図面及び以下の記載は、特定の例示的な実施形態を説明するものである。したがって、本明細書に明瞭に説明又は図示されていなくても、実施形態の範囲内において当該実施形態の原理を具現化する様々な変形が可能であることは、当業者であれば理解するであろう。更に、本明細書で説明されている例は、実施形態の原理に対する理解を助けることを意図するものであり、具体的に説明された例又は条件に限定されないと解釈すべきである。したがって、発明の(複数の)概念は、以下に説明する特定の実施形態又は例に限定されず、請求の範囲及びその均等物によって限定されるものである。
図1は、例示的な実施形態においてIFEコンテンツ配信システムを実施する航空機100を示す図である。本実施形態においては、航空機100は、USB接続を用いてPED(図1には示していない)に対してIFEコンテンツストリームを提供するメディアサーバ(図1には示していない)を含む。PEDは、USBを用いてIFEコンテンツ配信システムに接続されているため、IFEコンテンツ配信システムは、データ送信性能が限られているWi−Fiに依存することなく、航空機100の乗客に対して高いデータ転送速度でコンテンツを供給することができる。これにより、航空機100に搭載されたIFEコンテンツ配信システムは、高品質なサービスを提供することができるため、乗客が体験するIFEの満足度が向上する。
図2は、例示的な実施形態における、図1に示す航空機100のためのIFEコンテンツ配信システム200を示すブロック図である。本実施形態においては、システム200は、航空機100に搭載されたメディアサーバ202を含み、当該メディアサーバは、IFE配信ユニット212〜215に存在するUSB接続を用いて、乗客のPED316〜319(例えば、タブレット、スマートフォン、ポータブルコンピュータ等)に対してIFEコンテンツを配信することができる。図2には、4つのPED316〜319のみが示されているが、システム200は、必要に応じて任意の数のPEDにIFEコンテンツを配信することができる。
本実施形態において、IFE配信ユニット212〜215は、イーサネット・ネットワーク210を介して、メディアサーバ202に電気接続されている。図面には、4つのIFE配信ユニット212〜215のみが示されているが、航空機100は、設計上の選択により、これよりも多い又は少ない数のIFE配信ユニットを有していてもよい。例えば、航空機100は、当該航空機100の各シート又はシート群に近接して設けられた複数のIFE配信ユニットを含む。IFE配信ユニット212〜215の特定の機能については、以下で説明する。
メディアサーバ202は、ライブコンテンツ及び/又は予め記録されたコンテンツを配信することができる。例えば、メディアサーバ202は、ライブコンテンツを供給するために、1つ又は複数の衛星(不図示)に通信可能に接続されている。これにより、メディアサーバ202は、リアルタイム、又は、ほぼリアルタイムで(複数の)衛星から受信したコンテンツ(例えば、映画、テレビ番組、広告等)を、航空機100の乗客に対して再送信することができる。メディアサーバは、航空機100の乗客に対して予め記録されたコンテンツを供給するために、メモリ206から予め記録されたコンテンツ(例えば、映画、テレビ番組、広告等)を取得する。メディアサーバ202は、更に、1つ又は複数の衛星への双方向通信リンクを用いて、航空機100の乗客に対して、インターネットへのアクセスを提供することもできる。
メディアサーバ202の具体的なハードウェア実施態様は、設計上の選択によるが、ある特定の実施形態は、メモリ206に接続された1つ又は複数のプロセッサ204を含みうる。プロセッサ204は、機能を果たすことができる任意のハードウェア装置を含む。例えば、プロセッサ204は、IFEコンテンツをパケット化するか、或いは組み立ててイーサネットフレームを生成することにより、イーサネット・ネットワーク210に対してIFEコンテンツストリームを提供する。プロセッサ204は、1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)等を含む。プロセッサの例としては、例えば、Intel(登録商標)Core(商標)プロセッサや、新型縮小命令セット演算(RISC:Advanced Reduced Instruction Set Computing)マシン(ARM(登録商標))プロセッサ等が挙げられる。
