以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、代表的な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
さらに、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見やすくするためにハッチングを省略する場合もある。
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
初めに、本実施の形態1の半導体装置の構造を、図面を参照して説明する。図1は、実施の形態1の半導体装置の要部断面図である。
図1に示すように、本実施の形態1の半導体装置は、半導体基板としてのSOI基板1を備える。SOI基板1は、基体としての支持基板2と、支持基板2の主面としての上面2a上に形成された絶縁層すなわち埋め込み酸化膜であるBOX層3と、BOX層3上に形成された半導体層であるSOI層4と、を有する。
支持基板2は、例えば、単結晶シリコン(Si)基板である。BOX層3は、例えば、酸化シリコン(SiO2)膜であり、その膜厚は、例えば、4〜100nm程度である。また、SOI層4は、例えば、単結晶シリコン層であり、その膜厚は、例えば、4〜100nm程度である。
SOI基板1の主面としての上面1a、または、支持基板2の主面としての上面2aでは、素子分離領域6と、活性領域としての、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3と、が規定されている。メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3の各々は、素子分離領域6により区画された領域である。
素子分離領域6では、SOI基板1の主面としての上面1aに、SOI層4およびBOX層3を貫通し、底面が支持基板2の厚みの途中に位置するように、素子分離溝7が形成されている。そして、素子分離溝7に、素子分離膜8が埋め込まれている。素子分離膜8は、好ましくは酸化シリコン膜からなる。素子分離領域6における素子分離膜8は、後述するように、STI(Shallow Trench Isolation)法により形成することができる。
すなわち、本実施の形態1の半導体装置は、SOI基板1の主面としての上面1aの一部の領域、または、支持基板2の主面としての上面2aの一部の領域として、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3を有する。
メモリセル領域AR1には、アンチヒューズ素子AF、および、電界効果トランジスタとしての選択トランジスタSTが形成されている。アンチヒューズ素子AFと、選択トランジスタSTとにより、記憶素子としてのメモリセルMCが形成されている。周辺回路領域AR2には、電界効果トランジスタとしてのMISFETQLが形成されている。周辺回路領域AR3には、電界効果トランジスタとしてのMISFETQHが形成されている。
したがって、本実施の形態1の半導体装置は、SOI基板1と、SOI基板1に形成されたアンチヒューズ素子AFと、SOI基板1に形成された選択トランジスタSTと、SOI基板1に形成されたMISFETQLおよびQHと、を有する。すなわち、本実施の形態1の半導体装置では、消費電力を低くするために、メモリセル領域AR1で、SOI基板1上に形成されたアンチヒューズ素子AFおよび選択トランジスタSTによりメモリセルが形成され、周辺回路領域AR2で、SOI基板1上に形成されたMISFETQLにより周辺回路が形成される。
ここで、周辺回路とは、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、制御回路、センスアンプ、カラムデコーダ、ロウデコーダ、入出力回路などである。周辺回路領域AR2に形成されたMISFETQL、および、周辺回路領域AR3に形成されたMISFETQHは、周辺回路用のMISFETである。
周辺回路領域AR2は低圧系MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)領域であり、周辺回路領域AR3は、高圧系MIS領域である。したがって、周辺回路領域AR2に形成されるMISFETQLは、低耐圧のMISFETであり、周辺回路領域AR3に形成されるMISFETQHは、高耐圧のMISFETである。周辺回路領域が、低圧系MIS領域と、高圧系MIS領域と、を含むことにより、各種の回路を形成することができる。
なお、図1においては、理解を簡単にするために、メモリセル領域AR1と周辺回路領域AR2とが互いに隣り合い、周辺回路領域AR2と周辺回路領域AR3とが互いに隣り合うように示しているが、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3の実際の位置関係は、必要に応じて変更することができる。また、メモリセル領域AR1と周辺回路領域AR2との間には、メモリセル領域AR1の外部の領域としての領域AR4が設けられていてもよく、周辺回路領域AR2と周辺回路領域AR3との間には、周辺回路領域AR2の外部の領域としての領域AR5が設けられていてもよい。
以下では、選択トランジスタSTならびにMISFETQLおよびQHの各々として、nチャネル型のMISFETが形成され、アンチヒューズ素子AFとして、nチャネル型MISFETにおける一方の側のソース・ドレイン領域が形成されない場合を例示して説明する。しかし、選択トランジスタSTならびにMISFETQLおよびQHの各々として、pチャネル型のMISFETが形成されてもよく、アンチヒューズ素子AFとして、pチャネル型MISFETにおける一方の側のソース・ドレイン領域が形成されなくてもよい。すなわち、各半導体素子における各半導体領域における導電型が、p型とn型との間で、一括して反対の導電型に代えられてもよい。
なお、「p型」とは、主要な電荷担体すなわちキャリアが正孔すなわちホールである導電型を意味する。また、「n型」とは、主要な電荷担体すなわちキャリアが電子であり、p型とは反対の導電型を意味する。
メモリセル領域AR1において、支持基板2の主面としての上面2a側には、例えばホウ素(B)などのp型の不純物が導入された、p型の半導体領域であるp型ウェル領域PW1が形成されている。また、メモリセル領域AR1において、p型ウェル領域PW1上には、絶縁層であるBOX層3としてのBOX層3aが形成され、BOX層3a上には、半導体層であるSOI層4としてのSOI層4aが形成されている。BOX層3は、例えば酸化シリコン膜からなり、SOI層4は、例えばシリコン単結晶からなる。
周辺回路領域AR2において、支持基板2の主面としての上面2a側には、例えばホウ素などのp型の不純物が導入された、p型の半導体領域であるp型ウェル領域PW2が形成されている。また、周辺回路領域AR2において、p型ウェル領域PW2上には、BOX層3としてのBOX層3bが形成され、BOX層3b上には、SOI層4としてのSOI層4bが形成されている。
周辺回路領域AR3において、支持基板2の主面としての上面2a側には、p型の半導体領域であるp型ウェル領域PW3が形成されている。また、周辺回路領域AR3において、p型ウェル領域PW3上のBOX層3およびSOI層4は、除去されている。
次に、メモリセル領域AR1に形成されたアンチヒューズ素子AFについて説明する。アンチヒューズ素子AFは、ゲート電極GE11、n+型半導体領域SD11およびn-型半導体領域EX11を有する。
ゲート電極GE11は、メモリセル領域AR1において、SOI層4a上に、ゲート絶縁膜GI11を介して形成されている。ゲート絶縁膜GI11は、絶縁膜IF1からなり、ゲート電極GE11は、導電膜CF1からなる。
絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコン膜または酸窒化シリコン(SiON)膜などの絶縁膜からなる。あるいは、絶縁膜IF1として、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、酸化アルミニウム(Al2O3)膜、酸化タンタル(Ta2O5)膜または酸化ランタン(La2O3)膜などの金属酸化物膜であるHigh−k膜(高誘電率膜)からなる絶縁膜を用いることができる。さらに、絶縁膜IF1として、酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜とHigh−k膜(高誘電率膜)との積層膜を用いることができる。
なお、高誘電率膜とは、例えば窒化シリコン(SiN)膜の誘電率よりも高い誘電率を有する絶縁膜を意味する。
導電膜CF1は、例えば多結晶シリコン膜などの半導体膜にn型の不純物が導入されて低抵抗率とされている導電膜(ドープトシリコン膜)からなる。このとき、ゲート電極GE11は、n型の不純物が導入された、n型の半導体膜からなる。
あるいは、導電膜CF1として、例えば、窒化チタン(TiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜、窒化タングステン(WN)膜、炭化チタン(TiC)膜、炭化タンタル(TaC)膜、炭化タングステン(WC)膜または窒化炭化タンタル(TaCN)膜などの金属膜からなる導電膜を用いることができる。さらに、導電膜CF1として、これらの金属膜とドープトシリコン膜との積層構造であるMIPS(Metal Inserted Poly-silicon Stack)構造を有する導電膜を用いることができる。
ゲート電極GE11の側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW11およびSW12が形成されている。
具体的には、ゲート電極GE11のゲート長方向における一方の側(図1中左側)の側面SS11上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW11が形成されている。また、ゲート電極GE11のゲート長方向における他方の側(図1中右側)の側面SS12上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW12が形成されている。サイドウォールスペーサSW11およびSW12の各々は、絶縁膜IF6からなる。
オフセットスペーサOF1は、例えば酸化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜、または、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜からなる。サイドウォールスペーサSW11およびSW12の各々に含まれる絶縁膜IF6は、例えば窒化シリコン膜からなる。
なお、ゲート電極GE11の側面SS11と、素子分離領域6とは、あまり離れていないため、サイドウォールスペーサSW11は、素子分離膜8上に形成されている。
サイドウォールスペーサSW12を挟んでゲート電極GE11と反対側に位置する部分のSOI層4a上には、例えば選択エピタキシャル成長により選択的に成長したシリコン層からなる、ソース・ドレイン領域としてのn+型半導体領域SD11が形成されている。n+型半導体領域SD11には、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
なお、n+型半導体領域SD11は、選択エピタキシャル成長によりSOI層4a上に形成されたシリコン層のみならず、シリコン層下に位置するSOI層4aの内部に形成されていてもよい。あるいは、シリコン層が形成されず、n+型半導体領域SD11が、サイドウォールスペーサSW11を挟んでゲート電極GE11と反対側に位置する部分のSOI層4aの内部に形成されていてもよい。
n+型半導体領域SD11とゲート電極GE11との間に位置する部分のSOI層4aの内部には、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX11が形成されている。すなわち、n-型半導体領域EX11は、ゲート電極GE11に対して、ゲート電極GE11のゲート長方向における一方の側(図1中左側)と反対側である他方の側(図1中右側)に位置する部分のSOI層4aの内部に形成されている。n-型半導体領域EX11には、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
n+型半導体領域SD11におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX11におけるn型の不純物の濃度よりも高い。これにより、n-型半導体領域EX11と、n+型半導体領域SD11とからなる、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有するソース・ドレイン領域を形成することができる。
なお、図1では図示を省略するが、ゲート電極GE11上に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術を用いて、コバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層などの金属シリサイド層を形成することもできる。
図1に示すように、ゲート電極GE11の側面SS11側には、ソース・ドレイン領域およびエクステンション領域が形成されていない。したがって、アンチヒューズ素子AFは、MISFETにおいて、ゲート電極を挟んで両側のうち、一方の側でソース・ドレイン領域およびエクステンション領域を形成しない、いわゆるハーフトランジスタである。
次に、メモリセル領域AR1に形成された選択トランジスタSTについて説明する。選択トランジスタSTは、ゲート電極GE12、n+型半導体領域SD11およびSD12、ならびに、n-型半導体領域EX12およびEX13を有する。したがって、アンチヒューズ素子AFと選択トランジスタSTとは、n+型半導体領域SD11を共有する。
ゲート電極GE12も、ゲート電極GE11と同様に、メモリセル領域AR1において、SOI層4a上に、ゲート絶縁膜GI12を介して形成されている。ゲート電極GE12は、n+型半導体領域SD11を挟んでゲート電極GE11と反対側に位置する部分のSOI層4a上に、ゲート絶縁膜GI12を介して形成されている。ゲート絶縁膜GI12は、絶縁膜IF1からなり、ゲート電極GE12は、導電膜CF1からなる。ゲート電極GE11と同様に、ゲート電極GE12は、n型の不純物が導入された、n型の半導体膜からなるものとすることができる。
ゲート絶縁膜GI12に含まれる絶縁膜IF1として、ゲート絶縁膜GI11に含まれる絶縁膜IF1と同様の絶縁膜を用いることができる。また、ゲート電極GE12に含まれる導電膜CF1として、ゲート電極GE11に含まれる導電膜CF1と同様の導電膜を用いることができる。
ゲート電極GE12の側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW13およびSW14が形成されている。
具体的には、ゲート電極GE12のゲート電極GE11側(図1中左側)の側面SS13上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW13が形成されている。また、ゲート電極GE12のゲート電極GE11側と反対側(図1中右側)の側面SS14上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW14が形成されている。サイドウォールスペーサSW13およびSW14の各々は、絶縁膜IF6からなる。
サイドウォールスペーサSW13およびSW14の各々に含まれる絶縁膜IF6として、サイドウォールスペーサSW11およびSW12の各々に含まれる絶縁膜IF6と同様の絶縁膜を用いることができる。
シリコン層からなるn+型半導体領域SD11は、サイドウォールスペーサSW13を挟んでゲート電極GE12と反対側に、形成されている。
サイドウォールスペーサSW14を挟んでゲート電極GE12と反対側に位置する部分のSOI層4a上には、選択エピタキシャル成長により選択的に成長したシリコン層からなる、ソース・ドレイン領域としてのn+型半導体領域SD12が形成されている。すなわち、n+型半導体領域SD12は、ゲート電極GE12を挟んでn+型半導体領域SD11と反対側に位置する部分のSOI層4aに形成されている。n+型半導体領域SD12にも、n+型半導体領域SD11と同様に、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
なお、n+型半導体領域SD12も、n+型半導体領域SD11と同様に、選択エピタキシャル成長によりSOI層4a上に形成されたシリコン層のみならず、シリコン層下に位置するSOI層4aの内部に形成されていてもよい。あるいは、シリコン層が形成されず、n+型半導体領域SD12が、サイドウォールスペーサSW14を挟んでゲート電極GE12と反対側に位置する部分のSOI層4aの内部に形成されていてもよい。
