本実施の形態は、血液に関する検査および分析を行うための血球分析装置に本発明を適用したものである。以下、本実施の形態に係る血球分析装置について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施の形態に係る血球分析装置1の外観を示す図である。血球分析装置1は、搬送ユニット2と、測定ユニット3と、情報処理ユニット4とを備えている。
搬送ユニット2は、測定ユニット3の前方に配置されており、右テーブル21と、左テーブル22と、右テーブル21と左テーブル22とをつなぐラック搬送部23とを備えている。右テーブル21と左テーブル22は、複数の検体ラックLを収容することができる。ラック搬送部23は、X軸方向に沿って延びるベルト23bを備えており、ベルト23bをX軸方向に駆動させることによって、右テーブル21の後方(Y軸負方向側)に搬出された検体ラックLを、左テーブル22までの後方まで搬送することができる。
検体ラックLは、10個の保持部L1を備えており、保持部L1を介して検体容器T1または検体容器T2を保持することができる。検体ラックLの構成については、追って図3(a)、(b)と図4(a)、(b)を参照して説明する。検体容器T1、T2は、患者から採取された全血の血液検体を収容している。検体容器T1、T2の外観の形状は略同じであり、内部の構造が異なっている。検体容器T1、T2の構成については、追って図2(a)〜(d)を参照して説明する。
ユーザは、検体容器T1に収容された検体の測定を開始する場合、検体容器T1のみを保持させるための検体ラックLにセットし、この検体ラックLを右テーブル21に載置する。一方、検体容器T2に収容された検体の測定を開始する場合、検体容器T2のみを保持させるための検体ラックLにセットし、この検体ラックLを右テーブル21に載置する。しかる後、右テーブル21にセットされた検体ラックLが、搬送ユニット2により順次搬送され、検体が測定ユニット3へ供給される。処理が完了すると、この検体ラックLは左テーブル22に収容される。搬送ユニット2と測定ユニット3の構成については、追って図5を参照して説明する。
情報処理ユニット4は、表示部41と入力部42を備えており、搬送ユニット2と測定ユニット3に対して、通信可能に接続されている。情報処理ユニット4は、搬送ユニット2と測定ユニット3の各部を制御し、搬送ユニット2と測定ユニット3に配されたセンサ等により検出された信号を受信する。また、情報処理ユニット4は、測定ユニット3から受信した信号に基づいて解析を行い、測定試料に含まれる血球を検出する。そして、情報処理ユニット4は、解析結果を表示部41に表示する。
図2(a)、(b)は、それぞれ、検体容器T1の外観図および断面図である。
検体容器T1は、胴部T11と、蓋部T12と、バーコードラベルT13とを備えている。胴部T11は、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端には開口が形成されており、内部の下端には底面T11aが形成されている。胴部T11は、検体を収容しており、上端の開口は蓋部T12により密封されている。蓋部T12は、ピアサ34a(図5参照)が貫通可能となるよう構成されている。バーコードラベルT13には、検体IDを含むバーコードが印刷されている。バーコードラベルT13は、胴部T11の側面に貼付されている。
図2(c)、(d)は、それぞれ、検体容器T2の外観図および断面図である。検体容器T2は、検体容器T1と検体容器T1よりも少ない容量の検体を収容するための検体容器である。
検体容器T2は、胴部T21と、蓋部T22と、バーコードラベルT23とを備えており、検体容器T1と略同じ高さを有する。胴部T21は、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端には開口が形成されており、内部の中段には底面T21aが形成されている。胴部T21は、検体容器T1の胴部T11と同様、検体を収容しており、上端の開口は、蓋部T22により密封されている。また、蓋部T22とバーコードラベルT23は、検体容器T1の蓋部T12とバーコードラベルT13と略同じ構成である。
ここで、検体容器T1のみを保持させるための検体ラックL(以下、「通常ラック」という)と、検体容器T2のみを保持させるための検体ラックL(以下、「特殊ラック」という)とは、図2(e)に示すラック判別部材Jが先頭の保持部L1に設置されているか否かにおいて異なっている。以下、通常ラックと特殊ラックについて順に説明する。
図3(a)、(b)は、それぞれ、通常ラックの外観図および側面図である。
検体ラックLには、10本の検体容器T1、T2を垂直に保持することが可能となるよう10個の保持部L1が形成されている。以下、各保持部L1の位置を、便宜上、X軸負方向に向かって順に保持位置n1〜n10と称する。保持部L1の下端には底面L11が形成されており、保持部L1のY軸負方向側とY軸正方向側には、それぞれ、開口L12、L13が形成されている。
底面L11には皿部材L2が設置されており、皿部材L2は、検体容器T1の胴部T11の下端を垂直に支持する。また、検体ラックLのZ軸負方向側の面には、底面L11に対応するよう10個の凹部L14が形成されている。皿部材L2の下面に形成された筒部L21が、底面L11と凹部L14とを貫通する孔に通されることにより、皿部材L2が底面L11に設置される。
このように、通常ラックは、検体ラックLにおいて保持位置n1にラック判別部材Jが設置されないことにより構成される。ユーザは、検体容器T1に収容された検体の測定を開始する場合、通常ラックの保持位置n1〜n10に、適宜、検体容器T1をセットする。通常ラックに検体容器T1がセットされると、検体容器T1の上端は、検体ラックLの上面よりも上側に位置付けられる。
図4(a)、(b)は、それぞれ、特殊ラックの外観図および側面図である。
特殊ラックでは、検体ラックLの保持位置n1にラック判別部材Jが設置されている。ラック判別部材Jは、略円筒形状を有している。また、ラック判別部材Jは、検体ラックLと同様、ABS樹脂等からなり、ラック判別部材Jと検体ラックLは何れも光を通さない。検体ラックLにラック判別部材Jを設置する場合、まず、通常ラックから、保持位置n1の底面L11に設置された皿部材L2を取り外す。続いて、ラック判別部材Jを保持位置n1の保持部L1に上側から挿入し、ラック判別部材Jの下端が、底面L11と凹部L14とを貫通する孔を介して、ネジJ1により底面L11に固定される。こうしてラック判別部材Jが保持位置n1の保持部L1に設置されると、図4(a)、(b)に示すように、ラック判別部材Jの上面は検体ラックLの上面と略同じ高さに位置付けられ、ラック判別部材Jは、検体ラックLの上面から飛び出さないよう構成されている。なお、ラック判別部材Jは必ずしもネジJ1により固定されていなくてもよい。
このように、特殊ラックは、検体ラックLにおいて保持位置n1にラック判別部材Jが設置されることにより構成される。ユーザは、検体容器T2に収容された検体の測定を開始する場合、特殊ラックの保持位置n2〜n10に、適宜、検体容器T2をセットする。特殊ラックに検体容器T2がセットされると、検体容器T2の上端は、検体ラックLの上面よりも上側に位置付けられる。
図5は、搬送ユニット2と測定ユニット3の構成を模式的に示す図である。
