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JP2017014307A - 水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品 - Google Patents

水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品 Download PDF

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JP2017014307A JP2015128831A JP2015128831A JP2017014307A JP 2017014307 A JP2017014307 A JP 2017014307A JP 2015128831 A JP2015128831 A JP 2015128831A JP 2015128831 A JP2015128831 A JP 2015128831A JP 2017014307 A JP2017014307 A JP 2017014307A
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朋和 髭白
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丈雄 城▲崎▼
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Abstract

【課題】光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有し、ポリエステルフィルム等の難接着基材であっても、その基材と活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性を大幅に向上させるプライマーとして使用可能な水性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ビニルエステル樹脂及び芳香環を有するウレタン樹脂が、水性媒体中に分散された水性樹脂組成物であって、前記ビニルエステル樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上のエポキシ樹脂と、酸基及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて得られたものであり、前記ビニルエステル樹脂の一部又は全部が、前記ウレタン樹脂粒子中に内在して樹脂粒子を形成したものであり、前記樹脂粒子中の芳香環濃度が3.5mol/kg以上であり、前記樹脂粒子中の不飽和基濃度が1mol/kg以上である水性樹脂組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、基材表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を形成する際に、基材と前記硬化塗膜との密着性を向上するプライマーとして用いることができる水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品に関する。
水性ウレタン樹脂組成物は、近年、光学用途向けのフィルムやシートへの適用が検討されている。前記光学用途としては、具体的には、液晶ディスプレイ、タッチパネル等が挙げられる。前記液晶ディスプレイ等の表示装置は、通常、鮮明な映像を表示するために各種機能を有する多数の光学フィルムが積層され構成されており、かかる光学フィルムとしては、反射防止フィルム、位相差フィルム、プリズムレンズシート等が挙げられる。
これらの光学フィルムの基材としては、ポリエステルフィルム、とりわけ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが光学特性、機械強度、耐久性に優れることから使用されている。また、光学用途においては、ポリエステルフィルムの表面に活性エネルギー線硬化性組成物を塗工、硬化することによって、ハードコート層を形成したり、活性エネルギー線硬化性組成物を注型した層を設け、ポリエステルフィルムをプリズムシートとしたりするが、ポリエステルフィルムは結晶性が高いことに起因して、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性が低いという問題があった。
ポリエステルフィルムと活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性を向上する方法として、基材であるポリエステルフィルムと活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との間に、ウレタン樹脂組成物からなるプライマー層を設けることが提案されている(例えば、PET基材との屈折率の差に起因して干渉縞が生じる場合があった。
そこで、光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有するとともに、ポリエステルフィルムのような難接着の基材であっても、その基材と活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性を大幅に向上するプライマーとして用いることのできる材料が求められていた。
WO2015/019899号公報
本発明が解決しようとする課題は、光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有するとともに、ポリエステルフィルムのような難接着の基材であっても、その基材と活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性を大幅に向上するプライマーとして用いることができる水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のエポキシ樹脂と酸基及び重合性不飽和基を有する化合物とを反応させて得られたビニルエステル樹脂、及び芳香環を有する特定のウレタン樹脂が水性媒体中に分散された水性樹脂組成物をプライマーとして用いることで、光学用途に使用可能なレベルの高屈折率性能を有し、かつ、ポリエステルフィルムのような難接着の基材であっても、その基材と活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性を大幅に向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、ビニルエステル樹脂(A)及び芳香環を有するウレタン樹脂(B)が、水性媒体(C)中に分散された水性樹脂組成物であって、
前記ビニルエステル樹脂(A)が、ノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上のエポキシ樹脂(a1)と、酸基及び重合性不飽和基を有する化合物(a2)とを反応させて得られたものであり、
前記ビニルエステル樹脂(A)の一部又は全部が、前記ウレタン樹脂(B)粒子中に内在して樹脂粒子(D)を形成したものであり、
前記樹脂粒子(D)中の芳香環濃度が、3.5mol/kg以上であり、
前記樹脂粒子(D)中の不飽和基濃度が、1mol/kg以上であることを特徴とする水性樹脂組成物、それを用いた積層体及び物品に関するものである。
本発明の水性樹脂組成物は、ポリエステルフィルムのような難接着の基材であっても、その基材と活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性を大幅に向上するプライマーとして用いることができることから、ポリエステルフィルムを基材として、その表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を形成した積層体に好適である。このような積層体としては、例えば、反射防止フィルム、位相差フィルム、プリズムレンズシート等の光学フィルムが挙げられる。また、これらの光学フィルムは、液晶ディスプレイ、タッチパネル等の画像表示装置に応用可能である。
本発明の水性樹脂組成物は、ビニルエステル樹脂(A)及び芳香環を有するウレタン樹脂(B)が、水性媒体(C)中に分散された水性樹脂組成物である。
前記ビニルエステル樹脂(A)は、ノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上のエポキシ樹脂(a1)と、酸基及び重合性不飽和基を有する化合物(a2)とを反応させて得られたものを用いる。
前記ビニルエステル樹脂(A)が有する重合性不飽和基の当量は、200〜2,000g/eq.の範囲が好ましい。
前記エポキシ樹脂(a1)は、ノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上のものを用いることができる。
前記ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、前記化合物(a2)が有する酸基と反応し得るエポキシ基を多数有するノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。また、これらのエポキシ樹脂(a1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量は、150〜2,000g/eq.の範囲が好ましく、150〜1,500g/eq.の範囲がより好ましい。
前記化合物(a2)は、酸基及び重合性不飽和基を有するものである。前記化合物(a2)が有する酸基と、前記エポキシ樹脂(a1)が有するエポキシ基とを反応させることにより、前記ビニルエステル樹脂(A)に重合性不飽和基を導入することができる。このとき、前記エポキシ樹脂(a1)が有するエポキシ基の全量中の80〜100モル%を、前記化合物(a2)の酸基と反応させることが好ましく、前記エポキシ基のすべてが前記化合物(a2)の酸基と反応させることが好ましい。
前記化合物(a2)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2,2,2,−トリスアクリロイルオキシメチルエチルフタル酸等が挙げられる。これらの化合物の中でも、後述する活性エネルギー線硬化性組成物中の樹脂や単量体が有する重合性不飽和基と重合反応しやすいアクリロイル基を前記ビニルエステル樹脂(A)に導入することができるアクリル酸が好ましい。また、これらの化合物(a2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記エポキシ樹脂(a1)と前記化合物(a2)との反応温度は、60〜150℃の範囲が好ましく、70〜120℃の範囲がより好ましい。
