以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある)は、タイヤの摩耗性能を、コンピュータを用いて予測するための方法である。なお、本実施形態のシミュレーション方法で予測される摩耗性能は、タイヤの摩耗量であるが、例えば、摩耗量の大小を表す指数等であってもよい。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法が実施されるコンピュータ1のブロック図である。本実施形態のコンピュータ1は、入力デバイスとしての入力部11、出力デバイスとしての出力部12、及び、タイヤの物理量等を計算する演算処理装置13を有し、タイヤの摩耗性能を予測するシミュレーション装置1Aとして構成されている。
入力部11は、例えば、キーボード又はマウス等が用いられる。出力部12は、例えば、ディスプレイ装置又はプリンタ等が用いられる。演算処理装置13は、各種の演算を行う演算部(CPU)13A、データやプログラム等が記憶される記憶部13B、及び、作業用メモリ13Cが含まれている。
記憶部13Bは、例えば、磁気ディスク、光ディスク又はSSD等からなる不揮発性の情報記憶装置である。記憶部13Bには、データ部15及びプログラム部16が設けられている。
データ部15は、評価対象のタイヤや路面に関する情報(例えば、CADデータ等)が記憶される初期データ部15A、タイヤをモデル化したタイヤモデルが入力されるタイヤモデル入力部15B、及び、タイヤが転動する路面をモデル化した路面モデルが入力される路面モデル入力部15Cが含まれている。さらに、データ部15には、シミュレーションの境界条件が入力される境界条件入力部15D、及び、演算部13Aが計算した物理量が入力される物理量入力部15Eが含まれている。
プログラム部16は、演算部13Aによって実行されるプログラムである。プログラム部16には、タイヤモデルを設定するタイヤモデル設定部16A、路面モデルを設定する路面モデル設定部16B、タイヤモデルの内圧充填後の形状を計算する内圧充填計算部16C、及び、内圧充填後のタイヤモデルに荷重を定義する荷重負荷計算部16Dが含まれている。さらに、プログラム部16は、平均摩耗エネルギー計算部16E、発生頻度計算部16F、条件別摩耗性能計算部16G、及び、摩耗性能計算部16Hを含んで構成されている。
図2は、本実施形態のシミュレーション方法で、摩耗性能が予測されるタイヤ2の断面図である。図3は、図2のタイヤ2のトレッド展開図である。本実施形態のタイヤ2は、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されるベルト層7とが設けられている。
本実施形態のトレッド部2aには、タイヤ周方向に連続してのびる周方向溝9が設けられる。これにより、トレッド部2aは、周方向溝9で区分された複数の縦陸部10が設けられる。
本実施形態の周方向溝9は、タイヤ赤道Cのタイヤ軸方向の両外側に配置される一対のセンター周方向溝9a、9b、及び、センター周方向溝9a、9bとトレッド接地端2tとの間に配置される一対のショルダー周方向溝9c、9dが含まれている。一対のセンター周方向溝9a、9bは、タイヤ赤道Cに対して、タイヤ軸方向の一方側Saに配置される第1センター周方向溝9aと、タイヤ軸方向の他方側Sbに配置される第2センター周方向溝9bとに区別される。一対のショルダー周方向溝9c、9dは、タイヤ赤道Cに対して、タイヤ軸方向の一方側Saに配置される第1ショルダー周方向溝9cと、タイヤ軸方向の他方側Sbに配置される第2ショルダー周方向溝9dとに区別される。
縦陸部10は、一対のセンター周方向溝9a、9b間で区分されるセンター縦陸部10a、センター周方向溝9a、9bと、ショルダー周方向溝9c、9dとで区分される一対のミドル縦陸部10b、10c、及び、ショルダー周方向溝9c、9dと、トレッド接地端2tとで区分される一対のショルダー縦陸部10d、10eを含んでいる。また、各縦陸部10a〜10eには、周方向溝9a〜9d又はトレッド接地端2tと交わる横溝20等が設けられている。
一対のミドル縦陸部10b、10cは、タイヤ赤道Cに対して、タイヤ軸方向の一方側Saに配置される第1ミドル縦陸部10bと、タイヤ軸方向の他方側Sbに配置される第2ミドル縦陸部10cとに区別される。一対のショルダー縦陸部10d、10eは、タイヤ赤道Cに対して、タイヤ軸方向の一方側Saに配置される第1ショルダー縦陸部10dと、タイヤ軸方向の他方側Sbに配置される第2ショルダー縦陸部10eとに区別される。
本明細書において、「トレッド接地端2t」とは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態のタイヤ2に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度にて平坦面に接地させたときのトレッド接地面のタイヤ軸方向の最外端とする。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
また、タイヤ2には、トレッド部2aで仮想区分されたトレッド小領域18が設定されている。本実施形態のトレッド小領域18は、タイヤ周方向に連続する領域である。このようなトレッド小領域18は、例えば、タイヤ2のトレッドパターンや、タイヤ構造に応じて、適宜設定されうる。本実施形態のトレッド小領域18は、各周方向溝9a〜9dで区分された各縦陸部10a〜10eに設定されている。
図2に示されるように、カーカス6は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aで構成される。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとが含まれる。本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配される。また、カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して、例えば75度〜90度の角度で配列されたカーカスコードが含まれる。
ベルト層7は、ベルトコードを、タイヤ周方向に対して例えば10度〜35度の角度で傾けて配列した内、外2枚のベルトプライ7A、7Bを含んで構成されている。これらのベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。
図4は、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、図2及び図3に示したタイヤ2をモデル化したタイヤモデルが設定される(工程S1)。
工程S1では、先ず、図1に示されるように、初期データ部15Aに記憶されているタイヤ2(図2に示す)に関する情報(例えば、タイヤ2の輪郭データ等)が、作業用メモリ13Cに入力される。さらに、タイヤモデル設定部16Aが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、タイヤモデル設定部16Aが、演算部13Aによって実行される。図5は、本実施形態のタイヤモデルの断面図である。図6は、図5のトレッド展開図である。なお、図6では、溝のメッシュを省略して表示している。
