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JP2016103902A - 電力変換装置およびその制御方法 - Google Patents

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JP2016103902A JP2014240740A JP2014240740A JP2016103902A JP 2016103902 A JP2016103902 A JP 2016103902A JP 2014240740 A JP2014240740 A JP 2014240740A JP 2014240740 A JP2014240740 A JP 2014240740A JP 2016103902 A JP2016103902 A JP 2016103902A
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Tomomichi Ito
智道 伊藤
勇樹 八賀
Yuki Hachiga
勇樹 八賀
大起 松下
Daiki Matsushita
大起 松下
貴之 小野瀬
Takayuki Onose
貴之 小野瀬
一幸 角田
Kazuyuki Tsunoda
一幸 角田
相原 孝志
Takashi Aihara
孝志 相原
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Abstract

【課題】交流電圧に高調波電圧を重畳することで単独運転を検出する三相の分散電源用電力変換装置において、単独運転を検出するための重畳高調波次数の選択肢を増やす。【解決手段】電力系統に連系する三相の分散電源用自励式電力変換装置であって、電力変換装置は、電力系統の系統連系点の電圧である連系点電圧検出値から系統基本波成分の位相を検出する基本波位相検出部と、基本波位相検出部で検出した周波数の2N次の周波数(但しNは3の倍数である自然数)の高調波を算出する高調波電圧重畳量算出部と、電力変換装置の出力電圧指令値に重畳する高調波電圧重畳部と、連系点電圧の交流電圧から2N次の高調波成分を抽出する高調波成分抽出部と、抽出された高調波成分の電圧振幅に基づいて電力変換器の単独運転を検出する単独運転検出部と、を備える【選択図】 図1

Description

本発明は電力変換装置およびその制御方法に関するものである。
近年、太陽光発電装置や風力発電装置等の自然エネルギーを利用した分散電源の導入が進んでいる。自然エネルギーを利用した分散電源は、自然エネルギーにより発電された電力を、自励式電力変換器によって連系する系統周波数に変換して電力系統に送電する。一般に、分散電源の出力電力は気候により変動し、連系する電力系統の安定度を損なうおそれがある。
このような事情により、電力系統の安定化を目的として、蓄電池に代表される蓄電手段と自励式電力変換器を備える蓄電システムの導入が、小規模系統を中心に進んでいる。
ところで、分散電源や蓄電システムが電力系統に接続されている場合において、事故検出や系統切り替えにより、電力系統の遮断器が開放されることがある。この遮断器の下位に接続される分散電源や蓄電システムの発電電力、そして負荷の消費電力が一致すると、遮断器が開放されても下位系統の電圧が長時間維持される可能性がある。この需給バランスが取れた状態を単独運転状態と呼ぶ。
単独運転状態が発生すると、電力系統の保守を行う場合に、安全性を確保することが必要となる。そのため、国内では系統連系技術要件ガイドライン、海外ではIEC62116などにより分散電源用の自励式電力変換器や蓄電システム用電力変換器に対し、単独運転を検出する機能を備えること、および単独運転検出後には速やかに系統から開列する機能を備えることが求められている。
単独運転を検出する方法として、3の倍数を除く自然数Nに対し、2N次の高調波電圧を電力変換器より出力させ、該電力変換器の連系点における2N次の高調波電圧振幅値が通常運転時に比べて単独運転時に大きくなることを利用して単独運転状態を検出する方法が特許文献1で開示されている。
特開2007−110894号公報
電力系統に含まれる高調波電圧成分は通常、偶数次数の電圧高調波成分が奇数次数の電圧高調波成分に対して小さい。そのため、偶数次数の電圧高調波で単独運転を検出する方法のほうが、他の機器の高調波電流による電圧ひずみに対して影響が小さいため、精度高く単独運転状態を検出することができる利点がある。