また、前記エポキシ樹脂(a1)と前記化合物(a2)とを反応させる際には、前記化合物(a2)が有する重合性不飽和基の熱重合を防止するため、重合禁止剤を用いることが好ましい。重合禁止剤の添加量は、前記エポキシ樹脂(a1)及び前記化合物(a2)の合計質量に対して、500〜5,000ppmの範囲が好ましい。
前記重合禁止剤としては、例えば、2,6−ビス(tert−ブチル)−4−メチルフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、p−tert−ブチルカテコール、ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
さらに、前記エポキシ樹脂(a1)と前記化合物(a2)とを反応させる際には、反応触媒を用いることができる。前記反応触媒の使用量は、前記エポキシ樹脂(a1)100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲が好ましい。
前記反応触媒としては、例えば、アミン触媒、イミダゾール触媒、リン触媒、ホウ素触媒、リン−ホウ素触媒等が挙げられる。具体的には、エチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアジニン、ジフェニルグアニジン等のアルキル置換グアニジン;3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素等の3−置換フェニル−1,1−ジメチル尿素;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン等のイミダゾリン;2−アミノピリジン等のモノアミノピリジン;N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロピル)アミン−N’−ラクトイミド等のアミンイミド;エチルホスフィン、プロピルホスフィン、ブチルホスフィン、フェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン−トリフェニルボラン錯体、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等の有機リン触媒、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のジアザビシクロウンデセン触媒などが挙げられる。これらの反応触媒は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記方法で得られるビニルエステル樹脂(A)の重量平均分子量としては、樹脂粒子の分散安定性が向上することから、500〜10,000の範囲が好ましく、1,000〜6,000の範囲がより好ましい。
また、前記ビニルエステル樹脂(A)は、その一部又は全部が、後述するウレタン樹脂(B)粒子中に内在し複合樹脂粒子(D)を形成するうえで、前記ウレタン樹脂(B)よりも疎水性であることが好ましい。なお、疎水性とは、水に対して溶解しにくい性質を指す。
前記芳香環を有するウレタン樹脂(B)は、芳香環を有するポリオール(b1−1)及び親水性基を有するポリオール(b1−2)を含有するポリオール(b1)と、ポリイソシアネート(b2)と、必要に応じて鎖伸長剤とを反応させて得られたものを用いることができる。
前記芳香環を有するポリオール(b1−1)を前記ウレタン樹脂(B)の原料として用いることで、前記ウレタン樹脂(B)が芳香環を有するものとなる。また、前記ウレタン樹脂(B)中の芳香環濃度は、優れた造膜性を有する塗膜及び高屈折率性能を有する塗膜を形成できることから4〜6.5mol/kgの範囲が好ましく、4〜6mol/kgの範囲がより好ましい。なお、本発明において芳香環濃度とは、樹脂固形分1kg中に含まれる芳香環のモル数を指す。
前記芳香環を有するポリオール(b1−1)としては、例えば、芳香族ポリエステルポリオール、芳香族ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリエーテルポリオール、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの中でも、高屈折率性能を有する塗膜を形成できること、及び基材密着性を向上できることから、芳香族ポリエステルポリオールが好ましい。またこれらのポリオール(b1−1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記芳香族ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたものであるが、前記多価カルボン酸及びポリオールのうち、少なくとも1つに芳香環を有するものを用いる。
前記多価カルボン酸のうち、芳香環を有するものとしては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル化物が挙げられる。また、芳香環を有さないものとしては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4−ブタン−トリカルボン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル化物が挙げられる。これらの多価カルボン酸又はそのエステル化物は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記多価アルコールのうち、芳香環を有するものとしては、例えば、化合物1モル中に1モルの芳香環骨格を有する1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、トルエンジメタノール、キシレンジメタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、化合物1モル中に2モルの芳香環骨格を有する1,8−ナフタレンジメタノール、2,3−ナフタレンジメタノール、2,7−ナフタレンジメタノール、1,5−ナフタレンジエタノール、化合物1モル中に4モルの芳香環骨格を有する9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の芳香族ジオールが挙げられる。また、芳香環を有さないものとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコールエチレングリコール等の脂肪族ポリオールが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記芳香族ポリエステルポリオールを製造する際のエステル化反応においては、エステル化反応を促進する目的で、エステル化触媒を用いることが好ましい。前記エステル化触媒としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属;チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、2−エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物などが挙げられる。
前記芳香族ポリエステルポリオールとしては、基材密着性をより一層向上することができることから、数平均分子量500〜4,000の範囲のものが好ましい。
前記親水性基を有するポリオール(b1−2)としては、例えば、前記したポリオール(b1−1)以外の、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、及び、ノニオン性基を有するポリオールを使用することができる。これらの中でも、アニオン性基を有するポリオールまたはカチオン性基を有するポリオールを使用することが好ましく、アニオン性基を有するポリオールを使用することがより好ましい。
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、カルボキシル基を有するポリオールや、スルホン酸基を有するポリオール等が挙げられる。
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等が挙げられる。これらの中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸が好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと多価カルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも用いることができる。
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等のジカルボン酸又はそれらの塩と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の低分子ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物などが挙げられる。前記塩基性化合物は、ウレタン樹脂組成物の水分散安定性を向上させる観点から、前記塩基性化合物が有する塩基性基/アニオン性基=0.5〜2(モル比)となる範囲で用いることが好ましく、0.8〜1.2(モル比)となる範囲で用いることがより好ましい。
また、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば、3級アミノ基を有するポリオール等が挙げられる。具体的には、N−メチル−ジエタノールアミン、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオール等が挙げられる。
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等が挙げられる。これらの中でもジメチル硫酸が好ましい。
また、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレン構造を有するポリオール等が挙げられる。
前記親水性基を有するポリオール(b1−2)は、前記ウレタン樹脂(B)の製造に使用するポリオール(b1)の全量中に、1〜20質量%の範囲で用いることが好ましい。
また、前記ポリオール(b1)としては、前記ポリオール(b1−1)、前記ポリオール(b1−2)の他に、必要に応じてその他のポリオールを用いることができる。
