JP2017095390A - 除草剤及び植物成長抑制剤 - Google Patents
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Abstract
Description
例えばD−プシコースの植物分野における提案としては、D−プシコースの植物病害抵抗性増幅剤としての使用(特許文献1)や、植物の休眠打破や環境ストレス耐性といった植物の全身獲得抵抗性誘導の有効成分としてのD−プシコースの使用(特許文献2)などがある。
これらの報告や提案において、上記D−プシコースは、例えばフルクトースを酵素エピメラーゼ処理する方法(特許文献3)より得られるものが、一般に使用されている。
本発明は、これまでに提案のないズイナ葉自体の摺砕物や搾汁等のズイナ原料と焼成貝殻の消化粉末とを含有する新規な除草剤又は植物成長抑制剤を提供することを課題とする。
前記除草剤は、前記ズイナ原料の総質量に対して、前記焼成貝殻の消化粉末を0.00
1質量%〜10質量%にて含むことが好ましい。
また除草剤に含まれる前記焼成貝殻の消化粉末は、ホタテ貝殻又はその粉砕物を原料とする焼成貝殻の消化粉末であることが好ましい。また前記焼成貝殻の消化粉末が、0.5〜10μmの平均粒径を有する微粉末形態であるものを使用することが好ましい。
前記植物成長抑制剤は、前記ズイナ原料の総質量に対して、前記焼成貝殻の消化粉末を0.001質量%〜10質量%にて含むことが好ましい。
また植物成長抑制剤に含まれる前記焼成貝殻の消化粉末は、ホタテ貝殻又はその粉砕物を原料とする焼成貝殻の消化粉末であることが好ましい。また前記焼成貝殻の消化粉末が、0.5〜10μmの平均粒径を有する微粉末形態であるものを使用することが好ましい。
また本発明は、貝殻又はその粉砕物、好ましくは前記貝殻又はその粉砕物が、ホタテ貝殻又はその粉砕物を加熱し、800℃乃至1500℃の温度下にて焼成して焼成粉末を得る焼成工程、及び続いて700℃乃至1200℃の温度下にて前記焼成粉末に加水し、水和(消化)させて水酸化カルシウム主体の消化粉末を得る消化工程、を含む成長抑制相乗剤の製造方法を対象とする。
上記除草剤又は植物成長抑制剤に使用するズイナ原料は、ズイナ葉やズイナ樹液といった植物原料からなるものであるため、施用土壌や植物体、種子に対する毒性が低い。また上記除草剤又は植物成長抑制剤に使用する焼成貝殻の消化粉末は、食品添加物としても使用される水酸化カルシウムを主成分とするため、安定性・安全性が高く、また安価である。したがって本発明の除草剤又は植物成長抑制剤は、土壌等に対する安全性と経済性の観点からも有利な製剤である。
また本発明の除草剤又は植物成長抑制剤は、ズイナ葉の摺砕物や搾汁等のズイナ原料と、除草相乗剤又は成長抑制相乗剤として水酸化カルシウムを主成分とする焼成貝殻の消化粉末とを配合するだけで調製し得、上述の除草効果・植物成長抑制効果を発揮させることができる。
上述したように、ズイナ属の植物のD−プシコース含有量はごく微量であることから、ズイナ自体からD−プシコースを抽出しこれを実用化することは困難とされ、そのため植物分野等における新素材の原料としてのズイナ自体の採用は見送られてきた。
ところが驚くべきことに、本発明者らは、ズイナ葉の摺砕物等のズイナ原料と焼成貝殻の消化粉末とを組み合わせたところ、ズイナに含まれるD−プシコースは微量であるものの、雑草の生育を選択的に防除することができることを見出し、本発明の完成に至った。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
ズイナ原料としては、ズイナ葉を破砕、粉砕、摺砕、ペースト化、あるいは搾汁して得られる破砕物、粉砕物、摺砕物、ペースト及び搾汁が使用され、またズイナの樹液を使用することもできる。
これら破砕、粉砕、摺砕、ペースト化、あるいは搾汁は当業者に既知の手段及び装置にて実施し得る。例えば上記ズイナ葉を、マイクロカッター、フードプロセッサー、ミキサー、ジューサー、ブレンダー等を用いて破砕、粉砕、摺砕でき、またその後に既知のペースト化法(スラリー化法、磨砕法)を適用することによってペースト状とすることができる。また搾汁の調製方法としては、ズイナ葉をフードカッター、マスコロイダー、スクリュープレス処理などを経て実施し得、その後所望により粗繊維を除去してもよい。
なお上記ズイナ葉の破砕物、粉砕物、摺砕物、ペースト及び搾汁や、ズイナ樹液の処理物も使用することもできる。該処理物としては、凍結物、乾燥物、濃縮物又は希釈物が挙げられる。