特許文献1では、三相の電力変換器に各相平衡な電圧を重畳させるので、3の倍数である自然数Nに対して2N次の高調波電圧を出力させると、高調波成分が各相共通成分である零相成分となってしまう。そのため、線間電圧では高調波成分がキャンセルされてしまい、非接地の電力変換器や変圧器を介して系統に連系する電力変換器では、系統側に高調波電圧を伝達することができない。上記理由より、特許文献1では電力変換器出力電圧に重畳する高調波次数を、3の倍数を除くよう制限している。
しかしながら、電力変換器が連系する系統に、複数の力率改善用電力コンデンサが連系する場合、電力変換器から見込んだ系統インピーダンスが、4次や8次高調波成分に対して大きな値にならない場合がある。特に、直列リアクトルを備える力率改善用電力コンデンサが、電力変換器の直近に存在する場合、4次高調波に対する系統インピーダンスが小さくなるおそれがある。また、力率改善用電力コンデンサが直列リアクトルを備えない場合、次数の高い高調波成分に対して系統インピーダンスが小さくなるおそれがある。
特許文献1に記載の単独運転検出方式は、単独運転時に単独運転検出用高調波成分に対し、系統インピーダンスが増加することにより単独運転状態を見つける方法であるため、4次や8次の高調波成分に対して系統インピーダンスが十分高くならない場合、単独運転状態を検出できない。
そのため、高調波検出用周波数の選択肢が多いことが望まれるが、特許文献1記載の方法では、2N次の高調波のうち、3の倍数である自然数N次の高調波は単独運転検出用の高調波次数に選択することができないため、単独運転検出に6次高調波成分を用いることができない。
よって、電力系統に連系する電力変換装置において、単独運転検出を適切に行うことを本発明の目的とする。
上記課題を解決するために、電力系統に連系する三相の分散電源用自励式電力変換装置であって、電力変換装置は、電力系統の系統連系点の電圧である連系点電圧検出値から系統基本波成分の位相を検出する基本波位相検出部と、基本波位相検出部で検出した周波数の2N次の周波数(但しNは3の倍数である自然数)の高調波を算出する高調波電圧重畳量算出部と、電力変換装置の出力電圧指令値に重畳する高調波電圧重畳部と、連系点電圧の交流電圧から2N次の高調波成分を抽出する高調波成分抽出部と、抽出された高調波成分の電圧振幅に基づいて電力変換器の単独運転を検出する単独運転検出部と、を備えることを特徴とする。
電力コンデンサが備えられた電力系統に連系する電力変換装置において、単独運転検出を適切に行うことができる。
本実施例の電力変換器を備えた電力系統全体を示した図である。 電力変換器1の主回路構成を示した図である。 制御器100の演算器構成図である。 位相算出器1004の演算内容を示した図である。 高調波電圧重畳量算出器1030の構成を示す図である。 Nを3とした場合のtheta、および位相換算器1030E、10305、10306、10307、の出力である2NTheta2lTHETA_U2、THETA_V2、そしてTHETA_W2を示す。 U、V、W相平衡している波形vu_ref、vv_ref、vw_refを示す。 振幅の等しく、位相が120度ずれた三相の高調波重畳量del_vu_ref2、del_vv_ref2、del_vw_ref2を示す。 高調波重畳を行ったvu_ref2、vv_ref2、vw_ref2の波形を示す。 連系点電圧に含まれる2N次の高調波電圧振幅値を算出し、判定値との大小比較を実施する単独運転検出器1040を示す。 直流回路に蓄電池31が接続される蓄電池用インバータを示す。 直流回路に蓄電池31が接続される風車の連系用インバータを示す。 第2の実施例の電力変換器を備えた電力系統全体を示した図である。 第2の実施例の電力変換器における電力変換器2の構成を示す。 第2の実施例の電力変換器における制御器101の構成を示す。 第2の実施例の電力変換器における単独運転検出器1041を示す。
本発明の第一の実施例を、図1を用いて説明する。
図1は、本実施例の電力変換器を備えた電力系統全体を示した図である。
電力変換器1は、電力変換器の直流回路に太陽光パネル30が接続され、太陽光パネルにより発電された直流電力を系統周波数に周波数変換し、電力系統300および負荷200に供給する太陽光発電用インバータである。
電力系統300には、電力変換器1、負荷200、電力用コンデンサ600が、遮断器400を介して並列接続される。遮断器400は、系統事故検出時および系統メンテナンスのため電力系統300の運営者により開閉される。
電力変換器1は、インバータ10、高調波フィルタ20、コンタクタ40、電力変換器1出力電流検出用電流センサ72CTu、72CTw、連系点電圧を検出するための電圧センサ70PTuv、70PTvw、直流回路電圧検出用電圧センサ71PT、そして上記電流・電圧センサの出力を元にインバータ10のゲート信号GateUP〜WN、およびコンタクタON/OFF信号CTTctlを算出する制御器100により構成される。
