JP2017094951A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速時のエンジントルクの補正によって加速度が目標から大きく外れることを防止する。
【解決手段】エンジンの出力側に連結されている自動変速機でのクラッチ・ツウ・クラッチ変速の際に、エンジンの出力トルクをエンジン回転数が予め定めた目標回転数に一致するようにフィードバック制御によって補正する変速制御装置であって、フィードバック制御による補正量が予め定めたしきい値以上になったことを判定し、その判定が成立した場合に、係合側のクラッチの伝達トルク容量を、エンジンの回転数が目標回転数に一致するように補正する。
【選択図】図2
【解決手段】エンジンの出力側に連結されている自動変速機でのクラッチ・ツウ・クラッチ変速の際に、エンジンの出力トルクをエンジン回転数が予め定めた目標回転数に一致するようにフィードバック制御によって補正する変速制御装置であって、フィードバック制御による補正量が予め定めたしきい値以上になったことを判定し、その判定が成立した場合に、係合側のクラッチの伝達トルク容量を、エンジンの回転数が目標回転数に一致するように補正する。
【選択図】図2
Description
本発明は、複数の変速段を設定できる有段式の自動変速機における変速を制御する装置に関するものである。
有段式の自動変速機は、各変速段を設定するための係合機構を有し、係合機構の係合および解放の状態を切り換えることにより変速が達成される。その変速の過程では、係合および解放状態から切り換えられる係合機構の伝達トルク容量が変化し、それに伴って出力軸トルク(駆動トルク)やエンジン回転数が変化する。そして、その変速が変速前の変速段で係合していた係合機構を解放し、かつ変速後の変速段を設定する係合機構を係合させるいわゆるクラッチ・ツウ・クラッチ変速の場合、それらの係合機構の過渡的な伝達トルク容量の過不足によって駆動トルクの落ち込みやエンジン回転数の吹き上がりあるいは変速ショックが生じることがある。
特許文献1には、このような不都合を解消するために、変速機に入力されるトルクをフィードバック制御するように構成した装置が記載されている。特許文献1に記載された装置は、エンジンのトルクをモータ・ジェネレータによって制御できるように構成された車両における変速機を対象とする制御装置であり、変速中のエンジン回転数を目標回転数に一致もしくは追従させるように、モータ・ジェネレータのトルクをフィードバック制御している。
変速中にエンジントルクを制御する他の例として、特許文献2には、パワーオンダウンシフトの際にエンジントルクを補正するように構成された装置が記載されている。この特許文献2に記載された装置は、パワーオンダウンシフト時の入力回転数についての目標値と実際値との偏差に基づいてエネルギの過不足分を算出し、算出されたエネルギの過不足分に応じてエンジントルクを補正するように構成されている。
さらに、特許文献3には、内燃機関と電動機とを駆動力源として備えた車両における変速機を対象とする制御装置であって、変速中に駆動力源が出力するトルクを制御するように構成された装置が記載されている。この特許文献3に記載された装置は、入力部材の回転速度を変化させるべく駆動力源の出力トルクを制御する際に、電動機が出力するトルクの絶対値が所定のしきい値を超えた場合に、内燃機関と電動機との両方で、回転変化指令値に応じたトルクを出力するように構成されている。
特許文献1ないし3に記載された各装置は、変速中の入力回転数などの所定の回転数に目標値を設定し、実際の回転数がその目標値に一致もしくは追従するようにエンジンなどの駆動力源のトルクを制御している。しかしながら、入力回転数などの回転数は、駆動力源のトルクだけでなく変速の際に係合および解放の状態が切り換えられる係合機構のトルクのバラツキを要因としても変化する。そのため、実回転数の目標回転数に対する偏差には、係合機構のトルクのバラツキに起因する偏差が含まれる場合がある。特許文献1ないし3に記載されているように駆動力源のトルクを補正制御する構成では、係合機構のトルクのバラツキが大きいことにより、補正の原因となる前記偏差が大きい場合には、駆動力源のトルクを大きく補正することになる。そのため、変速中あるいは変速の終了時などに、駆動力源のトルクの補正量が大きいことによって、加速度が目標値から大きく外れてしまう可能性がある。
