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JP2017075279A - 接着剤及び接合体 - Google Patents

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JP2017075279A JP2015204671A JP2015204671A JP2017075279A JP 2017075279 A JP2017075279 A JP 2017075279A JP 2015204671 A JP2015204671 A JP 2015204671A JP 2015204671 A JP2015204671 A JP 2015204671A JP 2017075279 A JP2017075279 A JP 2017075279A
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和行 岡
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Jun Ito
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Abstract

【課題】被接着体を短時間で強固に接着することができ、硬化物中のホルムアルデヒドの含有量が少ない接着剤を提供する。
【解決手段】エラストマー(A)、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)および有機過酸化物(C)を含む第一主剤液と、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)、アミン系活性化剤(D)、並びに、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよびアルミニウムから選ばれるいずれかの金属原子を含む有機金属化合物(E)を含む第二主剤液と、の組み合わせからなる接着剤。少なくとも2つの被接着体が、前記接着剤の第一主剤液と第二主剤液の混合物により接合された接合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホルムアルデヒドの放散量が少ない接着剤に関する。また本発明は、この接着剤により接合された接合体に関する。
常温で硬化するアクリル系二剤型接着剤として、第二世代アクリル系接着剤(SGA)がよく知られており、幅広い用途に応用されている。SGAは、有機過酸化物を含む第一剤と、第一剤に含まれる有機過酸化物を分解しラジカルを発生させる還元剤を含む第二剤とから成る接着剤であり、第一剤と第二剤の両方に重合性(メタ)アクリルモノマーを含んでいる二液主剤型が一般的である。
二液主剤型のSGAの特長として、第一剤と第二剤を正確に計量しなくても優れた接着性が発現可能であること、及び油面接着が可能であることが挙げられる。しかし、近年、こうした接着特性だけではなく、市場では環境への配慮の観点から、ホルムアルデヒドなどの人体に有害な物質を発生しない接着剤が求められている。
特許文献1には、一方にクロロスルホン化ポリエチレンと有機過酸化物、他方にニトリルゴムとアミン系活性化剤を配合する二液主剤型アクリル系接着剤組成物が提案されている。しかしながら、この接着剤組成物は、実用強度に至るまでの硬化時間が長いため、接着剤ユーザーの生産ラインにおける使用が困難である。また、特許文献1には、硬化時間を短縮する方法としてナフテン酸銅などの銅化合物を配合する方法が記載されているが、この方法では硬化時間が早すぎて接着力が不十分となる。
一方、特許文献2には、アルデヒドとアミンとの縮合物及び可溶性バナジウム化合物を含むプライマーと、重合性(メタ)アクリルモノマー及び有機過酸化物を含む主剤液と、を混合して得られる接着剤組成物が提案されている。しかし、この組成物に配合されているバナジウム化合物の作用により発生するホルムアルデヒドが、接着剤組成物の硬化物中に多量に含まれ、徐々に放出されるという課題があった。
特開平5−306379号公報 特開平6−80937号公報
本発明は、被接着体を短時間で強固に接着することができ、硬化物中のホルムアルデヒドの含有量が少ない接着剤を提供することを目的とする。
前記課題は、以下の発明〔1〕〜〔6〕のいずれかによって解決される。
〔1〕 エラストマー(A)、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)および有機過酸化物(C)を含む第一主剤液と、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)、アミン系活性化剤(D)、並びに、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよびアルミニウムから選ばれるいずれかの金属原子を含む有機金属化合物(E)を含む第二主剤液と、の組み合わせからなる接着剤。
〔2〕 前記エラストマー(A)がクロロスルホン化ポリエチレンである前記〔1〕に記載の接着剤。
〔3〕 前記第一主剤液が前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)としてカルボキシル基を含む重合性単量体を含む、前記〔1〕または〔2〕に記載の接着剤。