前記その他のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
前記ポリオール(b1)と反応しうるポリイソシアネート(b2)としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式構造を有するポリイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネート(b2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記ウレタン樹脂(B)を製造する際に、必要に応じて用いる鎖伸長剤としては、例えば、ポリアミン、ヒドラジン化合物、その他活性水素原子を有する化合物が挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。これらの中でも、エチレンジアミンが好ましい。
前記ヒドラジン化合物としては、例えば、ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン、コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
前記その他活性水素を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水添ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール、水等が挙げられる。
前記鎖伸長剤として、例えば、ポリアミンを用いる場合、ポリアミンが有するアミノ基とイソシアネート基との当量比[アミノ基/イソシアネート基]は、1.2以下が好ましく、0.3〜1の範囲がより好ましい。
前記ウレタン樹脂(B)は、例えば、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと、前記ポリイソシアネートと、必要に応じて前記鎖伸長剤とを、公知の方法によって反応させることにより製造できる。
前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとの反応は、急激な発熱、発泡等に十分に注意し安全性を考慮し、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃の反応温度で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、一括混合、又は、何れか一方を他方へ滴下等の方法で逐次供給し、1〜15時間程度反応させる方法により行うことができる。
前記ポリオール(b1)と前記ポリイソシアネート(b2)との反応は、前記ポリオール(b1)が有する水酸基と、前記ポリイソシアネート(b2)が有するイソシアネート基との当量比[イソシアネート基/水酸基]が0.5〜2の範囲で行うことが好ましく、0.8〜1.2の範囲で行うことがより好ましい。
前記ウレタン樹脂を製造する際には、溶媒として有機溶剤を用いることもできる。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶剤;トルエン等の芳香族系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記有機溶剤は、前記ウレタン樹脂の製造後、蒸留法等によって除去することが好ましい。
前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は、基材との密着性に優れることから、3,000〜200,000の範囲が好ましく、5,000〜100,000の範囲がより好ましく、15,000〜80,000の範囲がさらに好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリエチレン換算での値である。
本発明の水性樹脂組成物で用いる水性媒体(C)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム溶剤などが挙げられる。これらの水と混和する有機溶剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
また、前記水性媒体(C)は、安全性や環境に対する負荷低減を考慮すると、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみがより好ましい。
前記水性媒体(C)は、本発明の水性樹脂組成物全量中に10〜60質量%の範囲で含まれることが好ましく、20〜50質量%の範囲で含まれることがより好ましい。
本発明の水性樹脂組成物は、前記水性媒体(C)中に、前記ビニルエステル樹脂(A)及び前記ウレタン樹脂(B)を分散したものである。この際、前記ビニルエステル樹脂(A)と前記ウレタン樹脂(B)とが、前記水性媒体(C)中で、前記ビニルエステル樹脂(A)の一部又は全部が、前記ウレタン樹脂(B)粒子中に内在した樹脂粒子(D)を形成したものを用いる。より具体的には、前記ビニルエステル樹脂(A)がコア層を形成し、前記ウレタン樹脂(B)がシェル層を形成したコア・シェル型の樹脂粒子(D)である。
なお、前記樹脂粒子(D)としては、前記ビニルエステル樹脂(A)が、前記ウレタン樹脂(B)によって完全に覆われていることが好ましいが、必須ではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ビニルエステル樹脂(A)の一部が前記樹脂粒子(D)の再外部に存在してもよい。
また、前記ビニルエステル樹脂(A)と前記ウレタン樹脂(B)とは、共有結合を形成していてもよいが、結合を形成していないことが好ましい。
前記樹脂粒子(D)は、前記ビニルエステル樹脂(A)及び前記ウレタン樹脂(B)を予め製造しておき、次いで、前記ウレタン樹脂(B)に、前記ビニルエステル樹脂(A)、前記ウレタン樹脂(B)が有するアニオン性基を中和する塩基性化合物及び前記水性媒体(C)を混合することによって製造することができる。
前記方法で得られた水性樹脂組成物中に有機溶剤が含まれる場合には、安全性や環境に対する負荷低減を図るため、蒸留法等などによって前記有機溶剤を除去してもよい。これにより、水性媒体(C)中に前記樹脂粒子(D)が分散した水性樹脂組成物を得ることができる。
前記樹脂粒子(D)中の芳香環濃度は、優れた造膜性を有する塗膜及び高屈折率性能を有する塗膜を形成できることから、3.5mol/kg以上が好ましく、4〜5.5mol/kgの範囲がより好ましく、4〜5mol/kgの範囲がさらに好ましい。
前記樹脂粒子(D)中の不飽和基濃度は、活性エネルギー線硬化性組成物との密着性をより一層向上することができることから、1mol/kg以上が好ましく、1〜3mol/kgの範囲がより好ましく、1.5〜3mol/kgの範囲がさらに好ましい。
前記樹脂粒子(D)中の酸価は、水分散体としての保存安定性を確保する観点から、5mgKOH/g以上が好ましい。
本発明の水性樹脂組成物には、必要に応じて、造膜助剤、硬化剤、架橋剤、可塑剤、帯電防止剤、ワックス、光安定剤、流動調整剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光触媒性化合物、無機顔料、有機顔料、体質顔料等の添加剤;ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等のその他の樹脂などを配合することができる。
前記造膜助剤としては、例えば、N−メチル−2-ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ブチルセロソルブ、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブが挙げられる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンを用いることが、本発明の水性樹脂組成物との相溶性に優れるため好ましい。
前記硬化剤としては、水溶性または水に分散可能なものを用いることが好ましい。例えば、脂肪族アミン類、環状構造を有するアミン類、脂肪芳香族アミン類、ポリオキシアルキレンポリアミン等のポリアミン類等が挙げられる。
前記架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。前記メラミン化合物としては、アルキル化メチロールメラミン樹脂が挙げられる。前記アルキル化メチロールメラミン樹脂は、例えば、メチロール化メラミン樹脂と、メチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール(炭素原子数1〜6のアルコール)とを反応して得られるものである。前記メチロール化メラミン樹脂としては、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを縮合して得られるアミノ基を有するメチロールメラミン樹脂、イミノ基を有するメチロールメラミン樹脂、トリメトキシメチロールメラミン樹脂、ヘキサメトキシメチロールメラミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、トリメトキシメチロールメラミン樹脂、ヘキサメトキシメチロールメラミン樹脂が好ましい。また、前記アルキル化メチロールメラミン樹脂としては、イミノ基を有するアルキル化メチロールメラミン樹脂、アミノ基を有するアルキル化メチロールメラミン樹脂等が挙げられる。
本発明の積層体は、上記で説明した本発明の水性樹脂組成物を用いて形成したプライマー層を有し、前記プライマー層の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成した硬化塗膜を有するものである。
前記活性エネルギー線硬化性組成物としては、重合性不飽和基を有する樹脂と、重合性不飽和基を有する単量体とを含有するものが好ましく、これら重合性不飽和基を有する樹脂及び重合性不飽和基を有する単量体の種類は、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜に要求される特性に応じて、適宜選択することが好ましい。