本発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、変速の際の駆動力源のトルクの補正量もしくは制御量を抑制して、加速度が過剰に変化したり、あるいはショックが生じたりすることを回避もしくは抑制することのできる変速制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記の目的を達成するために、変速前の第1変速段で係合させられる第1摩擦係合機構と、変速後の第2変速段で係合させられる第2摩擦係合機構とを有する自動変速機がエンジンの出力側に連結され、前記第1摩擦係合機構の伝達トルク容量を低下させるとともに前記第2摩擦係合機構の伝達トルク容量を増大させて前記第1変速段から前記第2変速段へ変速する際に、前記エンジンの出力トルクを前記エンジンの回転数が予め定めた目標回転数に一致するようにフィードバック制御によって補正する自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック制御による前記補正の補正量が予め定めたしきい値以上になったことを判定し、前記判定が成立した場合に、前記第2摩擦係合機構の前記伝達トルク容量を、前記エンジンの回転数が前記目標回転数に一致もしくは追従するように補正するように構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、変速の際にエンジンの回転数が目標回転数に一致するように変化させることができるので、変速ショックや変速の遅れなどを生じることなくスムースな変速を行うことができる。特に、エンジンの出力トルクのフィードバック制御による補正量を予め定めたしきい値の範囲内に抑制し、しきい値以上の補正量が必要な場合には、係合側の第2摩擦係合機構の伝達トルク容量を補正することにより、エンジンの回転数を目標回転数に一致もしくは追従させるので、エンジンの出力トルクが、摩擦係合機構の伝達トルク容量のバラツキに起因するエンジン回転数の目標回転数からの乖離を是正するように補正されることを防止もしくは抑制することができる。そのため、エンジンの出力トルクが過度に補正されたり、それに伴って加速度が目標もしくは意図する加速度から大きく外れることを防止もしくは抑制し、違和感のない変速を実行することができる。
図1は本発明で対象とする自動変速機を有する車両のパワートレーンを模式的に示しており、駆動力源であるエンジン(内燃機関)1の出力側に自動変速機2が連結されている。自動変速機2は、変速比が互いに異なる複数の変速段を設定することのできる有段変速機であり、クラッチやブレーキなどの係合機構(以下、単にクラッチと記す)の係合および解放の組み合わせに応じた変速段(変速比)が設定されるように構成されている。そのクラッチは、一例として、油圧によって係合および解放させられ、また油圧に応じた伝達トルク容量を持つ油圧式の摩擦係合機構である。図1には、所定の低速側の変速段で係合させられるクラッチC1と、その低速側の変速段より高速側の他の変速段で係合させられるクラッチC2とを模式的に示してある。なお、これらのクラッチC1,C2のいずれか一方が、本発明の実施形態における第1摩擦係合機構に相当し、他方が本発明の実施形態における第2摩擦係合機構に相当する。自動変速機2の出力側にプロペラシャフト3が連結され、そのプロペラシャフト3は終減速機であるデファレンシャルギヤ4に連結されている。そのデファレンシャルギヤ4から左右の車軸5を介して駆動輪6に駆動力(駆動トルク)を伝達するように構成されている。
エンジン1は、燃料の供給や点火時期あるいは燃焼気筒数を電気的に制御できるように構成されている。その制御を行うための電子制御装置(E−ECU)7が設けられている。このE−ECU7は、マイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータや予め記憶しているデータを使用して演算を行い、その演算の結果を制御指令信号としてエンジン1に出力するように構成されている。このE−ECU7には、車速センサ8やアクセル開度センサ9、エンジン回転数センサ(図示せず)などが連結され、車両の走行状態を示すデータとして車速やアクセル開度、エンジン回転数などが各センサからE−ECU7に入力されている。
