2側の端部からX1側に向かって庇状に突出する第1庇部226aとを具備する。そして、第1庇部226aのZ1側の面が第1当接面225となっている。すなわち、第1当接部226は、側壁226bのZ2側の端部に第1庇部226aを設けることで、第1当接面225をヘッドユニット3のノズル面102からZ2側により離れた位置に配置することができる。
また、第1当接部226には、底部210との固定を補強する第1リブ226c及び第2リブ226dとが設けられている。この第1リブ226c及び第2リブ226dは、側壁226bのX2側の面と、底部210の供給面214とに接続された板状部材からなる。このように第1リブ226cと第2リブ226dとを設けることによって、第1当接部226は補強されている。
このような第1当接部226は、ユニットベース200と一体的に形成されている。このように第1当接部226をユニットベース200と一体的に形成することで、第1当接部226の剛性、特に第1庇部226aの剛性は向上する。
第2突出部218には、Z1側に第2当接面227を有する第2当接部228が設けられている。第2当接部228は、突部221の供給面214からZ2側に離れた位置の外周から連続してX1側に向かって庇状に突出して設けられた第2庇部228aを有する。ちなみに、突部221は、第2庇部228aよりもZ2側に突出して設けられている。この第2庇部228aのZ1側の面が第2当接面227となっている。
また、第2当接部228は、第2庇部228aと突部221の外周面と底部210の供給面214との間に設けられた補強部228bを有する。第2庇部228aは、補強部228bによって補強されている。
また、第2当接部228及び突部221は、本実施形態では、ユニットベース200と一体的に形成されている。このように第2当接部228及び突部221をユニットベース200と一体的に形成することで、第2当接部228及び突部221の剛性、特に第2庇部228aの剛性は向上する。
このような第1当接部226の第1当接面225と、第2当接部228の第2当接面227とのそれぞれに昇降機構を当接させて、昇降機構によって第1当接面225及び第2当接面227を第3の方向Xに押圧することで、ヘッドユニット3は、第1軸9a及び第2軸9bに沿って第3の方向Zに昇降可能となっている。
ここで、本実施形態の昇降機構10についてさらに図11〜図14を参照して説明する。なお、図11及び図13は、昇降機構を示すインクジェット式記録装置の正面図であり、図12及び図14は、昇降機構を示すインクジェット式記録装置の側面図である。
図示するように、昇降機構10は、装置本体2に回転可能に保持された回転軸11と、回転軸11に固定された2つの偏心カム12と、軸方向を中心として回転軸11を回転駆動させるモーター等の駆動手段13と、を具備する。
偏心カム12は、第1当接面225及び第2当接面227のそれぞれのZ1側に配置されており、ヘッドユニット3の自重によって第1当接面225及び第2当接面227と2つの偏心カム12とは第3の方向Zで互いに当接されている。そして、図11及び図12に示す状態から駆動手段13によって回転軸11を回転させることで、図13及び図14に示すように2つの偏心カム12がそれぞれ第1当接面225及び第2当接面227をZ2側に押圧して、ヘッドユニット3をZ2側に移動させることができる。また、ヘッドユニット3は、図13及び図14に示すZ2側の位置から偏心カム12を回転させることで図11及び図12に示すZ1側に移動させることができる。
このように、ヘッドユニット3の第1の方向XのX1側に突出する第1当接面225及び第2当接面227を昇降機構10の偏心カム12に当接させて、ヘッドユニット3を第3の方向Zに昇降可能とした場合であっても、2本の第1軸9a及び第2軸9bに対して、ヘッドユニット3は第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224の3カ所で支持されるため、2つの第1軸9a及び第2軸9bに対するヘッドユニット3の第1の方向Xの傾きを抑制することができる。すなわち、第1当接面225及び第2当接面227がX1側に突出して設けられているため、ヘッドユニット3のX1側のみに昇降機構10が当接すると、ヘッドユニット3は、X1側がZ2方向に高くなり、X2側がZ1方向に低くなる第1の方向Xへの回転方向の傾きが発生し易い。特に、2本の第1軸9a及び第2軸9bに対してヘッドユニット3を支持する軸受部を2つだけ設けた場合には、この傾きが顕著に表れる。本実施形態では、1本の第2軸9bに2つの第2軸受部223及び第3軸受部224を設けることで、ヘッドユニット3の第1の方向Xの傾きを抑制することができる。また、第2軸9bに対して2つの第2軸受部223及び第3軸受部224を設けることで、第2の方向Yへの回転方向への傾きを抑制することができる。したがって、昇降機構10によって、ユニットベース200の第3の方向Zの位置決めを高精度に行うことができ、ユニットベース200に保持されたノズル面102の装置本体2に保持された記録シートSに対する高精度な位置決めを行って、インク滴の着弾位置ずれを抑制して印刷品質を向上することができる。
また、本実施形態では、ユニットベース200に壁部230を設けることで、ユニットベース200の剛性を向上している。したがって、2つの第1軸9a及び第2軸9bによってユニットベース200の第1の方向Xの両端部が支持された場合であっても、ユニットベース200の変形、特に、第2の方向Yの変形や、ねじり方向の変形を抑制することができる。
さらに、ユニットベース200に昇降機構10が当接する第1当接面225及び第2当接面227を設けることで、ユニットベース200の昇降方向である第3の方向Zの位置決め、すなわち、ユニットベース200に保持された記録ヘッド100のノズル面102の位置決めを高精度に行うことができ、記録シートSとノズル面102との間隔を高精度に調整して、インク滴の着弾位置ずれ等を抑制して印刷品質を向上することができる。ちなみに、ユニットベース200に偏心カム12が当接すると共に偏心カム12の回転に従動するローラーを設けた場合、ローラー等の部品ばらつきが乗ってヘッドユニット3の第3の方向Zの位置決め精度が低下してしまう。
