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JP2017067205A - 車両用制御装置 - Google Patents

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JP2017067205A JP2015194864A JP2015194864A JP2017067205A JP 2017067205 A JP2017067205 A JP 2017067205A JP 2015194864 A JP2015194864 A JP 2015194864A JP 2015194864 A JP2015194864 A JP 2015194864A JP 2017067205 A JP2017067205 A JP 2017067205A
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和男 中本
Kazuo Nakamoto
和男 中本
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Daihatsu Motor Co Ltd
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Daihatsu Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】車両の減速度にかかわらず、車速がアイドリングストップ実施車速に低下した時点で、アイドリングストップ制御によってエンジンを停止させることができる、車両用制御装置を提供する。
【解決手段】アイドリングストップ制御では、エンジン停止条件が成立したことに応答して、エンジンが停止される。エンジン停止条件には、車速が所定のアイドリングストップ実施車速以下に低下したという条件が含まれる。アイドリングストップ制御によるエンジンの停止に先立ち、自動変速機の変速段を1速段に低下させるダウンシフト制御が実行される。ダウンシフト制御の実行に際し、車両の減速度にかかわらず、ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御に必要な所定のダウンシフト制御時間が経過した後、車速がアイドリングストップ実施車速に低下するように、ダウンシフト制御の開始タイミングが決定される。
【選択図】図5

Description

本発明は、自動変速機を搭載した車両用の制御装置に関する。
近年、エンジンを駆動源とする車両には、燃費の向上などの目的で、いわゆるアイドリングストップ制御が広く採用されている。アイドリングストップ制御では、たとえば、ブレーキペダルが運転者の足で踏み込まれて、ブレーキが作動し、車速が所定のアイドリングストップ実施車速(たとえば、10km/h程度)以下に低下すると、エンジンが自動停止されて、アイドリングストップ状態になる。エンジンの自動停止後は、たとえば、ブレーキペダルから足が離されて、ブレーキが解除されると、エンジンが自動的に再始動される。
アイドリングストップ制御を採用した車両において、変速機として、有段式の自動変速機(AT:Automatic Transmission)を搭載したものがある。この車種では、アイドリングストップ状態からの復帰時(エンジンの再始動時)の速やかな加速を実現するため、エンジンの自動停止前に、自動変速機が1速段以外の変速段である場合、その変速段から1速段にダウンシフトされる。
図6は、従来の車両におけるアイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の一例を示す図である。図7は、従来の車両におけるアイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の他の例を示す図である。
3速段での車両の減速走行中に、車速が所定のダウンシフト車速に低下すると、自動変速機の3速段から1速段へのダウンシフトが開始される(時刻T61)。このダウンシフトのために、たとえば、自動変速機に備えられている摩擦係合要素の1つが係合状態から解放状態に切り替えられる。摩擦係合要素の係合状態から解放状態への切り替えは、その摩擦係合要素から油圧が抜かれることにより達成される。そこで、摩擦係合要素から油圧が抜けるのに十分なダウンシフト制御時間が設定され、ダウンシフトの開始からダウンシフト制御時間が経過するまでの間(時間T61−T62)、アイドリングストップ制御によるエンジンの自動停止が禁止される。