自動変速機2は、上記のクラッチの係合および解放の状態に応じて所定の変速段に設定される歯車変速機構と、その歯車変速機構の入力側に配置されたトルクコンバータ(図示せず)とを備えている。なお、歯車変速機構は例えば前掲の特許文献1に記載されている構成と同様の構成の機構であってよい。また、トルクコンバータはロックアップクラッチを有する従来知られている構成のものであってよい。そのロックアップクラッチや前述したクラッチの係合や解放の制御を主として行う油圧制御部10が設けられている。油圧制御部10は、電気的に制御されるバルブ(図示せず)によってライン圧を制御し、またロックアップクラッチやクラッチなどに対する油圧の供給および排出、ならびにクラッチの伝達トルク容量を設定するための油圧などを制御するように構成されている。この油圧制御部10は、従来知られている車両用自動変速機に備えられている油圧制御部と同様の構成のものであってよい。
油圧制御部10を介して自動変速機2を制御するための電子制御装置(T−ECU)11が設けられている。このT−ECU11は、マイクロコンピュータを主体として構成されており、上記のE−ECU7とデータ通信可能に接続されている。また、T−ECU11は、車速やアクセル開度などのデータが入力され、それらの入力されたデータおよび予め記憶しているデータを使用して演算を行い、演算結果を制御指令信号として油圧制御部10に出力するように構成されている。T−ECU11が予め記憶しているデータには、変速線図が含まれる。変速線図は、一例として、車速とアクセル開度とによって変速段の領域を定めた線図であって、アップシフト線とダウンシフト線とが定められ、車速とアクセル開度とによって決まる走行状態がアップシフト線を横切るように変化することによりアップシフトの判断が成立し、また走行状態がダウンシフト線を横切るように変化することによりダウンシフトの判断が成立するように構成されている。
車速の増大によってアップシフトの判断が成立し、そのアップシフトがクラッチC1を解放し、かつクラッチC2を係合させる変速(クラッチ・ツウ・クラッチ変速)の場合、本発明の実施形態における変速制御装置は、以下に説明する制御を実行するように構成されている。図2にその制御の一例をフローチャートで記載してあり、ここに示す各ステップでの制御は、クラッチ・ツウ・クラッチ変速のアップシフトの際に、前述したE−ECU7あるいはT−ECU11によって実行される。したがってこれらE−ECU7およびT−ECU11が、コントローラに相当している。図2に示す制御例では、実行することの判断が成立している変速の際の目標エンジン回転数Net、および目標エンジントルクTetとが算出される(ステップS1)。目標エンジン回転数Netは、実行するべき変速の際のトルク相では、変速前の変速段である低速段での同期回転数に所定の付加回転数を加えた回転数であってよく、またイナーシャ相終了時では、変速後の変速段である高速段での同期回転数に次第に一致する回転数であってよく、さらにイナーシャ相の開始後で高速段の同期回転数に到る過程では設計上定めた勾配で変化する回転数であってよい。なお、同期回転数は出力軸回転数と変速比とから求まる回転数である。
また、目標エンジントルクTetは、アクセル開度と車速とに基づいて求めることができる。すなわち、車両に要求される駆動力は、アクセル開度と車速とをパラメータとしてマップなどの形で予め決めておくことができるから、変速判断が成立した時点のアクセル開度および車速に基づいて目標駆動力を求め、その目標駆動力と車速とから目標出力(要求パワー)を求め、その要求パワーとエンジン回転数とに基づいて目標エンジントルクTetを求めることができる。こうして求められる目標エンジントルクを出力するようにフィードフォワード(FF)制御によってエンジン1が制御される。
ついで、実際のエンジン回転数Nerを上記の目標エンジン回転数Netに一致もしくは追従させるようにエンジントルクをフィードバック(FB)制御によって補正するための補正量が算出される(ステップS2)。