メモリ206は、データを保存可能な任意のハードウェア装置を含む。例えば、メモリ206は、IFEコンテンツを保存することができる。メモリ206は、1つ又は複数の揮発性又は不揮発性のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)装置、フラッシュデバイス、揮発性又は不揮発性スタティックRAM装置、ハードドライブ、ソリッドステートディスク(SSD)等を含みうる。不揮発性DRAM及びSRAMの例としては、バッテリバックアップ式DRAM及びバッテリバックアップ式SRAMが挙げられる。
本実施形態においては、メディアサーバ202は、更に、当該メディアサーバ202をイーサネット・ネットワーク202に電気的に接続するイーサネットインターフェース(I/F)208を含む。I/F208は、メディアサーバ202に対してイーサネット信号及びイーサネットフレーム処理能力を提供することができる任意のコンポーネント、システム、又は、装置を含む。
イーサネット・ネットワーク210は、図示していないが、イーサネットに対応している装置(例えば、IFE配信ユニット212〜215及びメディアサーバ202)間でイーサネットフレームの経路を決定する1つ又は複数のイーサネットスイッチを含みうる。例えば、IFE配信ユニット212〜215が、航空機100において異なるシート群に分配されている場合、イーサネット・ネットワーク210は、航空機100のシート列又はシート列のグループに沿って当該イーサネット・ネットワーク210を分配する1つ又は複数のイーサネットスイッチを用いて実現される。イーサネットスイッチを追加することにより、特定のIFE配信ユニット212〜215の対応帯域幅(bandwidth capability)を増加させることができるとともに、追加のイーサネットスイッチを配線することにより、特定のIFE配信ユニット212〜215に対して冗長性を付加したりすることができる。イーサネット・ネットワーク210とIFE配信ユニット212〜215との間において1つの信号経路のみを図示しているが、複数の信号経路を設けて、メディアサーバ202とIFE配信ユニット212〜215との間のデータ転送速度能力を向上させたり、イーサネット・ネットワーク210を実現するために用いられるイーサネットスイッチに不具合が発生したときのために冗長性を与えたりすることができる。
本実施形態においては、システム200は、IFE配信ユニット212〜215に存在するUSB接続によりIFEコンテンツストリームをPED316〜319に供給することができる。IFEコンテンツストリームは、メディアサーバ202から送信される。当該メディアサーバは、I/F208において、イーサネットフレーム内にIFEコンテンツデータパケットを入れる。IFEコンテンツストリームのイーサネットフレームは、イーサネット・ネットワーク210を介してIFE配信ユニット212〜215にルーティングされる。当該IFE配信ユニットは、IFEコンテンツストリームのイーサネットフレームを、PED316〜319のためのUSBフレームに変換する。
図3は、例示的な実施形態における、図2に示すIFE配信ユニット212を示すブロック図である。図3にはIFE配信ユニット212のみが示されているが、ここで説明するIFE配信ユニット212の構成及び機能は、航空機100に設けられる他のIFE配信ユニット(例えば、図2に示すIFE配信ユニット213〜215)にも当てはめることができる。
本実施形態においては、IFE配信ユニット212は、イーサネットインターフェース(I/F)304と1つ又は複数のUSBポート306〜310とに電気的に接続されたコントローラ302を含む。本実施形態においては、I/F304は、イーサネット・ネットワーク210と電気的に接続されており、イーサネットフレームを用いるとともにI/F208を介して、メディアサーバ202と通信を行うことができる。IFE配信ユニット212のI/F304は、IFE配信ユニット212に対してイーサネット信号化能力及びイーサネットフレーム処理能力を提供することができる任意のコンポーネント、システム、又は、装置を含む。コントローラ302は、I/F304で送受信されるイーサネットフレームと、USBポート306〜310で送受信されるUSBフレームとの間の翻訳又は変換を行う。
USBポート306〜310は、設計上の選択により、USB1.0、USB2.0、USB3.0、又は、これら以降に実現されるUSBをサポートすることができる。USB1.0は、最高で12Mbpsのデータ転送速度をサポートし、USB2.0は、最高で480Mbpsのデータ転送速度をサポートしており、USB3.0は、最高で5Gbpsのデータ転送速度をサポートしている。