ラック搬送部23は、発光部と受光部からなる透過型のセンサs1、s2と、ベルト23b(図1参照)と、検体ラックLを前方に搬送するためのラック押出し機構23aと、を備えている。右テーブル21は、検体ラックLを後方に搬送するためのラック押出し機構21aを備えており、左テーブル22は、検体ラックLを前方に搬送するためのラック押出し機構22aを備えている。測定ユニット3は、把持部31と、検体容器セット部32と、バーコードユニット33と、検体吸引部34と、試料調製部35と、検出部36と、を備えている。検体吸引部34は、検体容器T1、T2内の検体を吸引するためのピアサ34aと、ピアサ34aを上下方向に駆動するためのステッピングモータ34bを備えている。
ラック搬送部23により検体ラックLが左方向に搬送され、検体ラックLの保持部L1がラック搬送部23上の所定の位置P1に位置付けられると、センサs1、s2による検知が行われる。センサs1の発光部と受光部は、位置P1の右後方と左前方に設置されており、センサs2の発光部と受光部は、位置P1の後方と前方に設置されている。センサs1により、位置P1に位置付けられた保持位置に、検体容器T1、T2が保持されているか否かが検知され、センサs2により、位置P1に位置付けられた保持位置に保持されている検体容器T1に、検体が収容されているか否かが検知される。
図6(a)、(b)は、それぞれ、センサs1、s2を、Y軸正方向およびX軸負方向から見たときの側面図である。図6(a)、(b)では、検体ラックLの保持位置が位置P1に位置付けられている状態が示されており、位置P1に位置付けられた保持位置に保持されている検体容器T1、T2が破線で示されている。
センサs1は、位置P1に位置付けられている保持部L1の上方に検出位置が位置付けられるよう、搬送ユニット2に設置されている。センサs2は、位置P1に位置付けられている検体容器T1の底面T11aと皿部材L2よりも上側、且つ、バーコードラベルT13、T23よりも下側に検出位置が位置付けられるよう、搬送ユニット2に設置されている。また、センサs2の発光部と受光部は、位置P1に保持部L1が位置付けられた場合でも、保持部L1の開口L12、L13を介して、直接向かい合うことができる。このように、センサs1とセンサs2は、互いに異なる高さで検知対象物の有無を検出する。
センサs1の発光部から出射された光がセンサs1の受光部で受光されるとき、センサs1による検出結果は「検体容器無し」となる。一方、センサs1の発光部から出射された光がセンサs1の受光部で受光されないとき、センサs1による検出結果は「検体容器有り」となる。センサs2の発光部から出射された光のうち所定値以上の光がセンサs2の受光部で受光されるとき、センサs2による検出結果は「検体無し」となる。なお、センサs2は、検体容器T1の底面T11aよりも上側に設置されているため、検体容器T1に、測定に必要な所定量の検体が収容されていないものの、僅かに検体が収容されているような場合でも、センサs2による検出結果は「検体無し」となる。一方、センサs2の発光部から出射された光のうち所定値未満の光しかセンサs2の受光部で受光されないとき、センサs2による検出結果は「検体有り」となる。
たとえば、図6(c)に示すように、位置P1に位置付けられた保持位置に、所定量の検体を収容する検体容器T1が位置付けられているとき、センサs1による検出結果は「検体容器有り」となる。また、センサs2の受光部には所定値未満の光しか入射しないため、センサs2による検出結果は「検体有り」となる。
また、図6(d)に示すように、位置P1に位置付けられた保持位置に、検体を収容しない(所定量の検体を収容しない)検体容器T1が位置付けられているとき、センサs1による検出結果は「検体容器有り」となる。また、センサs2の受光部には所定値以上の光が入射するため、センサs2による検出結果は「検体無し」となる。
また、図6(e)に示すように、位置P1に位置付けられた保持位置に、検体を収容する検体容器T2が位置付けられているとき、センサs1による検出結果は「検体容器有り」となる。また、センサs2の受光部には所定値以上の光が入射するため、センサs2による検出結果は「検体無し」となる。なお、検体容器T2の底面T21aは、センサs2よりも上側にあるため、検体容器T2に検体が収容されている場合でも、センサs2による検出結果は常に「検体無し」となる。
また、図6(f)に示すように、位置P1に位置付けられた保持位置にラック判別部材Jが設置されているとき、センサs1による検出結果は「検体容器無し」となる。また、センサs2の受光部には光が入射しないため、センサs2による検出結果は「検体有り」となる。また、位置P1に位置付けられた保持位置に、検体容器T1、T2とラック判別部材Jの何れも位置付けられていないとき、センサs1による検出結果は「検体容器無し」となる。また、センサs2の受光部には所定値以上の光が入射するため、センサs2による検出結果は「検体無し」となる。
図5に戻り、位置P1において、センサs1、s2による検知が終了すると、次に、検体ラックLに保持された検体容器T1、T2が、ラック搬送部23上の所定の位置P2に位置付けられる。位置P2に位置付けられた検体容器T1、T2は、把持部31により把持され、検体ラックLから上方向に抜き出される。そして、把持部31は、検体容器T1、T2を所定の回数だけ転倒させ、検体容器T1、T2内の検体を攪拌させる。検体容器T1、T2に対する攪拌動作については、追って図7(a)を参照して説明する。
攪拌動作が終了した検体容器T1、T2は、把持部31により、位置P2に位置付けられた検体容器セット部32にセットされる。そして、この検体容器T1、T2は、検体容器セット部32により位置P3まで搬送される。検体容器T1、T2が位置P3に位置付けられると、位置P3の近傍に設置されたバーコードユニット33により、検体容器T1、T2に貼付されたバーコードラベルT13、T23から検体IDが読み取られる。そして、検体容器T1、T2は、検体容器セット部32により位置P4まで搬送される。検体容器T1、T2が位置P4に位置付けられると、検体吸引部34によりピアサ34aを介して検体容器T1、T2から所定量の検体が吸引される。検体容器T1、T2に対する吸引動作については、追って図7(b)、(c)を参照して説明する。
検体の吸引が終了すると、この検体容器T1、T2は、検体容器セット部32により前方に搬送され、把持部31により元の検体ラックLの保持位置に戻される。そして、この検体ラックLは、ラック搬送部23により左方向に搬送され、ラック押出し機構23a、22aにより前方へ搬送され、左テーブル22に回収される。ピアサ34aを介して吸引された検体は、検体吸引部34により試料調製部35に吐出される。試料調製部35は、検体と試薬とを混合し、混合液を加温して、測定試料を調製し、調製した測定試料を検出部36に供給する。検出部36は、測定試料にレーザ光を照射して各種信号を取得し、取得した信号を情報処理ユニット4に送信する。
図7(a)は、検体容器T1、T2に対する攪拌動作を示す図である。
把持部31は、一対のハンド部材31aと、ハンド部材31aを支持する軸31bとを備えている。検体容器T1、T2が位置P2に位置付けられると、把持部31がZ軸負方向に駆動され、ハンド部材31aにより、検体容器T1、T2の蓋部T12、T22がY軸方向から挟み込まれる。続いて、把持部31がZ軸正方向に駆動され、検体容器T1、T2が、検体ラックLから抜き出される。この状態で、軸31bがY軸を中心として回転されることにより、図7(a)に示すように、破線で示す角度の範囲で、検体容器T1、T2が軸31bを中心として所定の回数だけ転倒される。これにより、検体容器T1、T2内の検体が攪拌される。
