JP2016535281A - 光学的異方性のパラメータを測定する方法と装置 - Google Patents
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Abstract
ガラス又は他の基板上の膜の光学的異方特性を測定する方法及びシステムが与えられる。この技術は、超高画素密度ディスプレイに対してであっても、製造環境に適しており、LCDパネル上のTFT又はCFアクティブ領域によって強い影響を受けるわけではない。光学的異方性の程度及び配向を測定する方法も与えられる。これらの方法及びシステムは、反射又は透過構成において異方性材料を測定する光学的異方性測定装置を含む。方法及びシステムは、異方性の程度及び配向を計算するべく一以上の回転角度において試料のミュラー行列、ダイアテニュエーション配向又はリターダンスを測定することができる。
Description
本発明は一般に、光学的異方性測定の方法及び装置に関する。詳しくは、本発明は、光学的異方性ポリイミド(PI)膜又は他の高分子薄膜を測定して当該膜の異方性程度及び異方性配向を決定する方法及び装置に関する。
関連出願
本願は、2014年10月2日出願の米国出願第14/504,426号及び2013年10月4日出願の米国仮出願第61/887,163号の優先権を主張する。これらは参照としてここに組み入れられる。
本願は、2014年10月2日出願の米国出願第14/504,426号及び2013年10月4日出願の米国仮出願第61/887,163号の優先権を主張する。これらは参照としてここに組み入れられる。
液晶ディスプレイ(LCD)を含む液晶デバイスの製造において、ポリイミド膜のような膜がLCDガラスに適用される。膜はその後、当該膜の機械的なラビング、又は当該膜を偏光にさらすという比較的新しい技術のいずれかにより、異方性とされる。ひとたび膜が異方性とされると、液晶(LC)分子は、当該膜の異方性軸に自己整合するようになる。さらに、膜の異方性の程度は、LC分子及び膜間のアンカリングエネルギーに関連し、ラビングPIの場合、LC分子のプレチルト角を決定する。液晶デバイスにおける光学的異方性膜の異方性の程度及び配向は、液晶デバイスの性能を決定する主要因子であり、製造者は、これらのパラメータを測定する手段を必要としている。
光学的異方性は典型的に、膜の正常屈折率及び異常屈折率間の差Δn=no−neである。膜は、この異方性ゆえに、位相遅延又はリターダンスという偏光特性を示す。異方性材料を通過する光ビームに対し、当該ビームが受ける位相リターダンスは、δ=Δn×tとなる。ここで、tは当該材料の厚さである。
光学的異方性はまた、消衰係数又は屈折率の虚部について正常消衰係数と異常消衰係数との差Δk=ko−keとなり得る。この場合、異方性は、二色性又はダイアテニュエーションの偏光特性を示す。ここで、光ビームの透過率又は反射率は、当該光ビームの偏光状態に応じて変化する。
現代の液晶デバイスでは、PI膜の厚さは、50nm〜100nmのオーダーとされる傾向がある。ラビングPIに対し、異方性は、ほぼΔn≒0.005となる傾向がある。そして、このラビングPI膜のリターダンスは、0.25nm〜0.5nmのオーダーとなる。いくつかのタイプの光配向性PIに対し、異方性はかなり大きく、恐らくはΔn≒0.05となる。この場合、予測される異方性膜の最大リターダンスは、ほぼ5nmとなる。
リターダンスが0.25nm〜5nmの範囲にある試料に対してリターダンスの程度及び配向を正確に測定することは従来より、適切な機器なしには困難であるが、いくつかの市販の測定システム(例えばアラバマ州ハンツビルのAxometrics社によるAxoScan(登録商標))は、この測定を十分な精度で行うことができる。しかしながら、この測定を行うことに関する問題は、PI層が適用されるガラス基板も、当該ガラス内に製造中に生じたわずかな応力に起因するリターダンスを示す点にある。ガラスのリターダンスは極めて小さいが、異方性PI層のリターダンスも小さい。そして、これら2つのリターダンス源を測定において分離することは困難である。したがって、このアプリケーションにとって、透過光における試料のリターダンスのみを測定する簡単な測定技術が十分であることは証明されていない。
