JP2017036242A - アルツハイマー治療薬 - Google Patents
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Abstract
Description
アルツハイマー病の治療薬として、まず、コリンエステラーゼ阻害作用をもつ塩酸ドネペジルが開発され、臨床に適用された。近年、アセチルコリンエステラーゼとブチリルコリンエステラーゼを共に阻害するリバスチグミン、コリンエステラーゼ阻害作用に加えてニコチン受容体の感受性亢進作用をもつガランタミン、興奮性アミノ酸受容体のNMDA受容体に対して弱い遮断作用をもつメマンチンの3つの治療薬が開発され、臨床に用いられている。しかし,これらのいずれの治療薬も一時的な症状の緩解をもたらすが、病状の進行を食い止め、根本的に治療できる薬ではない。
しかしながら、未だに十分な成績が得られておらず、更なる、医薬品の開発が望まれている。
これらの本発明者らによる長年にわたる研究成果は、このGIRKチャンネル活性化電流を抑制する作用を有するGIRKチャンネル抑制化合物を活性成分として含有する、うつ病や治療抵抗性うつ病などの気分障害または感情障害の治療薬(特許文献1)、注意欠陥・多動性障害の治療薬(特許文献2)、治療薬のない脳梗塞に伴う排尿障害を改善する薬剤(特許文献3)、環境化学物質に起因する脳機能障害の機能改善薬(特許文献4)、排尿障害治療薬(特許文献5)、および疼痛における中枢機能改善薬(特許文献6)として特許出願している。
[1]GIRKチャンネル活性化電流抑制作用を有する化合物を有効成分として含有するアミロイドβ蛋白質により誘発される認知症の予防および/または治療薬。
[2]前記認知症がアルツハイマー病である、上記[1]に記載の予防および/または治療薬。
[3]前記化合物が、チペピジン、クロペラスチン、カラミフェン、エプラジノン、イソアミニルまたはそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一つの化合物である上記[1]または[2]に記載の予防および/または治療薬。
[4]前記化合物が、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノンおよびクエン酸イソアミニルからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、上記[3]に記載の予防および/または治療薬。
[5]前記化合物が、ヒベンズ酸チペピジンまたはクエン酸チペピジンである、上記[4]に記載の予防および/または治療薬。
[6]注射剤である、上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の予防および/または治療薬。
[7]治療有効量のGIRKチャンネル活性化電流抑制作用を有する化合物を、アミロイドβ蛋白質により誘発される認知症を発症した患者に投与することを含む、認知症の治療方法。
[8]前記認知症がアルツハイマー病である、アルツハイマー病の治療方法。
[9]前記化合物が、チペピジン、クロペラスチン、カラミフェン、エプラジノン、イソアミニルまたはそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一つの化合物である上記[7]または[8]に記載の治療方法。
[10]GIRKチャンネル活性化電流抑制作用を有する化合物を有効成分として含有するアミロイドβ蛋白質の蓄積阻害剤。
[11]前記化合物が、チペピジン、クロペラスチン、カラミフェン、エプラジノン、イソアミニルまたはそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一つの化合物である上記[10]に記載の阻害剤。
[12]前記化合物が、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノンおよびクエン酸イソアミニルからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である上記[11]に記載の阻害剤。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等または同様の任意の材料および方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
経口用液体製剤を調製する場合は、本発明の化合物に、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤、界面活性剤、可溶化剤等を加え、常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。
上記化合物は、好ましくは、チペピジン、クロペラスチン、カラミフェン、エプラジノン、イソアミニルまたはそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる化合物である。
上記化合物は、好ましくは、チペピジン、クロペラスチン、カラミフェン、エプラジノン、イソアミニルまたはそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる化合物である。
ソマトスタチンは、アミロイドβを分解するネプリライシンの活性を上昇させるが、このソマトスタチン受容体はGIRKチャネルと共役しており、その阻害はソマトスタチン含有細胞の興奮性を増し、ソマトスタチンのレベルを上昇させることが予想される.
GIRKチャネル阻害作用をもつ薬物は、側坐核のドパミンレベルを上昇させ、同じ作用は、アミロイドβ蓄積のトランスジェニックマウスの学習行動を改善するenriched environment飼育でも見られる.