前記重合性不飽和基を有する樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、アクリル(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド基を有する樹脂等が挙げられる。これらの重合性不飽和基を有する樹脂は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の一方又は両方をいう。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香族ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとをウレタン化反応させて得られるウレタン結合と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂等が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。また、前記芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の3価のアルコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、あるいは、これらのアルコール性水酸基の一部をε−カプロラクトンで変性した水酸基を有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の1官能の水酸基と3官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、あるいは、該化合物をさらにε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレン−ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等のブロック構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物;ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のランダム構造のオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
前記不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物、芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物、及び、グリコールの重縮合によって得られる硬化性樹脂である。前記α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸、及びこれらのエステル等が挙げられる。前記芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。脂肪族あるいは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等が挙げられる。前記グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレングリコールカーボネート、2,2−ジ−(4−ヒドロキシプロポキシジフェニル)プロパン等が挙げられ、その他にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の酸化物も同様に用いることができる。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリエステルポリオールの水酸基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
前記アクリル(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、グリシジルメタクリレート、及び必要に応じてアルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート単量体とを重合させて、エポキシ基を有するアクリル樹脂を得た後、そのエポキシ基に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるものが挙げられる。
前記マレイミド基を有する樹脂としては、N−ヒドロキシエチルマレイミドとイソホロンジイソシアネートとをウレタン化して得られる2官能マレイミドウレタン化合物、マレイミド酢酸とポリテトラメチレングリコールとをエステル化して得られる2官能マレイミドエステル化合物、マレイミドカプロン酸とペンタエリスリトールのテトラエチレンオキサイド付加物とをエステル化して得られる4官能マレイミドエステル化合物、マレイミド酢酸と多価アルコール化合物とをエステル化して得られる多官能マレイミドエステル化合物等が挙げられる。
前記重合性不飽和基を有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1,000の範囲にあるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、数平均分子量が150〜1,000の範囲にあるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族アルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングルリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、2−マレイミドエチル−エチルカーボネート、2−マレイミドエチル−プロピルカーボネート、N−エチル−(2−マレイミドエチル)カーバメート、N,N−ヘキサメチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、1,4−ジマレイミドシクロヘキサン等のマレイミド化合物などが挙げられる。これらの重合性不飽和基を有する単量体は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記活性エネルギー線硬化性組成物は、基材等に塗布後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。この活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。活性エネルギー線として紫外線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化塗膜とする場合には、前記活性エネルギー線硬化性組成物中に光重合開始剤を添加し、硬化性を向上することが好ましい。また、必要であればさらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。一方、活性エネルギー線として電子線、α線、β線又はγ線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化塗膜とする場合には、光重合開始剤や光増感剤を用いなくても速やかに硬化するため、光重合開始剤や光増感剤を添加する必要はない。
前記光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。
本発明の積層体に用いる基材としては、例えば、金属基材、プラスチック基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等が挙げられる。これらの基材の中でも、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜と基材との密着性を向上するため、本発明の水性樹脂組成物をプライマーとして用いる場合は、プラスチック基材が好適である。
前記プラスチック基材の材質としては、ポリエステル、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ABS樹脂とポリカーボネートとの複合樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン(COP)等)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物は、上記のプラスチック基材の中でも、ポリエステル基材のプライマーとして、非常に有用である。前記ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
前記プラスチック基材としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品が挙げられる。また、プラスチックを素材としたフィルム基材も挙げられる。フィルム基材を本発明の積層体の基材とする場合には、反射防止フィルム、位相差フィルム、プリズムレンズシート等の光学フィルム;アルミ蒸着フィルム等の食品包装などの高機能フィルムに用いることができる。
また、本発明の積層体を反射防止フィルム、位相差フィルム、プリズムレンズシート等の光学フィルムとする場合には、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)等の各種画像表示装置の部材として用いることができる。
本発明の物品としては、例えば、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品が挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物は、例えば、前記基材の表面に直接、塗布し、次いで、乾燥、硬化させることによって、基材の表面に塗膜を形成することができる。本発明の水性樹脂組成物を乾燥し硬化を進行させる方法としては、常温下で1〜10日程度養生する方法であってもよいが、硬化を迅速に進行させることができるから、100℃〜150℃の温度で、1〜600秒程度加熱する方法が好ましい。また、比較的高温で変形や変色をしやすいプラスチック基材を用いる場合には、70℃〜100℃程度の比較的低温で加熱することが好ましい。
前記基材の表面に、本発明の水性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、フローコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー、刷毛塗り、アプリケーター、バーコーター等を用いた塗布方法が挙げられる。
本発明の水性樹脂組成物を用いて形成する塗膜の膜厚は、使用される用途に応じて適宜調整可能であるが、通常は、0.01〜20μmの範囲であることが好ましい。