n+型半導体領域SD11とゲート電極GE12との間に位置する部分のSOI層4aの内部には、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX12が形成されている。すなわち、n-型半導体領域EX12は、ゲート電極GE12に対して、ゲート電極GE12のゲート長方向における一方の側(図1中左側)に位置する部分のSOI層4aの内部に形成されている。n-型半導体領域EX12には、n-型半導体領域EX11と同様に、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
また、n+型半導体領域SD12とゲート電極GE12との間に位置する部分のSOI層4aの内部には、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX13が形成されている。すなわち、n-型半導体領域EX13は、ゲート電極GE12に対して、ゲート電極GE12のゲート長方向における他方の側(図1中右側)に位置する部分のSOI層4aの内部に形成されている。n-型半導体領域EX13には、n-型半導体領域EX11と同様に、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
n+型半導体領域SD11におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX12におけるn型の不純物の濃度よりも高い。これにより、n-型半導体領域EX12と、n+型半導体領域SD11とからなる、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成することができる。
n+型半導体領域SD12におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX13におけるn型の不純物の濃度よりも高い。これにより、n-型半導体領域EX13と、n+型半導体領域SD12とからなる、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成することができる。
なお、図1では図示を省略するが、n+型半導体領域SD12上およびゲート電極GE12上に、サリサイド技術を用いて、コバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層などの金属シリサイド層を形成することもできる。
次に、周辺回路領域AR2に形成されたMISFETQLについて説明する。MISFETQLは、ゲート電極GE2、n+型半導体領域SD21およびSD22、ならびに、n-型半導体領域EX21およびEX22を有する。
ゲート電極GE2は、周辺回路領域AR2において、SOI層4b上に、ゲート絶縁膜GI2を介して形成されている。ゲート絶縁膜GI2は、絶縁膜IF1からなり、ゲート電極GE2は、導電膜CF1からなる。
ゲート絶縁膜GI2に含まれる絶縁膜IF1として、ゲート絶縁膜GI11に含まれる絶縁膜IF1と同様の絶縁膜を用いることができる。また、ゲート電極GE2に含まれる導電膜CF1として、ゲート電極GE11に含まれる導電膜CF1と同様の導電膜を用いることができる。そして、ゲート電極GE11と同様に、ゲート電極GE2は、n型の半導体膜からなるものとすることができる。
ゲート電極GE2の側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW21およびSW22が形成されている。
具体的には、ゲート電極GE2の一方の側(図1中左側)の側面SS21上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW21が形成されている。また、ゲート電極GE2の他方の側(図1中右側)の側面SS22上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW22が形成されている。サイドウォールスペーサSW21およびSW22の各々は、絶縁膜IF6からなる。
サイドウォールスペーサSW21およびSW22の各々に含まれる絶縁膜IF6として、サイドウォールスペーサSW11およびSW12の各々に含まれる絶縁膜IF6と同様の絶縁膜を用いることができる。
サイドウォールスペーサSW21を挟んでゲート電極GE2と反対側に位置する部分のSOI層4b上には、選択エピタキシャル成長により選択的に成長したシリコン層からなる、ソース・ドレイン領域としてのn+型半導体領域SD21が形成されている。また、サイドウォールスペーサSW22を挟んでゲート電極GE2と反対側に位置する部分のSOI層4b上には、選択エピタキシャル成長により選択的に成長したシリコン層からなる、ソース・ドレイン領域としてのn+型半導体領域SD22が形成されている。n+型半導体領域SD21およびSD22の各々には、n+型半導体領域SD11と同様に、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
なお、n+型半導体領域SD21およびSD22の各々は、n+型半導体領域SD11と同様に、選択エピタキシャル成長によりSOI層4b上に形成されたシリコン層のみならず、シリコン層下に位置するSOI層4bの内部に形成されていてもよい。あるいは、シリコン層が形成されず、n+型半導体領域SD21が、サイドウォールスペーサSW21を挟んでゲート電極GE2と反対側に位置する部分のSOI層4bの内部に形成されていてもよい。また、シリコン層が形成されず、n+型半導体領域SD22が、サイドウォールスペーサSW22を挟んでゲート電極GE2と反対側に位置する部分のSOI層4bの内部に形成されていてもよい。
n+型半導体領域SD21とゲート電極GE2との間に位置する部分のSOI層4bの内部には、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX21が形成されている。また、n+型半導体領域SD22とゲート電極GE2との間に位置する部分のSOI層4bの内部には、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX22が形成されている。n-型半導体領域EX21およびEX22の各々には、n-型半導体領域EX11と同様に、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
n+型半導体領域SD21におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX21におけるn型の不純物の濃度よりも高い。これにより、n-型半導体領域EX21と、n+型半導体領域SD21とからなる、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成することができる。
n+型半導体領域SD22におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX22におけるn型の不純物の濃度よりも高い。これにより、n-型半導体領域EX22と、n+型半導体領域SD22とからなる、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成することができる。
なお、図1では図示を省略するが、n+型半導体領域SD21およびSD22の各々の上、ならびに、ゲート電極GE2上に、サリサイド技術を用いて、コバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層などの金属シリサイド層を形成することもできる。
n-型半導体領域EX11、EX12、EX13、EX21およびEX22の各々におけるn型の不純物の濃度は、例えば2×1019cm-3程度以上であり、好ましくは1×1020cm-3程度以上である。また、n+型半導体領域SD11、SD12、SD21およびSD22の各々におけるn型の不純物の濃度は、例えば5×1020cm-3程度以上である。なお、p型ウェル領域PW1およびPW2の各々におけるp型の不純物の濃度は、例えば5×1017〜7×1018cm-3である。
次に、周辺回路領域AR3に形成されたMISFETQHについて説明する。MISFETQHは、ゲート電極GE3、n+型半導体領域SD31およびSD32、ならびに、n-型半導体領域EX31およびEX32を有する。
高耐圧のMISFETであるMISFETQHをnチャネル型のMISFETとする場合、周辺回路領域AR3において、支持基板2には、例えば周辺回路領域AR2におけるp型ウェル領域PW2よりもp型の不純物濃度が小さい高耐圧のp型ウェル領域PW3を形成することができる。
また、p型ウェル領域PW3の上層部、すなわちチャネル領域を形成する部分には、p型半導体領域VMGが形成されている。p型半導体領域VMGにおけるp型の不純物の濃度を調整することにより、MISFETQHの閾値電圧を調整することができる。
ゲート電極GE3は、周辺回路領域AR3において、p型ウェル領域PW3上、すなわちp型半導体領域VMG上に、ゲート絶縁膜GI3を介して形成されている。ゲート絶縁膜GI3は、絶縁膜IF2からなり、ゲート電極GE3は、導電膜CF1からなる。
ゲート絶縁膜GI3に含まれる絶縁膜IF2として、ゲート絶縁膜GI11に含まれる絶縁膜IF1と同様の絶縁膜を用いることができる。ただし、MISFETQHは高耐圧のMISFETであるため、絶縁膜IF2の厚さは、絶縁膜IF1の厚さよりも厚くすることができる。また、ゲート電極GE2に含まれる導電膜CF1として、ゲート電極GE11に含まれる導電膜CF1と同様の導電膜を用いることができる。
ゲート電極GE3の側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSW31およびSW32が形成されている。
具体的には、ゲート電極GE3の一方の側(図1中左側)の側面SS31上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW31が形成されている。また、ゲート電極GE3の他方の側(図1中右側)の側面SS32上には、オフセットスペーサOF1を介して、サイドウォールスペーサSW32が形成されている。サイドウォールスペーサSW31およびSW32の各々は、絶縁膜IF5からなる。
サイドウォールスペーサSW31およびSW32の各々に含まれる絶縁膜IF5として、サイドウォールスペーサSW11およびSS12の各々に含まれる絶縁膜IF6と同様の絶縁膜を用いることができる。
サイドウォールスペーサSW31を挟んでゲート電極GE3と反対側に位置する部分のp型ウェル領域PW3すなわちp型半導体領域VMGの内部には、ソース・ドレイン領域としてのn+型半導体領域SD31が形成されている。また、サイドウォールスペーサSW32を挟んでゲート電極GE3と反対側に位置する部分のp型ウェル領域PW3すなわちp型半導体領域VMGの内部には、ソース・ドレイン領域としてのn+型半導体領域SD32が形成されている。n+型半導体領域SD31およびSD32の各々には、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
n+型半導体領域SD31とゲート電極GE3との間に位置する部分のp型ウェル領域PW3すなわちp型半導体領域VMGの内部には、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX31が形成されている。また、n+型半導体領域SD32とゲート電極GE2との間に位置する部分のp型ウェル領域PW3すなわちp型半導体領域VMGの内部には、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX32が形成されている。n-型半導体領域EX31およびEX32の各々には、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物が導入されている。
n+型半導体領域SD31におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX31におけるn型の不純物の濃度よりも高い。これにより、n-型半導体領域EX31と、n+型半導体領域SD31とからなる、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成することができる。
n+型半導体領域SD32におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX32におけるn型の不純物の濃度よりも高い。これにより、n-型半導体領域EX32と、n+型半導体領域SD32とからなる、LDD構造を有するソース・ドレイン領域を形成することができる。
なお、図1では図示を省略するが、n+型半導体領域SD31およびSD32の各々の上、ならびに、ゲート電極GE3上に、サリサイド技術を用いて、コバルトシリサイド層またはニッケルシリサイド層などの金属シリサイド層を形成することもできる。
n-型半導体領域EX11は、平面視において、ゲート電極GE11のうち、ゲート長方向における側面SS11側の部分と重なっている。また、n-型半導体領域EX12は、平面視において、ゲート電極GE12のうち、ゲート長方向における側面SS13側の部分と重なっており、n-型半導体領域EX13は、平面視において、ゲート電極GE12のうち、ゲート長方向における側面SS14側の部分と重なっている。一方、n-型半導体領域EX21は、平面視において、ゲート電極GE2のうち、ゲート長方向における側面SS21側の部分と重なっており、n-型半導体領域EX22は、平面視において、ゲート電極GE2のうち、ゲート長方向における側面SS22側の部分と重なっている。
SOI基板1の上面1a全面上には、アンチヒューズ素子AF、選択トランジスタST、MISFETQLおよびMISFETQHを覆うように、層間絶縁膜10が形成されている。層間絶縁膜10は、例えば、酸化シリコン膜の単体膜、あるいは、窒化シリコン膜とそれよりも厚い酸化シリコン膜との積層膜などからなる。層間絶縁膜10の上面は、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3の各々の間で、その高さがほぼ一致するように、平坦化されている。
層間絶縁膜10にはコンタクトホールCNTが形成されており、コンタクトホールCNT内には、導電性のプラグPGが形成されている。メモリセル領域AR1では、コンタクトホールCNTおよびそれを埋め込むプラグPGは、n+型半導体領域SD12ならびにゲート電極GE11およびGE12の各々の上に形成されており、プラグPGは、n+型半導体領域SD12ならびにゲート電極GE11およびGE12の各々と電気的に接続されている。
周辺回路領域AR2では、コンタクトホールCNTおよびそれを埋め込むプラグPGは、n+型半導体領域SD21およびSD22ならびにゲート電極GE2の各々の上に形成されており、プラグPGは、n+型半導体領域SD21およびSD22ならびにゲート電極GE2の各々と電気的に接続されている。周辺回路領域AR3では、コンタクトホールCNTおよびそれを埋め込むプラグPGは、n+型半導体領域SD31およびSD32ならびにゲート電極GE3の各々の上に形成されており、プラグPGは、n+型半導体領域SD31およびSD32ならびにゲート電極GE3の各々と電気的に接続されている。
なお、図1では、ゲート電極GE11、GE12、GE2およびGE3の各々の上のコンタクトホールCNTおよびプラグPGの図示を省略する。
プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜10上には、例えば銅(Cu)を主導電材料とする埋込配線としてのダマシン配線として、第1層目の配線が形成されており、その第1層目の配線上には、ダマシン配線として、上層の配線も形成されているが、ここではその図示および説明は省略する。また、第1層目の配線およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン(W)配線またはアルミニウム(Al)配線などとすることもできる。
<メモリセルの動作>
次に、本実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルの動作を説明する。図2は、実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルの等価回路図である。図3は、読み出し動作および書き込み動作の際の各部位への電圧の印加条件の一例を示す表である。
図3の表には、読み出し動作および書き込み動作の各々において、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11に印加される電位Vml、選択トランジスタSTのn+型半導体領域SD12に印加される電位Vbl、および、選択トランジスタSTのゲート電極GE12に印加される電位Vslが、記載されている。また、図3の表には、読み出し動作および書き込み動作の各々において、p型ウェル領域PW1に印加される電位Vsbが、記載されている。なお、図3の表に示したものは電圧の印加条件の好適な一例であり、これに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。
なお、本願明細書では、特に明記しない場合には、ある部位に印加される電圧を、その部位に印加される電位と接地電位との差と定義する。したがって、以下では、電圧に代え、電位で表記するが、特に明記しない場合には、電位は電圧に等しい。
