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JP2017057541A - 発泡性抄造体、発泡体、発泡性抄造体の製造方法、及び発泡体の製造方法 - Google Patents

発泡性抄造体、発泡体、発泡性抄造体の製造方法、及び発泡体の製造方法 Download PDF

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JP2017057541A
JP2017057541A JP2015220716A JP2015220716A JP2017057541A JP 2017057541 A JP2017057541 A JP 2017057541A JP 2015220716 A JP2015220716 A JP 2015220716A JP 2015220716 A JP2015220716 A JP 2015220716A JP 2017057541 A JP2017057541 A JP 2017057541A
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foamable
papermaking
foam
thermosetting resin
product
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JP2015220716A
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大輝 今野
Daiki Konno
大輝 今野
遼介 杉野
Ryosuke Sugino
遼介 杉野
享起 谷口
Takaoki Taniguchi
享起 谷口
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

【課題】軽量化と高い強度とを両立できる発泡性抄造体、及び発泡体を提供する。【解決手段】発泡性抄造体は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、発泡性抄造体、発泡体、発泡性抄造体の製造方法、及び発泡体の製造方法に関する。
特許文献1には、熱可塑性樹脂、熱膨張性マイクロカプセル、強化繊維を含有する繊維強化樹脂組成物を用いて、射出成形等の成型方法を用い、熱膨張性マイクロカプセルによって発泡させて、発泡成形体を製造することが開示されている。
また「抄造体」とは、繊維材料を漉く手法を使用して得られた物の状態を示す技術用語として一般的に使用されている。この状態は、例えば、特許文献2および3に記載されている。同文献によれば、当該抄造体は、繊維や樹脂等の原料を分散媒に分散させた原料スラリーから、液体分が脱水され、フィルター上に残った湿潤状態の固形分を指す、と記載されている。ここでいう上記湿潤状態とは、乾燥および加熱処理を施す前の硬化状態、すなわち、ポストキュア前の硬化状態を意味する。
また、同文献によれば、当該抄造体は、成形型内で加熱して乾燥成形することにより得られる成形体に利用される。すなわち、抄造体は成形材料として用いられると記載されている。
特開2010−53351号公報 特許第4675276号 特許第5426399号
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂及び強化繊維と混練される際や、発泡材料として射出シリンダーから金型内へ圧入される際に、破壊されることがあった。また、熱可塑性樹脂と強化繊維とは混ざり難いため、均質、均一な発泡が得られにくく、強化繊維の配合量が制限されるといった問題があった。
また、単に発泡体の強度を上げるために、樹脂に強化繊維等の補強材を添加しようとすると、発泡しにくくなる傾向があった。
このように、発泡体において、軽量化を実現することと、強度を高くすることはトレードオフの関係にあるため、これらを高い次元で両立させることは困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量化と高い強度との両立を図る発泡性抄造体、及び発泡体に関するものである。
本件発明者が、上記課題について鋭意検討を行った結果、熱硬化性樹脂、短繊維及び熱膨張性マイクロカプセルを組み合わせた発泡性抄造体を用いることで、熱膨張性マイクロカプセルが混練や射出成形の圧入等により破壊されず、後述する発泡性抄造体特有の構造により、熱膨張性マイクロカプセルと、熱硬化性樹脂と、短繊維とが互いに絡み合いながら均一に混合され、かつ短繊維の含有量が高くできる、といった知見を得た。そして、当該発泡性抄造体を用いて発泡体を形成することで、均質、均一な発泡が得られ、軽量化を実現すると共に、高い強度が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを含む、発泡性抄造体を提供する。
本発明は上記発泡性抄造体が発泡した発泡体を提供する。
また、本発明は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び複数の熱膨張性マイクロカプセルの発泡粒子を備え、比重が1.6g/cm以下である、発泡体を提供する。
また、本発明は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合し、次いで抄造して発泡性抄造体を得る工程を含む、発泡性抄造体の製造方法を提供する。
また、本発明は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合し、次いで抄造して発泡性抄造体を得る工程と、前記発泡性抄造体を金型内に配置し、前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、所定の形状の発泡体を得る工程と、を含む、発泡体の製造方法を提供する。
本発明によれば、軽量化と高い強度とのバランスに優れた発泡性抄造体、及び発泡体が提供できる。
