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JP2017056820A - ステアリングホイールの位置調節装置 - Google Patents

ステアリングホイールの位置調節装置 Download PDF

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JP2017056820A
JP2017056820A JP2015182723A JP2015182723A JP2017056820A JP 2017056820 A JP2017056820 A JP 2017056820A JP 2015182723 A JP2015182723 A JP 2015182723A JP 2015182723 A JP2015182723 A JP 2015182723A JP 2017056820 A JP2017056820 A JP 2017056820A
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誠一 森山
Seiichi Moriyama
誠一 森山
鈴木 良一
Ryoichi Suzuki
良一 鈴木
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Abstract

【課題】ステアリングホイールを調節後の位置に保持する力を大きくできて、しかも、このステアリングホイールの位置調節を円滑に行える構造を実現する。
【解決手段】揺動摩擦板25の先半部を、一方の支持板部20aの外側面と、一方の押圧部24aの内側面との間に挟持する。又、揺動摩擦板25の基端部に設けられた円孔を、一方の支持板部20aの外側面に、一方の支持板部20aと一体に、幅方向外方に突出する状態で設けた円筒部に揺動可能に外嵌すると共に、揺動摩擦板25の先半部に設けられたガイド長孔32に調節ロッド22aを挿通する。
【選択図】図1

Description

本発明は、運転者の体格や運転姿勢に応じてステアリングホイールの上下位置を調節する為のステアリングホイールの位置調節装置の改良に関する。
自動車用の操舵装置は、図19に示す様に構成して、ステアリングホイール1の回転をステアリングギヤユニット2の入力軸3に伝達し、該入力軸3の回転に伴って左右1対のタイロッド4、4を押し引きして、前車輪に舵角を付与する様にしている。前記ステアリングホイール1は、ステアリングシャフト5の後端部に支持固定しており、該ステアリングシャフト5は、円筒状のステアリングコラム6を軸方向に挿通した状態で、該ステアリングコラム6の内側に回転自在に支持している。又、前記ステアリングシャフト5の前端部は、自在継手7を介して中間シャフト8の後端部に接続し、該中間シャフト8の前端部を、別の自在継手9を介して、前記入力軸3に接続している。尚、本明細書及び特許請求の範囲全体で、前後方向、左右方向(幅方向)、及び上下方向は、特に断らない限り、車両の前後方向、左右方向(幅方向)、及び上下方向を言う。
上述の様な操舵装置で、運転者の体格や運転姿勢に応じ、前記ステアリングホイール1の上下位置を調節する為のチルト機構が、従来から広く知られている。チルト機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6の前端部を車体10に対して、左右方向に設置した枢軸11を中心とする揺動変位を可能に支持している。又、前記ステアリングコラム6の後端寄り部分に固定した変位ブラケット12を、前記車体10に支持した支持ブラケット13に対する変位を可能に支持している。又、前記図19に示した従来構造の場合には、前記ステアリングホイール1の前後位置を調節する為のテレスコピック機構も組み込んでいる。テレスコピック機構を構成する為に、前記ステアリングコラム6を、アウタコラム14とインナコラム15とをテレスコープ状に伸縮自在に組み合わせた構造とし、前記ステアリングシャフト5を、アウタシャフト16とインナシャフト17とを、スプライン係合等により、トルク伝達可能に、且つ、伸縮可能に組み合わせた構造としている。尚、図示の例は、電動モータ18を補助動力源として前記ステアリングホイール1を操作する為に要する力の低減を図る、電動式パワーステアリング装置も組み込んでいる。
チルト機構やテレスコピック機構で、電動式のものを除く手動式の構造の場合には、調節レバーの操作に基づいて、前記ステアリングホイール1の位置を調節可能な状態としたり、調節後の位置に固定したりできる様にしている。この様な手動式のチルト機構やテレスコピック機構の構造に就いては、従来から各種構造のものが広く知られており、且つ、実施されている。例えば、図19に示した構造の場合には、前記アウタコラム14に固設した変位ブラケット12に、前後位置調節方向である前記アウタコラム14の軸方向に伸長する、前後方向長孔19を形成している。又、前記支持ブラケット13は、前記変位ブラケット12を左右両側から挟む、1対の支持板部20を備えており、該1対の支持板部20の互いに整合する部分に、それぞれ上下方向に伸長する、1対の上下方向長孔21を形成している。前記1対の上下方向長孔21は、一般的には、前記枢軸11を中心とする部分円弧状である。そして、前記1対の上下方向長孔21と前記前後方向長孔19とに、調節ロッド22を挿通している。前記調節ロッド22には、前記1対の支持板部20を左右方向両側から挟む状態で1対の押圧部を設けており、調節レバーの操作に基づいて作動する拡縮装置により、前記1対の押圧部同士の間隔を拡縮可能としている。
前記ステアリングホイール1の上下位置又は前後位置を調節する際には、前記調節レバーを所定方向(一般的には下方)に揺動させる事により、前記1対の押圧部同士の間隔を拡げる。これにより、前記1対の支持板部20の内側面と前記変位ブラケット12の両外側面との間に作用している摩擦力を小さくする。そして、この状態で、前記調節ロッド22が、前記1対の上下方向長孔21及び前記前後方向長孔19内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。調節後は、前記調節レバーを前記所定方向とは逆方向(一般的には上方)に揺動させる事により、前記1対の押圧部同士の間隔を縮める。これにより、前記摩擦力を大きくして、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する。
又、上述したステアリング装置は、衝突事故の際に、運転者の身体が前記ステアリングホイール1にぶつかる、二次衝突が発生した場合に、前記運転者に加わる衝撃荷重を緩和すべく、該ステアリングホイール1が前方に変位する事を許容する機能を備える。この為に、具体的には、前記支持ブラケット13を前記車体10に対し、二次衝突時の衝撃により前方への離脱を可能に支持する構造を採用している。ところで、チルト機構を備えたステアリング装置の場合、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する力、即ち、前記支持ブラケット13に対する前記ステアリングコラム6(アウタコラム14)の保持力が弱いと、前記支持ブラケット13を前記車体10から離脱させる事に基づく衝撃吸収機構の設計が難しくなる可能性がある。即ち、前記ステアリングホイール1の上下位置が中間乃至下端位置である状態で二次衝突が発生した場合、前記保持力が弱いと、前記調節ロッド22が前記1対の上下方向長孔21に沿って上方に変位する事により、前記ステアリングホイール1が調節可能範囲の上端位置まで、勢い良く移動する(舞い上がる)可能性がある。この結果、前記支持ブラケット13に対する衝撃の加わり方が変化して、前記衝撃吸収機構の設計が難しくなる可能性がある。
一方、前記調節レバーの操作量や操作力を大きくする事なく、前記支持ブラケット13に対する前記ステアリングコラム6の保持力を大きくする為には、この保持力を確保する為の摺動摩擦部(互いに当接する面同士が摩擦係合している部分)の数を増やす事が好ましい。この様な事情に鑑みて、特許文献1には、ステアリングコラムに支持した摩擦板と、支持ブラケットに支持した摩擦板とを、左右方向に重ね合わせる事により、前記摺動摩擦部の数を増やす構造が記載されている。但し、この様な特許文献1に記載された構造の場合、前記摺動摩擦部の数を増やす為に必要となる摩擦板の枚数が多くなり、前記摺動摩擦部を増やす事に伴って生じる、左右方向寸法、部品点数及び重量の増大量が、それぞれ大きくなる。
特開平10−35511号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、少ない摩擦板により、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する力を大きくでき、しかも、該ステアリングホイールの位置調節を円滑に行えるステアリングホイールの位置調節装置の構造を実現すべく発明したものである。