する原料であることが好ましい。あるいは上記ズイナ原料は、原料100g当たり0.01mg乃至10mg程度、好ましくは0.05mg乃至8mg、より好ましくは0.5mg乃至5mg、最も好ましくは1mg乃至5mg含有する原料であってもよい。さらに上記ズイナ原料は、原料100g当たり10mg乃至1000mg程度、例えば100mg乃至800mg、好ましくは300mg乃至600mg含有する原料であってもよい。
このようにズイナ原料自体に含まれるプシコースは少量といえるものの、後述する除草相乗剤・成長抑制相乗剤によって、雑草の生育を選択的に防除する点に関して相乗的な効果を得ることができる。
本発明に使用する除草相乗剤・成長抑制相乗剤は、水酸化カルシウムを主成分とするもの、すなわち水酸化カルシウムを90質量%以上含むものであり、好ましくは95質量%以上の水酸化カルシウムを含む焼成貝殻の消化粉末からなるものである。
これらの貝殻は、そのまま、または粉砕して貝殻粉末(或いは粒状物)とし、800℃〜1500℃で、より好ましくは850℃〜1200℃で、例えば炭酸ガスを導入しながら焼成する。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。焼成時間は焼成温度等によって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、10〜120分、好ましくは15〜90分である。こうした焼成処理により、不要な有機物を熱分解によって除去する。
焼成後、続いて700℃乃至1200℃の温度下にて、加水し水和(消化)させて水酸化カルシウム主体の焼成物(粉末)を得る。
焼成又は水和(消化)の過程で、必要に応じてさらに粉砕を行い、最終的には平均粒径0.1〜500μm、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは0.5〜40μm、最も好ましくは0.5〜10μmの微粉末形態の焼成貝殻の消化粉末を得る。微粒子の粒径をより細かくすることにより、除草相乗剤・成長抑制相乗剤とズイナ原料と均一に混合させることができ、すなわち除草相乗剤・成長抑制相乗剤としての効果をムラなく発揮させ、ひいては除草剤・植物成長抑制剤としての効果をムラなく発揮させることができる。
本発明の除草剤・植物成長抑制剤は、ズイナ原料と焼成貝殻の消化粉末からなる除草相乗剤又は成長抑制相乗剤とを混合することで製造され得、好ましくは前記ズイナ原料の総質量に対して、前記除草相乗剤又は成長抑制相乗剤を0.001質量%〜10質量%にて、より好ましくは0.01質量%〜5質量%にて、例えば、0.05質量%〜1質量%にて配合してなることが好ましい。
前記除草相乗剤又は成長抑制相乗剤の配合量が、上記数値範囲未満、並びに、上記数値範囲を超えた場合のいずれにおいても、所望とする除草・植物成長抑制効果、とりわけ栽培植物の栽培において雑草を選択的に防除する効果(相乗効果)を十分に得にくくなる。
本発明の除草剤・植物成長抑制剤は、水田、畑地、稲等の育苗箱や、園芸作物のセルトレイ等、さらには、家庭菜園やガーデニング等の土壌、プランターなどのコンテナ等の種々に施用することができ、該除草剤・植物成長抑制剤を施用する際の施用量は、施用箇所や目的とする防除植物の種類によって適宜選択可能である。例えば土壌やコンテナにおいて、1m2当たり10g〜10000g、例えば50g〜5000gの量で施用してもよい。
なお本発明の除草剤・植物成長抑制剤は、目的とする植物(栽培植物)の成長後、例えば発芽後に適用することが望ましい。当該目的とする植物が成長(発芽)する前に除草剤・植物成長抑制剤を施用すると、雑草だけでなく、目的の植物の生育も防除する虞がある。
ホタテ貝の貝殻を粉砕した後、1200℃で1時間焼成した。焼成物に水を加えて消化し、得られた消化物(水酸化カルシウム主体)を粉砕機でさらに微粉砕して、平均粒径が10μmの粉末状の焼成貝殻の消化粉末(除草相乗剤)を製造した。なお、該焼成貝殻の消化粉末を元素分析した結果、カルシウムを99%以上含む点が確認され、また熱重量分析した結果、水酸化カルシウムを95.7質量%含む点が確認された。
一方、ズイナ葉(生)は、これを乳鉢ですりつぶしてズイナ原料(ズイナ葉摺砕物)とした。
そして上記ズイナ原料の総質量に対して、上記除草相乗剤を0.5質量%加え、本発明の除草剤とした。
本発明の除草剤による除草効果(植物育成阻害効果)を検証するべく、以下の手順にて試験を実施した。