単に説明のために、IFE配信ユニット212のUSBポート306は、PED316と電気的に接続しており、IFE配信ユニット212のUSBポート309は、PED317と電気的に接続しているものとする。IFE配信ユニット212に実装されているUSBの特定の規格(例えば、1.0、2.0、及び/又は3.0)は、設計上の選択事項であるため、実施態様に応じて、メディアサーバ202とPED316〜317との間の最大データ転送速度は変化する。しかしながら、USB1.0の場合の12Mbpsであっても、H.264で符号化されたIFEコンテンツストリーム(例えば、1080p)は、12Mbpsのインターフェースにより容易にPED316〜317に送信される。しかしながら、高解像度のコンテンツストリーム及び/又は異なるコーデックについては、メディアサーバ202とPED316〜317との間で追加の帯域幅を提供するために(例えば、USB2.0及び/又はUSB3.0を用いた)より高いインターフェース速度が望ましいと考えられる。
コントローラ302の具体的なハードウェアの実施態様は、設計上の選択によるが、ある特定の実施形態は、メモリ314に接続された1つ又は複数のプロセッサ312を含みうる。プロセッサ312は、機能を果たすことができる任意のハードウェア装置を含む。例えば、プロセッサ312は、I/F304が受信したイーサネットフレームを、USBポート306〜310による送信用のUSBフレームに変換するとともに、USBポート306〜310が受信したUSBフレームを、I/F304による送信用のイーサネットフレームに変換するように動作する。プロセッサ312は、1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、アプリケーション専用集積回路(ASIC)等を含む。プロセッサの例としては、例えば、Intel(登録商標)Core(商標)プロセッサや、新型縮小命令セット演算(RISC:Advanced Reduced Instruction Set Computing)マシン(ARM(登録商標))プロセッサ等が挙げられる。
メモリ314は、データを保存可能な任意のハードウェア装置を含む。例えば、メモリ314は、USBフレーム及び/又は当該USBフレームから抽出されたUSBデータパケットを保存することができる。同様に、メモリ314は、イーサネットフレーム及び/又はイーサネットフレームから抽出されたイーサネットデータパケットを保存することができる。メモリ314は、1つ又は複数の揮発性又は不揮発性のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)装置、フラッシュデバイス、揮発性又は不揮発性スタティックRAM装置、ハードドライブ、ソリッドステートディスク(SSD)等を含みうる。不揮発性DRAM及びSRAMの例としては、バッテリバックアップ式DRAM及びバッテリバックアップ式SRAMが挙げられる。
説明のために、航空機100は飛行中であり、飛行乗組員は、航空機100の乗客がPEDを使用することを許可していると想定する。乗客の1人は、PED316の電源を入れて、当該PED316を、IFE配信ユニット212のUSBポート306に接続する。
図4は、例示的な実施形態における、乗客のPEDに対してIFEコンテンツストリームを提供するための方法400を示すフローチャートである。本明細書で説明するフローチャートの工程は、図示されていない他の工程を含みうる。更に、本明細書で説明するフローチャートの工程は、別の順番で行ってもよい。
乗客がPED316をUSBポート306に接続すると、プロセッサ312(図3を参照)は、この接続動作を検出する(図4の工程402を参照)。USBインターフェースは、4つの配線、すなわち、電源、アース、データプラス(USBDP)、及びデータマイナス(USBDM)を含みうる。また、抵抗器により、USBDP及びUSBDMの両方をアースに接続することもできる。PED316がUSBポート306に接続されると、プロセッサ317は、USBDP及びUSBDMの信号の変化を用いて、当該接続を検出してもよい。接続の検出を受けて、プロセッサ312は、PED316とスピードネゴシエーション(speed negotiation)を行ってもよい。スピードネゴシエーションの詳細は、USBポート306〜310でサポートされているUSBのバージョンに依存する。
乗客は、PED316を用いて、航空機100で利用可能なIFEコンテンツを閲覧することができる。そのために、PED316は、利用可能なIFEコンテンツのリストについてメディアサーバ202に問い合わせを行うためのアプリケーションを実行してもよい。これに加えて又はこれに代えて、乗客は、ウェブブラウザを用いて、メディアサーバ202により提供される利用可能なIFEコンテンツを一覧表示するウェブページをロードしてもよい。IFEコンテンツは、映画、テレビ番組、インターネットへのアクセスに関する情報、音楽等を含みうる。乗客は、PED316を用いてIFEコンテンツを選択することができる。PED316は、選択したIFEコンテンツに対する要求を生成するとともに、当該要求を、USBポート306を介してIFE配信ユニット212に送信する。