車速の低下が緩やかな場合、図6に示されるように、ダウンシフトの開始からダウンシフト制御時間が経過した後、車速がアイドリングストップ実施車速に低下し(時刻T63)、アイドリングストップ制御によってエンジンが自動停止される。
ところが、車速の低下が急峻な場合には、図7に示されるように、車速がダウンシフト車速に低下して(時刻T71)、自動変速機の3速段から1速段へのダウンシフトが開始されてからダウンシフト制御時間が経過する時点よりも前に、車速がアイドリングストップ実施車速に低下することがある(時刻T73)。この場合、車速がアイドリングストップ実施車速に低下しても、アイドリングストップ制御によるエンジンの自動停止がなされず、ダウンシフトの開始からダウンシフト制御時間が経過した時点で、アイドリングストップ制御によってエンジンが自動停止される(時刻T72)。
そのため、車速の低下が急峻な場合(車両の減速度が大きい場合)には、車速がアイドリングストップ実施車速以下に低下してもなおエンジンが駆動されることにより、アイドリングストップ制御による燃費の向上の効果が薄れるおそれがある。
特開2015−117738号公報
本発明の目的は、車両の減速度にかかわらず、車速がアイドリングストップ実施車速に低下した時点で、アイドリングストップ制御によってエンジンを停止させることができる、車両用制御装置を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置は、エンジンと、エンジンからの動力を変速して出力する自動変速機とを搭載した車両に用いられる制御装置であって、車両の車速を取得する車速取得手段と、車速取得手段によって取得される車速が所定のアイドリングストップ実施車速以下に低下したことを条件の1つに含むエンジン停止条件が成立したことに応答してエンジンを停止させるアイドリングストップ制御を実行するアイドリングストップ制御手段と、車両の減速走行中に、アイドリングストップ制御手段によるエンジンの停止に先立ち、自動変速機の変速比を所定の変速比に低下させるダウンシフト制御を実行するダウンシフト制御手段と、ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御に必要な所定のダウンシフト制御時間が経過した後に、車速取得手段によって取得される車速がアイドリングストップ実施車速に低下するように、ダウンシフト制御の開始タイミングを決定する開始タイミング決定手段とを含む。
この構成によれば、アイドリングストップ制御では、エンジン停止条件が成立したことに応答して、エンジンが停止される。エンジン停止条件には、車速が所定のアイドリングストップ実施車速以下に低下したという条件が少なくとも含まれる。
アイドリングストップ制御によるエンジンの停止に先立ち、自動変速機の変速比を所定の変速比に低下させるダウンシフト制御が実行される。これにより、エンジンの再始動時に、自動変速機が所定の変速比を構成しているので、車両を速やかに加速(発進)させることができる。
ダウンシフト制御の実行に際し、ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御に必要な所定のダウンシフト制御時間が経過した後、車速がアイドリングストップ実施車速に低下するように、ダウンシフト制御の開始タイミングが決定される。そのため、車速がアイドリングストップ実施車速に低下してもなおダウンシフト制御が継続していることがなく、ダウンシフト制御が継続しているためにアイドリングストップ制御によるエンジンの停止が禁止されることを回避できる。よって、エンジン停止条件における車速以外の条件が満たされていれば、車速がアイドリングストップ実施車速に低下したことに応答して、エンジンを直ちに停止させることができる。その結果、アイドリングストップ制御による燃費の向上の効果を良好に確保することができる。
ダウンシフト制御の開始から車速がアイドリングストップ実施車速に低下するまでの時間は、車両の減速度が大きいほど短い。そのため、ダウンシフト制御の開始タイミングは、車両の減速度が大きいほど早いタイミングに決定される。車両の減速度が大きい場合、運転者に車両を急減速させる意思があるので、ダウンシフト制御が早いタイミングで開始されて、自動変速機の変速比が下げられることによるエンジンブレーキが早期に作動しても、ドライバビリティへの影響は小さい。
よって、車両の減速度にかかわらず、ドライバビリティを確保しつつ、車速がアイドリングストップ実施車速に低下した時点でアイドリングストップ制御によってエンジンを停止させることができ、アイドリングストップ制御による燃費向上の効果を確保することができる。