エリプソメトリーは、薄膜の厚さ及び屈折率を、光が試料表面から反射するときに光の偏光状態を膜がどのようにして変化させるのかの測定に基づいて測定する光学的技術である。一般化エリプソメトリー(GE)は、異方性試料の試験を可能にする標準エリプソメトリーの拡張である。GE法は正確かつ精密である。しかしながら、この方法は時間を要するので、製造環境においてGE測定を使用することが常に実用的とは限らない。GE法のさらに難しい点は、被測定試料が複合的になるにつれて益々測定が困難になることにある。試料が多層の薄膜の場合、付加的な波長が必要となり得る。または、試料の膜に、測定光ビームの直径よりも小さな外形のパターンが施されている場合、GE技術は完全に失敗する。こうした難しさゆえに、GE法は、現代の高解像度LCDディスプレイのカラーフィルタ(CF)ガラス又は薄膜トランジスタ(TFT)ガラス上にPIが堆積されている場合には適切とはいえない。このため、GE技術での試験ガラス上のPI測定が制限される。
異方性PI膜の特性を決定するべく行われる他の努力は、以下の文献に記載される。かかる技術は主に、ラビングPI膜に焦点を当てている。これは、ラビングPI膜が、数十年にわたり液晶ディスプレイ産業で使用されているからである。しかしながら、かかる方法もまた、光配向性PI膜の測定にも適用可能とすべきである。かかる方法は以下に記載される。
ラビングPI膜の配向及び異方性は、リターダンス測定、赤外二色性測定及び表面第二高調波発生(ここに参照として組み入れられる非特許文献1を参照)によって研究されている。リターダンス測定においては基板からのリターダンスを考慮する必要があり、赤外二色性測定は極薄膜ゆえに十分な感度が得られず、表面第二高調波発生は複雑な測定セットアップを必要とする。微小角入射X線散乱法が、高感度で異方性PI膜を研究することができる(ここに参照として組み入れられる非特許文献2を参照)。一般化エリプソメトリー法もまた、異方性PI膜の程度及び配向を研究するべく使用されている(ここに参照として組み入れられる非特許文献3及び4双方を参照)。最近では、10nm表面層に対して10−5もの低さの光学的異方性を定量する偏光変換ガイドモード技術が開発されている(ここに参照として組み入れられる非特許文献5及び6双方を参照)。この方法は、試料に接触するプリズムカプラ及び屈折率整合流体を必要とする。反射異方性分光法(ここに参照として組み入れられる非特許文献7)、すなわち、法線入射における半導体電子的表面状態の特性を決定するべく使用される技術も、ガラス上のPI膜の異方特性を試験するべく使用される。上述した方法のほとんどは難しいため、製造環境における使用を目的として実装し又は十分な精度を有することができない。
異方性の程度及び配向を測定する他の装置も記載されている(ここに参照として組み入れられる特許文献1及び2)。この技術は、法線入射における再帰反射の測定をするべく回転リターダー及びハーフミラーを使用する。
知られていることだが、ガラス上のPI膜の異方性配向と相対的な異方性程度は、s平面内で偏光された光(入射平面に平行な偏光)に対して傾斜した角度で試料を照射し、その反射ビームを(入射平面に垂直な)p平面に沿って配向された偏光子を通して収集し、及び、当該試料がその法線まわりに360度回転されるときの信号を観測することによって測定することができる(ここに参照として組み入れられる特許文献3を参照)。この信号対回転データに曲線当てはめを適用することにより、異方性配向及び相対的な異方性程度を測定することができる。相対的な異方性程度とは、実際の異方性程度が変化するときに変化する測定パラメータのことである。相対的な値は、実際の値へと十分に較正されないかもしれないが、製造工程中の変動監視にはこれで十分である。
ここに参照として組み入れられる特許文献3に記載の技術は、製造環境での使用にとって十分に高速であり、この技術が現在のところ、LCD産業において使用されている。この技術は、LCDガラスのアクティブ領域上で測定が行われる場合に少なくとも一つの不利益を被る。アクティブ領域が、パターン付き画素を有するガラスの領域、すなわちカラーフィルタ(CF)又は薄膜トランジスタ(TFT)いずれかの領域である。CF又はTFTのアクティブ領域を測定する場合、この技術は、微視的測定ビームを一つの画素に合焦させ、かつ、この点のまわりに精密に、当該測定ビームが被試験画素の中心のままとなるように測定装置を回転させる必要がある。現代の携帯電話及びタブレットディスプレイの画素密度は一インチ当たり300画素以上まで増加しているので、回転中に測定点が当該画素を中心としたままにする要求は、システムの複雑性及び価格を有意に増加させる。したがって、これら及び他の関連問題を解決する方法及びシステムが望まれている。