第1実施形態に係る発泡性抄造体の一例を示す斜視模式図である。 第1実施形態に係る発泡性抄造体の製造方法の一例を示す断面模式図である。 第1実施形態に係る発泡体の製造方法の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
[第1実施形態]
<発泡性抄造体>
本実施形態に係る発泡性抄造体は、後述する抄造法により得られたものであり、以下の点において構造上の特徴A〜Cを有するものである。
(特徴A)発泡性抄造体の表面の平面視において、短繊維がランダムに配向している。
(特徴B)発泡性抄造体の厚み方向における断面視において、短繊維の配向状態が高度に制御されており、短繊維が特定方向に配向している。言い換えれば、発泡性抄造体の厚み方向におけて、短繊維は積層した状態である。
(特徴C)短繊維同士が熱硬化性樹脂により結着している。
また、発泡性抄造体とは、発泡処理により所望の形状に成型して発泡体を得るための材料である。
発泡性抄造体における樹脂は完全硬化していない状態、例えば、Bステージ状態にある。そのため、発泡性抄造体は、別の形状に変形することができる。そして、発泡性抄造体は、使用する樹脂の硬化温度で加熱することにより、樹脂を発泡・完全硬化して発泡体を得ることができる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、バインダーとして作用するものである。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて、適宜選択して使用することが可能であり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
機械特性の観点から、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましく、軽量化と強度の高い次元での両立の観点から、フェノール樹脂であることが更に好ましい。
熱硬化性樹脂は、粒状または粉状の形状を有するものとしてもよい。これにより、発泡性抄造体を発泡・硬化して得られた発泡体の強度をより効果的に向上させることができる。この理由は明らかではないが、発泡性抄造体を加熱加圧して発泡させる際に、熱硬化性樹脂が粒状または粉状の形状を有することにより溶融時の含浸性が向上し、短繊維と、熱硬化性樹脂との界面が良好に形成されることによると推定される。
熱硬化性樹脂として、例えば、平均粒径500μm以下である固体状態のものを使用することができる。これにより、後述する発泡性抄造体の製造工程において、熱硬化性樹脂の凝集状態をより形成しやすくすることができる。また、発泡性抄造体の製造工程において、ワニス状の材料組成物を得る観点から、熱硬化性樹脂の平均粒径は1nm以上300μm以下であることがより好ましい。
このような平均粒径を有する熱硬化性樹脂は、例えば、アトマイザー粉砕機等を用いて粉砕処理を行うことにより得ることが可能である。
なお、熱硬化性樹脂の平均粒径は、例えば、株式会社島津製作所製のSALD−7000等のレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、質量基準の50%粒子径を平均粒径として求めることができる。
発泡性抄造体に含まれる熱硬化性樹脂は半硬化状態であることが好ましい。半硬化の熱硬化性樹脂は、発泡性抄造体を製造後、加熱加圧により所望の形状に発泡させ、成型する工程において、完全硬化される。これにより、高い強度と軽量化のバランスに優れた発泡体が得られる。
(短繊維)
短繊維とは、繊維糸または長い繊維束を所定の長さに切断して得られるものである。
短繊維の平均繊維長は、抄造による特殊な構造を得る観点から、0.1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、機械的強度を得る観点から、2.5mm以上であることがさらに好ましく、4mm以上であることが特に好ましい。一方、良好な分散性を得る観点から、20mm以下であることが好ましく、15mm以下であることがより好ましく、12mm以下であることが更に好ましい。
短繊維としては、例えば、金属繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、全芳香族ポリアミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエステルアミド、全芳香族ポリエーテル、全芳香族ポリカーボネート、全芳香族ポリアゾメチン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)(PBZT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)(PBO)等の有機繊維が挙げられる。これらの短繊維は、必要に応じて、適宜選択して使用することが可能であり、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、軽量化と強度のバランスを図る観点から、無機繊維であることが好ましく、ガラス繊維、炭素繊維であることがより好ましく、炭素繊維であることが更に好ましい。また、ガラス繊維を用いた場合は、アミノシラン処理をしたものが好ましい。アミノシラン処理は、ガラス繊維をアミノ基含有シランカップリング剤の溶液に含浸、またはガラス繊維にアミノ基含有シランカップリング剤の溶液を塗布することによって施される。
アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン等、およびそれらの加水分解物が挙げられる。これらのアミノ基含有シランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