図2に示すように、本実施の形態1の半導体装置は、メモリセルMCを複数個有する。複数のメモリセルMCの各々は、メモリセル領域AR1(図1参照)に形成され、アンチヒューズ素子AFと、選択トランジスタSTと、を有する。図1を用いて前述したように、アンチヒューズ素子AFは、例えばnチャネル型のハーフトランジスタからなり、選択トランジスタSTは、MISFETからなる。アンチヒューズ素子AFと選択トランジスタSTとは、例えばn+型半導体領域SD11を共有することにより、直列に接続されている。
図2に示すように、本実施の形態1の半導体装置は、複数のメモリ線MLと、複数の選択線SLと、複数のビット線BLと、基板バイアス線SBLと、を有する。複数のメモリ線MLは、メモリセル領域AR1に形成され、例えばX軸方向にそれぞれ延在し、かつ、X軸方向と交差、好適には直交するY軸方向に配列されている。複数の選択線SLは、メモリセル領域AR1に形成され、例えばY軸方向にそれぞれ延在し、かつ、X軸方向に配列されている。複数の選択線SLは、メモリセル領域AR1に形成され、例えばY軸方向にそれぞれ延在し、かつ、X軸方向に配列されている。複数のビット線BLは、メモリセル領域AR1に形成され、例えばY軸方向にそれぞれ延在し、かつ、X軸方向に配列されている。基板バイアス線SBLは、メモリセル領域AR1に形成され、例えばY軸方向に延在している。
複数のメモリ線MLと、複数のビット線BLとは、互いに交差しており、複数のメモリ線MLと複数のビット線BLとがそれぞれ交差する複数の交差部の各々に、メモリセルMCが形成されている。そのため、メモリセルMCは、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配列されている。
メモリセルMCに含まれるアンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11は、メモリ線MLに接続され、選択トランジスタSTのゲート電極GE12は、選択線SLに接続されている。そのため、X軸方向に配列された複数のメモリセルMCの各々にそれぞれ含まれる複数のゲート電極GE11の各々は、同一のメモリ線MLに接続されている。また、Y軸方向に配列された複数のメモリセルMCの各々にそれぞれ含まれる複数のゲート電極GE12の各々は、同一の選択線SLに接続されている。
メモリセルMCに含まれる選択トランジスタSTのソース・ドレイン領域のうち、当該メモリセルMCに含まれるアンチヒューズ素子AF側と反対側のソース・ドレイン領域であるn+型半導体領域SD12は、ビット線BLと接続されている。また、メモリセルMCに含まれるアンチヒューズ素子AFのソース・ドレイン領域のうち、当該メモリセルMCに含まれる選択トランジスタST側と反対側のソース・ドレイン領域は形成されていないため、アンチヒューズ素子AFの選択トランジスタST側と反対側は、どこにも接続されていない。
Y軸方向に配列された複数のメモリセルMCの各々にそれぞれ含まれる複数のn+型半導体領域SD12の各々は、同一のビット線BLに接続されている。また、図2に示す例では、あるビット線BLのX軸方向における両側に配置された2つのメモリセルMCの各々にそれぞれ含まれる2つのn+型半導体領域SD12の各々は、当該ビット線BLに接続されている。
複数のメモリセルMCの各々の下に位置する部分のp型ウェル領域PW1は、基板バイアス線SBLに接続されている。
図2に示すように、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配列された4個のメモリセルMCを、メモリセルMCA、MCB、MCCおよびMCDと称する。以下では、メモリセルMCからデータを読み出す読み出し動作として、メモリセルMCA、MCB、MCCおよびMCDのうち、メモリセルMCAのデータを読み出す読み出し動作について説明する。また、メモリセルMCにデータを書き込む書き込み動作として、メモリセルMCA、MCB、MCCおよびMCDのうち、メモリセルMCAにデータを書き込む書き込み動作について説明する。すなわち、図3に示すように、選択状態については、メモリセルMCAが選択状態にあり、メモリセルMCB、MCCおよびMCDの各々が非選択状態にある場合について説明する。
メモリセルMCAのデータを読み出す読み出し動作、および、メモリセルMCAにデータを書き込む書き込み動作のいずれの際にも、図3に示すように、メモリセルMCA、MCB、MCCおよびMCDの各々のn+型半導体領域SD12に印加される電位Vblを、0Vとする。すなわち、メモリセルMCA、MCB、MCCおよびMCDの各々のn+型半導体領域SD12の電位は、接地電位である。また、メモリセルMCAおよびMCCの各々のゲート電極GE12の各々に印加される電位Vslを、Vsl1とし、メモリセルMCBおよびMCDの各々のゲート電極GE12に印加される電位Vslを、Vsl2とする。電位Vsl1は、選択トランジスタSTの閾値電圧以上の電位であり、電位Vsl2は、選択トランジスタSTの閾値電圧未満の電位である。
これにより、選択されたメモリセルMCAに含まれる選択トランジスタSTのチャネル領域を十分に強く反転した反転層とし、選択トランジスタSTをオン状態にすることができる。そのため、当該選択トランジスタSTのn+型半導体領域SD12に接続するビット線BLの電位である0Vの電位Vblが、当該選択トランジスタSTと直列に接続されたアンチヒューズ素子AFが選択トランジスタSTと共有するn+型半導体領域SD11に印加される。すなわち、アンチヒューズ素子AFのn+型半導体領域SD11に0Vが印加され、アンチヒューズ素子AFのn+型半導体領域SD11の電位が接地電位に等しくなる。
なお、電位Vsl1は、周辺回路領域AR2における電源電圧と同等以上で、かつ、選択トランジスタSTのオン状態における耐圧以下の電位である。
まず、メモリセルMCAのデータを読み出す読み出し動作の際には、図3に示すように、メモリセルMCAおよびMCBの各々のゲート電極GE11に印加される電位Vmlを、電位VmlRとし、メモリセルMCCおよびMCDの各々のゲート電極GE11に印加される電位Vmlを、0Vとする。すなわち、メモリセルMCCおよびMCDの各々のゲート電極GE11の電位は、接地電位である。また、メモリセルMCA、MCB、MCCおよびMCDの各々の基板バイアスとしての電位Vsbを、0Vとする。電位VmlRは、周辺回路領域AR2における電源電圧と等しい。
メモリセルMCAに含まれるゲート絶縁膜GI11がブレークダウン、すなわち絶縁破壊する前は、メモリセルMCAに含まれるゲート電極GE11の電位VmlRとn+型半導体領域SD11の電位である0Vとの間の電位差に応じて、FN(Fowler-Nordheim)トンネルにより電流が流れる。
一方、メモリセルMCAにデータを書き込む書き込み動作の際には、図3に示すように、メモリセルMCAおよびMCBの各々のゲート電極GE11に印加される電位Vmlを、電位VmlPとする。すなわち、書き込み動作の際には、メモリセルMCAおよびMCBの各々のゲート電極GE11に印加される電位Vmlを、読み出し動作の際の電位VmlRから変更する。ここで、電位VmlPは、ゲート絶縁膜GI11を絶縁破壊するための電位である。ただし、消費電力の低減という観点からは、電位VmlPは、なるべく低い電位であることが望ましい。
また、メモリセルMCCおよびMCDの各々のゲート電極GE11に印加される電位Vmlを、0Vとする。すなわち、メモリセルMCCおよびMCDの各々のゲート電極GE11の電位は、接地電位である。また、メモリセルMCA、MCB、MCCおよびMCDの各々の基板バイアスとしての電位Vsbを、電位VsbPとする。
本実施の形態1では、電位VsbPは、電位VmlPと同極性の電位である。これにより、ホットキャリアがBOX層3a(図1参照)に注入されることを抑制することができる。
好適には、電位VsbPは、メモリセルMCAで電位Vsbが0Vである場合に比べ、アンチヒューズ素子AFのゲート絶縁膜GI11を絶縁破壊するための電圧すなわちゲート耐圧を増加させないような範囲の電位である。
また、好適には、電位Vsbは、非選択状態であるメモリセルMCB、MCCおよびMCDの各々にそれぞれ含まれる3個の選択トランジスタSTがいずれもオフ状態を維持できる電位、すなわちいずれの選択トランジスタSTにおけるチャネル領域にも反転層が形成されない電位である。
本実施の形態1では、書き込み動作の際には、図3に示すように、n+型半導体領域SD11の電位が0Vすなわち接地電位であり、かつ、選択トランジスタSTがオン状態で、ゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊されることにより、メモリセルMCAに含まれるゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11とが導通する。そのため、メモリセルMCAに含まれるゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11との間を流れる電流、すなわち読み出し電流が、書き込み動作の前後で、1桁程度、すなわち10倍程度増加する。この読み出し電流の増加の有無により、各メモリセルMCにおけるデータが“0”か“1”かを検出する。
すなわち、本実施の形態1では、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11と、n+型半導体領域SD11との間に高電圧が印加され、アンチヒューズ素子AFのゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊されることにより、メモリセルにデータが書き込まれる。
後述する図20を用いて説明するように、アンチヒューズ素子AFがnチャネル型のMISFETに類似した構造を有し、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に正極性の電位VmlPが印加される場合、チャネル領域に反転層が形成される一方で、ホットキャリアとしてのホットホールがBOX層3aに注入されるおそれがある。
このような場合、図3に示すように、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に、正極性の電位VmlPが印加され、かつ、ゲート電極GE11に印加される電位VmlPと同極性の電位VsbPが、p型ウェル領域PW1に印加される。すなわち、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に、正極性の電位VmlPが印加され、かつ、p型ウェル領域PW1に、正極性の電位VsbPが印加される。これにより、BOX層3aにホットキャリアとしてのホットホールが注入されることを防止または抑制することができる。
なお、電位VsbPは、電位VmlPよりも低いことが好ましい。これにより、電位VsbPが電位VmlPよりも高い場合に比べ、電位VmlPよりもさらに高い電位を供給する電源電圧を用意しなくても済むため、半導体装置の消費電力が増加することはない。
また、好適には、電位VsbPすなわち電圧VsbPは、BOX層3aの信頼性の観点でBOX層3aを介したFNトンネル電流が発生しない電圧以下、または、経時的絶縁破壊寿命(Time Dependent Dielectric Breakdown)が保証される電圧以下に設定する必要がある。
一方、周辺回路領域AR2では、ゲート電極GE2に、正極性の電位が印加され、かつ、p型ウェル領域PW2には、負極性の電位が印加される。そのため、p型ウェル領域PW2には、p型ウェル領域PW1に印加される電位VsbPと異なる電位が印加される。すなわち、本実施の形態1では、p型ウェル領域PW2に印加される電位と、書き込み動作の際にp型ウェル領域PW1に印加される電位VbsPとは、別々に制御される。
また、nチャネル型のMISFETに類似した構造を有するアンチヒューズ素子がバルク基板としての半導体基板に形成され、アンチヒューズ素子のゲート電極に印加される電位と同極性の電位が基板バイアスとして印加された場合、半導体基板に、ソース・ドレイン領域の電位である接地電位よりも高い電位が印加されることになる。そのため、ゲート電極に印加する電位と同極性の電位が基板バイアスとして印加された場合、アバランシェ降伏により、半導体基板からソース・ドレイン領域に向かって、付帯電流が流れるおそれがある。
一方、本実施の形態1では、nチャネル型のMISFETに類似した構造を有するアンチヒューズ素子AFがSOI基板1に形成されており、p型ウェル領域PW1と、n+型半導体領域SD11とは、接触しておらず、p型ウェル領域PW1とn+型半導体領域SD11との間にpn接合は介在しない。そのため、ゲート電極GE11に印加される電位VmlPと同極性であって、n+型半導体領域SD11の電位である接地電位よりも高い電位である電位VsbPがp型ウェル領域PW1に印加された場合でも、p型ウェル領域PW1からn+型半導体領域SD11に向かって、付帯電流が流れるおそれがない。
<半導体装置の製造工程>
次に、本実施の形態1の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。図4および図5は、実施の形態1の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図6〜図19は、実施の形態1の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
まず、図6に示すように、SOI基板1を用意する(図4のステップS1)。このステップS1では、基体としての支持基板2と、支持基板2の主面としての上面2a上に形成された絶縁層すなわち埋め込み酸化膜であるBOX層3と、BOX層3上に形成された半導体層であるSOI層4と、を有するSOI基板1を用意する。
支持基板2は、例えば、単結晶シリコン(Si)基板である。BOX層3は、例えば、酸化シリコン(SiO2)膜であり、その膜厚は、例えば、4〜100nm程度である。また、SOI層4は、例えば、単結晶シリコン層であり、その膜厚は、例えば、4〜100nm程度である。
次に、図6に示すように、素子分離膜8を形成する(図4のステップS2)。このステップS2では、SOI基板1の素子分離領域6において、STI法により素子分離膜8を形成する。
具体的には、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により、素子分離領域6で、SOI基板1の主面としての上面1aに、SOI層4およびBOX層3を貫通し、底面が支持基板2の厚みの途中に位置するように、素子分離溝7を形成する。次いで、素子分離溝7内を含めたSOI基板1上に、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法により、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜を形成する。その後、絶縁膜を化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法により研磨することなどにより、素子分離溝7に、絶縁膜からなる素子分離膜8を埋め込む。
このようにして素子分離膜8が形成された素子分離領域6により、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3が規定、すなわち画定される。また、メモリセル領域AR1と周辺回路領域AR2との間には、メモリセル領域AR1の外部の領域としての領域AR4が設けられてもよく、周辺回路領域AR2と周辺回路領域AR3との間には、周辺回路領域AR2の外部の領域としての領域AR5が設けられてもよい。
このとき、メモリセル領域AR1におけるBOX層3をBOX層3aとし、メモリセル領域AR1におけるSOI層4をSOI層4aとし、周辺回路領域AR2におけるBOX層3をBOX層3bとし、周辺回路領域AR2におけるSOI層4をSOI層4bとする。また、周辺回路領域AR3におけるBOX層3をBOX層3cとし、周辺回路領域AR3におけるSOI層4をSOI層4cとする。
なお、図6に示す例では、SOI層4上に、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜5が形成されている。
次に、図6および図7に示すように、p型ウェル領域PW1を形成する(図4のステップS3)。
このステップS3では、まず、図6に示すように、メモリセル領域AR1で、支持基板2の主面としての上面2a側に、例えばホウ素(B)などのp型の不純物が導入されたp型ウェル領域PW1を形成する。また、周辺回路領域AR2で、支持基板2の上面2a側に、例えばホウ素などのp型の不純物が導入されたp型ウェル領域PW2を形成する。
具体的には、例えばホウ素などのp型の不純物を支持基板2にイオン注入することにより、p型ウェル領域PW1およびPW2を形成する。なお、周辺回路領域AR2などでpチャネル型のMISFETなどを形成する場合には、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物を支持基板2にイオン注入することにより、n型ウェル領域を形成する。