電力変換器1の系統連系点には、負荷200および力率改善用電力コンデンサ600が並列接続される。負荷200は、抵抗、リアクトル、およびコンデンサの並列回路によりその電気特性が示されるものである。
図2は、電力変換器1の主回路構成を示した図である。
電力変換器1の主回路は、IGBTとダイオードが逆並列接続されるIGBTモジュール10k〜10p、および直流コンデンサ10cにより構成されるインバータと、2つの三相リアクトルと三相コンデンサにより構成される高調波フィルタ、電力変換器の出力電流検出用電流センサ72CTu、72CTw連系点、電圧検出用電圧センサ70PTuv、70PTvw、直流電圧検出用71PT、およびコンタクタ40により構成される。
直流回路端子P、Nには太陽光パネルが接続され、交流端子U、V、Wには高調波フィルタ20が接続され、インバータから電力系統300に流出する高調波を低減する。
IGBTモジュールのゲート信号GateUP〜WNは、制御器100において算出されたものであり、後述するように電圧指令値とインバータ出力電圧の瞬時平均値が一致するよう算出されたものである。
図3は、制御器100の演算器構成図である。
制御器100は、連系点電圧検出値vsuv、vsvw、出力電流検出値isu、isw、直流電圧検出値vdcを入力し、インバータ10のゲート信号GateUP〜WN、及びコンタクタ400のON/OFF信号CTTctrlを算出する。
制御器100は、連系点電圧位相検出部1005、直流電圧制御部1051、無効電力制御部1070、電流制御部1023、および単独運転検出部1040を主な構成部として有している。
まず、連系点電圧位相検出部1005について説明する。
連系点電圧位相検出部1005によって検出された連系点電圧検出値vsuv、vsvwは、相電圧算出器1001に入力され、相電圧算出器1001は相電圧vsu、vsv、vswを算出する。相電圧は零相成分をゼロとして、(数式1)に従い、線間電圧検出値であるvsuv、vsvwより相電圧vsu、vsv、vswを算出する。
相電圧vsu、vsv、vswはα−β変換器1002に出力される。α−β変換器1002は数式2に従い、相電圧をα−β変換する。
α−β変換器1002は連系点電圧のα成分であるvs_alpとβ成分であるvs_betをd−q変換器1003に出力する。
d−q変換器1003はvs_alp、vs_betおよび後述するcosテーブル出力値cos、及びsinテーブル出力値sinを入力し、連系点電圧d軸成分vsd、q軸成分vsqを(数式3)に従い算出する。
連系点電圧q軸成分vsqは位相算出器1004に出力され、位相算出器1004は連系点電圧位相thetaを算出する。位相算出器1004の演算内容を、図4を用いて説明する。
図4は、位相算出器1004の演算内容を示した図である。
位相算出部1004は、vsqの値をPI制御器10041に入力し、補正角周波数であるdel_omegを算出する。
補正角周波数del_omegと定格角周波数Omeg0は加算器10042において加算され、その和であるomegaは時間積分器10043に出力される。
時間積分器10043は、角周波数omegaを時間積分し、連系点電圧の基本波成分の位相thetaを算出する。
位相算出器1004は、連系点電圧の基本波成分の位相thetaを出力する。
制御器内部で算出する連系点電圧位相算出値thetaと連系点電圧の位相が一致している場合、連系点電圧のq軸成分は0となる。一方、連系点電圧位相算出値thetaと連系点電圧位相が一致しない場合、連系点電圧q軸成分vsqには非零の値となる。そのため、上記構成を備えることで連系点電圧の基本波成分の位相を検出することが可能となる。
図3に戻り、連系点電圧位相算出部1005の説明を継続する。
連系点電圧の基本波成分の位相thetaはcosテーブル1006およびsinテーブル1007に入力され、両テーブルは位相thetaに対応したcos、およびsinを算出する。前述のd−q変換器1003はcosテーブル1006、sinテーブル1007の出力を用いて連系点電圧α成分vs_alp、β成分vs_betをd−q変換している。
連系点電圧d軸成分vsdおよびq軸成分vsqは無効電力制御部の無効電力算出器1070に出力される。
次に、直流電圧制御部1051について説明する。
電圧センサ71PTにより検出される直流電圧検出値vdcおよび電圧指令値Vdc_refは減算器1050に入力され、その差が直流電圧制御器1051に出力される。直流電圧制御器1051はPI制御器により構成されており、減算器1050で算出された直流電圧指令値と直流電圧検出値の差に対してPI演算を施し、その結果を有効電流指令値として減算器1013に出力する。