短繊維の含有量は、強度を上げる観点から、熱硬化性樹脂に対して、10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましい。強度と軽量化のバランスを図る観点から、熱硬化性樹脂に対して、80重量%以下であることが好ましく、75重量%以下であることがより好ましく、70重量%以下であることがさらに好ましく、50重量%以下であることが特に好ましい。
(熱膨張性マイクロカプセル)
熱膨張性マイクロカプセルとは、揮発性の液体発泡剤を、ガスバリア性を有する熱可塑性シェルポリマーによりマイクロカプセル化した粒子である。熱膨張性マイクロカプセルは、加熱によりカプセルの外殻が軟化しつつ、カプセルに内包した液体発泡剤が気化し圧力が増加する結果、粒子が膨張し、中空球状粒子(熱膨張性マイクロカプセルの発泡粒子)を形成することにより、発泡剤として機能するものである。
液体発泡剤としては、例えば、イソペンタン、イソブタン、イソプロパン等といった低沸点の炭化水素が挙げられる。
また、熱可塑性シェルポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−エチルメタクリレート、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート等が挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、エクスパンセル(日本フィライト社製)、マイクロスフェアーF50、マイクロスフェアーF60(松本油脂製薬社製)、アドバンセルEM(積水化学工業社製)といった市販品を用いることができる。
熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、発泡体の比重を低くする観点から、熱硬化性樹脂に対して、0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましい。また、発泡体の適度な強度を発現する観点から、熱硬化性樹脂に対して、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましい。
その他、本実施形態における発泡性抄造体は、上記成分の他に、パルプ、凝集剤、及び各種添加剤といった成分を含むことができる。
(パルプ)
本実施形態における発泡性抄造体は、パルプを含んでもよい。パルプとは、フィブリル構造を有する繊維材料であり、上記短繊維とは異なるものである。パルプは、例えば、繊維材料を機械的又は化学的にフィブリル化することによって得ることができる。
発泡性抄造体の製造時において、熱硬化性樹脂、短繊維、熱膨張性マイクロカプセルとともにパルプを抄造することによって、これらをより効果的に凝集させることができることから、より安定的な発泡性抄造体の製造を実現することが可能となる。
パルプとしては、例えば、リンターパルプ、木材パルプ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹等の天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)及びその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維及びそれらの共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維等の有機繊維をフィブリル化したものが挙げられる。パルプは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
パルプの含有量は、熱硬化性樹脂に対して、0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、2重量%以上であることが更に好ましい。これにより、抄造時における熱硬化性樹脂の凝集をより効果的に発生させて、さらに安定的な発泡性抄造体の製造を実現することができる。一方、パルプの含有量は、熱硬化性樹脂に対して、10重量%以下であることが好ましく、8重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることが更に好ましい。これにより、発泡体の機械的特性や熱的特性をより効果的に向上させることが可能となる。
(凝集剤)
本実施形態における発泡性抄造体は、凝集剤を含んでもよい。凝集剤は、発泡性抄造体の製造時において、熱硬化性樹脂、短繊維及び熱膨張性マイクロカプセルをフロック状に凝集させる機能を有する。このため、より安定的な発泡性抄造体の製造を実現することができる。
凝集剤は、例えば、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、及び両性高分子凝集剤が挙げられる。より具体的には、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイド等を挙げることができる。これらの凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、凝集剤において、そのポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基等の官能基量等は、必要特性に応じて調整することが可能である。
凝集剤の含有量は、熱硬化性樹脂に対して、0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることが更に好ましい。これにより、発泡性抄造体の製造において、収率の向上を図ることができる。一方、凝集剤の含有量は、熱硬化性樹脂に対して、1.5重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることが更に好ましい。これにより、抄造法を用いた発泡性抄造体の製造において、脱水処理等をより容易にかつ安定的に行うことが可能となる。