プロセッサ312は、PED316からのIFEコンテンツの要求を検出する(ステップ404を参照)。例えば、プロセッサ312は、USBポート306に到着するUSBフレームを解析して、PED316からのIFEコンテンツ要求を示す、USBフレームに含まれるタグ又は他のUSBデータパケットを特定する。プロセッサ312は、上記要求を受けて、この要求を、USBフレームからイーサネットフレームに変換する(工程406を参照)。プロセッサ312は、USBフレーム及び/又は当該USBフレームから抽出されるUSBデータパケットをメモリ314に保存して、USBフレーム及び/又はUSBデータパケットからイーサネットフレームを組み立ててもよい。USBを介したPED316からの要求を示すために用いられる信号データの種類が、イーサネットを介したメディアサーバ202に対する要求を示すために用いられる信号データの種類と異なる場合、プロセッサ312は、要求の検出を受けて新たなイーサネットフレームを更に生成してもよい。プロセッサ312は、I/F304を介して、メディアサーバ202にイーサネットフレームを転送及び/又は送信することにより、メディアサーバ202に要求を供給する(工程408を参照)。
イーサネット・ネットワーク210は、メディアサーバ202にイーサネットフレームをルーティングする。当該メディアサーバは、I/F208においてイーサネットフレームを受信する。要求に応答して、メディアサーバ202のプロセッサ204は、要求されたIFEコンテンツをイーサネットデータパケットにパケット化して、I/F208において、イーサネットフレームを組み立てる。イーサネットフレームは、イーサネット・ネットワーク210に送信される。イーサネット・ネットワーク210は、(例えば、イーサネットフレームに存在する、I/F304のメディアアクセス制御(MAC)アドレスを用いて)イーサネットフレームを、IFE配信ユニット212のI/F304にルーティングする。
図5は、例示的な実施形態における、図4に示す方法400の追加の詳細事項を示すフローチャートである。IFEコンテンツストリーミングのイーサネットフレームがI/F304に到着し始めると、IFE配信ユニット212のプロセッサ312は、これを検出する(図5の工程502を参照)。プロセッサ312は、メモリ314に一時的にイーサネットフレームを保存してから、イーサネットフレームからUSBフレームへの変換を開始する(工程504)。これを行うために、プロセッサ312は、イーサネットフレームからデータパケットを分離して(strip out)、当該データパケットに基づいてUSBフレームを組み立ててもよい。いくつかの例においては、イーサネットフレームにおけるデータパケットと、USBフレームにおけるデータパケットとのサイズの違いにより、PED316用のUSBフレームを組み立てる前に、メモリ314においてIFEコンテンツストリームのバッファリングが必要な場合がある。USBフレームの組み立てを受けて、プロセッサ312は、USBフレームをUSBポート306に供給し、供給されたフレームは、PED316に送信される(工程506を参照)。このプロセスは、メディアサーバ202からI/F304にイーサネットフレームが到着し、プロセッサ312がPED316用にUSBフレームを組み立てる際に、リアルタイム、又は、ほぼリアルタイムで継続して行われる。
いくつかの場合においては、IFE配信ユニット212により供給されるIFEコンテンツストリームを複数のPEDが受信する際に、問題が発生することがある。例えば、PED317は、USBポート309に接続されており、メディアサーバ202からIFEコンテンツストリームを要求すると考えられる。この場合、PED316及びPED317の両方が、メディアサーバ202からIFEコンテンツストリームを受信する。しかしながら、I/F304には、通常、単一のMACアドレスが割り当てられており、メディアサーバ202からIFE配信ユニット212に送信されるイーサネットフレームの行き先アドレスとして用いられる。この場合、I/F304に到着するイーサネットフレームは、何れも同じ単一の行き先MACアドレス(例えば、I/F304のMACアドレス)を含みうるため、当該イーサネットフレームの行き先は、PED316の場合と、PED317の場合とが考えられる。したがって、I/F304で受信するイーサネットフレームを、USBポート306とUSBポート309との何れにルーティングすべきかを判断する何らかの機構が存在しうる。