また、本実施形態では、第1当接面225及び第2当接面227のそれぞれに当接する偏心カム12を同軸上、すなわち、1本の回転軸11に固定するようにした。このため、偏心カム12毎に回転軸11を設けた場合に比べて、2つの偏心カム12の回転方向の位置ずれを抑制することができ、ヘッドユニット3の傾き、すなわち、第2の方向Yと第3の方向Zとを含む面内における回転方向の傾きを抑制して、昇降機構10によってヘッドユニット3のノズル面102の位置決めを高精度に行うことができる。ちなみに、2つの偏心カム12毎に異なる回転軸11を設けた場合、異なる回転軸11を連動させるギヤやベルト等の部品ばらつきによって連動する2つの回転軸11の回転角度が異なってしまう虞がある。そして、2つの回転軸11の回転角度が異なると、第1当接面225と第2当接面227とを押圧する偏心カム12の押圧量にばらつきが生じ、ノズル面102が傾いてしまう。
また、本実施形態では、上述のように、第1当接面225を有する第1庇部226a及び第2当接面227を有する第2庇部228aをユニットベース200と一体的に設けることで、第1庇部226a及び第2庇部228aの剛性を向上して、第1当接面225及び第2当接面227の変形等による位置ずれを抑制して、ユニットベース200の昇降方向である第3の方向Zの位置決めをさらに高精度に行うことができる。
さらに、本実施形態では、第1当接面225及び第2当接面227を、ヘッドユニット3の第1の方向Xに設けるようにした。このため、第1当接面225及び第2当接面227を第2の方向Yの両側に設ける場合に比べて、ヘッドユニット3を第2の方向Yに小型化することができる。同様に、本実施形態では、第1当接面225及び第2当接面227の位置に合わせて、昇降機構10を記録ヘッド100の並設方向に直交する方向である第1の方向Xに設けるようにしたため、昇降機構10を第2の方向Yの両側に設けた場合に比べてインクジェット式記録装置1を第2の方向Yに小型化することができる。
また、本実施形態では、第1当接面225及び第2当接面227を第1の方向XのX1側のみに設けるようにした。このため、昇降機構10に当接する当接面をX1側及びX2側の両側に設けた場合に比べてヘッドユニット3を第1の方向Xに小型化することができる。もちろん、昇降機構10も同様にX1側のみに設けるようにしたため、インクジェット式記録装置1を第1の方向Xに小型化することができる。
そして、このように第1当接面225及び第2当接面227をX1側のみに設けると共に、昇降機構10をX1側のみに設けて第2の方向Y及び第1の方向Xの小型化を図った場合であっても、上述のように、2本の第1軸9a及び第2軸9bに対してヘッドユニット3を第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224の3カ所で支持することで、ヘッドユニット3の傾きを抑制すると共にノズル面102の高精度な位置決めを行うことができ、印刷品質を向上することができる。
さらに、本実施形態では、昇降機構10が当接する第1当接面225及び第2当接面227をノズル面102からZ2側に離れた位置に配置するようにした。すなわち、第1当接面225を側壁226bによって供給面214よりもZ2側に配置し、第2当接面227を突部221の外周面に連続して設けることで供給面214よりもZ2側に配置するようにした。このため、ノズル面102に近い位置の空間を昇降機構10によって占領するのを抑制することができる。したがって、ノズル面102の第1の方向XのX1側及びX2側に近接する位置に押さえローラー607を配置することができる。この結果、2つの押さえローラー607の第1の方向Xの間隔を狭くすることができ、2つの押さえローラー607の間での記録シートSの姿勢の固定が容易になって、印刷品質を向上することができる。また、特に図示していないが、インクミストを吸引する吸引装置等をノズル面102のX1側等に配置することが可能となる。したがって、吸引装置によってノズル面102近傍のミストを効率よく吸引して排除することができ、印刷品質をさらに向上することができる。
このようなヘッドユニット3は、キャップがZ1側のノズル面102に当接する。このとき、ヘッドユニット3が自重のみで偏心カム12に当接していると、キャップの当接によってヘッドユニット3がZ2側に浮き上がってしまう虞がある。このため、キャップが当接した際には、ヘッドユニット3の供給面214側に当接して、ヘッドユニット3のZ2側への浮き上がりを防止する浮き上がり防止手段等を設けるのが好ましい。
本実施形態では、図12及び図14に示すように、浮き上がり防止手段14として、偏心カム12に基端部が固定されると共に、偏心カム12の回転によって先端が第1庇部226a及び第2庇部228aの第1当接面225及び第2当接面227とは反対側の面に当接する屈曲された板状部材を設けるようにした。すなわち、図12に示すように、偏心カム12が、第1当接面225をZ1側に位置する場合には、浮き上がり防止手段14の先端は、Z1側に位置し、図14に示すように、偏心カム12が約180度回転することで、第1当接面225をZ2側に移動させた際に、浮き上がり防止手段14の先端がZ2側に回転して、第1庇部226aの第1当接面225とは反対側の面に当接する。このように、浮き上がり防止手段14を偏心カム12の回転に伴って第1庇部226aの第1当接面225とは反対側の面に当接するように設けることで、浮き上がり防止手段14を独立して駆動させる駆動モーター等の駆動手段が不要となって小型化及びコストを低減することができる。
なお、本実施形態では、浮き上がり防止手段14として、屈曲した板状部材を設けるようにしたが、ユニットベース200のZ2側への移動を規制するものであれば特にこれに限定されない。例えば、ユニットベース200の供給面214に当接する部材であってもよく、ユニットベース200の側面等に係合する部材等であってもよい。
ここで、キャップについて、図15及び図16を参照して説明する。なお、図15は、ヘッドユニット及びキャップを示す要部断面図であり、図16は、ヘッドユニットの要部底面図である。
図15に示すように、キャップ15は、ヘッドユニット3のノズル面102側に設けられた支持部材16のZ2側の面に並設されており、ヘッドユニット3のノズル面102に当接する。支持部材16は、図示しない移動手段によって第3の方向Zに移動可能に設けられており、所定のタイミングで支持部材16がノズル面102に向かって移動することで、キャップ15をノズル面102に当接させる。