本発明のステアリングホイールの位置調節装置は、ステアリングコラムと、変位ブラケットと、コラム側貫通孔と、支持ブラケットと、1対の上下方向長孔と、調節ロッドと、1対の押圧部と、拡縮装置とを備える。
前記ステアリングコラムは、筒状で、後端部にステアリングホイールが支持固定されたステアリングシャフトを、該ステアリングコラムの内側に回転自在に支持する。
前記変位ブラケットは、前記ステアリングコラムの一部に固設されている。
前記コラム側貫通孔は、前記変位ブラケットに、該変位ブラケットを幅方向に貫通する状態で設けられている。この様なコラム側貫通孔は、テレスコピック機構を備えていない、チルト機構のみを備えた構造の場合には、単なる円孔とする。これに対し、チルト機構及びテレスコピック機構の両方を備えた構造の場合には、前後方向(前記ステアリングコラムの軸方向)に伸長する前後方向長孔とする。
前記支持ブラケットは、前記変位ブラケットを幅方向両側から挟持する1対の支持板部を備え、車体に支持される。
前記1対の上下方向長孔は、前記1対の支持板部の互いに整合する部分に設けられている。
前記調節ロッドは、前記コラム側貫通孔及び前記1対の上下方向長孔を幅方向に挿通する状態で設けられている。
前記1対の押圧部は、前記調節ロッドの両端部で、前記1対の支持板部の外側面から突出した部分に設けられている。
前記拡縮装置は、前記1対の押圧部同士の間隔を拡縮する。
特に、本発明のステアリングホイールの位置調節装置の場合、前記1対の支持板部のうちの少なくとも一方の支持板部の側面(内側面又は外側面)と、該一方の支持板部の側面に対向する相手部材の側面(前記変位ブラケットの外側面、又は、前記1対の押圧部のうちの一方の押圧部の内側面)との間部分に揺動摩擦板を挟持している。
そして、前記揺動摩擦板の基端部に設けられた円孔を、前記一方の支持板部の側面に、該一方の支持板部と一体に、前記相手部材側に向けて幅方向に突出する状態で設けられた円筒部に揺動可能に外嵌すると共に、前記調節ロッドを、前記揺動摩擦板の先半部に設けられたガイド長孔に、該ガイド長孔に沿った変位のみ可能に係合している。
更に、前記揺動摩擦板の両側面のうちの少なくとも一方の側面に低摩擦層を形成し、該側面と、該側面に対向する前記一方の支持板部の側面又は前記相手部材の側面との間の摩擦係数を1.0以上1.5以下とする。
上述の様な構成を有する本発明のステアリングホイールの位置調節装置を造るには、前記一方の支持板部を構成する金属板にバーリング加工を施す事により、該一方の支持板部の側面に前記円筒部を設ける。
又、前記低摩擦層は、前記揺動摩擦板の両側面のうちの少なくとも一方の側面に、錫(Sn)等のメッキ処理、窒化処理、又はDLC(ダイヤモンドライクコーティング)処理等のコーティング処理を施す事により形成する事ができる。
上述の様な本発明のステアリングホイールの位置調節装置を実施する場合に、具体的には、前記ガイド長孔を、前記円筒部を中心とする揺動方向片端部から他端部に向かうに従って、該円筒部との間の距離が長くなる方向に設けられたものとする。
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記円筒部の先端部のうち、前記揺動摩擦板の側面(前記揺動摩擦板の両側面のうち、前記相手部材側の側面)から突出した部分に設けられたかしめ部により、前記揺動摩擦板が前記円筒部から脱落する事を防止する。
この様な請求項2に記載したステアリングホイールの位置調節装置を造るには、前記円筒部の先端部のうち、前記揺動摩擦板の側面から突出した部分を、径方向外方に塑性変形させる事により、当該部分に前記かしめ部を設ける。
上述の様な本発明を実施する場合に、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記揺動摩擦板を1対設け、該1対の揺動摩擦板を、互いの先半部同士を重ね合わせた状態で、前記一方の支持板部の側面と前記相手部材の側面との間部分に挟持する。
尚、この様な構成を採用する場合には、前記1対の揺動摩擦板毎に、前記一方の支持板部の側面に前記円筒部を設ける。
この様な請求項3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、前記1対の揺動摩擦板のうち、前記相手部材側の揺動摩擦板の基端部に設けられた円孔を揺動可能に外嵌する円筒部を、前記一方の支持板部の側面に、前記相手部材側に向けて幅方向に張り出した状態で設けられた凸部の先端面に設ける。
或いは、請求項5に記載した発明の様に、前記1対の揺動摩擦板のうち、前記相手部材側の揺動摩擦板を、該相手部材側の揺動摩擦板の基半部(前記円孔が設けられた基端部を含む部分)を先半部に対し、幅方向に関して前記一方の支持板部側にオフセットさせる事により、前記相手部材側の揺動摩擦板の基半部にオフセット部が設けられたものとする。
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した発明の様に、前記円筒部を、前記一方の支持板部のうちで、該一方の支持板部に設けられた上下方向長孔の中心線の延長線上(その近傍部分を含む)に位置する部分に設ける。
上述の様に構成する本発明のステアリングホイールの位置調節装置によれば、少数の摩擦板によっても、ステアリングホイールを調節後の位置に保持する力を大きくでき(摺動摩擦部を増やす事ができ)、しかも、該ステアリングホイールの位置調節を円滑に行える。
即ち、本発明の場合、前記ステアリングホイールを調節後の位置に保持すべく、1対の押圧部同士の間隔を縮めた状態では、揺動摩擦板が、少なくとも一方の支持板部の側面(内側面又は外側面)と、該一方の支持板部の側面に対向する相手部材の側面(変位ブラケットの外側面、又は、1対の押圧部のうちの一方の押圧部の内側面)との間で強く挟持された状態となる。この状態から前記ステアリングホイールの上下位置を動かそうとすると、前記揺動摩擦板の両側面と、前記一方の支持板部の側面及び前記相手部材の側面とが強く擦れ合う事となる。要するに、前記ステアリングホイールを所望の位置に保持した状態から、該ステアリングホイールの上下位置を動かそうとした場合、前記揺動摩擦板の両側面を滑らせつつ、該揺動摩擦板を揺動させる必要がある。この為、前記ステアリングホイールを調節後の位置に保持する力を強くできる。又、本発明の場合、この様なステアリングホイールを調節後の位置に保持する力を強くできる構造を、前述した特許文献1に記載の構造の様に、複数枚の摩擦板を重ね合わせる事なく、少ない揺動摩擦板で実現できる。従って、前記ステアリングホイールの位置調節装置の左右方向寸法、部品点数及び重量が増大するのを抑えて、該ステアリングホイールの位置調節装置の小型・軽量化を図れる。
更に、本発明の場合、前記一方の支持板部の側面に、該一方の支持板部と一体に設けられた円筒部に、前記揺動摩擦板の基端部に設けられた円孔を揺動可能に外嵌する事で、前記揺動摩擦板を前記一方の支持板部に対し、揺動可能に支持している。従って、前記揺動摩擦板を設ける事に伴い、部品点数が徒に増大するのを防止できる。
又、本発明によれば、前記揺動摩擦板の両側面のうちの少なくとも一方の側面と、該一方の側面に対向する前記一方の支持板部の側面又は前記相手部材の側面との間に作用する摩擦力を適切な大きさに調整する(低摩擦層を形成しなかった場合と比較して、前記摩擦力を小さく抑える事ができる)と共に、前記揺動摩擦板の防錆を図れる(耐食性を向上させる事ができる)。
又、請求項3に記載した発明によれば、前記ステアリングホイールの保持力を確保する為の摺動摩擦部の数を、更に増やす事ができて、この保持力をより大きくする事ができる。
又、請求項4〜5に記載した発明によれば、1対の揺動摩擦板のうち、前記相手部材側の揺動摩擦板を揺動可能に支持する為の円筒部の強度を十分に確保する事ができる。
又、請求項6に記載した発明によれば、前記ステアリングホイールの位置を調節する際に、調節ロッドの外周面と、前記揺動摩擦板のガイド長孔、及び、前記一方の支持板部に設けた上下方向長孔の内周縁との係合部(摺接部)に作用する摩擦力に基づいて前記調節ロッドに加わる、該調節ロッドが変位する事に対する摩擦抵抗を低減できる。この結果、前記ステアリングホイールの位置調節作業を円滑に行わせる事ができる。