1つの解決策は、USBポート306〜310に接続された装置に関連付けられた固有アドレスを用いることである。例えば、PED316が接続されている場合、プロセッサ312は、I/F304に入力されるイーサネットフレームとPED316とをリンクさせるために用いられるアドレスを、PED316及び/又はUSBポート306に割り当てる。PED316がメディアサーバ202から提供されるIFEコンテンツストリームを要求した場合、プロセッサ312は、PED316及び/又は当該PED316用のUSBポート306のアドレスをメディアサーバ202に供給する。これにより、メディアサーバ202のプロセッサ204は、IFE配信ユニット212のI/F304に送信されるイーサネットフレーム内に上記アドレスを含めることができる。イーサネットフレームがI/F304に到着すると、IFE配信ユニット212のプロセッサ312は、当該イーサネットフレームがPED316用であるか、或いは、PED317用であるかを判断することができる。
同様に、PED317が接続されている場合、プロセッサ312は、I/F304に入力されるイーサネットフレームとPED317とをリンクさせるために用いられる別のアドレスを、PED317及び/又はUSBポート309に割り当てる。PED317がメディアサーバ202から提供されるIFEコンテンツストリームを要求した場合、プロセッサ312は、PED317及び/又はUSB309のアドレスをメディアサーバ202に供給する。これにより、メディアサーバ202のプロセッサ204は、IFE配信ユニット212のI/F304に送信されるイーサネットフレーム内にPED317用のアドレスを含めることができる。イーサネットフレームがI/F304に到着すると、IFE配信ユニット212のプロセッサ312は、当該イーサネットフレームに含まれるアドレスの違いによって、イーサネットフレームがPED316用であるか、或いは、PED317用であるかを判断することができる。
いくつかの実施形態においては、乗客は、自分のPEDを用いて、メディアサーバ202から提供されるIFEコンテンツストリームを、自分の近くのシート背面ビデオディスプレイにミラーリング(mirror)することができる。例えば、乗客がタブレットで映画を観ている場合、乗客は、その映画を、タブレットとシート背面ビデオディスプレイとの両方に同時に表示するようにIFE配信ユニット212に命令することができる。このために、IFE配信ユニット212は、PED(例えば、PED316)から要求を受信して、PED316と、乗客の近くのシート背面ビデオディスプレイとの両方にIFEコンテンツストリームを供給してもよい。例えば、IFE配信ユニット212は、シート背面ビデオディスプレイに対する電気的接続部を有していてもよい。他の実施形態においては、IFE配信ユニット212は、PED316と、シート背面ビデオディスプレイとの両方に同時にIFEコンテンツをストリーミングすることができるメディアサーバ202に対して、要求を転送してもよい。
図6は、例示的な実施形態における、IFEコンテンツ配信アーキテクチャ600を示すブロック図である。本実施形態においては、アーキテクチャ600は、上述したメディアサーバ202と同様のメディアサーバ602を含む。アーキテクチャ600は、航空機100の前方に設けられたイーサネットスイッチ604と、航空機100の後方に設けられたイーサネットスイッチ605とを更に含む。本実施形態においては、メディアサーバ602は、10Gbps接続で、イーサネットスイッチ604〜605と通信する。イーサネットスイッチ604〜605は、それぞれ、第2イーサネットインターフェースを追加して有しており、IFE配信ユニット212と同様の複数のIFE配信ユニット606〜614と電気的に接続している。本実施形態においては、IFE配信ユニット606〜614の各々は、一対のイーサネットインターフェースを含んでいる。一対のインターフェースは、冗長性、及び/又は、メディアサーバ602とIFE配信ユニット606〜614との間の利用可能な帯域幅の増加のために用いることができる。例えば、仮にイーサネットスイッチ604が故障したとしても、IFE配信ユニット606〜614は、イーサネットスイッチ605を介してメディアサーバ602にイーサネット接続することができる。イーサネットスイッチ604〜605が両方とも利用可能な場合、アーキテクチャ600におけるIFE配信ユニット606〜614が利用可能な帯域幅の合計は2Gbpsである。