このような支持部材16に保持されたキャップ15は、図16に示すように、ヘッドユニット3に固定された1つの記録ヘッド100の一部のノズル開口101を覆う大きさを有する。具体的には、1つの記録ヘッド100には複数、本実施形態では、6個のヘッド本体110が保持されており、キャップ15は、6個のヘッド本体110のうち、3個のヘッド本体110のノズル開口101を覆う大きさを有する。このように、1つのキャップ15が1つの記録ヘッド100の一部のノズル開口101を覆う大きさとすることで、キャップ15のノズル面102に当接した際の荷重を高くして、シール性を向上することができる。そして、キャップ15のノズル面102のシール性を向上することで、キャップ15内を吸引してノズル開口101からインクを吸引する吸引動作を正常に行うことができる。また、キャップ15のノズル面102のシール性を向上することで、ノズル開口101からのインクの蒸発を抑制することができる。なお、記録ヘッド100をユニットベース200に固定する固定面213は、ノズル面102を平面視した際に、キャップ15が当接するノズル面102のシール部104に重なる位置とするのが好ましい。これにより、キャップ15が高い荷重でノズル面102に当接したとしても、ユニットベース200の固定面213によってキャップ15の荷重を受け止めることができ、キャップ15の荷重による記録ヘッド100の変形や位置ずれを抑制することができる。ちなみに、固定面213が、キャップ15のシール部104に重ならない位置に設けられていると、記録ヘッド100には、キャップ15の荷重によって剪断応力が印加され、変形や位置ずれが生じ易い。
なお、本実施形態では、1つのキャップ15が、1つの記録ヘッド100のノズル開口101の一部を覆う大きさとしたが、特にこれに限定されず、1つのキャップ15が記録ヘッド100の全てのノズル開口101を覆う大きさを有するものであってもよく、1つのキャップ15が複数の記録ヘッド100のノズル開口101を覆う大きさを有するものであってもよい。ただし、キャップ15が覆う面積が大きいほど、ノズル面102への荷重を高くするのが困難となる。
また、本実施形態では、昇降機構10の移動方向である第3の方向Zと、記録ヘッド100の並設方向である第2の方向Yとにより規定される面上において、装置本体2に対する昇降機構10の第1当接面225及び第2当接面227の並設方向である第2の方向Yにおける傾きを調整する傾き調整機構17を具備する。
傾き調整機構17について、図11、図13に加えて、図17及び図18を参照してさらに説明する。なお、図17及び図18は、傾き調整機構を示すヘッドユニットの正面図である。
図示するように、本実施形態の傾き調整機構17は、昇降機構10の回転軸11の傾きを調整する。ここで、昇降機構10の回転軸11は、装置本体2に第1回転軸用軸受部11a及び第2回転軸用軸受部11bによって支持されている。そして本実施形態の傾き調整機構17は、回転軸11を支持する一方の回転軸用軸受部11a又は11bの第3の方向Zの位置を装置本体2に対して調整することで回転軸11の傾き、すなわち、第1の方向X及び第2の方向Yを含む面に対する第2の方向Yに向かう回転方向の傾きを調整する。本実施形態では、傾き調整機構17は、回転軸11をY1側で支持する第1回転軸用軸受部11aの装置本体2に対する第3の方向Zの位置を調整するようにした。
具体的には、傾き調整機構17は、装置本体2に螺合されて、先端が第1回転軸用軸受部11aのZ1側の面に当接する第1傾き調整ネジ部材18と、装置本体2に螺合されて、先端が第1回転軸用軸受部11aのZ2側の面に当接する第2傾き調整ネジ部材19と、を具備する。これら第1傾き調整ネジ部材18と第2傾き調整ネジ部材19との間で第1回転軸用軸受部11aが挟持されている。
このような傾き調整機構17では、第2傾き調整ネジ部材19を緩めると共に第1傾き調整ネジ部材18を締め込むことで、第1回転軸用軸受部11aをZ2側に移動することができる。これにより、第2回転軸用軸受部11bに対して第1回転軸用軸受部11a側をZ2側に移動して、回転軸11のY1側をZ2側に移動させることができる。また、同様に、第1傾き調整ネジ部材18を緩めると共に第2傾き調整ネジ部材19を締め込むことで、第1回転軸用軸受部11aをZ1側に移動させることができる。これにより、第2回転軸用軸受部11bに対して第1回転軸用軸受部11a側をZ1側に移動して、回転軸11のY1側をZ1側に移動させることができる。
このように傾き調整機構17を設けることで、ノズル面102の装置本体2に対する傾きを調整することができる。すなわち、傾き調整機構17によって、記録シートSのインクが着弾する面に対するノズル面102の傾きを調整することができる。ここで、例えば、図17に示すように、第2の方向Yにおいて、Y1側におけるノズル面102と記録シートSとの間隔h1が、Y2側におけるノズル面102と記録シートSとの間隔h2よりも狭くなるようにノズル面102が傾いている場合には、図18に示すように、第2傾き調整ネジ部材19を緩めると共に第1傾き調整ネジ部材18を締め込むことで、第1回転軸用軸受部11aをZ2側に移動する。これにより、ノズル面102の傾きを調整してノズル面102と記録シートSとの第3の方向Zの間隔において、Y1側の間隔h1とY2側の間隔h2との差を低減することができる。したがって、ノズル面102から噴射されたインク滴の記録シートSへの着弾位置ずれを抑制して、印刷品質を向上することができる。
なお、傾き調整機構17は、上述したものに限定されず、例えば、記録シートSをノズル面102に対して傾きを調整するようにしてもよい。ただし、本実施形態のように、傾き調整機構17が昇降機構10の回転軸11の傾きを調整することで、傾き調整機構17の構造を簡略化して小型化を図ることができる。
ここで、このようなユニットベース200に固定される記録ヘッド100の一例についてさらに図19を参照して説明する。なお、図19は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。また、本実施形態では、記録ヘッド100の各方向についてインクジェット式記録装置1に搭載された際の方向、すなわち、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに基づいて説明する。