本発明の実施の形態の第1例を示す側面図。 図1の拡大a−a断面図。 揺動摩擦板を一方の支持板部に支持する以前の状態で示す斜視図。 ステアリングホイールを調節可能範囲の上端位置に移動させた状態(A)と、中間位置に移動させた状態(B)と、下端位置に移動させた状態(C)とで揺動摩擦板の位置関係を、それぞれステアリングコラム及び調節レバーを省略して示す、図1の中央部に相当する側面図。 本発明の効果を説明する為に、調節ロッドと、ガイド長孔及び上下方向長孔との係合状態を、従来構造の場合(A)と本発明の場合(B)とで比較して示す模式図。 本発明の実施の形態の第2例を、支持ブラケットと揺動摩擦板とを取り出して示す断面図(A)と、別例を示す(A)と同様の図(B)。 同第3例を示す、図2と同様の図。 同じく斜視図。 同じく、図3と同様の図。 同じく、図4と同様の図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図2と同様の図。 同じく、図3と同様の図。 本発明の実施の形態の第5例を示す、図2と同様の図。 同じく、図3と同様の図。 本発明の実施の形態の第6例を示す、図2と同様の図。 同第7例を示す側面図。 図16の拡大b−b断面図。 ステアリングホイールを調節可能範囲の前端位置に移動させた状態(A)と、中間位置に移動させた状態(B)と、後端位置に移動させた状態(C)とでテレスコ用揺動摩擦板の位置関係を、ステアリングコラムと該テレスコ用揺動摩擦板とを取り出して示す、図16の中央部に相当する側面図。 従来から知られているステアリングホイールの位置調節装置の1例を示す、部分切断略側面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、請求項1、2、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、ステアリングコラム6aと、変位ブラケット12aと、コラム側貫通孔である前後方向長孔19aと、ステアリングシャフト5aと、支持ブラケット13aと、1対の上下方向長孔21a、21aと、調節ロッド22aと、1対の押圧部24a、24bと、調節レバー23と、揺動摩擦板25とを備える。
このうちのステアリングコラム6aは、前側に配置されたインナコラム15aの後端部と後側に配置されたアウタコラム14aの前端部とを軸方向の相対変位を可能に嵌合して成るテレスコピックステアリングコラムで、全体を円筒状としている。又、前記変位ブラケット12aは、アルミニウム系合金等の軽合金をダイキャスト成形する事により、前記アウタコラム14aの前端部下面に、該アウタコラム14aと一体に構成している。前記変位ブラケット12aは、幅方向中央部に形成したスリット26により、全幅を弾性的に拡縮可能としている。但し、前記変位ブラケット12aは、前記アウタコラム14aの前端部上面に設ける事もできる。前記前後方向長孔19aは、前記変位ブラケット12aの一部で、前記スリット26を挟んで互いに整合する位置に、前記変位ブラケット12aを幅方向に貫通する状態で設けている。
又、前記ステアリングシャフト5aは、後側に配置したアウタシャフト16aの前端部と前側に配置したインナシャフト17aの後端部とを、スプライン係合等により、トルクの伝達を可能に、且つ、伸縮可能に組み合わせて成る。この様なステアリングシャフト5aは、前記アウタシャフト16aの中間部後端寄り部分を前記アウタコラム14aの後端部に、前記インナシャフト17aの中間部前端寄り部分を前記インナコラム15aの前端部に、それぞれ単列深溝型の玉軸受の如く、ラジアル荷重及びスラスト荷重を支障可能な転がり軸受により、回転自在に支持している。従って、前記ステアリングシャフト5aは、前記ステアリングコラム6aの伸縮と共に伸縮する。尚、前記アウタシャフト16aの後端部で前記アウタコラム14aの後端開口よりも後方に突出した部分には、ステアリングホイール1(図19参照)を支持固定する。
又、前記支持ブラケット13aは、鋼板等、必要とする強度及び剛性を確保できる金属板を曲げ形成して成るもので、車体に支持する為の取付板部27と、この取付板部27の下面から垂下された、互いに平行な1対の支持板部20a、20bとを備える。前記1対の支持板部20a、20bの内側面同士の間隔は、前記変位ブラケット12aの幅寸法にほぼ一致する。又、前記1対の上下方向長孔21a、21aは、前記1対の支持板部20a、20bの互いに整合する部分に形成しており、前記ステアリングコラム6aの前端部を揺動変位可能に支持した枢軸11aを中心とする部分円弧状である。但し、前記1対の上下方向長孔21a、21aは、後方に向かう程上方に向かう方向に傾斜する直線状とする事もできる。この様な構成を有する前記支持ブラケット13aは、車体10(図19参照)に対して、二次衝突時に加わる衝撃荷重により前方への脱落を可能に、但し、通常時には前記ステアリングコラム6aを充分な剛性を確保できる状態で支持している。即ち、前記取付板部27の幅方向2箇所位置に係止切り欠き28、28を、前記取付板部27の後端縁に開口する状態で形成し、前記1対の係止切り欠き28、28を、車体10(図19参照)に固定した係止カプセル29、29に、前方に向いた強い衝撃が加わった場合に前方への離脱を可能に係止している。この様な支持ブラケット13aを構成する金属板の板厚は、例えば、2.8〜4.5mm程度、好ましくは、3.2〜4.0mmとする。
又、前記調節ロッド22aは、前記前後方向長孔19a及び前記1対の上下方向長孔21a、21aを幅方向に挿通する状態で設けている。そして、この様な調節ロッド22aの両端部で、前記1対の支持板部20a、20bの外側面から突出した部分に、前記1対の押圧部24a、24bを設け、前記調節レバー23により、前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡縮可能としている。前記調節レバー23により前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡縮する為の拡縮装置の構造は特に問わない。例えば1対のカム部材のカム面同士の係合により軸方向寸法を拡縮可能としたカム装置や、調節ロッド22aの先端部に設けた雄ねじ部にナットを螺合する構造を採用する事ができる。何れの構造を採用した場合でも、前記調節レバー23は前記調節ロッド22aの一端部に設け、該調節ロッド22aを中心として回転する事により、前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡縮する。
又、前記揺動摩擦板25は、鋼板、ステンレス鋼板或いはアルミニウム系合金等の、必要とする強度及び剛性を確保できる金属板により、略扇形に形成している。この金属板の板厚は、例えば、0.5〜1.5mm程度、好ましくは、0.8〜1.2mmとする。この様な揺動摩擦板25は、該揺動摩擦板25の先半部(幅広部)を、前記一方の支持板部20aの外側面と、前記1対の押圧部24a、24bのうちの一方(図2の左方)の押圧部24aの内側面との間に挟持した状態で、前記一方の支持板部20aに対し、前記ステアリングホイール1の上下位置調節に伴う揺動変位可能に支持している。この為に、前記揺動摩擦板25は、該揺動摩擦板25の基端部(扇の要に相当する部分)に設けられた円孔30を、前記一方の支持板部20aの外側面に、該一方の支持板部20aと一体に、幅方向外方に(前記一方の押圧部24aに向けて)突出する状態で設けた円筒部31に揺動可能に外嵌する(隙間嵌で外嵌する)と共に、前記揺動摩擦板25の先半部に設けられたガイド長孔32に前記調節ロッド22aを挿通している。前記円筒部31は、前記一方の支持板部20aを構成する金属板にバーリング加工を施す事により、該一方の支持板部20aと一体に形成されている。この様な円筒部31の形成位置は、前記一方の支持板部20aの外側面のうち、該一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21aの中心線α{図4の(A)参照}の延長線(前記枢軸11aを中心とする部分円弧)上(後述する角度θを、前記調節ロッド22aの上下位置に拘わらずほぼ一定にできる限りに於いて、その近傍を含む)で、前記上下方向長孔21aよりも上方としている。本例の場合、前記円筒部31を前記揺動摩擦板25の円孔30に挿通した状態で、前記円筒部31のうち、前記揺動摩擦板25の片側面(図2の左側面)から突出した部分を径方向外方に塑性変形させる事により、当該部分にかしめ部33を形成している。そして、前記かしめ部33により前記揺動摩擦板25が前記円筒部31から脱落する(前記円孔30が前記円筒部31から抜け出る)のを防止している。但し、前記かしめ部33は、前記揺動摩擦板25を抑え付けない様にして、前記ステアリングホイール1の位置を調節可能とすべく、前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡げた状態で、該揺動摩擦板25を円滑に揺動させられる様にしている。又、前記ガイド長孔32は、揺動方向片端部である後端部(図1、4の時計方向後側の端部)から、揺動方向他端部である前端部(同図の時計方向前側の端部)まで、少しずつでも、前記円孔30、即ち、前記揺動摩擦板25の揺動中心である前記円筒部31との間の距離が長くなる方向に、滑らかな曲線となる様に形成している。具体的には、前記ガイド長孔32を、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内の中央部に位置する状態{図4の(B)に示す状態}で、前記中心線αよりも前方で、且つ、前記円筒部31よりも上方に位置する点を中心とする部分円弧状としている。そして、この部分円弧のうちで前記調節ロッド22aが係合している部分の接線と、前記円筒部31の中心軸を中心とし、前記調節ロッド22aと前記円筒部31との間の距離Lを半径とする仮想円弧の接線(前記揺動摩擦板25の揺動方向)との成す角度θが、前記調節ロッド22aの上下位置に拘わらず、ほぼ一定となる様にしている。尚、この様な角度θは、10度〜35度とする事が好ましく、より好ましくは20度〜30度とする。そして、前記調節ロッド22aが、前記上下方向長孔21a内で移動可能な範囲のうちの上端部に位置する場合に、前記調節ロッド22aと前記ガイド長孔32の後端部とが係合し、前記調節ロッド22aが、前記上下方向長孔21a内で移動可能な範囲のうちの下端部に位置する場合に、前記調節ロッド22aと前記ガイド長孔32の前端部とが係合する様に、前記揺動摩擦板25の円孔30を前記円筒部31に、該円筒部31を中心とする揺動変位を可能に外嵌支持している。更に本例の場合には、前記揺動摩擦板25の両側面に、錫(Sn)等のメッキ処理、窒化処理、又はDLC処理等のコーティング処理を施して、潤滑性向上及び防錆の為の低摩擦層を設けている。