次に無効電力制御部1070について説明する。
電力変換器1の電力系統側に出力する無効電力は、無効電力算出器1070において連系点電圧vsd、vsqおよび出力電流の有効電流isd、無効電流isqより(数式4)に従い算出し、その出力である無効電力算出値Qfbを減算器1071に出力する。
isd、isqの算出方法について説明する。
電力変換器1の交流出力電流isu、iswは減算器1010に入力され、減算器1010はv相の電流値であるisvを算出する。また、u相相電流isu、v相送電流、w相相電流はα−β変換器1011によりα成分is_alp、およびβ成分is_betに変換され、その出力はd−q変換器1012に出力される。なお、u相、v相、w相に対するα−β変換は(数式2)と等しいものであるため、重複説明を省略する。
交流出力電流のα変換、β変換値であるis_alp、is_betはd−q変換器1012に出力され、d−q変換器1012はis_alp、is_betをcosテーブル1006出力cos、sinテーブル1007出力sinを用いてd−q変換を実施し、出力電流d軸成分isdと、出力電流q軸成分isqと、を算出する。なお、演算は(数式3)と等しいものであるため、重複説明を省略する。
減算器1071は所定の無効電力指令値Qrefと無効電力算出器1070の出力であるQfbの差を算出し、その差を無効電力制御器1072に出力する。
無効電力制御器1072はPI制御器により構成され、減算器1071の出力に対しPI制御演算を施し、電力変換器1の無効電流指令値iqrefを算出する。
無効電流指令値iqrefは、減算器1014に出力される。
次に、電流制御部について説明する。
出力電流d軸成分isdは減算器1013に、出力電流q軸成分isqは減算器1014に出力される。
減算器1013は、直流電圧制御器1051の出力である有効電流指令値とisdの差を算出し、この差をd軸電流制御器1015に出力する。減算器1014は、加算器1074の出力である無効電流指令値iqrefとisqの差を算出し、この差をq軸電流制御器1016に出力する。
d軸電流制御器1015、およびq軸電流制御器1016はPI制御器で構成され、入力される指令値と出力電流d軸成分およびq軸成分の差にPI制御演算を施し、この差を低減するためのインバータ10のd軸電圧指令値とq軸電圧指令値を算出する。
d軸電流制御器1015の出力であるd軸電圧指令値は、加算器1017に出力される。加算器1017は固定値であるVd0とd軸電流制御器1015の出力を加算し、あらたなd軸電圧指令値vdrefを算出する。Vd0は連系点電圧の振幅が定格である場合にインバータ10の出力電圧と連系点電圧の振幅が等しくなる値である。Vd0との加算をすることにより、インバータ10のゲートデブロック時に系統から電力変換器1に過大な電流が流入することを防ぐことができる。
加算器1017の出力であるvdref、およびq軸電流制御器1016の出力であるq軸電圧指令値vqrefは逆d−q変換器1018に入力される。逆d−q変換器1018は、vdref、vqrefに加え、cosテーブル1006の出力cosとsinテーブル1007の出力sinを入力し、(数式5)に従いvdref、vqrefを固定座標系の電圧ベクトルvalp、vbetを算出する。
逆d−q変換器1018の出力であるvalp、vbetは2相―3相変換器1019に出力され、2相―3相変換器1019は数式6に従いvalp、vbetからインバータ10の相電圧出力指令値vu_ref、vv_ref、vw_refを算出する。
相電圧出力指令値には、加算器1022u、1022v、1022wにおいて、後述の高調波電圧重畳量算出器1030からの出力を加算し、新たな相電圧指令値vu_ref2、vv_ref2、vw_ref2を逆d−q変換器1018に出力する。
逆d−q変換器1018は相電圧指令値vu_ref2、vv_ref2、vw_ref2をPWM演算器1021に出力する。
PWM演算器1021は上記相電圧指令値に加え、搬送波算出器1020の出力であるtri、および後述する単独運転検出器1040の出力であるISLANDING_FLGを入力し、インバータ10のIGBTモジュールへのゲート信号GateUP〜WNを算出し、インバータ10に出力する。
ISLANDING_FLGが0の場合、搬送波算出器1020はインバータ10のスイッチング周波数と等しい周波数を持つ三角波triを算出し、PWM演算器1021は上記相電圧指令値とtriの大小比較をすることによりゲート信号GateUP〜WNを算出する。
U相を例に、ゲート信号の算出方法を説明する。