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S. Y. Lu, et. al., "Interpretation of Mueller matrices based on polar decomposition," J. Opt. Soc. Am. A 13(5), 1106-1113 (1996)
材料の光学的異方特性を測定する装置における方法であって、(1)材料のミュラー行列、(2)材料のダイアテニュエーション配向、及び(3)材料のリターダンス程度の一つを測定することを含む方法が与えられる。方法はさらに、(1)材料のミュラー行列、(2)材料のダイアテニュエーション配向、及び(3)材料のリターダンス程度の測定された一つに基づいて材料の異方性程度に比例する値を決定することを含む。
材料の光学的異方特性を測定する装置における方法であって、第1角度において材料のミュラー行列を測定することと、第1角度において測定されたミュラー行列に基づいて材料のダイアテニュエーション配向を決定することとを含む方法が与えられる。方法はさらに、材料を第2角度へと回転させることと、第2角度において材料のミュラー行列を測定することと、第2角度において測定されたミュラー行列に基づいて材料のダイアテニュエーション配向を決定することとを含む。追加的に方法は、決定されたダイアテニュエーション配向と第1及び第2角度とのデータセットを格納することと、決定されたダイアテニュエーション配向と第1及び第2角度との格納されたデータセットに式の曲線当てはめをして当てはめパラメータを決定することと、決定された当てはめパラメータを使用して材料の異方性配向と異方性程度に比例する値とを決定することとを含む。
材料の光学的異方特性を測定する装置であって、材料のミュラー行列を測定するべく構成された偏光計を含む装置が与えられる。装置はまた、材料の測定されたミュラー行列に基づいて、材料の異方性程度に比例する値を決定するべく構成されたプロセッサも含む。
材料の光学的異方特性を測定する装置であって、第1角度において材料のミュラー行列を測定しかつ第2角度において材料のミュラー行列を測定するべく構成された偏光計を含む装置が与えられる。装置はさらに、材料を第2角度へと回転させるべく構成された回転治具も含む。装置はまた、第1角度において測定されたミュラー行列に基づいて材料のダイアテニュエーション配向を決定しかつ第2角度において測定されたミュラー行列に基づいて材料のダイアテニュエーション配向を決定するべく構成されたプロセッサも含む。プロセッサはさらに、決定されたダイアテニュエーション配向と第1及び第2角度とのデータセットを格納し、決定されたダイアテニュエーション配向と第1及び第2角度との格納されたデータセットに式の曲線当てはめをして当てはめパラメータを決定し、決定された当てはめパラメータを使用して材料の異方性配向と異方性程度に比例する値とを決定するべく構成される。
材料の光学的異方特性を測定する装置における方法であって、材料のミュラー行列を測定することと、材料の測定されたミュラー行列に基づいて材料の異方性程度に比例する値を決定することとを含む方法が与えられる。
本発明に係る方法及びシステムは、ガラス又は他の基板上の膜の光学的異方特性を測定する。この技術は、たとえ超高画素密度ディスプレイに対してであっても、製造環境に適しており、LCDパネル上のTFT又はCFアクティブ領域によって強い影響を受けるわけではない。従来型システムがアクティブ領域において測定可能な場合、本発明に係る方法及びシステムによれば、コストが有意に低減され得る。ガラスへのビームの超精密整合が不要なことにより、システムコストが低減されるからである。光学的異方性の程度及び配向を測定する方法が与えられる。かかる方法及びシステムは、反射又は透過構成において異方性材料を測定する光学的異方性測定装置を含む。方法及びシステムは、異方性の程度及び配向を計算するべく一以上の回転角度において試料のミュラー行列、ダイアテニュエーション配向又はリターダンスを測定することができる。本発明に係る方法及びシステムは、以下に記載するように、典型的な光学的異方性測定装置を使用した異方性試料の光学的異方性測定を与える。
本発明に係る典型的な装置は、例えば反射又は透過において、非法線入射角度でのダイアテニュエーション配向又はリターダンス(特にリターダンス程度)を測定することができる。このダイアテニュエーション配向は、特定の回転角度で測定し、その後再び様々な他の回転角度で測定することができる。得られたデータは、試料の異方特性を決定するべく使用することができる。