図3、図5、図7及び図19に示すように、記録ヘッド100は、第3の方向Zに積層された複数の部材で構成されている。具体的には、記録ヘッド100は、インク滴を吐出する複数のヘッド本体110と、複数のヘッド本体110を保持する保持部材120と、ヘッド本体110のノズル面側に設けられた固定板であるカバー130と、を具備する。
ヘッド本体110は、第3の方向ZのZ1側にノズル開口101を有する。このノズル開口101が設けられたヘッド本体110のZ1側の面が、ノズル面102の一部を構成する。また、ヘッド本体110の図示しない内部には、ノズル開口101に連通する流路と、流路内のインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段とを具備する。圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの変形によって流路の容積を変化させて流路内のインクに圧力変化を生じさてノズル開口101からインク滴を吐出させるものや、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口101からインク滴を吐出させるものや、振動板と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口101からインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
また、各ヘッド本体110のZ2側の面からは図示しない内部の圧力発生手段と接続された駆動配線111が導出されている。
このような複数のヘッド本体110は、Z2側が保持部材120のZ1側の面に固定されている。
保持部材120は、流路部材121と、ホルダー122と、流路部材121とホルダー122との間に保持された配線基板123と、を具備する。
流路部材121の図示しない内部には、液体貯留手段4から供給されたインクをヘッド本体110に供給する流路が設けられている。この流路は、流路部材121のZ1側の面に設けられて第3の方向Zに突出する突起部124の先端面に開口して設けられている。本実施形態では、流路部材121のZ1側の面に4つの突起部124を設けるようにした。すなわち、流路部材121の内部には、独立した4つの流路が設けられている。なお、流路部材121の流路の途中には、インクに含まれるゴミや気泡などの異物を除去するためのフィルターが設けられていてもよい。
ホルダー122は、流路部材121のZ1側の面に固定されており、図示しない内部には、流路部材121の内部に設けられた流路と連通する流路が設けられている。流路部材121から供給されたインクは、ホルダー122内の流路を介して複数のヘッド本体110に供給される。なお、特に図示していないが、ホルダー122の内部に設けられた流路は、それぞれ複数に分岐されて複数のヘッド本体110に供給される。
このような流路部材121とホルダー122とは、第3ネジ部材403によって第3の方向Zに積層されて固定されている。すなわち、流路部材121とホルダー122との間には界面が存在する。また、この界面、すなわち流路部材121とホルダー122との間には、配線基板123が保持されている。配線基板123は、複数のヘッド本体110の駆動配線111が共通して電気的に接続されるリジット基板からなる。また、本実施形態では、記録ヘッド100の側面、すなわち、流路部材121とホルダー122との積層界面からは配線基板123が露出して設けられている。
また、流路部材121の第1の方向Xの両端部のそれぞれには、第3の方向Zに貫通するケーブル挿通孔125が設けられている。流路部材121のZ1側からケーブル挿通孔125を挿通されたケーブル126は、流路部材121とホルダー122との間に保持された配線基板123に接続される。
また、ホルダー122は、Z1側に溝状の空間を形成する保持部127を有する。保持部127は、ホルダー122のZ1側の面に、第2の方向Yに亘って連続して設けられることで、第2の方向Yの両側面に開口して設けられている。また、ホルダー122は、保持部127を第1の方向Xの略中央部に設けることで、当該保持部127の第1の方向Xの両側には、足部128が形成されている。すなわち、足部128は、ホルダー122のZ1側の面に、第1の方向Xの両端部のみに設けられており、第2の方向Yの両端部には設けられていない。
このような保持部127内に、複数のヘッド本体110が固定されている。すなわち、足部128はヘッド本体110に対して第1の方向Xの両側に位置する。また、ホルダー122とヘッド本体110とは、第3の方向Zで相対向する面同士が接着されている。本実施形態では1つのホルダー122に6個のヘッド本体110が接着されている。もちろん、1つのホルダー122に固定するヘッド本体110の数は上述したものに限定されず、1つのホルダー122に対してヘッド本体110が1個であっても、また、2個以上の複数であってもよい。ちなみに、1つの記録ヘッド100に対して複数のヘッド本体110を設けてノズル列の多列化を図ることで、1つの記録ヘッド100に対して1つのヘッド本体110のみにノズル列を複数列設けて多列化する場合に比べて、歩留まりを向上することができる。また、1つの記録ヘッド100にヘッド本体110を複数設けることで、記録ヘッド100の重量が増加し易いが、ユニットベース200に壁部230を設けて剛性を向上することで、記録ヘッド100の重量によるユニットベース200の変形を抑制することができる。
なお、本実施形態の複数のヘッド本体110は、ノズル面102の面内方向において、記録シートSの搬送方向である第1の方向Xに対してノズル列が傾斜するように固定されている。すなわち、第1の方向Xに対して、ノズル列を構成するノズル開口101の並設方向である第4の方向Xaが傾斜する方向となっている。本実施形態では、記録ヘッド100は、複数のヘッド本体110を第2の方向Yに並設しており、第2の方向Yで隣り合うヘッド本体110のノズル開口101の少なくとも一部同士を第1の方向Xで重なる位置で配置することができる。また、上述のように複数の記録ヘッド100は、第2の方向Yに並設して設けられており、第2の方向Yで隣り合う記録ヘッド100のノズル開口101の少なくとも一部同士を第1の方向Xで重なる位置で配置することができる。よって、ヘッドユニット3の第2の方向Yに同様の間隔で並設されたノズル開口101を形成することができる。