工程S1では、タイヤ2(図2に示す)に関する情報に基づいて、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素F(i)(i=1、2、…)で離散化している。これにより、タイヤ2がモデル化されたタイヤモデル21が設定される。タイヤモデル21は、タイヤモデル入力部15B(図1に示す)に記憶される。なお、数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できるが、本実施形態では有限要素法が採用されている。
要素F(i)としては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素などが用いられるのが望ましい。各要素F(i)には、複数個の節点25が設けられる。このような各要素F(i)には、要素番号、節点25の番号、節点25の座標値及び材料特性(例えば密度、ヤング率及び/又は減衰係数等)などの数値データが定義される。
タイヤモデル21のトレッド部21aには、周方向溝9(図2及び図3に示す)が再現された周方向溝モデル22と、縦陸部10(図2及び図3に示す)が再現された縦陸部モデル23とが設定されている。周方向溝モデル22は、第1センター周方向溝9aが再現された第1センター周方向溝モデル22a、及び、第2センター周方向溝9bが再現された第2センター周方向溝モデル22bが含まれている。さらに、周方向溝モデル22は、第1ショルダー周方向溝9cが再現された第1ショルダー周方向溝モデル22c、及び、第2ショルダー周方向溝9dが再現された第2ショルダー周方向溝モデル22dが含まれている。
縦陸部モデル23は、センター縦陸部10aが再現されたセンター縦陸部モデル23a、第1ミドル縦陸部10bが再現された第1ミドル縦陸部モデル23b、及び、第2ミドル縦陸部10cが再現された第2ミドル縦陸部モデル23cが含まれている。さらに、縦陸部モデルは、第1ショルダー縦陸部10dが再現された第1ショルダー縦陸部モデル23d、及び、第2ショルダー縦陸部10eが再現された第2ショルダー縦陸部モデル23eが含まれている。本実施形態では、これらの縦陸部モデル23a〜23eにより、タイヤモデル21のトレッド小領域30が設定される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、路面をモデル化した路面モデルが設定される(工程S2)。工程S2では、先ず、図1に示した初期データ部15Aに記憶されている路面に関する情報が、作業用メモリ13Cに入力される。さらに、路面モデル設定部16Bが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、路面モデル設定部16Bが、演算部13Aによって実行される。
図7は、本実施形態のタイヤモデル21及び路面モデル24の斜視図である。なお、図7では、タイヤモデル21のメッシュが省略されている。工程S2では、路面に関する情報に基づいて、数値解析法(本実施形態では、有限要素法)により取り扱い可能な有限個の要素G(i)(i=1、2、…)で離散化する。これにより、工程S2では、路面モデル24が設定される。設定された路面モデル24は、路面モデル入力部15C(図1に示す)に記憶される。
要素G(i)は、変形不能に設定された剛平面要素からなる。この要素G(i)には、複数の節点28が設けられる。さらに、要素G(i)は、要素番号や、節点28の座標値等の数値データが定義される。
本実施形態では、路面モデル24として、平滑な表面を有するものが例示されたが、必要に応じて、アスファルト路面のような微小凹凸、不規則な段差、窪み、うねり、又は、轍等の実走行路面に近似した凹凸などが設けられても良い。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル21を走行させて、タイヤモデル21のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーを計算する(平均摩耗エネルギー計算工程S3)。平均摩耗エネルギー計算工程S3は、自由転動、制動、駆動、及び旋回のうち、少なくとも2つ以上の転動条件でタイヤモデル21を走行させて、トレッド小領域30の平均摩耗エネルギーが、転動条件毎に計算される。本実施形態では、自由転動、制動、駆動及び旋回の各転動条件で、タイヤモデル21を走行させている。
上述したように、本実施形態のトレッド小領域30は、各縦陸部モデル23a〜23eである。従って、本実施形態の平均摩耗エネルギー計算工程S3では、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーが計算される。図8は、平均摩耗エネルギー計算工程S3の処理手順の一例を示すフローチャートである。
平均摩耗エネルギー計算工程S3では、先ず、タイヤモデル21に境界条件が定義される(工程S31)。図7に示されるように、境界条件としては、例えば、タイヤモデル21の内圧条件、負荷荷重条件T、キャンバー角、及び、タイヤモデル21と路面モデル24との摩擦係数等が設定される。さらに、境界条件としては、タイヤモデル21のトルクTL、横力(図示省略)、及び、走行速度Vに対応する路面モデル24の並進速度V2が設定される。
自由転動、制動、駆動、及び旋回の各転動条件では、路面モデル24に並進速度V2が設定される。これにより、タイヤモデル21と路面モデル24との間の摩擦係数に基づいて転動するタイヤモデル21が計算されうる。
自由転動条件では、タイヤモデル21にトルクTLは定義されない。制動条件では、タイヤモデル21に制動に対応するトルクTLが設定される。駆動条件では、タイヤモデル21に駆動に対応するトルクTLが設定される。旋回条件では、タイヤモデル21に横力(図示省略)が設定される。これらの条件は、境界条件入力部15D(図1に示す)に記憶される。なお、タイヤモデル21に設定されたトルクTL等に相当する力が、路面モデル24に設定されてもよい。
次に、平均摩耗エネルギー計算工程S3は、タイヤモデル21(図5に示す)の内圧充填後の形状が計算される(工程S32)。工程S32では、図1に示されるように、タイヤモデル入力部15Bに記憶されているタイヤモデル21、及び、境界条件入力部15Dに記憶されている内圧条件が作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、内圧充填計算部16Cが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、内圧充填計算部16Cが、演算部13Aによって実行される。
工程S32では、先ず、図5に示されるように、タイヤ2のリム26(図2に示す)がモデル化されたリムモデル27によって、タイヤモデル21のビード部21c、21cが拘束される。さらに、タイヤモデル21は、内圧条件に相当する等分布荷重wに基づいて変形計算される。これにより、工程S32では、内圧充填後のタイヤモデル21が計算される。内圧は、例えば、タイヤ2(図2に示す)が基づいている規格を含む規格体系において、各規格が定めている空気圧が設定されるのが望ましい。