本例の場合、前記ステアリングホイール1の上下位置又は前後位置を調節する際には、前記調節レバー23を所定方向(通常は下方)に揺動させる事により、前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡げる。この結果、前記変位ブラケット12aのスリット26の存在に基づき、前記アウタコラム14aの前端部の内径が弾性的に拡がって、該アウタコラム14aの前端部内周面と前記インナコラム15aの後端部外周面との嵌合部の面圧が、低下乃至は喪失する。同時に、前記揺動摩擦板25の両側面と、前記一方の支持板部20aの外側面及び前記一方の押圧部24aの内側面との当接部の面圧、並びに、前記1対の支持板部20a、20bの内側面と前記変位ブラケット12aの両側面との当接部の面圧、及び他方の支持板部20bの外側面と他方の押圧部24bの内側面との当接部の面圧が、それぞれ低下乃至は喪失する。この状態で、前記調節ロッド22aが、前記前後方向長孔19a及び前記1対の上下方向長孔21a、21a内で変位できる範囲で、前記ステアリングホイール1の位置を調節する。
上述の様な本例に於いて、前記ステアリングホイール1の上下位置を調節すべく、該ステアリングホイール1(ステアリングコラム6a)を上下方向に変位させた場合の、前記揺動摩擦板25の動きに就いて次に説明する。図4の(A)は、前記ステアリングホイール1を調節可能な上端位置まで移動させた状態を示している。この状態では、前記調節ロッド22aと、前記上下方向長孔21aの上端部及び前記ガイド長孔32の後端部とが係合している。この状態から前記ステアリングホイール1を下方に変位させ、前記調節ロッド22aを下降させると、該調節ロッド22a及び前記円筒部31の中心軸同士の間の距離Lが長くなる為、図4の(A)→(B)→(C)に示す様に、前記揺動摩擦板25が前記円筒部31を中心として、図4の反時計方向に揺動する。そして、前記ステアリングホイール1を調節可能な下端位置まで移動させた状態では、前記図4の(C)に示す様に、前記調節ロッド22aは、前記上下方向長孔21aの下端部及び前記ガイド長孔32の前端部と係合している。これに対し、前記ステアリングホイール1を、下端位置から上端位置まで上方に変位させる場合には、上述した下方に変位させる場合とは逆に、図4の(C)→(B)→(A)の順に、前記揺動摩擦板25が揺動する。
上述の様に構成する本例のステアリングホイールの位置調節装置によれば、ステアリングホイール1(図19参照)を調節後の位置に保持する力を大きくできて、しかも、該ステアリングホイール1の上下位置の調節を円滑に行える。即ち、本例の場合、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持すべく、前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を縮めた状態では、前記揺動摩擦板25が、前記一方の支持板部20aの外側面と、前記一方の押圧部24aの内側面との間で強く挟持された状態となる。この状態から前記ステアリングホイール1の上下位置を動かそうとすると、前記揺動摩擦板25の両側面と、前記一方の支持板部20aの外側面及び前記一方の押圧部24aの内側面とが強く擦れ合う事となる。要するに、前記ステアリングホイール1を所望の位置に保持した状態から、このステアリングホイール1を動かそうとした場合、前記揺動摩擦板25の両側面を、前記一方の支持板部20aの外側面及び前記の一方の押圧部24aの内側面に対して滑らせつつ、前記揺動摩擦板25を揺動させる必要がある。この為、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する力を強くできる。この結果、二次衝突時に、前記ステアリングホイール1に加わる前方に向いた衝撃荷重に基づき、調節ロッド22aが前記1対の支持板部20a、20bに設けられた上下方向長孔21a、21aに沿って上方に変位する事により、前記ステアリングホイール1が舞い上がるのを防止できて、運転者の身体の保護充実を図れる。
又、本例の場合には、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する力を強くできる構造を、前述した特許文献1に記載の構造の様に、複数枚の摩擦板を重ね合わせる事なく、一枚の揺動摩擦板25のみで実現できる。従って、前記ステアリングホイールの位置調節装置の左右方向寸法、部品点数及び重量が、前記特許文献1に記載の構造の様に増大するのを抑える事ができ、前記ステアリングホイールの位置調節装置の小型・軽量化を図れる。更に、本例の場合には、前記一方の支持板部20aに一体に設けられた円筒部31に、前記揺動摩擦板25の基端部に設けられた円孔30を外嵌する事で、前記揺動摩擦板25を前記一方の支持板部20aに対し、揺動可能に支持している。従って、前記揺動摩擦板25を設ける事に伴い、部品点数が徒に増大するのを防止できる。具体的には、例えば、一方の支持板部の側面に、該一方の支持板部と別体に設けられた円柱状部材を溶接等により支持固定する事で、揺動摩擦板の基端部に設けられた円孔を揺動可能に支持する為の揺動支持軸を設ける等する必要がない。この為、前記揺動摩擦板25を設ける事に伴って、製造コストが徒に増大するのを抑える事ができる。特に本例の様に、前記円筒部31を、前記一方の支持板部20aを構成する金属板にバーリング加工を施す事により形成すれば、前記ステアリングホイールの位置調節装置を、工業的に能率良く生産する事ができる。
又、本例の場合、前記揺動摩擦板25の基端部に設けられた円孔30を、前記一方の支持板部20aの側面のうち、該一方の支持板部20aに形成された上下方向長孔21aの中心線αの延長線上で、該上下方向長孔21aよりも上方に設けられた円筒部31に揺動可能に外嵌している。この為、前記ステアリングホイール1の上下位置を調節する際に、前記調節ロッド22aと、前記上下方向長孔21a及び前記揺動摩擦板25の先半部に設けられたガイド長孔32との係合部に作用する摩擦力を低減できる。この理由に就いて、図5を参照しつつ説明する。
図5の(A)は、揺動摩擦板25zの基端部に設けられた円孔30を揺動可能に支持する為の円筒部31zを、上下方向長孔21aの後方(或いは前方)に設けた構造を示している。この図5の(A)に示した比較例の構造の場合も、調節ロッド22aとの係合部に於ける前記揺動摩擦板25zの先半部に設けられたガイド長孔32zの長さ方向(該ガイド長孔32zの接線方向)と、前記調節ロッド22aと前記円筒部31zとの間の距離Lを半径とする仮想円弧の接線(前記揺動摩擦板25zの揺動方向)との成す角度θは、前記調節ロッド22aの上下位置に拘わらず、ほぼ一定(好ましくは10度〜35度、より好ましくは20度〜30度)となる様にしている。この様な比較例の構造の場合、前記調節ロッド22aとの係合部に於ける前記上下方向長孔21aの長さ方向(該上下方向長孔21aの接線方向)と、前記調節ロッド22aとの係合部に於ける前記ガイド長孔32zの長さ方向(該ガイド長孔32zの接線方向)との成す角度φは、ステアリングホイール1の上下位置に拘わらず、比較的小さくなる(20度〜30度程度になる)。この為、前記ステアリングホイール1の上下位置の調節時に、前記調節ロッド22aの外周面と、前記上下方向長孔21aの内周縁及び前記ガイド長孔32zの内周縁との係合部(摺接部)にくさび効果が発生し、該係合部に作用する摩擦力が大きくなる。即ち、前記ステアリングホイール1を上方に変位する事に基づいて、前記調節ロッド22aに加わる力をFとした場合、該調節ロッド22aの外周面と前記上下方向長孔21aの内周縁との係合部に加わる押し付け力(法線力)Fc1aと、前記調節ロッド22aの外周面と前記ガイド長孔32zの内周縁との係合部に加わる押し付け力Fc2aとは互いに等しく、次の(1)式で表す事ができる。
Figure 2017056820