さらに、周辺回路領域AR3で、例えばホウ素などのp型の不純物を支持基板2にイオン注入することにより、支持基板2の上面2a側に、p型の不純物が導入された高耐圧ウェル領域としてのp型ウェル領域PW3を形成する。例えば、p型ウェル領域PW3における不純物濃度を、p型ウェル領域PW2における不純物濃度よりも小さくすることで、高耐圧ウェル領域としてのp型ウェル領域PW3を形成することができる。
なお、周辺回路領域AR2などでpチャネル型のMISFETなどを形成する場合には、例えばリンまたはヒ素などのn型の不純物を支持基板2にイオン注入することにより、n型ウェル領域を形成する。
このステップS3では、次に、図7に示すように、フォトリソグラフィ技術、ならびに、ドライエッチングおよびウェットエッチングを用いて、周辺回路領域AR3で、SOI層4cおよびBOX層3c(図6参照)を除去する。
具体的には、まず、SOI基板1の上面1a全面上に、フォトレジスト膜(図示は省略)を塗布した後、露光、現像することで、フォトレジスト膜をパターニングする。次に、残されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜5、SOI層4およびBOX層3をエッチングし、周辺回路領域AR3で、フォトレジスト膜から露出した部分の絶縁膜5、SOI層4およびBOX層3を、選択的に除去する。このエッチングには、エッチング液としてフッ酸などを用いたウェットエッチングを用いることができる。
これにより、絶縁膜5、SOI層4およびBOX層3が除去された領域、すなわち周辺回路領域AR3では、支持基板2の上面2aが露出する。一方、メモリセル領域AR1および周辺回路領域AR2で、フォトレジスト膜に覆われた部分のSOI層4およびBOX層3は、除去されずに残存する。その後、フォトレジスト膜を除去する。
なお、ステップS3では、領域AR4およびAR5でも、SOI層4およびBOX層3が除去される。また、全ての領域で、絶縁膜5が除去される。
以上のようにして、ステップS1〜ステップS3を行うことにより、支持基板2と、p型ウェル領域PW1およびPW2と、BOX層3aおよび3bと、SOI層4aおよび4bと、を有するSOI基板1を用意する。BOX層3aは、p型ウェル領域PW1上に形成され、SOI層4aは、BOX層3a上に形成されている。BOX層3bは、p型ウェル領域PW2上に形成され、SOI層4bは、BOX層3b上に形成されている。そして、後の工程で、SOI基板1に、アンチヒューズ素子AF(図19参照)、選択トランジスタST(図19参照)、MISFETQL(図19参照)、および、MISFETQH(図19参照)を形成することになる。
なお、周辺回路領域AR3で、例えばホウ素などのp型の不純物を支持基板2にイオン注入することにより、p型ウェル領域PW3の上層部、すなわちチャネル領域を形成する部分に、p型半導体領域VMGを形成する。このイオン注入される不純物の種類、または、イオン注入の条件を調整することにより、MISFETQHの閾値電圧を調整することができる。
次に、図8に示すように、ゲート電極GE11およびハードマスク膜HM1を形成する(図4のステップS4)。
このステップS4では、まず、メモリセル領域AR1および周辺回路領域AR2で、SOI基板1の上面1a上に、例えば熱酸化法により、例えば酸化シリコン膜からなる、ゲート絶縁膜用の絶縁膜IF1を形成する。
あるいは、絶縁膜IF1として、酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF1を、CVD法により形成してもよく、酸化シリコン膜に3〜10%程度の窒素が窒素プラズマ法で導入された酸窒化シリコン(SiON)膜を形成してもよい。また、絶縁膜IF1として、例えばHigh−k膜(高誘電率膜)からなる絶縁膜、または、酸化シリコン膜もしくは酸窒化シリコン膜とHigh−k膜(高誘電率膜)との積層膜を形成してもよい。
なお、このとき、周辺回路領域AR3では、支持基板2の上面2a上に、絶縁膜IF2が形成される。絶縁膜IF2の膜厚を、絶縁膜IF1の膜厚よりも厚くすることができる。
次に、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3で、絶縁膜IF1上に、例えば多結晶シリコン膜などの半導体膜に不純物が導入されて低抵抗率とされている導電膜(ドープトシリコン膜)からなる、ゲート電極用の導電膜CF1を形成する。
次に、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3で、絶縁膜IF1およびIF2の各々の上に、例えばCVD法により、例えば窒化シリコン(SiN)膜からなる絶縁膜HM2を形成する。
次に、SOI基板1の上面1a全面上に、フォトレジスト膜(図示は省略)を塗布した後、露光、現像することで、フォトレジスト膜をパターニングする。その後、残されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとしたドライエッチングにより、絶縁膜HM2、導電膜CF1、ならびに、絶縁膜IF1およびIF2をエッチングする。
これにより、メモリセル領域AR1で、SOI層4a上に、絶縁膜IF1からなるゲート絶縁膜GI11を形成し、SOI層4a上に、導電膜CF1からなるゲート電極GE11を、ゲート絶縁膜GI11を介して形成し、ゲート電極GE11上に、絶縁膜HM2からなる保護膜としてのハードマスク膜HM1を形成する。また、メモリセル領域AR1で、SOI層4a上に、絶縁膜IF1からなるゲート絶縁膜GI12を形成し、SOI層4a上に、導電膜CF1からなるゲート電極GE12を、ゲート絶縁膜GI12を介して形成し、ゲート電極GE12上に、絶縁膜HM2からなる保護膜としてのハードマスク膜HM1を形成する。
一方、周辺回路領域AR2で、SOI層4b上に、絶縁膜IF1からなるゲート絶縁膜GI2を形成し、SOI層4b上に、導電膜CF1からなるゲート電極GE2を、ゲート絶縁膜GI2を介して形成し、ゲート電極GE2上に、絶縁膜HM2からなるハードマスク膜HM1を形成する。また、周辺回路領域AR3で、p型ウェル領域PW3すなわちp型半導体領域VMG上に、絶縁膜IF2からなるゲート絶縁膜GI3を形成し、SOI層4c上に、導電膜CF1からなるゲート電極GE3を、ゲート絶縁膜GI3を介して形成し、ゲート電極GE3上に、絶縁膜HM2からなるハードマスク膜HM1を形成する。その後、フォトレジスト膜は除去される。
なお、ゲート電極GE11の一方の側(図8中左側)の側面を、側面SS11とし、ゲート電極GE11の他方の側(図8中右側)の側面を、側面SS12とする。また、ゲート電極GE12のゲート電極GE11側(図8中左側)の側面を、側面SS13とし、ゲート電極GE12のゲート電極GE11側と反対側(図8中右側)の側面を、側面SS14とする。
一方、ゲート電極GE2の一方の側(図8中左側)の側面を、側面SS21とし、ゲート電極GE2の他方の側(図8中右側)の側面を、側面SS22とする。また、ゲート電極GE3の一方の側(図8中左側)の側面を、側面SS31とし、ゲート電極GE3の他方の側(図8中右側)の側面を、側面SS32とする。
次に、図9および図10に示すように、サイドウォールスペーサSF11およびSF12を形成する(図4のステップS5)。
このステップS5では、まず、図9に示すように、オフセットスペーサOF1を形成する。
具体的には、ゲート電極GE11、GE12、GE2およびGE3、ならびに、ゲート電極GE11、GE12、GE2およびGE3の各々の上に形成されたハードマスク膜HM1を覆うように、例えばCVD法により、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF3を形成する。そして、絶縁膜IF3を、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)法などにより異方性エッチングすることによってエッチバックする。
これにより、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE11の側面SS11上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成し、ゲート電極GE11の側面SS12上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成する。また、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE12の側面SS13上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成し、ゲート電極GE12の側面SS14上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成する。
一方、周辺回路領域AR2で、ゲート電極GE2の側面SS21上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成し、ゲート電極GE2の側面SS22上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成する。また、周辺回路領域AR3で、ゲート電極GE3の側面SS31上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成し、ゲート電極GE3の側面SS32上に残された部分の絶縁膜IF3からなるオフセットスペーサOF1を形成する。
このステップS5では、次に、図9に示すように、n-型半導体領域EX31およびEX32を形成する。
具体的には、図9に示すように、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜(レジスト膜)R1を形成する。そして、周辺回路領域AR3で、支持基板2の上面2a上に形成されたフォトレジスト膜R1を除去する。このとき、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R1が残される。
そして、フォトレジスト膜R1、および、ゲート電極GE3の上面に形成されたハードマスク膜HM1をマスクとして、p型ウェル領域PW3およびp型半導体領域VMGに、n型の不純物イオンIM1を注入する。これにより、ゲート電極GE3に対して側面SS31側に位置する部分のp型ウェル領域PW3の上層部に、n-型半導体領域EX31が形成される。また、ゲート電極GE3に対して側面SS32側に位置する部分のp型ウェル領域PW3の上層部に、n-型半導体領域EX32が形成される。その後、フォトレジスト膜R1は除去される。
このステップS5では、次に、図10に示すように、サイドウォールスペーサSF11およびSF12を形成する。
具体的には、ゲート電極GE11、GE12およびGE2の各々の上に形成されたハードマスク膜HM1、ならびに、ゲート電極GE11、GE12およびGE2の各々の側面上に形成されたオフセットスペーサOF1を覆うように、例えばCVD法により、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF4を形成する。そして、絶縁膜IF4をエッチバックする。
これにより、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE11の側面SS11上に、絶縁膜IF4からなるサイドウォールスペーサSF11を、オフセットスペーサOF1を介して形成し、ゲート電極GE11の側面SS12上に、絶縁膜IF4からなるサイドウォールスペーサSF12を、オフセットスペーサOF1を介して形成する。また、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE12の側面SS13上に、絶縁膜IF4からなるサイドウォールスペーサSF13を、オフセットスペーサOF1を介して形成し、ゲート電極GE11の側面SS14上に、絶縁膜IF4からなるサイドウォールスペーサSF14を、オフセットスペーサOF1を介して形成する。
また、周辺回路領域AR2で、ゲート電極GE2の側面SS21上に、絶縁膜IF4からなるサイドウォールスペーサSF21を、オフセットスペーサOF1を介して形成し、ゲート電極GE2の側面SS22上に、絶縁膜IF4からなるサイドウォールスペーサSF22を、オフセットスペーサOF1を介して形成する。
一方、周辺回路領域AR3では、ゲート電極GE3上に形成されたハードマスク膜HM1、および、ゲート電極GE3の側面上に形成されたオフセットスペーサOF1を覆うように、フォトレジスト膜R2が形成される。
次に、図11に示すように、シリコン層SL1を形成する(図4のステップS6)。このステップS6では、メモリセル領域AR1において、SOI層4a上に、選択エピタキシャル成長法により、シリコン層SL1およびSL2を形成し、周辺回路領域AR2において、SOI層4b上に、選択エピタキシャル成長法により、シリコン層SL3およびSL4を形成する。例えば、ジクロールシラン(SiH2Cl2)および塩化水素(HCl)ガスを用いた減圧CVD法によってシリコン層を堆積する。
この方法によれば、メモリセル領域AR1において、SOI層4aが露出した部分に堆積されるシリコン層は、SOI層4aの単結晶に倣ってエピタキシャル成長し、周辺回路領域AR2において、SOI層4bが露出した部分に堆積されるシリコン層は、SOI層4bの単結晶に倣ってエピタキシャル成長する。
そして、メモリセル領域AR1において、平面視でサイドウォールスペーサSF12を挟んでゲート電極GE11と反対側に位置し、かつ、平面視でサイドウォールスペーサSF13を挟んでゲート電極GE12と反対側に位置する部分のSOI層4a上に、シリコン層SL1が形成される。また、メモリセル領域AR1において、平面視でサイドウォールスペーサSF14を挟んでゲート電極GE12と反対側に位置する部分のSOI層4a上に、シリコン層SL2が形成される。
また、周辺回路領域AR2において、平面視でサイドウォールスペーサSF21を挟んでゲート電極GE2と反対側に位置する部分のSOI層4b上に、シリコン層SL3が形成される。また、周辺回路領域AR2において、平面視でサイドウォールスペーサSF22を挟んでゲート電極GE2と反対側に位置する部分のSOI層4b上に、シリコン層SL4が形成される。
なお、領域AR4では、シリコン層SL5が形成され、領域AR5では、シリコン層SL6が形成される。また、後述する図12以後では、シリコン層SL1およびSL2の各々と、SOI層4aとを、一体化して示し、シリコン層SL3およびSL4の各々と、SOI層4bとを、一体化して示す。
一方、周辺回路領域AR3では、ゲート電極GE3、ゲート電極GE3上に形成されたハードマスク膜HM1、および、ゲート電極GE3の側面上に形成されたオフセットスペーサOF1を覆うように、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜IFIが形成される。
次に、図12および図13に示すように、ハードマスク膜HM1ならびにサイドウォールスペーサSF11およびSF12を除去する(図5のステップS11)。
このステップS11では、まず、図12に示すように、メモリセル領域AR1において、例えば熱リン酸を用いたウェットエッチングまたはドライエッチングにより、例えば窒化シリコン膜からなる、ハードマスク膜HM1、ならびに、サイドウォールスペーサSF11、SF12、SF13およびSF14(図11参照)を、除去する。
このとき、周辺回路領域AR2において、ハードマスク膜HM1、ならびに、サイドウォールスペーサSF21およびSF22(図11参照)が、除去される。また、周辺回路領域AR3において、絶縁膜IFIおよびハードマスク膜HM1(図11参照)が、除去される。
このステップS11では、次に、図13に示すように、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R3を形成する。そして、周辺回路領域AR3で、支持基板2の上面2a上に形成されたフォトレジスト膜R3を除去する。このとき、メモリセル領域AR1および周辺回路領域AR2、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R3が残される。
次に、周辺回路領域AR3で、ゲート電極GE3、ならびに、ゲート電極GE3の側面SS31およびSS32の各々の上に形成されたオフセットスペーサOF1を覆うように、例えばCVD法により、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF5を形成する。そして、絶縁膜IF5をエッチバックする。
これにより、周辺回路領域AR3で、ゲート電極GE3の側面SS31上に、絶縁膜IF5からなるサイドウォールスペーサSW31を、オフセットスペーサOF1を介して形成し、ゲート電極GE3の側面SS32上に、絶縁膜IF5からなるサイドウォールスペーサSW32を、オフセットスペーサOF1を介して形成する。
次に、図14に示すように、n-型半導体領域EX11を形成する(図5のステップS12)。