本発明の積層体は、上記のようにして得られた本発明の水性樹脂組成物の塗膜であるプライマー層の表面に、さらに、前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射することにより、前記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜を形成することにより得ることができる。なお、前記活性エネルギー線硬化性組成物の塗布方法は、上記の本発明の水性樹脂組成物の塗布方法と同じ方法を用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により、具体的に説明する。
(合成例1:ポリエステルポリオール(1)の合成)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン1,400質量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル173質量部、テレフタル酸94質量部、オルトフタル酸21質量部、及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み酸価が0.5以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、ポリエステルポリオール(1)(水酸基価:117mgKOH/g、酸価:0.2mgKOH/g、芳香環濃度9.22mol/kg)を得た。
(合成例2:ポリエステルポリオール(2)の合成)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、エチレングリコール420質量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル660質量部、テレフタル酸300質量部、オルトフタル酸120質量部、及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み酸価が0.5以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、ポリエステルポリオール(2)(水酸基価:111mgKOH/g、酸価:0.1mgKOH/g、芳香環濃度:7.09mol/kg)を得た。
(合成例3:ポリエステルポリオール(3)の合成)
温度計、窒素ガス導入管、攪拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、エチレングリコール160質量部、1,4−ブタンジオール360質量部、テレフタル酸440質量部、イソフタル酸440質量部、及びジブチル錫オキサイド0.5質量部を仕込み酸価が0.5以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、ポリエステルポリオール(3)(水酸基価:106mgKOH/g、酸価:0.3mgKOH/g、芳香族環濃度:4.38mol/kg)を得た。
合成例1〜3で合成したポリエステルポリオール(1)〜(3)の組成を表1に示す。
Figure 2017014307
(製造例1:ビニルエステル樹脂(I−1)溶液の製造)
反応容器にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−673」、固形分エポキシ当量:209g/eq.、不揮発分:100質量%)1040質量部、アクリル酸369.3質量部、メトキノン2.2質量部、トリフェニルホスフィン5.2質量部を加え、反応温度115℃下で酸価が1.5以下になるまで反応させた。次いで、80℃以下に冷却後、メチルエチルケトン472.2質量部を仕込み、均一に混合することで、ビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液を得た。このビニルエステル樹脂(I−1)の固形分当たりの芳香環濃度は3.51mol/kgであり、不飽和基濃度は3.62mol/kgであった。
(製造例2:ビニルエステル樹脂(I−2)溶液の製造)
反応容器にフェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−740」、固形分エポキシ当量:180g/eq.、不揮発分:100質量%)1040質量部、アクリル酸428.8質量部、メトキノン2.2質量部、トリフェニルホスフィン5.2質量部を加え、反応温度115℃下で酸価が1.5以下になるまで反応させた。次いで、80℃以下に冷却後、メチルエチルケトン492.1質量部を仕込み、均一に混合することで、ビニルエステル樹脂(I−2)の不揮発分75質量%溶液を得た。このビニルエステル樹脂(I−2)の固形分当たりの芳香環濃度は3.91mol/kgであり、不飽和基濃度は4.03mol/kgであった。
(製造例3:ビニルエステル樹脂(I−3)溶液の製造)
反応容器にビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON 850S」、固形分エポキシ当量:188g/eq.、不揮発分:100質量%)1040質量部、アクリル酸410.6質量部、メトキノン2.2質量部、トリフェニルホスフィン5.2質量部を加え、反応温度115℃下で酸価が1.5以下になるまで反応させた。次いで、80℃以下に冷却後、メチルエチルケトン486質量部を仕込み、均一に混合することで、ビニルエステル樹脂(I−3)の不揮発分75質量%溶液を得た。このビニルエステル樹脂(I−3)の固形分当たりの芳香環濃度は3.79mol/kgであり、不飽和基濃度は3.91mol/kgであった。
(製造例4:ビニルエステル樹脂(I−4)溶液の製造)
反応容器にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N−673」、固形分エポキシ当量:209g/eq.、不揮発分:100質量%)1040質量部、アクリル酸221.6質量部、メタクリル酸176.5質量部、メトキノン2.2質量部、トリフェニルホスフィン5.2質量部を加え、反応温度115℃下で酸価が1.5以下になるまで反応させた。次いで、80℃以下に冷却後、メチルエチルケトン481.8質量部を仕込み、均一に混合することで、ビニルエステル樹脂(I−4)の不揮発分75質量%溶液を得た。このビニルエステル樹脂(I−4)の固形分当たりの芳香環濃度は3.44mol/kgであり、不飽和基濃度は3.55mol/kgであった。
(製造例5:ビニルエステル樹脂(I−5)溶液の製造)
反応容器にソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック株式会社製「DENACOL EX−614B」、固形分エポキシ当量:171g/eq.、不揮発分:100質量%)1040質量部、アクリル酸451.4質量部、メトキノン2.2質量部、トリフェニルホスフィン5.2質量部を加え、反応温度115℃下で酸価が1.5以下になるまで反応させた。次いで、80℃以下に冷却後、メチルエチルケトン499.6質量部を仕込み、均一に混合することで、ビニルエステル樹脂(I−5)の不揮発分75質量%溶液を得た。このビニルエステル樹脂(I−5)の固形分当たりの芳香環濃度は0mol/kgであり、不飽和基濃度は4.18mol/kgであった。
(製造例6:ビニルエステル樹脂(I−6)溶液の製造)
製造例1と同様の手法で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液1889.0質量部と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王株式会社製「LATEMUL E−118B」、不揮発分:26質量%)544.9質量部とを投入し、均一に混合した。これにイオン交換水2288.6質量部を1時間かけて投入した。次いで減圧下、30〜50℃にてメチルエチルケトンを除去し、ビニルエステル樹脂(I−6)の不揮発分50質量%溶液を得た。このビニルエステル樹脂(I−6)の固形分当たりの芳香環濃度は3.19mol/kgであり、不飽和基濃度は3.29mol/kgであった。
製造例1〜6で製造したビニルエステル樹脂(I−1)〜(I−6)の組成を表2に示す。
Figure 2017014307
(製造例7:ウレタン樹脂(II−1)溶液の製造)
反応容器中で、合成例1で得られたポリエステルポリオール(1)571.3質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン553.9質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50.0質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート215.5質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で12時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3.5質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−1)の固形分当たりの芳香環濃度は6.29mol/kgであり、不飽和基濃度は0mol/kgであり、酸価は25.0mgKOH/gであった。
(製造例8:ウレタン樹脂(II−2)溶液の製造)
反応容器中で、合成例2で得られたポリエステルポリオール(−2)615.7質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン553.9質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いでトルエンジイソシアネート171.1質量部を加えて、80℃で12時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール3.5質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−2)の固形分当たりの芳香環濃度は5.22mol/kgであり、不飽和基濃度は0mol/kgであり、酸価は25mgKOH/gであった。
(製造例9:ウレタン樹脂(II−3)溶液の製造)
