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JP2017020825A - ガス濃度検出装置 - Google Patents

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JP2017020825A JP2015136657A JP2015136657A JP2017020825A JP 2017020825 A JP2017020825 A JP 2017020825A JP 2015136657 A JP2015136657 A JP 2015136657A JP 2015136657 A JP2015136657 A JP 2015136657A JP 2017020825 A JP2017020825 A JP 2017020825A
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圭一郎 青木
Keiichiro Aoki
圭一郎 青木
和弘 若尾
Kazuhiro Wakao
和弘 若尾
達弘 橋田
Tatsuhiro Hashida
達弘 橋田
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Abstract

【課題】限界電流式ガスセンサを使用して被検ガスとしての排気中に含まれる硫黄酸化物の濃度をできるだけ精度良く取得(検出)することができるガス濃度検出装置を提供する。
【解決手段】第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cを備える限界電流式ガスセンサにおいて、第1電気化学セル11Cが備える一対の電極の一方(陰極)11aを、硫黄酸化物(SOx)を分解可能な材料によって構成する。第2電気化学セル12Cの一対の電極の一方(陰極)によるSOxの分解速度を、第1電気化学セルの陰極より遅くする。そして、SOx検出時の第1電気化学セル及び第2電気化学セルの出力並びに第1電気化学セルと第2電気化学セルの固有の検出誤差を補正するための補正係数Km、Ksを用いて、被検ガス中のSOx濃度を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気中に含まれる硫黄酸化物(SOx)の濃度をより正確に取得することができるガス濃度検出装置に関する。
従来から、空燃比センサの1つとして限界電流式ガスセンサが知られている。限界電流式ガスセンサは、酸化物イオン伝導性を有する固体電解質体と、固体電解質体の表面に固着された一対の電極と、を含む電気化学セルであるポンピングセルを備える。一対の電極の一方は、拡散抵抗部を介して導入される被検ガスとしての内燃機関の排気に曝され、他方は大気に曝されている。上記一方の電極を陰極とし、上記他方の電極を陽極として、これらの一対の電極の間に酸素の分解が始まる電圧(分解開始電圧)以上の電圧を印加すると、被検ガス中に含まれる酸素が還元分解されて酸化物イオン(O2−)となる。この酸化物イオンは上記固体電解質体を介して陽極へと伝導されて酸素となり、大気中へと排出される。このような陰極側から陽極側への酸化物イオンの伝導による酸素の移動は「酸素ポンピング作用」と称される。
酸素ポンピング作用に伴う酸化物イオンの伝導により、上記一対の電極の間に電流が流れる。このように一対の電極間に流れる電流は「電極電流」と称される。この電極電流は一対の電極間に印加される電圧(以降、単に「印加電圧」と称される場合がある。)が上昇するほど大きくなる傾向を有する。しかしながら上記一方の電極(陰極)に到達する被検ガスの流量が拡散抵抗部によって制限されるので、やがて酸素ポンピング作用に伴う酸素の消費速度が陰極への酸素の供給速度を超えるようになる。即ち、陰極における酸素の還元分解反応が拡散律速状態となる。
上記拡散律速状態においては、印加電圧を上昇させても電極電流が増大せず、略一定となる。このような特性は「限界電流特性」と称され、限界電流特性が発現する(観測される)印加電圧の範囲は「限界電流域」と称される。更に、限界電流域における電極電流は「限界電流」と称され、限界電流の大きさ(限界電流値)は陰極への酸素の供給速度に対応する。上記のように陰極に到達する被検ガスの流量が拡散抵抗部によって一定に維持されているので、陰極への酸素の供給速度は被検ガス中に含まれる酸素の濃度に対応する。
従って、空燃比センサとして使用される限界電流式ガスセンサにおいて「限界電流域内の所定の電圧」に印加電圧を設定したときの電極電流(限界電流)は被検ガス中に含まれる酸素の濃度に対応する。このように酸素の限界電流特性を利用して、空燃比センサは被検ガス中に含まれる酸素の濃度を検出し、それに基づいて燃焼室内の混合気の空燃比を取得することができる。
なお、上記のような限界電流特性は酸素ガスのみに限定される特性ではない。具体的には、分子中に酸素原子を含むガス(以降、「含酸素ガス」と称される場合がある。)の中には、印加電圧及び陰極の構成を適切に選択することにより限界電流特性を発現させることができるものがある。このような含酸素ガスの例としては、例えば、硫黄酸化物(以下、「SOx」と称することがある)、水(以下、「HO」と称することがある)及び二酸化炭素(以下、「CO」と称することがある)等を挙げることができる。
ところで、内燃機関の燃料(例えば、軽油及びガソリン等)には微量の硫黄(S)成分が含まれる。特に、粗悪燃料とも称される燃料は、比較的高い含有率にて硫黄成分を含有している場合がある。燃料中の硫黄成分の含有率(以降、単に「硫黄含有率」と称される場合がある。)が高いと、内燃機関の構成部材の劣化及び/又は故障、排気浄化触媒の被毒、排気における白煙の発生等の問題が生じる虞が高まる。そのため、燃料中の硫黄成分の含有率を取得し、取得された硫黄含有率を車両の制御に反映することが望まれている。その一例としては、内燃機関の制御への反映、内燃機関の故障に関する警告制御への反映及び排気浄化触媒の自己故障診断(OBD)への反映などが想定されている。
内燃機関の燃料が硫黄成分を含有していると、燃焼室から排出される排気中に硫黄酸化物が含まれる。更に、燃料中の硫黄含有率が高くなるほど、排気中に含まれる硫黄酸化物の濃度(以降、単に「SOx濃度」と称される場合がある。)も高くなる。従って、排気中のSOx濃度を正確に取得することができれば、取得されたSOx濃度に基づいて燃料中の硫黄含有率を正確に取得することができると考えられる。
そこで、当該技術分野においては、上述した酸素ポンピング作用を利用する限界電流式ガスセンサによって内燃機関の排気中に含まれる硫黄酸化物の濃度を取得する試みがなされている。具体的には、被検ガスとしての内燃機関の排気が拡散抵抗部を介して導かれる内部空間に陰極が面するように直列に配置された2つのポンピングセルを備える限界電流式ガスセンサ(2セル式の限界電流式ガスセンサ)が使用される。
このセンサにおいては、上流側のポンピングセルの電極間に相対的に低い電圧を印加することにより、上流側のポンピングセルの酸素ポンピング作用によって被検ガス中に含まれる酸素を除去する。
更に、下流側のポンピングセルの電極間に相対的に高い電圧を印加することにより、下流側のポンピングセルによって被検ガス中に含まれる硫黄酸化物を陰極において還元分解させ、その結果として生ずる酸化物イオンを陽極へと伝導する。そして下流側のポンピングセルの電極電流に基づいて、被検ガス中に含まれる硫黄酸化物の濃度が取得される(例えば、特許文献1を参照。)。
特開平11−190721号公報
上述したように、酸素ポンピング作用を利用する限界電流式ガスセンサによって、内燃機関の排気中に含まれる硫黄酸化物の濃度を取得する試みがなされている。しかしながら、排気中に含まれる硫黄酸化物の濃度は極めて低く、硫黄酸化物の分解に起因する電流(分解電流)も極めて小さい。更に、硫黄酸化物以外の含酸素ガス(例えば、水及び二酸化炭素等)に起因する分解電流も電極間に流れ得る。そのため、例えば、排気中の水の濃度が変化すると、硫黄酸化物の濃度を精度よく検出できない。
更に、限界電流式ガスセンサは、製造上の個体差を有し、更には、その出力特性が経時変化する。よって、硫黄酸化物の濃度を精度よく検出するためには、これら個体差及び経時変化に起因する出力値の変化を補償する必要がある。
本発明は上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、限界電流式ガスセンサを使用して被検ガスとしての排気中に含まれる硫黄酸化物の濃度をできるだけ精度良く取得(検出)することができるガス濃度検出装置を提供することにある。
概して言えば、本発明によるガス濃度検出装置(以下、「本発明装置」と称する。)は、拡散抵抗層を通って内部空間に流入した被検ガス(内燃機関の排気)が接触する「第1電気化学セル(センサセル)及び第2電気化学セル(モニタセル)」を有する。
第1電気化学セル及び第2電気化学セルは、水の分解開始電圧以上の電圧を印加したときに、被検ガス中に含まれる水を分解させることができる。一方、第2電気化学セルに水の分解開始電圧以上の特定電圧を印加したときの硫黄酸化物の分解速度は、第1電気化学セルに前記特定電圧を印加したときの硫黄酸化物の分解速度よりも低くなるように構成されている。
そして、本発明装置は、第1電気化学セル及び第2電気化学セルに水の分解開始電圧以上の電圧を印加したときに、第1電気化学セルの電極間に流れる電流値(SOx検出用第1検出値)と第2電気化学セルの電極間に流れる電流値(SOx検出用第2検出値)とを取得する。そして、第2電気化学セルの電極電流に対応する検出値であるSOx検出用第2検出値は、水の分解に起因する電流の値を主として含むが、SOxの分解生成物による影響を実質的に受けない。従って、第1電気化学セルのSOx検出用第1検出値と第2電気化学セルのSOx検出用第2検出値との差Δを取得することにより、被検ガス中に含まれる水の濃度変動の影響を低減することができる。換言すると、差ΔはSOx濃度に対して高い感度を有する。
更に、上述したように、第1及び第2電気化学セルの検出値(電流値)は、個体差及び経時変化に起因した出力誤差を含む。そこで、本発明装置は、先ず内部空間の被検ガスの酸素濃度が特定の一定濃度である場合(例えば、内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態である場合)において、酸素の限界電流域の電圧を第2電気化学セルに印加し、そのときの第2電気化学セルの検出値(検出モニタセル値)に対する予め定められた所定の基準出力値の比をモニタセル補正値(Km)として求める。基準出力値は、「設計上基準となる第2電気化学セル」が、内部空間の被検ガスの酸素濃度が特定の一定濃度である場合においてその電気化学セルに酸素の限界電流域の電圧を印加した際に示す検出値である。従って、以降において、SOx検出用第2検出値にモニタセル補正値(Km)を乗じた値は、第2電気化学セルがあたかも基準となる第2電気化学セルと同じ特性を有する場合に示すSOx検出用第2検出値と等しくなる。
更に、本発明装置は、内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態である場合に第1及び第2電気化学セルに酸素の限界電流域の下限電圧以上の電圧を印加するか、又は、内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態でない場合に第1及び第2電気化学セルに酸素の限界電流域の電圧を印加する。そして、「そのときの第1電気化学セルの検出値」に対する「そのときの第2電気化学セルの検出値と前記モニタセル補正値(Km)との積」の比をセンサセル補正値(Ks)として求める。発明者の実験によれば、この比(即ち、センサセル補正値(Ks))は、内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態でない場合(即ち、燃料噴射中である場合)において第1及び第2電気化学セルに「酸素の限界電流域よりも高い電圧よりも高い電圧(例えば、水の分解開始電圧以上の電圧)」を印加したときの、「第1電気化学セルの検出値」に対する「そのときの第2電気化学セルの検出値と前記モニタセル補正値(Km)との積」の比にほぼ等しい。従って、以降において、SOx検出用第1検出値にセンサセル補正値(Ks)を乗じた値は、第2電気化学セルがあたかも基準となる第2電気化学セルと同じ特性を有し、且つ、第1電気化学セルがあたかも基準となる第1電気化学セルと同じ特性を有する場合において得られるSOx検出用第1検出値と等しくなる。
そして、本発明装置は、前記SOx検出用第2検出値と前記モニタセル補正値との積と、前記SOx検出用第1検出値と前記センサセル補正値との積と、の差に応じた値に基づいて前記被検ガスの硫黄酸化物の濃度を求める。以上により、本発明装置は、精度良くSOx濃度を検出することができる。