自動変速機は、有段式の自動変速機であってもよい。
自動変速機が有段式の自動変速機である場合、所定の変速比は、1速段の変速比であってもよい。すなわち、自動変速機が有段式の自動変速機である場合、ダウンシフト制御は、自動変速機の変速段を1速段以外の変速段から1速段にダウンシフトさせる制御であってもよい。
自動変速機は、有段式の自動変速機であり、自動変速機に備えられている摩擦係合要素の1つが係合状態から解放状態に切り替えられることによって、1速段以外の変速段から1速段に切り替わる構成であってもよい。
この場合、ダウンシフト制御時間は、摩擦係合要素が係合状態から解放状態に切り替わるのに要する時間であってもよいし、その時間に摩擦係合要素からの残油の抜けを保障するための余裕時間を加えた時間であってもよい。
ダウンシフト制御手段は、車速取得手段によって取得される車速がダウンシフト車速に低下したことに応答してダウンシフト制御を開始し、開始タイミング決定手段は、ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御に必要な所定のダウンシフト制御時間が経過した後に、車速取得手段によって取得される車速がアイドリングストップ実施車速に低下するように、ダウンシフト車速を可変に設定することにより、ダウンシフト制御の開始タイミングを決定する構成であってもよい。
この場合において、開始タイミング決定手段は、車速取得手段によって取得される車速から求まる減速度が所定値以上である場合に、ダウンシフト車速を可変に設定し、その減速度が所定値未満である場合には、ダウンシフト車速を一定値に固定に設定してもよい。
本発明によれば、車両の減速度にかかわらず、ドライバビリティを確保しつつ、車速がアイドリングストップ実施車速に低下した時点でアイドリングストップ制御によってエンジンを停止させることができる。その結果、ドライバビリティおよびアイドリングストップ制御による燃費向上の効果の両方を確保することができる。
本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両の要部の構成を示す図である。 ダウンシフト制御の実行を決定するための処理の流れを示すフローチャートである。 ダウンシフト車速設定処理の流れを示すフローチャートである。 アイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の一例(減速度が小さい場合の例)を示す図である。 アイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の他の例(減速度が大きい場合の例)を示す図である。 従来の車両におけるアイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の一例(減速度が小さい場合の例)を示す図である。 従来の車両におけるアイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の他の例(減速度が大きい場合の例)を示す図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<車両の要部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置が搭載された車両1の要部の構成を示す図である。
車両1は、エンジン2を駆動源とする自動車である。
エンジン2の出力は、トルクコンバータ3および自動変速機4を介して、車両1の駆動輪(たとえば、左右の前輪)に伝達される。エンジン2には、エンジン2の燃焼室への吸気量を調整するための電子スロットルバルブ、燃料を吸入空気に噴射するインジェクタ(燃料噴射装置)および燃焼室内に電気放電を生じさせる点火プラグなどが設けられている。また、エンジン2には、その始動のためのスタータが付随して設けられている。自動変速機4は、有段式の自動変速機である。
車両1には、CPU、ROMおよびRAMなどを含む構成の複数のECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)が備えられている。ECUには、エンジンECU11、ATECU12、ブレーキECU13およびIDS(アイドリングストップ)ECU14が含まれる。複数のECUは、CAN(Controller Area Network)通信プロトコルによる双方向通信が可能に接続されている。