本実施形態における発泡性抄造体は、生産条件調整や要求される物性を発現させることを目的に、さらに、様々な添加剤を使用することができる。例えば、熱可塑性樹脂、特性向上を目的とした無機粉末、金属粉、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、難燃剤、離型剤、可塑剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤等の紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤等のサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミ等の凝結剤等が挙げられる。
<発泡性抄造体の製造方法>
本実施形態において、発泡性抄造体の製造方法は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合し、次いで抄造して発泡性抄造体を得る工程を有する。得られた発泡性抄造体は、後述する発泡体の原料となる。
抄造法とは、製紙化技術の一つである紙抄きの技術のことを示している。
本実施形態の発泡性抄造体は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを含む材料組成物を、抄造法により処理することにより、発泡性抄造体の面方向(XY軸方向)において、短繊維の形状を保持したままランダムな絡み合い適度に作ることができ、これらが厚み方向(Z軸方向)に重なるような特殊な構造を形成することができると考えられる。
その結果、熱硬化性樹脂中に多量の短繊維を混ぜ込むことができるようになり、軽量化と強度のバランスに優れた発泡性抄造体を得ることができる。
図1は、本実施形態に係る発泡性抄造体の一例を示す斜視模式図である。
図1に示すように、発泡性抄造体10は、熱硬化性樹脂(A)と短繊維(B)と熱膨張性マイクロカプセル(C)とが、面方向においてランダムに絡み合っており、このような面が厚み方向に重なるような、抄造による特殊な構造を有している。また、短繊維(B)は、熱硬化性樹脂(A)によって互いに結着されている。短繊維(B)は平面視において、直線状の形状を有していてもよく、湾曲していてもよく、折れ曲がっていてもよい。
図2は、本実施形態に係る発泡性抄造体の製造方法の一例を示す断面模式図である。以下、図2を参照して、湿式抄造法による発泡性抄造体10の製造方法について詳述する。
まず、図2(a)に示すように、熱硬化性樹脂(A)、短繊維(B)、及び熱膨張性マイクロカプセル(C)を溶媒中へ添加して撹拌、混合し、分散させる。これにより、発泡性抄造体を形成するためのワニス状の材料組成物を得ることができる。
この際、上述した成分のうち、凝集剤を除く他の成分を溶媒中に添加してもよい。
各成分を溶媒に分散させる方法としては、特に限定されないが、例えば、ディスパーザーを用いて撹拌する方法が挙げられる。
溶媒としては、特に限定されないが、上記材料組成物の構成材料を分散させる過程において揮発しにくいことと、発泡性抄造体中への残存を抑制するために脱溶媒をしやすいこと、脱溶媒によってエネルギーが増大してしまうことを抑制すること等の観点から、沸点が50℃以上200℃以下であるものが好ましい。
このような溶媒としては、例えば、水、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラール等のエーテル類等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、供給量が豊富であり、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいという理由から、水を用いることが更に好ましい。
本実施形態においては、上記で得られたワニス状の材料組成物中に、さらに、凝集剤を添加することができる。これにより、溶媒中の熱硬化性樹脂(A)と、短繊維(B)と、熱膨張性マイクロカプセル(C)とをフロック状に凝集させて凝集物(F)を得ることがより容易となる(図2(b)参照)。
次に、図2(b)に示すように、底面がシート状のメッシュ30で構成された容器に、溶媒と、上記で得られた凝集物(F)と、を入れてメッシュ30から溶媒を排出する。これにより、凝集物(F)と溶媒とを互いに分離することができる。これにより、メッシュ30上には凝集物(F)が残存することとなる。
ここで、メッシュ30の形状を適宜選択することによって、得られる発泡性抄造体の形状を調整することが可能である。
本実施形態においては、上記で得られた凝集物(F)を取り出して、乾燥炉内に入れて乾燥させて、溶媒をさらに除去することができる。このようにして、図2(c)に示すような発泡性抄造体10が製造される。
<発泡体>
本実施形態において、発泡体は、上記発泡性抄造体が発泡した状態のものである。また、発泡体は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び複数の熱膨張性マイクロカプセルの発泡粒子を備え、比重が1.6g/cm以下である。
熱膨張性マイクロカプセルの発泡粒子とは、後述する熱膨張性マイクロカプセルが発泡した球状の中空粒子のことである。
発泡体の比重は、1.6g/cm以下であり、軽量化の観点から、1.5g/cm以下であることが好ましい。
<発泡体の製造方法>
本実施形態において、発泡体の製造方法は、熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合し、次いで抄造して発泡性抄造体を得る工程と、発泡性抄造体を金型内に配置し、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、所定の形状の発泡体を得る工程と、を含む。
図3は、本実施形態に係る発泡体の製造方法の一例を示す断面模式図である。以下、図3を参照して、発泡体50の製造方法について詳述する。