又、前記調節ロッド22aの外周面と、前記上下方向長孔21aの内周縁及び前記ガイド長孔32zの内周縁との係合部の摩擦係数をμとした場合、前記調節ロッド22aの外周面と前記上下方向長孔21aの内周縁との係合部に作用する摩擦力Fs1aと、前記調節ロッド22aの外周面と前記ガイド長孔32zの内周縁との係合部に作用する摩擦力Fs2aとに就いても互いに等しくなり、次の(2)式で表される。
Figure 2017056820
従って、前記比較例の構造に於いて、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内を上方に変位する事に対する摩擦抵抗(前記摩擦力Fs1aと、前記摩擦力Fs2aのうち上下方向長孔21aの長さ方向成分との和)Fsは、次の(3)式により算出できる。
Figure 2017056820
これに対し、本例のステアリングホイールの位置調節装置の場合には、図5の(B)に示す様に、前記円筒部31を、前記上下方向長孔21aの中心線αの延長線上で、該上下方向長孔21aよりも上方に設けている。この為、前記調節ロッド22aとの係合部に於ける前記上下方向長孔21aの長さ方向(該上下方向長孔21aの接線方向)と、前記調節ロッド22aとの係合部に於ける前記ガイド長孔32の長さ方向(該ガイド長孔32の接線方向)との成す角度φ(=90度−θ)は、前記比較例の構造の様に、円筒部31aを上下方向長孔21aの後方(或いは前方)に設けた場合と比較して、大きくできる。この為、前記ステアリングホイール1の上下位置の調節時に、前記調節ロッド22aの外周面と、前記上下方向長孔21aの内周縁及び前記ガイド長孔32の内周縁との係合部にくさび効果が発生するのを抑えられる。この結果、前記ステアリングホイール1を上方に変位させる事に基づいて、前記調節ロッド22aに加わる力をFとした場合、該調節ロッド22aの外周面と前記上下方向長孔21aの内周縁との係合部に加わる押し付け力(法線力)Fc、及び同じく前記ガイド長孔32の内周縁との係合部に加わる押し付け力Fcは、それぞれ次の(4)〜(5)式の様になる。
Figure 2017056820
Figure 2017056820
又、前記調節ロッド22aの外周面と、前記上下方向長孔21aの内周縁及び前記ガイド長孔32の内周縁との係合部の摩擦係数をμとすると、前記調節ロッド22aの外周面と前記上下方向長孔21aの内周縁との係合部に作用する摩擦力Fs、及び、前記調節ロッド22aの外周面と前記ガイド長孔32の内周縁との係合部に作用する摩擦力Fsは、それぞれ次の(6)〜(7)式で表される。
Figure 2017056820
Figure 2017056820
従って、本例のステアリングホイールの位置調節装置に於いて、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内を上方に変位する事に対する摩擦抵抗Fsは、次の(8)式により算出できる。
Figure 2017056820
ここで、本例の構造の場合、前記上下方向長孔21aの長さ方向と前記ガイド長孔32の長さ方向との成す角度φは55度〜80度であり、前記比較例の構造では、前記上下方向長孔21aの長さ方向と前記ガイド長孔32zの長さ方向との成す角度φは20度〜30度である。従って、前記(3)式及び前記(8)式から明らかな通り、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内を上方に変位する事に対する本例の構造の摩擦抵抗Fsを、同じく図5の(A)に示した比較例の構造の摩擦抵抗Fsよりも小さく抑えられる(Fs<Fs)。即ち、本例の場合に於いて、例えば前記摩擦係数μを0.15とし、前記角度φを65度(θを25度)とすると、前記(8)式から前記摩擦抵抗Fsは、0.1F程度になる。これに対し、前記比較例の場合に、前記角度φを25度とすると、前記(3)式から前記摩擦抵抗Fsは、0.7F程度になる。
要するに、本例のステアリングホイールの位置調節装置によれば、前記ステアリングホイール1の上下位置の調節時に、前記調節ロッド22aが上下方向に変位する事に対する摩擦抵抗Fsを、前記比較例の構造の場合よりも小さく抑えられ、前記ステアリングホイール1の上下位置の調節作業を円滑に行える。但し、前記円筒部31を、前記一方の支持板部20aの側面のうち、該一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21aの中心線αの延長線上で、該上下方向長孔21aよりも下方に設ける事もできる。
更に本例の場合には、前記揺動摩擦板25の両側面に、メッキ処理、窒化処理、又はDLC処理等のコーティング処理を施す事で、低摩擦層を設けている。この為、前記揺動摩擦板25の両側面と、前記一方の支持板部20aの外側面及び前記一方の押圧部24aの内側面との間に作用する摩擦力を適切な大きさに調整する(前記低摩擦層を形成しなかった場合と比較して、この摩擦力を小さく抑える)事ができる。従って、前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡げた状態で、前記揺動摩擦板25を円滑に揺動させる事ができて、前記ステアリングホイール1の上下位置の調節作業を円滑に行える。又、前記低摩擦層を設ける事により、前記揺動摩擦板25の耐食性(防錆効果)を向上させる事ができる。尚、前記低摩擦層を、前記揺動摩擦板25の両側面のうちの何れか一方の側面にのみ設ける事もできる。
[実施の形態の第2例]
図6の(A)は、請求項1、2、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、金属板製で略扇形の揺動摩擦板25aの先半部(幅広部)を、支持ブラケット13aを構成する1対の支持板部20a、20bのうちの一方(図6の左方)の支持板部20aの内側面と、変位ブラケット12a(図2参照)の片側面との間に挟持している。本例の場合、前記1対の支持板部20a、20b同士の間隔を、変位ブラケット12aの幅方向寸法と、前記揺動摩擦板25aの厚さとの和に、ほぼ一致させている。又、前記一方の支持板部20aのうち、該一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21の中心線α{図4の(A)参照}の延長線上で、該上下方向長孔21aよりも上方部分に面押し加工を施す事により、前記一方の支持板部20aの内側面に、幅方向外方に凹んだ凹部39を設けている。そして、前記凹部39の中央部にバーリング加工を施す事により、当該部分に、幅方向内方に突出する円筒部31aを設けている。尚、図6の(B)に示す様に、前記円筒部31aを、前記一方の支持板部25aのうちで、下半部よりも幅方向外方にオフセットさせた上半部に形成する事もできる。又、前記揺動摩擦板25aの基半部を先半部よりも幅方向外方にオフセットさせる事により、該揺動摩擦板25aの基半部にオフセット部35aを設けている。そして、前記オフセット部35aの中央部に設けた円孔30を、前記円筒部31aに揺動可能に外嵌し、該円筒部31aのうち、前記揺動摩擦板25aの他側面{図6の(A)の右側面}から突出した部分を径方向外方に塑性変形させる事により、当該部分に、かしめ部33を形成している。
この様な本例の場合、前記ステアリングホイール1の位置調節を可能とした状態で、前記揺動摩擦板25aの両側面と、前記一方の支持板部21aの内側面及び前記変位ブラケット12aの片側面との間に隙間を確保し易くできる。即ち、前記ステアリングホイール1の位置調節を可能とすべく、調節レバー23(図1、2参照)を所定方向に揺動させ、1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡げ、該1対の押圧部24a、24bにより前記1対の支持板部20a、20bを抑え付けている力を小さく(解放)すれば、該1対の支持板部20a、20b同士の間隔が弾性的に拡がる。更に、これに伴い、前記1対の支持板部20a、20bにより前記変位ブラケット12aを抑え付けている力が小さくなると(解放されると)、該変位ブラケット12aの幅方向中央部に形成されたスリット26の存在に基づいて、前記変位ブラケット12aの全幅が弾性的に拡がる。そこで、前記調節レバー23の操作に伴う、前記1対の支持板部20a、20bの弾性変形量を前記変位ブラケット12aの弾性変形量よりも大きくすれば、前記調節レバー23を所定方向に揺動させ、前記1対の押圧部24a、24b同士の間隔を拡げた状態で、前記揺動摩擦板25の両側面と、前記一方の支持板部21aの内側面及び前記変位ブラケット12aの片側面との間に隙間を介在させられる。この結果、前記揺動摩擦板25aの両側面と、前記一方の支持板部21aの内側面及び前記変位ブラケット12aの片側面とが強く擦れ合う事を防止できて、前記ステアリングホイール1の上下位置の調節を円滑に行わせる事ができる。これに対し、上述した実施の形態の第1例の場合、ステアリングホイール1の位置調節を可能とした状態で、揺動摩擦板25の両側部分に隙間を介在させる為には、調節レバー23の操作に伴う、1対の押圧部24a、24b同士の間隔の拡縮量を1対の支持板部20a、20bの弾性変形量よりも大きくする必要がある。