タイヤモデル21の変形計算は、各要素F(i)の形状及び材料特性などをもとに、各要素F(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス、及び、減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらを微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとにタイヤモデル21の変形計算を行う。このようなタイヤモデル21の変形計算(後述する転動計算を含む)は、例えば、LSTC社製の LS-DYNA などの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算されうる。なお、単位時間Txについては、求められるシミュレーション精度によって、適宜設定されうる。
次に、平均摩耗エネルギー計算工程S3では、荷重が定義されたタイヤモデル21が計算される(工程S33)。工程S33では、図1に示されるように、境界条件入力部15Dに記憶されている負荷荷重条件、及び、キャンバー角及び摩擦係数が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、工程S33では、荷重負荷計算部16Dが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、荷重負荷計算部16Dが、演算部13Aによって実行される。
工程S33では、図7に示されるように、内圧充填後のタイヤモデル21と、路面モデル24との接触が計算される。次に、工程S33では、負荷荷重条件T、キャンバー角(図示省略)、及び、摩擦係数に基づいて、タイヤモデル21の変形が計算される。これにより、工程S33では、路面モデル24に接地したタイヤモデル21が計算される。
次に、本実施形態の平均摩耗エネルギー計算工程S3では、自由転動時のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーが計算される(工程S34)。本実施形態の工程S32では、タイヤモデル21の自由転動時において、各縦陸部モデル23a〜23e(図6に示す)の平均摩耗エネルギーが計算される。
工程S34では、先ず、境界条件入力部15Dに記憶されている並進速度V2が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、工程S34では、タイヤモデル21の平均摩耗エネルギーを計算するための平均摩耗エネルギー計算部16Eが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、平均摩耗エネルギー計算部16Eが、演算部13Aによって実行される。
図7に示されるように、工程S34では、先ず、路面モデル24に並進速度V2が設定される。これにより、路面モデル24の上を自由転動しているタイヤモデル21が計算されうる。図6に示されるように、各縦陸部モデル23a〜23eを構成する各節点25が路面モデル24(図7に示す)に接地している間、各節点25において、せん断力及びすべり量が計算される。せん断力Pには、タイヤ軸方向xのせん断力Px及びタイヤ周方向yのせん断力Pyが含まれる。また、すべり量Qには、前記せん断力Px、Pyに対応する、タイヤ軸方向xのすべり量Qx及びタイヤ周方向yのすべり量Qyが含まれる。
自由転動計算は、転動開始から、予め定められた転動終了まで、シミュレーションの単位時間Tx毎に計算される。これにより、工程S34では、各節点25のせん断力Px、Py及びすべり量Qx、Qyが、転動開始から転動終了まで単位時間Tx刻みで複数回計算される。図9は、各節点25の自由転動時の摩耗エネルギーを示すコンター図である。コンター図は、各節点25で計算された摩耗エネルギー、及び、各節点25の摩耗エネルギーから補間計算された摩耗エネルギーに基づいて、同一範囲の摩耗エネルギー毎に異なる色情報が設定される。このようなコンター図は、例えば、汎用のポストプロセッサ( LSTC 社製の LS-PrePost など)により求められうる。
工程S34では、各縦陸部モデル23a〜23eにおいて、各節点25のせん断力Px(i)、Py(i)と、該せん断力Px(i)、Py(i)に対応するすべり量Qx(i)、Qy(i)とを乗じた値が、各縦陸部モデル23a〜23eの接地入りから接地端までの要素F(i)を対象に積算される。そして、各縦陸部モデル23a〜23eの前記積算値が、各縦陸部モデル23a〜23eの接地面積で除されることにより、単位時間Txの平均摩耗エネルギーが、縦陸部モデル23a〜23e毎に計算される。次に、単位時間Txの平均摩耗エネルギーが転動開始から転動終了まで積算され、さらに、この積算された値が、転動開始から転動終了までの合計時間で除される。これにより、自由転動時の平均摩耗エネルギーが、縦陸部モデル23a〜23e毎に計算される。自由転動時の各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーは、物理量入力部15Eに記憶される。
次に、本実施形態の平均摩耗エネルギー計算工程S3では、制動時のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーが計算される(工程S35)。本実施形態の工程S35では、タイヤモデル21の制動時において、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーが計算される。
工程S35では、図1に示されるように、境界条件入力部15Dに記憶されている、並進速度V2、制動時に対応するトルクTL及び平均摩耗エネルギー計算部16Eが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、平均摩耗エネルギー計算部16Eが、演算部13Aによって実行される。
工程S35では、図7に示されるように、並進速度V2が路面モデル24に設定される。これにより、路面モデル24上を自由転動しているタイヤモデル21が計算されうる。次に、制動時のトルクTLがタイヤモデル21に設定される。これにより、自由転動している状態から制動したタイヤモデル21が計算されうる。工程S35では、節点25のせん断力Px、Py及びすべり量Qx、Qyが、制動開始から制動終了まで間、単位時間Tx刻みで複数回計算される。
工程S35では、工程S34と同様の計算方法により、制動時の平均摩耗エネルギーが、縦陸部モデル23a〜23e毎に計算される。制動時の各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーは、物理量入力部15Eに記憶される。
次に、本実施形態の平均摩耗エネルギー計算工程S3では、駆動時のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーが計算される(工程S36)。本実施形態の工程S36では、タイヤモデル21の駆動時において、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーが計算される。
工程S36では、図1に示されるように、境界条件入力部15Dに記憶されている並進速度V2、駆動時のトルクTL及び平均摩耗エネルギー計算部16Eが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、平均摩耗エネルギー計算部16Eが、演算部13Aによって実行される。