図3(a)に示すように、発泡性抄造体10を、金型40、及び金型41内に配置する。このとき、金型40、及び金型41からなる金型キャビティの容積は、発泡性抄造体10の体積よりも大きいものとする。すなわち、本実施形態の発泡体は、いわゆるショートショット法を利用して製造することができる。
次に、加熱加圧処理により、熱膨張性マイクロカプセル(C)を膨張させて、発泡性抄造体10を発泡させ、発泡体50を金型キャビティ内に充填させる。これにより、図3(b)に示すような気泡(D)(熱膨張性マイクロカプセルの発泡粒子)を有する発泡体50を得る。すなわち、発泡性抄造体10に含まれる熱膨張性マイクロカプセル(C)が加熱処理により膨張し気泡(D)を形成する。これにより、発泡性抄造体10全体が拡大し、発泡体50が金型キャビティ内に充填されるとともに、熱膨張性マイクロカプセル(C)による発泡圧を利用して、発泡体50を所定の形状に成型する。
加熱加圧処理としては、例えば、160〜250℃、1.5〜5MPaで、10〜30分間とすることで、発泡体50を所定の形状に成型することができる。
これにより、従来の射出成形法による充填圧や保持圧により、熱膨張性マイクロカプセル(C)が発泡できないといった問題や、気泡(D)が押しつぶされてしまうといった問題を低減できる。
また、本発明によれば、熱硬化性樹脂、短繊維及び熱膨張性マイクロカプセルを組み合わせた発泡性抄造体を用いることで、混練による熱膨張性マイクロカプセルの破壊を抑制できる。また、本発明によれば、熱膨張性マイクロカプセルと、熱硬化性樹脂と、短繊維とが互いに絡み合った発泡性抄造体特有の構造により、短繊維の含有量が高くできるようになるとともに、熱硬化性樹脂、短繊維及び熱膨張性マイクロカプセルを組み合わせることで、均質、均一な良好な発泡が得られる。その結果、当該発泡性抄造体を用いて発泡体を形成することで、軽量化を実現すると共に、高い強度が得られる。
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。ここでは、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態に係る発泡性抄造体は、短繊維として、金属繊維を含むことを特徴とし、これにより、発泡体としての電磁波シールド性を付与することができる。
ここで、本実施形態においては、発泡性抄造体から発泡体を形成するため、発泡体としての軽量化も図ることができ、高い電磁波シールド性と、軽量との双方の特性を満足することができる。
ここで用いることのできる金属繊維としては、単独の金属元素で構成される金属繊維であっても、複数の金属で構成される合金繊維であってもよく、また、金属被覆有機繊維や金属被覆炭素繊維のような金属で他の部材を被覆した繊維を用いてもよい。
このような金属繊維を構成する金属元素としては、例えば、鉄、銀、ニッケル、アルミニウム、銅等が挙げられる。
市販され、入手容易な金属繊維としては、日本精線株式会社やベカルトジャパン株式会社製のステンレス繊維、虹技株式会社製の銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維、鋼繊維、チタン繊維、りん青銅繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのうち、比透磁率が高いという理由からはステンレス繊維が特に好ましい。
また、これら金属繊維は、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤等で表面処理したり、樹脂との密着性や取り扱い性を向上させるために収束剤処理したものを用いてもよい。
本実施形態において、金属繊維の含有量は、電磁波シールドを上げる観点から、熱硬化性樹脂に対して、1重量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることがより好ましい。強度と軽量化のバランスを図る観点から、熱硬化性樹脂に対して、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態に係る発泡性抄造体は上記の金属繊維以外にも他の部材で構成される短繊維を併用してもよい。用いることのできる短繊維は第1実施形態で示した通りである。
本実施形態において、発泡性抄造体が発泡した状態の発泡体の比重は、第1実施形態のように、1.6g/cm以下であることが好ましく、さらなる軽量化の観点から、1.5g/cm以下であることがより好ましく、1.35g/cm以下であることがさらに好ましく、1.3g/cm以下であることがとりわけ好ましい。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
次に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
[実施例1〜4、比較例1]
実施例及び比較例に用いた材料は、以下の通りである。
・フェノール樹脂:フェノールレジン「PR51723」住友ベークライト株式会社製
・炭素繊維−1:PAN系炭素繊維「テナックス(登録商標)HT C110」:東邦テナックス株式会社製:平均繊維長6mm
・炭素繊維−2:PAN系炭素繊維「テナックス(登録商標)HT C110」:東邦テナックス株式会社製:平均繊維長3mm
・ガラス繊維−1:チョップドストランド「CS3J 891」:日東紡株式会社製
・ガラス繊維−2:ガラス繊維−1にアミノ基含有シランカップリング剤(アミノシラン)の溶液を含浸させることにより得られたものを使用した。
・熱膨張性マイクロカプセル:「アドバンセル(登録商標)EM304」積水化学工業社製
(発泡性抄造体の製造)
表1に示す配合(重量部)で、次のようにして発泡性抄造体を製造した。