上述したダイアテニュエーション配向又はリターダンスは、例えばミュラー行列偏光計を使用した特定角度における試料の完全ミュラー行列を測定し、その後、測定されたミュラー行列からダイアテニュエーション配向又はリターダンスを計算することによって測定することができる。上述のように、この工程は様々な角度において繰り返され、各角度に対してデータ(例えばダイアテニュエーション配向及びその測定が行われた対応角度)が収集される。
得られたデータは、以下に述べる経験式に当てはめられる。データが当該式に対して適用かつ当てはめられると、得られた既知パラメータが、試料の異方性の程度及び配向を記述する。
典型的な装置は、複数セットのセンサ、又はガラスのいずれかの側へと動かすことができるセンサのいずれかを使用して透過及び反射双方における測定を行うことができる。
式による当てはめが行われる場合に試料の異方性パラメータの決定を与えるいくつかの偏光パラメータが特定されている。これらは、例えば、ダイアテニュエーション配向又はリターダンス程度を含む。これらの偏光パラメータが、試料に対して様々な角度で測定されると、異方性の程度及び配向を当該式によって導出することができる。
図1は、反射構成にある光学的異方性測定装置の一例を示す。一つの典型的な実装において、図1及び2に記載される装置の光学的構成はミュラー行列偏光計の構成であり、その設計は、ここに参照として組み入れられる非特許文献8に完全に記載されている。ミュラー行列は、試料の偏光変化特性を完全に記述する16要素の行列である。光学的異方性測定装置は、光源102、コリメーティングレンズ104、偏光子106、回転リターダー108、回転ステージ112、随意的集光レンズ114、回転リターダー116、分析器偏光子118、及び焦点レンズ120付き光検出器122を含み得る。回転リターダーは、非特許文献8にさらに記載されている。光検出器122は、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管であり得る。光学的異方性の試料110が、回転ステージ112上に配置される。回転ステージ112は、測定が行われる場合に回転軸としての試料110の法線に対して回転する。一実装において、光学的装置は、すべての偏光パラメータ、すなわち完全ミュラー行列を高速度で測定することができる。
図2は、透過構成における同じ光学的異方性測定装置の一例を示す。図2は、図1と同一又は類似ではあるが異なる構成の部材を示す。図1及び2において、システムは、回転する試料と固定されたセンサとを備えるように示される。多くの場合、特に試料が大きな場合、試料を固定したままとする一方、センサを試料の法線軸まわりに回転させることができる。図2の透過システムは、図1の反射システムに対し、透過における測定時に光学的整合及び試料平坦性が重要とはならない点で有利である。そのため、異方性パラメータ測定は、試料が湾曲又は傾斜していても強い影響を受けることがない。図1の反射システムは、ダイアテニュエーション配向対回転角度から異方性パラメータを測定することに加え、一般化エリプソメトリー測定も行うことができるとの利点も与える。
回転角度の関数として測定されたダイアテニュエーション配向により、試料の異方特性の優れた決定が得られる。この測定は、ブリュースター角付近の入射角度において正確になる。このパラメータは典型的に、CF又はTFTアクティブ領域の存在による影響を強く受けることがないので、この測定は高画素密度LCDパネルの試験に適している。このパラメータは典型的に、基板及び異方性層間の他の薄膜又は厚膜の存在による影響も強く受けることがない。光の波長及び入射角度は、これらの影響の測定感度を低減するべく実験的に最適化することができる。
ダイアテニュエーションは、試料の透過率(又は反射率)が、異なる入射偏光状態に対して変化する偏光特性である。ある偏光状態が最大透過率Tmaxを有すると、直交状態は必ず最小透過率Tminを有する。ダイアテニュエーション程度は、D=(Tmax−Tmax)/(Tmax+Tmax)として定義される。ダイアテニュエーション配向は、Tmaxに対応する偏光状態の角度である。これらのパラメータは、ミュラー行列から決定することができる。
図3は、特徴的なダイアテニュエーション配向信号を、試料の回転角度として表示する。図3に示される信号は、測定された試料の光学的異方性の程度及び配向を抽出するべく使用することができる。図3におけるデータ点302は、偏光パラメータの測定、この場合、ダイアテニュエーション配向を表す。この測定は、0°から360°まで、20°増分の試料回転角度で繰り返される。図3における連続曲線は、以下の式1によって記述される最適当てはめ曲線304を表す。リターダンス程度、ダイアテニュエーション程度等のような他の偏光パラメータも、測定された試料の光学的異方性の程度及び配向を抽出するべく使用することができる。方法は、以下にさらに詳述されるように、光学的異方性の程度及び配向を抽出してダイアテニュエーション配向、リターダンス程度等のような回転偏光信号を、下記関数(式1)のような経験的関数に当てはめる。