このようなカバー130によってホルダー122の保持部127のZ1側の開口が覆われている。そして、本実施形態では、カバー130のZ1側の面と、露出開口部133によって露出されたヘッド本体110のZ1側の面とをノズル面102と称する。
また、折り曲げ部132は、ベース部131の第2の方向Yの両端部に設けられており、保持部127の第2の方向Yの側面に開口する開口面積を覆う大きさで形成されている。そして、このような折り曲げ部132は、ホルダー122の第2の方向Yの側面に接着されている。これにより、保持部127の第2の方向Yの側面への開口は、折り曲げ部132によって覆われて封止されている。
このように、本実施形態では、ホルダー122の第2の方向Yの両側には、カバー130に折り曲げ部132を設けることで、カバー130とホルダー122とを接着するようにしたため、ホルダー122の第2の方向Yの両側には、カバー130のベース部131と接着するための足部が不要となる。このため、第2の方向Yに記録ヘッド100を並設した際に、互いに隣り合う記録ヘッド100の間に足部が存在しないことから、第2の方向Yで隣り合う記録ヘッド100の間隔を狭くすることができる。これにより、第2の方向Yで隣り合う記録ヘッド100のヘッド本体110同士を近接して設けることができ、隣り合う記録ヘッドの各ヘッド本体110に設けられたノズル開口101を第2の方向Yに近接して設けることができる。
なお、記録ヘッド100は、特にこれに限定されず、例えば、ホルダー122の第2の方向Yの両側にも足部を設けるようにしてもよく、また、足部を設けずに、カバー130の全周に亘って折り曲げ部132を設け、折り曲げ部132によってヘッド本体110の全ての側面を覆うようにしてもよい。
そして、上述したように、このような記録ヘッド100が、複数、本実施形態では、6個が第2の方向Yに一列に沿って、すなわち、直線上に並設されてユニットベース200に着脱可能に固定されている。すなわち、複数の記録ヘッド100は、第1の方向Xにずれて配置されていない。これにより、ヘッドユニット3の第1の方向Xの幅を狭くして、ヘッドユニット3の小型化を図ることができる。もちろん、第2の方向Yに並設された記録ヘッド100を第1の方向Xにずらして配置するようにしてもよいが、記録ヘッド100を第1の方向Xに大きくずらすと、ユニットベース200等の第1の方向Xの幅が広くなってしまう。このようにヘッドユニット3の第1の方向Xの大きさが大きくなると、インクジェット式記録装置1における2つの押さえローラー607の第1の方向Xの距離が遠くなり、記録シートSの姿勢の固定が困難になる。また、ヘッドユニット3及びインクジェット式記録装置1が大型化してしまう。
(実施形態2)
図20は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニット及び昇降機構の正面図であり、図21は、インクジェット式記録ヘッドユニット及び昇降機構の側面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、本実施形態のヘッドユニット3を構成するユニットベース200には、昇降機構10の偏心カム12に当接する昇降用従動ローラー240が設けられている。
昇降用従動ローラー240は、本実施形態では、第1庇部226aの先端部及び第2庇部228aの先端部のそれぞれに回転可能に軸支されている。
このような構成では、昇降用従動ローラー240が偏心カム12に当接し、偏心カム12の回転に伴って従動する。これによりヘッドユニット3は、昇降機構10によって第3の方向Zに昇降される。
このように本実施形態では、昇降機構10がヘッドユニット3に回転可能に軸支された昇降用従動ローラー240に当接することで、上述した実施形態1の昇降機構10がヘッドユニット3の第1当接面225及び第2当接面227に当接する場合に比べて、第3の方向Zの位置決め精度が低下する。すなわち、昇降用従動ローラー240が回転可能に設けられることによる部品ばらつき等が乗り、実施形態1に比べてヘッドユニット3の位置決め安定性が低下する。
なお、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、特に図示していないが、第1当接面225及び第2当接面227を設けずに、昇降用従動ローラー240を設けた以外の構成は、上述した実施形態1と同様の構成となっており、各構成に基づく作用・効果についても上述した実施形態1と同様である。すなわち、上述した実施形態1と同様に、昇降機構10は、第1の方向XのX1側のみに設けられることで、第2の方向Y及び第1の方向Xの小型化を図ることができる。また、2つの第1軸9a及び第2軸9bに対して、第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224の3カ所でヘッドユニット3を支持することで、ノズル面102の傾きを抑制してインクの記録シートSへの着弾位置ずれを抑制することができる。
(実施形態3)
図22は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニット及び昇降機構の正面図であり、図23は、インクジェット式記録ヘッドユニット及び昇降機構の底面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、本実施形態のヘッドユニット3を構成するユニットベース200には、昇降機構10に当接する第1当接面225及び第2当接面227が、ヘッドユニット3の第2の方向Yの両側に設けられている。
このような第1当接面225及び第2当接面227には、昇降機構10が当接する。ここで、昇降機構10は、第1回転軸11Aと、第1回転軸11Aに固定されて第1当接面225に当接する偏心カム12と、第1回転軸11Aを回転駆動する駆動手段13と、図示しないギヤ又はベルトによって第1回転軸11Aと連動して回転する第2回転軸11Bと、第2回転軸11Bに固定されて第2当接面227に当接する偏心カム12とを具備する。
このように第1当接面225及び第2当接面227を、第2の方向Yにおいて記録ヘッド100と重なる位置に配置することで、上述した実施形態1のように1本の回転軸11に2つの偏心カム12を固定することができなくなる。つまり、ヘッドユニット3の第2の方向Yに亘って1本の回転軸11を配置しようとしても、回転軸11が記録ヘッド100や壁部230と干渉してしまうため配置することができない。したがって、2つの偏心カム12を異なる第1回転軸11A及び第2回転軸11Bに設ける必要がある。