本実施形態においては、IFE配信ユニット606〜614は、列形式で編成されており、イーサネットを介してデイジーチェーン接続(daisy-chained)されている。IFE配信ユニット606〜608は、第1列に編成されており、IFE配信ユニット609〜611は、第2列に編成されており、IFE配信ユニット612〜614は、第3列に編成されている。この列形式は、航空機100のシート又はシート群の列に対応していてもよい。例えば、IFE配信ユニット606〜614は、複数のシートを含む特定のシート群に対して複数のUSBポートを提供することができる。任意の特定のシートにおいて利用可能なUSBポートの数は、設計上の選択として決定することができる。
アーキテクチャ600は、イーサネット接続及びイーサネット速度の特定の構成と共に説明してきたが、アーキテクチャ600は、この特定の構成に限定されない。更に、IFE配信ユニット606〜614の数及び関係は、航空機100のシート数や、航空機100のシート群の数などに基づいて変化しうる。
PEDに対してUSBインターフェースを用いると、Wi−Fiを用いる場合に比べて、より高いデータ転送速度のIFEコンテンツストリーミングを、航空機100の乗客に供給することができる。更に、乗客は、IFEコンテンツを受信するために自分のPEDを用いることができるため、従来のシート背面ビデオユニットを排除することにより、航空機のIFEシステムを単純化することができる。これにより、航空機100を軽量化して、燃料を節約することができる。
図示されている要素、又は、本明細書中で説明されている要素は、何れも、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせにより実現することができる。例えば、ある要素は、専用ハードウェアとして実現することができる。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は、他の同様の用語で呼ばれる。機能は、プロセッサの形で設けられる場合、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は、複数の共有可能な個別プロセッサにより提供される。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみに言及すると解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアの保存用の読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM),不揮発性記憶装置、論理回路、又は、他の物理的なハードウェア部品若しくはモジュールを暗黙的に含みうるが、これらに限定されない。
更に、要素は、当該要素の機能を果たすための、プロセッサ又はコンピュータにより実行可能な命令として実現することもできる。命令の例をいくつか挙げると、ソフトウェア、プログラムコード、及び、ファームウェアがある。命令は、プロセッサにより実行されると稼働して、当該プロセッサに対して要素の機能を果たすように指示する。命令は、プロセッサによる読み取りが可能な記憶装置に保存されてもよい。記憶装置の例としては、デジタル若しくはソリッドステートメモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は、光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体などが挙げられる。
他の実施形態は、乗客のポータブル電子デバイス(PED)に対してIFEコンテンツストリームを供給するように構成されたシステムを含む。上記システムは、航空機内に設けられたメディアサーバと、航空機内に設けられたイーサネットスイッチと、航空機内に設けられた複数のIFE配信ユニットと、を含む。イーサネットスイッチは、メディアサーバに電気的に接続された第1イーサネットインターフェースと、複数の第2イーサネットインターフェースと、を含む。IFE配信ユニットのうち少なくとも1つは、イーサネットスイッチの第2イーサネットインターフェースのうち1つと接続されたイーサネットインターフェースと、航空機のシートの近傍に設けられた複数のUSBポートと、コントローラと、を含む。USBポートは、乗客のPEDと電気的に接続されており、コントローラは、IFE配信ユニットのイーサネットインターフェース及びUSBポートと電気的に接続されている。コントローラは、メディアサーバから提供されるIFEコンテンツストリームを、イーサネットフレームから、PEDに表示するためのUSBフレームに変換する。