P=A+Bsin(2θ+φB)+Csin(θ+φC)
P=A+Bsin(2θ+φB)+Csin(θ+φC)
この関数において、Pは、ダイアテニュエーション配向のような測定された偏光パラメータであり(かつ試料のミュラー行列測定から既知であり)、θは、やはり既知の試料の回転角度である。
Bは試料の異方性程度に比例し、φBは異方性配向であり、これらは、当該式をデータに当てはめる前は当初未知である。ダイアテニュエーション配向Pが、多数の異なる角度(既知のθ)で測定されて既知となることにより、当該データ及びこの関数を、異方性程度に比例するBと異方性配向であるφBとを決定するべく使用することができる。B及びφBを決定するべくP及び対応θのデータに対し、非線形曲線当てはめアルゴリズムを適用することができる。フーリエ分析技術も、B及びφBの同じ決定を行うべく使用することができる。
さらに、考慮される偏光パラメータによっては、経験的関数の他のパラメータが、任意の物理的意味を有し又は有しない。いくつかのパラメータに対し、Aは膜厚に比例する。ラビングPI試料に対し、Cは、PIのプレチルト角に比例する。パラメータφCは一般に、試料の物理特性に関連しないが、その代わり、試料ステージの回転軸と試料の表面法線(すなわち垂直軸)との微小な不整合に関連する。これらのパラメータは、様々なP及びθ(ダイアテニュエーション配向及び対応回転角度)の対を知ることにより、非線形曲線当てはめ及び所与の式1を使用して解くことができる。他の式も可能である。
偏光計は、ミュラー行列、ダイアテニュエーション配向及びリターダンスのような測定値を取得する。一実施形態において、偏光計に接続された別個の治具が、試料に対して偏光計を又は偏光計に対して試料を回転させる。偏光計及び回転治具は双方とも、監視コンピュータによって制御することができる。ダイアテニュエーション配向、ミュラー行列、リターダンス及び回転角度のような様々な測定されたパラメータは、コンピュータに格納し、曲線当てはめを含む計算をコンピュータによって行うことができる。コンピュータは、偏光計、治具及び計算の制御、並びに任意の他の適切なコンポーネント又は機能を実装するソフトウェア及び/又はプロセッサのようなハードウェアを含み得る。プロセッサはまた、データをコンピュータのメモリに格納し得る。
図1及び2において、システムは、試料の完全ミュラー行列が測定できるように示される。しかしながら、ダイアテニュエーション配向を測定する目的にとって、完全ミュラー行列を測定することが必要とは限らない。ダイアテニュエーション配向のみを測定可能な、複雑ではない測定システムもまた、異方性パラメータを決定するべく上記経験式1が必要とするデータを与える。かかるシステム最も単純な設計は、光源を、試料を照射するべく使用される回転偏光子と、反射又は透過ビームを収集する(積分球及びフォトダイオードのような)偏光非依存性検出器とに後続させることである。
図4は、材料の異方性程度及び異方性配向のような異方特性を決定する、本発明に係る典型的な方法のフローチャートを描く。まず、異方性試料110が、測定システムの回転ステージ112上に配置される(ステップ402)。次に、ミュラー行列偏光計は、反射又は透過いずれかにおいて試料のダイアテニュエーション配向を測定する(ステップ404)。ダイアテニュエーション配向を測定する一つの手段は、非特許文献8に記載の技術を使用してミュラー行列を測定することである(ステップ406)。その後、測定されたミュラー行列に基づき、ここに参照として組み入れられる非特許文献9に記載の技術を使用してダイアテニュエーション配向を計算する(ステップ408)。
次に、試料は異なる角度へと回転され(ステップ410)、試料110の他のダイアテニュエーション配向測定が行われる。これらの回転及び測定ステップは、ダイアテニュエーション配向対回転角度のデータセットが生成されるまで繰り返される(ステップ404〜412)。例えば、試料110は、20度増分で完全に360度回転され、各増分ごとにダイアテニュエーション配向が測定される。増分角度は、必要とされる測定速度及び測定精度による。小さな増分を使用すると一般に測定精度が改善されるが、測定に必要な時間量も増加される。ダイアテニュエーション配向と回転角度との所望のデータセットが完成すると(ステップ412)、回転させてミュラー行列を測定し及びダイアテニュエーション配向を計算する工程は停止される。