相電圧指令値vu_ref2がtri以上の場合、IGBTモジュール10kのゲート信号GateUPをオン、IGBTモジュール10nのゲート信号をオフとする。逆に相電圧指令値vu_refがtriより小さい場合、IGBTモジュール10kのゲート信号GateUPをオフ、IGBTモジュール10nのゲート信号をオンとする。本演算により、インバータ10の交流出力端子Uには、瞬時平均電圧が電圧指令値vu_ref2に対応したパルス電圧を出力できる。
V相、W相も同様にゲート信号を算出するため、重複説明を省く。
単独運転検出器1040の出力ISLANDING_FLGが1の場合、PWM演算器1021は搬送波triと相電圧指令値vu_ref2、vv_ref2、vw_ref2の大小関係に依存せず、すべてのゲート信号をオフにする。本演算により単独運転を検出した場合は、安全かつ速やかにインバータ10のスイッチングを停止させ、単独運転状態を回避できる。
コンタクタ制御信号算出器1008はISLANDING_FLGを入力し、ISLANDING_FLGが0の場合はコンタクタ40の制御信号CTTctrlをオン、ISLANDING_FLGが1の場合はCTTctrlをオフとする。これにより、単独運転を検出した場合は上述のPWM演算器1011のゲートブロックに加え、コンタクタ40の開放が可能となり、停電となっている電力系統から電力変換器1を開列することができる。
以降、本発明の特徴点である高調波電圧重畳量算出器1030および単独運転検出器1040について、図を用いて説明する。
図5は、高調波電圧重畳量算出器1030の構成を示す図である。
高調波電圧重畳量算出器1030の着目点は、連系点電圧に同期し、それぞれ位相の異なる3の倍数を含む自然数2N次の高調波電圧を算出し、単独運転検出用の電圧指令値重畳量として出力する点である。
高調波電圧重畳量算出器1030は、位相算出器1004の出力である連系点電圧の基本波位相thetaを入力とする。
基本波位相thetaは乗算器10301に入力される。乗算器10301はthetaを2N倍し、その積である2Nthetaを位相換算器1030E、および加算器10302、10303、10304に出力する。
加算器10302では2Nthetaに所定の値であるDEL_TH_Uを加算し、その和を位相換算器10305に出力する。同様に、加算器10303、10304では所定値DEL_TH_V、DEL_TH_Wを加算し、それぞれの出力であるTHETA_V、THETA_Wを位相換算器10306、10307に出力する。
所定値DEL_TH_U、DEL_TH_V、DEL_TH_Wは0以上360度以内の値を持ち、3つのうち少なくとも2つは異なる値を持つ。本構成により、線間電圧の高調波成分がキャンセルすることを防ぐことができる。
位相換算器10305、10306、10307、1030Eは、入力信号を360度で除算した値の余りを出力する。たとえば、入力信号として420度が入力された場合、60度を出力する。
図6は、Nを3とした場合のtheta、および位相換算器1030E、10305、10306、10307、の出力である2NTheta2lTHETA_U2、THETA_V2、そしてTHETA_W2を示す。位相は全て360度を上限とした、のこぎり波となる。
位相換算器10305の出力THETA_U2はcosテーブル10308に入力される。同様に、位相換算器10306の出力THETA_V2はcosテーブル10309に、位相換算器10307の出力THETA_W2はcosテーブル1030Aに入力される。
cosテーブル10308は、入力信号を位相とした振幅1のcos値del_vu_refを算出し、該出力は乗算器1030Bに入力される。乗算器1030Bではdel_vu_refと、所定の値GainUを乗算し、その積del_vu_ref2を高調波電圧重畳量算出器1030のU相分電圧重畳量として出力する。
同様に、V相、W相の電圧重畳量del_vv_ref2、del_vw_ref2を算出する。
del_vu_ref、del_vv_ref、del_vwrefは加算器1022u、1022v、そして1022wにそれぞれ出力される。
GainU、GainV、GainWは電力変換器1の出力電圧に含まれる高調波成分の振幅に相当する。上記値を過大な値に設定すると、系統電圧のひずみが大きくなり、変圧器の異音などを引き起こすおそれがある。そのため、2相―3相変換器1019の出力する電圧指令値基本波振幅の数%程度に設定するのが良い。
DEL_TH_U、DEL_TH_V、DEL_TH_Wは、少なくとも2つの値が異なればよい。しかし、後述する単独運転検出器1040での検出精度を高めるために、互いに120度異なる位相であり、THETA_U2に対してTHETA_V2が120度遅れて、THETA_W2がTHETA_V2に対して120度遅れた値となるのが望ましい。