このとき、検体容器T2を転倒させる回数fn2は、検体容器T1を回転させる回数fn1よりも大きくなるよう設定されている。この理由は、図2(b)、(d)に示すように、検体容器T2内の検体を収容可能な空間領域は、検体容器T1内の検体を収納可能な空間領域に比べて小さいためである。このため、検体容器T2内の検体を適切に攪拌するために必要な転倒回数は、検体容器T1内の検体を適切に攪拌するために必要な転倒回数よりも大きくなる。
図7(b)、(c)は、それぞれ、検体容器T1、T2に対する吸引動作を示す図である。
図7(b)を参照して、検体容器T1が位置P4に位置付けられると、まず、ピアサ34aの上下方向(Z軸方向)の位置は、ピアサ34aの先端(下端部分)が原点に位置付けられるよう調整される。そして、実線の矢印に示すように、ピアサ34aが下方向に駆動され、ピアサ34aの先端が底面T11aに位置付けられる。そして、検体容器T1内の検体がピアサ34aにより吸引される。
このとき、ピアサ34aを下方向に駆動するステッピングモータ34bに印加されるパルス数は、破線の矢印に示すように、ピアサ34aを原点から底面T11aまで下降させるために必要なpn1とされる。また、ステッピングモータ34bのトルク、すなわち、ピアサ34aを下方向に駆動させる力は、tr1とされる。これにより、ピアサ34aの先端は、蓋部T12を貫通して底面T11aに位置付けられる。
図7(c)を参照して、検体容器T2が位置P4に位置付けられると、検体容器T1の場合と同様、ピアサ34aの上下方向の位置は、ピアサ34aの先端が原点に位置付けられるよう調整される。そして、実線の矢印に示すように、ピアサ34aが下方向に駆動され、ピアサ34aの先端が底面T21aに位置付けられる。そして、検体容器T2内の検体がピアサ34aにより吸引される。
このとき、ステッピングモータ34bに印加されるパルス数は、破線の矢印に示すように、ピアサ34aを原点から底面T21aまで下降させるために必要なパルス数よりも大きいpn2とされる。また、ステッピングモータ34bのトルクは、検体容器T1の場合のtr1よりも小さく、且つ、ピアサ34aが蓋部T22を貫通可能なtr2とされる。これにより、ピアサ34aの先端は蓋部T22を貫通可能になると共に、ピアサ34aが底面T21aに当接した後も、底面T21aとピアサ34aの先端が傷つくことが避けられる。そして、パルス数pn2の印加が終了すると、ピアサ34aの先端は底面T11aに位置付けられる。
図7(d)は、ハードディスク404(図8参照)に記憶されている処理情報テーブルの構成を示す概念図である。
情報処理ユニット4は、検体容器T1、T2に対して攪拌動作を行う場合、処理情報テーブルを参照して、対応する転倒回数を取得し、取得した転倒回数に基づいて、把持部31による攪拌動作を制御する。また、情報処理ユニット4は、検体容器T1、T2に対して吸引動作を行う場合、処理情報テーブルを参照して、対応するパルス数とトルクを取得し、取得したパルス数とトルクに基づいて、検体吸引部34による吸引動作を制御する。
図8は、情報処理ユニット4の構成を示す図である。
情報処理ユニット4は、パーソナルコンピュータからなり、本体40と、表示部41と、入力部42から構成されている。本体40は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、画像出力インターフェース406と、入出力インターフェース407と、通信インターフェース408を有する。
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
ハードディスク404には、オペレーティングシステム、CPU401に実行させるためのコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。また、ハードディスク404には、血球分析装置1の各部を制御するためのプログラム404aと、図7(d)に示す処理情報テーブルが記憶されている。
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体405aに記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。なお、上記プログラム404aが記録媒体405aに記録されている場合には、読出装置405により記録媒体405aから読み出されたプログラム404aが、ハードディスク404に記憶される。
画像出力インターフェース406は、画像データに応じた映像信号を表示部41に出力し、表示部41は、画像出力インターフェース406から出力された映像信号に基づいて画像を表示する。ユーザは入力部42を介して指示を入力し、入出力インターフェース407は、入力部42を介して入力された信号を受け付ける。通信インターフェース408は、搬送ユニット2と測定ユニット3に接続されており、CPU401は、通信インターフェース408を介して、これら装置との間で指示信号およびデータの送受信を行う。
図9、10は、情報処理ユニット4による処理を示すフローチャートである。図9、10の処理は、検体ラックLが右テーブル21に載置されると開始される。
図9を参照して、右テーブル21に検体ラックLが載置されると、情報処理ユニット4のCPU401は、右テーブル21に載置された検体ラックLの搬送を開始する(S101)。これにより、検体ラックLは、右テーブル21からラック搬送部23へと搬送され、保持位置n1が位置P1に位置付けられる。そして、CPU401は、位置P1に位置付けられた保持位置n1に対して、上述したように、センサs1、s2による検知を行う(S102)。これにより、検知対象物の有無が検出される。
センサs1による検出結果が「検体容器有り」であり(S103:YES)、センサs2による検出結果が「検体有り」であると(S104:YES)、CPU401は、この検体ラックLを検体容器T1のみを保持する検体ラックL、すなわち、通常ラックと判定する(S105)。このケースは、たとえば、位置P1に位置付けられた保持位置n1に、図6(c)に示すように、測定に必要な所定量の検体が収容された検体容器T1が保持されている場合に相当する。
また、センサs1による検出結果が「検体容器有り」であり(S103:YES)、センサs2による検出結果が「検体無し」であると(S104:NO)、CPU401は、この検体ラックLを通常ラックと判定する(S106)。このケースは、たとえば、位置P1に位置付けられた保持位置n1に、図6(d)に示すように、測定に必要な所定量の検体が収容されていない検体容器T1が保持されている場合に相当する。
また、センサs1による検出結果が「検体容器無し」であり(S103:NO)、センサs2による検出結果が「検体有り」であると(S107:YES)、CPU401は、この検体ラックLを検体容器T2のみを保持する検体ラックL、すなわち、特殊ラックと判定する(S108)。このケースは、たとえば、位置P1に位置付けられた保持位置n1に、図6(f)に示すように、ラック判別部材Jが保持されている場合に相当する。