次のステップは、上記式1のような経験式をデータセットに当てはめることである(ステップ414)。この場合、θは、測定された各増分における回転角度であり、Pは、測定されたダイアテニュエーション配向であり、パラメータA、B、φB、C及びφCは当てはめパラメータである。P及びθの様々な既知データが得られると、ステップ404〜412において測定されたダイアテニュエーション配向対回転角度データセットの、式1による最適な当てはめを行う当てはめパラメータA、B、φB、C及びφCの値を見出すべく、任意の適切な曲線当てはめ技術を使用することができる。これらの曲線当てはめ技術は当業者にとって周知である。
最終的に、ステップ414において決定された当てはめパラメータB及びφBが、試料の異方性配向及び相対的異方性程度を決定するべく使用される(ステップ416)。式1の例において、Bは異方性程度に比例し、φBは異方性配向である。試料の異方性程度が増加するとBは増加し、試料の異方性程度が減少するとBは減少する。試料の異方性程度がゼロであればBはゼロである。LCDパネル製造者は、特定のLCD設計に対してBと試料の真の異方性との関係を実験的に決定した後、測定されたBの値を、製造されるパネルの異方性が高すぎるか、低すぎるか、又は許容可能な設計範囲内かの指標として使用する。製造者は、このフィードバックに基づいて自身の製造工程を調整する。
一つの典型的な装置は、公称異方性配向から45°離れた回転角度においてのみ測定する。このシステムは、相対的異方性程度を測定できるが、異方性配向は測定できない。
様々な実施形態の上記説明は、例示及び記載を与えるが、網羅的であること又は本発明を精密な開示形態に制限することを意図しない。修正例及び変形例が、上記教示に鑑みて可能であり、又は本発明による実施から得られる。理解すべきことだが、本発明は、添付の請求項の要旨及び範囲内に含まれる様々な修正例及び均等構成をカバーすることを意図する。
Claims (17)
- 材料の光学的異方特性を測定する装置における方法であって、
(1)前記材料のミュラー行列、(2)前記材料のダイアテニュエーション配向、及び(3)前記材料のリターダンス程度の一つを測定することと、
(1)前記材料のミュラー行列、(2)前記材料のダイアテニュエーション配向、及び(3)前記材料のリターダンス程度の測定された一つに基づいて前記材料の異方性程度に比例する値を決定することと
を含む方法。 - (1)前記材料のミュラー行列、(2)前記材料のダイアテニュエーション配向、及び(3)前記材料のリターダンス程度の前記測定された一つに基づいて前記材料の異方性配向を決定することをさらに含む請求項1の方法。
- 材料の光学的異方特性を測定する装置における方法であって、
第1角度において前記材料のミュラー行列を測定することと、
前記第1角度において測定されたミュラー行列に基づいて前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと、
前記材料を第2角度へと回転することと、
前記第2角度において前記材料のミュラー行列を測定することと、
前記第2角度において測定されたミュラー行列に基づいて前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと、
決定された前記ダイアテニュエーション配向と前記第1角度及び第2角度とのデータセットを格納することと、
決定された前記ダイアテニュエーション配向と前記第1角度及び第2角度との格納された前記データセットに式の曲線当てはめを行って当てはめパラメータを決定することと、
決定された前記当てはめパラメータを使用して前記材料の異方性配向と、異方性程度に比例する値とを決定することと
を含む方法。 - (1)前記材料を異なる角度へと回転させることと、
(2)前記異なる角度において前記材料のミュラー行列を測定することと、
(3)前記異なる角度において測定されたミュラー行列に基づいて前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと
を繰り返し行うことをさらに含む請求項3の方法。 - 前記式は、P=A+Bsin(2θ+φB)+Csin(θ+φC)であり、
Pは前記ダイアテニュエーション配向であり、
θは前記材料の回転角度であり、
Bは前記材料の異方性程度に比例し、