ステップS2で求められたフィードバック補正量(FB補正量)の絶対値が予め定められたしきい値以上か否かが判断される(ステップS3)。変速中の実エンジン回転数Nerは、エンジントルクのバラツキや変速を実行する摩擦係合機構のトルク(伝達トルク容量)のバラツキなどによっても生じ、そのようなトルクのバラツキに起因する実エンジン回転数Nerと目標エンジン回転数Netとの偏差を解消するように上記のFB制御が実行される。したがってそのFB制御による補正量には、エンジントルクのバラツキに起因する偏差を解消するための補正量だけでなく、摩擦係合機構のトルクのバラツキに起因する偏差を解消するための補正量が含まれる。そのため、エンジントルクのバラツキに加えて摩擦係合機構のトルクのバラツキが生じると、エンジントルクの補正量が大きくなる。なお、補正量は、上記のバラツキの方向(トルクの増大方向または減少方向)に応じて負の値または正の値になる。ステップS3の制御はそのようなエンジントルクの補正量の増大を抑制するために実行される。したがって、そのしきい値は、具体的には、エンジントルクのバラツキの範囲程度の値が設定される。エンジントルクのバラツキの幅は、増大側および減少側のそれぞれに数%ないし十数%程度であり、実験によって求められる。
ステップS3で否定的に判断された場合には、エンジントルクが前述したステップS1で算出した目標エンジントルクTetから外れるとしても、そのトルクの偏差(補正量)は、エンジン1が元来持っているトルクのバラツキの範囲内である。したがって、この場合は特に新たな制御を開始することなく、図2のルーチンを一旦終了する。そして、エンジントルクが上記のステップS2で算出されたFB補正量によって補正される。
これに対してステップS3で否定的に判断された場合には、クラッチトルク補正量が算出される(ステップS4)。すなわち、算出されたFB補正量がしきい値以上に大きい場合には、クラッチC2のトルクのバラツキが大きいと見做し、しきい値を超えた分の補正は、クラッチC2によって行うこととしたのである。クラッチ補正量は、上記の変速で係合させられるクラッチC2の伝達トルク容量を補正する量であり、エンジントルクの補正に加えてクラッチC2の伝達トルク容量を補正するために算出される。実エンジン回転数Nerを目標エンジン回転数Netに一致もしくは追従させるためのエンジントルクの補正量が前記しきい値以上の場合には、エンジントルクを上記のしきい値以上には補正せずに、係合側のクラッチC2の伝達トルク容量を補正して実エンジン回転数Nerを目標エンジン回転数Netに一致もしくは追従させる。したがって、クラッチトルク補正量は、上記のステップS2で算出されたFB補正量の絶対値から上記のしきい値を減算することにより算出される。
その後、図2のルーチンが一旦終了する。そして、FF制御による目標エンジントルクTetが上記のしきい値まで補正されてエンジントルクが制御され、併せてステップS4で算出されたクラッチトルク補正量によってクラッチC2のトルク(伝達トルク容量)が制御される。エンジントルクの補正は、吸入空気量(スロットル開度)や燃料噴射量を変更することにより、あるいは点火時期を遅角もしくは進角することにより行えばよい。また、クラッチC2のトルクは、トルク相では、解放側のクラッチC1のトルク(もしくは油圧)に基づいて運動方程式から求められており、したがってその補正は、運動方程式から算出された値を補正し、それに基づいてクラッチC2の油圧を補正すればよい。
なお、上記の係合側のクラッチC2についての補正量は学習値として取り込んで次回の変速の際の制御量に反映させてもよい。したがって、本発明の実施形態における「補正」は、学習補正を含む。
上記の制御をクラッチ・ツウ・クラッチ変速のアップシフトの際に実行した場合の変速段、エンジン回転数、各クラッチC1,C2の油圧(もしくはその指令値:以下、油圧と記す。)、エンジントルク、FB補正量、アウトプットトルクの各変化を図3にタイムチャートで模式的に示してある。また、図4には、FB補正トルク量と係合側のクラッチC2のトルクとを抜き出して記載してある。
図3において、アップシフトの判断が成立したt0時点では、解放側のクラッチC1が係合していてそのトルクが大きくなっており、係合側のクラッチC2が解放していてそのトルクが「0」になっている。その直後のt1時点に解放側のクラッチC1のトルクが、ドライバーの要求駆動力を伝達できる最低トルクに向けて低下させられる。これとほぼ同時に係合側のクラッチC2のトルクが、解放側のクラッチC1のトルクの低下に応じて増大させられる。解放側のクラッチC1のトルクが上記の最低トルクに達した(t2時点)直後にそのクラッチC1のトルクがスイープダウンされる(t3時点)。