また、センサs1による検出結果が「検体容器無し」であり(S103:NO)、センサs2による検出結果が「検体無し」であると(S107:NO)、CPU401は、この検体ラックLを通常ラックと判定する(S109)。このケースは、たとえば、位置P1に位置付けられた保持位置n1に、検体容器T1、T2とラック判別部材Jの何れも保持されていない場合に相当する。
ここで、ユーザは、検体容器T1、T2に対する測定を開始する場合、検体ラックLには検体容器T1のみを保持させ、検体ラックLには検体容器T2のみを保持させている。このため、上記のように検体ラックLの種類が判定されると、CPU401は、検体ラックLに保持されている検体容器の種類を判別することができる。すなわち、検体ラックLが通常ラックと判定されると、CPU401は、保持されている検体容器は全て検体容器T1であると判別し、検体ラックLが特殊ラックと判定されると、保持されている検体容器は全て検体容器T2であると判別する。
次に、CPU401は、この検体ラックLを左方向に搬送して、位置P1に保持位置n2〜n10を順に位置付け、保持位置n2〜n10に対して、センサs1、s2による検知を行う(S110)。これにより、保持位置n2〜n10に対して検知対象物の有無が検出される。
続いて、CPU401は、S102とS110でのセンサs1、s2による検出結果に基づいて、保持位置n1〜n10に対する検体処理の要否を決定する(S111)。具体的には、S105、S106、S109において検体ラックLが通常ラックと判定された場合、センサs1の検出結果が「検体容器有り」となり、且つ、センサs2の検出結果が「検体有り」なった保持位置に対して、検体処理が必要と決定する。また、S108において検体ラックLが特殊ラックと判定された場合、センサs1の検出結果が「検体容器有り」となった保持位置に対して、検体処理が必要と決定する。
次に、図10を参照して、CPU401は、この検体ラックLに未処理の検体容器があるかを判定する(S112)。すなわち、この検体ラックLにおいて、S111で検体処理が必要と決定された保持位置に保持されている全ての検体容器に対して、攪拌動作と吸引動作が行われたかが判定される。
この検体ラックLに未処理の検体容器があると(S112:YES)、CPU401は、この検体ラックLに保持されている未処理の検体容器のうち、最も左側の検体容器を位置P2に位置付ける(S113)。そして、CPU401は、この検体容器を把持部31により把持する(S114)。続いて、この検体ラックLが通常ラックである場合(S115:YES)、CPU401は、処理情報テーブルを参照して検体容器T1の転倒回数fn1を取得し、把持部31を駆動して取得した転倒回数だけ検体容器T1を転倒させる(S116)。他方、この検体ラックLが特殊ラックである場合(S115:NO)、CPU401は、処理情報テーブルの検体容器T2の転倒回数fn2を取得し、把持部31を駆動して取得した転倒回数だけ検体容器T2を転倒させる(S117)。
続いて、CPU401は、把持部31により把持している検体容器を、検体容器セット部32にセットし、バーコードユニット33によりバーコードラベルT13、T23から検体IDを読み取り、検体容器を位置P4に位置付ける(S118)。そして、この検体ラックLが通常ラックである場合(S119:YES)、CPU401は、ピアサ34aを原点に位置付けた後、処理情報テーブルを参照して検体容器T1のパルス数pn1とトルクtr1を取得し、取得したパルス数とトルクでステッピングモータ34bを駆動する(S120)。これにより、ピアサ34aの先端が底面T11aに位置付けられる。他方、この検体ラックLが特殊ラックである場合(S119:NO)、CPU401は、ピアサ34aを原点に位置付けた後、処理情報テーブルを参照して検体容器T2のパルス数pn2とトルクtr2を取得し、取得したパルス数とトルクでステッピングモータ34bを駆動する(S121)。これにより、ピアサ34aの先端が底面T21aに位置付けられる。
続いて、CPU401は、吸引部34を駆動して、ピアサ34aを介して検体容器内の検体を吸引する(S122)。吸引動作が終了すると、CPU401は、この検体容器を検体容器セット部32により前方に移動させ、把持部31により元の検体ラックLの保持位置に戻す(S123)。そして、処理がS112に戻され、この検体ラックLに未処理の検体容器がなくなるまでS113〜S123の処理が行われる。
この検体ラックLに未処理の検体容器がなくなると(S112:NO)、CPU401は、この検体ラックLをラック搬送部23により左方向に搬送し、左テーブル22に回収する(S124)。こうして、検体ラックLの搬送と、検体ラックLに保持された検体容器T1、T2に対する処理が終了する。
以上、本実施の形態によれば、検体ラックLの保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無に基づいて、この検体ラックLが通常ラックと特殊ラックの何れであるかを判別し、検体ラックLの種類に応じて、検体ラックLに保持された検体容器の種類を判別することができる。ここで、ラック判別部材は検体ラックの保持位置内に設けられており、検体ラックLの壁面等に守られ摩耗等が生じにくいことから、ラック判別部材Jの破損を抑制することができる。よって、検体ラックLが繰り返し使用された場合でも、検体ラックLに貼付されたバーコードラベルからラックIDを読み取って検体容器の種類を判別する場合と異なり、確実に検体容器の種類を判別することができる。また、検体容器の種類を判別することができるため、判別された検体容器の種類に応じて、検体容器に対する攪拌動作と吸引動作を適切に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、検体ラックLが通常ラックと判定された場合、この検体ラックLに保持されている検体容器T1に対する吸引動作において、パルス数pn1とトルクtr1でステッピングモータ34bが駆動される。また、検体ラックLが特殊ラックと判定された場合、この検体ラックLに保持されている検体容器T2に対する吸引動作において、パルス数pn2とトルクはtr2でステッピングモータ34bが駆動される。これにより、検体容器T1、T2のように底面の位置が異なる場合でも、判別された検体容器の種類に応じてピアサ34aの下降量を適切に制御することができる。また、検体容器の底面とピアサ34aの先端が傷つくことが避けられる。
また、本実施の形態によれば、検体ラックLが通常ラックと判定された場合、この検体ラックLに保持されている検体容器T1に対する攪拌動作において、転倒回数はfn1とされる。また、検体ラックLが特殊ラックと判定された場合、この検体ラックLに保持されている検体容器T2に対する攪拌動作において、転倒回数はfn2とされる。これにより、検体容器T1、T2のように検体を収容可能な空間領域が異なる場合でも、判別された検体容器の種類に応じて把持部31による攪拌動作を適切に制御することができる。よって、検体容器T1、T2に収容された検体の攪拌が適切に行われる。
また、本実施の形態によれば、保持位置n1に対してセンサs1、s2による検知が行われることにより、保持位置n1にラック判別部材Jが設置されているか否かを検知することができる。また、各保持位置に対してセンサs1、s2による検知が行われることにより、保持位置n1〜n10に対する検体処理の要否を決定することができる。すなわち、センサs1、s2を、ラック判別部材Jの有無の判別に用いるだけでなく、検体処理の要否の決定にも用いることができる。これにより、ラック判別部材Jの有無の判別と、検体処理の要否の決定を行うために、別々の検出機構を用意する必要がなくなるため、血球分析装置1の構成を簡素にすることができる。