工程S36では、図7に示されるように、並進速度V2が路面モデル24に設定される。これにより、路面モデル24上を自由転動しているタイヤモデル21が計算されうる。次に、駆動時のトルクTLがタイヤモデル21に設定される。これにより、自由転動している状態から駆動したタイヤモデル21が計算されうる。工程S36では、節点25のせん断力Px、Py及びすべり量Qx、Qyが、駆動開始から駆動終了まで間、単位時間Tx刻みで複数回計算される。
工程S36では、工程S34と同様の計算方法により、駆動時の平均摩耗エネルギーが、縦陸部モデル23a〜23e毎に計算される。駆動時の各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーは、物理量入力部15Eに記憶される。
次に、本実施形態の平均摩耗エネルギー計算工程S3では、旋回時のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーが計算される(工程S37)。本実施形態の工程S37では、タイヤモデル21の旋回時において、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーが計算される。
工程S37では、図1に示されるように、境界条件入力部15Dに記憶されている並進速度V2、横力(図示省略)及び平均摩耗エネルギー計算部16Eが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、平均摩耗エネルギー計算部16Eが、演算部13Aによって実行される。
工程S37では、図7に示されるように、並進速度V2が路面モデル24に設定される。これにより、路面モデル24上を自由転動しているタイヤモデル21が計算されうる。次に、横力(図示省略)がタイヤモデル21に設定される。これにより、自由転動している状態から旋回したタイヤモデル21が計算されうる。工程S37では、節点25で計算されたせん断力Px、Py及びすべり量Qx、Qyが、旋回開始から旋回終了まで間、単位時間Tx刻みで複数回計算される。
工程S37では、工程S34と同様の計算方法により、旋回時の平均摩耗エネルギーが、縦陸部モデル23a〜23e毎に計算される。旋回時の各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーは、物理量入力部15Eに記憶される。
このように、各転動条件(自由転動、制動、駆動及び旋回)の平均摩耗エネルギーが、トレッド小領域30(各縦陸部モデル23a〜23e)の全要素F(i)の各節点25で計算されたせん断力Px(i)、Py(i)、及び、すべり量Qx(i)、Qy(i)に基づいて求められるため、タイヤ周方向に連続して摩耗する実際のタイヤ2の摩耗エネルギーに近似させることができる。このため、後述する摩耗量計算工程S6において、タイヤ周方向に連続して摩耗する実際のタイヤ2の摩耗量が、正確に予測されうる。さらに、タイヤモデル21と路面モデル24との間には、実際のタイヤ2と路面との摩擦係数等が設定されているため、平均摩耗エネルギーが、精度よく計算されうる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル21のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーに基づいて、転動条件毎に、タイヤ2のトレッド小領域18の条件別摩耗性能を計算する(条件別摩耗性能計算工程S4)。本実施形態の条件別摩耗性能計算工程S4では、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーに基づいて、転動条件毎に、タイヤ2の各縦陸部10a〜10eの摩耗性能(摩耗量)が計算される。
条件別摩耗性能計算工程S4では、先ず、物理量入力部15Eに記憶されている各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーが、転動条件毎に作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、条件別摩耗性能計算工程S4では、各縦陸部10a〜10eの摩耗量を計算するための条件別摩耗性能計算部16Gが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、条件別摩耗性能計算部16Gが、演算部13Aによって実行される。図10は、条件別摩耗性能計算工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の条件別摩耗性能計算工程S4は、先ず、実際のタイヤ2(図2及び図3に示す)のトレッド小領域18のゴム材料の摩耗エネルギー及び摩耗量が取得される(工程S41)。本実施形態の工程S61では、各縦陸部10a〜10eのゴム材料の摩耗エネルギー及び摩耗量が取得される。
工程S41では、先ず、図2に示したタイヤ2の各縦陸部10a〜10eから切り取ったゴム片(図示省略)が取得される。これらのゴム片が、例えば、室内摩耗試験機(ランボーン摩耗試験機等)によって摩耗されることにより、各縦陸部10a〜10eのゴム材料の摩耗量に対する摩耗エネルギーが求められうる。
次に、本実施形態の条件別摩耗性能計算工程S4は、ゴム材料の摩耗量と、ゴム材料の摩耗エネルギーとの関係を示す摩耗指数が取得される(工程S42)。工程S42では、トレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)について、ゴム材料の摩耗量Laが、ゴム材料の摩耗エネルギーEaで除される。これにより、トレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)のゴム材料の摩耗指数Riが取得されうる。図11は、本実施形態の摩耗指数Riの一例を示すグラフである。このような摩耗指数Riでは、ゴム材料の摩耗エネルギーEaの変化(例えば、増加)により、ゴム材料の摩耗量Laが線形に変化(例えば、増加)している。
次に、本実施形態の条件別摩耗性能計算工程S4は、ゴム材料の摩耗指数Riと、各転動条件の平均摩耗エネルギーとに基づいて、トレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)の条件別摩耗性能が計算される(工程S43)。本実施形態の工程S63では、各縦陸部10a〜10eについて、ゴム材料の摩耗指数Riと平均摩耗エネルギーとが乗じられる。ゴム材料の摩耗指数Riと平均摩耗エネルギーとの乗算は、転動条件(自由転動、制動、駆動及び旋回)毎に行われる。これにより、転動条件毎に、各縦陸部10a〜10eの条件別摩耗性能(本実施形態では、摩耗量)が計算される。これらの条件別摩耗性能は、物理量入力部15Eに記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、予め提供された車両の走行履歴について、各転動条件の発生頻度を取得する(発生頻度計算工程S5)。本実施形態の発生頻度は、自由転動の発生頻度Ca、制動の発生頻度Cb、駆動の発生頻度Cc及び旋回の発生頻度Cdが含まれる。また、各発生頻度Ca〜Cdは、自由転動の発生頻度Ca、制動の発生頻度Cb、駆動の発生頻度Cc及び旋回の発生頻度Cdの合計を100%とする百分率で示されている。なお、各発生頻度Ca〜Cdは、百分率以外の方法で表示されてもよい。図12は、本実施形態の発生頻度計算工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の発生頻度計算工程S5は、先ず、タイヤ2(図2に示す)を走行させて、トレッド小領域18の実摩耗性能が取得される(工程S51)。本実施形態の工程S51では、各縦陸部10a〜10eにおいて、実摩耗量が取得される。また、各縦陸部10a〜10eの実摩耗量は、各周方向溝9a〜9d及びトレッド接地端2t(一方のトレッド接地端2ta、及び、他方のトレッド接地端2tb)の実摩耗量によって取得される。