より具体的に述べると、本発明装置は、第1電気化学セル(11c)と、第2電気化学セル(12c)と、緻密体(21a〜21f)と、拡散抵抗部(32)と、を備える素子部(10)を有する。
前記第1電気化学セル(11c)は、酸化物イオン伝導性を有する第1固体電解質体(11s)と、前記第1固体電解質体の表面にそれぞれ形成された第1電極(11a)及び第2電極(11b)と、を含む。
前記第2電気化学セル(12c)は、酸化物イオン伝導性を有する第2固体電解質体(11s)の表面にそれぞれ形成された第3電極(12a)及び第4電極(12b)と、を含む。
更に、前記素子部(10)は、前記第1固体電解質体及び前記第2固体電解質体と前記緻密体と前記拡散抵抗部とにより画定される第1内部空間(31)に前記拡散抵抗部を介して内燃機関の排気が被検ガスとして導入され、前記第1電極及び前記第3電極が前記第1内部空間に露出し且つ前記第2電極及び前記第4電極が前記第1内部空間とは異なる第1別空間(51)に露出するように構成されている。
第2電極が位置する第1別空間と第4電極が位置する第1別空間は、第1内部空間と異なる空間であれば、互いに同一の空間であっても互いに別の空間であってもよい。
加えて、本発明装置は、
前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に電圧を印加する電圧印加部(61、62)と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加したときに前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流値に対応する第1検出値及び前記第3電極と前記第4電極との間に電圧を印加したときに前記第3電極と前記第4電極との間に流れる電流値に対応する第2検出値を取得する取得部(71、72、81)と、
を有する。
前記第1電極は前記第1電極と前記第2電極との間に水の分解開始電圧以上の電圧を印加したときに前記被検ガス中に含まれる水(HO)を分解させることが可能となるように構成されている。
前記第3電極は前記第3電極と前記第4電極との間に水の分解開始電圧以上の電圧を印加したときに、前記被検ガス中に含まれる水(HO)を分解させることが可能となるように構成されている。
更に、前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に水の分解開始電圧以上の同一電圧を印加したとき、前記第3電極による硫黄酸化物(SOx)の分解速度(モニタセル分解速度)が前記第1電極による硫黄酸化物の分解速度(センサセル分解速度)よりも低くなるように構成されている。具体的には、センサセル分解速度に対してモニタセル分解速度は実質的にゼロと見做せる程度の速度であることが望ましい。
加えて、前記取得部は、
前記第1内部空間の前記被検ガスの酸素濃度が特定の一定濃度であると判定した場合に、前記第3電極と前記第4電極との間に酸素の限界電流域の電圧を印加し、そのときの前記第2検出値である検出モニタセル値に対する予め定められた所定の基準出力値の比をモニタセル補正値(Km)として求め(ステップ530乃至ステップ560)、
前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態である場合に酸素の限界電流域の下限電圧以上の電圧を前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に前記電圧印加部を用いて印加する第1電圧印加制御(ステップ640乃至670)、及び、前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態でない場合に酸素の限界電流域の電圧を前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に前記電圧印加部を用いて印加する第2電圧印加制御(図10のステップ730乃至1020)、のうちの少なくとも一方を実行するとともに、
前記第1電圧印加制御及び前記第2電圧印加制御のうちの少なくとも一方が実行されているときの、前記第1検出値に対する、前記第2検出値と前記モニタセル補正値との積の、比をセンサセル補正値(Ks)として求め(ステップ680及びステップ1030)、
前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態でない場合に、前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に水の分解開始電圧以上の電圧を印加するとともに、そのときの前記第1検出値及び前記第2検出値をそれぞれSOx検出用第1検出値及びSOx検出用第2検出値として取得し(図7のステップ730乃至ステップ750)、
前記SOx検出用第2検出値と前記モニタセル補正値との積と、前記SOx検出用第1検出値と前記センサセル補正値との積と、の差に応じた値に基づいて前記被検ガスの硫黄酸化物の濃度を求める(ステップ760乃至ステップ780)。
このように、本発明装置は、モニタセル補正値(Km)を酸素濃度が特定の一定濃度の間(例えばフューエルカット運転中)に第2電気化学セルに酸素の限界電流域の電圧を印加して求める。よって、検出モニタセル値は、被検ガスの水及びSOxの濃度の影響を受けず、第2電気化学セルの固有のポンピング機能に応じた値となる。従って、検出モニタセル値に対する基準出力値の比(=検出モニタセル値/基準出力値)であるモニタセル補正値(Km)は、第2電気化学セルの固有の誤差を精度良く反映した値となる。
更に、本発明装置は、前記第1電圧印加制御及び前記第2電圧印加制御のうちの少なくとも一方が実行されているときの、前記第1検出値に対する、前記第2検出値と前記モニタセル補正値との積の、比(=Km・第1検出値/第2検出値)をセンサセル補正値(Ks)として求める。
更に、前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態でない場合に、第1電気化学セルと第2電気化学セルに水の分解開始電圧以上の電圧を印加して、SOx検出用第1検出値及びSOx検出用第2検出値を取得する。
加えて、本発明装置は、SOx検出用第2検出値とモニタセル補正値との積と、SOx検出用第1検出値とセンサセル補正値との積と、の差(SOx濃度検出用パラメータP)に応じた値に基づいて被検ガスの硫黄酸化物の濃度を検出している。この差(P)は、第1及び第2電気化学セルの固有の誤差を補償した値となる。
従って、本発明装置によれば、被検ガス中に含まれる硫黄酸化物の濃度を精度良く検出することができる。更に、本発明装置は、第1電気化学セルと第2電気化学セルの固有の検出誤差を考慮しない場合と比べて、被検ガス中に含まれる硫黄酸化物の濃度を高い精度で検出することができる。
本発明装置は、
前記第1固体電解質体と前記第2固体電解質体とは同一の共通固体電解質体(11s)であり、
前記素子部は、酸化物イオン伝導性を有する第3固体電解質体(12s)と、前記第3固体電解質体の表面にそれぞれ形成された第5電極(13a)及び第6電極(13b)と、を含む第3電気化学セル(13c)を備え、
前記第1内部空間(31)は、前記共通固体電解質体、前記緻密体(21b)、前記拡散抵抗部(32)及び前記第3固体電解質により画定され、
前記第5電極が前記第1内部空間に露出し且つ前記第6電極が前記第1内部空間とは異なる第2別空間(52)に露出するように構成され、
前記電圧印加部(61〜63)は、前記第5電極と前記第6電極との間にも電圧を印加するように構成され、
前記第5電極及び前記第6電極は、前記第5電極と前記第6電極との間に酸素の限界電流域の電圧を印加したときに前記第1内部空間から酸素(O)を排出する酸素ポンピング機能を発揮するように構成され、
前記取得部は、
前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態であるとき前記第1内部空間の前記被検ガスの酸素濃度が前記特定の一定濃度であると判定し(ステップ530)、
前記モニタセル補正値を求める場合には前記第5電極と前記第6電極との間への前記電圧印加部を用いた電圧の印加を停止して前記酸素ポンピング機能を停止させ、
前記SOx検出用第1検出値及び前記SOx検出用第2検出値を取得する場合には前記電圧印加部より前記第5電極と前記第6電極との間に酸素の限界電流域の電圧を前記電圧印加部を用いて印加させて前記酸素ポンピング機能を発揮させる、ように構成されてもよい。
このように構成すれば、SOx検出用第1検出値及びSOx検出用第2検出値を取得する際に、仮に被検ガス中に含まれる酸素の濃度が変化しても、第3電気化学セルの酸素ポンピング機能により第1内部空間内の酸素の濃度を一定に保持できる。従って、SOx検出用第1検出値及びSOx検出用第2検出値への酸素濃度の変化が及ぼす影響を有効に低減することができる。
そのため、第3電気化学セルによる酸素ポンピングを実行しない場合と比べて、第1電気化学セル及び第2電気化学セルにより被検ガス中の硫黄酸化物濃度をより精度良く検出することができる。
その一方、モニタセル補正値を求める場合には第3電気化学セルによる酸素ポンピング機能が停止される。従って、第1内部空間には十分な量の酸素が存在している状態において検出モニタセル値が求められるので、モニタセル補正値をより精度よく求めることができる。
前記取得部は、
前記第1電圧印加制御を実行して前記センサセル補正値を求めるとともに、前記第1電圧印加制御の実行中に前記第5電極と前記第6電極との間への前記電圧印加部を用いた電圧の印加を停止して前記酸素ポンピング機能を停止させるように構成されてもよい。
前記取得部は、
前記第1内部空間の前記被検ガスの酸素濃度の所定時間における変化量の最大値と最小値との差の大きさが所定変化量閾値以下であるときに前記第2電圧印加制御を実行して前記センサセル補正値を求める、ように構成されてもよい。
このようにすれば、第2電圧印加制御を実行しながら第1検出値及び第2検出値に基づいてセンサセル補正値(Ks)を求めるとき、その第1及び第2検出値への酸素濃度の変化が及ぼす影響を低減できる。よって、センサセル補正値(Ks)をより精度よく求めることが可能になる。
前記取得部は、
前記SOx検出用第2検出値と前記モニタセル補正値との積(Imc)と、前記SOx検出用第1検出値と前記センサセル補正値との積(Isc)と、の差(P)及び前記SOx検出用第2検出値と前記モニタセル補正値との積(Imc)を引数とするルックアップテーブル(2次元マップ)に基づいて記被検ガスの硫黄酸化物の濃度を求めるように構成されてもよい(ステップ760乃至ステップ780)。
このようにすれば、排気ガス中の水の濃度の影響を受けることなく、被検ガス中に含まれる硫黄酸化物の濃度を精度良く検出することができる。
前記第1電極及び前記第3電極は白金(Pt)を含み、
前記第1電極が前記第3電極よりもロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つをより多く含むように構成されてもよい。
ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)はSOxを分解でき、白金(Pt)はSOxを分解できない。従って、第1電極のSOx分解速度を第3電極のSOx分解速度より簡単に大きくできる。
なお、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
(a)は本発明の第1実施形態に係るガス濃度検出装置が備える素子部の構成の一例を示す模式的な断面図であり、(b)は(a)のA−A矢線に沿う断面図である。 第1電気化学セルを構成する第1電極と第2電極との間に印加される電圧(印加電圧)Vm1と、これらの電極間に流れる電極電流Im1との関係を示す模式的なグラフである。 第1電気化学セルに対する印加電圧Vm1が1.0Vであるときの電極電流Im1の大きさと被検ガス中に含まれる二酸化硫黄(SO)の濃度との関係を示す模式的なグラフである。 被検ガスにSOxが含まれていない場合に第1電気化学セル及び第2電気化学セルに水の分解開始電圧以上の同一電圧を印加したときの、水の濃度と電極電流の関係を示す模式的なグラフである。 補正係数(モニタセル補正値)Kmの取得処理ルーチンを示すフローチャートである。 補正係数Ks(センサセル補正値)の取得処理ルーチンを示すフローチャートである。 補正係数Km、Ksを利用した硫黄酸化物の濃度算出処理ルーチンを示すフローチャートである。 SOx濃度算出用2次元マップを示す図である。 水の濃度とSOx濃度検出用パラメータ及び補正第2検出値との関係を示す模式的なグラフである。 本発明の第2実施形態に係る補正係数Ksの取得処理ルーチンを示すフローチャートである。
1.第1実施形態
(構成)