また、本実施の形態によれば、ラック判別部材Jは検体ラックLの保持位置n1に設置されている。これにより、ラック搬送部23の右端から検体ラックLが左方向に搬送されるときに、他の保持位置n2〜n10よりも最初に位置P1に位置付けられるため、センサs1、s2による検知を迅速に行うことができる。よって、ラック判別部材Jの有無を迅速に判別し、検体容器の種類も迅速に判別することができる。また、保持位置n2〜n10に対するセンサs1、s2の検知の際に、検体ラックLを右方向に戻す必要がないため、他の保持位置に対する検知も迅速に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、ラック判別部材Jは検体ラックLの保持位置n1にネジJ1により固定されている。これにより、ユーザが、検体容器T2の測定のたびに、検体ラックLにラック判別部材Jをセットして、この検体ラックLを特殊ラックとするといった手間が省略されると共に、ラック判別部材Jを検体ラックLにセットし忘れるといったミスを防ぐことができる。
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、検体ラックLの保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無に基づいて、検体ラックLが通常ラックと特殊ラックの何れであるかが判別された。本実施の形態では、検体ラックLに貼付されたバーコードラベルを併用することにより、検体ラックLの種類を判別する。
図11(a)、(b)は、それぞれ、本実施の形態の通常ラックと特殊ラックの外観図である。本実施の形態の通常ラックと特殊ラックは、それぞれ、上記第1の実施形態の通常ラックと特殊ラックに対して、Y軸負方向側の側面にバーコードラベルL3が貼付された構成となっている。バーコードラベルL3には、ラックIDを含むバーコードが印刷されている。
図11(c)は、本実施の形態のラック搬送部23の近傍を模式的に示す図である。本実施の形態では、上記第1の実施形態のセンサs1が省略され、位置P1の近傍にバーコードユニット50が設置されている。バーコードユニット50は、位置P1に位置付けられた検体ラックLの保持位置に検体容器が保持されているか否かを検出し、位置P1に位置付けられた検体ラックLのバーコードラベルL3からラックIDを読み取り、位置P1に位置付けられた検体容器T1、T2のバーコードラベルT13、T23から検体IDを読み取る。
図12(a)は、バーコードユニット50の構成を模式的に示す図である。バーコードユニット50は、検体容器T1、T2を回転させるためのローラ51と、一対のローラ52と、ローラ52を回転可能に支持するホルダ53と、バーコードリーダ54と、発光部と受光部からなる透過型のセンサs3を備えている。ホルダ53は、図12(a)に示す初期状態から、Y軸正方向に駆動可能となるよう構成されている。また、ホルダ53には端部53aが形成されており、端部53aは初期状態において、センサs3のY軸負方向側に位置付けられている。
ホルダ53の位置が初期状態のときに、ラック搬送部23により、バーコードラベルL3が位置P1に位置付けられるよう検体ラックLが左方向に搬送される。そして、図12(a)に示すように、バーコードリーダ54により、位置P1に位置付けられたバーコードラベルL3からラックIDが読み取られる。
次に、ラック搬送部23により検体ラックLの位置が右方向に戻され、検体ラックLの保持位置n1〜n10が順に位置P1に位置付けられる。そして、各保持位置が位置P1に位置付けられると、ホルダ53がY軸正方向に移動される。
図12(b)〜(d)は、位置P1に位置付けられた保持位置に、それぞれ、検体容器が保持されている場合と、ラック判別部材Jが保持されている場合と、検体容器とラック判別部材Jの何れも保持されていない場合と、を示す図である。
図12(b)を参照して、位置P1に位置付けられた保持位置に検体容器が保持されている場合、ローラ52が検体容器の側面に当接する。また、端部53aは、ホルダ53の駆動に伴ってY軸正方向に移動するものの、センサs3の位置には到達していない。このように、センサs3の発光部から出射された光がセンサs3の受光部によって受光されるとき、センサs3による検出結果は「検体容器有り」となる。そして、ローラ51が回転されることにより検体容器T1がZ軸を中心として回転され、バーコードリーダ54により、検体容器のバーコードラベルT13、T23から検体IDが読み取られる。また、上記第1の実施形態と同様、センサs2による「検体有り」または「検体無し」の検出も併せて行われる。
図12(c)を参照して、位置P1に位置付けられた保持位置にラック判別部材Jが保持されている場合、ローラ52は最も手前側の位置まで移動され、端部53aはセンサs3の位置に到達する。このように、センサs3の発光部から出射された光がセンサs3の受光部で受光されないとき、センサs3による検出結果は「検体容器無し」となる。また、上記第1の実施形態と同様、センサs2による検出も併せて行われる。この場合、ラック判別部材Jが保持されているため、センサs2の検出結果は「検体有り」となる。
図12(d)を参照して、位置P1に位置付けられた保持位置に検体容器とラック判別部材Jの何れも保持されていない場合、図12(c)と同様、ローラ52は最も手前側の位置まで移動され、端部53aはセンサs3の位置に到達し、センサs3による検出結果は「検体容器無し」となる。また、上記第1の実施形態と同様、センサs2による検出も併せて行われる。この場合、検体容器とラック判別部材Jの何れも保持されていないため、センサs2の検出結果は「検体無し」となる。
このように、本実施の形態のセンサs3によれば、上記第1の実施形態のセンサs1と同様、位置P1に位置付けられた保持位置に対して、検体容器の有無を検出することができる。
図13は、情報処理ユニット4による処理を示すフローチャートである。本実施の形態では、上記第1の実施形態における図9の処理(S101〜S111)に替えて、図13の処理(S201〜S218)が行われる。
右テーブル21に検体ラックLが載置されると、CPU401は、検体ラックLの搬送を開始し(S201)、バーコードラベルL3を位置P1に位置付ける。そして、CPU401は、図12(a)に示すように、バーコードリーダ54によりバーコードラベルL3からラックIDを読み取る(S202)。続いて、CPU401は、バーコードリーダ54によるラックIDの読み取りが成功したかを判定する(S203)。ラックIDの読み取りが成功すると(S203:YES)、処理がS204に進められ、ラックIDの読み取りが失敗すると(S203:NO)、処理がS209に進められる。
S204では、CPU401は、読み取ったラックIDに対応する登録情報が、図14(a)に示す登録情報テーブルに登録されているかを判定する。登録情報テーブルは、ハードディスク404に記憶されており、ラックIDの所定の範囲(たとえば、先頭の3桁)を示す項目と、検体ラックLの種類を示す項目とを有している。本実施の形態の登録情報テーブルには、特殊ラックのみが登録されている。すなわち、ラックIDの所定の範囲を示す項目には、特殊ラックに貼付されたバーコードラベルL3に含まれるラックIDの所定の範囲のみが登録されており、検体ラックLの種類を示す項目には「特殊ラック」のみが登録されている。