エンジンECU11には、アクセルセンサ21およびエンジン回転数センサ22などが接続されている。
アクセルセンサ21は、アクセルペダル(図示せず)の操作量に応じた信号をエンジンECU11に入力する。エンジンECU11は、アクセルセンサ21から入力される信号に基づいて、アクセルペダルの最大操作量に対する操作量の割合、つまりアクセルペダルが踏み込まれていないときを0%とし、アクセルペダルが最大に踏み込まれたときを100%とする百分率であるアクセル開度を演算する。
エンジン回転数センサ22は、エンジン2の回転(クランクシャフトの回転)に同期したパルス信号をエンジンECU11に入力する。エンジンECU11は、エンジン回転数センサ22から入力されるパルス信号の周波数をエンジン2の回転数(エンジン回転数)に換算する。
エンジンECU11は、各種センサから入力される信号から得られる数値および他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、エンジン2の始動、停止および出力調整のため、エンジン2に設けられた電子スロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグなどを制御する。
ATECU12には、シフトポジションセンサ23およびタービン回転数センサ24などが接続されている。
シフトポジションセンサ23は、シフトレバー(セレクトレバー)のポジションに応じた信号をATECU12に入力する。シフトレバーのポジションとして、たとえば、Pポジション、Rポジション、NポジションおよびDポジションが設けられている。Pポジション、Rポジション、NポジションおよびDポジションは、それぞれシフトレンジのPレンジ(駐車レンジ)、Rレンジ(後進レンジ)、Nレンジ(中立レンジ)およびDレンジ(前進レンジ)に対応する。シフトレバーは、Pポジション、Rポジション、NポジションおよびDポジションの間でシフト操作することができ、そのシフト操作により、シフトレンジの切り替えを指示することができる。
タービン回転数センサ24は、トルクコンバータ3のタービンランナの回転に同期したパルス信号をATECU12に入力する。ATECU12は、タービン回転数センサ24から入力されるパルス信号の周波数をタービンランナの回転数であるタービン回転数に換算する。
ATECU12は、各種センサから入力される信号から得られる数値および他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、車両の走行状態(変速段、スロットル開度、車速、タービン回転数、シフトポジションなど)に応じた目標変速段を設定し、自動変速機4の変速段を目標変速段に変更するため、自動変速機4の各部に油圧を供給するための油圧回路25に含まれるバルブ(図示せず)を制御する。
ブレーキECU13には、ブレーキセンサ26および車速センサ27などが接続されている。
ブレーキセンサ26は、車室内に配設されたブレーキペダルの操作量に応じた信号を出力し、ブレーキECU13は、そのブレーキセンサ26から入力される信号に基づいて、ブレーキペダルの操作量を取得する。
車速センサ27は、たとえば、車両1の走行に伴って回転する磁性体からなるロータと、ロータと非接触に設けられた電磁ピックアップとを備えている。ロータが一定角度回転する度に、電磁ピックアップからパルス信号が出力され、そのパルス信号がブレーキECU13に入力される。パルス信号の周波数は、車速に対応するので、ブレーキECU13は、車速センサ27から入力されるパルス信号の周波数を車速に換算して取得することができる。
ブレーキECU13は、ブレーキペダルの操作量、車両1の車速、他のECUから入力される種々の情報などに基づいて、ブレーキアクチュエータ28などを制御し、車両1の姿勢が安定に保たれた状態で車両1が制動されるように、各ブレーキから車輪に付与される制動力を制御する。
車両1は、アイドリングストップ機能を搭載している。IDSECU14は、アイドリングストップ機能のための制御であるアイドリングストップ制御を実行する。このアイドリングストップ制御に必要な情報として、IDSECU14には、ブレーキECU13から車速およびブレーキペダルの操作量などの情報が入力される。