工程S51では、先ず、実際の車両にタイヤ2が装着され、例えば、高速道路、山岳路、及び、一般道を含む経路で走行される。そして、タイヤ2の走行後、各周方向溝9a〜9d及びトレッド接地端2ta、2tbの実摩耗量が測定される。
各周方向溝9a〜9dの実摩耗量を測定する方法については、適宜採用することができる。本実施形態では、先ず、各周方向溝9a〜9dのタイヤ周方向の3箇所で、新品時の溝深さ、及び、走行後の溝深さが測定される。そして、3箇所で測定された新品時の溝深さと、走行後の溝深さとの差が平均されることによって、各周方向溝9a〜9dの実摩耗量が求められうる。図13は、各周方向溝9a〜9dの実摩耗量を示すグラフである。各トレッド接地端2ta、2tbの実摩耗量も、各周方向溝9a〜9dと同様の測定方法によって測定される。これらの各周方向溝9a〜9dの実摩耗量、及び、各トレッド接地端2ta、2tbの実摩耗量は、物理量入力部15Eに記憶される。
次に、本実施形態の発生頻度計算工程S5は、タイヤ2のトレッド小領域18の実摩耗性能と、タイヤモデル21のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーとに基づく重回帰分析により、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが計算される(工程S52)。本実施形態の工程S52では、各縦陸部10a〜10e(各周方向溝9a〜9d及び各トレッド接地端2ta、2tb)の実摩耗量と、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーとに基づいて、重回帰分析が行われる。
工程S52では、図1に示されるように、物理量入力部15Eに記憶されている各周方向溝9a〜9dの実摩耗量、各トレッド接地端2ta、2tbの実摩耗量、並びに、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギー(自由転動、制動、駆動、及び旋回の各転動条件を含む)が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、工程S52では、タイヤ2の転動条件の発生頻度を取得する発生頻度計算部16Fが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、発生頻度計算部16Fが、演算部13Aによって実行される。
工程S52では、先ず、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーに基づいて、各周方向溝モデル22a〜22dの平均摩耗エネルギー、及び、各トレッド接地端21ta、21tbの平均摩耗エネルギーが計算される。なお、平均摩耗エネルギー計算工程S3では、縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーのみが求められていたため、各周方向溝モデル22a〜22d及び各トレッド接地端21ta、21tbの平均摩耗エネルギーが新たに求められる。
本実施形態では、図6に示されるように、各周方向溝モデル22a〜22dのそれぞれタイヤ軸方向両側に配置される一対の各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーが、転動条件(自由転動、制動、駆動、及び旋回)毎に平均される。これにより、各周方向溝モデル22a〜22dの平均摩耗エネルギーが、転動条件(自由転動、制動、駆動、及び旋回)毎に計算される。
例えば、第1センター周方向溝モデル22aの平均摩耗エネルギーは、センター縦陸部モデル23aの平均摩耗エネルギーと、第1ミドル縦陸部モデル23bの平均摩耗エネルギーとが、転動条件(自由転動、制動、駆動、及び旋回)毎に平均されることにより求められうる。図14は、各周方向溝モデル22a〜22d、及び、トレッド接地端2t、2tの平均摩耗エネルギーを、転動条件(自由転動、制動、駆動、及び旋回)毎に示すグラフである。図14において、第1センター周方向溝モデル22aの平均摩耗エネルギーは、例えば、次のとおりである。
第1センター周方向溝モデルの自由転動時の平均摩耗エネルギー:65(J/m2)
第1センター周方向溝モデルの制動時の平均摩耗エネルギー:135(J/m2)
第1センター周方向溝モデルの駆動時の平均摩耗エネルギー:140(J/m2)
第1センター周方向溝モデルの旋回時の平均摩耗エネルギー:290(J/m2)
各トレッド接地端21ta、21tbでは、そのタイヤ軸方向の片側のみに、縦陸部モデル(第1ショルダー縦陸部モデル23d又は第2ショルダー縦陸部モデル23e)が配置されている。このため、各トレッド接地端21ta、21tbの平均摩耗エネルギーは、トレッド接地端21ta、21tbのタイヤ軸方向の片側で隣り合う縦陸部モデルの平均摩耗エネルギーが、そのまま設定される。
例えば、一方のトレッド接地端21taの平均摩耗エネルギーは、図6に示されるように、タイヤ軸方向の他方側Sbにのみ、第1ショルダー縦陸部モデル23dが配置されている。このため、一方のトレッド接地端21taの平均摩耗エネルギーとして、第1ショルダー縦陸部モデル23dの各平均摩耗エネルギー(自由転動、制動、駆動、及び旋回)が、そのまま設定される。図14において、一方のトレッド接地端21tの平均摩耗エネルギーは、例えば、次のとおりである。
一方のトレッド接地端の自由転動時の平均摩耗エネルギー:80(J/m2)
一方のトレッド接地端の制動時の平均摩耗エネルギー:170(J/m2)
一方のトレッド接地端の駆動時の平均摩耗エネルギー:80(J/m2)
一方のトレッド接地端の旋回時の平均摩耗エネルギー:300(J/m2)
次に、本実施形態の工程S52では、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた各周方向溝モデル22a〜22dの平均摩耗エネルギー、発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた各トレッド接地端21ta、21tbの平均摩耗エネルギー、各周方向溝9a〜9dの実摩耗量、及び、各トレッド接地端2ta、2tbの実摩耗量に基づいて、重回帰分析される。
各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた第1センター周方向溝モデル22aの平均摩耗エネルギーE1は、下記式(1)で表されうる。
E1=Ca×E1a+Cb×E1b+Cc×E1c+Cd×E1d…(1)
ここで、各変数は、次のとおりである。
E1a:第1センター周方向溝モデルの自由転動時の平均摩耗エネルギー
E1b:第1センター周方向溝モデルの制動時の平均摩耗エネルギー
E1c:第1センター周方向溝モデルの駆動時の平均摩耗エネルギー
E1d:第1センター周方向溝モデルの旋回時の平均摩耗エネルギー