〔4〕 前記カルボキシル基を含む重合性単体量体が(メタ)アクリル酸である前記〔3〕に記載の接着剤。
〔5〕 前記アミン系活性化剤(D)が、ブチルアルデヒドとアニリンの縮合物である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の接着剤。
〔6〕 少なくとも2つの被接着体が、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の接着剤の第一主剤液と第二主剤液の混合物により接合された接合体。
本発明の接着剤は被接着体を短時間で強固に接着することができ、硬化物中に含有されるホルムアルデヒド量が少ないという優れた効果を奏する。
本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を意味する。また、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」から選ばれる少なくとも1種を意味し、CH2=C(R)−C(=O)−(Rは水素原子又はメチル基)で表される官能基である。
以下、本発明の接着剤(以下「本接着剤」という場合がある。)を構成する第一主剤液及び第二主剤液、並びに各主剤液に配合される成分について説明する。尚、各主剤液の成分であるエラストマー(A)、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)、有機過酸化物(C)、アミン系活性化剤(D)、並びに、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよびアルミニウムから選ばれるいずれかの金属原子を含む有機金属化合物(E)を、それぞれ、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分という場合がある。また、本接着剤の第一主剤液と第二主剤液を混合した接着剤組成物を「本組成物」という場合がある。更に、本組成物を硬化してなる硬化物を「本硬化物」という場合がある。
〔本接着剤〕
本接着剤は第一主剤液及び第二主剤液で構成される。第一主剤液は、エラストマー(A)、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)および有機過酸化物(C)を含む組成物である。また、第二主剤液は、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)、アミン系活性化剤(D)、並びに、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよびアルミニウムから選ばれるいずれかの金属原子を含む有機金属化合物(E)を含む組成物である。
第一主剤液と第二主剤液とが混合されることによって、接着剤としての効果が発現する。このような混合は、通常は接着直前に行われる。第一主剤液と第二主剤液は混合してから被接着体に塗布してもよいが、第一主剤液を一方の被接着体に塗布し、第二主剤液をもう一方の被接着体に塗布して、第一主剤液と第二主剤液が混ざるように両被接着体を圧着してもよい。
第一主剤液の製造方法としては、(A)成分と(B)成分を加熱混合することで相溶した後に、常温まで冷却したものに(C)成分を加えて混合する方法、(A)成分と(B)成分をプラネタリーミキサー等でせん断力を加えることで相溶した後、(C)成分を加えて混合する方法等が挙げられる。
第二主剤液の製造方法としては、(B)成分単独、または第一主剤液の製造方法と同様にして(A)成分と(B)成分を相溶した混合物に、(D)成分と(E)成分を配合し、常温で混合する方法等が挙げられる。
以下、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及びその他成分について順次説明する。
〔(A)成分〕
(A)成分は、本組成物において粘度を調整するための成分である。また、この成分は本硬化物の耐衝撃性を向上させるための成分である。(A)成分であるエラストマーは、常温でゴム弾性を有する高分子量体である。
(A)成分としては、例えば以下の重合体等が挙げられる。ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴムなど。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。(A)成分としては、(B)成分である(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体との相溶性の観点から、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴムが好ましい。(A)成分の重合体の構造は、特に限定されず、例えば、グラフト重合体、コア/シェルの積層体等が挙げられる。第一主剤液又は第二主剤液を調製する際に、(A)成分は、例えば、ベール状、液状、粉末状等の状態のものを用いることができる。