アイドリングストップ制御では、車両1の走行中に、ブレーキペダルが操作される(踏み込まれる)と、IDSECU14により、所定のエンジン停止条件が成立しているか否かが繰り返し判断される。エンジン停止条件は、たとえば、車速が所定のアイドリングストップ実施車速(たとえば、10km/h)以下であり、かつ、ブレーキペダルが一定時間以上操作されているという条件である。エンジン停止条件が成立すると、IDSECU14からエンジンECU11にIDS要求が出力され、エンジンECU11により、エンジン2が自動停止される。
アイドリングストップ制御によるエンジン2の自動停止中は、所定のエンジン再始動条件が成立しているか否かが繰り返し判断される。エンジン再始動条件は、たとえば、エンジン2の自動停止中に、ブレーキペダルの操作が解除される(ブレーキペダルから運転者の足が離される)という条件である。再始動条件が成立すると、IDSECU14により、エンジンECU11に再始動要求が出力され、エンジンECU11により、エンジン2が再始動される。
<ダウンシフト制御>
車両1では、アイドリングストップ制御によるエンジン2の自動停止前に、自動変速機4の変速段が1速段以外である場合、エンジン2の自動停止に先立ち、ダウンシフト制御により、自動変速機4の変速段が1速段以外の変速段から1速段にダウンシフトされる。
図2は、ダウンシフト制御の実行を決定するための処理の流れを示すフローチャートである。
ダウンシフト制御の実行を決定するため、ATECU12により、車両1の走行中、図2に示される処理が繰り返し実行される。
図2に示される処理では、車両1が減速走行中であるか否かが判断される(ステップS1)。
車両1が減速走行中である場合(ステップS1のYES)、自動変速機4の変速段が1速段以外の変速段であるか否かが判断される(ステップS2)。
自動変速機4の変速段が1速段以外の変速段である場合(ステップS2のYES)、アイドリングストップ制御によるエンジン2の自動停止を実施する前提条件(アイドリングストップ実施の前提条件)が成立しているか否かが判断される(ステップS3)。
アイドリングストップ実施の前提条件は、エンジン停止条件から車速に関する条件を省いた残りの条件である。すなわち、エンジン停止条件に、車速が所定のアイドリングストップ実施車速以下であるという条件と、ブレーキペダルが一定時間以上操作されているという条件とが含まれる場合、アイドリングストップ実施の前提条件は、ブレーキペダルが一定時間以上操作されているという条件である。
アイドリングストップ実施の前提条件が成立している場合(ステップS3のYES)、ダウンシフト車速を設定するためのダウンシフト車速設定処理が実行される(ステップS4)。ダウンシフト車速設定処理により、ダウンシフト車速は、車両1の減速度に応じて可変に設定される。ダウンシフト車速設定処理については、後述する。
ダウンシフト車速設定処理後、車速がダウンシフト車速に低下したか否かが判断される(ステップS5)。
車速がダウンシフト車速に低下するまでは、前述のステップS1〜S5の処理が繰り返される。
そして、車両1の減速走行が続き、自動変速機4の変速段が1速段以外の変速段であって、アイドリングストップ実施の前提条件が成立したまま、車速がダウンシフト車速に低下すると(ステップS5のYES)、ダウンシフト制御の実行が決定され、ダウンシフト制御が開始される(ステップS6)。
ダウンシフト制御では、たとえば、1速段以外の変速段(1速段へのダウンシフト前の変速段)で係合されており、1速段を構成するために解放される摩擦係合要素(クラッチ、ブレーキ)が対象とされて、自動変速機4の油圧回路25に含まれるバルブが制御されることにより、その対象の摩擦係合要素から油圧が抜かれて、摩擦係合要素が係合状態から解放状態に切り替えられる。摩擦係合要素の係合状態から解放状態への切り替えに最低限必要な時間はほぼ一定である。そのため、ダウンシフト制御に必要なダウンシフト制御時間は、摩擦係合要素の係合状態から解放状態への切り替えに最低限必要な時間に、摩擦係合要素からの残油の抜けを保障するための余裕時間(摩擦係合要素における残油を確実になくすために必要な時間)を加えた一定時間に設定される。ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御時間が経過すると、ダウンシフト制御が終了される。ダウンシフト制御の開始から終了までの間、アイドリングストップ制御によるエンジン2の自動停止が禁止される。
車両1が減速走行中でない場合(ステップS1のNO)、車両1が減速走行中であるが、自動変速機4の変速段が1速段である場合(ステップS2のNO)、または、車両1が減速走行中であり、自動変速機4の変速段が1速段以外の変速段であるが、アイドリングストップ実施の前提条件が成立していない場合(ステップS3のNO)、ダウンシフト制御は実行されない。