このように2つの偏心カム12毎に異なる第1回転軸11A及び第2回転軸11Bを設けた場合、異なる第1回転軸11A及び第2回転軸11Bを連動させるためのギヤやベルト等の部品ばらつきによって、連動する2つの第1回転軸11A及び第2回転軸11Bの回転角度が異なってしまい、第1当接面225と第2当接面227とを押圧する偏心カム12の押圧量にばらつきが生じ、実施形態1及び2に比べてノズル面102の位置、特に傾きの精度が低くなってしまう。
また、第1当接面225及び第2当接面227をヘッドユニット3の第2の方向Yの両側に設けることで、ヘッドユニット3が第2の方向Yに大型化してしまう。また、昇降機構10を第1当接面225及び第2当接面227の位置に合わせてヘッドユニット3の第2の方向Yの両側に配置することで、インクジェット式記録装置1が第2の方向Yに大型化してしまう。ただし、ヘッドユニット3の第1の方向Xに当接面及び昇降機構10を配置しないことで、ヘッドユニット3の第1の方向Xの小型化及びインクジェット式記録装置1の第1の方向Xの小型化を図ることができる。
なお、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、特に図示していないが、第1当接面225及び第2当接面227の位置及び昇降機構10の位置が異なる以外の構成は、上述した実施形態1と同様の構成となっており、各構成に基づく作用・効果についても上述した実施形態1と同様である。すなわち、昇降機構10をヘッドユニット3の第1当接面225及び第2当接面227に当接させることで、ローラー等に当接させる場合に比べてノズル面102の位置決めを高精度に行うことができる。また、2つの第1軸9a及び第2軸9bに対して、第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224の3カ所でヘッドユニット3を支持することで、ノズル面102の傾きを抑制してインクの記録シートSへの着弾位置ずれを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1当接面225及び第2当接面227を、ヘッドユニット3の第2の方向Yの両側において、第2の方向Yで記録ヘッド100と重なる位置に配置するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、図24に示すように、第1当接面225及び第2当接面227をヘッドユニット3の第2の方向Yの両側において、第2の方向Yで記録ヘッド100と重ならない位置、すなわち、第1の方向XのX1側に配置してもよい。このような構成では、2つの偏心カム12を同じ回転軸11上に固定することができるため、回転軸11の回転角度のずれによるノズル面102の傾きを抑制することができる。ただし、第1当接面225、第2当接面227及び昇降機構10によってヘッドユニット3及びインクジェット式記録装置1が第1の方向X及び第2の方向Yに大型化してしまう。
(実施形態4)
図25は、本発明の実施形態4に係る液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニット及び昇降機構の底面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、本実施形態のヘッドユニット3を構成するユニットベース200には、第1当接面225がヘッドユニット3の第1の方向XのX2側に設けられ、第2当接面227が第1の方向XのX1側に設けられている。
このような第1当接面225及び第2当接面227には、昇降機構10が当接する。
ここで、昇降機構10は、第1回転軸11Aと、第1回転軸11Aに固定されて第1当接面225に当接する偏心カム12と、第1回転軸11Aを回転駆動する駆動手段13と、第2回転軸11Bと、第2回転軸11Bに固定されて第2当接面227に当接する偏心カム12と、第1回転軸11Aと第2回転軸11Bとに巻掛けられた無端ベルト11Cと、を具備する。
駆動手段13の駆動によって第1回転軸11Aが回転すると、第1回転軸11Aの回転が無端ベルト11Cによって第2回転軸11Bに伝わり、第2回転軸11Bが回転する。
このような構成であっても、昇降機構10は、ヘッドユニット3の第1の方向Xに配置されていると言える。そして、本実施形態では、第1当接面225及び第2当接面227と、これら第1当接面225及び第2当接面227に当接する昇降機構10とをヘッドユニット3の第1の方向Xに配置することで、第2の方向Yの小型化を図ることができる。
ただし、本実施形態では、2つの偏心カム12は、異なる第1回転軸11A、第2回転軸11Bに固定されているため、異なる第1回転軸11A、第2回転軸11Bを連動させるために用いた無端ベルト11C等の部品ばらつきによって、連動する2つの第1回転軸11A、第2回転軸11Bの回転角度が異なってしまい、第1当接面225と第2当接面227とをそれぞれ押圧する偏心カム12の押圧量にばらつきが生じ、実施形態1及び2に比べてノズル面102の位置、特に傾きの精度が低くなってしまう。また、実施形態1及び2に比べて、第1の方向Xの両側に第1当接面225及び第2当接面227が存在するため、実施形態1及び2に比べて第1の方向Xに大型化してしまう。
なお、特に図示していないが、ノズル面102の傾きを調整する傾き調整機構を設けるのが好ましい。この傾き調整機構としては、例えば、2つの第1回転軸11A及び第2回転軸11Bの何れか一方を第3の方向Zの位置が変更できる構成とすればよい。このような傾き調整機構17の構成としては、上述した実施形態1と同様の構成を一方の回転軸の2つの軸受部(図示なし)に対して設けるようにすればよい。もちろん、傾き調整機構17としては、装置本体2の一部を第3の方向Zに移動可能としてもよく、その構成は上述したものに限定されるものではない。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、特に図示していないが、第1当接面225及び第2当接面227の位置及び昇降機構10の位置が異なる以外の構成は、上述した実施形態1と同様の構成となっており、各構成に基づく作用・効果についても上述した実施形態1と同様である。すなわち、昇降機構10をヘッドユニット3の第1当接面225及び第2当接面227に当接させることで、ローラー等に当接させる場合に比べてノズル面102の位置決めを高精度に行うことができる。また、2つの第1軸9a及び第2軸9bに対して、第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224の3カ所でヘッドユニット3を支持することで、ノズル面102の傾きを抑制してインクの記録シートSへの着弾位置ずれを抑制することができる。