(A)成分は、(D)成分または(E)成分と反応して貯蔵安定性が悪くなることがあるので、(D)成分及び(E)成分が含まれる第二主剤液とは別の第一主剤液に含まれることが好ましい。(A)成分としては、硬化性や貯蔵安定性の点から第一主剤液に含まれる場合には、クロロスルホン化ポリエチレンが好ましく、第二主剤液に含まれる場合には、アクリロニトリルブタジエンゴムが好ましい。本組成物における(A)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量%に対して1〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましい。(A)成分の配合量は多いほど本硬化物の耐衝撃性が高くなり、少ないほど本組成物の粘度が低下するので作業性が良好となる。第一主剤液における(A)成分の配合量は、本組成物の(A)成分100質量%に対して50〜100質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、65〜85質量%であることが更に好ましい。第二主剤液における(A)成分は任意成分であり、その配合量は、本組成物の(A)成分100質量%に対して0〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜35質量%であることが更に好ましい
〔(B)成分〕
(B)成分は、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体であり、本組成物の粘度や接着力を調整するための成分である。(B)成分としては、例えば以下の化合物等が挙げられる。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びアダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート及びブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のポリカプロラクトン変性(メタ)アクリル酸エステル、並びに2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸モノエステル及び2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピル−フタル酸モノエステル等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルジカルボン酸モノエステル等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;2−エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキレングリコール変性(メタ)アクリレート;フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール変性(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート及びポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のヘテロ環構造を有する(メタ)アクリレート;3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性(メタ)アクリロイル基を有するアルコキシシラン;2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート及び2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの6−ヘキサノリド付加重合物と無水リン酸との反応生成物等のリン酸エステル系重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系重合性単量体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
(B)成分としては、(A)成分との相溶性の点から、アルキル(メタ)アクリレート;水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸;カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート;多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なかでも、カルボキシル基を含む重合性単量体である(メタ)アクリル酸及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートは、本組成物の硬化を促進する働きをするので好ましく、特に(メタ)アクリル酸は本組成物の接着性を高めるので好ましい。
本組成物における(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量%に対して60〜99質量%であることが好ましく、65〜90質量%であることがより好ましい。(B)成分の配合量は多いほど本組成物の粘度が低くなり作業性が良好となる。
また、第一主剤液における(B)成分の配合量は、本組成物の(B)成分100質量%に対して20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましく、35〜55質量%であることが更に好ましい。第一主剤液における(メタ)アクリル酸及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートの配合量は、第一主剤液に含まれる(B)成分を100質量%としたとき、0.1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜25質量%がより好ましい。