エンジン回転数には変速前の変速段での同期回転数より僅かに高回転数の目標回転数(目標エンジン回転数Net)が設定されており、エンジントルクおよび各クラッチC1,C2のトルクは、実際のエンジン回転数(実エンジン回転数Ner)が目標エンジン回転数Netに一致もしくは追従するように制御される。したがって、解放側のクラッチC1のトルクは、同期回転数をエンジン回転数の目標値とする従来の制御でのトルク(図3に破線で示してある)より小さくなり、それに伴って係合側のクラッチC2のトルクは上記従来の制御でのトルク(図3に破線で示してある)より大きくなる。また、エンジントルクのFF制御による目標トルクは、目標エンジン回転数Netが同期回転数より高回転数であることにより上記従来の制御での目標トルク(図3に破線で示してある)より大きいトルクとなる。そして、エンジントルクは、前述した実エンジン回転数Nerが目標エンジン回転数Netに一致もしくは追従するようにフィードバック制御によって補正される。その補正トルクの変化の一例は図3に示すとおりである。
変速時におけるエンジン1の目標回転数を、トルク相では、上記のように、同期回転数より高い回転数に設定して、エンジントルクをフィードバック制御し、また係合側のクラッチC2のトルクを上記のように制御することにより、アウトプットトルクの落ち込みが、上記従来の制御の場合より小さくなる。
解放側のトルクC1のトルクがほぼ「0」に達するとともに、係合側のクラッチC2のトルクが滑りを生じることなくトルクを伝達できる程度に増大すると、係合側のクラッチC2のトルクがその時点のトルクに維持され、その直後にイナーシャ相が開始する(t4時点)。イナーシャ相の開始は、例えばエンジン回転数が変速後の変速段での同期回転数に向けて変化し始めたことによって判定することができる。
図3に示す例はアップシフトの例であるから、イナーシャ相ではエンジン回転数を変速後の変速段での同期回転数に向けて低下させることになる。アップシフトの場合、係合側のクラッチC2のトルクが大きくなることによりエンジン1などの回転部材の回転数が変速後の変速段での同期回転数に向けて引き下げられるので、エンジン回転数の低下を促進するために点火時期の遅角などによってエンジントルクが低下させられる。本発明の実施形態では、イナーシャ相の初期におけるエンジントルクの低下を、目標エンジン回転数Netの低下に合わせて行う。その場合もFF制御によるエンジントルク指令値を、実エンジン回転数Nerと目標エンジン回転数Netとの偏差に基づくFB制御によって補正する。
イナーシャ相における目標エンジントルクは、イナーシャ相の終期において増大させられる。これは、目標エンジン回転数Netを変速後の変速段での同期回転数に徐々に近づけさせるように設定してあること、すなわち目標エンジン回転数Netと変速後の変速段での同期回転数との偏差の単位時間当たりの減少率を次第に小さくしていることに基づいて、実エンジン回転数Nerの低下勾配を小さくするためである。言い換えれば、実エンジン回転数Nerが変速後の変速段での回転数に同期する際の回転角速度を小さくして、慣性トルクによるショックを防止もしくは抑制するためである。このように、イナーシャ相においても実エンジン回転数Nerを目標エンジン回転数Netに一致もしくは追従させるためのエンジントルクのフィードバック制御が行われる。
イナーシャ相における従来の制御による係合側のクラッチのトルクの変化を図3に破線で示してあり、係合側のクラッチのトルクは、イナーシャ相の終了直前で一旦、僅かに低下させられるものの、所定の勾配で増大し続ける。また、エンジントルクの変化を図3に破線で示してあり、エンジントルクはイナーシャ相の終了直前まで点火時期の遅角制御などによって低下させた一定値に維持される。そして、従来の制御によるエンジン回転数の変化は図3に破線で示すように、本発明の実施形態での制御による場合よりも高い回転数で変化する。また、従来の制御によるアウトプットトルクは、本発明の実施形態での制御による場合よりも低いトルクで推移する。
エンジン回転数が変速後の変速段の同期回転数に達すると(t5時点)、イナーシャ相が終了し、エンジントルクのFB制御が終了する。FB制御は、例えばPID制御であり、その終了時には積分項などの値として補正量が残っており、その残存して補正量が制御の終了によって出力される。そのため、エンジントルクがイナーシャ相終了時のトルク程度のトルクになり、アウトプットトルクがエンジントルクに応じたトルクに維持される。このようにFB制御の終了による変化が生じている期間(t5時点からt6時点までの期間)を図3には「終了時」として記載してある。なお、係合側のクラッチC2のトルクはイナーシャ相の終了によって前記油圧制御部10におけるライン圧に応じたトルクに増大させられる。