φBは前記材料の異方性配向である請求項4の方法。 - Cは(1)前記材料のプレチルト及び(2)測定におけるチルト誤差の一つに比例し、
φCは前記測定におけるチルト誤差の方向に比例する請求項3の方法。 - 決定されたダイアテニュエーション配向と前記第1角度、第2角度及び異なる角度との格納された前記データセットへの前記式の曲線当てはめを行い当てはめパラメータを決定することと、
決定された前記当てはめパラメータを使用して前記材料の異方性配向と異方性程度に比例する値とを決定することと
をさらに含む請求項6の方法。 - 前記材料を20度増分で360度回転させることと、
前記20度増分の各増分角度において前記材料のミュラー行列を測定することと、
前記20度増分の各角度において測定されたミュラー行列に基づいて前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと
をさらに含む請求項6の方法。 - 材料の光学的異方特性を測定する装置であって、
偏光計と、
プロセッサと
を含み、
前記偏光計は、前記材料のミュラー行列を測定するべく構成され、
前記プロセッサは、前記材料の測定されたミュラー行列に基づいて前記材料の異方性程度に比例する値を決定するべく構成される装置。 - 前記材料の測定されたミュラー行列に基づいて前記材料の異方性配向を決定することをさらに含む請求項9の装置。
- 材料の光学的異方特性を測定する装置であって、
偏光計と、
回転治具と、
プロセッサと
を含み、
前記偏光計は、
第1角度において前記材料のミュラー行列を測定することと、
前記第2角度において前記材料のミュラー行列を測定することと
を行うべく構成され、
前記回転治具は、前記材料を第2角度へと回転させるべく構成され、
前記プロセッサは、
前記第1角度において測定されたミュラー行列に基づいて前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと、
前記第2角度において測定されたミュラー行列に基づいて前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと、
決定された前記ダイアテニュエーション配向と前記第1角度及び第2角度とのデータセットを格納することと、
決定されたダイアテニュエーション配向と前記第1角度及び第2角度との格納された前記データセットに式の曲線当てはめを行って当てはめパラメータを決定することと、
決定された前記当てはめパラメータを使用して前記材料の異方性配向と異方性程度に比例する値とを決定することと
を行うべく構成される装置。 - (1)前記回転治具によって前記材料を異なる角度へと回転させることと、
(2)前記偏光計によって前記異なる角度における前記材料のミュラー行列を測定することと、
(3)前記プロセッサによって、前記異なる角度測定されたミュラー行列に基づく前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと
を繰り返し行う請求項11の装置。 - 前記式は、P=A+Bsin(2θ+φB)+Csin(θ+φC)であり、
Pは前記ダイアテニュエーション配向であり、
θは前記材料の回転角度であり、
Bは前記材料の異方性程度に比例し、
φBは前記材料の異方性配向である請求項12の装置。 - Cは(1)前記材料のプレチルト及び(2)測定におけるチルト誤差の一つに比例し、
φCは前記測定におけるチルト誤差の方向に比例する請求項13の装置。 - 前記プロセッサさらに、
決定されたダイアテニュエーション配向と前記第1角度、第2角度及び異なる角度との格納された前記データセットへの前記式の曲線当てはめを行い当てはめパラメータを決定することと、
決定された前記当てはめパラメータを使用して前記材料の異方性配向と異方性程度に比例する値とを決定することと
を行うべく構成される請求項14の装置。 - 前記材料を20度増分で360度回転させることと、
前記20度増分の各増分角度において前記材料のミュラー行列を測定することと、
前記20度増分の各角度において測定されたミュラー行列に基づいて前記材料のダイアテニュエーション配向を決定することと
をさらに含む請求項14の装置。 - 材料の光学的異方特性を測定する装置における方法であって、
前記材料のミュラー行列を測定することと、
前記材料の測定されたミュラー行列に基づいて前記材料の異方性程度に比例する値を決定することと
を含む方法。
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