まず、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μm(質量基準の50%粒子径)に粉砕した熱硬化性樹脂と、短繊維と、熱膨張性マイクロカプセルとを水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌して混合物を得た。ここでは、熱硬化性樹脂、短繊維からなる構成材料の合計100重量部を10000重量部の水に添加した。
次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤を、上述した構成材料の合計に対して0.2重量%添加し、構成材料をフロック状に凝集させた。
続けて、得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に3時間入れて乾燥させて、発泡性抄造体を得た。収率は97%であった。
(発泡体の製造)
得られた発泡性抄造体を4mm厚の金型内に配置し、180℃、2MPaで、10分間加熱加圧処理を施し、発泡体を製造した。
得られた発泡体について、各評価を行った。結果を表1に示す。
(評価)
・密度:JIS K−7112 A法に準拠した方法で測定した。
・曲げ強度:JIS K−7171 に準拠した方法で測定した。
Figure 2017057541
[実施例5〜6、比較例2]
実施例及び比較例に用いた材料は、以下の通りである。
・フェノール樹脂:フェノールレジン「PR51723」住友ベークライト株式会社製
・金属繊維:ステンレス繊維「ナスロン(登録商標)CHOP6/5CMC」:日本精線株式会社製:平均繊維長5mm
・アラミド繊維:アラミド繊維「テクノーラ(登録商標)P32TNW」:帝人株式会社製:平均繊維長3mm
・熱膨張性マイクロカプセル:「アドバンセル(登録商標)EM304」積水化学工業株式会社製
(発泡性抄造体の製造)
表2に示す配合(重量部)で、次のようにして発泡性抄造体を製造した。
まず、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μm(質量基準の50%粒子径)に粉砕した熱硬化性樹脂と、短繊維と、熱膨張性マイクロカプセルとを水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌して混合物を得た。ここでは、熱硬化性樹脂、短繊維からなる構成材料の合計100重量部を10000重量部の水に添加した。
次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤を、上述した構成材料の合計に対して0.2重量%添加し、構成材料をフロック状に凝集させた。
続けて、得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に3時間入れて乾燥させて、発泡性抄造体を得た。収率は97%であった。
(発泡体の製造)
得られた発泡性抄造体を4mm厚の金型内に配置し、180℃、2MPaで、10分間加熱加圧処理を施し、発泡体を製造した。
得られた発泡体について、各評価を行った。結果を表2に示す。
(評価)
・密度:JIS K−7112 A法に準拠した方法で測定した。
・曲げ強度、曲げ弾性率:JIS K−7171 に準拠した方法で測定した。
・比強度、比弾性率:得られた曲げ強度、曲げ弾性率を密度で除することで算出した。
・EMIシールド特性:0.5MHz〜500MHzにおいて、99%以上の遮蔽効果(KEC法、電界)を示したものを○、遮蔽効果がそれに満たないものを×として評価した。
Figure 2017057541
表2から明らかなように、実施例5、6においては、比較例2に比べて同等の電磁波シールド性(EMIシールド特性)を具備しつつ、成形体としてのさらなる軽量化が達成されている。
10 発泡性抄造体
30 メッシュ
40 金型
41 金型
50 発泡体
A 熱硬化性樹脂
B 短繊維
C 熱膨張性マイクロカプセル
D 気泡
F 凝集剤

Claims (10)

  1. 熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを含む、発泡性抄造体。
  2. 請求項1に記載の発泡性抄造体において、
    前記短繊維が、炭素繊維を含む、発泡性抄造体。
  3. 請求項1に記載の発泡性抄造体において、
    前記短繊維が、金属繊維を含む、発泡性抄造体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発泡性抄造体において、
    前記短繊維の含有量が、前記熱硬化性樹脂に対して、10〜70重量%である、発泡性抄造体。
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載の発泡性抄造体において、
    前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂である、発泡性抄造体。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の発泡性抄造体が発泡した発泡体。
  7. 熱硬化性樹脂、短繊維、及び複数の熱膨張性マイクロカプセルの発泡粒子を備え、比重が1.6g/cm以下である、発泡体。
  8. 請求項7に記載の発泡体において、
    前記短繊維の含有量が、前記熱硬化性樹脂に対して、10〜70重量%である、発泡体。
  9. 熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合し、次いで抄造して発泡性抄造体を得る工程を含む、発泡性抄造体の製造方法。
  10. 熱硬化性樹脂、短繊維、及び熱膨張性マイクロカプセルを混合し、次いで抄造して発泡性抄造体を得る工程と、
    前記発泡性抄造体を金型内に配置し、前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、所定の形状の発泡体を得る工程と、を含む、発泡体の製造方法。
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