第二主剤液における(B)成分の配合量は、本組成物の(B)成分100質量%に対して30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましく、45〜65質量%であることが更に好ましい。(メタ)アクリル酸及びカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートは、第二主剤液中では(D)成分と反応して著しく貯蔵安定性を損なうことがあるので、第二主剤液中におけるこれらの配合量は少ないほど好ましく、配合しないことがより好ましい。
〔(C)成分〕
(C)成分は硬化剤であり、第二主剤液の成分である(D)成分および(E)成分と反応してラジカルを発生する。そのため、(C)成分は第一主剤液に配合される。(C)成分としては、例えば、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーエステル及びパーカーボネート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本組成物の硬化速度の点から、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
第一主剤液における(C)成分の含有量は、本組成物における(A)成分と(B)成分の合計量を100質量部としたとき、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましく、1〜10質量部が更に好ましい。(C)成分の含有量は多いほど本組成物の硬化速度が速くなり、少ないほど(C)成分を含む第一主剤液の貯蔵安定性が良好となる。
〔(D)成分〕
(D)成分は、アミン系活性化剤であり、本組成物の硬化促進剤として働く。アミン系活性化剤としては、例えばブチルアルデヒドとアニリンの縮合物、ブチルアルデヒドとブチルアミンの縮合物、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジイソプロピル−p−トルイジン及びN,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン等の第3級アミン化合物等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本組成物の硬化速度の点から、(D)成分はブチルアルデヒドとアニリンの縮合物が好ましい。第二主剤液における(D)成分の含有量は、本組成物における(A)成分と(B)成分の合計量を100質量部としたとき、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることがより好ましく、1〜10質量部が更に好ましい。(D)成分の含有量は多いほど本組成物の硬化速度が速くなり、少ないほど(D)成分を含む第二主剤液の貯蔵安定性が良好となる。
〔(E)成分〕
(E)成分は、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよびアルミニウムから選ばれるいずれかの金属原子を含む有機金属化合物であり、本組成物の硬化促進助剤として働く。(E)成分としては、例えば以下の化合物等が挙げられる。アセチルアセトンコバルト(III)、アセチルアセトンアルミニウム(III)、アセチルアセトンクロム(III)、アセチルアセトンマンガン(III)、アセチルアセトン鉄(III)及びアセチルアセトンニッケル(II)二水和物等の遷移金属のアセチルアセトン錯体;ナフテン酸コバルト、ナフテン酸クロム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸ニッケル及びナフテン酸アルミニウム等のナフテン酸金属塩;2−エチルヘキサン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸クロム、2−エチルヘキサン酸マンガン、2−エチルヘキサン酸鉄、2−エチルヘキサン酸ニッケル及び2−エチルヘキサン酸アルミニウム等の2−エチルヘキサン酸金属塩等。本組成物の硬化時間の調整の容易さから遷移金属のアセチルアセトン錯体及び2−エチルヘキサン酸金属塩が好ましい。第二主剤液における(E)成分の含有量は、本組成物における(A)成分と(B)成分の合計量を100質量部としたとき、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜2質量部が更に好ましい。(E)成分の含有量は多いほど本組成物の硬化速度が速くなり、少ないほど(E)成分を含む第二主剤液の貯蔵安定性が良好となる。
〔その他の成分〕
本組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(E)成分以外の成分(以下、「その他の成分」という。)を含んでもよい。「その他の成分」としては、エポキシ樹脂、ビニル系モノマー等のアクリル系以外のラジカル重合性単量体、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、重合禁止剤、無機微粒子、パラフィンワックス、顔料、染料等の各種添加剤が挙げられる。