以下、図1乃至図9を参照しながら本発明の第1実施形態に係るガス濃度検出装置(以下、「第1検出装置」と称される場合がある。)について説明する。第1検出装置は、図示を省略した「車両に搭載された内燃機関の排気管」を通るガス中の硫黄酸化物濃度を検出する装置である。
第1検出装置は、図1(a)及び(b)に示すように、素子部10を備える。素子部10は、ポンピングセルである第1電気化学セル11cと、第1電気化学セル11cの近傍に併設されたポンピングセルである第2電気化学セル12cと、を備えている。
素子部10は、固体電解質体11s、固体電解質体12s、第1アルミナ層21a、第2アルミナ層21b、第3アルミナ層21c、第4アルミナ層21d、第5アルミナ層21e及び第6アルミナ層21f、拡散抵抗部(拡散律速層)32並びにヒータ41を備える。固体電解質体11sは、場合により、第1固体電解質体又は第2固体電解質体と称され、固体電解質体12sは第3固体電解質体と称される。
固体電解質体11sは、ジルコニア等を含む酸化物イオン伝導性を有する薄板体である。固体電解質体11sを形成するジルコニアは、例えば、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等の元素を含んでいてもよい。
固体電解質体12sもまた、ジルコニア等を含む酸化物イオン伝導性を有する薄板体である。固体電解質体12sを形成するジルコニアは、例えば、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等の元素を含んでいてもよい。
第1乃至第6アルミナ層21a乃至21fのそれぞれは、アルミナを含みかつガスを透過させない程度に緻密な層(緻密体)である。
拡散抵抗部32は多孔質の拡散律速層である。即ち、拡散抵抗部32はガス透過性の層(薄板体)である。
ヒータ41は、例えば、白金(Pt)とセラミックス(例えば、アルミナ等)とを有する薄板状のサーメットであり、後述するECU81による制御によって図示しない電源の電力が通電されることにより発熱する。
素子部10の各層は、下方から、第5アルミナ層21e、第4アルミナ層21d、第3アルミナ層21c、固体電解質体11s、拡散抵抗部32及び第2アルミナ層21b、固体電解質体12s、第6アルミナ層21f並びに第1アルミナ層21aの順に積層されている。
第1内部空間31は、固体電解質体11s、拡散抵抗部32、第2アルミナ層21b及び固体電解質体12sによって形成される空間である。第1内部空間31の中には、拡散抵抗部32を介して内燃機関の排気が被検ガスとして導入されるようになっている。即ち、第1内部空間31は拡散抵抗部32を介して内燃機関の排気管の内部と連通している。
固体電解質体11s、第3アルミナ層21c及び第4アルミナ層21dによって第1大気導入路51が形成されている。第1大気導入路51は、排気管の外部の大気と連通している。なお、第1大気導入路51は、第1別空間に該当する。
固体電解質体12s、第6アルミナ層21f及び第1アルミナ層21aによって第2大気導入路52が画定されている。第2大気導入路52は、排気管の外部の大気と連通している。なお、第2大気導入路52は、第2別空間に該当する。
第1電気化学セル11cは、固体電解質体11sと、第1電極11aと、第2電極11bと、を備えている。第1電気化学セル11cは、ヒータ41により活性化温度まで加熱される。
陰極である第1電極11aは、固体電解質体11sの一方の側の表面(具体的には、第1内部空間31を画定する固体電解質体11sの表面)に固着されている。第1電極11aは、白金(Pt)とロジウム(Rh)との合金を主成分として含む多孔質サーメット電極である。第1電極11aはパラジウム(Pd)を含んでいてもよい。
陽極である第2電極11bは、固体電解質体11sを挟んで第1電極11aに対向するように、固体電解質体11sの他方の側の表面(具体的には、第1大気導入路51を画定する固体電解質体11sの表面)に固着されている。第2電極11bは、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。第2電極11bは、ロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)のいずれも含んでいない。
固体電解質体11s、固体電解質体12s及び第1乃至第6アルミナ層21a〜21fの各層は、例えばドクターブレード法、押し出し成形法等により、シート状に成形することができる。第1電極11a及び第2電極11b並びにこれらの電極に通電するための配線等は、例えばスクリーン印刷法等によって形成することができる。これらのシートを上述したように積層して焼成することにより、上記構造を有する素子部10を一体的に製造することができる。
第1検出装置は、更に、電源61、電流計71及びECU81(電子制御ユニット、コントローラ)を備える。電源61及び電流計71はECU81に接続されている。
電源61は、第1電極11aと第2電極11bとの間に第2電極11bの電位が第1電極11aの電位よりも高くなるように所定の電圧を印加できるようになっている。電源61の作動はECU81により制御される。
電流計71は、第1電極11aと第2電極11bとの間に流れる電流(従って、第1電気化学セル11cの固体電解質体11sを流れる電流)である電極電流の大きさを計測する。
ECU81は、CPU、CPUが実行するプログラム及びマップ等を記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM並びにバックアップRAM等を含むマイクロコンピュータである(何れも図示せず)。周知のようにバックアップRAMは、車両が運転を停止している間も記憶したデータを保存し続ける。ECU81は、第1電極11aと第2電極11bとの間に印加される印加電圧Vm1を電源61を用いて制御することができる。更に、電流計71は第1電気化学セル11cを流れる電極電流Im1を取得し、取得した情報をECU81へ出力する。即ち、電流計71及びECU81は取得部を構成している。
更に、ECU81は、内燃機関の図示しないアクチュエータ(燃料噴射弁、スロットル弁及びEGR弁等)に接続されている。ECU81は、これらのアクチュエータに駆動(指示)信号を送出し、内燃機関を制御するようになっている。
第2電気化学セル12cは、第1電気化学セル11cと共有の固体電解質体11sと、固体電解質体11sの表面に設けられた一対の電極である第3電極12a及び第4電極12bと、を有する。第2電気化学セル12cも、ヒータ41により活性化温度まで加熱される。
陰極である第3電極12aは第1内部空間31に面するように配設されている。第3電極12aは第1電極11aの近傍に設けられている。即ち、第1内部空間31に被検ガスが到達するとき、第1電極11aに接触する被検ガス及び第3電極12aに接触する被検ガスのそれぞれに含まれる酸素、水及び硫黄酸化物(SOx)の濃度は互いに等しい。第3電極12aは、白金(Pt)と金(Au)との合金を主成分として含む多孔質サーメット電極である。第3電極12aは、ロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)のいずれも含んでいない。
なお、第3電極12aを、ロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)のいずれか一つを含有するように構成してもよいが、その場合は第1電極11aよりも含有量を少なくする。但し、第3電極12aは、ロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)のいずれも含まない方が好ましい。
陽極である第4電極12bは、固体電解質体11sを挟んで第3電極12aに対向するように、第1大気導入路51に面するように配設されている。第4電極12bは、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。第4電極12bは、ロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)のいずれも含んでいない。
第3電極12aは、「第3電極12aと第4電極12bとの間に印加される電圧であって水の分解開始電圧以上の電圧」が「第1電極11aと第2電極11bとの間に印加される電圧」と等しい場合であっても、第1電極11aと比較して、SOxの分解速度が極めて低くなるように作製されている。具体的には、第3電極12aにおいてSOxが分解される速度は実質的に0(ゼロ)である。
第1検出装置は、更に、何れもがECU81に接続されている「電源62及び電流計72」を備える。
電源62は、第3電極12aと第4電極12bとの間に、第4電極12bの電位が第3電極12aの電位よりも高くなるように所定の電圧を印加できるようになっている。電源62の作動はECU81により制御される。
電流計72は、第3電極12aと第4電極12bとの間に流れる電流(従って、第2電気化学セル12cの固体電解質体11sを流れる電流)である電極電流を計測する。
ECU81は、第3電極12aと第4電極12bとの間に印加される印加電圧Vm2を電源62を用いて制御することができる。更に、電流計72は第2電気化学セル12cを流れる電極電流Im2を取得し、取得した情報をECU81へ出力する。
即ち、電流計72及びECU81は取得部を構成している。
図1(a)に示すように、素子部10は、「第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12c」の上流側(拡散抵抗部32側)に配設されたポンピングセルである第3電気化学セル13cを更に備える。換言すると、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cは、第3電気化学セル13cから同じ距離だけ下流側に離れた位置に配設されている。後述するように、第3電気化学セル13cは酸素ポンピング機能(作用)を発揮することにより第1空間31内の酸素を大気中に排出する。
第3電気化学セル13cは、固体電解質体12sと、第5電極13aと、第6電極13bと、を備えている。第3電気化学セル13cも、ヒータ41により活性化温度まで加熱される。
第5電極13aは、固体電解質体12sの一方の側の表面(具体的には、第1内部空間31を画定する固体電解質体12sの表面)に固着されている。第5電極13aは、第1電極11a及び第3電極12aよりも拡散抵抗部32により近い位置に配設されている。第5電極13aは、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。第5電極13aは、ロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)のいずれも含んでいない。
第6電極13bは、固体電解質体12sを挟んで第5電極13aに対向するように、固体電解質体12sの他方の側の表面(具体的には、第2大気導入路52を画定する固体電解質体12sの表面)に固着されている。第6電極13bもまた、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。第6電極13bは、ロジウム(Rh)とパラジウム(Pd)のいずれも含んでいない。
第1検出装置は、更に、何れもがECU81に接続されている「電源63及び電流計73」を備える。
電源63は、第5電極13aと第6電極13bとの間に、第5電極13a及び第6電極13bのうちの何れか一方が他方に対して高い電位を有するように電圧を印加できるようになっている。電源63の作動はECU81により制御される。即ち、ECU81は、第5電極13a及び第6電極13bに印加される印加電圧Vm3を制御することができる。
電流計73は、第5電極13aと第6電極13bとの間に流れる電流(従って、第3電気化学セル12cの固体電解質体12sを流れる電流)である電極電流Im3を計測して、その計測値をECU81に出力するようになっている。
即ち、電流計73及びECU81は取得部を構成している。
<第1電気化学セル11cの作用>
続いて第1電気化学セル11cの作用について説明する。
第1電気化学セル11cにおいて、第1電極11aと第2電極11bとの間に、第2電極11bの電位が第1電極11aの電位よりも高くなるように水の分解開始電圧以上の電圧(例えば1.0V)が印加される。これにより、被検ガス中に含まれる水のみならず、被検ガス中に含まれるSOxも第1電極11aにおいて分解され、第1電極11aと第2電極11bとの間に電極電流が流れる。SOxの分解生成物(例えば、硫黄又は硫黄化合物)は第1電極11aに吸着し、このSOxの分解生成物が水の分解に寄与することができる第1電極11aの面積を減少させると考えられる。そして、この第1電極11aに吸着するSOxの分解生成物はある割合で第1電極11aから離脱する。その結果、第1電極11aに吸着しているSOxの分解生成物の量は、被検ガスに含まれるSOxの濃度が高いほど多くなる。そのため、酸素及び水の濃度が一定である場合、第1電極11aと第2電極11bとの間に水の分解開始電圧以上の電圧を印加したときの第1電気化学セル11cの電極電流Im1は、被検ガス中に含まれるSOxの濃度に応じて変化する(SOxの濃度が高いほど電極電流Im1は小さくなる。)。なお、第1電気化学セル11に電圧が印加されたときの電極電流Im1の値を、以下「第1検出値」と称する場合がある。