図3は、ダウンシフト車速設定処理の流れを示すフローチャートである。
ダウンシフト車速設定処理では、まず、車両1の減速度が算出される(ステップS41)。減速度は、たとえば、車速を時間微分することにより算出することができる。
次に、減速度からダウンシフト先出し車速が算出される(ステップS42)。
具体的には、減速度とダウンシフト制御時間との乗算により、ダウンシフト制御時間における車速の低下量が算出される。そして、その低下量がアイドリングストップ実施車速に加算されて、その加算値がダウンシフト先出し車速として算出される。これにより、車両1の減速度が大きいほど、ダウンシフト制御時間における車速の低下量が大きくなるので、ダウンシフト先出し車速が大きくなる。
その後、ダウンシフト先出し車速がダウンシフト通常車速以上であるか否かが判断される(ステップS43)。ダウンシフト通常車速は、固定値である。車両1の減速度が所定値未満である場合に、車速がダウンシフト通常車速からアイドリングストップ実施車速まで低下するのに要する時間がダウンシフト制御時間以上となるように、ダウンシフト通常車速が予め設定されている。
そして、ダウンシフト先出し車速がダウンシフト通常車速以上である場合には(ステップS43のYES)、ダウンシフト先出し車速がダウンシフト車速に設定されて(ステップS44)、ダウンシフト車速設定処理が終了される。
一方、ダウンシフト先出し車速がダウンシフト通常車速未満である場合には(ステップS43のNO)、ダウンシフト通常車速がダウンシフト車速に設定されて(ステップS45)、ダウンシフト車速設定処理が終了される。
図4は、アイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の一例を示す図である。
ダウンシフト車速設定処理の内容から、車両1の減速度が所定値未満である場合には、ダウンシフト通常車速がダウンシフト車速に設定される。この場合、減速走行中の車両1の車速がダウンシフト車速(ダウンシフト通常車速)に低下し、ダウンシフト制御が開始されてから(時刻T41)、車速がアイドリングストップ実施車速に低下するより前にダウンシフト制御時間が経過して(時刻T42)、ダウンシフト制御が終了される。したがって、ダウンシフト制御の終了後(ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御時間が経過した後)、車速がアイドリングストップ実施車速に低下して(時刻T43)、アイドリングストップ制御によってエンジン2が自動停止される。
図5は、アイドリングストップ開始前後の車速、エンジン回転数およびタービン回転数の時間変化の他の例を示す図である。
ダウンシフト車速設定処理の内容から、車両1の減速度が所定値以上である場合には、ダウンシフト先出し車速がダウンシフト車速に設定される。これにより、減速走行中の車両1の車速がダウンシフト車速(ダウンシフト先出し車速)に低下し、ダウンシフト制御が開始されてから(時刻T51)、車速がアイドリングストップ実施車速に低下するより前にダウンシフト制御時間が経過して(時刻T52)、ダウンシフト制御が終了される。したがって、ダウンシフト制御の終了後(ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御時間が経過した後)、車速がアイドリングストップ実施車速に低下して(時刻T53)、アイドリングストップ制御によってエンジン2が自動停止される。
なお、ダウンシフト制御の開始タイミングは、車速がダウンシフト車速に低下した時点であり、ダウンシフト車速に応じて変動する。したがって、ダウンシフト車速の設定は、ダウンシフト制御の開始タイミングの決定と同義である。
<作用効果>
以上のように、アイドリングストップ制御では、エンジン停止条件が成立したことに応答して、エンジン2が停止される。エンジン停止条件には、車速が所定のアイドリングストップ実施車速以下に低下したという条件が含まれる。
アイドリングストップ制御によるエンジン2の停止に先立ち、自動変速機4の変速段を1速段に低下させるダウンシフト制御が実行される。これにより、エンジン2の再始動時に、自動変速機4が1速段を構成しているので、車両1を速やかに加速(発進)させることができる。