本組成物の硬化時間を短縮するために、第二主剤液は、更に、チオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジプロピルチオ尿素、N,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N’−ジラウリルチオ尿素、N,N’−ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、1−ベンゾイル−2−チオ尿素等のチオ尿素化合物を含むことができる。
また、本硬化物の硬化性向上のために、第二主剤液は、加熱によりラジカルを発生する熱重合開始剤((D)成分以外の過酸化物、アゾ化合物等)、紫外線等の活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等)を含むことができる。また、本組成物の表面硬化性の向上のために、本組成物は、融点の異なるパラフィンワックスを2種類以上含むことができる。その他の成分の含有量は、特に限定されないが、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。その他の成分の含有量は多すぎると、本組成物の硬化性、本硬化物の衝撃強度、本組成物を用いた接合体の耐衝撃性が損なわれる場合がある。
〔接合体〕
本発明の接合体は、少なくとも2つの被接着体が、第一主剤液と第二主剤液の混合物である本組成物により接合された接合体である。
本発明の接合体は、第一主剤液と第二主剤液を混合したものを被接着体の被接着面に塗布する接着方法や、第一主剤液と第二主剤液を別々に塗布した被接着体の被接着面を貼り合わせる接着方法などで得られる。また、先端で第一主剤液と第二主剤液を混合できるような構造を有する2剤型接着剤塗布機を用いることもできる。
以下、本発明を実施例により説明する。以下において、「部」は「質量部」を意味する。
[実施例1]
1.第一主剤液の製造
表1中の成分(1)の欄に示す材料を、冷却器を備えた反応容器内に入れ、液温を95℃として5時間撹拌した。その後冷却し、液温を30℃以下としてから、表1中の成分(2)の欄に示す材料を反応容器内に入れ、室温にて1時間撹拌して、第一主剤液を得た。
Figure 2017075279
2.第二主剤液の製造
表2中の成分(1)の欄に示す材料を、冷却器を備えた反応容器内に入れ、液温を95℃として5時間撹拌した。その後冷却し、液温を30℃以下としてから、表2中の成分(2)の欄に示す材料を反応容器内に入れ、室温にて1時間撹拌して、第二主剤液を得た。
Figure 2017075279
3.ゲル化時間の評価
温度23℃の条件下において、前記第一主剤液と前記第二主剤液を1:1(質量比)で接触させ、直ちにガラス棒を用いて均一に混合し、接着剤組成物を得た。両主剤液を混合してから接着剤組成物が流動性を失うまでの混合時間をゲル化時間とした。以下の基準で評価した。
良好(○):30秒以上かつ10分以下。
不良(×):30秒未満または10分超。
4.硬化物中のホルムアルデヒド含有量の評価
温度23℃の条件下において、前記第一主剤液と前記第二主剤液を1:1(質量比)で均一に混合し、接着剤組成物を得た。この接着剤組成物を、PETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー S10 #100)を表面に貼った2枚のガラス板で挟み、24時間養生して、約3mm厚の接着剤組成物の硬化物(以下、単に「硬化物」と言う。)を得た。得られた硬化物を約5mm角に切断し、ガラス製の100ml用サンプル瓶に3g量りとった。そのサンプル瓶の中に水を50g入れ、24時間静置した後の上澄み液を「試験溶液」とした。試験溶液中のホルムアルデヒド濃度を以下の方法により測定した。尚、本評価において、水はJIS K 0557に規定する種別A2以上のものを使用した。
[4−1.反応試薬の調製]
酢酸アンモニウム(和光純薬工業(株)製;JIS試薬特級品)150gを400mLの水に溶かし、これに酢酸(和光純薬工業(株)製;精密分析用、和光規格 Super Special Grade合格品)1.5mLとアセチルアセトン(和光純薬工業(株)製;JIS試薬特級品)1mLとを加え十分に混合し、さらに水を加えて500mLの反応試薬を得た。
[4−2.吸光度測定]
(1)測定方法
前記試験溶液10mLを共通すり合わせ三角フラスコ内に採取し、前記反応試薬10mLを加え、栓をして混合し、65℃±2℃の恒温水槽で10分間加熱した後、この三角フラスコをアルミニウム製の箔で包み、遮光状態にして、室温になるまで冷却した。この溶液を吸収セルにとり、水を対照として、波長412nmにおける吸光度を測定した。尚、測定機器は紫外可視分光光度計;日本分光(株)製「V−670」である。
(2)検量線の作成
JISK−5601−4−1に記載の方法で作成した。濃度既知のホルムアルデヒド標準液(和光純薬工業(株)製)を水で希釈し、濃度既知(0〜2mg/lの範囲で5点)のホルムアルデヒド溶液を作製した。次に作製した各濃度のホルムアルデヒド溶液に対して、前記(1)と同様の方法で波長412nmにおける吸光度を測定した。測定した吸光度をX軸に、ホルムアルデヒド濃度をY軸にとり、ホルムアルデヒド濃度の検量線を作成した。