プラスチック容器(縦17cm×横11cm×高さ6cm)を準備し、ここにカット綿(大きさ:14.5cm×7.5cm)を入れた。そして、該容器に水道数100mLを入れ、カット綿を十分に湿らせた。この試験培地を3種準備し、A:水道水のみ(ブランク)、B:製造例1で調製した除草剤を種子の発芽前に添加、C:製造例1で調製した除草剤を種子の発芽後に添加、に検体を分類した。
前述のカット綿を水道水で湿らせた後、B検体のみさらに製造例1で調製した除草剤6.0gを入れ、カット綿全体に除草剤を広げた。その後、A〜Cの全ての検体(試験培地)に、カイワレ種子を28粒ずつ播種し、常温(20℃)にて14日間カイワレを生育した。なお、C検体は播種後、カイワレの発芽を確認し、7日目に製造例1で調製した除草剤6.0gを入れた。またA〜C検体のいずれにおいても、培地(カット綿)が乾燥しない程度に、水道水のみを適宜添加した。
生育1日目〜14日目におけるA〜C検体のカイワレの育成状況を示す写真を図1〜図
7に示す。
図4に示すように生育7日目において、B検体においてもようやく一部の葉が育ち始め、一方A及びC検体では葉が大きく育ち始め、ここでC検体に除草剤6gを添加した。
図4〜図7に示すように、生育8日目(図4)、生育9日目〜10日目(図5)、生育11日目〜12日目(図6)、生育13日目〜14日目(図7)において、A検体とC検体には差がみられず、カイワレ葉が順調に成長しているのにもかかわらず、B検体は発芽した状態のままで葉がほとんど成長しておらず、成長が停止したとみられる結果となった。
Claims (13)
- ズイナ葉の破砕物、粉砕物、摺砕物、ペースト及び搾汁、並びにズイナ樹液からなる群から選択される少なくとも一種のズイナ原料、及び
水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末からなる除草相乗剤、
を含有する除草剤。 - 前記ズイナ原料の総質量に対して、前記除草相乗剤を0.001質量%〜10質量%にて含む、請求項1に記載の除草剤。
- 前記焼成貝殻の消化粉末が、ホタテ貝殻又はその粉砕物を原料とする焼成貝殻の消化粉末である、請求項1又は請求項2に記載の除草剤。
- 前記焼成貝殻の消化粉末が、0.5〜10μmの平均粒径を有する微粉末形態である、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の除草剤。
- ズイナ葉の破砕物、粉砕物、摺砕物、ペースト及び搾汁、並びにズイナ樹液からなる群から選択される少なくとも一種のズイナ原料、及び
水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末からなる成長抑制相乗剤、
を含有する植物成長抑制剤。 - 前記ズイナ原料の総質量に対して、前記成長抑制相乗剤を0.001質量%〜10質量%にて含む、請求項5に記載の植物成長抑制剤。
- 前記焼成貝殻の消化粉末が、ホタテ貝殻又はその粉砕物を原料とする焼成貝殻の消化粉末である、請求項5又は請求項6に記載の植物成長抑制剤。
- 前記焼成貝殻の消化粉末が、0.5〜10μmの平均粒径を有する微粉末形態である、請求項5乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の植物成長抑制剤。
- ズイナ葉の破砕物、粉砕物、摺砕物、ペースト及び搾汁、並びにズイナ樹液からなる群から選択される少なくとも一種のズイナ原料と、水酸化カルシウムを90質量%以上含む焼成貝殻の消化粉末とを含有する混合物を、土壌又は植物体、種子に施用する工程を含む、望ましくない植物生育を選択的に防除する方法。
- 貝殻又はその粉砕物を加熱し、800℃乃至1500℃の温度下にて焼成して焼成粉末を得る焼成工程、及び
続いて700℃乃至1200℃の温度下にて前記焼成粉末に加水し、水和(消化)させて水酸化カルシウム主体の消化粉末を得る消化工程、を含む、
除草相乗剤の製造方法。 - 前記貝殻又はその粉砕物が、ホタテ貝殻又はその粉砕物である、請求項10に記載の除草相乗剤の製造方法。
- 貝殻又はその粉砕物を加熱し、800℃乃至1500℃の温度下にて焼成して焼成粉末を得る焼成工程、及び
続いて700℃乃至1200℃の温度下にて前記焼成粉末に加水し、水和(消化)させて水酸化カルシウム主体の消化粉末を得る消化工程、を含む、
成長抑制相乗剤の製造方法。 - 前記貝殻又はその粉砕物が、ホタテ貝殻又はその粉砕物である、請求項12に記載の成長抑制相乗剤の製造方法。
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