又、本例の場合、前記一方の支持板部20aの内側面に、幅方向外方に凹んだ凹部39を設け、該凹部39の中央部に設けた円筒部31aを、前記揺動摩擦板25aの基半部に設けた前記円孔30に揺動可能に外嵌している。これにより、前記ステアリングホイールの上下位置にかかわらず、前記ステアリングコラム6a(図1、2参照)の外周面と、前記かしめ部33とが干渉しない様にしている。
その他の部分の構成及び作用は、前記実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
図7〜10は、請求項1〜3、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、1対の揺動摩擦板25b、25cを、先半部同士を互いに重ね合わせた状態で、該1対の揺動摩擦板25b、25cの先半部を、支持ブラケット13aを構成する1対の支持板部20a、20bのうちの一方(図7の左方)の支持板部20aの外側面と、1対の押圧部24a、24b(図2参照)のうちの一方の押圧部24aの内側面との間に挟持している。前記1対の揺動摩擦板25b、25cのうちの一方(図7の右方)の揺動摩擦板25bは、基端部に設けられた円孔30を、前記一方の支持板部20aの外側面のうち、該一方の支持板部20aに設けた上下方向長孔21aの中心線α{図10の(A)参照}の延長線上で、該上下方向長孔21aよりも上方に設けられた(上側の)円筒部31に揺動可能に外嵌している。これに対し、前記1対の揺動摩擦板25b、25cのうちの他方(図7の左方)の揺動摩擦板25cは、基端部に設けた円孔30bを、前記一方の支持板部20aの外側面のうち、前記中心線αの延長線上で、前記一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21aよりも下方に設けられた(下側の)円筒部31bに揺動可能に外嵌している。この為に、前記一方の支持板部20aの外側面からの下側の円筒部31bの突出量を上側の円筒部31の突出量よりも、前記他方の揺動摩擦板25cの厚さ分以上大きくしている。
又、前記1対の揺動摩擦板25b、25cは、該1対の揺動摩擦板25b、25cの先半部に設けられたガイド長孔32a、32bに調節ロッド22a(図2参照)を挿通している。このうち、前記一方の揺動摩擦板25bに形成された一方のガイド長孔32aは、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内の中央部に位置する状態{図10の(B)に示す状態}で、前記中心線αよりも前方で、且つ、前記一方の円筒部31よりも上方に位置する点を中心とする部分円弧状としている。そして、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内で移動可能な範囲のうちの上端部に位置する場合に、該調節ロッド22aと前記一方のガイド長孔32aの後端部とが係合し、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内で移動可能な範囲のうちの下端部に位置する場合に、前記調節ロッド22aと前記一方のガイド長孔32aの前端部とが係合する様に、前記一方の揺動摩擦板25bの円孔30を前記一方の円筒部31に、揺動可能に外嵌している。これに対し、前記1対の揺動摩擦板25b、25cのうちの他方の揺動摩擦板25cに形成された他方のガイド長孔32bは、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内の中央部に位置する状態{図10の(B)に示す状態}で、前記中心線αよりも前方で、且つ、前記下側の円筒部31bよりも下方に位置する点を中心とする部分円弧状としている。そして、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内で移動可能な範囲のうちの上端部に位置する場合に、前記調節ロッド22aと前記他方のガイド長孔32bの前端部とが係合し、前記調節ロッド22aが前記上下方向長孔21a内で移動可能な範囲のうちの下端部に位置する場合に、前記調節ロッド22aと前記他方のガイド長孔32bの後端部とが係合する様に、前記他方の揺動摩擦板25cの円孔30bを前記下側の円筒部31bに、揺動可能に外嵌している。
上述の様な本例の場合、ステアリングホイール1(図19参照)の上下位置の調節に伴って、前記一方の揺動摩擦板25bが前記一方の円筒部31を中心に揺動し、前記他方の揺動摩擦板25cが前記他方の円筒部31bを中心に揺動する。即ち、前記ステアリングホイール1を調節可能な上端位置まで移動させた状態では、前記調節ロッド22aは、図10の(A)に示す様に、前記上下方向長孔21aの上端部、並びに前記一方のガイド長孔32aの後端部及び前記他方のガイド長孔32bの前端部と係合している。この状態から前記ステアリングホイール1を下方に変位させると、図10の(A)→(B)→(C)に示す様に、前記一方の揺動摩擦板25bが前記一方の円筒部31を中心として図10の反時計方向に揺動し、前記他方の揺動摩擦板25cが前記他方の円筒部31bを中心として図10の反時計方向に揺動する。そして、前記ステアリングホイール1を調節可能な下端位置まで移動させた状態では、前記調節ロッド22aは、図10の(C)に示す様に、前記上下方向長孔21aの下端部、並びに前記一方のガイド長孔32aの前端部及び前記他方のガイド長孔32bの後端部と係合している。これに対し、前記ステアリングホイール1を、下端位置から上端位置まで上方に変位させる場合には、上述した下方に変位させる場合とは逆に、図10の(C)→(B)→(A)の順に、前記1対の揺動摩擦板25b、25cが揺動する。
この様な本例によれば、前記一方の支持板部20aと前記変位ブラケット12aの片側面との間に、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持するのに寄与する摺動摩擦部の数を、上述した実施の形態の第1〜2例の構造と比較して更に増やす事ができる。具体的には、前記摺動摩擦部が、これら実施の形態の第1〜2例の構造では、2箇所であるのに対し、本例の場合には、3箇所とする事ができる。この結果、前記ステアリングホイール1を調節後の位置に保持する力をより大きくする事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、前記実施の形態の第1〜2例と同様である。
[実施の形態の第4例]
図11〜12は、請求項1〜4、6に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、上述した実施の形態の第3例と同様に、1対の揺動摩擦板25b、25cを、先半部同士を互いに重ね合わせた状態で、該1対の揺動摩擦板25b、25cの先半部を、支持ブラケット13aを構成する1対の支持板部20a、20bのうちの一方(図11の左方)の支持板部20aの外側面と、1対の押圧部24a、24b(図2参照)のうちの一方の押圧部24aの内側面との間に挟持している。本例の場合、前記一方の支持板部20aのうち、該一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21aの中心線α{図10の(A)参照}の延長線上で、該上下方向長孔21aよりも上方部分にバーリング加工を施す事により、当該部分に、幅方向外方に突出する円筒部31を設けている。前記円筒部31に、前記1対の揺動摩擦板25b、25cのうちの一方の揺動摩擦板25bの基端部に設けられた円孔30を、揺動可能に外嵌している。そして、前記円筒部31のうち、前記一方の揺動摩擦板25bの片側面から突出した部分を径方向外方に塑性変形させる事によりかしめ部33を形成している。
又、前記一方の支持板部20aのうち、前記中心線αの延長線上で、前記上下方向長孔21aよりも下方部分に面押し加工を施す事により、当該部分に、幅方向外方に張り出した凸部34を設けている。この凸部34の張り出し量hは、前記一方の揺動摩擦板25bの板厚と同じか僅かに小さい程度としている。尚、図示の例の場合、前記凸部34を幅方向から見た形状を円形としているが、多角形等の任意の形状とする事ができる。この様な凸部34の中央部にバーリング加工を施す事により、当該部分に、幅方向外方に突出する円筒部31cを設けている。前記円筒部31cに、前記1対の揺動摩擦板25b、25cのうちの他方の揺動摩擦板25cの基端部に設けられた円孔30bを、揺動可能に外嵌している。そして、前記円筒部31cのうち、前記他方の揺動摩擦板25cの片側面から突出した部分を径方向外方に塑性変形させる事によりかしめ部33を形成している。