ここで、第1電気化学セル11cの第1電極11aと第2電極11bとの間に印加される電圧(印加電圧Vm1)と第1電極11aと第2電極11bとの間を流れる電流(電極電流Im1)との関係について更に具体的に説明する。
図2は、第1電気化学セル11cに対する印加電圧Vm1を徐々に上昇させた(昇圧スイープした)ときの印加電圧Vm1と電極電流Im1との関係を示す模式的なグラフである。なお、この例においては、被検ガス中に含まれるSOxとしての二酸化硫黄(SO)の濃度がそれぞれ0、100、300及び500ppmである異なる4種の被検ガスを使用した。但し、被検ガス中に含まれる酸素及び水の濃度は何れの被検ガスにおいても一定に維持されている。更に、この例においては、酸素の限界電流値を0(ゼロ)μAとして表示した。
先ず、実線の曲線L1は、被検ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度が0(ゼロ)ppmである場合における印加電圧Vm1と電極電流Im1との関係を示している。印加電圧Vmが約0.2V未満である領域においては、印加電圧Vm1の増大に伴い、電極電流Im1もまた増大している。この領域においては、印加電圧Vm1の増大に伴って第1電極11a(陰極)における酸素の分解速度もまた増大している。しかしながら、印加電圧Vm1が約0.2V以上である領域においては、印加電圧Vm1が増大しても電極電流Im1は殆ど増大せず、略一定となっている。即ち、前述した酸素の限界電流特性が発現している。その後、印加電圧Vm1が約0.6V以上となると、電極電流Im1が再び増大し始める。この電極電流Im1の増大は、第1電極11aにおける水の分解が始まったことに起因する。その後、電極電流Im1は印加電圧Vm1が0.6V以上の範囲において大きくなる程大きくなる。
次に、点線の曲線L2は、被検ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度が100ppmである場合における印加電圧Vm1と電極電流Im1との関係を示している。この場合も、印加電圧Vm1が第1電極11aにおける水の分解が始まる電圧(分解開始電圧)(約0.6V)未満であるときには、印加電圧Vm1と電極電流Im1との関係は曲線L1と同様である。しかしながら、印加電圧Vm1が水の分解開始電圧(約0.6V)以上であるときには、曲線L2により示される電極電流Im1は曲線L1により示される電極電流Im1よりも小さい。即ち、水の分解開始電圧以上の電圧が印加されたとき、曲線L2により示される電極電流Im1の印加電圧Vm1に対する増加率は、曲線L1により示される電極電流Im1の印加電圧Vm1に対する増加率よりも小さい(傾きが小さい)。
更に、一点鎖線及び破線によって表される曲線L3及びL4は、被検ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度がそれぞれ300ppm及び500ppmである場合における印加電圧Vm1と電極電流Im1との関係を示している。これらの場合もまた、印加電圧Vm1が第1電極11aにおける水の分解開始電圧(約0.6V)未満であるときには、印加電圧Vm1と電極電流Im1との関係は曲線L1により示されたそれらの関係と同様である。しかしながら、印加電圧Vm1が第1電極11aにおける水の分解開始電圧(約0.6V)以上であるときには、被検ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度が高いほど電極電流Im1が小さくなる。即ち、水の分解開始電圧以上の電圧が印加されたとき、曲線L4により示される電極電流Im1の印加電圧Vm1に対する増加率は、曲線L3により示される電極電流Im1の印加電圧Vm1に対する増加率よりも小さい(傾きが小さい)。更に、曲線L3により示される電極電流Im1の印加電圧Vm1に対する増加率は、曲線L2により示される電極電流Im1の印加電圧Vm1に対する増加率よりも小さい(傾きが小さい)。
以上のように、印加電圧Vm1が第1電極11aにおける水の分解開始電圧以上であるときの電極電流Im1の大きさは、被検ガス中に含まれるSOxとしての二酸化硫黄の濃度に応じて変化する。例えば、図2に示したグラフにおける印加電圧Vm1が1.0Vであるときの曲線L1乃至L4により示された電極電流Im1の大きさを被検ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度に対してプロットすると、図3に示したグラフが得られる。図3において点線の曲線によって表されているように、水の分解開始電圧以上の特定の電圧である印加電圧Vm1(この場合は1.0V)に対する電極電流Im1の大きさは、被検ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度に応じて変化する(二酸化硫黄の濃度が高いほど小さくなる。)。従って、印加電圧Vm1を水の分解開始電圧以上の電圧に設定したときの電極電流Im1を取得すれば、被検ガス中に含まれる酸素及び水の濃度が既知である場合、その電極電流Im1(即ち、第1検出値)に基づいてSOxの濃度を取得することができる。
従って、第1検出装置は、酸素濃度及び水の濃度が一定であれば、第1電気化学セル11cの第1検出値のみに基づいて被検ガス中に含まれるSOxの濃度を検出可能である。このように第1電気化学セル11cは、被検ガス中に含まれるSOxの濃度を取得するセンサとして使用されるので、「センサセル」と称される場合がある。
なお、図2に示されているグラフの横軸に示されている印加電圧Vm1、縦軸に示されている電極電流Im1及び上記説明において述べられている印加電圧Vm1等の個々の具体的な値は、実験の条件(例えば、被検ガス中に含まれる各種成分の濃度、電極組成、電極面積等)によって変動することがある。
<第2電気化学セル12cの作用>
続いて第2電気化学セル12cの作用について説明する。
上述のように第1電気化学セル11cのみによっても、被検ガス中に含まれるSOxの濃度を検出できる。しかし第1電気化学セル11cの検出結果に加えて第2電気化学セル12cの検出結果を利用すれば、以下に述べるように、被検ガス中のSOxの濃度をより精度良く検出することができる。
上述しように第2電気化学セル12cは、第1電気化学セル11cに対する印加電圧と同値である水の分解開始電圧以上の印加電圧(例えば1.0V)が印加されたとき、被検ガス中に含まれるSOxを第1電気化学セル11cよりも極めて低い速度で分解する。具体的には、第3電極12aにおいてSOxが分解される速度(第2分解速度、モニタセル分解速度)は、第1電極11aにおいてSOxが分解される速度(第1分解速度、センサセル分解速度)よりも極めて低く、実質的に0(ゼロ)である。即ち、第2電気化学セル12cの電極電流に対応する検出値である第2検出値は、水の分解に起因する電流の値を主として含むが、SOxの分解生成物による影響を受けない。従って、第1電気化学セル11cの電極電流に対応する第1検出値と第2電気化学セル12cの電極電流に対応する第2検出値との差Δを取得することにより、被検ガス中に含まれる水の濃度変動の影響を低減することができる。換言すると、差ΔはSOx濃度に対して高い感度を有する。従って、第2電気化学セル12cは水の濃度を監視する機能を有するので、「モニタセル12c」と称される場合がある。
以上から理解されるように、第1検出装置は、原理的には以下に述べるステップを実施することにより、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cを利用して被検ガス中に含まれるSOxの濃度を検出する。
(1)第1検出装置は、印加電圧Vm1(第1電極11aと第2電極11bとの間の電圧)及び第2印加電圧Vm2(第3電極12aと第4電極12bとの間の電圧)を水の分解開始電圧以上の電圧に設定する。なお、印加電圧Vm1と印加電圧Vm2とは互いに等しいことが望ましい。
(2)第1検出装置は、このときの第1電気化学セル11cの電極電流Im1(第1検出値)と、第2電気化学セル12cの電極電流Im2(第2検出値)と、の差Δ(Δ=Im2−Im1)をECU81によって取得する。この差Δは、SOx濃度検出用パラメータとも称される場合がある。なお、実際には、後述するように電極電流Im1及びIm2はそれぞれ補正された後、差Δが求められる。
(3)第1検出装置は、この差Δと予め記憶しておいた「差ΔとSOx濃度の相関関係を示すデータ」との関係に基づいて被検ガス中に含まれるSOxの濃度を検出する。なお、実際には、第1検出装置は差Δ及び電極電流Im2を用いてSOx濃度を検出する。
この検出方法によれば、被検ガス中に含まれる水の濃度変動の影響を低減することができるので、第1電気化学セル11cのみを利用する場合に比べ、被検ガス中のSOxの濃度をより精度良く検出することができる。但し、後述するように、第1検出値及び第2検出値は個体差による影響を低減するように補正され、それらの補正された値(補正第1検出値及び補正第2検出値)に基づいてSOx濃度が検出されるのが好ましい。
<第3電気化学セル13cの作用>
続いて第3電気化学セル13cの作用について説明する。
内燃機関から排出される排気中に含まれる酸素の濃度は、例えば、当該内燃機関の燃焼室において燃焼される混合気の空燃比(A/F)に応じて様々に変化する。被検ガス中に含まれる酸素の濃度が変化すると、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cが備える電極間に流れる電流の大きさも変化する。被検ガスは内燃機関の排気であるので酸素濃度の変動はSOx濃度の変動に比べて極めて大きい。従って、酸素濃度の変動は、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cを用いたSOx濃度の検出精度を大きく低下させる虞がある。そこで、第1検出装置は、SOx濃度を検出する際、第3電気化学セル13cの酸素ポンピング作用を用いて、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに到達する酸素の濃度を極めて小さい濃度(実質的にゼロ)にする。第3電気化学セル13cは「酸素ポンピングセル」と称される場合がある。
より具体的には、第1検出装置においては、第3電気化学セル13cの第5電極13aと第6電極13bとの間に、第5電極13a及び第6電極13bがそれぞれ陰極及び陽極となるように、酸素の限界電流流域の電圧を印加する。これにより第1内部空間31から第2大気導入路52へと酸素が排出される。その結果、被検ガス中に含まれる酸素の濃度が変化しても、第3電気化学セル13cにより第1内部空間31から酸素を排出することによって、第1内部空間31内の酸素の濃度を低くしかつ一定に保持できる。本実施形態では、第3電気化学セル13cによって第1内部空間31内の酸素の濃度を概ね0(ゼロ)ppmに調整する。
従って、第1検出装置は、「被検ガス中に含まれる酸素の濃度が、第1検出値及び第2検出値へ及ぼす影響」を低減することができる。その結果、第3電気化学セル13cによる酸素ポンピングを実行しない場合と比べて、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cを用いて、被検ガス中のSOx濃度をより精度良く検出することができる。
なお、第1電気化学セル11c、第2電気化学セル12c及び第3電気化学セル13cは空燃比センサとしても利用することができる。即ち、何れか1つの電気化学セルの電極間に酸素の限界電流域に該当する電圧を印加し、そのときの電極電流に対応する検出値に基づいて内燃機関の排気中に含まれる酸素の濃度を検出できる。そして検出された排気中の酸素濃度に基づいて、内燃機関の燃焼室における混合気の空燃比を検出することができる。第1検出装置は、第3電気化学セル13cを空燃比センサとして利用する。
<第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cの個体差の補正>