従来の制御では、本発明の実施形態におけるようにFB制御を行っていないことにより、アウトプットトルクは図3に破線で示すように、低いトルクで推移し、これが駆動力の落ち込みを増大させる要因になっている。
本発明の実施形態による変速制御では、トルク相の開始からイナーシャ相の終了に到るまでの間、エンジン回転数に目標回転数を設定し、実際のエンジン回転数がその目標回転数に一致もしくは追従するようにエンジントルクのFB制御を行う。FB制御によるエンジントルクの補正量は、実エンジン回転数Nerと目標エンジン回転数Netとの偏差に応じた補正量となり、その補正量の一例を図4に示してある。
実エンジン回転数Nerは変速制御中のエンジントルクやクラッチC1,C2のトルクのバラツキによって変動し、それに伴って実エンジン回転数Nerと目標エンジン回転数Netとの偏差が変化するから、補正量がエンジントルクやクラッチC1,C2のトルクのバラツキによって変動する。エンジントルクのバラツキの程度は、エンジン1の種類ごとにおおよそ決まっていて予め測定しておくことができる。エンジントルクの補正量がエンジントルクのバラツキの範囲を超えている場合には、エンジントルクがその時点の制御目標から大きく外れることになる。そのため、前記補正量にはしきい値が設定されており、図4にはそのしきい値を破線で示してある。そのしきい値は、例えば目標エンジントルクの増大側および減少側のそれぞれに数%ないし十数%程度の値である。
実エンジン回転数Nerと目標エンジン回転数Netとの偏差に基づいて算出された補正量が上記のしきい値を超えた場合には、エンジントルクの補正量は上記のしきい値に制限される。そして、補正量のうちしきい値を超えている分は、係合側のクラッチC2のトルクを補正することにより補われる。すなわち、実エンジン回転数Nerと目標エンジン回転数Netとの偏差に基づいて算出された補正量がしきい値を超えている場合には、上記の偏差を生じさせている要因が、イナーシャ相においては係合側のクラッチC2のトルクのバラツキであると見做し、クラッチC2のトルクを補正することにより、実エンジン回転数Nerを目標エンジン回転数Netに一致もしくは追従させる制御が実行される。その結果、エンジントルクの補正量は、エンジントルクのバラツキの範囲内に収められるので、車両の加速度が目標とする加速度から大きく外れることが防止もしくは抑制される。
1…エンジン(内燃機関)、 2…自動変速機、 C1…クラッチ、 C2…クラッチ、 3…プロペラシャフト、 4…デファレンシャルギヤ、 5…車軸、 6…駆動輪、 7…電子制御装置(E−ECU)、 8…車速センサ、 9…アクセル開度センサ、 10…油圧制御部、 11…電子制御装置(T−ECU)。
Claims (1)
- 変速前の第1変速段で係合させられる第1摩擦係合機構と、変速後の第2変速段で係合させられる第2摩擦係合機構とを有する自動変速機がエンジンの出力側に連結され、前記第1摩擦係合機構の伝達トルク容量を低下させるとともに前記第2摩擦係合機構の伝達トルク容量を増大させて前記第1変速段から前記第2変速段へ変速する際に、前記エンジンの出力トルクを前記エンジンの回転数が予め定めた目標回転数に一致するようにフィードバック制御によって補正する自動変速機の変速制御装置において、
前記フィードバック制御による前記補正の補正量が予め定めたしきい値以上になったことを判定し、
前記判定が成立した場合に、前記第2摩擦係合機構の前記伝達トルク容量を、前記エンジンの回転数が前記目標回転数に一致もしくは追従するように補正するように構成されている
ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015229705A JP2017094951A (ja) | 2015-11-25 | 2015-11-25 | 自動変速機の変速制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020085072A (ja) * | 2018-11-20 | 2020-06-04 | いすゞ自動車株式会社 | 制御装置及び、制御方法 |
JP2020101091A (ja) * | 2018-12-19 | 2020-07-02 | いすゞ自動車株式会社 | 制御装置及び、制御方法 |
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