具体的には、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R4を形成する。そして、メモリセル領域AR1および周辺回路領域AR2で、SOI基板1の上面1a上に形成されたフォトレジスト膜R4を除去する。このとき、周辺回路領域AR3ならびに領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R4が残される。
そして、フォトレジスト膜R4、ならびに、ゲート電極GE11、GE12およびGE2をマスクとして、SOI層4aおよび4bに、n型の不純物イオンIM2を注入する。
これにより、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE11とシリコン層SL1との間に位置する部分のSOI層4aの内部に、n-型半導体領域EX11が形成される。また、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE12とシリコン層SL1との間に位置する部分のSOI層4aの内部に、n-型半導体領域EX12が形成され、ゲート電極GE12とシリコン層SL2との間に位置する部分のSOI層4aの内部に、n-型半導体領域EX13が形成される。なお、シリコン層SL1の上層部にも、n-型半導体領域EX14が形成され、シリコン層SL2の上層部にも、n-型半導体領域EX15が形成される。
また、周辺回路領域AR2で、ゲート電極GE2とシリコン層SL3との間に位置する部分のSOI層4bの内部に、n-型半導体領域EX21が形成され、ゲート電極GE2とシリコン層SL4との間に位置する部分のSOI層4bの内部に、n-型半導体領域EX22が形成される。なお、シリコン層SL3の上層部にも、n-型半導体領域EX23が形成され、シリコン層SL4の上層部にも、n-型半導体領域EX24が形成される。
また、このとき、ゲート電極GE11、GE12およびGE2の各々にも、低濃度のn型の不純物イオンIM2が注入される。これにより、ゲート電極GE11の上層部に、n-型半導体領域NM1が形成され、ゲート電極GE12の上層部に、n-型半導体領域NM2が形成され、ゲート電極GE2の上層部に、n-型半導体領域NM3が形成される。その後、フォトレジスト膜R4は除去される。
次に、図15および図16に示すように、サイドウォールスペーサSW11およびSW12を形成する(図5のステップS13)。
このステップS13では、まず、図15に示すように、領域AR4およびAR5で、シリコン層SL5およびSL6に、低濃度のp型の不純物をイオン注入する。なお、図15では図示を省略するが、シリコン層SL5およびSL6に、低濃度のp型の不純物をイオン注入する際に、例えばpチャネル型のMISFETのp-型半導体領域を形成することができる。
具体的には、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R5を形成する。そして、領域AR4およびAR5で、シリコン層SL5およびSL6の各々の上に形成されたフォトレジスト膜R5を除去する。このとき、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3では、フォトレジスト膜R5が残される。
そして、フォトレジスト膜R5をマスクとして、シリコン層SL5およびSL6の各々に、低濃度のp型の不純物イオンIM3を注入する。
これにより、領域AR4で、シリコン層SL5の上層部に、n-型半導体領域NM4が形成される。また、領域AR5で、シリコン層SL6の上層部に、p-型半導体領域NM5が形成される。その後、フォトレジスト膜R5は、除去される。
このステップS13では、次に、図16に示すように、サイドウォールスペーサSW11およびSW12を形成する。
具体的には、ゲート電極GE11、GE12およびGE2、ならびに、ゲート電極GE11、GE12およびGE2の各々の側面上に形成されたオフセットスペーサOF1を覆うように、例えばCVD法により、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜IF6を形成する。そして、絶縁膜IF6をエッチバックする。
これにより、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE11の側面SS11上に、絶縁膜IF6からなるサイドウォールスペーサSW11を、オフセットスペーサOF1を介して形成し、ゲート電極GE11の側面SS12上に、絶縁膜IF6からなるサイドウォールスペーサSW12を、オフセットスペーサOF1を介して形成する。また、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE12の側面SS13上に、絶縁膜IF6からなるサイドウォールスペーサSW13を、オフセットスペーサOF1を介して形成し、ゲート電極GE12の側面SS14上に、絶縁膜IF6からなるサイドウォールスペーサSW14を、オフセットスペーサOF1を介して形成する。
一方、周辺回路領域AR3では、ゲート電極GE3、ならびに、ゲート電極GE3の側面上にオフセットスペーサOF1を介して形成されたサイドウォールスペーサSW31およびSW32を覆うように、フォトレジスト膜R6が形成される。
次に、図17〜図19に示すように、n+型半導体領域SD11およびSD12を形成する(図5のステップS14)。
このステップS14では、まず、図17に示すように、領域AR4およびAR5で、シリコン層SL5およびSL6に、高濃度のp型の不純物をイオン注入する。なお、図17では図示を省略するが、シリコン層SL5およびSL6に、高濃度のp型の不純物をイオン注入する際に、例えばpチャネル型のMISFETのp+型半導体領域を形成することができる。
具体的には、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R7を形成する。そして、領域AR4およびAR5で、シリコン層SL5およびSL6の各々の上に形成されたフォトレジスト膜R7を除去する。このとき、メモリセル領域AR1ならびに周辺回路領域AR2およびAR3では、フォトレジスト膜R7が残される。
そして、フォトレジスト膜R7をマスクとして、シリコン層SL5およびSL6の各々に、高濃度のp型の不純物イオンIM4を注入する。
これにより、領域AR4で、シリコン層SL5の内部に、p+型半導体領域NR4が形成される。また、領域AR5で、シリコン層SL6の内部に、p+型半導体領域NR5が形成される。その後、フォトレジスト膜R7は、除去される。
このステップS14では、次に、図18に示すように、n+型半導体領域SD31およびSD32を形成する。
具体的には、図18に示すように、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R8を形成する。そして、周辺回路領域AR3で、支持基板2の上面2a上に形成されたフォトレジスト膜R8を除去する。このとき、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R8が残される。
そして、フォトレジスト膜R8、および、ゲート電極GE3、および、ゲート電極GE3の側面上にオフセットスペーサOF1を介して形成されたサイドウォールスペーサSW31およびSW32をマスクとして、p型ウェル領域PW3に、高濃度のn型の不純物イオンIM5を注入する。これにより、サイドウォールスペーサSW31を挟んでゲート電極GE3と反対側に位置する部分のp型ウェル領域PW3に、n+型半導体領域SD31が形成される。また、サイドウォールスペーサSW32を挟んでゲート電極GE3と反対側に位置する部分のp型ウェル領域PW3に、n+型半導体領域SD32が形成される。その後、フォトレジスト膜R8は除去される。
なお、ステップS14では、周辺回路領域AR3において、ゲート電極GE3、n+型半導体領域SD31およびSD32、ならびに、n-型半導体領域EX31およびEX32を有するMISFETQHが形成される。
このステップS14では、次に、図19に示すように、n+型半導体領域SD11およびSD12を形成する。
具体的には、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R9を形成する。そして、メモリセル領域AR1および周辺回路領域AR2で、SOI基板1の上面1a上に形成されたフォトレジスト膜R9を除去する。このとき、周辺回路領域AR3、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R9が残される。
そして、ゲート電極GE11、GE12およびGE2、ならびに、サイドウォールスペーサSW11、SW12、SW13、SW14、SW21およびSW22をマスクとして、シリコン層SL1、SL2、SL3およびSL4(図18参照)、ならびに、SOI層4aおよび4bに、n型の不純物イオンIM6を注入する。
これにより、メモリセル領域AR1で、シリコン層SL1の内部、および、シリコン層SL1下に位置する部分のSOI層4aの内部に、n+型半導体領域SD11が形成される。また、メモリセル領域AR1で、シリコン層SL2の内部、および、シリコン層SL2下に位置する部分のSOI層4aの内部に、n+型半導体領域SD12が形成される。
また、周辺回路領域AR2で、シリコン層SL3の内部、および、シリコン層SL3下に位置する部分のSOI層4bの内部に、n+型半導体領域SD21が形成され、シリコン層SL4の内部、および、シリコン層SL4下に位置する部分のSOI層4bの内部に、n+型半導体領域SD22が形成される。
また、このとき、ゲート電極GE11、GE12およびGE2にも、高濃度のn型の不純物イオンIM6が注入される。これにより、ゲート電極GE11の内部に、n+型半導体領域NR1が形成され、ゲート電極GE12の内部に、n+型半導体領域NR2が形成され、ゲート電極GE2の内部に、n+型半導体領域NR3が形成される。その後、フォトレジスト膜R9は除去される。
以上のようにして、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE11、n+型半導体領域SD11、および、n-型半導体領域EX11を有するアンチヒューズ素子AFが形成される。また、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE12、n+型半導体領域SD11およびSD12、ならびに、n-型半導体領域EX12およびEX13を有する選択トランジスタSTが形成される。n+型半導体領域SD11およびSD12の各々におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX11、EX12およびEX13の各々におけるn型の不純物の濃度よりも高い。
一方、周辺回路領域AR2において、ゲート電極GE2、n+型半導体領域SD21およびSD22、ならびに、n-型半導体領域EX21およびEX22を有するMISFETQLが形成される。n+型半導体領域SD21およびSD22の各々におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX21およびEX22の各々におけるn型の不純物の濃度よりも高い。
なお、各ソース・ドレイン領域および各ゲート電極に不純物をイオン注入により導入した後、導入された不純物を活性化するためのアニール処理を行ってもよい。
また、サリサイド技術により、ゲート電極GE11、GE12、GE2およびGE3、ならびに、n+型半導体領域SD12、SD21、SD22、SD31およびSD32の表面に、コバルトシリサイドまたはニッケルシリサイドなどからなる低抵抗の金属シリサイド層(図示は省略)を形成することもできる。この金属シリサイド層は、金属シリサイド層を形成する領域を覆うように、例えばコバルト(Co)膜またはニッケル(Ni)膜などの金属膜を堆積して熱処理することにより、形成することができ、その後、未反応の金属膜は除去される。
次に、図1に示すように、層間絶縁膜10およびプラグPGを形成する(図5のステップS15)。
このステップS15では、まず、SOI基板1の上面1a全面上に層間絶縁膜10を形成する。すなわち、アンチヒューズ素子AF、選択トランジスタST、ならびに、MISFETQLおよびQHを覆うように、SOI基板1の上面1a全面上に、層間絶縁膜10を形成する。層間絶縁膜10は、例えば、酸化シリコン膜の単体膜、または、窒化シリコン膜とそれよりも厚い酸化シリコン膜との積層膜などからなる。その後、層間絶縁膜10の上面をCMP法により研磨するなどして、層間絶縁膜10の上面を平坦化する。
次に、層間絶縁膜10上に形成され、パターニングされたフォトレジスト膜(図示は省略)をエッチングマスクとして用いて、層間絶縁膜10をドライエッチングすることにより、層間絶縁膜10にコンタクトホールCNTを形成する。コンタクトホールCNTの底部では、例えばn+型半導体領域SD12、SD21、SD22、SD31およびSD32などが露出する。なお、図1では図示を省略するが、コンタクトホールCNTの底部では、例えばゲート電極GE11、GE12、GE2およびGE3なども露出する。
次に、コンタクトホールCNT内に、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部を含む層間絶縁膜10上に、プラズマCVD法などによりバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜を、CVD法などによって、バリア導体膜上にコンタクトホールCNTを埋めるように形成し、層間絶縁膜10上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、プラグPGを形成することができる。
プラグPGは、その底部で、例えばn+型半導体領域SD12、SD21、SD22、SD31およびSD32などと接して、電気的に接続される。なお、図1では図示を省略するが、プラグPGは、その底部で、例えばゲート電極GE11、GE12、GE2およびGE3などとも接して、電気的に接続される。
その後、プラグPGが埋め込まれた層間絶縁膜10上には、例えば銅(Cu)を主導電材料とする埋込配線としてのダマシン配線として、第1層目の配線を形成し、その第1層目の配線上には、ダマシン配線として、上層の配線を形成するが、ここではその図示および説明は省略する。また、第1層目の配線およびそれよりも上層の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電膜をパターニングして形成することもでき、例えばタングステン(W)配線またはアルミニウム(Al)配線などとすることもできる。
<ホットキャリアのBOX層への注入について>
次に、ホットキャリアのBOX層への注入について、p型ウェル領域PW1に印加される電位が、0Vであるか、または、ゲート電極GE11に印加される電位と逆極性である例、すなわち比較例1と対比しながら説明する。
図20は、比較例1の半導体装置の書き込み動作の際のエネルギー分布を示すバンド図である。図20では、各層について、価電子帯の上端のエネルギーを、エネルギーEvと表記し、伝導帯の下端のエネルギーをエネルギーEcと表記している。
比較例1の半導体装置の構造は、実施の形態1の半導体装置の構造と同様であり、書き込み動作の際に、アンチヒューズ素子AF(図1参照)のゲート電極GE11と、n+型半導体領域SD11との間に高電圧を印加する。しかし、比較例1の半導体装置では、実施の形態1の半導体装置とは異なり、書き込み動作の際に、p型ウェル領域PW1に0Vの電位を印加する、すなわちp型ウェル領域PW1の電位が接地電位である。あるいは、比較例1の半導体装置では、実施の形態1の半導体装置とは異なり、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に印加される電位VmlPと逆極性の電位を、p型ウェル領域PW1に印加する。
比較例1の半導体装置でも、実施の形態1の半導体装置と同様に、アンチヒューズ素子AF(図1参照)のゲート電極GE11と、n+型半導体領域SD11(図1参照)との間に高電圧が印加され、アンチヒューズ素子AFのゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊されることにより、メモリセルにデータが書き込まれる。この書き込み動作において、アンチヒューズ素子AFのゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊されることにより、ゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11との間を流れる電流、すなわちゲートリーク電流としての読み出し電流は、書き込み動作の前後で、1桁程度、すなわち10倍程度増加する。
一旦絶縁破壊されたアンチヒューズ素子におけるゲート絶縁膜の絶縁性が回復し、読み出し電流が減少することはない。すなわち、あるアンチヒューズ素子におけるゲート絶縁膜の絶縁破壊は、一回限りのものである。そのため、当該アンチヒューズ素子により形成されるメモリセルの書き込みは、OTPと称され、アンチヒューズ素子からなるメモリ素子は、OTPメモリ素子と称され、ROM等に用いられる。