S202で読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されている場合(S204:YES)、CPU401は、この検体ラックLを特殊ラックと判定する(S205)。そして、CPU401は、保持位置n2〜n10に対して、センサs2、s3による検知を行う(S206)。他方、S202で読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されていない場合(S204:NO)、CPU401は、この検体ラックLを通常ラックと判定する(S207)。そして、CPU401は、保持位置n1〜n10に対して、センサs2、s3による検知を行う(S208)。なお、S206、S208では、バーコードリーダ54による検体IDの読み取りも適宜行われる。
次に、ラックIDの読み取りが失敗した場合(S203:NO)、上記第1の実施の形態のセンサs1、s2に替えてセンサs3、s2を用いることにより、上記第1の実施の形態のS102〜S109と同様にして、検体ラックLの種類の判別が行われる(S209〜S216)。なお、センサs3の検出結果が「検体容器有り」の場合(S210:YES)、保持位置n1に対してバーコードリーダ54による検体IDの読み取りが行われる。そして、CPU401は、保持位置n2〜n10に対して、センサs2、s3による検知を行う(S217)。なお、S217でも、バーコードリーダ54による検体IDの読み取りが適宜行われる。
次に、CPU401は、S206、S208、S209、S217でのセンサs2、s3による検出結果に基づいて、上記第1の実施形態と同様、保持位置n1〜n10に対する検体処理の要否を決定する(S218)。こうして、上記実施の形態と同様、処理が、図10のS112に進められる。
以上、本実施の形態によれば、バーコードリーダ54によるラックIDの読み取りが成功すると(S203:YES)、読み取られたラックIDに基づいて、検体ラックLの種類が判定される(S204)。これにより、検体ラックLに保持されている検体容器の種類を判別することができるため、判別された検体容器の種類に応じて、検体容器に対する攪拌動作と吸引動作を適切に行うことができる。また、バーコードリーダ54によるラックIDの読み取りが失敗すると(S203:NO)、上記実施の形態と同様、ラック判別部材Jの有無に基づいて検体ラックLの種類が判定されるため、検体ラックLに保持された検体容器の種類を判別することができる。これにより、判別された検体容器の種類に応じて、検体容器に対する攪拌動作と吸引動作を適切に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
たとえば、上記第2の実施形態の登録情報テーブルには、ラックIDの所定の範囲のみが登録されたが、これに替えて、ラックIDの全範囲が登録されるようにしても良い。この場合、S204において、バーコードリーダ54により読み取られたラックIDの全範囲が、登録情報テーブルに登録されているかが判定される。
また、上記第2の実施形態では、読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されていない場合(S204:NO)、この検体ラックLは通常ラックと判定された(S207)。しかしながら、これに限らず、図14(b)に示すように、読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されていない場合(S204:NO)、処理がS209に進められ、ラック判別部材Jの有無に基づいて検体ラックLの種類が判別されるようにしても良い。
図14(b)に示す変更例によれば、検体ラックLが特殊ラックであるにも関わらず、図14(a)に示す登録情報テーブルに、この検体ラックLのラックIDの所定範囲が登録されていない場合でも、ラック判別部材Jの有無に基づいて検体ラックLの種類が判別される。これにより、登録漏れのあった特殊ラックに保持されている検体容器T2に対して、誤って検体容器T1に対する吸引動作が行われることがないため、検体容器T2の底面T21aとピアサ34aが傷つけられることが避けられる。
また、上記第2の実施形態の登録情報テーブルには、特殊ラックのラックIDのみが登録されたが、これに限らず、図15(a)に示すように、通常ラックのラックIDも併せて登録されるようにしても良い。
図15(b)は、この場合のフローチャートを示す図である。図15(b)は、図13に示すフローチャートの一部を示す図であり、図15(b)では、図13のS204の後段にS220が追加されている。
読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されている場合(S204:YES)、CPU401は、登録情報テーブルを参照して、この検体ラックLの種類を取得する。そして、CPU401は、取得した検体ラックLの種類が特殊ラックであると(S220:YES)、この検体ラックLを特殊ラックと判定し(S205)、取得した検体ラックLの種類が通常ラックであると(S220:NO)、この検体ラックLを通常ラックと判定する(S207)。他方、読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されていない場合(S204:NO)、処理がS209に進められ、ラック判別部材Jの有無に基づいて検体ラックLの種類が判別される。
図15(a)、(b)に示す変更例によれば、バーコードリーダ54により読み取られたラックIDが、登録情報テーブルに登録されていない場合でも、ラック判別部材Jの有無に基づいて検体ラックLに保持された検体容器の種類を判別することができるため、検体容器に対する攪拌動作と吸引動作を適切に行うことができる。
また、上記第2の実施形態では、通常動作としてラックIDに基づいて検体ラックLの種類が判別され、ラックIDの読み取りが失敗した場合に限り、ラック判別部材Jの有無に基づいて検体ラックLの種類が判別された。しかしながら、これに限らず、通常動作としてラック判別部材Jの有無に基づいて検体ラックLの種類が判別され、ラック判別部材Jが保持されていないことが検知された場合に限り、ラックIDに基づいて検体ラックLの種類が判別されるようにしても良い。
図16は、この場合のフローチャートを示す図である。図16では、図13に示すフローチャートにおいて、S201の後段に、S209〜S218が移動され、通常ラックと判定されたときに(S212、S213、S216)、処理がS301〜S306に進められる。なお、この場合の登録情報テーブルは、図15(a)に示すように、通常ラックのラックIDが登録されているものとする。
処理がS301に進められると、CPU401は、バーコードラベルL3を位置P1に位置付けて、バーコードリーダ54によりラックIDを読み取る(S301)。ラックIDの読み取りが成功すると(S302:YES)、CPU401は、登録情報テーブルを参照して、読み取ったラックIDに対応するラックの種類を取得する。そして、取得した検体ラックLの種類が通常ラックであると(S304:YES)、すなわち、ラック判別部材Jの有無に基づく判定(S212、S213、S216)と同じ結果であると、CPU401は、この検体ラックLを通常ラックと判定して(S305)、処理をS217に進める。