以上により、高調波電圧重畳量算出器1030は、位相の異なる単独運転検出用の三相分の高調波重畳量を算出できる。
また、上記高調波重畳量は連系点電圧の基本波成分の位相で算出されるため、電力変換器1が複数個同一連系点に接続された場合でも、各PCSの出力する高調波重畳量の位相が相ごとに等しくなるため、互いに相殺されることはない。すなわち、電力変換器間の干渉を回避することができる利点がある。
del_vu_ref、del_vv_ref、del_vw_refのうち、少なくとも2つは位相の異なる2N次の高調波である。そのため、電力変換器1の線間電圧のうち、少なくとも1相分には2N次の高調波電圧が重畳し、連系点電圧には2N次の高調波成分が重畳する。
通常時の2N次に対する系統インピーダンスに比べ、単独運転状態での2N次系統インピーダンスは大きい系統においては、単独運転状態において連系点電圧に含まれる2N次の高調波電圧振幅が大きくなる。本実施例の電力変換器1は、この連系点電圧に含まれる2N次高調波電圧振幅値が所定の値より大きくなった場合に単独運転状態であると判断し、全てのゲート信号をOFFにするゲートブロックおよびコンタクタ40の開放を実施する。
基本波振幅に対し、高調波重畳量を2.5%相当になるようにGainU、GainV、GainWを設定し、DEL_TH_Uを0度、DEL_TH_Vを240度、DEL_TH_Wを120度とした場合のvu_ref、vv_ref、vw_ref、高調波重畳量del_vu_ref2、del_vv_ref2、del_vw_ref2、およびvu_ref2、vv_ref2、vw_ref2の波形を図7〜図9に示す。ここで、重畳する高調波次数は6次(N=3)の場合を示す。
図7は、U、V、W相平衡している波形vu_ref、vv_ref、vw_refを示す。
図8は、振幅の等しく、位相が120度ずれた三相の高調波重畳量del_vu_ref2、del_vv_ref2、del_vw_ref2を示す。
図9は、高調波重畳を行ったvu_ref2、vv_ref2、vw_ref2の波形を示す。
U、V、W相平衡している波形vu_ref、vv_ref、vw_refに対し、振幅の等しく、位相が120度ずれた三相の高調波重畳量を重畳すると、U、V、W相で不平衡な電圧指令値が算出される。この不平衡性により、重畳する高調波電圧が3の倍数である2N次の高調波でも、系統側に高調波電圧成分を出力することが可能となる。
図10は、連系点電圧に含まれる2N次の高調波電圧振幅値を算出し、判定値との大小比較を実施する単独運転検出器1040を示す。
α―β変換器1002の出力vs_alpおよびvs_bet、そして高調波電圧重畳量算出器1030の出力であるcos2N、sin2Nはd−q変換器10401に入力される。
d−q変換器10401は(数式7)に従い、vs_dh、vs_qhを算出する。
(数式7)により、連系点電圧に含まれる2N次の高調波成分はvs_dh、vs_qhの直流成分として算出される。
vs_dh、vs_qhは移動平均値算出器10402、10403に出力される。移動平均算出器10402、10403は連系点電圧基本波成分の1周期を窓とした移動平均を算出し、その出力ave_vs_dh、ave_vs_qhを乗算器10404、10405に出力する。
乗算器10404、10405はave_vs_dh、ave_vs_qhの二乗値を算出し、その出力を加算器10406に出力する。加算器10406は入力信号の和vshを比較器10407に出力する。
vshは、上記演算により、連系点電圧に含まれる2N次高調波成分の振幅二乗値に相当する。
比較器10407は所定値VSH_THとvshを大小比較し、vshがVSH_THより小さい場合は0を、vshがVSH_THより大きくなった場合は1を単独運転状態検出フラグISLANDING_FLGとしてコンタクタ制御信号算出器1008およびPWM演算器1021に出力する。
上記メカニズムにより、単独運転検出器1040は、連系点電圧に含まれる2N次の高調波電圧振幅値を算出し、判定値との大小比較を実施して単独運転状態を検出することができる。
以上より、本実施例の電力変換器1は、単独運転検出に3の倍数を含む自然数Nに対し、2N次の高調波成分を用いて単独運転を検出することが可能となる。また、非接地もしくは系統に変圧器を介して連系する電力変換器であっても、電力系統に2N次の高調波成分を出力することが可能となり、結果として当該高調波成分に対する系統インピーダンスの変化を検出することが可能となる。これにより、単独運転状態を検出するための高調波成分の選択肢を増やすことができ、力率改善用コンデンサが連系する系統においても単独運転を検出することができる。