ところで、上述したように、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cの検出結果(第1検出値及び第2検出値)を利用すれば、理論上は、被検ガス中のSOxの濃度を高精度に検出できるはずである。しかし、第1電気化学セル11c及び/又は第2電気化学セル12cは、製造上の個体差を有し、更には、出力特性が経時変化する。従って、第1電気化学セル11c及び/又は第2電気化学セル12cの固有の検出誤差が大きい場合、当然ながら被検ガス中のSOxの濃度を高精度に検出することはできない。そこで、第1検出装置は、以下の方法によって、第1電気化学セル11c固有の検出誤差及び第2電気化学セル12c固有の検出誤差をそれぞれ補正する。
<<第2電気化学セル固有の検出誤差の補正係数Kmの算出>>
まず、第2電気化学セル(モニタセル)12cの固有の検出誤差の補正方法について説明する。以下において、「第2電気化学セル12cの固有の検出誤差」とは、第2電気化学セル12cの検出値と基準電気化学セルの検出値との差を意味する。基準電気化学セルは、例えば、第2電気化学セル12cと同一仕様でありかつこの仕様の電気化学セルとしての標準性能を発揮可能な電気化学セルである。即ち、例えば、「設計値通りに製造され且つ設計上期待される設計中央出力特性を有する第2電気化学セル12c」と同一仕様の電気化学セルが基準電気化学セルとして利用される。
そして、同じ被検ガス中に配置された「基準電気化学セル及び第2電気化学セル12c」に同一電圧を印加したときの、両者の電極電流(検出値)の差が「第2電気化学セル12c固有の検出誤差」である。第1検出装置は、この検出誤差がなくなるように、第2電気化学セル12cの第2検出値を補正するための補正係数(モニタセル補正値)Kmを以下のようにして求める。なお、以降、基準電気化学セルの検出値と比較されるときの第2電気化学セル12cの検出値(第2検出値)を「検出モニタセル値」と称し、基準電気化学セルの電極電流に対応する検出値を「基準セル値」と称する。
第1検出装置は、内燃機関の運転状態がフューエルカット(以下、「F/C」と称する)運転状態にあるとき、第2電気化学セル12cに対する印加電圧Vm2を「酸素の限界電流域内の特定電圧Vms(例えば、0.4V)」に設定した上で検出モニタセル値Im2を取得する。大気の酸素濃度は約20パーセントであるから、内燃機関の運転状態がF/C状態にある場合、第1内部空間31内の被検ガスの酸素濃度も約20パーセントに(即ち、特定の一定濃度)保持される。一方、印加電圧Vmsは「酸素の限界電流域内の電圧」であるから、水の分解開始電圧よりも小さい。よって、検出モニタセル値Im2は、大気の水の濃度に影響を受けず、大気の酸素濃度に対する限界電流値となる。なお、第2電気化学セル12cの温度は所定の特定活性温度に維持しておく。
一方、基準セル値Istを以下の方法によって予め所得し、第1検出装置のECU81内のROMに記憶させておく。即ち、内燃機関の排気管に「基準電気化学セルを有する素子部10」を配設する。更に、基準電気化学セルの温度を上記特定活性温度に維持した状態において、内燃機関の運転状態をF/C運転状態に設定する。そして、その基準電気化学セルに対する印加電圧を上記「酸素の限界電流域内の特定電圧Vms」に設定した上で基準セル値Istを取得する。基準セル値Istは、検出モニタセル値Im2と同様、大気の水の濃度に影響を受けず、大気の酸素濃度に対する限界電流値となる。
よって、検出モニタセル値Im2と基準セル値Istとの差D1は、「第2電気化学セル12c固有の検出誤差」に応じた値となる。そこで、第1検出装置は、下記の(1)式を満足する補正係数Kmを求める。補正係数Kmは「モニタセル補正値」とも称される。

(検出モニタセル値Im2)・Km=基準セル値Ist ・・・(1)
第1検出装置は、SOx濃度検出時において、第2検出値に補正係数Kmを乗じた値を補正第2検出値として取得する。第1検出装置は、この補正第2検出値を用いてSOx濃度を検出する。補正第2検出値は、第2電気化学セル12cが基準電気化学セルと同じ特性を有する場合に得られる第2検出値と実質的に等しくなる。
<<第1電気化学セル固有の検出誤差の補正係数Ksの算出>>
次に、第1電気化学セル(センサセル)11c固有の検出誤差の補正方法について説明する。
第1検出装置は、補正係数Kmを取得した後、内燃機関の運転状態がF/C運転状態にあるとき、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに「水の分解開始電圧以上の同一電圧(例えば1.0V)」を印加する。この電圧制御は、便宜上「第1電圧印加制御」と称される。
第1検出装置は、この状態において、第1電気化学セル11cの電極電流に対応する第1検出値Im1と、第2電気化学セル12cの電極電流に対応する第2検出値Im2と、を取得する。なお、以降において、このときの第1電気化学セル11cの第1検出値Im1を「Ks算出用センサセル値Isks」と称し、第2電気化学セル12cの第2検出値Im2を「Ks算出用モニタセル値Imks」と称する場合がある。そして、第1検出装置は、下記の(2)式を満足する補正係数(センサセル補正値)Ksを求める。

Imks・Km=Isks・Ks ・・・(2)
第1検出装置は、SOx濃度検出時において、第1検出値に補正係数Ksを乗じることにより補正第1検出値を取得する。この補正第1検出値は、第2電気化学セル12c(モニタセル)が基準電気化学セルであり、且つ、第1電気化学セル(センサセル)11cがセンサセルとして理想的な特性(設計上の中央特定)を有する場合に得られる第1検出値と実質的に等しくなる。よって、第1検出装置は、前述の補正第2検出値及びこの補正第1検出値を用いてSOx濃度の検出を行う。
ところで、第1検出装置において、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cを用いてSOx濃度が検出されるとき、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cには水の分解開始電圧以上の電圧が印加され、その結果、それらは水を分解する。そのため、補正係数Ksを求める場合に、水の分解開始電圧以上の同一電圧を第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに印加することにより、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cをSOx濃度検出時と似た状況におくことが可能になる。換言すると、水の分解が発生しない印加電圧(例えば酸素の限界電流域の電圧)を第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに印加する場合は、SOx濃度検出時と乖離した環境下で「第1電気化学セル(センサセル)11c固有の検出誤差を補正するための補正係数Ks」を求めることになってしまう。従って、上述したように、第1検出装置は、補正係数Ksを求める際、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに「水の分解開始電圧以上の同一電圧」を印加する。
更に、水の分解開始電圧以上の電圧を第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに印加したときの、SOxの分解に起因する両セル11c、12cの電極電流は、水の分解に起因する電極電流と比べて極めて小さい。従って、内燃機関の運転状態がF/C運転状態にあるとき(つまり、SOxが第1内部空間31内に流入しないとき)であっても、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに対して水の分解開始電圧以上の同一電圧を印加して第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cの電極電流を取得し、その電極電流に基づいて上述したように補正係数Ksを算出すれば、その補正係数Ksは第1検出装置が実際にSOx濃度を検出するときにも有効な(補正精度の高い)補正係数となる。
但し、補正係数Ksを求める際に、酸素の限界電流域の下限電圧(例えば0.2V)以上の電圧(例えば、酸素の限界電流域の電圧である0.4V)を印加してもよく、この場合も相応の精度で補正係数Ksを求めることが可能である。
なお、上述したように、補正係数Kmは第2電気化学セル12cに水の分解開始電圧より小さい電圧(例えば0.4V)を印加したときの、第2電気化学セル12cの電極電流を利用して求めた係数である。よって、補正係数Kmを求めるときの第2電気化学セル12cに対する印加電圧と、補正係数Ksを求めるときの第2電気化学セル12cに対する印加電圧の大きさは異なる。
しかし、発明者の検討によれば、例えば印加電圧が0.4Vのときの比=(第1電気化学セル11cの検出値/第2電気化学セル12cの検出値)の大きさと、印加電圧が1.0Vのときの比=(第1電気化学セル11cの検出値/第2電気化学セル12cの検出値)の大きさはほぼ同一である。即ち、印加電圧が酸素の限界電流域の下限電圧以上の場合は、印加電圧の大きさに拘わらず比=(第1電気化学セル11cの検出値/第2電気化学セル12cの検出値)の大きさは略一定の値になる。
そのため補正係数Kmを利用して求めた補正係数Ksは、第2電気化学セル12cの検出誤差を精度良く補償する係数であると言える。
なお、F/C運転中であること、及び、第3電気化学セル13cによる酸素ポンピングを実行すること、によっても第1内部空間31に位置する被検ガス中の水の濃度を一定にすることは出来ない。即ち、補正係数Ksを求めるときの第1内部空間31に位置する被検ガス中の水の濃度は変化する可能性がある。
しかし、発明者の実験によれば、図4に示したように、水の濃度が変わった場合であっても、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに水の分解開始電圧以上の同一電圧を印加したときの比=(第1電気化学セル11cの検出値/第2電気化学セル12cの検出値)の値は略一定であることが判明した。従って、補正係数Ksを求める場合とSOx濃度を検出場合とにおいて第1内部空間31に位置する被検ガス中の水の濃度が相違しても、補正係数KsはSOx濃度検出時の第1電気化学セル11cの検出値を精度よく補正することが可能である。
そして、第1検出装置は、SOx検出時の第1電気化学セル11cの第1検出値(SOx検出用第1検出値)を補正係数Ksにより補正した値と、SOx検出時の第2電気化学セル12cの第2検出値(SOx検出用第2検出値)を補正係数Kmにより補正した値と、に基づいてSOx濃度を求める。
(実際の作動)
続いて、第1検出装置のECU81(実際には、CPU)が実行する「SOx濃度取得処理ルーチン」について図5乃至図7のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。
前述した内燃機関が搭載された車両の図示しないイグニッション・キー・スイッチが操作されることにより内燃機関が運転を開始すると、ECU81は所定時間が経過する毎に図5のフローチャートにより示したルーチンを繰り返し実行するようになっている。
なお、空燃比センサとしても機能する第3電気化学セル13cは、内燃機関が運転されている期間において、所定時間の経過毎に第1内部空間31中の酸素濃度を検出し、その検出された酸素濃度をECU81に送信するようになっている。ECU81は、その信号に基づいて排ガスの空燃比を検出するようになっている。
ECU81はステップ500にて処理を開始すると、ステップ510にて「今回の内燃機関の始動後において補正係数Kmを新たに算出したか否か」を判定する。今回の内燃機関の始動後において補正係数Kmが新たに算出されていなければ、ECU81はステップ510にて「No」と判定してステップ520に進む。
ECU81はステップ520にて、内燃機関の図示しない水温センサにより検出される冷却水温に基づいて「内燃機関の暖機が終了しているか否か」を判定するとともに、素子部10のヒータ41近傍に設けた図示しない温度センサからの情報に基づいて「第1〜第3電気化学セル11c、12c、13cの全てが活性しているか否か」を判定する。なお、温度センサからの情報に代え、ECU81は固体電解質体11s及び固体電解質体12sのインピーダンスを検出し、それらのインピーダンスに基づいて「第1〜第3電気化学セルが活性しているか否か」を判定してもよい。
ECU81は、ステップ520にて「Yes」と判定した場合、ステップ530においてF/C運転が行われているか否かを判定する。より具体的には、ECU81は、「F/C運転が開始されてから所定時間(例えば3秒)が経過し且つ現在もF/C運転中か否か」を判定する。このステップ530により、ECU81は第1内部空間31内の被検ガスの酸素濃度が特定の一定濃度であるか否かを判定している。なお、ECU81は図示しないエンジン制御ルーチンを実行することにより、車両が減速状態にある場合に燃料噴射弁からの燃料噴射を停止するF/C運転を行うようになっている。このステップ530の条件(以下、「F/C運転実行中条件」と称する。)が満たされていると判定される場合、素子部10には排気管を通して大気が到達しているので、第1内部空間31に流入する被検ガス中にはSOxは含まれていないと推測できる。