他方、読み取りが失敗した場合(S302:NO)、CPU401は、表示部41に警告を表示して(S306)、この検体ラックLを左テーブル22まで搬送し、処理を終了させる。また、読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されていない場合(S303:NO)も、処理がS306に進められる。また、読み取ったラックIDに対応するラックの種類は取得されたものの、ラックの種類が特殊ラックである場合(S304:NO)、すなわち、ラック判別部材Jの有無に基づく判定と異なる場合も、処理がS306に進められる。
図16に示す変更例によれば、ラック判別部材Jを保持しない検体ラックLのラックIDが、登録情報テーブルにおいて特殊ラックとして登録されている場合、この検体ラックLに保持されている検体容器T2が誤って検体容器T1として処理されることを防止することができる。
たとえば、ユーザが、ラック判別部材Jが保持されていない検体ラックLを取り出して、この検体ラックLのラックIDを、登録情報テーブルにおいて特殊ラックとして登録し、ラック判別部材Jの設置を忘れるような場合が想定される。この場合、検体ラックLの種類の判別が、上記第1の実施形態に従って行われると、ラック判別部材Jが保持されていないため、この検体ラックLは通常ラックとして判別される。このとき、ユーザが、この検体ラックLに検体容器T2をセットしていると、この検体容器T2は検体容器T1と同様の吸引動作が行われるため、検体容器T2の底面T21aとピアサ34aが傷つく惧れがある。しかしながら、図16に示す変更例によれば、ラック判別部材Jによる判定の後、さらにラックIDに基づく判定も行われるため、このように底面T21aとピアサ34aが傷つけられることが避けられる。
また、図16では、登録情報テーブルは、図15(a)に示すように、通常ラックのラックIDが登録されているものとしたが、図14(a)に示すように、特殊ラックのラックIDのみが登録されていても良い。この場合、図15(c)に示すように、読み取ったラックIDの所定の範囲が、登録情報テーブルに登録されている場合(S303:YES)、この検体ラックLは特殊ラックと判定され(S215)、登録情報テーブルに登録されていない場合(S303:NO)、この検体ラックLは通常ラックと判定される(S305)。
また、上記実施の形態によれば、ラック判別部材Jは光を通さないよう構成されたが、透過率が所定の値となるよう構成されても良い。たとえば、図17(a)に示すように、センサs2から出射された光の一部を透過するよう透過率が設定されたラック判別部材J10が検体ラックLに設置されても良い。たとえば、検体を収容している検体容器T1、ラック判別部材J10、検体を収容していない検体容器T1の順に透過率が大きくなる場合、上記第1の実施の形態において、センサs1を用いずセンサs2のみを用いることにより、ラック判別部材J10の有無の判定を行うことができる。
図17(b)は、この場合の処理を示すフローチャートである。図17(b)は、図9に示すフローチャートの一部を示す図であり、図17(b)では、図9のS102〜S110に替えて、S401〜S407が追加されている。なお、センサs2の発光部から出射された光が、検体を収容している検体容器T1、ラック判別部材J10、検体を収容していない検体容器T1を透過する場合、センサs2の受光量は、それぞれ、r1未満、r1以上r2未満、r2以上になるとする。
まず、保持位置n1に対してセンサs2による検知が行われる(S401)。そして、センサs2の受光部の受光量がr1未満であると(S402:YES)、保持位置n1には検体を収容している検体容器T1が保持されているため、この検体ラックLは通常ラックと判定される(S403)。また、センサs2の受光部の受光量がr1以上r2未満であると(S404:YES)、保持位置n1にはラック判別部材J10が保持されているため、この検体ラックLは特殊ラックと判定される(S405)。また、センサs2の受光部の受光量がr2以上であると(S404:NO)、保持位置n1には、検体を収容していない検体容器T1が保持されている、または、何も保持されていないため、この検体ラックLは通常ラックと判定される(S406)。そして、保持位置n1〜n10に対して、センサs1、s2による検知が行われる(S407)。
また、図18(a)、(b)に示すラック判別部材J11、J12が保持位置n1に設置された検体ラックLを、それぞれ、特殊ラックv1、v2とし、検体を収容している検体容器T1、ラック判別部材J11、ラック判別部材J12、検体を収容していない検体容器T1の順に透過率が大きくなる場合、センサs1を用いずセンサs2のみを用いることにより、ラック判別部材J11、J12の有無の判定と、検体ラックLが特殊ラックv1、v2の何れであるかを判定することができる。
図18(c)は、この場合の処理を示すフローチャートである。図18(c)では、図17(b)のS405に替えて、S411〜S413が追加されている。なお、センサs2の発光部から出射された光が、検体を収容している検体容器T1、ラック判別部材J11、ラック判別部材J12、検体を収容していない検体容器T1を透過する場合、センサs2の受光量は、それぞれ、r1未満、r1以上r2未満、r2以上r3未満、r3以上になるとする。
この場合、センサs2の受光部の受光量がr1以上r2未満であると(S404:YES)、保持位置n1にはラック判別部材J11が保持されているため、この検体ラックLは特殊ラックv1と判定される(S411)。また、センサs2の受光部の受光量がr2以上r3未満であると(S412:YES)、保持位置n1にはラック判別部材J12が保持されているため、この検体ラックLは特殊ラックv2と判定される(S412)。
図18(a)〜(c)に示す変更例によれば、検体ラックLの保持位置n1におけるラック判別部材の有無と共に、保持位置n1に設置されたラック判別部材が、ラック判別部材J11とラック判別部材J12の何れであるかを判別することができる。よって、特殊ラックv1、v2にそれぞれ対応する検体容器が保持されている場合、判別された検体ラックLの種類に応じて、検体容器の種類を判別することができる。
なお、ラック判別部材Jが、異なる透過率を有する複数の領域を備えるよう構成されれば、さらに複数の特殊ラックを判別することができる。
図19(a)は、上記実施の形態のラック判別部材Jにおいて、向かって右側の領域の透過率がt1に設定されたラック判別部材J20の構成を示す図である。透過率t1の領域が保持位置n1のY軸正方向側に位置付けられるようラック判別部材J20が設置された検体ラックLを特殊ラックv3とし、透過率t1の領域が保持位置n1のY軸負方向側に位置付けられるようラック判別部材J20が設置された検体ラックLを特殊ラックv4とする。
このような特殊ラックv3、v4の保持位置n1に対するセンサs2の検知は、保持位置n1の右半分と左半分に対して行われる。すなわち、センサs2の検知は、検体ラックLが左右に(Y軸方向)に細かく動かされ、まず、図19(b)に示すように、保持位置n1の右半分(Y軸正方向側)に対して行われ、続いて、図19(c)に示すように、保持位置n1の左半分(Y軸負方向側)に対して行われる。このように、保持位置n1の右半分と左半分に対してセンサs2の検知が行われることにより、この検体ラックLが、特殊ラックv3、v4の何れであるかを判別することができる。