本実施例においては、電力変換器1は太陽光インバータであったが、図11に示すように直流回路に蓄電池31が接続される蓄電池用インバータや、図12に示すようにブレード32、シャフト33、発電機34、整流器35により風力エネルギーを直流電力に変換する風車の連系用インバータであっても同様の効果を奏す。
本発明第二の実施例を、図13を用いて説明する。
本発明第一実施例と第二実施例の差は、電力変換器1の制御器101が、単独運転を検出する条件として2N次の高調波電圧振幅が判定値より大きくなった状態が所定時間以上経過したときに電力変換器1が単独運転状態にあると判断してインバータ10をゲートブロックしてコンタクタ400を開放させる手段を備える点である。
上記時間要素を設けることにより、変圧器投入などの系統電圧の一時的なひずみによる単独運転の誤検出を低減できる。
図14には、本発明第二の実施例である電力変換器2を示す。実施例1記載の電力変換器1と同じ部品については、同じ番号で明示しており、説明の重複を省く。
電力変換器1と電力変換器2の違いは、制御器101の単独運転検出器に時限要素を含めた点である。
図15に、制御器101の構成を示す。
単独運転検出器1041以外は実施例1記載の制御器100と同じ構成を備える。
本実施例の新規な点である単独運転検出器1041の構成を、図16を用いて説明する。
実施例1記載の単独運転検出器1040と本実施例の単独運転検出器1041の差異は、比較器10407の出力がカウンタ部10410に入力され、カウンタ部により比較器10407の出力OVER_FLGが1である間カウンタCOUNTERがカウントアップされて、該カウンタが判定値T1より大きくなった場合に単独運転検出フラグISLANDING_FLGを1に設定する点である。
以下、単独運転検出器1040との差異であるカウンタ部10410について説明する。
カウンタ部は比較器10407の出力であるOVER_FLGを入力とする。連系点電圧に含まれる2N次電圧高調波の振幅が判定値を超えた場合、OVER_FLGは1に設定され、それ以外は0に設定される。
OVER_FLGはカウンタ部10410内部のスイッチ10411に入力される。スイッチ10411はOVER_FLGが1のとき、前回値演算器10413を、OVER_FLGが0のとき0を出力する。
スイッチ10411の出力は加算器10412に入力され、所定値である1との和COUNTERを出力する。
COUNTERは前回値演算器10413および比較器10414に出力される。
比較器10414はCOUNTERが第二の所定値T1より大きい場合、単独運転状態フラグISLANDING_FLGを1に設定し、それ以外では0に設定する。
上記構成をカウンタ部が備えることにより、OVER_FLGが継続して1である場合は、カウンタCOUNTERが第二の所定値T1より大きくなったときに単独運転検出フラグISLANDING_FLGが1になり、OVER_FLGが0になったらスイッチ10411は出力を0に切替え、加算器10412の出力は1のままとなる。
以上のような構成を備えることで、変圧器の投入などにより、連系点電圧に含まれる2N次が一時的に判定値を超えた場合でも単独運転状態を誤検出することを回避できる。
本実施例によれば、電力変換器1は、単独運転検出に3の倍数を含む自然数Nに対し、2N次の高調波成分を用いて単独運転を検出することが可能となる。
さらに、単独運転状態の判定に時間要素を備えることにより、変圧器の投入などの擾乱が発生した場合でも単独運転状態を誤検出することを回避できる。
1、2・・・電力変換器、10・・・インバータ、20・・・高調波フィルタ、30・・・太陽光パネル、40・・・コンタクタ、70PTuv、70PTvw、71PT・・・電圧センサ、72CTu、72CTw・・・電流センサ、100・・・制御器、200・・・負荷、300・・・電力系統、400・・・遮断器、600・・・電力用コンデンサ、GateUP〜GateWN・・・ゲート信号、CTTctl・・・コンタクタON/OFF信号、10k〜10p・・・IGBTモジュール、10c・・・直流コンデンサ、1001・・・相電圧算出器、1002、1011・・・α−β変換器、1013、1012、10401・・・d−q変換器、1004・・・位相算出器、20L1、20L2・・・リアクトル、20C・・・フィルタコンデンサ、1006、1030F、10308、10309、1030A・・・cosテーブル、1007、1030G・・・sinテーブル、1051・・・直流電圧制御器、1072・・・無効電力制御器、1015、1016・・・電流制御器、1018・・・逆d−q変換器、1019・・・2相―3相変換器、1020・・・搬送波算出器、1021・・・PWM演算器、1030・・・高調波電圧重畳量算出器、1040・・・単独運転検出器、1030E、10305、10306、10307・・・位相換算器、10407、10414・・・比較器、10411・・・スイッチ、10413・・・前回値演算器、