(3)濃度の計算
サンプル瓶中の水に吸収されたホルムアルデヒド濃度は、次式(1)によって算出した。
G=F×(Ad−Ab) ・・・(1)
G:水に吸収されたホルムアルデヒド濃度(mg/L)
Ad:試験溶液の吸光度(Abs)
Ab:水のみで24時間静置させたサンプル瓶から採取した溶液の吸光度(Abs)
F:ホルムアルデヒド標準液の検量線の傾き (mg/L)/(Abs)。
式(1)によって算出したホルムアルデヒド濃度Gから、次式(2)を用いて硬化物中のホルムアルデヒド含有量Xを算出した。
X[ppm]=(G[mg/L]×0.05[L])/3[g]×1000 ・・(2)
得られたホルムアルデヒド含有量を以下の基準で評価した。
良好(○):1.5ppm未満。
不良(×):1.5ppm以上。
5.接着力の評価
一方の表面に引張用ジグを取り付けたSUS板(幅:5cm、長さ:5cm、厚み:0.8mm)と、一方の表面に引張用ジグを取り付けたパーティクルボード(幅:5cm、長さ:5cm、厚み:2cm)を被接着体とした。引張用ジグを取り付けた表面と逆の表面を接着面(被着面積:25cm2)として、温度23℃、相対湿度50%の環境下でパーティクルボードの接着面に前記第一主剤液と前記第二主剤液を1:1(質量比)で均一に混合した本組成物を塗布し、SUS板を貼り合せた。貼り合せ始めた時から15分間養生し、引張試験を実施し、以下の基準で評価した。ここで、「接着剤凝集破壊」とは、引張試験後に両方の被接着体に接着剤が付着している状態を表し、「接着界面破壊」とは、片方の被接着体にのみ接着剤が付着している状態を表す。
良好(○):パーティクルボード破壊。
不良(×):接着剤凝集破壊もしくは接着界面破壊。
[実施例2〜4および比較例1〜3]
第二主剤液の製造において、Co(acac)の代わりに、Al(acac)、Cr(acac)、液状Co錯体、VO(acac)またはCu(acac)を用い、第二主剤液を表3に示す組成に変更した以外は実施例1と同様にして、第一主剤液と第二主剤液を製造し、両主剤液を混合して接着剤組成物を得た。また実施例1と同様にして、ゲル化時間の評価、ホルムアルデヒド含有量の評価及び接着力の評価を実施し、結果を表3に示した。
[実施例5]
表3に示すように、第一主剤液の(A)成分としてCSMおよび液状NBRを用い、第二主剤液は(A)成分を含まない組成に変更した以外は実施例1と同様にして、第一主剤液と第二主剤液を製造し、両主剤液を混合して接着剤組成物を得た。また実施例1と同様にして、ゲル化時間の評価、ホルムアルデヒド含有量の評価及び接着力の評価を実施し、結果を表3に示した。
実施例1〜5の本組成物は、ゲル化時間が適切な範囲にあり、ホルムアルデヒド含有量が少なく、接着性が良好であった。実施例1〜3の(E)成分の代わりにバナジウム化合物を使用した比較例1の組成物は、ホルムアルデヒド含有量が多かった。実施例1〜3の(E)成分の代わりに銅化合物を使用した比較例2の組成物は、ゲル効果が促進されゲル化時間短くなり、接着時の作業性に劣るものであった。(E)成分を含まない比較例3の組成物はゲル化せず、接着剤として使用できないものであった。
Figure 2017075279
尚、表3中の略語の意味は以下の通りである。
液状NBR:液状ニトリルゴム(日本ゼオン(株)製、Nipol 1312)
Co(acac):コバルト(III)アセチルアセトネート、
Al(acac):アルミニウム(III)アセチルアセトネート、
Cr(acac):クロム(III)アセチルアセトネート、
液状Co錯体:2−エチルヘキサン酸コバルト 6%(日本化学産業(株)製、ニッカオクチックスコバルト 6%)、
VO(acac):バナジル(IV)アセチルアセトネート、
Cu(acac):銅(II)アセチルアセトネート。

Claims (6)

  1. エラストマー(A)、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)および有機過酸化物(C)を含む第一主剤液と、
    (メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)、アミン系活性化剤(D)、並びに、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよびアルミニウムから選ばれるいずれかの金属原子を含む有機金属化合物(E)を含む第二主剤液と
    の組み合わせからなる接着剤。
  2. 前記エラストマー(A)がクロロスルホン化ポリエチレンである請求項1に記載の接着剤。
  3. 前記第一主剤液が前記(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体(B)としてカルボキシル基を含む重合性単量体を含む、請求項1または2に記載の接着剤。
  4. 前記カルボキシル基を含む重合性単体量体が(メタ)アクリル酸である請求項3に記載の接着剤。
  5. 前記アミン系活性化剤(D)が、ブチルアルデヒドとアニリンの縮合物である請求項1〜4のいずれかの一項に記載の接着剤。
  6. 少なくとも2つの被接着体が、請求項1〜5のいずれかの一項に記載の接着剤の第一主剤液と第二主剤液の混合物により接合された接合体。
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