比較例1の半導体装置では、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に印加される電位は、チャネル領域に反転層が形成される際に、ゲート電極GE11に印加される電位と同極性である。
一方、比較例1の半導体装置でも、実施の形態1の半導体装置と同様に、アンチヒューズ素子AFは、バルク基板としての半導体基板にではなく、SOI基板1(図1参照)のSOI層4aに形成されている。すなわち、比較例1の半導体装置でも、実施の形態1と同様に、消費電力を低くするために、メモリセル領域AR1(図1参照)で、SOI基板1上に形成されたアンチヒューズ素子AFおよび選択トランジスタSTによりメモリセルが形成され、周辺回路領域AR2(図1参照)で、SOI基板1上に形成されたMISFETQLにより周辺回路が形成される。
しかし、前述したように、書込み動作の際に、ゲート電極GE11に印加される電位と逆極性の電位、または、0電位がp型ウェル領域PW1に印加される比較例1の半導体装置では、以下の問題点があることを、本発明者は、見出した。
比較例1の半導体装置では、書き込み動作の際に、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分のSOI層4a、すなわちチャネル領域に、キャリアの導電型が反転された反転層が形成され、反転層における電子ELが、矢印DA1に示すように、FNトンネルによりSOI層4aからゲート電極GE11に注入される。
一方、ゲート電極GE11では、書き込み動作に伴って、アンチヒューズ素子AFにおいてゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊される際に、ホットキャリアが発生する。比較例1の半導体装置におけるアンチヒューズ素子AFが、nチャネル型のMISFETと類似した構造を有し、ゲート電極GE11に正極性の電位VmlPが印加される場合には、ゲート電極GE11において、ホットキャリアとして、電子ELとホールHLとのペアPAのうち例えばホールHLからなるホットホールが発生する。そして、ゲート電極GE11で発生したホットホールは、SOI層4aに注入され、SOI層4a中で、矢印DA2に示すように、p型ウェル領域PW1に向かって加速される。
ここで、アンチヒューズ素子がバルク基板としての半導体基板に形成されている場合には、発生したホットキャリアとしてのホットホールは、容易に半導体基板の下面側に到達するので、各メモリセルの動作に影響は及ぼされない。
一方、アンチヒューズ素子AFがSOI基板1に形成されている比較例1の半導体装置では、SOI層4aとp型ウェル領域PW1との間にBOX層3aが配置されている。そのため、書き込み動作の際に、p型ウェル領域PW1に向かって加速されたホットホールが、BOX層3aに注入され、BOX層3aの膜質が劣化し、例えばBOX層3aの絶縁性が低下する。これにより、読み出し動作の際に、データが書き込まれたメモリセルにおける読み出し電流などが変動し、データが書き込まれたメモリセルのデータ信頼性が低下するおそれがある。
また、メモリセル領域AR1内では、複数のメモリセルMCの各々で、BOX層3aは共有される。したがって、BOX層3aの膜質が一部でも劣化し、BOX層3aの絶縁性が一部でも低下すると、データが書き込まれていないメモリセルにおける読み出し電流なども変動し、データが書き込まれていないメモリセルのデータ信頼性も低下するおそれがある。
具体的には、書き込み動作の際に、n+型半導体領域SD11に対するゲート電極GE11の電位すなわちゲート電圧の増加を増加させて、ゲート絶縁膜GI11を絶縁破壊したときに、その絶縁破壊と連動して、ゲート電極GE11からBOX層3aに流れ込む電流が観測された。また、ゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊された後、n+型半導体領域SD11に対するゲート電極GE11の電位すなわちゲート電圧の増加を再度増加させると、ゲート電圧が低い範囲でも、BOX層3aに流れ込む電流が観測された。
この、ゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊された後、ゲート電極GE11からBOX層3aに流れ込む電流の大きさは、BOX層3aの膜厚を考慮すると、FNトンネルにより流れたものと仮定した場合に予想される電流の大きさよりもはるかに大きい。そのため、ゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊された後、ゲート電極GE11からBOX層3aに流れ込む電流は、BOX層3aの膜質が劣化し、絶縁性が低下し、ゲート電極GE11からBOX層3aを介してp型ウェル領域PW1に流れる電流に起因する電流であると考えられる。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
一方、本実施の形態1の半導体装置では、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に印加される電位と同極性の電位を、p型ウェル領域PW1に印加する。
これにより、書き込み動作に伴って、アンチヒューズ素子AFにおいてゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊される際に、発生したホットキャリアとしてのホットホールが、p型ウェル領域PW1に向かって加速されない。そのため、書き込み動作の際に、ホットホールが、BOX層3aに注入されることを防止または抑制することができ、BOX層3aの膜質が劣化し、例えばBOX層3aの絶縁性が低下することを、防止または抑制することができる。したがって、読み出し動作の際に、メモリセルにおける読み出し電流などが変動することを防止または抑制し、メモリセルのデータ信頼性を向上させることができる。
また、書き込み動作の際に、p型ウェル領域PW1に印加される電位が高くなりすぎ、アンチヒューズ素子AFのチャネル領域の電位が高くなると、ゲート絶縁膜GI11直下の電位も高くなる。そのため、ゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊するときの電圧すなわちゲート耐圧が高くなるおそれがある。したがって、好適には、書き込み動作の際に、p型ウェル領域PW1に印加される電位VsbPは、メモリセルMCAで電位Vsbが0Vである場合に比べ、ゲート耐圧を増加させないような範囲である。
図21は、実施の形態1の半導体装置の書き込み動作の際の電位分布をデバイスシミュレーションで計算した図である。図21は、電位VsbPが負電圧、0Vおよび正電圧である場合における、アンチヒューズ素子AFおよびSOI基板1の厚さ方向における電位分布を、デバイスシミュレーションを行って求めた結果を模式的に示した図である。図21の横軸は、厚さ方向の位置を示し、図21の縦軸は、電位を示す。
図21に示すように、書き込み動作の際にp型ウェル領域PW1に印加される電位VsbPが増加するのに伴って、p型ウェル領域PW1内の電位も、上昇する。また、BOX層3a内の電位も、上昇する。さらに、図21の二点鎖線で囲んだ領域RG1に示すように、SOI層4aのBOX層3a側の部分内の電位も、上昇する。
しかし、書き込み動作の際にp型ウェル領域PW1に印加される電位VsbPがいずれの場合でも、SOI層4aのゲート絶縁膜GI11側の電位に変化はない。これは、書き込み動作の際にp型ウェル領域PW1に印加された電位VsbPの影響が、SOI層4aのうちゲート絶縁膜GI11側の部分に直接及ばない電圧範囲があることを示している。このように、書き込み動作の際に、p型ウェル領域PW1に印加される電位VsbPは、メモリセルMCAで電位Vsbが0Vである場合に比べ、ゲート耐圧を増加させないような範囲であることが好ましい。
なお、書き込み動作の際にp型ウェル領域PW1に印加される電位VsbPがゲート絶縁膜GI11直下の電位に影響を及ぼさない範囲で、実際にゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11との間にFNトンネルにより流れるゲートリーク電流のI−V特性を測定したところ、電位VsbPによらず差異が観察されなかった。このことからも、前述したように、p型ウェル領域PW1に印加された電位VsbPの影響が、SOI層4aのうちゲート絶縁膜GI11側の部分に直接及ばないことが明らかである。
また、書き込み動作の際に、アンチヒューズ素子AFに含まれるゲート電極GE11に印加される電位と同極性の電位であって、p型ウェル領域PW1に印加される電位が高くなると、選択トランジスタST下に位置する部分のp型ウェル領域PW1に、順バイアスすなわちフォワードバイアスが印加されることになる。そのため、選択トランジスタSTにおける閾値電圧が低下するおそれがある。したがって、好適には、書き込み動作の際に、p型ウェル領域PW1に印加される電位VsbPは、非選択状態であるメモリセルMCBおよびMCDの各々にそれぞれ含まれる選択トランジスタSTがいずれもオフ状態を維持できる電位である。すなわち、当該電位VsbPは、非選択状態であるメモリセルMCBおよびMCDの各々にそれぞれ含まれる選択トランジスタSTのいずれにおけるチャネル領域にも反転層が形成されない電位である。
(実施の形態2)
実施の形態1では、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11に含まれる導電膜CF1の導電型がn型である例について説明した。一方、実施の形態2では、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11に含まれる導電膜CF1の導電型がp型であるか、または、n型であっても、よりp型に近くなっている例について説明する。
<半導体装置の構造>
初めに、本実施の形態2の半導体装置の構造を、図面を参照して説明する。図22は、実施の形態2の半導体装置の要部断面図である。
本実施の形態2の半導体装置の構造は、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11に含まれる導電膜CF1のうち、少なくともゲート絶縁膜GI11と接触する部分PR11が、p型であるか、または、n型であってもよりp型に近くなっている点を除き、実施の形態1の半導体装置の構造と同様である。したがって、以下では、主として、実施の形態1の半導体装置の構造と異なる点について、説明する。
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11、および、選択トランジスタSTのゲート電極GE12は、いずれも導電膜CF1からなる。
一方、本実施の形態2では、導電膜CF1は、例えば多結晶シリコン膜などの半導体膜にp型の不純物が導入されて低抵抗率とされている導電膜(ドープトシリコン膜)からなる。すなわち、導電膜CF1の導電型は、p型である。
また、ゲート電極GE11の上層部PR12には、低濃度のn型の不純物が導入されたn-型半導体領域NM1が形成されているが、n-型半導体領域NM1が形成された部分以外の部分のゲート電極GE11には、n型の不純物が導入されておらず、p型の半導体膜としての導電膜CF1からなる。このとき、ゲート電極GE11は、全体としては、p型の半導体膜からなる。
あるいは、ゲート電極GE12の上層部PR14には、低濃度のn型の不純物が導入されたn-型半導体領域NM2が形成されているが、n-型半導体領域NM2が形成された部分以外の部分のゲート電極GE12には、n型の不純物が導入されておらず、p型の半導体膜としての導電膜CF1からなる。このとき、ゲート電極GE12は、全体としては、p型の半導体膜からなる。
したがって、ゲート電極GE11のうち、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分PR11は、p型の半導体膜としての導電膜CF1からなる。また、ゲート電極GE12のうち、ゲート絶縁膜GI12と接触する部分PR13は、p型の半導体膜としての導電膜CF1からなる。
あるいは、導電膜CF1は、例えば多結晶シリコン膜などの半導体膜に低濃度のn型の不純物が導入されて低抵抗率とされている導電膜(ドープトシリコン膜)からなるものであってもよい。すなわち、導電膜CF1の導電型がn型であってもよい。このとき、ゲート電極GE11およびGE12の各々は、n型の不純物が導入された、n型の半導体膜からなる。
MISFETQLのゲート電極GE2も、導電膜CF1からなるが、ゲート電極GE2に含まれる導電膜CF1には、上面から下面にかけて、全体にわたって、高濃度のn型の不純物が導入される。すなわち、ゲート電極GE2は、実施の形態1と同様に、高濃度のn型の不純物が導入された、高濃度のn型の半導体膜からなる。
したがって、導電膜CF1の導電型がn型であっても、n-型半導体領域NM1が形成された部分以外の部分のゲート電極GE11におけるn型の不純物の濃度は、ゲート電極GE2におけるn型の不純物の濃度よりも低い。また、導電膜CF1の導電型がn型であっても、n-型半導体領域NM2が形成された部分以外の部分のゲート電極GE12におけるn型の不純物の濃度は、ゲート電極GE2におけるn型の不純物の濃度よりも低い。
このような場合、ゲート電極GE11のうち、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分PR11におけるn型の不純物の濃度は、ゲート電極GE2のうち、ゲート絶縁膜GI2と接触する部分PR15におけるn型の不純物の濃度よりも低い。また、ゲート電極GE12のうち、ゲート絶縁膜GI12と接触する部分PR13におけるn型の不純物の濃度は、ゲート電極GE2のうち、ゲート絶縁膜GI2と接触する部分PR15におけるn型の不純物の濃度よりも低い。
あるいは、ゲート電極GE11のうち、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分PR11におけるn型の不純物の濃度は、ゲート電極GE11の上層部PR12におけるn型の不純物の濃度よりも低い。このとき、上記したように、ゲート電極GE11におけるn型の不純物の濃度と、ゲート電極GE2におけるn型の不純物の濃度との間に、差があってもよく、あるいは、差がなくてもよい。
これにより、メモリセルMCにデータを書き込む書き込み動作の際に、ホットキャリアがBOX層3aに注入されてBOX層3aの絶縁性などが劣化することを防止または抑制し、かつ、ゲート電極GE11に印加する電位の絶対値を小さくすることができる。
なお、ゲート電極GE11の各部分におけるn型の不純物の濃度の平均値が、ゲート電極GE2の各部分におけるn型の不純物の濃度の平均値より低くてもよい。また、ゲート電極GE12の各部分におけるn型の不純物の濃度の平均値が、ゲート電極GE2の各部分におけるn型の不純物の濃度の平均値より低くてもよい。
<メモリセルの動作>
本実施の形態2の半導体装置におけるメモリセルの動作については、メモリセルMCにデータを書き込む書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に負極性の電位を印加する点を除き、図2および図3を用いて説明した実施の形態1の半導体装置におけるメモリセルの動作と同様であり、それらの説明を省略する。
ただし、本実施の形態2では、メモリセルMCにデータを書き込む書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に負極性の電位が印加される。これにより、ホットキャリアがBOX層3aに注入されることを抑制することができる。
なお、本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、電位VsbP(図3参照)が、電位VmlP(図3参照)と同極性の電位であってもよい。このとき、電位VsbPおよび電位VmlP(図3参照)は、いずれも負極性の電位である。
<半導体装置の製造工程>
次に、本実施の形態2の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。図23は、実施の形態2の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図24〜図32は、実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
本実施の形態2の半導体装置の製造工程では、実施の形態1で図6〜図11を用いて説明した工程(図4のステップS1〜ステップS6)を行ってシリコン層SL1を形成した後、図24に示すように、メモリセル領域AR1で、n+型半導体領域SD11およびSD12を形成する(図23のステップS20)。このステップS20は、メモリセル領域AR1における工程として対比する限りにおいて、図5のステップS14と同様の工程である。
このステップS20では、まず、メモリセル領域AR1、ならびに、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R10を形成する。そして、メモリセル領域AR1で、SOI基板1の上面1a上に形成されたフォトレジスト膜R10を除去する。このとき、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R10が残される。