ECU81は、FC実行中条件が成立していると判定した場合、ステップ530において更に「第1電気化学セル11c、第2電気化学セル12c及び第3電気化学セル13cのそれぞれの温度が所定の適正温度範囲内にあるか否か」を、前記温度センサの情報(又は、前記インピーダンス)に基づいて判定する。適正温度範囲とは、例えば、基準電気化学セルを用いて前述した「基準セル値」を取得する際の基準電気化学セルの固体電解質の温度を含む範囲である。
「第1電気化学セル11c、第2電気化学セル12c及び第3電気化学セル13cのそれぞれの温度が所定の適正温度範囲内にある」と判定される場合、ECU81はステップ530にて「Yes」と判定し、ステップ540に進んで第3電気化学セル(酸素ポンピングセル)13cに対する電圧の印加を停止し、それにより、第3電気化学セル13cによる酸素ポンピング機能を停止させる。その結果、第1内部空間31に流れる被検ガスの酸素濃度は大気と同じ約20パーセント(特定の一定濃度)に保持される。なお、この場合、第3電気化学セル13cによる空燃比センサとしての動作も一時的に停止される。
続いてECU81はステップ550にて、第2電気化学セル(モニタセル)12cに対して酸素の限界電流域の電圧である0.4Vを印加する。
続いてECU81はステップ560にて、第2電気化学セル12cの検出値(第2検出値)を検出モニタセル値Im2として取得する。更に、ECU81はステップ560にて、予めROMに記憶させてある「酸素濃度が20%の環境下で取得した基準電気化学セルの検出値(基準セル値Ist)」と、検出モニタセル値Im2と、を上記(1)式に適用することにより、補正係数Km(=Im2/Ist)を算出する。そしてECU81は、取得した補正係数KmをバックアップRAMに記憶させる。なお、既にバックアップRAMに補正係数Kmが記憶されている場合には、その補正係数Kmは今回取得した補正係数Kmへと上書きされる。また、このとき、既にバックアップRAMに記憶されている補正係数Kmと今回取得した補正係数Kmとの平均値が、新たな補正係数KmとしてバックアップRAMに記憶されてもよい。加えて、このステップにおいて補正係数Kmを算出する際に用いられる検出モニタセル値Im2は、今回の機関始動後において今回を含む複数回にわたって取得された検出モニタセル値Im2の平均値であってもよい。
続いてECU81はステップ570に進み、「第3電気化学セル(酸素ポンピングセル)13cに対して電圧を印加し、それにより、第3電気化学セル13cに酸素ポンピング機能を発揮させる。その後、ECU81はステップ595にて本ルーチンを一旦終了する。
一方、ECU81はステップ510にて「YES」と判定した場合、或いはステップ520及びステップ530の何れかのステップにおいて「No」と判定した場合、それぞれのステップからステップ570に直接進み、その後、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
更に、ECU81は所定時間が経過する毎に図6のフローチャートにより示したルーチンを繰り返し実行するようになっている。
ECU81はステップ600にて処理を開始すると、ステップ610にて「今回の内燃機関の始動後において補正係数Kmを新たに算出したか否か」を判定する。今回の内燃機関の始動後において補正係数Kmが新たに算出されていれば、ECU81はステップ610にて「Yes」と判定してステップ620に進む。
ECU81はステップ620にて「今回の内燃機関の始動後において補正係数Ksを新たに算出したか否か」を判定する。今回の内燃機関の始動後において補正係数Ksが新たに算出されていなければ、ECU81はステップ620にて「No」と判定してステップ630に進む。
ステップ630及びステップ640は、先に説明したステップ520及びステップ530のそれぞれと同じ処理を行うステップである。ECU81はステップ630にて「Yes」と判定した場合にはステップ640に進み、ステップ640にて「Yes」と判定した場合にはステップ650に進む。
ECU81はステップ650にて、第3電気化学セル(ポンピングセル)13cが酸素ポンピングを実行しているか否か(酸素ポンピング機能を発揮しているか否か)を判定する。ECU81がステップ650にて「Yes」と判定したとき、ECU81はステップ660に進んで「第3電気化学セル(酸素ポンピングセル)13cに対する電圧の印加を停止し、それにより、第3電気化学セル13cによる酸素ポンピング動作を停止させる。その後、ECU81はステップ670に進む。これに対し、ECU81はステップ650にて「No」と判定したとき、ECU81はステップ670へ直接進む。
ECU81はステップ670にて、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cへ水の分解開始電圧以上の電圧である1.0Vを印加する。なお、ECU81はステップ670において、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cへ「酸素の限界電流域の電圧(例えば0.4V)」を印加してもよい。
その後、ECU81はステップ680にて、第1電気化学セル11cの検出値(第1検出値)をKs算出用センサセル値Isksとして取得するとともに、第2電気化学セル12cの検出値(第2検出値)をKs算出用モニタセル値Imksとして取得する。更に、ECU81は、ステップ680にて、バックアップRAMに記憶されている補正係数Km、Ks算出用センサセル値Isks及びKs算出用モニタセル値Imksを上記(2)式に適用することにより、補正係数Ks(=Imks・Km/Isks)を算出する。そしてECU81は、取得した補正係数KsをバックアップRAMに記憶させる。
なお、既にバックアップRAMに補正係数Ksが記憶されている場合には、その補正係数Ksは今回取得した補正係数Ksへと上書きされる。また、このとき、既にバックアップRAMに記憶されている補正係数Ksと今回取得した補正係数Ksとの平均値が、新たな補正係数KsとしてバックアップRAMに記憶されてもよい。加えて、このステップにおいて補正係数Ksを算出する際に用いられる「Ks算出用センサセル値Isks及びKs算出用モニタセル値Imks」は、今回の機関始動後において今回を含む複数回にわたって取得された「Ks算出用センサセル値Isks及びKs算出用モニタセル値Imks」のそれぞれの平均値であってもよい。
続いてECU81はステップ690に進み、「第3電気化学セル(酸素ポンピングセル)13cに対して電圧を印加し、それにより、第3電気化学セル13cに酸素ポンピング機能を発揮させる。その後、ECU81はステップ695にて本ルーチンを一旦終了する。
一方、ECU81はステップ610、ステップ630及びステップ640の何れかのステップにおいて「No」と判定した場合、及び、ステップ620にて「Yes」と判定した場合、それぞれのステップからステップ690に直接進み、その後、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
更に、ECU81は所定時間が経過する毎に図7のフローチャートにより示したルーチンを繰り返し実行するようになっている。
ECU81はステップ700に続くステップ710にて、補正係数Ks及び補正係数Kmの双方がバックアップRAMに記憶されているか否かを判定する。補正係数Ks及び補正係数Kmの双方がバックアップRAMに記憶されている場合、ECU81はステップ710にて「Yes」と判定してステップ720に進む。ステップ720はステップ520と同じ処理を行うステップである。ECU81はステップ720にて「Yes」と判定した場合にはステップ730に進む。
ECU81はステップ730にて、「F/C運転が停止されてから(即ち、燃料噴射が再開されてから)所定時間(例えば3秒)が経過し、且つ、現在もF/C運転停止中(燃料噴射中)か否か」を判定する。なお、ECU81は図示しないエンジン制御ルーチンを実行することにより、車両が減速状態から加速状態又は定常状態に戻った場合、F/C運転を停止し燃料噴射を再開するようになっている。このステップ730の判定条件(以下、「燃料噴射実行中条件」と称する。)が満たされていると判定される場合、素子部10には排気管を通して排ガスが到達しているので、第1内部空間31に流入する被検ガス中にはSOxが含まれている可能性があると推測できる。
ECU81は、燃料噴射実行中条件が成立していると判定した場合、ステップ730において更に「第1電気化学セル11c、第2電気化学セル12c及び第3電気化学セル13cのそれぞれの温度が上述した所定の適正温度範囲内にあるか否か」を、前記温度センサの情報(又は、前記インピーダンス)に基づいて判定する。
「第1電気化学セル11c、第2電気化学セル12c及び第3電気化学セル13cのそれぞれの温度が所定の適正温度範囲内にある」と判定される場合、ECU81はステップ730にて「Yes」と判定してステップ740に進み、第1電気化学セル(センサセル)11c及び第2電気化学セル(モニタセル)12cへ水の分解開始電圧以上の電圧である1.0Vを印加する。
次にECU81はステップ750に進み、第1電気化学セル(センサセル)11cの第1検出値(この場合の第1検出値を「SOx検出用第1検出値Im1sd」とも称する。)及び第2電気化学セル(モニタセル)12cの第2検出値(この場合の第2検出値を「SOx検出用第2検出値Im2md」とも称する。)を取得する。
次にECU81はステップ760に進み、第1検出値Im1sdを補正係数Ksにより補正し、第2検出値Im2mdを補正係数Kmにより補正する。より具体的に述べると、ECU81は、第1検出値Im1sdに補正係数Ksを乗じることにより補正第1検出値Iscを取得するとともに、第2検出値Im2mdに補正係数Kmを乗じることにより補正第2検出値Imcを取得する。
次にECU81はステップ770に進み、補正第2検出値Imcから補正第1検出値Iscを減じることによりSOx濃度検出用パラメータP(=Imc−Isc)を取得する。
続いてECU81はステップ780に進み、ステップ770にて取得したSOx濃度検出用パラメータPと、補正第2検出値(SOx濃度検出用パラメータQ)Imcと、を図8に示した(ROMに記憶させてある)ルックアップテーブルに適用する(必要に応じて補間を行う)ことにより、被検ガス中のSOx濃度を取得(検出)する。そして、ECU81は、このSOx濃度をRAM及びバックアップRAMに記憶させ、その記憶したSOx濃度を内燃機関の制御及び自己診断に利用する。その後、ECU81は、ステップ795に進み、本ルーチンを一旦終了する。
図8のルップアップテーブルは、SOx濃度検出用パラメータP(Imc−Isc)と、補正第2検出値Imcと、を引数とする二次元マップである。
例えば、この二次元マップの代わりにSOx濃度検出用パラメータPのみを引数とした一次元マップの場合を用いる場合は、図9のグラフに示すように、SOx濃度検出用パラメータPの検出値(mA)が例えば値IAのとき、「HO濃度がaかつSOx濃度が200ppm」と「HO濃度がbかつSOx濃度が100ppm」の両方の可能性があり、いずれであるかを正しく判断することができない。一方、図9のグラフから理解されるように、補正第2検出値Imc(mA)はH2O濃度と一対一で対応している。そのため補正後第2検出値Imcが例えばIBであるならば、SOx濃度検出用パラメータPが値IAであるとき、HO濃度がaかつSOx濃度が200ppmであると一意に特定できる。よって、図8に示したような2次元マップが使用される。
なお、ECU81は、ステップ710、ステップ720及びステップ730の何れかのステップにて「No」と判定する場合、ステップ795に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上、説明したように、第1検出装置は、被検ガス中に含まれる硫黄酸化物の濃度を精度良く検出することができる。更に、本発明装置は、第1電気化学セル11cと第2電気化学セル12cの固有の検出誤差を考慮しない場合と比べて、被検ガス中に含まれる硫黄酸化物の濃度を高い精度で検出することができる。
なおECU81は、図5のステップ530において、酸素濃度が特定の一定濃度であることを第3電気化学セル13cを空燃比センサとして利用して判定してもよい。
2.第2実施形態
次に、図10を参照しながら本発明の第2施形態に係る検出装置(以下、「第2検出装置」と称される場合がある。)について説明する。第2検出装置は、補正係数Ksの求め方が第1検出装置の補正係数Ksの求め方と相違する点のみにおいて、第1検出装置と相違している。