各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた第2センター周方向溝モデル22bの平均摩耗エネルギーE2は、下記式(2)で表されうる。
E2=Ca×E2a+Cb×E2b+Cc×E2c+Cd×E2d…(2)
ここで、各変数は、次のとおりである。
E2a:第2センター周方向溝モデルの自由転動時の平均摩耗エネルギー
E2b:第2センター周方向溝モデルの制動時の平均摩耗エネルギー
E2c:第2センター周方向溝モデルの駆動時の平均摩耗エネルギー
E2d:第2センター周方向溝モデルの旋回時の平均摩耗エネルギー
各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた第1ショルダー周方向溝モデル22cの平均摩耗エネルギーE3は、下記式(3)で表されうる。
E3=Ca×E3a+Cb×E3b+Cc×E3c+Cd×E3d…(3)
ここで、各変数は、次のとおりである。
E3a:第1ショルダー周方向溝モデルの自由転動時の平均摩耗エネルギー
E3b:第1ショルダー周方向溝モデルの制動時の平均摩耗エネルギー
E3c:第1ショルダー周方向溝モデルの駆動時の平均摩耗エネルギー
E3d:第1ショルダー周方向溝モデルの旋回時の平均摩耗エネルギー
各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた第2ショルダー周方向溝モデル22dの平均摩耗エネルギーE4は、下記式(4)で表されうる。
E4=Ca×E4a+Cb×E4b+Cc×E4c+Cd×E4d…(4)
ここで、各変数は、次のとおりである。
E4a:第2ショルダー周方向溝モデルの自由転動時の平均摩耗エネルギー
E4b:第2ショルダー周方向溝モデルの制動時の平均摩耗エネルギー
E4c:第2ショルダー周方向溝モデルの駆動時の平均摩耗エネルギー
E4d:第2ショルダー周方向溝モデルの旋回時の平均摩耗エネルギー
各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた一方のトレッド接地端21taの平均摩耗エネルギーE5は、下記式(5)で表されうる。
E5=Ca×E5a+Cb×E5b+Cc×E5c+Cd×E5d…(5)
ここで、各変数は、次のとおりである。
E5a:一方のトレッド接地端の自由転動時の平均摩耗エネルギー
E5b:一方のトレッド接地端の制動時の平均摩耗エネルギー
E5c:一方のトレッド接地端の駆動時の平均摩耗エネルギー
E5d:一方のトレッド接地端の旋回時の平均摩耗エネルギー
各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた他方のトレッド接地端21tbの全摩耗エネルギーE6は、下記式(6)で表されうる。
E6=Ca×E6a+Cb×E6b+Cc×E6c+Cd×E6d…(6)
ここで、各変数は、次のとおりである。
E6a:他方のトレッド接地端の自由転動時の平均摩耗エネルギー
E6b:他方のトレッド接地端の制動時の平均摩耗エネルギー
E6c:他方のトレッド接地端の駆動時の平均摩耗エネルギー
E6d:他方のトレッド接地端の旋回時の平均摩耗エネルギー
本実施形態では、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた各周方向溝モデル22a〜22dの平均摩耗エネルギーE1〜E4、及び、発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた各トレッド接地端21tの1平均摩耗エネルギーE5、E6が、各周方向溝9a〜9dの実摩耗量、及び、各トレッド接地端2tの実摩耗量に一致するように重回帰分析される。これにより、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが特定されうる。このような重回帰分析は、例えば、日科技研製のStatWorksが用いられることにより、容易に計算されうる。このような各転動条件の発生頻度は、物理量入力部15Eに記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、走行履歴でタイヤ2が走行したときのトレッド小領域18の予測摩耗性能を計算する(工程S6)。本実施形態の工程S6では、タイヤ2のトレッド小領域18において、各転動条件の条件別摩耗性能(本実施形態では、摩耗量)が、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされることによって、走行履歴を考慮した予測摩耗性能が計算される。
工程S5では、図1に示されるように、物理量入力部15Eに記憶されている各転動条件の条件別摩耗性能(本実施形態では、摩耗量)、及び、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、工程S5では、予測摩耗性能を計算するための摩耗性能計算部16Hが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、摩耗性能計算部16Hが、演算部13Aによって実行される。
本実施形態の工程S6では、各縦陸部10a〜10eについて、各転動条件の条件別摩耗性能(本実施形態では、摩耗量)が、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdで重み付けされる。これにより、縦陸部10a〜10e毎に、予測摩耗性能(摩耗量)が計算されうる。このような予測摩耗性能は、タイヤ2の走行履歴を考慮から取得された各転動条件の発生頻度Ca〜Cdに基づいて計算されるため、予測摩耗性能(摩耗量)を、タイヤ2の実摩耗量により精度よく近似させることができる。各縦陸部10a〜10eの予測摩耗性能は、物理量入力部15Eに記憶される。
条件別摩耗性能(本実施形態では、摩耗量)は、タイヤモデル21の各縦陸部モデル23a〜23eの全要素F(i)の各節点25を対象に計算された平均摩耗エネルギーに基づいて計算されている。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、例えば、トレッド部21aの任意の位置での摩耗エネルギーに基づいて、摩耗量が予測されていた従来の方法に比べて、タイヤ2の実摩耗量に、予測摩耗性能(摩耗量)を精度よく近似させうる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤ2のトレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)の予測摩耗性能が、許容範囲内か否かが判断される(工程S7)。工程S7では、トレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)の予測摩耗性能が、許容範囲内であると判断された場合(工程S7で「Y」)、タイヤモデル21に基づいて、タイヤ2が製造される(工程S8)。一方、トレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)の予測摩耗性能が、許容範囲外であると判断された場合は(工程S7で「N」)、タイヤ2の設計因子が変更され(工程S9)、工程S1〜工程S7が再度実行される。このように、本実施形態のシミュレーション方法では、耐摩耗性能が良好なタイヤ2が確実に設計されうる。