上述の様な本例のステアリングホイールの位置調節装置によれば、前記一方の支持板部20aの外側面と、前記一方の押圧部24aの内側面との間に、1対の揺動摩擦板25b、25cを挟持する場合でも、該1対の揺動摩擦板25b、25cのうち、幅方向外側の(他方の)揺動摩擦板25cの円孔30bを揺動可能に外嵌する前記円筒部31cの強度を十分に確保する事ができる。即ち、揺動摩擦板の円孔を揺動可能に外嵌する為の円筒部をバーリング加工により形成する場合、該円筒部の突出量を大きくすると、該円筒部の肉厚が小さくなり、該円筒部の強度が低下する可能性がある。そして、前記円筒部の強度が十分確保できないと、二次衝突時に加わる衝撃荷重により、該円筒部が変形する可能性がある。本例の場合には、前記円筒部31cを、幅方向外方に張り出した凸部34の中央部にバーリング加工を施す事で設けている為、前記円筒部31cの強度を確保しつつ、該円筒部31cの前記凸部34からの突出量を、前記円筒部31の突出量とほぼ同じにする事ができる。従って、前記円筒部31cの強度を十分に確保する事ができ、前記二次衝突時に加わる衝撃荷重によって該円筒部31cが変形するのを防止できる。
その他の部分の構成及び作用は、前記実施の形態の第3例と同様である。
[実施の形態の第5例]
図13〜14は、請求項1〜3、5、6に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、1対の揺動摩擦板25b、25dを、先半部同士を互いに重ね合わせた状態で、該1対の揺動摩擦板25b、25dの先半部を、支持ブラケット13aを構成する1対の支持板部20a、20bのうちの一方(図13の左方)の支持板部20aの外側面と、1対の押圧部24a、24b(図2参照)のうちの一方の押圧部24aの内側面との間に挟持している。前記一方の支持板部20aのうち、該一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21aの中心線α{図10の(A)参照}の延長線上で、該上下方向長孔21aよりも上方部分にバーリング加工を施す事により、当該部分に、幅方向外方に突出する円筒部31を設けている。そして、前記円筒部31に、前記1対の揺動摩擦板25b、25dのうちの一方の揺動摩擦板25bの基端部に設けられた円孔30を、揺動可能に外嵌している。
又、前記一方の支持板部20aのうち、前記中心線αの延長線上で、前記上下方向長孔21aよりも下方部分にバーリング加工を施す事により、当該部分に、幅方向外方に突出する円筒部31dを設けている。本例の場合には、前記円筒部31dの突出量を、前記円筒部31の突出量と同じにしている。又、本例の場合、前記1対の揺動摩擦板25b、25dのうちの他方の(幅方向外側の)揺動摩擦板25dの基半部を先半部よりも幅方向内方にオフセットさせる事により、該他方の揺動摩擦板25dの基半部にオフセット部35を設けている。そして、前記オフセット部35の中央部に設けた円孔30cを、前記円筒部31dに揺動可能に外嵌している。
この様な本例によれば、前記円筒部31dの突出量が大きくなるのを防止する事ができて、該円筒部31dの強度を十分確保する事ができる。この結果、二次衝突時に加わる衝撃荷重にかかわらず、該円筒部31dが変形するのを防止する事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第3〜4例と同様である。
[実施の形態の第6例]
図15は、請求項1、2、6に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、1対の揺動摩擦板25、25eのうちの一方(図15の左方)の揺動摩擦板25の先半部を、支持ブラケット13aを構成する1対の支持板部20a、20bのうちの一方の支持板部20aの外側面と、1対の押圧部24a、24b(図2参照)のうちの一方の押圧部24aの内側面との間に挟持している。そして、前記一方の揺動摩擦板25は、該一方の揺動摩擦板25の基端部に設けられた円孔30を、前記一方の支持板部20aの外側面のうち、該一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21aの中心軸α{図10の(A)参照}の延長線上で、該上下方向長孔21aよりも上方に設けられた円筒部31に揺動可能に外嵌している。これに対し、前記1対の揺動摩擦板25、25eのうちの他方の揺動摩擦板25eの先半部を、前記一方の支持板部20aの内側面と、変位ブラケット12aの片側面との間に挟持している。本例の場合、前記一方の支持板部20aのうち、該一方の支持板部20aに設けられた上下方向長孔21の中心線α{図10の(A)参照}の延長線上で、該上下方向長孔21aよりも下方部分に面押し加工を施す事により、前記一方の支持板部20aの内側面に、幅方向外方に凹んだ凹部39aを設けている。そして、前記凹部39aの中央部にバーリング加工を施す事により、当該部分に、幅方向内方に突出する円筒部31eを設けている。又、前記他方の揺動摩擦板25eの基半部を先半部よりも幅方向外方にオフセットさせる事により、該他方の揺動摩擦板25aの基半部にオフセット部35bを設けている。そして、前記オフセット部35bの中央部に設けた円孔30dを、前記円筒部31eに揺動可能に外嵌し、該円筒部31eのうち、前記他方の揺動摩擦板25aの他側面(図15の右側面)から突出した部分を径方向外方に塑性変形させる事により、当該部分に、かしめ部33を形成している。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜3例と同様である。
[実施の形態の第7例]
図16〜18は、請求項1〜3、6に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例のステアリングホイールの位置調節装置は、前述した実施の形態の第3例の場合と同様に、1対の揺動摩擦板25b、25cを、先半部同士を互いに重ね合わせた状態で、該1対の揺動摩擦板25b、25cの先半部を、支持ブラケット13aを構成する1対の支持板部20a、20bのうちの一方(図17の左方)の支持板部20aの外側面と、1対の押圧部24a、24bのうちの一方(図17の左方)の押圧部24aの内側面との間に挟持している。そして、前記1対の揺動摩擦板25b、25cの基端部に設けられた円孔30、30bを、前記一方の支持板部20aの外側面に設けられた円筒部31、31bに、それぞれ揺動可能に外嵌している。即ち、ステアリングホイール1(図19参照)を上端位置から下端位置まで下方に変位させる場合には、前述した図10の(A)→(B)→(C)の順に、同じく下端位置から上端位置まで上方に変位させる場合には、前記図10の(C)→(B)→(A)の順に、それぞれ前記1対の揺動摩擦板25b、25cが揺動する。
更に本例の場合には、前記1対の支持板部20a、20bのうちの一方の支持板部20aの内側面と、変位ブラケット12aの片側面との間に、前記ステアリングホイール1の前後位置調節に伴い揺動変位するテレスコ用揺動摩擦板36を挟持している。このテレスコ用揺動摩擦板36は、鋼板、ステンレス鋼板等の、必要とする強度及び剛性を確保でき、且つ、相手面である、前記一方の支持板部20aの内側面及び前記変位ブラケット12aの片側面との係合部の摩擦係数を大きくできる金属板により、略扇形に形成している。前記テレスコ用揺動摩擦板36の基端部(扇の要に相当する部分)を揺動可能に支持する為に、前記ステアリングホイール1の前後位置調節の際に、調節ロッド22aに対し相対変位する部分である、前記変位ブラケット12aの片側面(図17の左側面)にテレスコ用揺動支持軸37を、前記調節ロッド22aと平行に設けている。前記テレスコ用揺動支持軸37は、前記変位ブラケット12aの片側面のうち、該変位ブラケット12aに設けた前後方向長孔19aの前後方向に関する中央位置を通り、ステアリングコラム6aの軸方向(この前後方向長孔19aの長さ方向)に直交する方向の仮想直線β上で、この前後方向長孔19aよりも上方に設置している。但し、前記テレスコ用揺動支持軸37は、前記変位ブラケット12aの片側面のうち、前記仮想直線β上であれば、前記前後方向長孔19aよりも下方に設置する事もできる。何れにしても、前記テレスコ用揺動支持軸37を前記仮想直線β上に設置する事により、該テレスコ用揺動支持軸37の中心軸と、前記ステアリングホイール1を前端位置とした場合に於ける前記調節ロッド22aの中心軸との間の距離Lと、前記ステアリングホイール1を後端位置とした場合に於けるこの調節ロッド22aの中心軸との間の距離Lとを、互いに同じにしている(L=L)。