また、上記実施の形態では、検体ラックLの保持位置n1にのみラック判別部材Jが設置されたが、これに限らず、2以上の保持位置の少なくとも一つにラック判別部材Jが設置されるようにして、複数の特殊ラックを判別するようにしても良い。
図20(a)〜(d)は、特殊ラックv5〜v7と通常ラックを示す図である。特殊ラックv5〜v7には、2つの保持位置の少なくとも一つにラック判別部材Jが設置されている。図20(e)は、この場合のフローチャートを示す図である。図20(e)では、図9に示すフローチャートにおいて、S102〜S110に替えて、S501〜S509が追加されている。
CPU401は、保持位置n1、n2に対してセンサs1、s2による検知を行う(S501)。そして、保持位置n1、n2にラック判別部材Jがあると(S502:YES、S503:YES)、CPU401は、この検体ラックLを特殊ラックv5と判定する(S504)。保持位置n1にラック判別部材Jがあり(S502:YES)、保持位置n2にラック判別部材Jがないと(S503:NO)、CPU401は、この検体ラックLを特殊ラックv6と判定する(S505)。保持位置n1にラック判別部材Jがなく(S502:NO)、保持位置n2にラック判別部材Jがあると(S506:YES)、CPU401は、この検体ラックLを特殊ラックv7と判定する(S507)。保持位置n1、n2の何れにもラック判別部材Jがないと(S502:NO、S506:NO)、CPU401は、この検体ラックLを通常ラックと判定する(S508)。そして、CPU401は、保持位置n3〜n10に対してセンサs1、s2による検知を行う(S509)。
図20(a)〜(e)に示す変更例によれば、検体ラックLが、特殊ラックv5〜v7と通常ラックの何れかを判定することができる。よって、特殊ラックv5〜v7にそれぞれ対応する検体容器が保持されている場合、判別された検体ラックLの種類に応じて、検体容器の種類を判別することができる。
また、上記実施の形態において、ラック判別部材Jは、金属部を有するよう構成されても良い。この場合、たとえば、位置P1の近傍に金属センサが設置されれば、金属センサの検出信号に基づいて、保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無を検出することができる。
図21(a)は、この場合の処理を示すフローチャートである。図21(a)では、図9に示すフローチャートにおいて、S102〜S110に替えて、S601〜S606が追加されている。CPU401により保持位置n1に対して金属センサによる検知が行われると(S601)、保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無が検出される。保持位置n1にラック判別部材J1があると(S602:YES)、検体ラックLは特殊ラックと判定され(S603)、保持位置n2〜n10に対してセンサs1、s2による検知が行われる(S604)。他方、保持位置n1にラック判別部材Jがないと(S602:NO)、検体ラックLは通常ラックと判定され(S605)、保持位置n1〜n10に対してセンサs1、s2による検知が行われる(S604)。
また、上記実施の形態において、ラック判別部材Jは、磁気を帯びた磁性部を有するよう構成されても良い。この場合、たとえば、位置P1の近傍にホール素子が設置されれば、ホール素子の検出信号に基づいて、保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無を検出することができる。
図21(b)は、この場合の処理を示すフローチャートである。図21(b)では、図21(a)に示すフローチャートにおいて、S601に替えてS611が追加されている。CPU401により保持位置n1に対してホール素子による検知が行われると(S611)、保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無が検出される。これにより、図21(a)と同様、検体ラックLの種類が判別される。
また、上記実施の形態において、ラック判別部材Jは、外観が所定の色となるよう構成されても良い。この場合、たとえば、位置P1の近傍に色センサや撮像機構が設置されれば、色センサや撮像機構の検出信号に基づいて、保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無を検出することができる。
図21(c)は、色センサが用いられる場合の処理を示すフローチャートである。図21(c)では、図21(a)に示すフローチャートにおいて、S601に替えてS612が追加されている。CPU401により保持位置n1に対して色センサによる検知が行われると(S612)、保持位置n1におけるラック判別部材Jの有無が検出される。これにより、図21(a)と同様、検体ラックLの種類が判別される。
また、上記実施の形態では、検体容器に対する攪拌動作において、検体容器T1、T2の転倒回数は、それぞれ、fn1、fn2とされたが、転倒回数のほか、転倒の強度(たとえば、把持部31の軸31bの角速度等)が、適宜設定されるようにしても良い。
また、上記実施の形態では、センサs1、s2による検出結果に基づいて、各保持位置に対する検体処理の要否が決定されたが、これに限らず、センサs1のみの検出結果に基づいて、検体処理の要否が決定されるようにしても良い。たとえば、センサs1による検出結果が「検体容器有り」となった保持位置に対して、検体処理が必要と決定しても良い。
また、上記実施の形態において、特殊ラックは、検体ラックLの保持位置n1にラック判別部材Jが設置されることにより構成されたが、これに限らず、検体ラックLの保持位置n1とは異なる保持位置にラック判別部材Jが設置されることにより構成されても良い。この場合、検体ラックLの搬送方向の先頭からラック判別部材Jが設置された保持位置までの検体容器を検体容器T1と認識し、ラック判別部材Jが設置された保持位置以降の検体容器を検体容器T2と認識してもよい。
また、上記実施の形態では、センサs1〜s3は、発光部と受光部からなる透過型のセンサとされたが、これに限らず、反射型のセンサであっても良い。また、センサs1〜s3は、磁気式や接触式など他の原理に基づくセンサであっても良い。
また、上記実施の形態では、センサを複数用いてラック判別部材Jの有無を検知していたが、ラック判別部材Jを検知するための専用のセンサを設けても良い。
なお、上記実施の形態では、ラック判別部材Jの有無をセンサ等により検知していたが、ラック判別部材Jの表面に専用のバーコードを付与し、それをバーコードリーダ54により読み取ることで、検体ラックLの保持位置にラック判別部材Jが設置されていることを検知し、ラック判別部材Jの有無を判断してもよい。
また、上記第2の実施形態では、検体ラックLのラックIDを記憶する媒体として、バーコードラベルL3が貼付されたが、これに限らず、RFIDタグが貼付されても良い。この場合、バーコードリーダ54に替えて、RFIDタグから情報を読み取るアンテナが設置される。
また、上記実施の形態において、本発明を適用する装置は、血球分析装置1とされたが、これに限定されるものではない。免疫分析装置、遺伝子増幅測定装置、生化学分析装置、尿定性分析装置、尿中有形成分分析装置、または血液塗抹標本作成装置等の検体を処理する検体処理装置に本発明を適用してもよい。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。