本実施形態の発生頻度計算工程S5では、一本のタイヤ2の実摩耗量に基づいて、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが取得されるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、複数のタイヤ2の実摩耗量に基づいて、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが取得されてもよい。
このような場合、先ず、各タイヤ2について、発生頻度Ca〜Cdで重み付けされた平均摩耗エネルギーE1〜E6(上記式(1)〜(6)に示す)と、実摩耗量とに基づく重回帰分析が実施されることにより、各タイヤの発生頻度Ca〜Cdを特定する。そして、各タイヤ2の発生頻度Ca〜Cdが平均されることにより、一つの発生頻度Ca〜Cdが特定される。
このような発生頻度計算工程S5では、複数のタイヤ2の走行履歴(実摩耗量)に基づいて、各発生頻度Ca〜Cdが特定されるため、各タイヤ2の走行履歴の偏りを無くした予測摩耗量が求められうる。例えば、タイヤ2が使用される仕向地において、各発生頻度Ca〜Cdが精度よく特定されうるため、仕向地でのタイヤの実摩耗量、予測摩耗量を精度よく近似させうる。
これまでの実施形態の発生頻度計算工程S5では、タイヤ2のトレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)の実摩耗量に基づいて、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが計算されるものが例示されたが、これに限定されるものではない。例えば、タイヤ2を走行させて取得される加速度の発生度数に基づいて、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが求められてもよい。図15は、本発明の他の実施形態の発生頻度計算工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この実施形態の発生頻度計算工程S5では、先ず、タイヤ2を走行させて、左右の加速度(左右G)及び前後の加速度(前後G)の発生度数が取得される(工程S61)。工程S61では、タイヤ2を実際の車両に装着して、例えば、高速道路、山岳路、及び、一般道を含む経路を走行させる。そして、全経路において、左右の加速度及び前後の加速度の発生度数が取得される。このような加速度の発生度数は、車両に取り付けられた加速度センサー(図示省略)によって測定されうる。図16は、左右の加速度の発生度数を示すグラフである。図17は、前後の加速度の発生度数を示すグラフである。このような左右の加速度及び前後の加速度の発生度数は、物理量入力部15Eに記憶される。
次に、この実施形態の発生頻度計算工程S5では、左右の加速度及び前後の加速度の発生度数に基づいて、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが取得される(工程S62)。工程S62では、先ず、左右の加速度が、予め定められた加速度以上のものが旋回として特定され、予め定められた加速度未満のものが直進(自由転動、制動、又は、駆動)として特定されている。さらに、前後の加速度が、予め定められた加速度以上のものが制動又は駆動として特定され、予め定められた加速度未満のものが自由転動又は旋回として特定されている。そして、左右の加速度及び前後の加速度の発生度数に基づいて、各転動条件の発生頻度Ca〜Cd(例えば、百分率)が特定される。
このように、この実施形態の発生頻度計算工程S5では、前実施形態のように、トレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)の実摩耗量と、タイヤモデル21のトレッド小領域30(各縦陸部モデル23a〜23e)の平均摩耗エネルギーとに基づく重回帰分析が実施されることなく、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが求められうるため、計算時間が短縮されうる。
旋回の判断基準となる左右の加速度や、制動又は駆動の判断基準となる前後の加速度については、車両の特性等に基づいて、適宜定められうる。本実施形態では、0.1Gを基準として判断されている。なお、この実施形態で特定された各転動条件の発生頻度は、次のとおりである。
自由転動の発生頻度Ca:48%
制動の発生頻度Cb:12%
駆動の発生頻度Cc:12%
旋回の発生頻度Cd:28%
これまでの実施形態の摩耗量計算工程S6では、図14に示したように、ゴム材料の摩耗エネルギーEaの変化(例えば、増加)により、ゴム材料の摩耗量Laが線形に変化(例えば、増加)するゴム材料の摩耗指数Riが取得される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。
従来、摩耗エネルギーEaが少しでも生じると、ゴム材料が摩耗すると考えられていた。ところが、発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、一定の摩耗エネルギーEaを超えた後にゴム材料の摩耗が始まることを知見した。このような知見に基づいて、ゴム材料の摩耗エネルギーEaの変化(例えば、増加)により、ゴム材料の摩耗量Laが非線形に変化(例えば、増加)する摩耗指数Riが取得されるのが望ましい。図18は、本発明の他の実施形態の摩耗指数Riの一例を示すグラフである。
この実施形態の摩耗指数Riでは、ゴム材料の摩耗量Laがゼロのときに、摩耗エネルギーEaの切片Snを有している。この摩耗指数Riでは、切片Sn以下の摩耗エネルギーEaにおいて、ゴム材料が摩耗しないことを示している。このような摩耗指数Riが用いられることにより、トレッド小領域18(各縦陸部10a〜10e)の予測摩耗量が、精度よく求められうる。ゴム材料の摩耗指数Riは、各縦陸部10a〜10eについて求められうる。
非線形の摩耗指数Riを求めるには、先ず、ゴム材料の摩耗が開始する摩耗エネルギーが予め求められる。そして、ゴム材料の摩耗量La、ゴム材料の摩耗エネルギーEa、及び、切片Snがグラフにプロットされることによって求められうる。
また、非線形の摩耗指数Riは、ゴム材料の摩耗エネルギーEaの変化(例えば、増加)より、ゴム材料の摩耗量Laが非線形に変化(例えば、増加)するものであれば、切片Snを有しても、また、切片Snを有しなくてもよい。例えば、ゴム材料の摩耗エネルギーEaの増加により、ゴム材料の摩耗量Laが漸増する曲線によって表されてもよい。このような非線形の摩耗指数Riは、実際のゴム材料の摩耗に近似しうるものである。なお、このような非線形の摩耗指数Riは、複数の摩耗エネルギーEaに対応する摩耗量Laが、グラフにプロットされることによって、容易に求められうる。
このような非線形の摩耗指数Riは、図12に示した発生頻度計算工程S5の工程S52において、タイヤ2のトレッド小領域18の実摩耗量と、タイヤモデル21のトレッド小領域30の平均摩耗エネルギーとに基づく重回帰分析に用いられてもよい。この実施形態では、上記式(1)〜(6)に代えて、上記式(1)〜(6)を非線形の摩耗指数Riで乗じた下記式(1)’〜(6)’が用いられる。
H1=Ca×E1a×Ri+Cb×E1b×Ri+Cc×E1c×Ri+Cd×E1d×Ri…(1)’
H2=Ca×E2a×Ri+Cb×E2b×Ri+Cc×E2c×Ri+Cd×E2d×Ri…(2)’