(実施例1)
Aβ25-35 脳室内投与モデルを用いて、以下のようにして本発明の化合物の効果を確認した。
実験には、5週齢のICR 系雄性マウスを用い、図1に示すプロトコールで行った. Aβ25-35 (SIGMA-ALDRICH Amyloid β-Protein Fragment 25-35)を凝集させるために、脳室内投与の前に37 ℃ で 4日間インキュベートし、HaleyとMcCormickの方法(Haley & McCormic, Br. Jr. Pharmacol. Chemother. 1975 Mar, 12(1): 12-15)に準じ,Aβ25-35 (3 nmol)またはvehicle(滅菌水)を 3.2 μLの容量で脳室内投与した。すなわち、ジエチルエーテルで麻酔し、正中から右側に 1 mm、目と耳から等距離の位置に、先端 3 mmを直角に折り曲げた28ゲージの注射針を皮膚面より垂直に挿入し、薬液を注入した。脳室内投与の5日後〜8日後の4日間で新奇物体認識試験を行った。新奇物体認識試験は、まず2日間(1日 10分間)テストケージにマウスを馴化させ(habituation)(図1の5dayおよび6day)、その後、2つの同一の物体を置いたテストケージでマウスを10分間自由に探索させ(training)(図1の7day)、両物体の探索時間を測定した。その24時間後に2つの物体のうち、片方を新奇物体に替えたテストケージでマウスを自由に探索させ(retention)(図1の8day)、両物体の探索時間を測定し、下記の式より識別指数(DI)を算出した。
DI(%)=(新奇物体の探索時間/両物体の探索時間の合計)×100
試験薬として、チペピジン(40 mg/kg)または生理食塩水は、training(7日目)の30分前に皮下投与した。
結果を、図2に示す。チペピジンの投与により、有意かつ強力な学習行動の改善効果が見られた。
実施例1と同様にして、図3に示すプロトコールに従い、クロペラスチンの効果を確認した。但し、クロペラスチン(40 mg/kg)および生理食塩水は、Training(7日目)の30分前に皮下注射した。さらに、Aβ25-35 未処理の対照としてAβ25-35 の代わりに生理食塩水を加えたマウスも同時に試験した。
結果を図4に示す。*は、p<0.05を示す。クロペラスチンの投与により、有意かつ強力な学習行動の改善効果が見られた。
Claims (9)
- GIRKチャンネル活性化電流抑制作用を有する化合物を有効成分として含有するアミロイドβ蛋白質により誘発される認知症の予防および/または治療薬。
- 前記認知症がアルツハイマー病である、請求項1に記載の予防および/または治療薬。
- 前記化合物が、チペピジン、クロペラスチン、カラミフェン、エプラジノン、イソアミニル、またはそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項1または2に記載の予防および/または治療薬。
- 前記化合物が、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノンおよびクエン酸イソアミニルからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項3に記載の予防および/または治療薬。
- 前記化合物が、ヒベンズ酸チペピジンまたはクエン酸チペピジンである、請求項4に記載の予防および/または治療薬。
- 注射剤である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の予防および/または治療薬。
- GIRKチャンネル活性化電流抑制作用を有する化合物を有効成分として含有するアミロイドβ蛋白質の蓄積阻害剤。
- 前記化合物が、チペピジン、クロペラスチン、カラミフェン、エプラジノン、イソアミニルまたはそれらの薬理学的に許容される塩から選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項7に記載の阻害剤。
- 前記化合物が、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジン、塩酸クロペラスチン、フェンジゾ酸クロペラスチン、塩酸カラミフェン、エタンジスルフォン酸カラミフェン、塩酸エプラジノンおよびクエン酸イソアミニルからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項8に記載の阻害剤。
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WO2001098300A1 (fr) * | 2000-06-21 | 2001-12-27 | Dainippon Pharmaceutical Co., Ltd. | Medicaments utilises dans la prevention et le traitement de maladies neurodegeneratives |
JP2013063958A (ja) * | 2011-09-01 | 2013-04-11 | Kumamoto Univ | 統合失調症治療薬 |
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Non-Patent Citations (1)
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日薬理誌, vol. Vol.124, JPN6018040518, 2004, pages 145 - 151 * |
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