ダウンシフト制御の実行に際し、車両1の減速度にかかわらず、ダウンシフト制御の開始からダウンシフト制御に必要な所定のダウンシフト制御時間が経過した後、車速がアイドリングストップ実施車速に低下するように、ダウンシフト制御の開始タイミングが決定される。そのため、車速がアイドリングストップ実施車速に低下してもなおダウンシフト制御が継続していることがなく、ダウンシフト制御が継続しているためにアイドリングストップ制御によるエンジン2の停止が禁止されることを回避できる。よって、エンジン停止条件における車速以外の条件が満たされていれば、車速がアイドリングストップ実施車速に低下したことに応答して、エンジン2を直ちに停止させることができる。その結果、アイドリングストップ制御による燃費の向上の効果を良好に確保することができる。
ダウンシフト制御の開始から車速がアイドリングストップ実施車速に低下するまでの時間は、車両1の減速度が大きいほど短い。そのため、ダウンシフト制御の開始タイミングは、車両1の減速度が大きいほど早いタイミングに決定される。車両1の減速度が大きい場合、運転者に車両1を急減速させる意思があるので、ダウンシフト制御が早いタイミングで開始されて、自動変速機4の変速段が下げられることによるエンジンブレーキが早期に作動しても、ドライバビリティへの影響は小さい。
よって、車両1の減速度にかかわらず、ドライバビリティを確保しつつ、車速がアイドリングストップ実施車速に低下した時点でアイドリングストップ制御によってエンジン2を停止させることができ、アイドリングストップ制御による燃費向上の効果を確保することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、エンジン停止条件の一例として、ブレーキペダルが踏み込まれ、かつ、車両1の車速が所定のアイドリングストップ実施車速以下であるという条件を取り上げたが、エンジン停止条件は、必ずしもその例示した条件に限定されない。たとえば、車両に搭載されているブレーキマスタシリンダの発生油圧を検出する油圧センサが設けられ、ブレーキペダルが踏み込まれているという条件に代えて、その油圧センサにより検出される油圧が所定圧以上であるという条件が採用されてもよい。また、例示した条件に別の条件、たとえば、車両1に搭載されているバッテリの充電量が所定量以上であるという条件、ステアリングホイールの操舵角(中立位置からの回転角)が所定角度以下であるという条件などが加えられてもよい。
また、ダウンシフト制御時間は、摩擦係合要素の係合状態から解放状態への切り替えに最低限必要な時間に、摩擦係合要素からの残油の抜けを保障するための余裕時間を加えた一定時間に設定されるとした。これは単なる一例に過ぎず、ダウンシフト制御時間は、余裕時間が加えられずに、摩擦係合要素の係合状態から解放状態への切り替えに最低限必要な時間に設定されてもよい。
自動変速機4は、有段式の自動変速機に限らず、無段式の自動変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)であってもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 車両
2 エンジン
4 自動変速機
12 ATECU(制御装置、車速取得手段、ダウンシフト制御手段、開始タイミング決定手段)
14 IDSECU(制御装置、アイドリングストップ制御手段)

Claims (1)

  1. エンジンと、前記エンジンからの動力を変速して出力する自動変速機とを搭載した車両に用いられる制御装置であって、
    前記車両の車速を取得する車速取得手段と、
    前記車速取得手段によって取得される車速が所定のアイドリングストップ実施車速以下に低下したことを条件の1つに含むエンジン停止条件が成立したことに応答して前記エンジンを停止させるアイドリングストップ制御を実行するアイドリングストップ制御手段と、
    前記車両の減速走行中に、前記アイドリングストップ制御による前記エンジンの停止に先立ち、前記自動変速機の変速比を所定の変速比に低下させるダウンシフト制御を実行するダウンシフト制御手段と、
    前記ダウンシフト制御の開始から前記ダウンシフト制御に必要な所定のダウンシフト制御時間が経過した後に、前記車速取得手段によって取得される車速が前記アイドリングストップ実施車速に低下するように、前記ダウンシフト制御の開始タイミングを決定する開始タイミング決定手段とを含む、車両用制御装置。
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Cited By (2)

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