反応容器中で、合成例1で得られたポリエステルポリオール(1)522質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン557.8質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート220.4質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で7時間反応させた。続いて、メトキノン0.5質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート17.1質量部を加え、80℃で8時間反応させた。次に、トリフェニルホスフィン0.8質量部、グリシジルメタクリレート26.5質量部を加え、さらに15時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−3)の不揮発分60質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−3)の固形分当たりの芳香環濃度は5.75mol/kgであり、不飽和基濃度は0.4mol/kgであり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(製造例10:ウレタン樹脂(II−4)溶液の製造)
反応容器中で、合成例3で得られたポリエステルポリオール(3)491.7質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン70.4質量部、メチルエチルケトン554.3質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート226.8質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で12時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール4.5質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−4)の不揮発分60質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−4)の固形分当たりの芳香族環濃度は4.16mol/kgであり、不飽和基濃度は0mol/kgであり、酸価は24.9mgKOH/gであった。
(製造例11:ウレタン樹脂(II−5)溶液の製造)
反応容器中で、合成例3で得られたポリエステルポリオール(3)583.2質量部を減圧下100℃で脱水し、その後80℃まで冷却後、メチルエチルケトン554.8質量部を加え、攪拌し均一に混合した。次に、2,2−ジメチロールプロピオン酸50質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート205.7質量部、オクチル酸第一錫0.4質量部を加えて、80℃で12時間反応させた。前記ウレタン樹脂の製造に使用した原料の合計質量に対するイソシアネート基の質量割合(イソシアネート値)が0.1質量%以下になったのを確認し、n−ブタノール4.1質量部を加え、さらに2時間反応させた後、50℃まで冷却することによって、ウレタン樹脂(II−5)の不揮発分60質量%溶液を得た。このウレタン樹脂(II−5)の固形分当たりの芳香環濃度は3.05mol/kgであり、不飽和基濃度は0mol/kgであり、酸価は24.9mgKOH/gであった。
製造例7〜11で製造したウレタン樹脂(II−1)〜(II−5)の組成を表2に示す。
Figure 2017014307
(実施例1:水性樹脂組成物(III−1)の調製)
製造例7で得られたウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液1115.8質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水3536質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分45質量%の水性樹脂組成物(III−1)を得た。この水性樹脂組成物(III−1)の固形分当たりの芳香環濃度は4.90mol/kgであり、不飽和基濃度は1.81mol/kgであり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例2:水性樹脂組成物(III−2)の調製)
製造例7で得られたウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液2603.5質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水4679質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分50質量%の水性樹脂組成物(III−2)を得た。この水性樹脂組成物(III−2)の固形分当たりの芳香環濃度は4.48mol/kgであり、不飽和基濃度は2.53mol/kgであり、酸価は7.5mgKOH/gであった。
(実施例3:水性樹脂組成物(III−3)の調製)
製造例7で得られたウレタン樹脂(II−1)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液4463.1質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水6057質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分50質量%の水性樹脂組成物(III−3)を得た。この水性樹脂組成物(III−3)の固形分当たりの芳香環濃度は4.15mol/kgであり、不飽和基濃度は2.90mol/kgであり、酸価は5.0mgKOH/gであった。
(実施例4:水性樹脂組成物(III−4)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液1115.8質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水3536質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分45質量%の水性樹脂組成物(III−4)を得た。この水性樹脂組成物(III−4)の固形分当たりの芳香環濃度は4.86mol/kgであり、不飽和基濃度は1.81mol/kgであり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例5:水性樹脂組成物(III−5)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液478.2質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水3521質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分30質量%の水性樹脂組成物(III−5)を得た。この水性樹脂組成物(III−5)の固形分当たりの芳香環濃度は5.39mol/kgであり、不飽和基濃度は1.09mol/kgであり、酸価は17.5mgKOH/gであった。
(実施例6:水性樹脂組成物(III−6)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例2で得られたビニルエステル樹脂(I−2)の不揮発分75質量%溶液1115.8質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水3123質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分45質量%の水性樹脂組成物(III−6)を得た。この水性樹脂組成物(III−6)の固形分当たりの芳香環濃度は5.06mol/kgであり、不飽和基濃度は2.02mol/kgであり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例7:水性樹脂組成物(III−7)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例3で得られたビニルエステル樹脂(I−3)の不揮発分75質量%溶液743.9質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水2803質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分45質量%の水性樹脂組成物(III−7)を得た。この水性樹脂組成物(III−7)の固形分当たりの芳香環濃度は5.24mol/kgであり、不飽和基濃度は1.56mol/kgであり、酸価は15.0mgKOH/gであった。
(実施例8:水性樹脂組成物(III−8)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例3で得られたビニルエステル樹脂(I−3)の不揮発分75質量%溶液1115.8質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水3029質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分45質量%の水性樹脂組成物(III−8)を得た。この水性樹脂組成物(III−8)の固形分当たりの芳香環濃度は4.82mol/kgであり、不飽和基濃度は1.78mol/kgであり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(実施例9:水性樹脂組成物(III−9)の調製)
製造例9で得られたウレタン樹脂(II−3)の不揮発分60質量%溶液1395.4質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液2604.8質量部とトリエチルアミン19.8質量部とを加え、イオン交換水4188質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分50質量%の水性樹脂組成物(III−9)を得た。この水性樹脂組成物(III−9)の固形分当たりの芳香環濃度は4.18mol/kgであり、不飽和基濃度は2.65mol/kgであり、酸価は7.5mgKOH/gであった。
(実施例10:水性樹脂組成物(III−10)の調製)