前記テレスコ用揺動摩擦板36は、該テレスコ用揺動摩擦板36の基端部である上端寄り部分に設けられた円孔38を、前記テレスコ用揺動支持軸37に、該テレスコ用揺動摩擦軸37を中心とする揺動を可能に外嵌すると共に、前記テレスコ用揺動摩擦板36の先半部(下半部)に設けられたテレスコ用ガイド長孔38に前記調節ロッド22aを挿通している。前記テレスコ用ガイド長孔38は、前端部から後端部まで、少しずつでも、前記テレスコ用揺動支持軸37との間の距離が長くなる方向に、滑らかな曲線となる様に形成している。具体的には、前記テレスコ用ガイド長孔38を、前記調節ロッド22aが前記前後方向長孔19a内の中央部に位置する状態{図18の(B)に示す状態}で、前記仮想直線βよりも前方で、且つ、前記テレスコ用揺動支持軸37よりも上方に位置する点を中心とする部分円弧状としている。そして、前記テレスコ用ガイド長孔38のうちで前記調節ロッド22aが係合している部分の接線と、前記テレスコ用揺動支持軸37の中心軸を中心とし、前記調節ロッド22aと前記テレスコ用揺動支持軸37との間の距離を半径とする仮想円弧の接線(該テレスコ用揺動摩擦板37の揺動方向)との成す角度ψが、前記調節ロッド22aの前後方向位置に拘わらず、一定となる様にしている。尚、この様な角度ψは、10度〜35度とする事が好ましい。そして、前記ステアリングホイール1の前後方向位置を調節可能な範囲の中央位置とした時に、前記調節ロッド22aと前記テレスコ用ガイド長孔38の前端部とが係合し、前記ステアリングホイール1の前後方向位置を調節可能な範囲の後端位置及び前端位置とした時に、前記調節ロッド22aと前記テレスコ用ガイド長孔38の後端部とが係合する様にしている。即ち、本例の場合、前記ステアリングホイール1の前後方向の位置調節に伴い、前記調節ロッド22aが前記テレスコ用ガイド長孔38に沿って変位する過程で、前記調節ロッド22aと前記テレスコ用揺動支持軸37との間の距離が変化する方向(伸長する方向か短縮する方向か)が、前記ステアリングホイール1の位置調節可能な範囲の前後方向中央位置を境に互いに反対方向となる。
上述の様な本例に於いて、前記ステアリングホイール1の前後位置を調節すべく、該ステアリングホイール1の前後方向に変位させた場合の、前記テレスコ用揺動摩擦板36の動きに就いて次に説明する。図18の(A)は、前記ステアリングホイール1を調節可能な前端位置まで移動させた状態を示している。この状態では、前記調節ロッド22aと、前記前後方向長孔19aの後端部及び前記テレスコ用ガイド長孔38の後端部とが係合している。従って、この状態から前記ステアリングホイール1を後方に変位させる事により、前記調節ロッド22aを前記前後方向長孔19a内で前方に変位させると、この調節ロッド22a及び前記テレスコ用揺動支持軸37との中心軸同士の間の距離が短くなる為、図18の(A)→(B)に示す様に、前記テレスコ用揺動摩擦板36が前記テレスコ用揺動支持軸37を中心として、図18の反時計方向に揺動する。図18の(B)に示す中立位置状態では、前記調節ロッド22は、前記前後方向長孔19aの前後方向中央部及び前記テレスコ用ガイド長孔38の前端部と係合している。この為、前記図18の(B)に示した状態から、更に前記ステアリングホイール1を後方に変位させて後端位置まで移動させると、前記調節ロッド22a及び前記テレスコ用揺動支持軸37との中心軸同士の間の距離が長くなり、図18の(B)→(C)に示す様に、前記テレスコ用揺動摩擦板36が前記テレスコ用揺動支持軸37を中心として、図18の時計方向に揺動する。これに対し、前記ステアリングホイール1を、後端位置から前端位置まで前方に変位させる場合には、上述した前方に変位させる場合とは逆に、図18の(C)→(B)→(A)の順に、前記テレスコ用揺動摩擦板36が揺動する。
上述の様な本例のステアリングホイールの位置調節装置によれば、前記ステアリングホイール1の上下方向位置を保持する力に加え、前後方向に就いても、調節後の位置に保持する力を大きくできる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第3例と同様であるから、重複する説明は省略する。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10 車体
11 枢軸
12、12a 変位ブラケット
13、13a 支持ブラケット
14、14a アウタコラム
15、15a インナコラム
16、16a アウタシャフト
17、17a インナシャフト
18 電動モータ
19、19a 前後方向長孔
20、20a、20b 支持板部
21、21a 上下方向長孔
22、22a 調節ロッド
23 調節レバー
24a、24b 押圧部
25、25a〜25e、25z 揺動摩擦板
26 スリット
27 取付板部
28 係止切り欠き
29 係止カプセル
30、30a〜30d 円孔
31、31a〜31e、31z 円筒部
32、32a、32b、32z ガイド長孔
33 かしめ部
34 凸部
35、35a、35b オフセット部
36 テレスコ用揺動摩擦板
37 テレスコ用揺動支持軸
38 テレスコ用ガイド長孔
39、39a 凹部

Claims (6)

  1. 後端部にステアリングホイールを支持固定したステアリングシャフトを、内側に回転自在に支持する、筒状のステアリングコラムと、
    前記ステアリングコラムの一部に固設された変位ブラケットと、
    前記変位ブラケットに、該変位ブラケットを幅方向に貫通する状態で設けられたコラム側貫通孔と、
    前記変位ブラケットを幅方向両側から挟む1対の支持板部を備え、車体に支持される支持ブラケットと、
    前記1対の支持板部の互いに整合する部分に上下方向に伸長する状態で設けられた1対の上下方向長孔と、
    前記コラム側貫通孔及び前記1対の上下方向長孔を幅方向に挿通する状態で設けられた調節ロッドと、
    前記調節ロッドの両端部で、前記1対の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた1対の押圧部と、
    前記1対の押圧部同士の間隔を拡縮する拡縮装置と、
    を備えるステアリングホイールの位置調節装置に於いて、
    前記1対の支持板部のうちの少なくとも一方の支持板部の側面と、該一方の支持板部の側面に対向する相手部材の側面との間部分に揺動摩擦板が挟持されており、
    前記揺動摩擦板の基端部に設けられた円孔を、前記一方の支持板部の側面に、該一方の支持板部と一体に、前記相手部材側に向けて幅方向に突出する状態で設けられた円筒部に揺動可能に外嵌すると共に、前記調節ロッドを、前記揺動摩擦板の先半部に設けられたガイド長孔に、該ガイド長孔に沿った変位のみ可能に係合しており、
    前記揺動摩擦板の両側面のうちの少なくとも一方の側面に低摩擦層が形成されており、該側面と、該側面に対向する前記一方の支持板部の側面又は前記相手部材の側面との間の摩擦係数が1.0以上1.5以下である
    事を特徴とするステアリングホイールの位置調節装置。
  2. 前記円筒部の先端部のうち、前記揺動摩擦板の側面から突出した部分に設けられたかしめ部により、前記揺動摩擦板が前記円筒部から脱落する事を防止している、
    請求項1に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  3. 前記揺動摩擦板が1対設けられており、
    該1対の揺動摩擦板は、互いの先半部同士を重ね合わせた状態で、前記一方の支持板部の側面と前記相手部材の側面との間部分に挟持されている、
    請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  4. 前記1対の揺動摩擦板のうち、前記相手部材側の揺動摩擦板の基端部に設けられた円孔を揺動可能に外嵌する円筒部が、前記一方の支持板部の側面に、前記相手部材側に向けて幅方向に張り出した状態で設けられた凸部の先端面に設けられたものである、
    請求項3に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  5. 前記1対の揺動摩擦板のうち、前記相手部材側の揺動摩擦板が、該相手部材側の揺動摩擦板の基半部を先半部に対し、幅方向に関して前記一方の支持板部側にオフセットさせる事により、前記相手部材側の揺動摩擦板の基半部にオフセット部が設けられたものである、
    請求項3に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
  6. 前記円筒部が、前記一方の支持板部のうちで、該一方の支持板部に設けられた上下方向長孔の中心線の延長線上に位置する部分に設けられている、
    請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
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JP2018201749A (ja) * 2017-06-01 2018-12-27 キヤノン株式会社 制御装置、断層像撮影システム、制御方法、及びプログラム

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JP2018201749A (ja) * 2017-06-01 2018-12-27 キヤノン株式会社 制御装置、断層像撮影システム、制御方法、及びプログラム

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