Claims (14)

  1. 電力系統に連系する三相の分散電源用自励式電力変換装置であって、
    前記電力変換装置は、
    前記電力系統の系統連系点の電圧である連系点電圧検出値から系統基本波成分の位相を検出する基本波位相検出部と、
    前記基本波位相検出部で検出した周波数の2N次の周波数(但しNは3の倍数である自然数)の高調波を算出する高調波電圧重畳量算出部と、
    前記電力変換装置の出力電圧指令値に重畳する高調波電圧重畳部と、
    前記連系点電圧の交流電圧から前記2N次の高調波成分を抽出する高調波成分抽出部と、
    前記抽出された高調波成分の電圧振幅に基づいて前記電力変換器の単独運転を検出する単独運転検出部と、
    を備える電力変換装置。
  2. Nが3の倍数の場合は、前記電力変換装置の三相電圧が三相不平衡である請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記高調波は、少なくとも2つは位相の異なるものである請求項1に記載の電力変換装置。
  4. 前記位相は、互いに120度異なるものである請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記電力系統および前記電力変換装置を電気的に切り離す開閉部と、を有し、
    前記単独運転検出部は、前記高調波成分の電圧振幅が所定値を超えた場合は、前記開閉部を開放して電力変換装置を前記電力系統から電気的に切り離す請求項1に記載の電力変換装置。
  6. 前記単独運転検出部は、前記が所定値を超えた場合には、前記電力変換装置のゲート信号をオフする請求項5に記載の電力変換装置。
  7. 前記単独運転検出部は、前記高調波成分の電圧振幅が所定値を超える状態が所定の期間継続した場合には、前記開閉手段を開放して電力変換装置を電力系統から電気的に切り離す請求項5に記載の電力変換装置。
  8. 前記電力系統の系統連系点には、電力用コンデンサが前記開閉部を介して並列接続される請求項1に記載の電力変換装置。
  9. 前記電力変換装置が太陽光インバータである請求項1ないし8のいずれかに記載の電力変換装置。
  10. 前記電力変換装置が蓄電池用インバータである請求項1ないし8のいずれかに記載の電力変換装置。
  11. 前記電力変換装置が風力発電用インバータである請求項1ないし8のいずれかに記載の電力変換装置。
  12. 電力系統に連系する三相の分散電源用自励式電力変換装置の制御方法であって、
    前記電力系統の系統連系点の電圧である連系点電圧検出値から系統基本波成分の位相を検出し、
    前記検出した周波数の2N次の周波数(但しNは3の倍数である自然数)の高調波を算出し、
    前記電力変換装置の出力電圧指令値に重畳し、
    前記連系点電圧の交流電圧から前記2N次の高調波成分を抽出し、
    前記抽出された高調波成分の電圧振幅に基づいて前記電力変換器の単独運転を検出する電力変換装置の制御方法。
  13. 電力系統の系統連系点の電圧である連系点電圧検出値から系統基本波成分の位相を検出する基本波位相検出部と、
    前記基本波位相検出部で検出した周波数の2N次の周波数(但しNは3の倍数である自然数)の高調波を算出する高調波電圧重畳量算出部と、
    前記電力変換装置の出力電圧指令値に重畳する高調波電圧重畳部と、
    前記連系点電圧の交流電圧から前記2N次の高調波成分を抽出する高調波成分抽出部と、
    前記抽出された高調波成分の電圧振幅に基づいて前記電力変換器の単独運転を検出する単独運転検出部と、
    を備える電力変換装置と、
    前記電力変換装置に接続される発電手段と、
    を有する電力システム。
  14. 電力系統の系統連系点の電圧である連系点電圧検出値から系統基本波成分の位相を検出する基本波位相検出部と、
    前記基本波位相検出部で検出した周波数の2N次の周波数(但しNは3の倍数である自然数)の高調波を算出する高調波電圧重畳量算出部と、
    前記電力変換装置の出力電圧指令値に重畳する高調波電圧重畳部と、
    前記連系点電圧の交流電圧から前記2N次の高調波成分を抽出する高調波成分抽出部と、
    前記抽出された高調波成分の電圧振幅に基づいて前記電力変換器の単独運転を検出する単独運転検出部と、
    を備える電力変換装置と、
    前記電力変換装置に接続される電力貯蔵手段と、
    を有する電力システム。
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