そして、ゲート電極GE11およびGE12の各々の上にそれぞれ形成されたハードマスク膜HM1、ならびに、サイドウォールスペーサSF11、SF12、SF13およびSF14をマスクとして、シリコン層SL1およびSL2(図11参照)ならびにSOI層4aに、n型の不純物イオンIM7を注入する。
これにより、メモリセル領域AR1で、シリコン層SL1(図11参照)の内部、および、シリコン層SL1下に位置する部分のSOI層4aの内部に、n+型半導体領域SD11が形成される。また、メモリセル領域AR1で、シリコン層SL2(図11参照)の内部、および、シリコン層SL2下に位置する部分のSOI層4aの内部に、n+型半導体領域SD12が形成される。その後、フォトレジスト膜R10は除去される。
すなわち、ステップS20では、サイドウォールスペーサSF11を挟んでゲート電極GE11と反対側に位置する部分のSOI層4aに、n型の不純物をイオン注入することにより、n+型半導体領域SD11を形成し、SOI層4bに、n型の不純物をイオン注入しない。
一方、このステップS20の工程では、ゲート電極GE11およびGE12の各々の上にはハードマスク膜HM1が形成されているため、ゲート電極GE11およびGE12には、高濃度のn型の不純物イオンIM7が注入されない。
次に、図25に示すように、ハードマスク膜HM1ならびにサイドウォールスペーサSF11およびSF12(図24参照)を除去する(図23のステップS21)。このステップS21では、実施の形態1で図12を用いて説明した工程(図5のステップS11)と同様の工程を行って、ハードマスク膜HM1、ならびに、サイドウォールスペーサSF11、SF12、SF13およびSF14(図24参照)を除去する。
次に、図26および図27に示すように、n-型半導体領域EX11およびEX12を形成する(図23のステップS22)。このステップS22では、実施の形態1で図13および図14を用いて説明した工程(図5のステップS12)と同様の工程を行って、n-型半導体領域EX11、EX12およびEX13を形成する。
ただし、本実施の形態2では、シリコン層SL1(図11参照)の内部には、n+型半導体領域SD11が既に形成されているため、n-型半導体領域EX14(図14参照)は形成されない。また、シリコン層SL2(図11参照)の内部には、n+型半導体領域SD12が既に形成されているため、n-型半導体領域EX15(図14参照)は形成されない。
すなわち、ステップS22では、ゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11との間に位置する部分のSOI層4aに、n型の不純物をイオン注入することにより、n-型半導体領域EX11を形成する。また、ゲート電極GE2の一方の側(図27中左側)に位置する部分のSOI層4bに、n型の不純物をイオン注入することにより、n-型半導体領域EX21を形成する。
なお、ステップS22では、ゲート電極GE11、GE12およびGE2に、低濃度のn型の不純物がイオン注入され、n-型半導体領域NM1、NM2およびNM3が形成される。
以上のようにして、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE11、n+型半導体領域SD11およびn-型半導体領域EX11を有するアンチヒューズ素子AFが形成される。また、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE12、n+型半導体領域SD11およびSD12、ならびに、n-型半導体領域EX12およびEX13を有する選択トランジスタSTが形成される。n+型半導体領域SD11およびSD12の各々におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX11、EX12およびEX13の各々におけるn型の不純物の濃度よりも高い。
次に、実施の形態1で図15および図16を用いて説明した工程(図5のステップS13)と同様の工程を行って、図28および図29に示すように、サイドウォールスペーサSW11およびSW12を形成する(図23のステップS23)。このステップS23では、ゲート電極GE11の側面SS12上に、サイドウォールスペーサSW12を形成し、ゲート電極GE2の一方の側(図29中左側)の側面SS21上に、サイドウォールスペーサSW21を形成する。
次に、図30〜図32に示すように、周辺回路領域AR2で、n+型半導体領域SD21およびSD22を形成する(図23のステップS24)。
このステップS24では、まず、実施の形態1で図17を用いて説明した工程と同様の工程を行って、図30に示すように、領域AR4およびAR5で、シリコン層SL5およびSL6(図29参照)に、高濃度のp型の不純物をイオン注入する。
このステップS24では、次に、実施の形態1で図18を用いて説明した工程と同様の工程を行って、図31に示すように、n+型半導体領域SD31およびSD32を形成する。
このステップS24では、次に、図32に示すように、周辺回路領域AR2で、n+型半導体領域SD21およびSD22を形成する。このn+型半導体領域SD21およびSD22を形成する工程は、周辺回路領域AR2における工程として対比する限りにおいて、実施の形態1で図19を用いて説明した工程(図5のステップS14の一部の工程)と同様の工程である。
具体的には、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R9を形成する。そして、周辺回路領域AR2で、SOI基板1の上面1a上に形成されたフォトレジスト膜R9を除去する。このとき、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR3、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R9が残される。
そして、ゲート電極GE2ならびにサイドウォールスペーサSW21およびSW22をマスクとして、シリコン層SL3およびSL4(図31参照)、ならびに、SOI層4aおよび4bに、n型の不純物イオンIM6を注入する。
これにより、周辺回路領域AR2で、シリコン層SL3(図31参照)の内部、および、シリコン層SL3下に位置する部分のSOI層4bの内部に、n+型半導体領域SD21が形成される。また、シリコン層SL4(図31参照)の内部、および、シリコン層SL4下に位置する部分のSOI層4bの内部に、n+型半導体領域SD22が形成される。
すなわちステップS24では、サイドウォールスペーサSW21を挟んでゲート電極GE2と反対側に位置する部分のSOI層4bに、n型の不純物をイオン注入することにより、n+型半導体領域SD21を形成する。
また、このとき、ゲート電極GE2にも、高濃度のn型の不純物イオンIM6が注入され、n+型半導体領域NR3が形成される。このとき、ステップS22にてn型の不純物がイオン注入されたゲート電極GE11のうち、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分PR11におけるn型の不純物の濃度は、ステップS24にてn型の不純物がイオン注入されたゲート電極GE2のうち、ゲート絶縁膜GI2と接触する部分PR15におけるn型の不純物の濃度よりも低い。その後、フォトレジスト膜R9は除去される。
なお、ステップS24では、ゲート電極GE2には、n型の不純物がイオン注入されるが、ゲート電極GE11およびGE12には、n型の不純物がイオン注入されない。
以上のようにして、周辺回路領域AR2において、ゲート電極GE2、n+型半導体領域SD21およびSD22、ならびに、n-型半導体領域EX21およびEX22を有するMISFETQLが形成される。n+型半導体領域SD21およびSD22の各々におけるn型の不純物の濃度は、n-型半導体領域EX21およびEX22の各々におけるn型の不純物の濃度よりも高い。
その後、実施の形態1で図1を用いて説明した工程(図5のステップS15)と同様の工程(図23のステップS25)を行って、図22に示すように、本実施の形態2の半導体装置を形成する。
<ゲート耐圧について>
次に、本実施の形態2におけるアンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11のゲート耐圧について、比較例2におけるアンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11のゲート耐圧と対比しながら説明する。
図33は、比較例2の半導体装置の書き込み動作の際のエネルギー分布を示すバンド図である。図33では、各層について、価電子帯の上端のエネルギーを、エネルギーEvと表記し、伝導帯の下端のエネルギーをエネルギーEcと表記している。
実施の形態1で前述したように、比較例1の半導体装置では、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に、正極性の電位VmlPが印加される。このような場合であって、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に印加される電位と逆極性の電位または0電位がp型ウェル領域PW1に印加される比較例1の半導体装置では、書き込み動作の際に発生したホットキャリアであるホットホールは、BOX層3aに注入されるおそれがある。
一方、比較例2の半導体装置の構造は、実施の形態1の半導体装置の構造と同様であるが、比較例2の半導体装置では、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に、負極性の電位VmlPが印加される。このような場合、書き込み動作の際に発生したホットキャリアであるホットホールは、BOX層3aに注入されにくくなる。
ところが、比較例2の半導体装置では、書き込み動作の際に、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分のn-型半導体領域EX11に、反転層が形成されず、キャリアが蓄積された蓄積層が形成される。また、ゲート電極GE11における電子ELが、矢印DA3に示すように、FNトンネルによりゲート電極GE11からn-型半導体領域EX11に注入される。
一方、n-型半導体領域EX11では、書き込み動作に伴って、アンチヒューズ素子AFにおいてゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊される際に、ホットキャリアが発生する。比較例2の半導体装置におけるアンチヒューズ素子AFが、nチャネル型のMISFETと類似した構造を有し、ゲート電極GE11に負極性の電位が印加される場合には、n-型半導体領域EX11において、ホットキャリアとして、電子ELとホールHLとのペアPAのうち例えばホールHLからなるホットホールが発生する。そして、n-型半導体領域EX11で発生したホットホールは、ゲート電極GE11に注入され、ゲート電極GE11中で、矢印DA4に示すように、ゲート絶縁膜GI11側と反対側に向かって加速される。
このような場合、ゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊するときの、n+型半導体領域SD11に対するゲート電極GE11の電位差である電圧すなわちゲート耐圧が、SOI層4aにおけるバンドギャップに相当する電圧分だけ、増加する。SOI層4aがシリコン単結晶からなる場合、シリコンのバンドギャップに相当する電圧1.1V分だけ、ゲート耐圧が増加する。
このようなゲート耐圧が増加する問題は、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11に含まれる半導体膜の導電型が、アンチヒューズ素子AFのソース・ドレイン領域であるn+型半導体領域SD11の導電型と同じ導電型であるときは、解消されない。また、比較例2の半導体装置は、実施の形態1の半導体装置と同様の製造工程により製造される。しかし、実施の形態1で図19を用いて説明したように、n+型半導体領域SD11を形成する際に、ゲート電極GE11に含まれる半導体膜としての導電膜CF1に高濃度のn型の不純物が導入され、ゲート電極GE11に含まれる半導体膜の導電型がn型になる。したがって、比較例2の半導体装置では、ゲート耐圧が、SOI層4aにおけるバンドギャップに相当する電圧分だけ、増加する問題は、解決することができない。
比較例2の半導体装置の製造工程では、例えば、実施の形態1で図8を用いて説明した工程と同様の工程を行って、ゲート電極GE11上にハードマスク膜HM1が形成された状態でゲート電極GE11を形成した後、図12を用いて説明した工程と同様の工程を行って、ハードマスク膜HM1を除去する。次に、ゲート電極GE11の上面が露出した状態で、低濃度のn型の不純物をイオン注入してn-型半導体領域EX11を形成し、高濃度のn型の不純物をイオン注入してn+型半導体領域SD11を形成する。
このような比較例2の半導体装置の製造工程では、高濃度のn型の不純物をイオン注入してn+型半導体領域SD11を形成する際に、ゲート電極GE11に含まれる半導体膜にも高濃度のn型の不純物がイオン注入されてn型の半導体膜からなるゲート電極GE11が形成される。そのため、ゲート耐圧が、SOI層4aにおけるバンドギャップに相当する電圧分だけ、増加する問題は、解決することができない。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
一方、本実施の形態2の半導体装置では、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE11は、p型の半導体膜からなる。または、本実施の形態2の半導体装置では、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE11のうち、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分PR11におけるn型の不純物の濃度は、周辺回路領域AR2において、ゲート電極GE2のうち、ゲート絶縁膜GI2と接触する部分PR15におけるn型の不純物の濃度よりも低い。
これにより、書き込み動作の際に、アンチヒューズ素子AFのゲート電極GE11に、SOI層4aにおけるチャネル領域に蓄積層が形成される極性の電位が印加される場合でも、ゲート絶縁膜GI11のゲート耐圧が、SOI層4aにおけるバンドギャップに相当する電圧分だけ、増加することを、防止または抑制することができる。したがって、書き込み動作の際に発生したホットキャリアであるホットホールが、BOX層3aに注入されることを防止または抑制しつつ、ゲート絶縁膜GI11のゲート耐圧が増加することを防止または抑制することができる。
また、本実施の形態2の半導体装置の製造工程では、メモリセル領域AR1および周辺回路領域AR2で、ゲート電極GE11およびGE2を形成し、ゲート電極GE11の上にハードマスク膜HM1を形成した後、メモリセル領域AR1で、高濃度のn型の不純物をイオン注入してn+型半導体領域SD11を形成する。次に、ハードマスク膜HM1を除去し、メモリセル領域AR1および周辺回路領域AR2で、低濃度のn型の不純物をイオン注入してn-型半導体領域EX11およびEX21を形成した後、周辺回路領域AR2で、高濃度のn型の不純物をイオン注入してn+型半導体領域SD21を形成する。
これにより、高濃度のn型の不純物は、ゲート電極GE2には導入されるが、ゲート電極GE11には導入されない。そのため、ゲート電極GE11を、p型の半導体膜からなるものとするか、または、ゲート電極GE11のうち、ゲート絶縁膜GI11と接触する部分PR11におけるn型の不純物の濃度を、ゲート電極GE2のうち、ゲート絶縁膜GI2と接触する部分PR15におけるn型の不純物の濃度よりも低くすることができる。したがって、ゲート耐圧が、SOI層4aにおけるバンドギャップに相当する電圧分だけ、増加することを、防止または抑制することができる。
本実施の形態2の半導体装置および比較例2の半導体装置の各々におけるアンチヒューズ素子AFについて、ゲート電極GE11とチャネル領域との間の容量Cの、ゲート電圧V依存性、すなわちC−V特性の測定を行った。
その結果、本実施の形態2の半導体装置では、比較例2の半導体装置に比べ、蓄積層が形成される際の容量Cの立ち下がり電圧、および、反転層が形成される際の容量Cの立ち上がり電圧のいずれも、ほぼバンドギャップ分、正極性側に移動した。このことからも、本実施の形態2におけるゲート電極GE11に含まれる半導体膜の導電型が、p型であるか、または、n型であっても、比較例2におけるゲート電極GE11に含まれる半導体膜の導電型よりもp型に近くなっていることが、明らかになった。
(実施の形態3)
実施の形態3では、アンチヒューズ素子AFのn-型半導体領域EX11のうちゲート電極GE11と重なる部分の、ゲート長方向における長さが、MISFETQLのn-型半導体領域EX21のうちゲート電極GE2と重なる部分の、ゲート長方向における長さよりも長くなっている例について説明する。
なお、以下では、実施の形態3の半導体装置として、実施の形態2の半導体装置において、n-型半導体領域EX11のうちゲート電極GE11と重なる部分の、ゲート長方向における長さが、長くなっている例について説明する。しかし、実施の形態3の半導体装置として、実施の形態1の半導体装置において、n-型半導体領域EX11のうちゲート電極GE11と重なる部分の、ゲート長方向における長さを、長くすることもできる。