有利には、上記システムにおいて、コントローラは、PEDがUSBポートに接続されたことを検出するとともに、PEDからIFEコンテンツストリームの要求を受信して、当該要求をUSBフレームからイーサネットフレームに変換し、当該要求をメディアサーバに供給するように構成されている。コントローラは、メディアサーバからIFEコンテンツストリームを受信するとともに、当該IFEコンテンツストリームをイーサネットフレームからUSBフレームに変換して、当該IFEコンテンツストリームをPEDに供給するように、更に構成されている。好ましくは、コントローラは、PEDの近傍に設けられたシート背面ビデオディスプレイにIFEコンテンツストリームをミラーリングするための要求を、PEDから受信するとともに、IFEコンテンツストリームをPED及びシート背面ビデオディスプレイの両方に供給するように構成されている。
他の実施形態は、IFEコンテンツストリームを、乗客の個人電子デバイス(PED)に供給するための航空機の機内エンターテインメント(IFE)システムで実施可能な方法を含む。IFEシステムは、航空機内に設けられたメディアサーバと、メディアサーバに電気的に接続されたイーサネット・ネットワークと、航空機内に設けられた複数のIFE配信ユニットと、を含む。上記方法は、IFE配信ユニットのコントローラにより、航空機におけるシートの近傍に設けられたIFE配信ユニットのUSBポートにPEDが接続されたことを検出することを含む。上記方法は、コントローラにより、メディアサーバから提供されるIFEコンテンツストリームの要求を、PEDから受信することと、コントローラにより、当該要求をUSBフレームからイーサネットフレームに変換することと、を更に含む。上記方法は、コントローラにより、イーサネット・ネットワークに電気的に接続されたIFE配信ユニットのイーサネットインターフェースを用いて、メディアサーバに対して要求を供給することを更に含む。
有利には、上記方法は、コントローラにより、メディアサーバからIFEコンテンツストリームを受信することと、コントローラにより、IFEコンテンツストリームをイーサネットフレームからUSBフレームに変換することと、コントローラにより、IFEコンテンツストリームをPEDに供給することを更に含む。好ましくは、上記方法は、コントローラにより、シートの近傍に設けられたシート背面ビデオディスプレイにIFEコンテンツストリームをミラーリングするための要求を受信することと、コントローラにより、IFEコンテンツストリームをPED及びシート背面ビデオディスプレイの両方に供給することと、を更に含む。これに代えて、上記方法は、コントローラにより、シートの近傍に設けられたシート背面ビデオディスプレイにIFEコンテンツストリームをミラーリングするための要求を受信することと、コントローラにより、IFEコンテンツストリームをPED及びシート背面ビデオディスプレイの両方に供給するように、メディアサーバに指示することと、を更に含む。
有利には、上記方法は、コントローラにより、PEDがIFE配信ユニットの複数のUSBポートのうち1つに接続されたことを検出することと、コントローラにより、前記PEDに識別子を関連付けることと、コントローラにより、PEDからIFEコンテンツストリームの要求を受信することと、コントローラにより、当該要求をUSBフレームからイーサネットフレームに変換することと、コントローラにより、当該要求及びPEDの識別子をメディアサーバに供給することと、を更に含む。好ましくは、上記方法は、コントローラにより、メディアサーバから複数のIFEコンテンツストリームを受信することと、コントローラにより、PEDの識別子に基づいてIFEコンテンツストリームのうち1つを特定することと、コントローラにより、特定されたIFEコンテンツストリームをイーサネットフレームからUSBフレームに変換することと、コントローラにより、USBポートのうちの上記1つを用いて、PEDに対して特定されたIFEコンテンツストリームを供給することと、を更に含む。好ましくは、上記方法は、メディアサーバにより、IFE配信ユニットからIFEコンテンツストリームの要求、及び、識別子を受信することと、メディアサーバにより、IFEコンテンツストリームのイーサネットフレームに識別子を含めることと、メディアサーバにより、識別子を含むIFEコンテンツストリームのイーサネットフレームをIFE配信ユニットに供給することと、を更に含む。
本明細書において特定の実施形態を説明したが、その範囲は、特定の実施形態に限定されない。むしろ、上記範囲は、以下の請求の範囲及びその均等物により規定されるものである。