(実施形態5)
図26は、本発明の実施形態5に係る液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニットの図4のA−A′線に準ずる要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、本実施形態のヘッドユニット3には、2本の第1軸9a及び第2軸9bに対して、それぞれ1つずつ、合計2つの第1軸受部220及び第2軸受部223が設けられている。
このような本実施形態の構成では、2本の第1軸9a及び第2軸9bに対するノズル面102の傾きは実施形態1〜4に比べて抑制することができない。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、特に図示していないが、第3軸受部224を設けずに、第1軸受部220及び第2軸受部223のみを設けた以外の構成は、上述した実施形態1と同様の構成となっており、各構成に基づく作用・効果についても上述した実施形態1と同様である。すなわち、第1当接面225及び第2当接面227をヘッドユニット3の第1の方向Xに配置することで、第2の方向Yの小型化を図ることができる。また、昇降機構10をヘッドユニット3の第1当接面225及び第2当接面227に当接させることで、ローラー等に当接させる場合に比べてノズル面102の位置決めを高精度に行うことができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
上述した各実施形態では、昇降機構10が当接する当接面として、第1当接面225及び第2当接面227の2つを設けるようにしたが、特にこれに限定されず、当接面は1つであっても、3つ以上の複数であってもよい。ただし、当接面が1つの場合には、昇降機構10によってノズル面102の傾斜を調整するのが困難であるため、傾き調整機構として例えば第1軸9a及び第2軸9bを装置本体2に対して傾ける機構としてもよいが、上述した傾き調整機構17に対して大がかりな装置が必要になり大型化してしまう虞がある。すなわち、上述した実施形態1〜5では、傾き調整機構17として回転軸11の傾きを調整するという簡便な機構によってノズル面102の装置本体2及びこれに保持された記録シートSに対する傾きを調整することができるという効果を奏するものである。また、昇降機構10に当接する当接面を3つ以上の複数としてもよいが、全ての当接面に昇降機構10を当接させるように位置調整を行うのが困難で、ノズル面102の傾き調整が困難になる。上述した実施形態1〜5のように、2つの第1当接面225及び第2当接面227とこれに当接する昇降機構10とすることで、昇降機構10と2つの第1当接面225及び第2当接面227との位置決めを容易にして、ノズル面102の傾き調整を容易に行うことができる。
また、上述した各実施形態では、ユニットベース200に壁部230を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、ユニットベース200が底部210だけで構成されていてもよい。
また、上述した各実施形態では、ユニットベース200の壁部230を記録ヘッド100が保持された面側、すなわち、Z1側に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、壁部230を底部210のZ2側に設けるようにしてもよい。ただし、上述した実施形態のように、壁部230を底部210のZ1側に設けた方が、ヘッドユニット3の小型化を図ることができると共に、壁部230によって記録ヘッド100の側面を保護して、記録ヘッド100の記録シートSの当接による破壊を抑制することができる。また、壁部230によって記録ヘッド100の側面を保護することで、記録ヘッド100の積層界面にインクが付着するのを抑制することができる。なお、壁部230は、底部210のZ1側及びZ2側の両方に設けてもよい。これにより、ヘッドユニット3の剛性をさらに向上することができる。ただし、壁部230を底部210のZ2側に設けることによってヘッドユニット3が第3の方向Zに大型化してしまう。
また、上述した実施形態1〜4では、第2軸9bに接する2つの第2軸受部223及び第3軸受部224を突部221の第2貫通孔222内に設けるようにしたが、特にこれに限定されず、突部221を設けずに、底部210を厚くして、第2貫通孔222の第3の方向Zの長さを長くすることで、第2貫通孔222内に2つの第2軸受部223及び第3軸受部224を第3の方向Zに互いに離れた位置に配置するようにしてもよい。ただし、上述のように、突部221を設け、突部221内に2つの第2軸受部223及び第3軸受部224を第3の方向Zに互いに離れた位置に配置することで、底部210全体が厚くなるのを抑制して、ユニットベース200の重量が増大するのを抑制することができると共にコストを低減することができる。
また、上述し実施形態1〜4では、第2庇部228aが突部221の外周から連続して一体的に設けられている構成としたが、特にこれに限定されず、第1庇部226aと突部221との間に隙間が形成されていてもよい。ただし、第2庇部228aと突部221とを一体的に連続して設けることで、第2庇部228aと突部221との剛性を向上することができる。