<半導体装置の構造>
初めに、本実施の形態3の半導体装置の構造を、図面を参照して説明する。図34は、実施の形態3の半導体装置の要部断面図である。
本実施の形態3の半導体装置の構造は、n-型半導体領域EX11のうちゲート電極GE11と重なる部分の、ゲート長方向における長さが、n-型半導体領域EX21のうちゲート電極GE2と重なる部分の、ゲート長方向における長さよりも長くなっている点を除き、実施の形態2の半導体装置の構造と同様である。したがって、以下では、主として、実施の形態2の半導体装置の構造と異なる点について、説明する。
本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、n-型半導体領域EX11は、平面視において、ゲート電極GE11のうち、ゲート長方向における側面SS11側の部分と重なっている。また、本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、n-型半導体領域EX12は、平面視において、ゲート電極GE12のうち、ゲート長方向における側面SS13側の部分と重なっており、n-型半導体領域EX13は、平面視において、ゲート電極GE12のうち、ゲート長方向における側面SS14側の部分と重なっている。一方、本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、n-型半導体領域EX21は、平面視において、ゲート電極GE2のうち、ゲート長方向における側面SS21側の部分と重なっており、n-型半導体領域EX22は、平面視において、ゲート電極GE2のうち、ゲート長方向における側面SS22側の部分と重なっている。
そして、n-型半導体領域EX11のうち、平面視においてゲート電極GE11と重なる部分の、ゲート電極GE11のゲート長方向における長さLN11は、n-型半導体領域EX21のうち、平面視においてゲート電極GE2と重なる部分の、ゲート電極GE2のゲート長方向における長さLN21よりも長い。また、長さLN11は、n-型半導体領域EX22のうち、平面視においてゲート電極GE2と重なる部分の、ゲート電極GE2のゲート長方向における長さLN22よりも長い。
これにより、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE11のゲート耐圧を低減することができ、メモリセルMCにデータを書き込む書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に印加する電位の絶対値を、実施の形態2に比べ、さらに小さくすることができる。一方、周辺回路領域AR2において、オフリーク電流が増加することを防止または抑制することができる。
なお、n-型半導体領域EX12のうち、平面視においてゲート電極GE12と重なる部分の、ゲート電極GE12のゲート長方向における長さが、長さLN21または長さLN22よりも長くてもよい。また、n-型半導体領域EX13のうち、平面視においてゲート電極GE12と重なる部分の、ゲート電極GE12のゲート長方向における長さが、長さLN21または長さLN22よりも長くてもよい。
<メモリセルの動作>
本実施の形態3の半導体装置におけるメモリセルの動作については、実施の形態2の半導体装置におけるメモリセルの動作と同様であり、それらの説明を省略する。
また、本実施の形態3では、実施の形態2と同様に、メモリセルMCにデータを書き込む書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に負極性の電位を印加するため、ホットキャリアのうちホットホールがBOX層3aに注入されてBOX層3aの絶縁性などが劣化することを防止または抑制することができる。
<半導体装置の製造工程>
次に、本実施の形態3の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。図35は、実施の形態3の半導体装置の製造工程の一部を示す製造プロセスフロー図である。図36〜図42は、実施の形態3の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
本実施の形態3の半導体装置の製造工程では、図4のステップS1〜ステップS6を行った後、図23のステップS20およびステップS21と同様の工程(図35のステップS30およびステップS31)を行う。
次に、図36に示すように、周辺回路領域AR2で、n-型半導体領域EX21およびEX22を形成する(図35のステップS321)。
具体的には、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R41を形成する。そして、周辺回路領域AR2で、SOI基板1の上面1a上に形成されたフォトレジスト膜R41を除去する。このとき、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR3、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R41が残される。
そして、フォトレジスト膜R41およびゲート電極GE2をマスクとして、シリコン層SL3およびSL4ならびにSOI層4bに、n型の不純物イオンIM21を注入する。
これにより、周辺回路領域AR2で、ゲート電極GE2とシリコン層SL3との間に位置する部分のSOI層4bの内部に、n-型半導体領域EX21が形成される。また、周辺回路領域AR2で、ゲート電極GE2とシリコン層SL4との間に位置する部分のSOI層4bの内部に、n-型半導体領域EX22が形成される。すなわち、ゲート電極GE2の一方の側(図36中左側)に位置する部分のSOI層4bに、n型の不純物をイオン注入することにより、n-型半導体領域EX21を形成する。n-型半導体領域EX21は、平面視において、ゲート電極GE2のうち、ゲート長方向における一方の側(図36中左側)の部分と重なる。
なお、シリコン層SL3の上層部にも、n-型半導体領域EX23が形成され、シリコン層SL4の上層部にも、n-型半導体領域EX24が形成される。
また、このとき、ゲート電極GE2にも、低濃度のn型の不純物イオンIM21が注入される。これにより、ゲート電極GE2の上層部に、n-型半導体領域NM3が形成される。その後、フォトレジスト膜R41は除去される。
次に、図37に示すように、メモリセル領域AR1で、n-型半導体領域EX11を形成する(図35のステップS322)。
具体的には、メモリセル領域AR1、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5で、SOI基板1の上面1a上、または、支持基板2の上面2a上に、フォトレジスト膜R42を形成する。そして、メモリセル領域AR1で、SOI基板1の上面1a上に形成されたフォトレジスト膜R42を除去する。このとき、周辺回路領域AR2およびAR3、ならびに、領域AR4およびAR5では、フォトレジスト膜R42が残される。
そして、フォトレジスト膜R42ならびにゲート電極GE11およびGE12をマスクとして、SOI層4aに、n型の不純物イオンIM22を注入する。
これにより、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11との間に位置する部分のSOI層4aの内部に、n-型半導体領域EX11が形成される。すなわち、ゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11との間に位置する部分のSOI層4aに、n型の不純物をイオン注入することにより、n-型半導体領域EX11を形成する。n-型半導体領域EX11は、平面視において、ゲート電極GE11のうち、ゲート長方向における他方の側(図37中右側)の部分と重なる。
また、メモリセル領域AR1で、ゲート電極GE12とn+型半導体領域SD11との間に位置する部分のSOI層4aの内部に、n-型半導体領域EX12が形成され、ゲート電極GE12とn+型半導体領域SD12との間に位置する部分のSOI層4aの内部に、n-型半導体領域EX13が形成される。
また、このとき、ゲート電極GE11およびGE12にも、低濃度のn型の不純物イオンIM22が注入される。これにより、ゲート電極GE11の上層部に、n-型半導体領域NM1が形成され、ゲート電極GE12の上層部に、n-型半導体領域NM2が形成される。その後、フォトレジスト膜R42は除去される。
以上のようにして、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE11、n+型半導体領域SD11およびn-型半導体領域EX11を有するアンチヒューズ素子AFが形成される。また、メモリセル領域AR1において、ゲート電極GE12、n+型半導体領域SD11およびSD12、ならびに、n-型半導体領域EX12およびEX13を有する選択トランジスタSTが形成される。
本実施の形態3では、活性化アニールの条件も含め、不純物イオンIM21を導入する条件と、不純物イオンIM22を導入する条件とを、互いに異ならせる。これにより、n-型半導体領域EX11のうち、平面視においてゲート電極GE11と重なる部分の、ゲート電極GE11のゲート長方向における長さLN11を、n-型半導体領域EX21のうち、平面視においてゲート電極GE2と重なる部分の、ゲート電極GE2のゲート長方向における長さLN21よりも長くすることができる。また、長さLN11を、n-型半導体領域EX22のうち、平面視においてゲート電極GE2と重なる部分の、ゲート電極GE2のゲート長方向における長さLN22よりも長くすることができる。
なお、ステップS321と、ステップS322の順番を入れ替え、ステップS322を、ステップS321の前に行ってもよい。
次に、実施の形態2で図28および図29を用いて説明した工程(図23のステップS23)と同様の工程を行って、図38および図39に示すように、サイドウォールスペーサSW11およびSW12を形成する(図35のステップS33)。
次に、実施の形態2で図30〜図32を用いて説明した工程(図23のステップS24)と同様の工程を行って、図40〜図42に示すように、周辺回路領域AR2で、n+型半導体領域SD21およびSD22を形成する(図35のステップS34)。
これにより、周辺回路領域AR2において、ゲート電極GE2、n+型半導体領域SD21およびSD22、ならびに、n-型半導体領域EX21およびEX22を有するMISFETQLが形成される。
その後、実施の形態1で図1を用いて説明した工程(図5のステップS15)と同様の工程(図35のステップS35)を行って、図34に示すように、本実施の形態3の半導体装置を形成する。
<エクステンション領域とゲート電極との間のオーバーラップ長について>
次に、エクステンション領域のうち、ゲート電極と重なる部分のゲート長方向における長さ、すなわちエクステンション領域とゲート電極との間のオーバーラップ長について、本実施の形態3と、比較例1、比較例2、実施の形態1および実施の形態2とを比較しながら説明する。
書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に、正極性の電位VmlPが印加され、ゲート電極GE11に印加される電位と逆極性の電位または0電位がp型ウェル領域PW1に印加される比較例1の半導体装置では、書き込み動作の際に発生したホットキャリアであるホットホールは、BOX層3aに注入されるおそれがある。
一方、比較例2の半導体装置では、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に、負極性の電位VmlPが印加される。このような場合、書き込み動作の際に発生したホットキャリアであるホットホールは、BOX層3aに注入されにくくなるが、比較例1に比べゲート耐圧が増加するという問題がある。
ゲート電極GE11に正極性の電位が印加される実施の形態1の半導体装置では、消費電力を低減させ、オフリーク電流をできるだけ低減するために、閾値電圧を高く設定する。そのため、ゲート誘導ドレインリーク(Gate Induced Drain Leakage:GIDL)が、オフリーク電流を律速するパラメータとなる。GIDLを低減するためには、n-型半導体領域EX11とゲート電極GE11との間のオーバーラップ長を短くすることが有効である。
ところが、ゲート電極に負極性の電位が印加される比較例2の半導体装置では、アンチヒューズ素子AFにおけるゲート絶縁膜GI11のうち、FNトンネルにより電流が流れる部分は、n-型半導体領域EX11のうち、ゲート電極GE11と重なる部分に限られる。そのため、比較例2の半導体装置では、FNトンネルにより流れる電流は、実施の形態1の半導体装置に比べ、n-型半導体領域EX11のうち、ゲート電極GE11と重なる部分の面積が少なくなる分だけ、少なくなる。すなわち、FNトンネルにより流れる電流が少ない分だけ、ゲート絶縁膜GI11が絶縁破壊するときのn+型半導体領域SD11に対するゲート電極GE11の電位差である電圧、すなわちゲート耐圧は、高くなる。
なお、メモリセルMCを形成するアンチヒューズ素子AFでは、書き込み動作および読み出し動作を行う上で、オフリーク電流は重要なパラメータではない。
ここで、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX11とゲート電極GE11との間のオーバーラップ長を、実施の形態2の半導体装置に比べ、減らした例を比較例3とした。そして、実施の形態2の半導体装置におけるゲート電極GE11とn+型半導体領域SD11との間を流れる電流Iのドレイン電圧V依存性すなわちI−V特性の測定を行った。すなわち、比較例3の半導体装置では、メモリセル領域AR1において、n-型半導体領域EX11のうち、ゲート電極GE11と平面視において重なる部分のゲート長方向の長さは、周辺回路領域AR2において、n-型半導体領域EX21のうち、ゲート電極GE2と平面視において重なる部分のゲート長方向の長さよりも短い。
その結果、比較例3におけるゲート耐圧は、実施の形態2におけるゲート耐圧よりも大きくなった。すなわち、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX11とゲート電極GE11との間のオーバーラップ長が実施の形態2の半導体装置に比べて長い比較例3の半導体装置では、ゲート耐圧が大きくなることを示している。
<本実施の形態の主要な特徴と効果>
一方、本実施の形態3の半導体装置では、n-型半導体領域EX11のうち、ゲート電極GE11と平面視において重なる部分PR11の、ゲート長方向の長さが、n-型半導体領域EX21のうち、ゲート電極GE2と平面視において重なる部分PR15の、ゲート長方向の長さよりも長い。
これにより、メモリセル領域AR1では、n-型半導体領域EX11とゲート電極GE11との間のオーバーラップ長を相対的に長くすることができ、アンチヒューズ素子AFにおけるゲート絶縁膜GI11のうち、FNトンネルにより電流が流れる部分の割合が増加し、FNトンネルにより流れる電流が増加する。したがって、書き込み動作の際に発生したホットキャリアであるホットホールがBOX層3aに注入されることを防止または抑制しつつ、ゲート絶縁膜GI11のゲート耐圧が増加することを防止または抑制することができる。
一方、周辺回路領域AR2では、n-型半導体領域EX21とゲート電極GE2との間のオーバーラップ長を相対的に短くすることができ、MISFETQLのオフリーク電流を低減することができる。
また、本実施の形態3の半導体装置の製造工程では、メモリセル領域AR1でエクステンション領域としてのn-型半導体領域EX11を形成する工程を、周辺回路領域AR2でエクステンション領域としてのn-型半導体領域EX21を形成する工程と別に行う。
これにより、n-型半導体領域EX11のうち、ゲート電極GE11と平面視において重なる部分の、ゲート長方向の長さLN11を、n-型半導体領域EX21のうち、ゲート電極GE2と平面視において重なる部分の、ゲート長方向の長さLN21よりも長くすることができる。
なお、本実施の形態3では、実施の形態2の半導体装置において、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX11とゲート電極GE11との間のオーバーラップ長を長くした場合について、説明した。これにより、実施の形態2と実施の形態3との相乗効果により、実施の形態2の半導体装置に比べ、ゲート耐圧の増加を防止または抑制する効果が大きくなる。
しかし、実施の形態1の半導体装置において、エクステンション領域としてのn-型半導体領域EX11とゲート電極GE11との間のオーバーラップ長を長くすることもできる。すなわち、本実施の形態3の半導体装置を、書き込み動作の際に、ゲート電極GE11に正極性の電位が印加される場合にも適用することができる。これにより、実施の形態1に比べ、ゲート耐圧をさらに下げることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。