製造例10で得られたウレタン樹脂(II−4)の不揮発分60質量%溶液1398.2質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液1118.6質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水3658質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分45質量%の水性樹脂組成物(III−10)を得た。この水性樹脂組成物(III−10)の固形分当たりの芳香環濃度は3.56mol/kgであり、不飽和基濃度は1.81mol/kgであり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(比較例1:水性樹脂組成物(III’−1)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液6322.8質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水7740質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分50質量%の水性樹脂組成物(III’−1)を得た。この水性樹脂組成物(III’−1)の固形分当たりの芳香環濃度は3.91mol/kgであり、不飽和基濃度は3.08mol/kgであり、酸価は3.8mgKOH/gでった。
(比較例2:水性樹脂組成物(III’−2)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液278.9質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水4098質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分27質量%の水性樹脂組成物(III’−2)を得た。この水性樹脂組成物(III’−2)の固形分当たりの芳香環濃度は5.66mol/kgであり、不飽和基濃度は0.72mol/kgであり、酸価は20.0mgKOH/gであった。
(比較例3:水性樹脂組成物(III’−3)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、製造例5で得られたビニルエステル樹脂(I−5)の不揮発分75質量%溶液478.2質量部とトリエチルアミン39.6質量部とを加え、イオン交換水4379質量部をゆっくりと添加した。しかし、水溶化後の状態は極めて凝集物が多く含まれていた。よって、水性樹脂組成物(III’−3)の調製は不可であった。
(比較例4:水性樹脂組成物(III’−4)の調製)
製造例8で得られたウレタン樹脂(II−2)の不揮発分60質量%溶液1394.7質量部に、トリエチルアミン39.6質量部と加え、イオン交換水3796質量部をゆっくりと添加した。次に、製造例6で得られたビニルエステル樹脂(I−6)の不揮発分75質量%溶液1673.7質量部を添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分50質量%の水性樹脂組成物を得た。この水性樹脂組成物(III’−4)の固形分当たりの芳香環濃度は4.70mol/kgであり、不飽和基濃度は1.65mol/kgであり、酸価は10.0mgKOH/gであった。
(比較例5:水性樹脂組成物(III’−5)の調製)
製造例9で得られたウレタン樹脂(II−3)の不揮発分60質量%溶液1395.4質量部に、トリエチルアミン39.6質量部と加え、イオン交換水2205質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分35質量%の水性樹脂組成物(III’−5)を得た。この水性樹脂組成物(III’−5)の固形分当たりの芳香環濃度は5.75mol/kgであり、不飽和基濃度は0.4mol/kgであり、酸価は12.5mgKOH/gであった。
(比較例6:水性樹脂組成物(III’−6)の調製)
製造例11で得られたウレタン樹脂(II−5)の不揮発分60質量%溶液1398.2質量部に、製造例1で得られたビニルエステル樹脂(I−1)の不揮発分75質量%溶液1677.9質量部とトリエチルアミン19.8質量部とを加え、イオン交換水3240質量部をゆっくりと添加した。次いで、減圧下、30〜50℃でメチルエチルケトンを除去することによって、不揮発分50質量%の水性樹脂組成物(III’−6)を得た。この水性樹脂組成物(III’−6)の固形分当たりの芳香環濃度は3.32mol/kgであり、不飽和基濃度は2.17mol/kgであり、酸価は10.0mgKOH/gであった。
実施例1〜10で調整した水性樹脂組成物(III−1)〜(III−10)の組成、及び、比較例1〜6で調整した水性樹脂組成物(III’−1)〜(III’−6)の組成を表4に示す。
Figure 2017014307
(調製例1:光硬化性樹脂組成物の調製)
エポキシアクリレート樹脂(DIC株式会社製「UNIDIC V−5500」)70質量部、トリプロピレングリコールジアクリレート30質量部及び光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」)3質量部を混合することによって、光硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例11:積層体(1)の作製)
実施例1で得られた水性樹脂組成物(III−1)100質量部と、カルボジイミド硬化剤(日清紡ケミカル株式会社製「CARBODILITE SV−02」、不揮発分:40重量%、カルボジイミド基当量:430g/eq.)5質量部とイオン交換水51.7質量部を混合・攪拌し、配合液を得た。次いで、膜厚125μmのポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する。)製フィルム基材の表面に、乾燥時膜厚が約1μmとなるように、上記で得られた配合液を塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材表面にプライマー層(P−1)を形成した。
前記プライマー層(P−1)の表面に、調整例1で得られた光硬化性樹脂組成物を、50μmの塗布厚で塗布し、その塗布面に、高圧水銀灯を光源として、照射強度0.5J/cmで紫外線を照射することによって、前記基材の表面にプライマー層を有し、そのプライマー層の表面に光硬化性樹脂組成物の硬化塗膜(以下、「光硬化塗膜」と略記する。)を有する積層体(1)を得た。
(実施例12:積層体(2)の作製)
実施例11で用いたカルボジイミド硬化剤(日清紡ケミカル株式会社製「CARBODILITE SV−02」)に代えて、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック株式会社製「DENACOL EX−614B」、固形分エポキシ当量:171g/eq.、不揮発分:100質量%)3質量部、メラミン硬化剤(DIC株式会社製「BECKAMINE APM」、不揮発分:80重量%)5質量部を用い、イオン交換水65.3質量部と混合・攪拌し配合液を得た。それ以外は、実施例11と同様に行い、プライマー層(P−2)を形成し、積層体(2)を得た。
(実施例13:積層体(3)の作製)
実施例12で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−2)を用い、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック株式会社製「DENACOL EX−614B」)3質量部、メラミン硬化剤(DIC株式会社製「BECKAMINE APM」)5質量部、及びイオン交換水82質量部を混合・攪拌し配合液を得た。それ以外は、実施例11と同様に行い、プライマー層(P−3)を形成し、積層体(3)を得た。
(実施例14:積層体(4)の作製)
実施例13で用いた水性樹脂組成物(III−2)に代えて、水性樹脂組成物(III−3)を用いた以外は、実施例11及び実施例13と同様に行い、プライマー層(P−4)を形成し、積層体(4)を得た。
(実施例15:積層体(5)の作製)
実施例13で用いた水性樹脂組成物(III−2)に代えて、水性樹脂組成物(III−4)を用いた以外は、実施例11及び実施例13と同様に行い、プライマー層(P−5)を形成し、積層体(5)を得た。
(実施例16:積層体(6)の作製)
実施例4で得られた水性樹脂組成物(III−4)100質量部と、イオン交換水50質量部とを混合・攪拌し配合液を得た。それ以外は、実施例11と同様に行い、プライマー層(P−6)を形成し、積層体(6)を得た。
(実施例17:積層体(7)の作製)
実施例12で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−5)を用い、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック株式会社製「DENACOL EX−614B」)3質量部、メラミン硬化剤(DIC株式会社製「BECKAMINE APM」)5質量部、及びイオン交換水15.3質量部を混合・攪拌し配合液を得た。それ以外は、実施例11と同様に行い、プライマー層(P−7)を形成し、積層体(7)を得た。
(実施例18:積層体(8)の作製)
実施例12で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−6)を用いた以外は、実施例11及び実施例12と同様に行い、プライマー層(P−8)を形成し、積層体(8)を得た。
(実施例19:積層体(9)の作製)
実施例12で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−7)を用いた以外は、実施例11及び実施例12と同様に行い、プライマー層(P−9)を形成し、積層体(9)を得た。
(実施例20:積層体(10)の作製)
実施例12で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−8)を用いた以外は、実施例11及び実施例12と同様に行い、プライマー層(P−10)を形成し、積層体(10)を得た。
(実施例21:積層体(11)の作製)
実施例13で用いた水性樹脂組成物(III−2)に代えて、水性樹脂組成物(III−9)を用いた以外は、実施例11及び実施例13と同様に行い、プライマー層(P−11)を形成し、積層体(11)を得た。
(実施例22:積層体(12)の作製)
実施例12で用いた水性樹脂組成物(III−1)に代えて、水性樹脂組成物(III−10)を用いた以外は、実施例11及び実施例12と同様に行い、プライマー層(P−12)を形成し、積層体(12)を得た。
(比較例7:積層体(R1)の作製)