第1検出装置は、F/C運転中に補正係数Km、Ksを求める。しかし、F/C運転が極めて短時間のうちの終了する場合があり、そのような場合にはF/C運転中に補正係数Km及び補正係数Ksの両方を算出できない可能性がある。更に、ECU81は、補正係数Kmを算出できたとしても、補正係数Ksを算出できず、次回のF/C運転まで補正係数Ksを求めることができない可能性もある。そのため、今回の機関の始動後から補正係数Ksを新たに算出するまでに長い時間を要し、結果的にSOx濃度を精度よく検出するまでに長い時間を要することになる可能性が高い。
そこで、第2検出装置は、第1検出装置と同様に補正係数KmをF/C中に求める一方で、補正係数KsをF/C運転を実行していないとき(即ち、燃料噴射運転中)に求める。以下、第2検出装置による補正係数Ksの求め方について詳細に説明する。
先ず、F/Cが実行されていないときに第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに対して同一電圧(水の分解開始電圧以上の電圧(例えば1.0V))を印加し、このときの両セル11c、12cの検出値に基づいて補正係数Ksを求める場合について検討する。なお、この電圧制御は便宜上「第2電圧印加制御」と称される。
この第2電圧印加制御により補正係数Ksを求める場合、F/C運転中ではないので、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cが分解する被検ガスには水のみならずSOxが含まれている可能性がある。更に上述したように、第2電気化学セル12cは第1電気化学セル11cに比べてSOxの分解能力が低い。そのため、仮に第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに水の分解開始電圧以上の同一電圧(例えば1.0V)を印加して両セル11c、12cの検出値を求めると、第1電気化学セル11cの第1検出値はSOxの影響を受けるが、第2電気化学セル12cの第2検出値はSOxの影響を殆ど受けない。従って、これらの第1及び第2検出値に基づいて第1電気化学セル11の固有の検出誤差を補正するための補正係数Ksを直ちに求めることは困難である。
これに対し、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに対して酸素の限界電流域の電圧を印加すれば、これらのセルにおいて水及びSOxは分解されない。よって、このような電圧を印加した場合の「第1検出値及び第2検出値」は第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cの出力特性を相応の精度で示す値となる。
そこで、第2検出装置は、F/C運転でない場合において第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに対し、互いに同一である「酸素の限界電流域の電圧(例えば0.4V)」を印加し、その状態において得られる「第1検出値及び第2検出値」に基づいて補正係数Ksを取得する。
但し、被検ガス中の酸素濃度が大きく変動しているときに第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに「酸素の限界電流域の電圧(例えば0.4V)」を印加すると、第1検出値及び第2検出値が酸素濃度の影響を大きく受けることから、補正係数Ksを精度良く求められない可能性が高い。
そこで、第2検出装置は、第1内部空間31に流入した被検ガスの酸素濃度が「実質的に一定」であると判断される場合に、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに酸素の限界電流域の同一電圧を印加し、そのときに得られる第1検出値及び第2検出値に基づいて補正係数Ksを求める。
そして、第2検出装置は、被検ガスの酸素濃度が実質的に一定であると判定した場合に、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに対して酸素の限界電流域の電圧を印加したときの第1電気化学セル11cの第1検出値と、第2電気化学セル12cの第2検出値と、を用いて補正係数Ksを算出する。これ以降、このときの第1電気化学セル11cの第1検出値を「Ks算出用センサセル値Isks」と称し、第2電気化学セル12cの第2検出値を「Ks算出用モニタセル値Imks」と称する場合がある。そして、第2検出装置は上記(2)式と同じ下記(3)式を用いて補正係数Ksを求める。

Imks・Km=Isks・Ks ・・・(3)
上述したように補正係数Kmは第2電気化学セル12cに水の分解開始電圧より小さい電圧である0.4Vを印加したときの、第2電気化学セル12cの検出値を利用して求めた係数である。更に補正係数Ksも、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに水の分解開始電圧より小さい電圧である0.4Vを印加したときの、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cの検出値を利用して求めた係数である。そのため補正係数Kmを利用して求めた補正係数Ksは、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cの検出値の相関関係を正確に表していると言える。
(実際の作動)
続いて、第2検出装置のECU81(実際には、CPU)が実行する「補正係数Ksを求めるためのルーチン」について図10のフローチャートを参照しながら具体的に説明する。なお、第2検出装置は、補正係数Kmの算出及びSOx濃度の検出を第1検出装置と同様に行う。即ち、第2検出装置は、図5及び図7に示したルーチンを実行する。
イグニッション・キー・スイッチが操作されることにより内燃機関が運転を開始すると、第2検出装置のECU81は所定時間が経過する毎に図10のフローチャートにより示したルーチンを繰り返し実行するようになっている。なお、このルーチンにおいて既に説明済みのステップには、その既に説明したステップと同じ符号が付されている。
ECU81は、ステップ1000に続くステップ610にて「Yes」、ステップ620にて「No」、ステップ630にて「Yes」、ステップ730にて「Yes」と判定した場合、ステップ1010に進む。即ち、ECU81は、以下の条件の総てが成立している場合にステップ1010に進む。
(1)今回の機関始動後に補正係数kmが新たに算出されている(ステップ610)。
(2)今回の機関始動後に補正係数ksが新たに算出されていない(ステップ620)。
(3)内燃機関の暖機が終了しており、且つ、各電気化学セルが活性化済みである(ステップ630)。
(4)燃料噴射実行中条件が成立しており、且つ、第1電気化学セル11c、第2電気化学セル12c及び第3電気化学セル13cの各温度が上述した所定の適正温度範囲内にある(ステップ730)。
ECU81はステップ1010にて、第1内部空間31に流入した被検ガスの酸素濃度が「実質的に一定であるか否か」を第3電気化学セル13c(空燃比センサ)の検出値に基づいて判定する。より具体的には、ECU81は、「第3電気化学セル13cの電極電流に基づいて求められる酸素濃度の所定時間における最大値と最小値との差の大きさが所定変化量閾値以下である」場合、被検ガスの酸素濃度が「実質的に一定」であると判定する。
ECU81はステップ1010にて「Yes」と判定した場合、ステップ1020に進み、第1電気化学セル(センサセル)11c及び第2電気化学セル(モニタセル)12cに対して酸素の限界電流域の電圧(例えば0.4V)を印加する。
次いでECU81はステップ1030に進み、第1電気化学セル11cの検出値(第1検出値)をKs算出用センサセル値Isksとして取得するとともに、第2電気化学セル12cの検出値(第2検出値)をKs算出用モニタセル値Imksとして取得する。更に、ECU81は、ステップ1030にて、バックアップRAMに記憶されている補正係数Km、Ks算出用センサセル値Isks及びKs算出用モニタセル値Imksを上記(3)式に適用することにより、補正係数Ksを算出する。そしてECU81は、取得した補正係数KsをバックアップRAMに記憶させる。その後、ECU81はステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
なお、既にバックアップRAMに補正係数Ksが記憶されている場合には、その補正係数Ksは今回取得した補正係数Ksへと上書きされる。また、このとき、既にバックアップRAMに記憶されている補正係数Ksと今回取得した補正係数Ksとの平均値が、新たな補正係数KsとしてバックアップRAMに記憶されてもよい。加えて、このステップにおいて補正係数Ksを算出する際に用いられる「Ks算出用センサセル値及びKs算出用モニタセル値」は、今回の機関始動後において今回を含む複数回にわたって取得された「Ks算出用センサセル値及びKs算出用モニタセル値」のそれぞれの平均値であってもよい。
一方、ECU81はステップ610、ステップ630、ステップ730、及びステップ1010の何れかのステップにて「No」と判定した場合、並びに、ステップ620にて「Yes」と判定した場合、それぞれのステップからステップ1095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように第2検出装置は、F/C運転を行っていないとき(燃料噴射実行中)に補正係数Ksを取得することができる。従って、補正係数Km取得時のF/C運転が極めて短時間で終了する場合であっても、補正係数Ksを比較的短時間のうちに取得できるので、比較的短時間のうちにSOx濃度を精度よく検出することができる。
更に第1検出装置と同様、第2検出装置は補正係数Km及びKsを利用しているので、補正係数Km及びKsを利用せずにSOx濃度を検出する場合と比べて、被検ガス中のSOx濃度をより精度よく求めることが可能になる。
なお、第2検出装置は、第2電圧印加制御中に第3電気化学セル13cに酸素ポンピング機能を発揮させているが、同機能を発揮させないようにしてもよい。
以上、本発明を上記各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、第1検出装置は、補正係数Ksを求めるとき(第1電圧印加制御中)に、酸素の限界電流域の電圧を第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに印加してもよい。即ち、第1検出装置は酸素の限界電流域の下限電圧以上の電圧を印加して補正係数Ksを求めてもよい。
水及びSOxを分解するために第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに印加する電圧(印加電圧Vm)は、水の分解開始電圧以上であり且つ水の限界電流域未満の電圧であれば1.0Vである必要はない。
即ち、印加電圧Vmが過度に高い電圧となると、被検ガス中に含まれる他の成分(例えば、二酸化炭素(CO)等)の分解が開始され、或いは、固体電解質体11s及び固体電解質体12sの分解を招く虞がある。従って、水及びSOxを分解するための印加電圧Vmは、水の限界電流域の下限電圧未満の所定の電圧であることが望ましい。
第1電極11aと第2電極11bとの間に電圧が印加されているときに第1電極11aと第2電極11bとの間に流れる電極電流の大きさを第1検出値とした。同様に、第3電極12aと第4電極12bとの間に電圧が印加されているときに第3電極12aと第4電極12bとの間に流れる電極電流の大きさを第2検出値とした。しかしながら、前述したように、第1検出値及び第2検出値は、上記電極電流に対応する何らかの信号の値(例えば、電圧値、電流値、抵抗値等)である限り、特に限定されない。
加えて、第1電極11aは、白金(Pt)とロジウム(Rh)との合金を主成分として含む多孔質サーメット電極であり、第2電極11bは、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第1電極11aを構成する材料は、第1電極11aと第2電極11bとの間に電圧を印加したときに、拡散抵抗部32を介して第1内部空間31に導かれた被検ガス中に含まれる水及びSOxを還元分解させることができる限り特に限定されない。好ましくは、第1電極11aを構成する材料は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)等の白金族元素又はそれらの合金等を主成分として含む。より好ましくは、第1電極11aは、白金(Pt)、ロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分として含む多孔質サーメット電極である。