H3=Ca×E3a×Ri+Cb×E3b×Ri+Cc×E3c×Ri+Cd×E3d×Ri…(3)’
H4=Ca×E4a×Ri+Cb×E4b×Ri+Cc×E4c×Ri+Cd×E4d×Ri…(4)’
H5=Ca×E5a×Ri+Cb×E5b×Ri+Cc×E5c×Ri+Cd×E5d×Ri…(5)’
H6=Ca×E6a×Ri+Cb×E6b×Ri+Cc×E6c×Ri+Cd×E6d×Ri…(6)’
下記式(1)’〜(6)’は、各第周方向溝モデル22a〜22d、及び、各トレッド接地端21ta、21tbの摩耗量H1〜H6を示している。このような下記式(1)’〜(6)’、各周方向溝9a〜9dの実摩耗量、及び、各トレッド接地端2ta、2tbの実摩耗量に基づいて、重回帰分析されることにより、発生頻度Ca〜Cdが特定される。
これにより、各第周方向溝モデル22a〜22d、及び、各トレッド接地端21ta、21tbの摩耗量H1〜H6が、非線形の摩耗指数Riに基づいて計算されるため、各周方向溝9a〜9dの実摩耗量、及び、各トレッド接地端2ta、2tbの実摩耗量と重回帰分析されることにより、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが精度よく計算されうる。この場合、工程S52に先立ち、非線形の摩耗指数Riを計算する工程(図示省略)が含まれるのが望ましい。
これまでの実施形態では、周方向溝9で区分された複数の縦陸部10が、トレッド小領域18として設定される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、周方向溝を有さないスリックタイヤや、タイヤ軸方向にのびるラグ溝を有するタイヤにおいて、トレッド部2aが仮想区分されることにより、トレッド小領域18が定義されてもよい。この場合、トレッド小領域18は、例えば、タイヤ軸方向に1個〜10個設定されるのが望ましい。
このような実施形態のタイヤは、これまでの実施形態のタイヤ2のような周方向溝9a〜9dが設けられていない。このため、発生頻度計算工程S5では、各周方向溝9a〜9dの実摩耗量と、周方向溝モデル22a〜22dの平均摩耗エネルギーとの重回帰分析によって、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdを計算することができない。
そこで、この実施形態の発生頻度計算工程S5では、先ず、タイヤの各トレッド小領域18の実摩耗量の平均値が求められる。そして、各トレッド小領域18の実摩耗量の平均値と、各縦陸部モデル23a〜23eの平均摩耗エネルギーとに基づいて、重回帰分析が行われることにより、各転動条件の発生頻度Ca〜Cdが計算されうる。なお、各トレッド小領域18の実摩耗量の平均値は、タイヤ軸方向、及び、タイヤ周方向の複数の箇所において、各トレッド小領域18の実摩耗量が測定され、トレッド小領域18毎に平均されることによって求められうる。また、実摩耗量は、摩耗前の各トレッド小領域18のトレッドゴムの厚さから、摩耗後の各トレッド小領域18のトレッドゴムの厚さが減じられることによって容易に求められうる。なお、各トレッド小領域18のトレッドゴムの厚さの測定には、例えば、レーザー寸法測定器等が用いられる。
これまでの実施形態では、自由転動、制動、駆動及び旋回の各転動条件に基づいて、トレッド小領域30の平均摩耗エネルギーが計算される態様が示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、自由転動、制動、駆動、及び旋回のうち、少なくとも2つ以上の転動条件において、平均摩耗エネルギーが計算されれば、トレッド小領域30の予測摩耗性能を計算することができる。例えば、車両の走行履歴が直進走行の制動及び駆動みである場合、制動時及び駆動時の平均摩耗エネルギー、条件別摩耗性能、及び発生頻度が計算される。これにより、トレッド小領域30の予測摩耗性能を計算することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図4、図8、図10及び図12に示す処理手順に従って、複数のタイヤのトレッド小領域の摩耗量が予測された(実施例1及び実施例2)。実施例1及び実施例2では、各トレッド小領域の全ての節点において計算されたせん断力及びすべり量に基づいて、各転動条件(自由転動、制動、駆動、及び、旋回)の平均摩耗エネルギーが計算された。なお、タイヤモデルには、実際のタイヤと路面との摩擦係数が予め設定された。
次に、実施例1及び実施例2では、ランボーン摩耗試験機で測定された摩耗量及び摩耗エネルギーに基づいて、ゴム材料の摩耗量と、ゴム材料の摩耗エネルギーとの関係を示す摩耗指数が取得された。そして、摩耗指数と平均摩耗エネルギーとが乗じられることにより、転動条件毎に、各縦陸部の条件別摩耗性能(本実施形態では、摩耗量)が計算された。
次に、実施例1及び実施例2の発生頻度計算工程では、下記の条件で走行させたタイヤのトレッド小領域(各縦陸部)の実摩耗量を測定し、実摩耗量とトレッド小領域(縦陸部モデル)の平均摩耗エネルギーとに基づく重回帰分析が行われた。この重回帰分析により、各転動条件の発生頻度が求められた。そして、条件別摩耗性能が発生頻度で重み付けされることにより、各縦陸部の予測摩耗性能(本実施形態では、摩耗量)が取得された。
なお、実施例1の摩耗指数は、図13に示されるように、ゴム材料の摩耗エネルギーの変化(例えば、増加)により、ゴム材料の摩耗量が線形に変化(例えば、増加)している。実施例1の予測摩耗量と実摩耗量との関係を示すグラフが、図19に示されている。他方、実施例の摩耗指数は、図18に示されるように、ゴム材料の摩耗エネルギーの増加により、ゴム材料の摩耗量が非線形に増加している。実施例2の予測摩耗量と実摩耗量との関係を示すグラフが、図20に示されている。
比較のために、上記特許文献1に記載された方法に従って、複数のタイヤの摩耗エネルギーが求められた(比較例)。比較例では、タイヤを転動させる接地台として、ガラス板が用いられた。また、比較例のタイヤの摩耗エネルギーは、タイヤのトレッド部の任意の位置において測定された。そして、タイヤの摩耗エネルギーに基づいて、複数のタイヤの各縦陸部の摩耗量が予測された。比較例の予測摩耗量と実摩耗量との関係は、図19及び図20にそれぞれ示されている。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:215/60 R16
リムサイズ:16×6.5
発生頻度計算工程:
車両の走行履歴(距離):20000km(直進主体のコース)
車両:排気量2500ccの国産FF車
荷重:3920N
内圧:240kPa
テストの結果、実施例1、実施例2及び比較例の相関係数は、以下のとおりであった。実施例1及び実施例2では、比較例に比べて、タイヤの実摩耗量との相関が高かった。従って、実施例1及び実施例2は、比較例に比べて、タイヤの摩耗量を正確に予測することができた。
実施例1の相関係数:0.76
実施例2の相関係数:0.80
比較例の相関係数:0.01
さらに、実施例2は、実施例1よりも、タイヤの実摩耗量との相関が高かった。これは、実施例2の摩耗指数Riが、実施例1の摩耗指数Riに比べて、現実のゴム材料の摩耗量と、摩耗エネルギーとの関係を示しているためと考えられる。従って、実施例2は、実施例1に比べて、タイヤの摩耗量を正確に予測できた。