また、上述した各実施形態では、2つの第1軸9a及び第2軸9bにヘッドユニット3が第3の方向Zに移動可能に保持されるようにしたが、軸の数やその配置は特に限定されるものではなく、1本であっても3本以上であってもよい。ただし、軸が1本の場合には軸を中心として回転しないように、ガイドを設けるが、軸の断面形状を四角形状等の多角形状にする必要がある。また、3本以上の軸を設けた場合、ノズル面102の第1の方向X及び第2の方向Yを含む面内に対する傾きを抑制することができるが、軸に対する軸受部のクリアランスが均等になるように位置決めして配置するのが困難であり、第3の方向Zに滑らかに移動できなくなる虞がある。上述した実施形態1〜5では、2本の第1軸9a及び第2軸9bを設けることで、軸を中心とした回転方向の移動を容易に規制すると共に、2本の第1軸9a及び第2軸9bに対する第1軸受部220、第2軸受部223及び第3軸受部224のクリアランスが均等になるように容易に位置決めして配置することができ、第1軸9a及び第2軸9bに対して第3の方向Zに滑らかに移動させることができる。
また、第1当接面225及び第2当接面227は、ノズル面102からZ2側に遠く離れた位置に配置するようにしたが、特にこれに限定されず、第1当接面225及び第2当接面227をノズル面102に第3の方向Zで近い位置に配置するようにしてもよい。ただし、第1当接面225及び第2当接面227と押さえローラー607とが干渉するため、2つの押さえローラー607の第1の方向Xの距離を離す必要があり、記録シートSの姿勢の制御が困難になる。
なお、本実施形態では、複数の記録ヘッド100のユニットベース200への固定は、スペーサー300と第1ネジ部材401及び第2ネジ部材402とを用いて、ネジ止めによって固定するようにしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、複数の記録ヘッド100をユニットベース200に接着剤で接着するようにしてもよく、クリップ等によって固定するようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、ユニットベース200に保持された複数の記録ヘッド100の並設方向を、記録シートSの搬送方向である第1の方向Xに対して垂直な方向である第2の方向Yとしたが、特にこれに限定されず、記録ヘッド100をユニットベース200の長手方向に並設したヘッドユニットを、複数の記録ヘッド100の並び方向が、記録シートSの搬送方向である第1の方向Xに対して交差する角度、すなわち、第1の方向Xに対して90度よりも小さな角度となるように配置してもよい。このとき、ノズル面102の面内方向において、ノズル列は、ユニットベース200の長手方向に垂直な方向に設けられていても、ヘッドユニット全体を傾けることで、搬送方向である第1の方向Xに対して傾斜したノズル列を配置させることができる。
また、上述した各実施形態では、記録ヘッド100を第2の方向Yに直線上に並設するようにしたが、特にこれに限定されず、記録ヘッド100を第2の方向Yに千鳥状に配置してもよい。ここで、記録ヘッド100を第2の方向Yに千鳥状に配置するとは、第2の方向Yに並設された記録ヘッド100を交互に第1の方向Xにずらして配置することであり、第2の方向Yに並設された記録ヘッド100の列が第1の方向Xに2列並設されたものである。ただし、上述した実施形態1及び2のように記録ヘッド100を第2の方向Yに直線上に並設した方が、千鳥状に配置する場合に較べて、ヘッドユニット3の第1の方向Xを小型化することができる。
さらに、上述した各実施形態では、ヘッド本体110のノズル開口101の並設方向である第4の方向Xaが、搬送方向である第1の方向Xに直交する第2の方向Yに対して傾斜した方向となるように配置するようにしたが、ノズル開口101の並設方向である第4の方向Xaが搬送方向である第1の方向Xと同じ方向となるようにしてもよく、また、ノズル開口101の並設方向である第4の方向Xaが第2の方向Yと同じ方向になるようにしてもよい。さらに、ノズル開口101は、列状に設けられているものに限定されるものではなく、ノズル開口101をマトリックス状に配置するようにしてもよい。さらに、上述した実施形態1では、ホルダー122がノズル面102に垂直な第3の方向Zから平面視した際に、略平行四辺形状となるようにしたが、特にこれに限定されず、矩形状、台形状、多角形状等であってもよい。ここで、このような一例を図27に示す。なお、図27は、本発明の他の実施形態に係る液体噴射ヘッドユニットの一例である記録ヘッドユニットの液体噴射面側からの底面図である。
図27に示すように、記録ヘッド100Aは、ノズル面102側から平面視した際に台形状を有する。また、複数の記録ヘッド100Aは、第2の方向Yに並設されてユニットベース200に固定されており、第2の方向Yに並設された記録ヘッド100Aは、1個置きにノズル面102の面内方向で180度回転して配置されている。
このような記録ヘッド100Aには、ノズル開口101がノズル面102にマトリックス状に配置されている。このような構成であっても、上述した各実施形態と同様の構成とすることで、同様の効果を奏することができる。なお、上述した各実施形態の記録ヘッド100であっても、ノズル開口101をマトリックス状に配置してもよい。
また、上述した各実施形態では、昇降機構10として偏心カム12等を用いるようにしたが、ヘッドユニット3を第3の方向Zに昇降させる昇降機構は特にこれに限定されるものではない。例えば、第1当接面225及び第2当接面227に当接する当接部材を油圧やモーターの駆動によって第3の方向Zに往復移動させるようにしてもよい。ただし、上述した各実施形態のように、昇降機構10として偏心カム12を用いることで構成を簡略化してコストの低減及び小型化を図ることができる。
さらに、上述した各実施形態では、インクジェット式記録装置1として、ヘッドユニット3が装置本体2に固定されて、記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置を例示したが、特にこれに限定されず、ヘッドユニット3を記録シートSの搬送方向である第1の方向Xとは交差する方向、例えば、第2の方向Yに移動するキャリッジに搭載して、ヘッドユニット3を搬送方向とは交差する方向に移動しながら印刷を行う、所謂シリアル型記録装置にも本発明を適用することができる。また、ヘッドユニット3に対して記録シートSを搬送する構成に限定されず、記録シートSに対してヘッドユニット3を移動させる構成により印刷を行ってもよく、記録シートSをヘッドユニット3に対して相対的に搬送すればよい。
なお、上記実施の形態においては、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。