第1及び第2実施形態においては、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cは固体電解質体11sを共有している。しかし互いに別個の固体電解質体に第1電気化学セル11cと第2電気化学セル12cを形成してもよい。即ち、第1電気化学セル11cの第1電極11a及び第2電極11bは第1内部空間31を画定する固体電解質11s及び固体電解質体12sの何れか一方に配設され、第2電気化学セル12cの第3電極12a及び第4電極12bは第1内部空間31を画定する固体電解質11s及び固体電解質体12sの何れか他方に配設されてもよい。
更に、第3電気化学セル13cが、固体電解質体11sを第1電気化学セル11c及び/又は第2電気化学セル12cと共有していてもよい。
更に、第2電極11bが位置する第1別空間と第4電極12bが位置する第1別空間は、第1内部空間31と異なる空間であれば、互いに同一の空間であっても互いに別の空間であってもよい。
第3電気化学セル13cの酸素ポンピング作用により第1内部空間31へ酸素を供給して第1内部空間31内の酸素濃度を特定の一定濃度(但し、0パーセントより高い濃度)に保持し、この状態で補正係数Kmを算出してもよい。
更に、第2電気化学セル12cは第1電気化学セル11cの近傍に配設されている。しかしながら、これらのセルから取得される第1検出値と第2検出値との差異に基づいて被検ガス中に含まれるSOxの濃度を検出することができる限り、これらのセルの位置関係は特に限定されない。
第1及び第2検出装置においては、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cを利用してSOx検出用第1検出値とSOx検出用第2検出値とを検出するときに、第1電気化学セル11c及び第2電気化学セル12cに対して同一電圧(1.0V)を印加している。
しかしこの際に第1電気化学セル11cと第2電気化学セル12cにそれぞれ印加する電圧は、水の分解開始電圧以上の電圧であれば互いに異なる大きさであってもよい。この場合、図8に示したルックアップテーブルのデータは、各セルに印加される電圧に応じて予め取得される。
また更に、第1及び第2検出装置においては、第3電極12aは、白金(Pt)と金(Au)との合金を主成分として含む多孔質サーメット電極であり、第4電極12bは、白金(Pt)を主成分として含む多孔質サーメット電極である。しかしながら、第3電極12aを構成する材料は、第3電極12aと第4電極12bとの間に水の分解開始電圧以上の電圧を印加したときに、拡散抵抗部32を介して第1内部空間31に導かれた被検ガス中に含まれる水を還元分解させることができ且つSOxを実質的に分解できない限り、特に限定されない。好ましくは、第3電極12aを構成する材料は、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)、銀(Ag)等の金属元素又はそれらの合金等を主成分として含む。より好ましくは、第3電極12aは、白金(Pt)、金(Au)、鉛(Pb)及び銀(Ag)からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分として含む多孔質サーメット電極である。
第3電極12aにおいてSOxが分解される速度(第2分解速度)が実質的に0(ゼロ)である。しかしながら第2分解速度は、第1分解速度より低い速度であれば0でなくてもよい。
更に、第1及び第2検出装置は、SOx濃度検出用パラメータPと補正第2検出値Imcとを用いてSOx濃度を検出していたが、SOx濃度検出用パラメータPのみを用いてSOx濃度を検出してもよい。この場合、第1及び第2検出装置は、基準電気化学セルの検出値が特定の値(例えば、4mA、又は、4mAを含む微小電流範囲内の値)であるときのSOx濃度とSOx濃度検出用パラメータPとの関係を1次元マップ(ルックアップテーブル)の形式によりROMに記憶しておく。そして、第1及び第2検出装置は、補正係数Km及びKsが取得された段階以降において、補正第2検出値Imcが前記特定の値であるか否かを判定し、補正第2検出値Imが前記特定の値である場合に実際に得られたSOx濃度検出用パラメータPを上記1次元マップに適用することにより、SOxの濃度を検出してもよい。更に、検出装置は、排気に含まれる水の濃度を検出する水濃度センサを別途備え、その水濃度センサにより検出された水の濃度が所定の範囲内であるときに限り、SOx濃度検出用パラメータPを「水の濃度が所定の範囲内であるときの、検出用パラメータPとSOx濃度との関係を規定する1次元マップ」に適用することにより、SOxの濃度を検出してもよい。
10…素子部、11a、12a及び13a…電極、11b、12b及び13b…電極、11s及び12s…固体電解質体、11c、12c及び13c…ポンピングセル(第1乃至第3電気化学セル)、21a、21b、21c、21d、21e及び21f…第1乃至第6アルミナ層、31…内部空間、32…拡散抵抗部、41…ヒータ、51及び52…第1及び第2大気導入路、61、62及び63…電源、71、72及び73…電流計、81…ECU。

Claims (6)

  1. 酸化物イオン伝導性を有する第1固体電解質体と前記第1固体電解質体の表面にそれぞれ形成された第1電極及び第2電極とを含む第1電気化学セルと、酸化物イオン伝導性を有する第2固体電解質体の表面にそれぞれ形成された第3電極及び第4電極とを含む第2電気化学セルと、緻密体と、拡散抵抗部と、を備え、前記第1固体電解質体及び前記第2固体電解質体と前記緻密体と前記拡散抵抗部とにより画定される第1内部空間に前記拡散抵抗部を介して内燃機関の排気が被検ガスとして導入され、前記第1電極及び前記第3電極が前記第1内部空間に露出し且つ前記第2電極及び前記第4電極が前記第1内部空間とは異なる第1別空間に露出するように構成された素子部と、
    前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に電圧を印加する電圧印加部と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加したときに前記第1電極と前記第2電極との間に流れる電流値に対応する第1検出値及び前記第3電極と前記第4電極との間に電圧を印加したときに前記第3電極と前記第4電極との間に流れる電流値に対応する第2検出値を取得する取得部と、
    を有するガス濃度検出装置において、
    前記第1電極は前記第1電極と前記第2電極との間に水の分解開始電圧以上の電圧を印加したときに前記被検ガス中に含まれる水(HO)を分解させることが可能となるように構成され、
    前記第3電極は前記第3電極と前記第4電極との間に水の分解開始電圧以上の電圧を前記電圧印加部を用いて印加したときに、前記被検ガス中に含まれる水(HO)を分解させることが可能となるように構成され、
    前記第1電極及び前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に水の分解開始電圧以上の同一電圧を印加したとき、前記第3電極による硫黄酸化物の分解速度が前記第1電極による硫黄酸化物の分解速度よりも低くなるように構成され、
    前記取得部は、
    前記第1内部空間の前記被検ガスの酸素濃度が特定の一定濃度であると判定した場合に、前記第3電極と前記第4電極との間に酸素の限界電流域の電圧を印加し、そのときの前記第2検出値である検出モニタセル値に対する予め定められた所定の基準出力値の比をモニタセル補正値(Km)として求め、
    前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態である場合に酸素の限界電流域の下限電圧以上の電圧を前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に前記電圧印加部を用いて印加する第1電圧印加制御、及び、前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態でない場合に酸素の限界電流域の電圧を前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に前記電圧印加部を用いて印加する第2電圧印加制御、のうちの少なくとも一方を実行するとともに、前記第1電圧印加制御及び前記第2電圧印加制御のうちの少なくとも一方が実行されているときの、前記第1検出値に対する、前記第2検出値と前記モニタセル補正値との積の、比をセンサセル補正値(Ks)として求め、
    前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態でない場合に、前記第1電極と前記第2電極との間及び前記第3電極と前記第4電極との間に水の分解開始電圧以上の電圧を前記電圧印加部を用いて印加するとともに、そのときの前記第1検出値及び前記第2検出値をそれぞれSOx検出用第1検出値及びSOx検出用第2検出値として取得し、
    前記SOx検出用第2検出値と前記モニタセル補正値との積と、前記SOx検出用第1検出値と前記センサセル補正値との積と、の差に応じた値に基づいて前記被検ガスの硫黄酸化物の濃度を求めるように構成された、
    ガス濃度検出装置。
  2. 請求項1に記載のガス濃度検出装置において、
    前記第1固体電解質体と前記第2固体電解質体とは同一の共通固体電解質体であり、
    前記素子部は、酸化物イオン伝導性を有する第3固体電解質体と、前記第3固体電解質体の表面にそれぞれ形成された第5電極及び第6電極と、を含む第3電気化学セルを備え、
    前記第1内部空間は、前記共通固体電解質体、前記緻密体、前記拡散抵抗部及び前記第3固体電解質により画定され、
    前記第5電極が前記第1内部空間に露出し且つ前記第6電極が前記第1内部空間とは異なる第2別空間に露出するように構成され、
    前記電圧印加部は、前記第5電極と前記第6電極との間にも電圧を印加するように構成され、
    前記第5電極及び前記第6電極は、前記第5電極と前記第6電極との間に酸素の限界電流域の電圧を印加したときに前記第1内部空間から酸素(O)を排出する酸素ポンピング機能を発揮するように構成され、
    前記取得部は、
    前記内燃機関の運転状態がフューエルカット運転状態であるとき前記第1内部空間の前記被検ガスの酸素濃度が前記特定の一定濃度であると判定し、
    前記モニタセル補正値を求める場合には前記第5電極と前記第6電極との間への前記電圧印加部を用いた電圧の印加を停止して前記酸素ポンピング機能を停止させ、
    前記SOx検出用第1検出値及び前記SOx検出用第2検出値を取得する場合には前記第5電極と前記第6電極との間に前記電圧印加部を用いて酸素の限界電流域の電圧を印加させて前記酸素ポンピング機能を発揮させる、ように構成された、
    ガス濃度検出装置。
  3. 請求項2に記載のガス濃度検出装置において、
    前記取得部は、
    前記第1電圧印加制御を実行して前記センサセル補正値を求めるとともに、前記第1電圧印加制御の実行中に前記第5電極と前記第6電極との間への前記電圧印加部を用いた電圧の印加を停止して前記酸素ポンピング機能を停止させるように構成された、
    ガス濃度検出装置。
  4. 請求項1に記載のガス濃度検出装置において、
    前記取得部は、
    前記第1内部空間の前記被検ガスの酸素濃度の所定時間における最大値と最小値との差の大きさが所定変化量閾値以下であるときに前記第2電圧印加制御を実行して前記センサセル補正値を求める、ように構成された、
    ガス濃度検出装置。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のガス濃度検出装置において、
    前記取得部は、
    前記SOx検出用第2検出値と前記モニタセル補正値との積と、前記SOx検出用第1検出値と前記センサセル補正値との積と、の差及び前記SOx検出用第2検出値と前記モニタセル補正値との積と、を引数とするルックアップテーブルに基づいて前記被検ガスの硫黄酸化物の濃度を求めるように構成された、
    ガス濃度検出装置。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のガス濃度検出装置において、
    前記第1電極及び前記第3電極は白金(Pt)を含み、
    前記第1電極が前記第3電極よりもロジウム(Rh)及びパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つをより多く含む、
    ガス濃度検出装置。
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