比較例1で得られた水性樹脂組成物(III’−1)100質量部、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック株式会社製「DENACOL EX−614B」)3質量部、メラミン硬化剤(DIC株式会社製「BECKAMINE APM」)5質量部、及びイオン交換水82質量部を混合・攪拌し配合液を得た。それ以外は実施例11と同様に行い、プライマー層(P’−1)を形成し、積層体(R1)を得た。
(比較例8:積層体(R2)の作製)
比較例7で用いた水性樹脂組成物(III’−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−2)を用い、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック株式会社製「DENACOL EX−614B」)3質量部、メラミン硬化剤(DIC株式会社製「BECKAMINE APM」)5質量部、及びイオン交換水5.3質量部を混合・攪拌し配合液を得た。それ以外は、実施例11と同様に行い、プライマー層(P’−2)を作成し、積層体(R2)を得た。
(比較例9:積層体(R3)の作製)
比較例7で用いた水性樹脂組成物(III’−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−4)を用いた以外は、実施例11及び比較例7と同様に行い、プライマー層(P’−3)を作成し、積層体(R3)を得た。
(比較例10:積層体(R4)の作製)
比較例7で用いた水性樹脂組成物(III’−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−5)を用い、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック株式会社製「DENACOL EX−614B」)3質量部、メラミン硬化剤(DIC株式会社製「BECKAMINE APM」)5質量部、及びイオン交換水32質量部を混合・攪拌し配合液を得た。それ以外は、実施例11及び比較例7と同様に行い、プライマー層(P’−4)を作成し、積層体(R4)を得た。
(比較例11:積層体(R5)の作製)
比較例7で用いた水性樹脂組成物(III’−1)に代えて、水性樹脂組成物(III’−6)を用いた以外は、実施例11及び比較例7と同様に行い、プライマー層(P’−5)を作成し、積層体(R5)を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた水性樹脂組成物及び積層体を用いて、下記の評価を行った。
[保存安定性の評価方法]
実施例及び比較例で得た製造直後の水性樹脂組成物及び比較用の水性樹脂組成物を、40℃の環境下に30日間保存した。30日経過後の水性複合樹脂組成物等の外観を目視で観察し、下記基準に基づいて評価した。
◎:凝集物が全く見られず、製造直後のものと比較して変化がなかった。
○:若干の沈殿物が確認されたが、実用上使用可能なレベルであり、また、再度攪拌することによって、沈殿物の再分散が可能であった。
△:沈殿物がやや多く、再度攪拌してもごく一部の沈殿物が残留し、十分に再分散することができなかった。
×:樹脂全量の約50質量%以上が沈殿し、再度の攪拌によっても、再分散ですることができなかった。
[造膜性の評価方法]
膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材の表面に、乾燥時の膜厚が約1μmとなるように前記プライマーを塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材の表面にプライマー層を形成した。
◎;プライマー層の表面を目視観察すると、透明であり、かつ、フィルムを90°に折り曲げてもクラックが発生しなかった。
○;プライマー層の表面を目視観察すると、透明であるがフィルム90°に折り曲げると若干のクラックが発生した。
△;プライマー層の表面を目視観察すると、透明であるがクラックを確認できた。
×;プライマー層の表面を目視観察すると、白化する程のクラックが発現し、プライマー層の一部がポリエチレンテレフタレート基材から容易に剥離していた。
[試験板の作製]
膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材の表面に、乾燥時の膜厚が約1μmとなるようにプライマーを塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材の表面にプライマー層が積層した部材からなる試験板を作製した。
[基材とプライマー層との密着性]
前記方法で作製した試験板のプライマー層の表面に、ニチバン株式会社製の24mm幅の粘着テープを貼付した。
次いで、前記粘着テープを前記プライマー層に対して垂直方向に引張り、前記粘着テープをプライマー層の表面から剥がした際の、前記プライマー層の表面の状態を、下記評価基準に従って目視で評価した。
◎:試験板を構成する基材表面から、全く剥離しない、またはごく一部のプライマー層が剥離したが、その剥離した範囲は、試験版を構成する皮膜の全面積に対して10%未満であった。
○:試験板を構成する基材表面から、一部のプライマー層が剥離したが、その剥離した範囲は、試験板を構成する皮膜の全面積に対して10%以上25%未満であった。
△:試験板を構成するプライマー層の面積に対して25%以上50%未満の範囲のプライマー層が、試験板を構成する基材表面から剥離した。
×:試験板を構成するプライマー層の全面積に対して50%以上の範囲のプライマー層が、試験板を構成する基材表面から剥離した。
[プライマー層と光硬化塗膜との密着性(初期)]
実施例及び比較例で得た積層体を構成する光硬化塗膜の表面に、ニチバン株式会社製の24mm幅の粘着テープを貼付した。
次いで、前記粘着テープを前記光硬化塗膜に対して垂直方向に引張り、前記粘着テープを光硬化塗膜の表面から剥がした際の、前記光硬化塗膜の表面の状態を、下記評価基準に従って目視で評価した。
◎:積層体を構成する基材表面から光硬化塗膜が全く剥離しなかった。
○:積層体を構成する基材表面から、ごく一部の光硬化塗膜が剥離したが、その剥離した範囲は、積層体を構成する光硬化塗膜の全面積に対して25%未満であった。
△:積層体を構成する光硬化塗膜の面積に対して25%以上50%未満の範囲の光硬化塗膜が、積層体を構成する基材表面から剥離した。
×:積層体を構成する光硬化塗膜の全面積に対して50%以上の範囲の光硬化塗膜が、積層体を構成する基材表面から剥離した。
[プライマー層と光硬化塗膜との密着性(耐久試験後)]
前記得られた積層体を温度60℃、相対湿度90%の高温恒湿器に50時間投入した。その後、前記積層体を取り出し、プライマー層と光硬化塗膜との密着性を、前記[プライマー層と光硬化塗膜との密着性(初期)]と同様の方法で評価した。
[屈折率測定]
膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートからなる基材の表面に、乾燥時の膜厚が約5μmとなるように前記プライマーを塗布し、150℃で5分間加熱することによって、前記基材の表面にプライマー層を形成した。次に、この樹脂積層体に対して、METRICON株式会社製モデル2010を用いて屈折率を測定した。なお、造膜不良により、測定ができないものに関しては、測定不可「−」とした。
実施例11〜22で得られた積層体(1)〜(12)の評価結果を表5に示す。
Figure 2017014307
比較例7〜11で得られた積層体(R1)〜(R5)の評価結果を表6に示す。
Figure 2017014307
表5に示した評価結果から、本発明の水性樹脂組成物を用いて形成されたプライマー層は、高屈折率性能を有するとともに、基材との密着性に優れ、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性にも優れることが確認できた。
一方、表6に示した評価結果は、比較例1〜6の水性樹脂組成物を用いて形成された積層体の例である。活性エネルギー線硬化性組成物の硬化塗膜との密着性が著しく不十分であることが確認できた。

Claims (8)

  1. ビニルエステル樹脂(A)及び芳香環を有するウレタン樹脂(B)が、水性媒体(C)中に分散された水性樹脂組成物であって、
    前記ビニルエステル樹脂(A)が、ノボラック型エポキシ樹脂及びビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる1種以上のエポキシ樹脂(a1)と、酸基及び重合性不飽和基を有する化合物(a2)とを反応させて得られたものであり、
    前記ビニルエステル樹脂(A)の一部又は全部が、前記ウレタン樹脂(B)粒子中に内在して樹脂粒子(D)を形成したものであり、
    前記樹脂粒子(D)中の芳香環濃度が、3.5mol/kg以上であり、
    前記樹脂粒子(D)中の不飽和基濃度が、1mol/kg以上であることを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂粒子(D)の酸価が、5mgKOH/g以上である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記ウレタン樹脂(B)が、芳香環を有するポリオール(b1−1)及び親水性基を有するポリオール(b1−2)を含有するポリオール(b1)と、ポリイソシアネート(b2)とを反応させて得られたものである請求項1記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記ウレタン樹脂(B)中の芳香環濃度が、4〜6.5mol/kgの範囲である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  5. 前記化合物(a2)がアクリル酸又はメタクリル酸である請求項1記載の水性樹脂組成物。
  6. 基材の表面に、請求項1〜5のいずれか1項記載の水性樹脂組成物を用いて形成されたプライマー層を有し、前記プライマー層の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物を用いて形成された硬化塗膜を有することを特徴とする積層体。
  7. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、重合性不飽和基を有する樹脂と、重合性不飽和基を有する単量体とを含有するものである請求項6記載の積層体。
  8. 請求項6又は7記載の積層体を有することを特徴とする物品。
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